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「片麻痺の影響で肩が外れかけていると言われたけど、普段どんな動きを避ければいいの?」 「介護のときに腕を引っ張ってしまっていないか心配…」 このように不安を抱える方は多いでしょう。 片麻痺のある方は、肩の筋肉の働きが弱まることで、肩関節の亜脱臼が起きやすくなります。そのため、腕を無理に引っ張る・ぶら下げる・肩より高く上げすぎるといった行為は避けるべきです。 これらの禁忌を知らずにいると、痛みが悪化したり、肩の可動域がさらに制限されたりする可能性があります。だからこそ、本人・介護者ともに正しい知識を身につけておきましょう。 本記事では、片麻痺による亜脱臼の原因や避けるべき禁忌行為を解説します。リハビリ方法も紹介しているので、片麻痺の亜脱臼に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。 片麻痺と亜脱臼の関係性 肩関節の亜脱臼は、ラグビーやバスケなどの接触が多いスポーツでみられやすいケガです。 しかし、スポーツによるケガだけでなく、脳卒中後の後遺症である片麻痺に伴って生じることがあります。とくに、脳卒中を発症して間もない弛緩性麻痺の時期に起こりやすいとされています。 弛緩性麻痺とは、体を動かそうとしても筋肉がうまく働かず、常に脱力して腕がだらりと垂れ下がってしまう状態です。 肩周りの筋肉が緩むと腕の重さを支えきれなくなり、重力によって腕全体が下方向へ引っ張られます。この持続的な力が肩の関節を正常な位置からずらしてしまい、亜脱臼を引き起こすのです。 また、感覚障害や半側空間無視(脳損傷により片側の空間を認識できなくなる症状)があると、麻痺側の肩が体の下敷きになっていても気づかず、亜脱臼につながる場合もあります。ある研究では、片麻痺の患者様の約35%に肩関節亜脱臼が見られたとの報告もあります。(文献1) 亜脱臼があるからといって必ずしも痛みが出るわけではありません。実際に、亜脱臼のある方の約50%は痛みを訴えないとの報告もあります。(文献2) その他の脳卒中における後遺症についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 【禁忌】片麻痺の亜脱臼でやってはいけない3つの行為 片麻痺によって亜脱臼が起きている場合、やってはいけない行為は以下の3つです。 腕を高く上げすぎる 腕をぶら下げる 腕を無理に引っ張る これらの行為に共通しているのは、肩関節や肩周囲の筋肉に負荷がかかる動きである点です。症状を悪化させないために日常生活でこの3つの行為を避けるよう意識しましょう。 腕を高く上げすぎる 麻痺側の腕を肩より高い位置まで無理に上げすぎる行為は避けるべきです。麻痺の影響で肩周りの筋肉が緩み、関節が不安定な状態になっているためです。 この状態で腕を高く上げると、肩関節が前方に引っ張られ、亜脱臼や脱臼を引き起こす危険性が高まります。 しかし、弛緩性麻痺で肩の亜脱臼を起こしている方は、自力で高く腕を上げられません。そのため、腕を高く上げすぎる動作は、介助者が着替えや洗体などを介助する際に注意が必要です。 腕を動かすときは、痛みや違和感のない範囲にとどめましょう。 腕をぶら下げる 麻痺側の腕をだらりとぶら下げたままにしておくことも、亜脱臼を悪化させる原因です。 とくに弛緩性麻痺の場合、腕の重さを支える筋肉が十分に働かず、立ったり座ったりしている間、常に腕の重みで肩関節が下へ引っ張られます。この状態が長く続くと、肩周りの筋肉や靭帯が伸びてしまい、関節のずれが大きくなる可能性があります。 たとえば、以下のような場合は腕が落ちてしまったり、ぶら下がったりしないようにしましょう。 車いすに座っているとき ベッドで横になっているとき クッションやテーブルの上に腕を置くなど、常に腕を安定した位置に保つ工夫が必要です。 腕を無理に引っ張る 本人だけでなく、家族や介護者の方が麻痺側の腕を無理に引っ張る行為も避けるべきです。 ベッドからの起き上がりや移乗介助の際に、腕をつかんで引っ張ってしまうと、肩関節周囲の組織が伸び、亜脱臼を悪化させる恐れがあります。 介助の際は、肘と手首のあたりを優しく支え、腕全体を肩関節の方へそっと押し込むように意識しながら動かしてください。 また、感覚障害で腕の位置がわかりにくくなっている場合も少なくありません。お腹の上やテーブルの上など、本人の視界に入る場所に腕を置いてあげることで、安心感にもつながります。 片麻痺の亜脱臼に対する4種類のリハビリ 片麻痺に伴う肩関節の亜脱臼に対しては、以下の4種類のリハビリがおこなわれます。 ポジショニング 装具療法 電気治療 運動療法 これらの方法を患者様の状態に合わせて組み合わせ、専門家の指導のもとで進めていくのが一般的です。 ポジショニング|腕を正しい位置に置く ポジショニングは、麻痺側の腕を常に正しい位置に保ち、肩関節に負担をかける禁忌姿勢を避けて関節を保護する基本的なアプローチです。 姿勢ごとのポジショニングのポイントを以下の表にまとめました。 姿勢 ポイント 椅子や車椅子に座っているとき 机やクッションに腕をのせて、だらりと垂れ下がらないようにする 仰向けで寝ているとき 体の横に対して、腕が中央に来るように枕やクッションで高さを調整する 横向きで寝ているとき 抱き枕やタオルなどを使い、腕が体の下敷きになったり、前に落ちたりするのを防ぐ 適切なポジショニングは肩への持続的な負荷を減らすため、亜脱臼の悪化以外に痛みの緩和やむくみの軽減にもつながります。 装具療法|アームスリング固定による疼痛の軽減 装具療法は、三角巾やアームスリングといった装具を用いて、肩関節を安定した位置に固定する方法です。麻痺側の腕が垂れ下がることで生じる亜脱臼の悪化や、それに伴う痛みの増強を防ぐ目的でおこなわれます。 脳卒中治療ガイドライン2021では、スリングは有用な場合もあるものの、その効果は装着している間に限られるとされています。(文献3)長期間の固定は肩や肘を動かす機会を奪うため、関節が硬くなる「拘縮」を招く原因になりかねません。 安易に装具を使用するとリハビリの妨げになる可能性もあるため、自己判断での装着は避けましょう。 理学療法士や作業療法士など専門家の評価のもと、必要な時間や場面を見極めて適切に使用する必要があります。 電気治療|電気刺激による筋の強化 電気治療は、麻痺で動きにくい肩周りの筋肉に電気で刺激を送り、筋肉の収縮を促して再教育を図る治療法です。筋肉の収縮は、肩関節を本来の位置に引き上げる助けとなります。 電気治療では、主に神経筋電気刺激が用いられ、脳卒中治療ガイドライン2021でも、肩関節亜脱臼への神経筋電気刺激は妥当とされています。(文献3) 電気治療はリハビリの一環として、他の運動療法と組み合わせて実施されるのが一般的です。 ただし、片麻痺の亜脱臼に対する神経筋電気刺激は、脳卒中の発症から間もない急性期・亜急性期での有用性は示されたものの、発症後6カ月以降の慢性期では明確な差はなかったとの報告もあります。(文献4) 運動療法|肩関節周囲の筋力強化 運動療法は、肩関節を支える筋力を強化し、関節の安定性を取り戻すための治療法です。 自動運動(自分で動かす運動)や他動運動(他の人に動かしてもらう運動)を通じて、筋力低下を防ぎ、関節が硬くなる拘縮を予防します。 肩関節を支える筋肉の中でインナーマッスルの1つである回旋筋腱板は、上腕骨を肩甲骨に引き付けて安定させる役割を担います。回旋筋腱板をバランスよく鍛えることは、肩の安定性を高めるために欠かせません。 ただし、無理な運動はかえって肩を痛める原因になりかねません。必ずリハビリの専門家の指導のもと、痛みや違和感のない範囲でおこないましょう。 片麻痺の亜脱臼における禁忌事項を把握して悪化を防ごう 片麻痺の亜脱臼に対して、やってはいけない禁忌事項を理解せずにいると、意図せず亜脱臼を悪化させてしまう危険性があります。とくに感覚障害や半側空間無視がある場合は、本人が異変に気づきにくいため家族や介護者の方の正しい知識と協力が欠かせません。 肩関節を本来あるべき位置に保つためにも、専門家の指導のもとでリハビリに取り組み、日頃から腕の位置に気を配って正しい姿勢を心がけましょう。 運動麻痺のような脳卒中の後遺症に対する治療法として再生医療も選択肢の1つです。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 片麻痺と亜脱臼に関するよくある質問 片麻痺の亜脱臼は改善しますか 適切なリハビリテーションの継続は、片麻痺の亜脱臼の改善が期待できる方法の1つです。 たとえば、神経筋電気刺激を受けた患者様は、受けなかった場合よりも亜脱臼の程度が小さくなったとの研究報告が存在します。(文献5)また、麻痺からの回復段階が進むにつれて、亜脱臼の改善が見られたとの報告もあります。(文献6) 専門家と相談しながら、自分の状態に合ったリハビリに取り組んでいきましょう。 亜脱臼を放置するとどうなりますか 片麻痺に伴う亜脱臼を放置すると、さまざまな問題につながる恐れがあります。 まず、時間の経過とともに関節が固まり、元の位置に戻すのが難しくなると考えられます。また、肩周囲の筋肉に負担がかかり続け、肩を支える重要な腱板の断裂を引き起こす可能性も低くありません。 ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例の多くで腱板断裂が合併していたとの報告もあるため、亜脱臼は放置せずに適切な治療を受けましょう。(文献7) 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 参考文献 (文献1) 猪飼哲夫,米本恭三ほか 「脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討-経時的変化について-」 リハビリテーション医学 29 (7) , pp.569-575 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/29/7/29_7_569/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) Leonid Kalichman,Motti Ratmansky 「Underlying pathology and associated factors of hemiplegic shoulder pain」 American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation 90 (9) , pp.768-780 , 2011 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21430513/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会「脳卒中ガイドライン2021[改訂2025]」, 2025年 https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf(最終アクセス2025年6月16日) (文献4) Jae-Hyoung Lee,Lucinda L Bakerほか 「Effectiveness of neuromuscular electrical stimulation for management of shoulder subluxation post-stroke: a systematic review with meta-analysis」 Clinical Rehabilitation 31 (11) , pp.1431-1444 , 2017 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28343442/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献5) Sandra L. Linn,Malcolm H. Granatほか 「Prevention of Shoulder Subluxation After Stroke With Electrical Stimulation」 Stroke 30 (5) , pp.963-968 , 1999 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10229728/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献6) 武富由雄 「脳卒中片麻痺における肩関節の亜脱臼と運動 機能回復段階に関する一考察」 肩関節 16 (2) , pp.218-220 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/16/2/16_218/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献7) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
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「肩の亜脱臼ってどうやって治すの?自分でも治せる?」 「肩を動かすと痛みと違和感がある…これって亜脱臼?」 このような疑問や不安を抱える方は多いでしょう。 結論からお伝えすると、肩の亜脱臼は保存療法・リハビリ・手術などを組み合わせることで治療可能です。 一方で、亜脱臼を自分で治す情報もありますが、関節の損傷や慢性的な肩の不安定性につながるリスクがあります。 リスクを未然に防ぐためにも、正しい治し方を理解しておきましょう。 本記事では、肩関節亜脱臼の症状や治し方、放置したときのリスクについて詳しく解説します。脱臼との違いについても紹介するので、肩の痛みや違和感でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 【基礎知識】肩関節亜脱臼と脱臼の違いについて 亜脱臼とは、肩の関節が正常な位置から部分的にずれた状態を指します。 肩関節の亜脱臼は関節が外れかかった後、自然に元の位置へ戻る場合がある点が大きな特徴です。そのため、「外れかかった」や「抜けかけた」と表現されることもあります。 肩関節の亜脱臼が起きた際には、瞬間的に鋭い痛みや腕が抜けるような感覚を覚えることがあります。 しかし、すぐに肩関節が元の位置に戻るため、肩がはっきりと外れたといった自覚がないケースも少なくありません。自分では亜脱臼だと気づかず、肩の違和感やだるさとして感じている場合もあります。 一方で、脱臼とは肩関節が本来の位置から完全に外れてしまった状態を指します。 ケガによって生じる肩関節の脱臼の多くは、腕の骨である上腕骨が肩の前方へ外れるタイプです。とくに以下のようなコンタクトスポーツで発症しやすい傾向にあります。 柔道 ラグビー アメリカンフットボール 亜脱臼は脱臼に比べて症状が軽く、気づかないケースも少なくありません。しかし、亜脱臼を放置すると症状の悪化や別の疾患に移行する可能性があるため、早期に治療する必要があります。 肩関節亜脱臼の治し方|全治までの期間も紹介 肩関節の亜脱臼の治療には主に以下の3つの方法が挙げられます。 保存療法 リハビリ 手術 保存療法とリハビリを中心にした治療が一般的です。しかし、これらの方法で状態がよくならない場合や、脱臼を繰り返す場合には手術が検討されます。 それぞれの治療方法を見ていきましょう。 保存療法|徒手整復と固定 亜脱臼によって肩関節が外れかかった際は、まず専門家による徒手整復(手技により関節を元の位置に戻す処置)がおこなわれます。患者様を仰向けに寝かせた状態で腕をゆっくりと持ち上げていく方法は、痛みが少なく、関節を整復できると知られています。 整復後は再脱臼を防ぐため、肩関節の固定が必要です。固定期間について明確なエビデンスはありませんが、患者の年齢や損傷程度に応じて1〜3週間おこなうケースが一般的です。 また、内旋位固定(従来の三角巾による固定)は、再発の可能性が高いと指摘されています。ある研究では、内旋位固定での再発率が42%であったのに対し、外旋位固定(気をつけの姿勢から、肘を直角に曲げ、脇を少し開いた状態で固定)では26%であったとの報告があります。(文献1) そのため最近では、肩を少し外に開いた状態で固定する外旋位固定を推奨する病院も少なくありません。 リハビリ|インナーマッスルや肩甲骨周囲 一定期間の固定が終了した後は、肩関節の機能回復を目的としたリハビリを開始します。リハビリは自己判断でおこなうと、痛みの悪化や他の筋肉を損傷する恐れがあるので、必ず医師や専門のリハビリスタッフの指導のもとで進めましょう。 適切なリハビリテーションは、肩関節の以下の能力を改善させ、安定性の獲得に大きく寄与すると報告されています。(文献2) 筋力 可動域 深部感覚 まずは硬くなった関節の可動域を広げる訓練から始め、痛みのない範囲での振り子運動から慎重に進めていきます。その後、状態を見ながら徐々に肩の安定性を高めるための筋力トレーニングへ移行します。 肩関節の安定性を高めるためには、インナーマッスル(回旋筋腱板)や、肩甲骨の動きに関わる周囲の筋肉をバランス良く鍛えるのが重要です。 回復の程度によりますが、スポーツへの復帰の目安はノンコンタクトスポーツ(テニスやゴルフなど、身体接触のないスポーツ)で4~6カ月、コンタクトスポーツ(バスケやラグビーなど、身体接触があるスポーツ)で6~8カ月と報告されています。(文献3) 手術|反復性肩関節脱臼の場合 保存療法やリハビリテーションをおこなっても、脱臼や亜脱臼を繰り返してしまうケースがあります。このように脱臼が習慣化してしまった「反復性肩関節脱臼」の状態では、手術も選択肢の1つです。 手術の目的は、脱臼の際に損傷した組織を修復し、肩関節の構造的な安定性を取り戻すことです。 現在おこなわれている手術では、損傷した関節唇と呼ばれる軟骨組織を修復する「鏡視下Bankart(バンカート)法」が選択されることが多くなっています。この手術は、関節鏡を用いるため小さな傷で済み、体への負担が少ない点が特徴です。 脱臼に対する手術の種類については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。 肩関節の亜脱臼は自分で治せるのか? 肩の関節が外れかかった際、自然に元の位置へ戻ることもあります。このため「自分で治せるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、自分で関節を戻そうとする行為はおこなわないでください。 無理に関節を動かしたり、入れようとしたりすると、肩の周囲にある重要な神経や血管を傷つけてしまう恐れがあります。また、肩を支えるインナーマッスルである腱板を新たに損傷する原因にもなりかねません。 たとえ痛みがおさまり、自然に関節が戻ったように感じられたとしても、見えない部分で骨や軟骨が傷ついている可能性も考えられます。肩に違和感を覚えた際は自己判断で対処せず、必ず整形外科などの専門的な医療機関を受診しましょう。 肩関節の亜脱臼を放置するリスク 肩関節の亜脱臼は、自然に戻ることがあるため軽視されがちですが、放置するとさまざまなリスクを伴います。 その理由は、時間が経過すると周囲の筋肉が硬直してしまい、関節を元の位置に戻すのが難しくなるためです。場合によっては、麻酔をかけて整復処置をおこなわなければならないケースもあります。 また、一度損傷した関節の支持組織は緩み、肩が不安定な状態になりやすいです。その結果、わずかな動作で再脱臼や亜脱臼を繰り返す「反復性肩関節脱臼」に移行しかねません。このような状態は以下のような症状を引き起こすリスクを高めます。 慢性的な痛み 関節の変形 神経損傷 とくに、脱臼を繰り返すと肩を支える腱板を損傷する可能性が大きくなります。ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例22例のうち、19例で腱板断裂が認められたとの報告もあります。(文献4) 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 肩関節亜脱臼の治し方を知って適切な治療を進めよう 肩関節の亜脱臼は、関節が外れかかった状態を指し、自然に戻るため自分では気づかないケースも少なくありません。 しかし、一度起きた亜脱臼を放置すると、脱臼が習慣化して症状が悪化し、将来的には手術が必要となる可能性もあります。 肩関節亜脱臼の主な治療法は以下の3つです。 徒手整復や固定による保存療法 可動域訓練と筋力トレーニングによるリハビリ 保存療法とリハビリでも効果が見られない場合の手術の検討 肩に抜けそうな感覚や痛み、違和感を少しでも覚えた際は、自己判断で済ませずに専門の医療機関を受診してください。医師による診断のもと、自分の状態に合った治療を進めましょう。 肩の亜脱臼はスポーツ外傷としてもよく見られますが、スポーツで筋肉や靭帯を損傷した場合は、再生医療の選択肢も考えられます。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 肩関節亜脱臼と治し方に関するよくある質問 亜脱臼の痛みはどのくらい続きますか 肩関節亜脱臼や脱臼の痛みが続く期間は、関節が外れた程度によって異なります。 関節が外れかかった状態である亜脱臼の場合、痛みは1週間程度で落ち着くのが一般的です。一方で、関節が完全に外れてしまった脱臼の場合は、整復をおこなった後も2〜3週間ほど痛みが続くことがあります。 いずれの場合も、受傷後の1〜3週間程度は症状を悪化させないために安静を保ちましょう。痛みが強い際には、医師の判断のもとで痛み止めの薬を使用する場合もあります。 ただし、痛みの感じ方には個人差があるため、症状が長引く場合は必ず医療機関に相談してください。 肩の脱臼は動かせますか 肩関節が完全に脱臼した場合、自分で腕を動かすのは困難です。 脱臼の瞬間から激しい痛みに襲われ、腕をほとんど持ち上げられなくなったり、特定の位置から動かせなくなったりします。 このような状態で無理に動かそうとすると、かえって状態を悪化させる危険が伴います。肩の周囲を通っている重要な血管や神経を新たに傷つけてしまい、しびれなどの後遺症が出る可能性も否定できません。 たとえ亜脱臼で動かせるように感じても、自己判断で動かすのは避けるべきです。肩に異常を感じたら、動かさずにできるだけ早く専門の医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 井樋栄二 「最新原著レビュー:肩関節脱臼後の外旋位固定は再脱臼率を低下させる−無作為化比較試験」 整形外科 61 (4) , pp.378-380 , 2010年 https://www.pieronline.jp/content/article/0030-5901/61040/378 (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) 尼子雅敏,田村吏沙 「肩関節脱臼の治療戦略とリハビリテーションの役割」防医大誌 47 (1) , pp.1-10 , 2022年 https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2022/03/47-1_001-010.pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 岩堀 裕介,花村 浩克ほか 「スポーツ選手の反復性肩関節前方脱臼の術後リハビリテーション」特集『より安全なスポーツ復帰をめざすリハビリテーション診断・治療』56 (10) , pp.752-763 , 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/10/56_56.752/_article/-char/ja/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献4) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
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肩関節の脱臼は、スポーツや転倒などで発生する一般的な外傷です。 繰り返す脱臼に悩む場合、手術治療が検討されますが、「どんな後遺症があるのか」「リハビリはどのくらい必要か」といった不安を抱える方も多いでしょう。 本記事では、肩脱臼手術の種類や後遺症リスク、リハビリ期間、そして日常生活への復帰に関する情報をわかりやすくご紹介します。 手術を検討されている方や、これから手術を受ける予定の方は参考にしてください。 しかし、「脱臼を繰り返してしまう」「痛みや不安定感が残っている」といった後遺症に悩まされる方は、再生医療も選択肢の一つになります。 \肩関節脱臼の後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を肩の関節や靭帯に注射し、損傷した組織の修復を促すことで、自然治癒力を高め、機能回復を後押しします。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 肩脱臼手術後に発症しやすい主な後遺症 肩脱臼手術は、脱臼癖のある肩関節を安定させるための有効な治療法ですが、どんな手術にも後遺症が生じる可能性があります。 手術の成功後も、後遺症が発生する可能性について事前に理解しておきましょう。 ここでは、肩脱臼手術後に起こりうる主な後遺症と、対処法について解説します。 痛みの発生 再脱臼・不安定感 感染症 痛みの発生 手術方法が関節鏡を使った低侵襲なものであっても、手術後にはある程度の痛みを感じることがあります。これは手術による組織の修復過程で生じる自然な反応です。 痛みの程度には個人差がありますが、多くの場合、適切な痛み止めによって和らげることができます。医療機関では、以下の治療および内服薬の処方を行っています。 神経ブロック注射 点滴 退院後の内服薬 など 痛みは通常、時間の経過とともに徐々に軽減していきますが、強い痛みが続く場合は担当医に相談しましょう。 また、リハビリテーションの進行に合わせて痛みの性質も変化する場合があります。 急性期の痛みが落ち着いた後も、筋肉や関節を動かすことで一時的に痛みが出ることもありますが、これは回復過程の一部であることが多いです。 適切な痛み止めの使用と、無理をしない範囲でのリハビリにより、痛みをコントロールしながら回復を目指しましょう。 再脱臼・不安定感 肩脱臼手術の主な目的は関節の安定性を取り戻すことですが、手術後にも再脱臼のリスクや不安定感を感じる場合があります。 術後1年以内の再脱臼は約10%といわれており、とくに手術で再建した靭帯がまだ十分な強度を獲得していない回復初期には注意が必要です。(文献1) この時期に無理な動作や過度なスポーツ活動を行うと、再脱臼を引き起こす可能性があります。関節の安定性を回復し再脱臼を防ぐためには、医師の指示に従って適切なリハビリテーションを行うことが重要です。 手術後は再建された組織が成熟する重要な時期であり、指示された範囲を超える動作は避ける必要があります。回復期間中は、肩に負担をかけない寝方や日常生活での動作の工夫も大切です。 感染症 手術部位の感染は稀ではありますが、起こり得る合併症の一つです。統計的には手術全体のおよそ0.1%の頻度で発生するとされています。(文献1) 感染の兆候としては、手術部位の著しい腫れや赤み、熱感、痛みの増加、発熱などがあります。感染症が疑われる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。感染の程度によっては、抗生物質の投与だけでなく、再手術による洗浄などの処置が必要となる場合もあります。 肩脱臼手術の種類と後遺症リスクについて 繰り返す脱臼に悩む方には、手術による治療が検討されます。 現在、肩脱臼に対していくつかの手術法が確立されており、一人ひとりの状態や活動レベルに応じて適した方法が選択されます。 それぞれの手術には特徴と後遺症リスクがありますので、手術を検討する際の参考にしてください。 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 肩脱臼の手術として最も一般的に行われているのが、この関節鏡下関節唇形成術(Bankart法)です。関節鏡という細い内視鏡を使用して行われるため、皮膚の切開が小さく済み、術後の回復も比較的早いといった利点があります。 具体的な手術方法としては、関節窩(肩甲骨のくぼみ部分)の端にアンカーと呼ばれる特殊なネジや糸の塊を埋め込み、そこから伸びる糸を損傷した関節唇(関節の縁にある軟骨)に通して結ぶことで、関節の安定性を回復させます。 しかし、どんな手術にもリスクはあり、この場合は周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性や、手術後も再脱臼してしまうリスクが存在します。(文献2) 完全な回復には時間がかかり、リハビリテーションは通常6〜12カ月程度必要とされます。(文献3)この期間中はリハビリの進行度合いに合わせて、徐々に日常生活やスポーツ活動へ復帰していくことになります。 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) この手術法は、Bankart法を行った後にも再脱臼してしまったケースや、ラグビーや格闘技などの接触性の高いスポーツをする方など、脱臼リスクが通常より高い患者様に適応されることが多いです。 肩甲骨の突起である烏口突起と、そこにつく共同腱(烏口腕筋腱と上腕二頭筋短頭腱)を肩甲骨関節窩の前方に移行させることで、強力な物理的なストッパーとして機能させる方法です。再脱臼の予防に非常に効果的であり、多くの場合全身麻酔下で行われます。 一般的なリスクとして、手術後に移行した烏口突起の骨がうまく定着しないケースや、周辺の神経や血管の損傷リスクも考慮しなければなりません。 術後のリハビリテーションは4〜10カ月程度必要とされ、肩の機能回復とともに段階的に活動レベルを上げていきます。(文献3) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法はBankart法に追加して行われる補助的処置で、再脱臼のリスクをさらに減らすことを目的としています。 腱板疎部閉鎖術は、肩甲下筋腱と棘上筋腱の間にある比較的薄い膜(腱板疎部)を縫い縮めることで、肩関節前方の圧力を高め、前方への脱臼を防ぐ効果があります。 レンプリサージ法は、上腕骨頭の後ろ側にできた陥没部分(ヒルサックス病変)を後方の腱板で埋めるように縫い付ける方法です。骨頭の陥没部分を埋めることで、関節窩の縁がひっかかって脱臼を起こすリスクを減らします。 追加処置を行っても完全に再脱臼リスクがなくなるわけではなく、統計的には約7.5%の確率で再発の可能性があるとされています。(文献4) 肩脱臼手術後のリハビリ期間と内容 肩脱臼手術の成功には、適切なリハビリテーションが不可欠です。手術によって修復された組織を保護しながら、段階的に肩の機能を回復させていくことが重要となります。 リハビリの進行は回復状況や手術の種類によって異なりますが、一般的には以下のような期間と内容で進めていきます。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ それぞれの時期に適した運動と生活上の注意点を理解し、焦らずに回復を目指しましょう。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 手術直後から1カ月間は、手術部位の保護と炎症の軽減がもっとも重要な時期です。この期間は、肩関節を安静に保つために専用の装具(アームスリングなど)を装着して固定します。過度な動きは避け、傷の治癒と炎症の改善を促進することが目的となります。 リハビリの内容は以下のとおりです。 手首や肘、指などの周辺関節の可動域を維持するための軽いエクササイズ 肩の痛みを軽減するためのアイシング むくみを防ぐためのポジショニング など 基本的に安静が中心ですが、デスクワークなどの軽作業は医師の許可があれば可能になることもあります。ただし、装具を外しての作業や重いものを持つなどの負荷をかける動作は避ける必要があります。傷の状態や痛みの程度を観察しながら、医師やリハビリ専門家の指導のもとで無理のない範囲で活動を行いましょう。 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 手術から1カ月が経過すると、徐々に肩の動きを回復させていく時期に入ります。主な目的は、関節可動域の改善と筋力の回復です。医師の判断により装具を外し始め、より積極的なリハビリを開始します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 肩関節の前方・後方・側方への可動域訓練 肩甲骨周囲の筋肉のトレーニング など 初期は他動的な運動(理学療法士などが補助して行う運動)から始め、徐々に自動運動へと移行していくでしょう。軽い抵抗をかけた筋力トレーニングも導入され、肩の安定性を高めるための回旋筋腱板の強化が重視されます。 この時期になると、日常生活動作のほとんどが可能になり、軽負荷のスポーツや作業にも徐々に復帰できるようになってきます。ただし、投げる動作や腕を頭上に挙げる動作など、肩に大きな負荷がかかる活動はまだ控えなければなりません。 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ 術後3カ月を過ぎると、より機能的なリハビリに移行していく時期です。この期間の主な目的は、肩関節の安定性向上とアジリティ(素早く正確に動かす能力)の回復です。可動域訓練をさらに進め、ほぼ全方向への動きを回復させることを目指します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 より高負荷の筋力トレーニング 肩関節の協調性を高めるためのエクササイズ など スポーツ選手の場合は、競技特異的な動作の練習も徐々に取り入れていくでしょう。投球動作や水泳のストロークなど、肩に負担のかかる動きを段階的に練習し、パフォーマンスの回復を図ります。 この時期になると、多くの患者様がスポーツや重労働への完全復帰を目指せるようになります。 まとめ|後遺症なく日常へ戻るために 肩脱臼の手術後、後遺症なく日常生活やスポーツに復帰するためには、いくつかの重要なポイントがあります。 まず、手術が本当に必要かどうかの適応を正確に見極めることが大切です。 脱臼の頻度や重症度、年齢、活動レベルなどを考慮し、専門医との十分な相談を通じて判断してください。 次に、一人ひとりの状態に適した術式の選択も重要です。関節鏡下関節唇形成術や烏口突起移行術など、それぞれの手術法の特徴とリスクを理解した上で手術に臨みましょう。術後は時期に応じた計画的なリハビリテーションを着実に実施しなければなりません。 しかし従来の治療やリハビリでは十分な改善が得られなかった方には、再生医療も新たな選択肢として注目されています。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 肩脱臼の手術後の後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 肩脱臼手術の後遺症に関するよくある質問 肩脱臼の手術の成功率は? 肩脱臼手術の成功率は一般的に90〜95%と高い数値が報告されています。(文献5) これは「再脱臼を防止できる確率」を示しており、多くの患者様が安定した肩関節を取り戻せることを意味します。成功率は年齢、活動レベル、手術方法、リハビリへの取り組みによって変動もありますが、適切な術後ケアにより満足のいく結果につながることが多いです。 肩脱臼の手術をした後はどうなるのか? 手術後は肩の安静と保護のため、アームスリングなどの装具の装着が必要です。固定期間後、医師の指導のもと徐々に可動域訓練を開始し、その後段階的に筋力トレーニングも取り入れていきます。 リハビリは術式により4~12カ月継続し、肩の機能回復を図ります。(文献5) 参考文献 文献1 社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院「鏡視下関節形成術(鏡視下バンカート修復術)」 https://www.matsunami-hsp.or.jp/iryou_jyohou/info/hanpuku/ (最終アクセス:2025年5月15日) 文献2 CiNii「鏡視下バンカート修復術の術後5年以上の長期成績」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1390852174974630144 (最終アクセス:2025年5月15日) 文献3 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日) 文献4 J-STAGE「Remplissage法を補強として用いた鏡視下Bankart修復術の手術成績」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/41/3/41_683/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月15日) 文献5 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう) 」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_katakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日)
2025.05.21 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「マッサージを受けても、すぐに肩こりがぶり返す」「痛みがひどくて仕事に集中できない」とお悩みではありませんか。 ひどい肩こりは、単なる疲労ではなく、姿勢や生活習慣、ストレスなど複数の要因が重なって起こる場合が多いです。そのため、原因を正しく理解し、ご自身に合った対処法を選ぶことが改善への近道です。 本記事では、ひどい肩こりが起こる原因から、自宅でできるセルフケア、医療機関での治療選択肢まで詳しく解説します。つらい肩こりを根本から改善するために、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩こりでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ひどい肩こりが起こる原因 ひどい肩こりを改善するためには、まず原因を知ることが重要です。原因がわかれば、効果的な対処法を選びやすくなります。 肩こりの主な原因は、以下の5つです。 長時間の同じ姿勢による筋緊張 猫背やストレートネックによる負担 運動不足による血行不良 冷えによる筋肉のこわばり ストレスと自律神経の乱れ それぞれ詳しく解説します。 長時間の同じ姿勢による筋緊張 デスクワークやスマートフォンの操作など、同じ姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉が緊張し続けます。筋肉が緊張した状態が続くと血流が悪化し、疲労物質や老廃物がたまりやすくなります。 その結果、筋肉が硬くなり、こりや痛みが生じるのです。 とくに、肩甲骨周囲の筋肉が動かない状態が続くと、肩全体の動きが制限され、肩こりが慢性化しやすくなります。1時間に1回は席を立ち、肩を回すなどの軽い動作を取り入れることが大切です。 猫背やストレートネックによる負担 猫背やストレートネック(首のカーブが失われた状態)は、首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、肩こりの原因となります。 成人の頭の重さは約4〜6kgあります。正しい姿勢であれば、背骨全体で支えられますが、頭が前に出た姿勢では、首や肩の筋肉だけで頭を支えなければなりません。 結果的に筋肉の緊張が常態化し、慢性的な肩こりにつながります。日頃から正しい姿勢を意識することが、肩こり予防の基本です。 運動不足による血行不良 運動不足になると筋肉量が低下し、血液を送り出すポンプ機能が弱まります。血行が悪いと筋肉が固まって痛みが出やすくなるため、肩こりが慢性化しやすくなります。 ウォーキングや軽いストレッチなど、日常的な体を動かす習慣が、肩こり予防に効果的です。 冷えによる筋肉のこわばり 体が冷えると血管が収縮し、血流が低下します。血流が悪くなると筋肉に酸素や栄養が行き届かなくなり、筋肉がこわばりやすくなります。 とくに、冷房の効いた室内で長時間過ごす方や、冬場に肩や首を露出する服装をしている方は、肩こりが悪化しやすいです。 冷えを感じやすい方は、「カーディガンやストールで肩を温める」「入浴で体を温める」などの対策が有効です。 ストレスと自律神経の乱れ 精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、筋肉の緊張を高めます。交感神経(体を活動・緊張状態にする神経)が優位な状態が続くと、肩や首の筋肉に力が入りやすくなり、肩こりが悪化しやすくなります。 ストレスが原因の肩こりは、マッサージだけでは改善しにくい場合があります。十分な睡眠やリラックスできる時間を確保し、ストレスを溜め込まない工夫を心がけましょう。 【簡易診断】ひどい肩こりの重症度をチェック 肩こりの症状は人によって異なります。以下の表で、ご自身の症状の重症度を確認してみましょう。 重症度 主な症状 該当する症状例 推奨される対処法 軽度 ・肩の張り ・軽い疲労感 ・デスクワーク後に肩が重い ・もみほぐすと楽になる セルフケア(ストレッチ・マッサージ)で改善可能 中度 ・持続的なこり ・動かしにくさ ・朝起きても肩が重い ・首を回すと痛みがある ・頭痛を伴う セルフケアと生活習慣改善を推奨。改善しなければ医療機関受診を検討 重度 ・強い痛み ・日常生活への支障 ・痛みで眠れない ・腕にしびれがある ・吐き気を伴う 医療機関での受診を検討すべき 軽度であればセルフケアで改善が期待できますが、中度以上の症状が続く場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。 ひどい肩こりを改善するためのセルフケア 軽度から中度の肩こりであれば、セルフケアで症状の改善が期待できます。ここでは、自宅で実践できる4つのセルフケア方法を紹介します。 マッサージ療法 運動療法(ストレッチ) 温熱療法 生活習慣の改善 それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 マッサージ療法 セルフマッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善する目的で行います。 肩こりに効果的なセルフマッサージの方法は、以下のとおりです。 右手で左肩の筋肉(僧帽筋)を軽くつかむ 痛気持ち良い程度の力で、ゆっくりともみほぐす 首の付け根から肩先に向かって、少しずつ位置をずらしながら行う 30秒〜1分ほど続けたら、反対側も同様に行う なお、強く押しすぎると筋肉を傷める可能性があるため、「痛気持ち良い程度」の力加減を意識しましょう。 また、マッサージはあくまで一時的な対処です。根本的な改善を目指したいのであれば、姿勢の見直しや運動習慣の改善を心がけましょう。 運動療法(ストレッチ) 肩や肩甲骨まわりを動かすストレッチは、血流改善と筋肉の柔軟性向上に効果が期待できます。 具体的な肩甲骨まわりのストレッチ方法は、以下を参考にしてください。 両肩を前後に大きく回す 両手を肩に当てて、円を描くように動かす 肩をすくめた後、ストンと落とす ストレッチは日々の継続が重要です。また、入浴後など「体が温まっているタイミング」で行うと効果的です。 ただし、痛みが強い場合は無理をせず、症状が落ち着いてから行ってください。 温熱療法 肩周りを温めると血管が拡張し、血流が改善されます。血流が良くなると、筋肉に酸素や栄養が届きやすくなり、こわばりが緩和されます。 温熱療法の方法は、以下のとおりです。 方法 やり方 ポイント 入浴 38〜40℃程度のお湯に15〜20分つかる 肩までしっかり浸かる 蒸しタオル 濡らしたタオルを電子レンジで1分ほど温め、肩に当てる やけどに注意し、心地良い温かさで使用 温熱シート 市販の温熱シートを肩に貼る 長時間の使用は低温やけどに注意 ただし、肩に熱感や腫れがある場合は、炎症が起きている可能性があります。その場合は温めずに冷やし、医療機関を受診してください。 生活習慣の改善 肩こりの根本的な改善には、日常生活の見直しが欠かせません。以下の表を参考に、改善策を試してみてください。 改善項目 具体的な対策 姿勢 ・デスクワーク時はモニターの高さを目線に合わせる ・椅子に深く座る 作業環境 1時間に1回は席を立ち、軽いストレッチを行う 睡眠 7〜8時間の睡眠を確保し、自分に合った高さの枕を使用する 運動 ウォーキングや軽い体操など、日常的に体を動かす習慣をつける なお、セルフケアを続けても改善しない場合は、別の原因が隠れている可能性があります。2週間以上症状が続く場合は、医療機関への受診を検討しましょう。 ひどい肩こりが改善しない場合の治療選択肢 セルフケアを続けても改善しない場合は、医療機関での治療が検討されます。ここでは、医療機関での代表的な治療法を2つ紹介します。 薬物療法 注射療法 それぞれの治療法を詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法は、痛みや筋肉の緊張を和らげる目的で行われます。医療機関では、症状に応じて以下のような薬が処方されます。 薬の種類 特徴 非ステロイド性消炎薬 (NSAIDs) いわゆる「痛み止め」で、とくに急性期の痛みに効果がある。飲み薬、湿布、坐薬などがある 筋弛緩薬 (きんしかんやく) 筋肉のこわばりを抑える薬。NSAIDsと一緒に処方されることが多い ビタミンB製剤 神経の修復を助ける目的で処方される 血流改善薬 血流を改善し、筋肉への酸素や栄養の供給を促す (文献1) なお、薬物療法は症状を和らげる対症療法であり、根本的な原因を解決するものではありません。医師の指示に従い、適切に使用することが大切です。 注射療法 肩こりの症状が強い場合や、セルフケアで改善しない場合は、神経ブロック注射が検討されるケースがあります。(文献1) 神経ブロック注射は、肩こりの原因と考えられる箇所の神経やその周辺に、麻酔薬やステロイドホルモンを注射する治療法です。 痛みやこりを一時的に和らげ、「痛み→筋肉の緊張→血行不良→さらなる痛み」という肩こりの悪循環を断ち切る効果が期待できます。 ただし、注射療法はすべての肩こりに適応されるわけではありません。医師の診察を受け、症状に応じて適切な治療法が選択されます。 ひどい肩こりは別の病気が関係していることもある セルフケアや一般的な治療で肩こりが改善しない場合、筋肉以外の問題が原因となっている可能性があります。 「肩こりの背景に隠れていることがある疾患」には、以下のようなものがあります。 疾患名 特徴 頚椎椎間板ヘルニア (けいついついかんばん) 首の椎間板が飛び出し、神経を圧迫する。腕のしびれや痛みを伴うことがある 頚椎症性神経根症 (けいついしょうせいしんけいこんしょう) 加齢により頚椎が変形し、神経を圧迫する。肩から腕にかけての痛みやしびれが特徴 四十肩・五十肩 (肩関節周囲炎) 肩関節の炎症により、動かすと強い痛みが生じる。腕が上がらなくなることもある このような疾患が原因の場合、セルフケアや対症療法だけでは十分な改善が難しいことがあります。そのため、医療機関を受診し、精密な検査を受けることが大切です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、手術をしない選択肢として「再生医療」を提供しています。再生医療とは、患者様ご自身の細胞が持つ「組織を修復する働き」を利用した治療法です。 肩こりが長期間改善しない方や、上記のような疾患と診断された方は、再生医療も選択肢の一つとして検討してみてください。 また、以下の記事では「頚椎椎間板ヘルニア」の症例を紹介しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|ひどい肩こりは原因に合った治し方を選ぶことが重要 本記事では、ひどい肩こりの原因から、セルフケア、医療機関での治療選択肢まで解説しました。 ひどい肩こりの原因は、姿勢や運動不足、ストレスなど人によって異なります。まずはセルフケアで改善を試み、それでも症状が続く場合は医療機関への受診を検討しましょう。 ご自身の症状や原因に合った対処法を選ぶことが、肩こり改善への近道です。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供や簡易オンライン診断を行っております。 肩こりでお悩みの方は、ぜひご登録ください。 ひどい肩こりに関するよくある質問 ひどい肩こりはマッサージだけで治る? マッサージは筋肉の緊張を和らげ、一時的に症状を軽減する効果があります。ただ、姿勢や生活習慣が改善されなければ、肩こりは再発しやすいです。 マッサージはあくまで対症療法の一つです。根本的な改善には姿勢の見直しや運動習慣の改善、場合によっては医療機関での治療が必要になることもあります。 なかなか治らない肩こりにお悩みの方は、医療機関への受診を検討してみてください。 ひどい肩こりで頭痛や吐き気がある場合は病院に行くべき? 頭痛や吐き気を伴う肩こりは、筋肉の緊張だけでなく、神経の圧迫や血行不良が関係している可能性があります。 とくに、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 頭痛が頻繁に起こる、または強くなっている 吐き気やめまいを伴う 腕や手にしびれがある 市販薬を飲んでも改善しない 放置すると症状が悪化する可能性があるため、自己判断せず専門医への相談をおすすめします。 ひどい肩こりは何科を受診すればいい? 肩こりの受診先は、症状によって異なります。受診先の判断に迷った際は、以下の表を参考にしてください。 症状 受診すべき診療科 肩や首のこり・痛み 整形外科 頭痛やめまいを伴う 整形外科または神経内科 ストレスや不眠が原因と思われる 心療内科 迷った場合は、まずは整形外科への受診をおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの検査で骨や筋肉の状態を確認し、適切な治療法を提案してもらえます。 参考文献 (文献1) わかりやすい病気のはなしシリーズ「肩こり」|一般社団法人「日本臨床内科医会」
2025.02.09 -
- 肩関節、その他疾患
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「腕が上がらない」 「服を脱いだり、洗髪したりするのがつらい」 その症状、四十肩と呼ばれる肩の疾患かも知れません。しかし、この症状を四十肩と呼ぶ人もいれば、五十肩という人も一定数います。 本記事では、現役医師が四十肩と五十肩の違いを紹介し、原因や治療法についても詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の違和感に悩みのある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 四十肩と五十肩の違い 「四十肩」「五十肩」は発症年齢による呼び分けに過ぎず、医学的には同一の疾患です。正式には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩関節周囲の靭帯や腱などに炎症や拘縮が生じ、痛みや可動域制限を起こします。 40代で発症すれば四十肩、50代なら五十肩と呼ばれますが、実際は30代や60代でも起こります。 ただし、肩の痛みが必ずしも肩関節周囲炎とは限りません。腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、頸椎疾患など類似症状の疾患もあるため、自己判断せず医療機関で診断を受けることが大切です。 四十肩・五十肩の症状 症状 詳細 肩の可動域が制限され日常動作が困難になる 腕が上がらない状態、服の着脱・洗髪・背中に手を回す動作の困難 夜間や安静時にも症状が強く出る 夜間痛による睡眠障害、安静時にも続くズキズキした痛み 症状は数カ月から1年以上続くこともある 回復まで長期化する経過、痛み期から拘縮期へ移行する可能性 四十肩・五十肩は、肩関節周囲の炎症や拘縮により、腕が上がらない、背中に手が回らないなど可動域が制限され、日常動作に支障をきたします。 夜間や安静時にも痛みが強く出やすく、睡眠の質が低下することもあります。経過は長引きやすく、症状が数カ月から1年以上続く場合もあるため、早めの評価と治療が不可欠です。 以下の記事では、ズキズキと痛い肩の症状について詳しく解説しています。 肩の可動域が制限され日常動作が困難になる 項目 内容 動きが狭くなる理由 炎症による関節のこわばり、関節包の硬化や癒着 制限されやすい動作 腕を上げる動作、腕を後ろに回す動作、肩を外に開く動作 困りやすい場面 洗髪や整髪の不自由、着替えの困難、高所作業の困難、運転や持ち上げ動作の負担増 特徴的なポイント 自分で動かす動作の制限、自動可動域だけでなく、受動可動域も制限されることがある (文献1) 四十肩・五十肩では、肩関節周囲の炎症により関節が固くなり、腕を上げる、後ろに回す、外へ開く動きが制限されます。進行すると関節包が癒着し、可動域の低下が強まることがあります。 自分で動かせる範囲だけでなく、他人に動かされても動きに制限が出る点が特徴です。日常生活では洗髪や着替え、運転などで支障が出やすくなります。 夜間や安静時にも症状が強く出る 四十肩・五十肩では、肩関節周囲の炎症により、夜間や安静時に痛みや不快感が目立つことがあります。寝つきにくい、夜中に目が覚めるなど睡眠が妨げられ、痛みをかばう姿勢により睡眠の質が低下しやすいのが特徴です。 腕を動かしていない状態でも違和感が続き、座っているだけでもつらいことがあります。寝返りの際に肩へ負担がかかり、痛む側を下にすると圧迫が加わって症状が強まる場合もあります。 ただし、夜間痛は腱板断裂や石灰沈着性腱板炎でも起こり得るため、急に痛みが強くなった場合やきっかけが明確な場合は、医療機関で評価を受けましょう。 症状は数カ月から1年以上続くこともある 四十肩・五十肩は、肩関節まわりの炎症や関節包の硬さが関与するため、短期間で治りきる疾患ではありません。 症状は段階的に変化し、痛みが強い時期から動きの制限が中心となる時期を経て、ゆっくり回復していくことが一般的です。 個人差はあるものの、回復までに数カ月から1年以上かかることもあり、海外の医療機関の患者向け情報では、全体として1〜3年程度で軽快すると説明されることがあります。 また、公的医療情報でも回復まで年単位になる可能性が示されています。症状が落ち着いてきても、医師の指示に沿ったリハビリの継続が重要です。(文献3) 四十肩・五十肩の原因 原因 詳細 加齢による肩関節の変化 腱や靱帯など軟部組織の変性、関節周囲組織の柔軟性低下 炎症と拘縮の進行 関節周囲炎症による痛み、関節包の肥厚と癒着による可動域低下 肩の使い過ぎや固定が引き金になる 反復動作による負担蓄積、痛み回避による不動化と硬さの進行 糖尿病などの基礎疾患や外傷後に発症 糖尿病に伴う発症リスク増加、転倒や骨折後の二次的な拘縮 四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周囲に炎症が起こり、痛みや動きの制限が生じる状態です。 肩関節周囲炎は、肩関節を包む関節包と呼ばれる組織が炎症を起こし、厚く縮んでしまうことが原因で起こります。 風船がしぼんで硬くなるように、関節包が硬く縮むことで肩関節の動きが制限されます。 炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着を起こし、食品ラップ同士がくっつくような状態になるため、注意が必要です。 加齢による肩関節の変化 四十肩・五十肩は40代以降に多く、加齢による骨・軟骨・靱帯・腱の変性で肩周囲の柔軟性が低下し、日常動作でも微細損傷が起こりやすくなることが発症に関与します。 その結果、肩関節周囲に炎症が生じて痛みや動かしにくさが現れ、炎症が関節包に及ぶと肥厚・硬化により可動域制限が強まり、癒着が進めば拘縮(凍結肩)となって回復が長引くことがあります。 加齢変化は誰にでも起こるため、明確なきっかけがないまま発症するケースも少なくありません。 以下の記事では、更年期の肩こりについて詳しく解説しています。 炎症と拘縮の進行 四十肩・五十肩は肩関節周囲の炎症で発症し、炎症が強い時期は動作時だけでなく夜間や安静時にも痛みが出やすく生活に支障を来すことがある疾患です。 炎症が長引くと関節包が硬くなりやすく、肩関節を包む関節包の組織が肥厚・硬化して、徐々に肩の可動域が狭くなります。 海外の整形外科情報でも、炎症が主体の時期から硬さが目立つ時期へ移行する経過が示されています。(文献4) 拘縮が進むと、痛みが落ち着いても肩の硬さが残って腕を上げる・後ろに回す動作が困難となり回復に時間がかかるため、異変を感じた場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肩の使い過ぎや固定が引き金になる 肩関節は可動域が大きく、仕事や家事など日常動作で頻繁に使われるため、同じ動作の繰り返しで肩関節周囲に負担が蓄積し、炎症が起こりやすくなります。四十肩・五十肩は加齢変化が背景にあるため、こうした使い過ぎがきっかけとなり症状が表面化することがあります。 炎症が起きると腕を上げる動作などで痛みが出やすくなり、かばうことで肩を動かさない時間が増えやすい点にも注意が必要です。さらに、骨折や手術後などで肩を固定し動かさない期間が続くと、発症リスクが高まります。 海外の整形外科情報でも、骨折や手術などで肩を一定期間動かさない状態が続くと凍結肩を発症することがあると示されています。(文献4) 糖尿病などの基礎疾患や外傷後に発症 起こりやすい背景 四十肩・五十肩に関係するポイント 糖尿病 発症リスク上昇、炎症と硬さの長期化 甲状腺機能の異常 発症との関連性 外傷(けが・骨折) 動かせない期間による関節包の硬化 手術後 固定と安静による拘縮進行 固定期間が長い状態 関節包の癒着と線維化、可動域低下 四十肩・五十肩は誰にでも起こり得ますが、基礎疾患や外傷後では発症しやすいことがあります。 糖尿病は凍結肩の代表的なリスク因子とされ、肩関節周囲の炎症や硬さが長引きやすい背景となり得るほか、甲状腺機能の異常も四十肩・五十肩との関連が示されています。(文献5) さらに、肩のけがや骨折、手術後は痛みや固定により肩を動かせない期間が生じやすく、この状態が長いほど関節包が硬くなり、拘縮が進みます。これが発症の引き金となり得ます。 基礎疾患がある方ほど症状が長引くこともあるため、自己判断で放置せず整形外科で評価を受けましょう。 以下の記事では、糖尿病について詳しく解説しています。 四十肩・五十肩と似た疾患 四十肩・五十肩と似た疾患 詳細 腱板の病気(腱板断裂・石灰沈着性腱板炎) 腕を上げる動作痛、夜間痛、筋力低下 腱や滑液包の炎症(インピンジメント症候群・上腕二頭筋腱炎・肩峰下滑液包炎) 特定の角度で増悪する痛み、動作時痛、圧痛 首の疾患(頸椎症性神経根症) 首の動きで増悪、腕への放散痛、しびれ 関節の障害(脱臼・変形性肩関節症) 外傷後の強い痛み、関節変形、ゴリゴリ音 四十肩・五十肩は肩の痛みと動かしにくさが代表的ですが、似た症状を示す別の疾患もあります。腱板断裂や石灰沈着性腱板炎では夜間痛や筋力低下が目立ち、インピンジメント症候群や上腕二頭筋腱炎では、特定の角度で痛みが強くなります。 頸椎症性神経根症では首の動きで痛みが増し、腕のしびれを伴うことがあります。外傷後の脱臼や変形性肩関節症など関節の障害も原因となるため、自己判断せず医療機関で鑑別することが大切です。 以下の記事では、四十肩・五十肩と似た疾患である腱板断裂と石灰沈着性腱板炎について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い|主な症状や治療法を解説 石灰沈着性腱板炎の原因はストレスや食べ物?肩の痛みへの対処や治療法を解説 腱板の病気(腱板断裂・石灰沈着性腱板炎) 腱板断裂や石灰沈着性腱板炎は、四十肩・五十肩と痛みや動かしにくさが重なりやすく、鑑別が重要です。 腱板は肩関節の安定に関わる筋腱の集まりで、損傷や炎症が起こると腕を上げる動作で痛みが出たり、可動域が制限されたりします。石灰沈着性腱板炎では症状が急に強くなることもあり、見分けにくい点が特徴です。 夜間痛は四十肩・五十肩に限らず腱板の病気でも起こり得るため、「夜に痛いから四十肩」とは断定できません。 日本整形外科学会も、四十肩・五十肩の診断では石灰沈着性腱板炎や肩腱板断裂などと区別する必要があると説明しています。(文献1) 以下の記事では、腱板の病気について詳しく解説しています。 【関連記事】 インピンジメント症候群と五十肩の違いを解説!セルフチェック方法も紹介 石灰沈着性腱板炎の原因はストレスや食べ物?肩の痛みへの対処や治療法を解説 腱や滑液包の炎症(インピンジメント症候群・上腕二頭筋腱炎・肩峰下滑液包炎) 上腕二頭筋腱炎や肩峰下滑液包炎、インピンジメント症候群は、四十肩・五十肩と同様に肩周囲の炎症が関与するため、症状が紛らわしい疾患です。 インピンジメント症候群では、腕を上げる際に腱板や滑液包がこすれたり挟まったりして炎症が起こり、洗髪や服の着脱などで痛みが出やすくなります。 腕を持ち上げたり手を伸ばしたりする動作で症状が出ることや、肩前面から腕外側へ広がる症状がみられることが示されています。(文献6) これらは四十肩・五十肩でもよくある訴えのため自己判断での区別は困難です。上腕二頭筋腱炎は肩の前側の症状、肩峰下滑液包炎は挙上動作での増悪が特徴である一方、四十肩・五十肩では受動可動域まで制限されることがあるため、診察と画像検査による鑑別が必要です。 首の疾患(頸椎症性神経根症) 頸椎症性神経根症は、首の骨や椎間板の加齢変化により神経根が圧迫され、首だけでなく肩から腕にかけて症状が広がる疾患です。 そのため「肩のズキズキ」や違和感として自覚されやすく、四十肩・五十肩と紛らわしくなります。肩から腕の痛みに加えて、腕や手指のしびれを伴いやすい点が特徴です。 日本整形外科学会でも、肩から腕の症状と手指のしびれが多いこと、さらに筋力低下や感覚障害が出ることがあると説明されています。(文献7) 関節の障害(脱臼・変形性肩関節症) 脱臼や変形性肩関節症など関節そのものの障害でも、腕が動かしにくい、日常動作が困難といった症状が出るため、四十肩・五十肩と紛らわしいことがあります。 肩関節脱臼は転倒やスポーツなど外傷を契機に突然発症しやすく四十肩・五十肩とは発症背景が異なる一方、脱臼後に痛みで肩を動かさない期間が続くと拘縮が進み四十肩様の状態になることもあります。 変形性肩関節症は、関節軟骨の変性や摩耗が背景にあり、肩に生じると可動域の制限や痛みが目立つのが特徴です。 日本整形外科学会は関節症について、機械的刺激などにより軟骨が変性、摩耗し、滑膜炎が併発して変性が加速することがあると説明しています。(文献8) 症状だけでの判断は難しいため、診察とX線などの画像検査で鑑別し、適切な治療につなげることが大切です。 以下の記事では、肩関節亜脱臼について詳しく解説しています。 四十肩・五十肩の治療法 治療法 詳細 薬物療法 痛みと炎症の軽減、夜間痛の緩和 理学療法 可動域の改善、拘縮予防、肩機能の回復 手術療法 保存療法で改善しない例での選択肢、関節の動きの改善 再生医療 症状や原因に応じた組織修復の補助、治療選択肢のひとつ 四十肩・五十肩の治療は、痛みと炎症を抑える薬物療法を中心に、肩の動きを取り戻す理学療法を組み合わせて進めます。薬物療法や理学療法で改善が乏しい場合は、関節の動きの改善を目的に手術療法を検討します。 また、症状や原因によっては再生医療が選択肢となる場合もありますが、再生医療を取り扱う医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではありません。 そのため、再生医療を検討する際は、事前に医師と相談しながら適応を判断する必要があります。 薬物療法 四十肩・五十肩の初期(急性期)は肩関節周囲の炎症が主体となるため、薬物療法が効果を発揮しやすい時期です。 日本整形外科学会でも、症状が強い急性期には消炎鎮痛薬の内服や注射が有効と説明されています。(文献1) とくにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は炎症と腫れを抑えて痛みを和らげ、日常生活の負担軽減に役立ちます。国内でも、除痛目的にNSAIDsを用いることが一般的です。(文献9) 肩関節内へのステロイド注射は炎症を強く抑える手段で、海外のレビューでも治療選択肢として挙げられ、症状の軽減や可動域の改善に役立つ可能性が示されています。(文献4) 理学療法 四十肩・五十肩では、炎症が落ち着いた後に肩の硬さ(拘縮)が目立ちやすくなるため、回復には理学療法が欠かせません。 日本理学療法士協会の資料でも、炎症が落ち着いた後に硬さが目立ちやすいことと、理学療法士による運動療法やセルフエクササイズの指導が推奨されています。(文献10) エビデンスレビューでは、標準化した理学療法を含む保存療法で高い改善率が報告されており、無理に強く伸ばすより状態に合わせた穏やかな運動が良い可能性も示されています。(文献11) 海外の患者向け資料でも回復には時間がかかるため理学療法の継続が不可欠とされており、自己流は避けて段階に合った運動を続けることが大切です。(文献3) 手術療法 手術の種類 概要 特徴 麻酔下での関節モビライゼーション(マニプレーション) 全身麻酔下で肩関節を動かし、硬くなった関節包を伸ばして可動域を改善する方法 短時間で可動域改善が期待、術後のリハビリ継続が欠かせません。 関節鏡下関節包遊離術 関節鏡(カメラ)と器具を挿入し、癒着した関節包を切開して可動域を改善する方法 皮膚切開が小さい、術後回復が比較的早い傾向 保存療法で十分な改善が得られない場合や、肩関節の硬さ(拘縮)が強い場合は、手術療法を検討します。 代表的な方法として、全身麻酔下で肩関節を動かして硬くなった関節包を伸ばす麻酔下関節モビライゼーション(マニプレーション)や、関節鏡を用いて癒着した関節包を切開する関節鏡下関節包遊離術があります。 手術は保存療法より短期間で可動域の改善が期待できますが、骨折、神経障害、感染症などの合併症リスクもあるため、適応については医師と相談して慎重に判断しましょう。 再生医療 再生医療が選択肢となる理由 説明 炎症に関わる環境へのアプローチ可能性 血小板由来因子などを介した局所環境への作用の考え方 成長因子を含む治療の概念 PRPが成長因子などを含む血漿(けっしょう)である点 研究報告で検討が進む領域 可動域や評価尺度を用いた臨床研究や系統的レビューの蓄積 注射治療として実施される枠組み 入院や手術を前提としない注射手技としての位置づけ 細胞特性に基づく治療概念 自己由来幹細胞の分化能や体内環境に関わる働きを活用する考え方 (文献12) 四十肩・五十肩は、炎症に続いて関節包の拘縮が残りやすい疾患です。再生医療は、注射を用いて局所環境に働きかける考え方に基づいており、研究でも可動域などの指標で検討されています。 また、手術を前提としない治療として実施できるため、侵襲が比較的小さく、感染症や術後の合併症リスクを抑えやすいのが利点です。 さらに、患者自身の細胞を用いる治療では、薬物療法のような全身性の副作用が生じにくい可能性も期待されます。 ただし、標準治療の代替ではなく、適応や期待できる効果は状態により異なるため、医師と相談の上で判断が必要です。 当院「リペアセルクリニック」では、四十肩・五十肩に対する再生医療を用いた治療を行っております。 詳しくは、以下の四十肩・五十肩に対する再生医療の症例をご覧ください。 また、以下の動画では、当院で行っている肩関節の症状に対する再生医療について詳しく解説しています。 https://youtu.be/JtMLjwP174M 四十肩・五十肩の診断・検査方法 検査 説明 X線(レントゲン) 骨折や変形性関節症など、他疾患の除外目的 MRI検査 肩関節周囲組織の評価、炎症や癒着の程度確認 超音波検査 腱板や滑液包などの観察、画像ガイド下注射での活用 四十肩・五十肩の診断は、主に問診と診察で行います。痛みの程度や可動域を確認し、腕を前・横に上げる、後ろに回すなどの動作で制限の有無を評価します。 レントゲンは炎症や癒着自体は写らないため、骨折や変形性関節症など他疾患の除外目的で実施します。 必要に応じてMRIや超音波で炎症や癒着の程度を確認しますが、多くは診察で診断可能です。 四十肩・五十肩の予防法 予防法 詳細 肩を動かす習慣をつけ可動域低下を防ぐ 肩甲骨を意識した軽い運動習慣 肩を固定しすぎず日常で軽く動かす 安静のしすぎ回避とこまめな可動 基礎疾患を管理し発症リスクを下げる 糖尿病などの血糖管理と定期受診 四十肩・五十肩の予防は、「固めない」「偏らせない」「基礎疾患を整える」が基本です。肩は動かさない期間が続くほど可動域が落ちやすく、反対に偏った使い方が続くと炎症のきっかけになります。 日常的に肩甲骨と肩関節を軽く動かし、固定しすぎないことが大切です。デスクワークでは猫背や巻き肩が定着しやすいため、姿勢と作業環境の見直しも欠かせません。糖尿病などの基礎疾患がある場合は、内科的管理も含めた全身の調整が予防につながります。 肩を動かす習慣をつけ可動域低下を防ぐ 四十肩・五十肩は、肩関節周囲の炎症に続いて関節包が硬くなり、肩が固まって可動域が落ちることがある疾患です。そのため、動かさない期間が長いほど拘縮が進みやすく、外傷や手術後などで肩を固定した後に発症することがある点からも「動かさないこと」がリスクになり得ます。 日本整形外科学会では、急性期を過ぎたら運動療法(拘縮予防や筋力強化)を行うと明記されています。(文献2) 肩を動かすことは単なるセルフケアではなく、医学的にも「動きの低下を防ぐ」ための重要な手段として位置づけられています。 可動域を保つことは、洗髪や服の着脱など日常動作の維持にも直結するため、無理のない範囲で穏やかに動かす意識が大切です。 肩を固定しすぎず日常で軽く動かす 肩を固定しすぎず日常で軽く動かすことが重要なのは、「動かさない期間」そのものが四十肩・五十肩の引き金になり得るためです。 AAOS(米国整形外科学会)では、手術や骨折などで肩を固定したあとに凍結肩(四十肩・五十肩)が起こり得ると説明されており、固定がリスク因子になることが示されています。(文献4) 肩を動かさない状態が続くと、肩関節周囲の組織が硬くなり、関節包の線維化や拘縮が進みやすく、可動域低下につながります。 とくに、けがや手術後は肩を動かせる範囲が限られやすいため、医師の指示に従いながら可能な範囲で早期から軽く動かすことが、拘縮予防と機能回復において大切です。 基礎疾患を管理し発症リスクを下げる 糖尿病や甲状腺疾患は四十肩・五十肩(凍結肩)の発症と関連するため、基礎疾患を管理し発症リスクを下げることが大切です。糖尿病や甲状腺疾患がある人は凍結肩のリスクが高く、炎症や組織変化が起こりやすくなる可能性があり、症状が長引く要因にもなり得ます。(文献4) 海外の医療情報では、糖尿病や甲状腺疾患の管理は、凍結肩のリスク低減につながる可能性が示されています。(文献4) これは「特別な運動だけで予防する」のではなく、全身状態の管理が肩の病気にも影響し得るという考え方です。 そのため、定期通院を継続し、血糖や甲状腺機能を安定させることが、発症予防と重症化回避の両面で欠かせません。 四十肩と五十肩の違いを理解して適切に対処しよう 四十肩と五十肩は呼び方が異なるだけで、いずれも肩関節周囲炎を指します。この違いを理解しておくと、肩の痛みに関する情報を整理しやすくなり、受診やセルフケアなど次に取るべき行動も明確になります。 一方で、肩の痛みや動かしづらさは、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎、頸椎由来の神経症状などでも生じるため注意が必要です。痛みが長引く場合や、筋力低下が目立つ場合、急に症状が悪化した場合は自己判断せず、医療機関で検査を受けて原因を確認しましょう。 四十肩・五十肩の症状が改善せずお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。四十肩・五十肩の痛みなどが長引きし、薬物療法やリハビリなどの保存療法だけでは十分な改善が得られない場合があります。 このような場合、症状や検査所見を踏まえて原因となる病態を評価した上で、再生医療を治療の選択肢のひとつとしてご提案しています。 再生医療は注射によって局所の環境に働きかける治療です。炎症や組織変化が関与する四十肩・五十肩に対して、症状の緩和や可動域の改善につながる可能性が検討されています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 四十肩・五十肩に関するよくある質問 四十肩・五十肩は自然治癒しますか? 四十肩・五十肩は自然に軽快することもあります。ただし、放置すると関節包の癒着が進み、肩の動かしにくさが残ることがあります。 「そのうち治る」と我慢せず、早めに整形外科で評価を受けましょう。 四十肩・五十肩は整体や鍼灸で改善しますか? 四十肩・五十肩は、整体や鍼灸で一時的に楽になる可能性はありますが、改善効果が明確に証明されているとは言い切れません。 とくに鍼灸は、役立つと感じる人がいる一方で根拠は決定的ではないとする整理が多く、治療の中心は整形外科で原因を評価した上で、薬物療法や理学療法を行うことになります。 四十肩・五十肩に対してやってはいけないことはありますか? 四十肩・五十肩で避けたいことは、無理に動かすことと、固定し続けることです。 症状が強い時期に無理をすると炎症が悪化しやすく、反対に動かさなさすぎると肩が固まって可動域が低下することがあります。 痛みの出ない範囲で動かすことを基本とし、症状が悪化する場合は整形外科で相談しましょう。 参考文献 (文献1) 「五十肩(肩関節周囲炎)」|公益社団法人 日本整形外科学会 (文献2) パンフレット「整形外科シリーズ5 五十肩(肩関節周囲炎)」|社団法人日本整形外科学会 (文献3) Frozen Shoulder|AAOS (文献4) Frozen Shoulder|OrthoInfo (文献5) Frozen shoulder: MedlinePlus Medical Encyclopedia (文献6) Shoulder Impingement/Rotator Cuff Tendinitis|OrthoInfo (文献7) 「頚椎症性神経根症」|公益社団法人 日本整形外科学会 (文献8) 「変形性関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる (文献9) わかりやすい 五十肩・肩の痛み|東北大学整形外科教室 (文献10) 理学療法ハンドブック シリーズ 13 肩関節周囲炎|肩にやさしい関わり方で快適な生活を (文献11) ADHESIVE CAPSULITIS: USE THE EVIDENCE TO INTEGRATE YOUR INTERVENTIONS|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献12) Platelet-Rich Plasma for Adhesive Capsulitis: A Systematic Review|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2025.02.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「右肩(左肩)がズキズキと痛い」 「肩の痛みが一向に改善しない」 右肩(左肩)が急にズキズキと痛むと重い疾患を心配する人も多いです。右肩(左肩)が痛む理由は主にデスクワークや長時間同じ姿勢でのスマホ視聴などですが、中には腱板損傷や五十肩、さらには内臓疾患などのサインが隠れている可能性もあります。 本記事では、現役医師がズキズキと痛む右肩(左肩)の症状の原因や対処法を詳しく解説します。記事の最後には、ズキズキと痛い右肩(左肩)に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 改善しない肩の痛みについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 右肩(左肩)がズキズキと痛む原因 ズキズキと痛む原因 詳細 肩腱板損傷(断裂) 腱板(肩の腱)の損傷による炎症・運動時痛、夜間痛、腕が上がりにくい状態 筋肉の炎症(腱板炎・石灰沈着性腱板炎など) 腱や周囲組織の炎症によるズキズキした痛み、石灰沈着による急激な強い痛み 関節の異常(肩関節周囲炎・変形性肩関節症など) 関節包の炎症や軟骨変性による痛み、可動域制限、動作時の痛み 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 神経・血管の圧迫による肩や腕の痛み、しびれ、だるさ、握力低下 頸椎椎間板ヘルニア 首の神経根圧迫による肩や腕の放散痛、しびれ、首の動きで増悪する痛み 内臓疾患(狭心症・胆石症など) 心臓・胆のうなど由来の関連痛(放散痛)、肩の動きと関係なく生じる痛み 帯状疱疹 神経の炎症によるピリピリ・ズキズキした痛み、遅れて発疹が出るケース 感染性関節炎 関節内感染による強い痛み、腫れ・熱感、発熱、動かせないほどの疼痛 胸部由来(肺尖部腫瘍・横隔膜刺激) 肺尖部病変や横隔膜刺激による関連痛、肩の動きと関係しにくい痛み その他(外傷・腫瘍など) 打撲・骨折・脱臼など外傷性疼痛、骨や軟部腫瘍による持続痛 右肩(左肩)がズキズキと痛む原因は、腱板損傷や腱板炎、肩関節周囲炎など肩そのものの疾患だけではありません。 胸郭出口症候群や頸椎椎間板ヘルニアなど神経の圧迫でも痛みが起こり、しびれを伴うことがあります。 痛みの中には、狭心症や胆石症といった内臓疾患、帯状疱疹、感染性関節炎、胸部由来の疾患が隠れているケースもあるため、注意が必要です。 痛みが強い場合や発熱がある場合、急に症状が悪化した場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 肩腱板損傷(断裂) 肩腱板損傷(断裂)は、肩の周囲で腕の上げ下げや回旋を支える「腱板」がすり減ったり切れたりして痛みが出る疾患です。腕を上げた瞬間の痛み、夜間に増える違和感、力が入りにくい感覚が特徴です。 筋肉の中でも棘上筋が傷つきやすく、加齢変化に加えて使い過ぎや転倒などの外傷がきっかけで発症しやすいとされています。 軽度であれば保存療法で改善することもありますが、完全断裂の場合は筋力低下が目立ちます。放置すると腱が縮んで治療が難しくなるため、早めの対応が大切です。 急に腕が上がらなくなった、物を持てなくなった、夜間痛で眠れないといった症状がある場合は、整形外科で画像検査を含めた評価を受けましょう。 以下の記事では、肩腱板損傷について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】腱板損傷とは|症状・原因・治療法を詳しく解説 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 筋肉の炎症(腱板炎・石灰沈着性腱板炎など) 肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。 この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。 炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化などさまざまです。たとえば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすくなるのが腱板炎の特徴です。 強い痛みが特徴で安静時にも出現し、圧痛点が明瞭な場合があり、石灰沈着例では炎症期に痛みが増強します。 石灰沈着性腱板炎は、40~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす疾患です。 カルシウムが腱板のところに沈着する理由は現在の医学では判明していません。考えられる原因は主に血流の問題や、年齢などが起因しているといわれています。 石灰沈着性腱板炎は、安静時でも強い痛みが出やすく、指で肩を押すと圧痛点がはっきりして痛む場所も特定しやすい疾患です。 以下の記事では、石灰沈着性腱板炎の原因について詳しく解説しています。 関節の異常(肩関節周囲炎・変形性肩関節症など) 肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)は、肩の痛みと可動域制限を主症状とする疾患で、腕が上がりにくい、動かしづらい状態が続きます。40〜50代に多く見られますが、近年は長時間のデスクワークやスマホ使用により、若年層でも発症するケースが増えています。 まれに肩から腕にかけてしびれを伴うことがあり、その場合は頸椎椎間板ヘルニアなどとの鑑別が必要です。 一方、変形性肩関節症は軟骨の摩耗により痛みと炎症が生じる疾患です。進行すると痛みの増悪や可動域の低下、動かしたときの軋轢音が目立つようになります。X線(レントゲン)検査で骨棘の形成や関節裂隙の狭小化が確認できる点が特徴です。 以下の記事では、肩の痛みで疑われる疾患やがんの可能性について紹介しています。 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 肩の付け根の痛みは、筋肉や関節だけでなく、神経の圧迫が原因で起こることもあります。代表的な疾患が胸郭出口症候群で、首から腕へ向かう神経や血管が鎖骨周辺や肋骨付近で圧迫されることにより、肩から腕、手にかけて痛み、しびれ、だるさなどが生じます。 主な背景としては、首や肩の筋緊張、鎖骨や肋骨の形態変化、猫背などの不良姿勢です。なで肩の女性や、重い荷物を持つ機会が多い方に多い傾向があり、スマホ使用時の前かがみ姿勢も症状を悪化させる要因となるため注意が必要です。 以下の記事では、胸郭出口症候群について詳しく解説しています。 胸郭出口症候群の原因とは?主な症状や4つの治療法を医師が解説! 【胸郭出口症候群】症状のセルフチェックリストやテスト方法を医師が解説 頸椎椎間板ヘルニア 頸椎椎間板ヘルニアでは、首の椎間板が突出して神経根を刺激することで、右肩(左肩)にズキズキした痛みが現れることがあります。痛みは肩だけにとどまらず腕から手指へ放散し、しびれや感覚の鈍さを伴いやすいのが特徴です。 多くは安静や薬物療法、リハビリなどの保存療法で軽快しますが、握力低下や筋力低下、動作の障害がある場合は早期の評価が必要です。 以下の記事では、頸椎椎間板ヘルニアについて詳しく解説しています。 【関連記事】 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法は?日常生活の注意点 頚椎椎間板ヘルニアの症状|発症しやすい部位も紹介 内臓疾患(狭心症・胆石症など) 肩の付け根の痛みは、整形外科の疾患だけでなく、内科領域の「関連痛」として現れることがあります。狭心症や心筋梗塞では、胸部の痛みが肩、背中、腕、あごなどへ放散することがあり、命に関わる状態の可能性があるため、注意が必要です。 また、胸部大動脈解離では、背部から肩にかけて強い痛みが出ることがあり、緊急対応が必要です。胆石症は、脂肪分の多い食事の後に上腹部の痛みとともに、右肩から右肩甲骨周囲へ痛みが放散し、吐き気、嘔吐、発熱を伴うことがあります。 肩の痛みに加えて胸痛、息苦しさ、冷汗、吐き気、発熱などを伴う場合は、自己判断せず早急に医療機関を受診しましょう。 帯状疱疹 帯状疱疹は、水ぼうそうの原因である水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化して起こる疾患です。ウイルスは神経に潜むため、発症初期には右肩(左肩)のどちらか片側に「ピリピリ」「ズキズキ」する痛みが出ることがあります。 数日以内に肩から腕、背中にかけて赤みや水ぶくれが現れ、皮膚が触れるだけで過敏になることもあります。放置すると帯状疱疹後神経痛として痛みが長引く場合があるため、片側の痛みが続くときは早めに医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、帯状疱疹について詳しく解説しています。 【関連記事】 【最新版】帯状疱疹後神経痛の解消法|後遺症でピリピリする際の治療法を紹介 帯状疱疹後神経痛に効く薬は?5つの薬の効果・副作用を解説 感染性関節炎 確認ポイント 典型的な内容 発症の速さ 数時間〜数日での急な出現・悪化 見た目の変化 腫れ・赤み・熱感 伴う症状 発熱・悪寒・強いだるさ 起こりやすい関節 膝が多いが肩でも起こり得る 放置リスク 関節破壊・機能障害の進行 受診の目安 急激な悪化と熱感や発熱の併発 (文献1)(文献2) 感染性関節炎は、関節内に細菌などが入り急速に炎症が進む疾患です。関節液の増加で内圧が上がり、肩にズキズキした強い痛みが出ます。 腫れ、赤み、熱感、動かせないほどの痛み、発熱を伴う場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。 胸部由来(肺尖部腫瘍・横隔膜刺激) 疑う状況 出やすい症状 肩を動かしていないのに続く 安静でも続く 肺の上の病気(肺尖部など) 肩から腕へ広がる、しびれ 目の症状を伴う まぶたが下がる、瞳孔の左右差 胸膜や胸水の刺激 咳や深呼吸で増える、息苦しさ 放置してはいけない危険サイン 発熱、体重減少、脱力感 (文献3)(文献4) 肩がズキズキするのは、炎症だけでなく、胸の疾患が原因で起こる関連症状の場合もあります。 肩を動かしていないのに痛みが続く、咳や深呼吸で痛みが増える、息苦しさや発熱がある、体重減少がある、腕のしびれや脱力感があるといった症状がみられるときは注意が必要です。 整形外科で異常が見つからない場合も、内科や呼吸器内科で早めに評価を受けましょう。 その他(外傷・腫瘍など) 肩の付け根の痛みは、関節や筋肉の炎症だけでなく、転倒や衝突などの外傷が原因で起こることもあります。 たとえば腱板断裂は、転倒時に肩へ強い衝撃が加わることで生じる場合があります。高齢者の場合、骨が脆くなっているため、軽い転倒でも上腕骨近位部骨折などを起こす恐れがあるため、注意が必要です。 また、スポーツ中に強い力が加わった場合には、肩関節脱臼や靱帯損傷を起こすことがあります。まれに腫瘍が痛みの原因となることもあり、その際は痛みに加えて、しびれ、腫れ、発熱などの症状を伴う場合があります。 右肩(左肩)がズキズキと痛いときの対処法 対処法 詳細 家庭でできるケアを実施する(ストレッチ・マッサージ・温罨法・冷罨法など) やさしい運動と冷温の使い分け 運動療法・ステロイド注射・手術療法などの治療 原因に応じた治療の検討 日常生活を整える(姿勢・運動・睡眠など) 姿勢と睡眠と軽い運動による再発予防 肩の痛みは原因や性質によって対処法が異なるため、適切に対応することで悪化の予防と回復の促進につながります。痛みが強い場合は、市販の鎮痛薬や湿布で一時的に症状を和らげます。 鎮痛薬には内服薬、貼付薬、外用薬などがあり、使いやすさや胃への負担を考慮して選びましょう。 湿布は、強い痛みが出た直後(急性期)は冷湿布、慢性的な痛みには温湿布の使用が一般的です。ただし、湿布の長時間貼付はかぶれの原因となるため注意が必要です。 市販薬を使用する際は用法・用量を守り、併用薬がある場合や妊娠・授乳中、持病がある場合は薬剤師や医師に相談しましょう。 以下の記事では、痛み止めについて詳しく解説しています。 家庭でできるケアを実施する(ストレッチ・マッサージ・温罨法・冷罨法など) ケア方法 目的・ポイント ストレッチ 可動域の改善とこわばりの軽減 マッサージ 筋緊張の緩和と血流促進 温罨法 慢性痛の緩和と回復促進 冷罨法 急性期の痛みと炎症の鎮静 家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法があります。ストレッチは肩や首まわりの筋肉を柔らかくし、痛みの軽減や可動域の改善に役立ちますが、痛みが強いときに無理に行うのは避けましょう。 マッサージは筋緊張を和らげ、血流を促して回復を助けます。肩甲骨を意識して、無理のない範囲で動かすのがポイントです。温罨法は慢性的な痛みやこわばりが強いときに、冷罨法は痛みが強い急性期に適しています。 これらのケアで改善しない場合や、発熱・しびれを伴う場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 運動療法・ステロイド注射・手術療法などの治療 問診、視診、触診に加えX線などの画像検査で原因を確認し、診断を行います。痛みが強い場合は、注射で炎症や痛みを抑える治療が選択されます。 ステロイド注射は即効性が期待できますが、効果は永続的ではなく、頻回投与は副作用のリスクがあるため、適切な頻度で行うことが大切です。 肩関節の拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリ(運動療法)で機能改善を図ります。腱板断裂で痛みが強く日常生活に支障がある場合や、腕が上がらない場合は手術を検討します。 近年は関節鏡による低侵襲手術が主流です。 しかし、整形外科医の間では、肩の腱板手術はできるだけ避けたい治療のひとつです。 理由は、手術をしても痛みが十分に取れなかったり、かえって症状が悪化したりするケースが一定数あるためです。 さらに術後に肩が固まってしまう拘縮や、縫合した腱板の再断裂が起こることもあり、術後経過が思い通りにいかないこともあります。 こうした課題に対して、近年注目されているのが再生医療です。入院や手術を必要とせず、状態によっては手術に近い、あるいはそれ以上の改善が期待できる選択肢として検討されることがあります。 私自身、約10年にわたり再生医療に携わってきた中で、肩の治療には確かな希望があると感じています。詳しくは、ぜひこちらの動画をご覧ください。 <肩腱板損傷の症例動画> https://youtu.be/JtMLjwP174M 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 日常生活を整える(姿勢・運動・睡眠など) 日常生活では、正しい姿勢を保つことが大切です。猫背になると肩まわりに負担がかかり、症状が悪化しやすくなります。 デスクワークやパソコン作業が多い方は、1時間に1回を目安に休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を、5分でも行いましょう。 適度な運動は肩周囲の筋力と柔軟性の維持に役立つため、ウォーキングや水泳など負担の少ない運動を継続することが大切です。ただし痛みがある場合は、無理をせず医師に相談してから行うようにしましょう。 また、睡眠不足は痛みや炎症を助長する可能性があるため、十分な睡眠を確保しましょう。就寝時は痛む側の肩を下にしないよう注意し、抱き枕などで楽な姿勢を作るのも有効です。 右肩(左肩)のズキズキ痛みに対する予防法 予防法 詳細 適度の運動習慣を取り入れる 筋力と柔軟性の維持 スマホ・PC作業の姿勢を見直す 猫背予防と肩負担の軽減 適切なストレッチやマッサージを取り入れる こわばり予防と血流改善 右肩(左肩)のズキズキした痛みを予防する基本は、肩に負担が集中する状況を減らし、肩甲骨まわりの柔軟性と筋力を保つことです。 スマホやPC作業、家事、育児などは姿勢が偏りやすく、同じ体勢が続くほど肩の緊張が残ります。強い運動を急に始めるより、短時間の運動やストレッチを毎日続けることが再発予防につながります。 適度の運動習慣を取り入れる 肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。とくに、肩甲骨を意識しましょう。肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕のさまざまな動きをサポートする重要な役割を担っています。 この肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。 周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。 肩回し体操 肩回し体操です。腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。前方向と後ろ方向を10回ずつ行います。 やり方は以下の画像を参考にしてみてください。 痛みを感じる時は、無理せずに回せる範囲で行いましょう。 肩甲骨はがし 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。 やり方は以下の画像を参考にしてみてください。 画像の動きを10回繰り返しましょう。この動きは、肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。こちらの動きも無理のない範囲で行うことが大切です。 腕立て伏せ 腕立て伏せも肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えられる効果的な運動です。 無理のない範囲で10回を目標に行いましょう。 これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。 スマホ・PC作業の姿勢を見直す 長時間のパソコン作業やスマホの使用は猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする原因になります。 猫背の姿勢が続くと肩甲骨が外側に開いた状態で固定され、肩関節への負担が増えて痛みが出やすくなります。 日常では、以下の点を意識して姿勢を整えることが大切です。 意識するポイント 内容 背筋を伸ばし、顎を引く 顎を引いて背筋を伸ばす 肩の力を抜いてリラックスする 肩の緊張を抜く 目線は正面に向ける 目線を下げない 足の裏全体を床につける 座位の安定を保つ 肘は90度を維持する 肩への負担を減らす こまめに休憩をとる 1時間に1回の休憩と軽いストレッチ 姿勢や作業環境を整えることで、症状の軽減が期待できます。それでも肩の痛みが改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 適切なストレッチやマッサージを取り入れる 予防目的のストレッチは、強く伸ばすのではなく「ゆっくり行い、呼吸を止めない」ことが基本です。肩だけでなく、胸の前(大胸筋)や首、肩甲骨周囲もほぐすと姿勢が整いやすくなります。 マッサージは短時間にとどめ、押して不快感が増す部位は避けましょう。運動前後や入浴後など身体が温まったタイミングに行うと継続しやすくなります。なお、しびれ・発疹・発熱を伴う場合は自己流のケアを優先せず、医療機関で原因を評価することが大切です。 肩回し 肩回しは前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。 負荷をかけないやり方は以下の画像を参考にしてみてください。 無理に早く回そうとしたり、大きく伸ばそうとしたりするとかえって肩の痛みを悪化させる可能性があります。大切なのは肩に負荷をかけることではなく、肩の痛みを軽減することを目的にすることです。 首のストレッチ 首のストレッチでは、ゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒し、それぞれ10秒間キープします。 キープのやり方は以下の画像を参考にしてみてください。 肩のストレッチなどを行なっても、しびれや発疹、発熱がある場合は自己流のケアを優先せず、原因の評価を先に行うことが大切です。 腕のストレッチ 腕のストレッチは、片腕を胸の前にまっすぐ伸ばし、反対の手で肘のあたりを軽く押さえながら10秒ほどキープします。 以下の画像を参考に反対側も同様に行いましょう。肩まわりの筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を高める効果が期待できます。 マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。とくに肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛みの予防につながります。 ズキズキと痛い右肩(左肩)の悩みは当院へご相談ください 肩の付け根がズキズキ痛むと、不安を感じる方も多いでしょう。肩の痛みは原因によって対処法が異なるため、適切に対応することが悪化の予防と早期回復につながります。 肩の痛みは市販薬やセルフケアで様子を見ることも可能ですが、痛みが長引く場合は自己判断せず医療機関を受診しましょう。 日常生活では正しい姿勢を意識し、適度な運動やストレッチ、マッサージを継続することが予防に有効です。 ズキズキとした肩の痛みが改善せずお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、症状や検査所見を踏まえた上で、肩の痛みの原因となる病態に対し、再生医療を含む治療法を選択肢のひとつとしてご提案する場合があります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ズキズキと痛い右肩(左肩)に関するよくある質問 右肩(左肩)がズキズキするときは何科を受診すれば良いですか? 右肩(左肩)のズキズキした痛みは、原因により受診先が異なります。多くは整形外科領域のため、まず整形外科を受診するのがおすすめです。 整形外科で原因が特定できない場合や、整形外科以外の疾患が疑われる場合は、症状に応じて適切な診療科を受診しましょう。 以下の表では、症状別に受診を検討すべき診療科をまとめていますので、参考にしてください。 症状の特徴 受診する科 肩を動かすと痛い、腕が上がらない、五十肩や腱板損傷が疑わしい 整形外科 片側の肩がピリピリする、皮膚が過敏、数日以内に発疹や水ぶくれ 皮膚科(帯状疱疹の可能性) 胸の違和感、息苦しさ、冷汗、吐き気を伴う 救急外来(119)または循環器内科 みぞおちから右上腹部の不快感、吐き気、発熱を伴う 内科または消化器内科(強い症状は救急) 夜間や強い症状がある場合は、迷わず救急外来を利用することが大切です。 ズキズキと痛い右肩(左肩)は整体や鍼灸で改善しますか? 整体や鍼灸により、筋肉の緊張が和らいで一時的に症状が軽くなる可能性はありますが、痛みの原因そのものが改善するとは限りません。 とくに右肩(左肩)のズキズキした痛みが強い場合や急に出現した場合は、整形外科などの医療機関で原因を確認することが優先です。 鍼灸は、肩こりなどで短期的な軽減が示される報告もありますが、効果には個人差があります。(文献5) 以下の記事では、医学的観点から整体の効果について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 感染性関節炎|MSDマニュアル家庭版 (文献2) Acute Infectious Arthritis|MUSCULOSKELETAL AND CONNECTIVE TISSUE DISORDERS MERCK MANUAL (文献3) 胸水|肺疾患|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献4) Pancoast Tumors: Symptoms, Causes (文献5) 13. 筋骨格系および結合組織の疾患|日本鍼灸エビデンスレポート(Evidence Reports of Japanese Acupuncture and Moxibustion: EJAM) 日本鍼灸エビデンスレポート・タスクフォース
2025.02.04 -
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肩関節唇の損傷は、野球やテニスのような腕を上から振り下ろすオーバーヘッドスポーツで起こりやすい疾患です。 肩関節唇損傷から回復して競技が継続できるか、将来的に症状は改善するのか不安に思っている方はいるのではないでしょうか。適切な治療により症状は改善し、リハビリテーションにより肩関節の安定化を図ることで競技復帰も望めます。 この記事では、肩関節唇損傷のリハビリテーションや再発予防の方法について解説します。怪我から早く競技復帰したいと考えている方は、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、肩関節への再生医療を行っています。肩関節唇損傷にも有効な場合がありますので、気になる方はお気軽に当院へご相談ください。 肩関節唇損傷とリハビリ方法 肩関節唇損傷とは、肩関節を安定させる機能をもつ関節唇の損傷です。原因となるのは、オーバーヘッドスポーツ、肩の過剰な使用、脱臼などです。とくに、野球やテニスなど投球動作を伴うスポーツをしている人は、上方の関節唇を損傷しやすい傾向があります。上方関節唇には上腕二頭筋につながる腱が付着しており、投球動作による負荷がかかりやすいのです。 肩関節唇損傷の主な症状は、肩の痛み、不安定感、可動域制限などです。安静により痛みは治まることが多いですが、肩の不安定感を軽減するにはリハビリテーションが欠かせません。具体的には関節可動域訓練や筋力トレーニング、肩に負担をかけない動作の習得などを行います。また、関節唇は再生しないため、重症例では手術が必要です。 肩関節唇損傷のタイプ 肩関節唇損傷は、大きく二つのタイプに分けられます。 一つめはBankert(バンカート)損傷です。前下方の関節唇を損傷するタイプで、肩関節の不安定さを感じやすいのが特徴です。肩関節の脱臼に伴って起きることも多く、繰り返す場合は手術が必要となります。(文献1) 二つめはSLAP(スラップ)損傷です。上方の関節唇を損傷するタイプで、オーバーヘッドスポーツで起きやすいです。Bankert損傷と比べ、リハビリテーションで症状が改善する場合も多い特徴があります。(文献2) SLAP損傷は、損傷の程度に応じてさらに4タイプに分類されます。(文献3) タイプⅠ 上方関節唇に毛羽立ちが見られるが、関節窩から剥がれてはいない タイプⅡ 上方関節唇および上腕二頭筋付着部が関節窩から剥がれている タイプⅢ 上方関節唇のバケツ柄断裂を認めるが、上腕二頭筋付着部は損傷していない タイプⅣ 上方関節唇のバケツ柄断裂が上腕二頭筋長頭腱にも及んでいる 肩関節唇損傷の検査方法 肩関節唇損傷の検査方法は、身体診察や画像検査です。身体診察では医師が患者様の肩を回したり、腕に力を入れてもらったりして、肩の痛みや引っかかり感が起きるかテストします。 画像検査はレントゲンやMRIを行います。レントゲン検査では、脱臼に伴う骨の欠けや、肩関節の不安定化による変形といった骨の異常を確認可能です。MRI検査では、レントゲンに写らない関節唇の剥離や断裂の状態、炎症の有無などをチェックします。 しかし、画像検査では診断が難しいケースも存在します。この場合は、関節鏡手術の際に関節唇を直接見て、初めて正確な診断が可能です。 肩関節唇損傷の治療方法 肩関節唇損傷の治療は、保存療法と手術療法に大別されます。 保存療法で最初に行うのは、痛みを抑えるための鎮痛薬の投与や安静の確保です。痛みが治まれば、肩関節の安定性を高めるためのリハビリテーションを行います。 手術療法では、主に関節鏡を用いて、関節唇の修復や再建を行います。術後は早期からのリハビリテーションが大切です。保存療法と手術療法のメリット・デメリットを以下にまとめました。 治療法 メリット デメリット 保存療法 身体への侵襲がない 通院での治療が可能 関節唇自体が治るわけではない 再発や脱臼の可能性がある 治療が長期間にわたる 手術療法 術後の回復が早(目安:約1カ月で日常生活に戻れる) 脱臼のリスクが低い 身体への侵襲がある 治療費が高額 (目安:約30万円) それぞれの具体的な治療内容を見ていきましょう。 保存療法 軽症例では保存療法を実施する場合が多いです。保存療法では、薬物療法やリハビリテーションを行います。具体的には以下で解説します。 薬物療法 発症直後で痛みが強い場合には、ロキソニンやボルタレンなどの消炎鎮痛薬の内服やヒアルロン酸の関節内注入を行い安静にします。それでも痛みが軽減しない場合はステロイドを注射します。そして、痛みや炎症が落ち着いてきたらリハビリテーションを開始する流れです。ただ、可動域訓練やリラクゼーションは拘縮予防のために多少痛みがあっても実施する場合があります。 リハビリテーション リハビリテーションでは、肩関節周囲のリラクゼーション・可動域の改善・筋力強化を行います。(文献4) 肩関節唇損傷では、肩後面の組織が硬い場合が多いため、後面の組織を中心にリラクゼーションを実施します。また、痛みにより筋肉が反射的に緊張しやすく、可動域制限になりやすいため可動域訓練が大切です。 さらに、肩関節の安定性を高めるために腱板筋群の筋力強化を行います。テニスや野球の投球動作では、腱板筋群に大きな負荷がかかるため、負荷に耐えられるように筋力強化が必要です。 手術療法 手術療法は、重症例や脱臼を繰り返してしまう方に適用されます。主流となっているのは全身麻酔下での関節鏡手術です。皮膚に小さな穴を3カ所ほど開け、関節鏡(カメラ)や手術器具を挿入して行います。 入院は数日〜10日間程度であり、術後2〜3週間はリハビリ以外では装具で肩関節を固定します。手術方法はさまざまですが、代表的な手術方法を2つ紹介します。 鏡視下デブリードマン 鏡視下デブリードマンは、関節唇の損傷部分を取り除く手術です。(文献5)関節鏡で確認しながら、関節唇の毛羽立った部分や、伸びたり剥がれたりして挟まれそうな部分を除去します。これにより、痛みや引っかかりといった症状の軽減が期待できます。 鏡視下関節唇修復術 鏡視下関節唇修復術は、アンカーと呼ばれる糸のついたビスを使って、関節唇を元の位置に縫い合わせる方法です。上腕骨頭への処置を同時に行うこともあり、以下の3つの術式が代表的です。(文献1)(文献6) 手術方法 内容 適応するケース バンカート法 アンカーを肩甲骨に打ち込み、関節唇を縫合 関節唇が剥がれている基本的なケース ブリストウ法 アンカーでの固定に加え、肩甲骨の一部を移植して縫合 より強い固定が必要なケース レンプリサージ法 上腕骨頭のへこみ部分にアンカーを打ち込み、関節包・腱板を縫い込む 脱臼により上腕骨頭にへこみができているケース(バンカート法と併用可能) 肩関節唇の損傷を治療した後の注意点 保存療法では、関節唇自体が治るわけではないため肩関節の緩さが少なからず残りやすいです。そのため、肩関節を過度に動かすと脱臼や再び症状を再発する可能性があり、肩のリハビリテーションをしっかり行うのが大切になります。 一方、手術療法では、範囲は狭いものの関節包など深部への侵襲があるため、組織が癒着して可動域が制限されないように術後早期からリハビリテーションが必要です。1カ月ほどリハビリを行うと通常の生活レベルに戻れますが、スポーツ復帰には3〜6カ月必要です。 肩関節唇損傷のリハビリ方法 肩関節唇損傷のリハビリテーションは、スポーツに復帰するために重要です。手術を受けた場合の復帰までの期間や、具体的なリハビリテーション内容を以下に紹介します。 1.術後~1カ月(炎症管理) 術後初期では、痛みや炎症が残存しているため、まずは安静や消炎鎮痛薬により改善を図ります。夜間に肩を動かさないように、術後2週間ほどは装具を着用します。ただ、癒着予防のためにリハビリは手術翌日から開始する場合が多いです。この時期にたくさん筋トレしてしまうとより悪化してしまうため運動量や負荷には注意です。 2.術後1カ月~2カ月(可動域向上・筋力強化) この時期では、とくにテニスや野球の投球動作で必要な肩関節外旋・外転可動域の向上を目指します。可動域が狭いと肩関節に負担がかかりやすいです。また、スポーツ復帰を目指す場合、全身の心肺機能を戻すのも大切なので、有酸素運動など持久力トレーニングも実施します。肩の筋力トレーニングは低負荷から実施し、段階的に難易度を上げていきましょう。 3.術後2カ月~3カ月(動作練習) 筋力トレーニングの負荷を上げつつ、スポーツに特化した動作練習を行っていきます。スポーツ中には、予測不能な外力が加わる場合や瞬発的な動作が多いため、素早い動作にも対応できる身体づくりが大切です。とくに、受傷のきっかけとなった動作を入念にチェックし、再発を防止しましょう。 肩関節唇損傷の再発を予防する方法 肩関節唇損傷の再発を予防するには、腱板筋群のトレーニングや肩後面のストレッチが大切です。(文献4) 以下に具体的な内容を解説します。 腱板筋群のトレーニング 腱板筋群は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋で構成されており、肩関節の安定化に必須の筋群です。投球動作の繰り返しにより、腱板筋群は大きなストレスを受けるため、これらの筋群が弱化しやすくなります。そのため、練習時間の制限や投球動作の回数制限を設けて練習しましょう。具体的な腱板筋群のトレーニングを以下に記載します。 <やり方> イスに座り、わきをしめて肘を90度に曲げる わきをしめたまま腕を外に開く 負荷はチューブなどを用いて行い、低負荷・高回数で実施します。腱板筋は小さい筋肉であり、負荷が高いと間違った動作になってしまうため気をつけましょう。 肩後面のストレッチ テニスや野球などの投球動作を頻繁に行うスポーツでは、肩後面の棘下筋・大円筋・小円筋・三角筋が硬くなりやすいです。すると、上腕骨頭の動きがぎこちなくなり、腱板筋群が作用しづらくなります。結果、肩関節への負担が増加します。そのため、肩後面のストレッチにより肩の滑らかな動きを獲得するのが大切です。具体的なストレッチの方法を以下に記載します。 <やり方> 両手の甲を脇腹につけます 肘を前方に向けるように閉じていきます 肩の後面が伸びているのを意識します 肩をすくめたり体幹だけを回したりしないように、肩後面が伸張されているのを意識して実施しましょう。 肩関節唇を損傷した際の治療・リハビリ・再発防止に関するQ&A ここでは肩関節唇損傷に関するよくある質問に回答します。 肩関節唇を損傷した際に放置するのはNG? 痛みや違和感を自己判断で放置するのはやめましょう。痛いからと安静にしすぎると、肩関節がだんだん固まってしまうことがあります(拘縮)。安静が必要な場合もある一方、多少の痛みがあっても可動域訓練やリラクゼーションを行った方が良い場合もあるのです。 また、痛みが落ち着いたからといって以前と同じように肩を使えば、再び関節唇を損傷したり、肩関節を脱臼したりするかもしれません。必ず医師の判断のもとで治療を受けましょう。 肩関節唇損傷のリハビリ期間はどれくらい必要ですか? 手術を受けた場合のリハビリ期間は、日常生活レベルに戻るまでに1カ月、スポーツへの復帰までに3〜6カ月が目安です。 また手術をせずに保存療法を行う場合は、スポーツに復帰するまで短くて2〜3カ月、長くて6カ月ほどが目安です。ただし、保存療法でよくならない場合は、手術が必要になることもあります。 なお、実際のリハビリ期間には個人差があります。リハビリが不十分だと再発の可能性が高まるので、焦らず進めていきましょう。 肩関節の手術後に痛みが出た場合は再生医療を適用できますか? 手術の種類によって異なりますが、関節唇損傷や腱板断裂の手術であれば、術後に再生医療を適用可能です。また、腱板断裂で縫合術を受けた場合は、術後に幹細胞治療を受けることで再断裂を予防できます。 再生医療とは、患者様から採取した幹細胞や血小板を活用する治療法の一つです。 幹細胞には、さまざまな細胞に分化する性質があります。また、血小板には止血に関与するほか、成長因子を含んでいることが知られています。 競技を継続できるように肩関節のケアを行いましょう 肩関節唇損傷は、テニスや野球などオーバーヘッドスポーツで発症しやすい疾患です。関節唇は、肩の安定化に欠かせない組織であり、再生もしないためリハビリテーションによる訓練が大切になります。 また、投球フォームによっては肩後面の組織が硬くなりやすいことや腱板筋群が弱化しやすいため、入念にトレーニングやストレッチを行います。スポーツの実施前後で行うことで肩の柔軟性や筋力を保てるでしょう。 今回ご紹介したストレッチや筋力トレーニングにより、可動域向上・筋力向上を目指せるため、再発予防のためにも毎日ケアしましょう。 なお、肩関節唇損傷は再生医療で治療できる場合があります。再生医療は手術の必要がなく、患者様への負担が少ない治療方法です。気になる方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」霞ヶ浦医療センターホームページhttps://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html(最終アクセス:2025年2月20日) (文献2) 独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「投球障害肩(とうきゅうしょうがいかた)~主に思春期以降~」霞ヶ浦医療センターホームページhttps://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_toukyusyougaikata.html(最終アクセス:2025年2月20日) (文献3) Zahab S. Ahsan, et al. (2016). The Snyder Classification of Superior Labrum Anterior and Posterior (SLAP) Lesions. Clinical Orthopaedics and Related Research, 474(9), 2075–2078. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4965366/(最終アクセス:2025年2月20日) (文献4) 原正文.「投球障害肩のリハビリテーション治療」『日本リハビリテーション医学会誌』55(6), pp.495-501, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/6/55_55.495/_pdf(最終アクセス:2025年2月20日) (文献5) 保刈成ほか.「上方関節唇損傷に対する鏡視下デブリードマンの術後成績の検討」『肩関節』21(2), pp.321-325, 1997年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/21/2/21_321/_pdf(最終アクセス:2025年2月20日) (文献6) 地方独立行政法人 芦屋中央病院「反復性肩関節脱臼に対する鏡視下手術」芦屋中央病院ホームページ https://www.ashiya-central-hospital.jp/wp-content/uploads/2019/03/6cfeb048e18c00d509db2dac9e315fba.pdf(最終アクセス:2025年2月20日)
2024.10.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- インピンジメント症候群
- 上肢(腕の障害)
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
- 再生治療
2024シーズンからメジャーリーグに挑戦している山本由伸投手は、右肩の怪我により離脱を余儀なくされています。ロサンゼルス・ドジャースとの大型契約で注目を集めた山本投手は、デビューシーズンから肩の怪我に直面することになりました。 本記事では、山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷の詳細や怪我をした原因、怪我の治療法まで詳しく解説します。 山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷とは? 腱板損傷とは、肩関節の安定性を保つために重要な4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の総称「腱板」に損傷が生じる状態です。特にプロ野球のピッチャーは投球動作で肩に大きな負担がかかるため、この怪我のリスクが高まります。 山本由伸選手の場合、MLBデビューシーズンとなる2024年に右肩の腱板に損傷を負いました。これはオーバーユース(使いすぎ)や投球フォームの問題、あるいは急激な環境変化による負担増加などが複合的に影響した可能性があります。 腱板損傷は軽度の炎症から完全断裂まで症状の幅が広く、重症度によって治療法や復帰までの期間が大きく異なります。 山本由伸選手が怪我をした腱板損傷を含む野球肩の種類 プロ野球選手、特にピッチャーが抱える肩の怪我は多岐にわたります。ここでは山本由伸選手が負った腱板損傷を含む、野球選手に多い肩の怪我について説明します。 上腕骨骨端線離開(こったんせんりかい) 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」は「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使すると周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 肩甲上神経損傷 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、あるいは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 インピンジメント症候群 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 山本由伸選手が怪我をした原因 山本由伸選手の腱板損傷の原因については、複数の要因が複合的に影響していると考えられます。 まず第一に挙げられるのは、日本からメジャーリーグへの環境変化による影響です。MLBとNPBでは投球間隔やボールの違い、マウンドの状態など様々な差異があります。特にMLBのボールは表面が滑らかで縫い目が低く、日本のボールと比べてグリップ感が異なります。 また、投球フォームの問題も一因と見られています。山本選手の投球フォームは非常にパワフルですが、肩に過度な負担をかけるリリースポイントであったという指摘もあります。特に最大の武器である150km/hを超える直球を投げる際には、肩への負荷は相当なものとなります。 そして、投球数や登板間隔の管理の問題も指摘されています。メジャーリーグでは先発投手としての役割や期待が大きく、適切な休息をとれなかった可能性もあります。 山本由伸選手の怪我の治療法 山本由伸選手の腱板損傷に対する治療法には、いくつか種類があります。ここでは主な治療法について解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに行う治療法の総称で、腱板損傷の初期段階でまず試みられるアプローチです。休息と投球制限が基本となります。 特に初期対応としては、炎症を抑えるためのRICE処置(Rest:休息、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が重要です。また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、場合によっては炎症部位への局所注射なども行われます。 急性期を過ぎたら、段階的なリハビリに移行します。肩関節周囲の柔軟性回復のためのストレッチングから始め、徐々に肩甲骨周囲筋や腱板自体の筋力強化エクササイズへと進めていきます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合や、腱板の断裂が大きい場合には手術療法が検討されます。現代では低侵襲な関節鏡視下手術が主流となっています。 関節鏡視下手術では、小さな切開から内視鏡と専用器具を挿入し、腱板の修復を行います。断裂した腱板を元の位置に戻し、アンカーと呼ばれる特殊な縫合糸で上腕骨に固定します。 大きな切開を必要としないため、術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。手術後は肩を固定し、数週間の安静期間を経てから段階的なリハビリを開始します。 完全な競技復帰までは選手の状態や損傷の程度によって異なりますが、一般的には6〜9ヶ月程度を要します。 再生医療 最新の治療法として、再生医療のアプローチも注目されています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療などが、従来の治療法を補完する形で用いられるようになっています。 PRP療法では、選手自身の血液から濃縮した血小板を損傷部位に注入します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、治癒を早める効果が期待されます。 また幹細胞治療では、骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促します。これらの治療は手術の必要性を減らしたり、手術後の回復を早めたりする可能性があります。 まとめ|山本由伸選手が負った怪我には再生医療も有効! 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」は一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーション、または重症の場合は手術が行われてきました。しかし、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えてほしいものです。なぜなら、選手生命を護ることができるからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 山本由伸選手が負った怪我についてのQ&A 検査はどのようにするの? 投手の肩の怪我を診断するための検査は複数回行われます。 まずは肩の可動域や痛みの位置を確認します。次にX線検査で骨の状態を確認し、さらに詳細な検査のためMRIを実施します。 MRIでは軟部組織の状態を可視化でき、筋肉や腱、靭帯の損傷を詳細に把握できます。山本選手の場合もこれらの検査に加え、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの追加検査が行われているでしょう。 山本由伸選手と同様の怪我の復帰時期はいつくらいですか? 山本選手のような投手の肩の怪我からの復帰時期は、怪我の種類と程度によって大きく異なります。 一般的に投球肩の炎症や軽度の筋肉疲労であれば2〜4週間程度で復帰できるケースが多いですが、腱板の損傷や関節唇(ラブラム)の裂傷などの重度の損傷では3〜6ヶ月以上の長期リハビリが必要になることもあります。
2024.06.18 -
- 幹細胞治療
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- インピンジメント症候群
- 上肢(腕の障害)
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
- 再生治療
メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 肩関節、その他疾患
- ひざ関節
- 股関節
- 膝部、その他疾患
「大腿骨頭壊死にはどんなステージ分類がある?」 股関節周辺に痛みを抱えている方の中には、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減っていくことです。 ステージ4になると関節同士の隙間がなくなってしまい、激しい痛みを伴います。 本記事では、壊死してしまった骨の根本治療にも期待できる再生医療の選択肢も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、壊死・損傷した骨に対してアプローチできる治療法で、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種です。 骨頭壊死症とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなり、骨の一部分が壊死する病気です。 ただし、原因は血液供給がなくなるだけでなく、以下のような原因も発症に関係していると考えられています。 怪我などの外傷による血管の障害 アルコール摂取 ステロイド使用者 また、骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。 代表的な部位は、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節と肩関節は、大腿骨頭・上腕骨頭と呼ばれる部位があるため、「骨頭壊死」と病名が付くのが特徴です。 一方で、膝関節は骨頭と呼ばれる部位がないため「骨壊死」が病名となります。 大腿骨頭壊死のステージ分類と原因 大腿骨頭壊死は、1〜4のステージに分類されます。ステージによって、進行度合いが異なり、ステージが上がる度に症状も顕著になっていくのが特徴です。 ここからは、大腿骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく解説していきます。 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減ると「変形性股関節症」を発症する可能性がある点です。 ステージ3までは関節軟骨があり、関節同士に隙間があるものの、さらに進行すると、関節同士の隙間がなくなってしまいます。 大腿骨頭壊死や症状が変形性股関節症まで進行した場合、従来の治療では根治が難しいため、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行した大腿骨頭壊死の根治を目指したい 大腿骨頭壊死や変形性股関節症を早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である「特発性骨頭壊死」は、壊死の範囲によって重症度分類がありType A〜Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きくなり、大腿骨頭が潰れるリスクは高くなるのが特徴です。大腿骨頭壊死の重症度分類は以下のとおりです。 Type A:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重のかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの Type Aが軽症でCになるとより重症となります。さらにTypeCは、より重症なC-1とC-2に分けられるのが特徴です。 大腿骨頭壊死の原因 大腿骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 股関節を構成している大腿骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 放射線治療 潜函病 股関節を形成している大腿骨頭に血液が供給されなくなると、大腿骨頭壊死を発症するケースが多い傾向にあります。 しかし、なかには、原因不明で突発的に大腿骨頭壊死を発症する可能性もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類と原因 上腕骨頭壊死とは、上腕部分にある「上腕骨頭」と呼ばれる部位が壊死してしまう病気です。大腿骨頭壊死のように、他の病気に進行するケースはありません。 ここからは、上腕骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく見ていきましょう。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 上腕骨頭壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる状態 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像がみられる状態 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める状態 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている状態 ステージが上がり末期になると、薬物療法や保存療法では治せない可能性が高まります。 末期ステージになると、骨切り術や人工関節を挿入する手術療法が行われるケースもあります。 ただし、治療方法はステージ分類だけでなく、症状や年齢などさまざまな要因によって決まるため、一概に治療方法は断言できません。 上腕骨頭壊死の原因 上腕骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 ステロイドの使用 アルコール 鎌状赤血球症・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患 骨折や脱臼などの原因は外傷性と呼ばれています。一方でステロイド使用や全身性疾患などは、非外傷性に分類されるのが特徴です。 膝関節骨壊死のステージ分類と原因 膝関節骨壊死は、名前の通り膝関節の骨が壊死してしまう病気です。 膝関節と呼ばれているものの、太ももの内側に壊死が起こる症例が多いため「大腿骨内顆骨壊死」と呼ばれるケースもあります。 また膝関節骨壊死は、60歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。 ここからは、膝関節骨壊死のステージ分類と原因を紹介します。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 膝関節骨壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない状態 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられる状態 ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいる状態 ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている状態 ステージが進むと、膝関節骨同士の隙間が狭くなるのが特徴です。膝関節同士が狭くなる病気として、膝関節骨壊死の他に、変形性膝関節症があげられます。 両病気とも、初期ステージの症状だけで判別するのは難しい傾向にあります。 レントゲン検査で、膝関節骨壊死か変形性膝関節症かを判別できるため、膝に痛みを抱いている方は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。 膝関節骨壊死の原因 膝関節骨壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 軽微な骨折 肥満ステロイド薬の使用 大腿骨頭壊死や上腕骨頭壊死と同様に、明確な原因は判明していませんが、上記のような要因によって膝関節骨壊死が起こると考えられています。 肥満体型によって、膝関節に負担がかかるのも、膝関節骨壊死を発症させるリスクがあります。 肥満は、変形性膝関節症のリスクも高めるため、食事管理や運動習慣を身に着け、減量を目指しましょう。 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断方法 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断は、主にレントゲン検査やMRI検査で行われます。 基本的レントゲン検査だけで大腿骨頭壊死の患部は確認できますが、早期の骨壊死を確認するには、MRI検査が必要になります。 レントゲン検査やMRI検査では、骨が潰れていたり、壊死が進行していたりするかを確認可能です。変形性股関節症や変形性膝関節症の判断もできます。 また、血液凝固疾患をはじめとした基礎疾患を確認するために、血液検査を行うケースもあります。 大腿骨頭壊死の予防方法 大腿骨頭壊死の予防方法は、以下があげられます。 ステロイド薬の使用に注意する 過度な飲酒や喫煙は控える 股関節への負担を軽減する ステロイド薬を長期的に使用していると、大腿骨頭壊死のリスクが高まると考えられています。 ステロイド薬を使用する際は、自己判断で使用したり、量を調整したりするのは控えましょう。 他にも飲酒や喫煙も大腿骨頭壊死の発症にかかわっているとされているため、できるだけ避けてください。 また、肥満体型の方は、股関節への負担を軽減するため、体重減量を目指しましょう。 長時間の立ち仕事や、重い荷物を持つ仕事も、股関節の負担となるため、注意が必要です。 大腿骨頭壊死(骨壊死)治療法・保存療法 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術療法があげられます。 治療方法は、進行ステージやライフスタイル、年齢などを考慮して決められます。 ここからは、大腿骨頭壊死の治療法を4つ見ていきましょう。 保存療法 保存療法とは、リハビリテーションや薬物療法が代表的です。リハビリテーションでは、股関節にかかる負荷を抑えるため、体重管理が行われるケースもあります。 股関節の可動域を維持し、筋力を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングも行われます。リハビリテーションの期間は一般的に、医療保険で対応できる150日が目安です。 なお、保存療法は、あくまでも症状を和らげる手段であり、骨壊死を治癒させるのは不可能である点に留意しておきましょう。 骨切り術 骨切り術は、大腿骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術を指します。 病気の進行を遅らせ、股関節の機能を温存するのが目的であり、比較的若い方や病気の進行が初期から中期の方に適用されます。 ただし、骨切り術は難しい手術方法であり、医師の高いスキルや医療機関の充実した設備が必要です。 術後は、最長6カ月間松葉杖を使用したり、長期間リハビリテーションをしたりしなくてはならない点に留意しておきましょう。 人工関節 人工関節置換術は、壊死した大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。骨壊死により関節の多くが潰れてしまっているケースに適用されます。 人工関節置換術は、痛みを大幅に軽減し、股関節の機能の改善を期待できます。 リハビリテーションは必要ですが、入院期間は10日ほどと短いのが特徴です。ただし耐用年数の問題で、若い方に行うのは避けるべきとされている点に留意が必要です。 人工関節は脱臼リスクもあるため、メリットだけでなくリスクも理解して検討しましょう。 再生医療 大腿骨頭壊死を手術せずに根治を目指したい方は、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞を採取・培養し、患部に投与することで損傷した組織の再生・修復を促す医療技術です。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いるため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ないのが特徴です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 副作用リスクの少ない治療で根治を目指したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 当院(リペアセルクリニック)では、患者さま一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、ぜひ無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、再生医療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 まとめ|大腿骨頭壊死のステージ分類とは?治療方法やよくある質問も紹介 大腿骨頭壊死では、1〜4のステージに分類され、それぞれ以下のような状態が目安となります。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 ステージが上がると関節軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」や「変形性膝関節症」につながるため、早期治療が重要です。 悪化を防ぐためにも、痛みや違和感を抱いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。 近年の治療では、従来の保存療法や手術療法に加え、患者様の細胞を用いて手術をせずに根治を目指す再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死に関するよくある質問 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なため、飲まないことはおすすめしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けられます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送るのが予防に必要と言えるでしょう。 レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないケースがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRI検査では早期に病気を見つけられます。 痛みが強く心配な場合は、MRI検査や精密検査について担当の医師と相談するのがおすすめです。 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはできませんか? 大腿骨頭壊死を発症後、スポーツができるかは、進行度合いによって異なります。 壊死の範囲が小さく、悪化リスクが低ければ、問題なくスポーツができるケースもあります。 しかし、壊死の範囲が広いと、股関節にかかる負担が大きくなるため、スポーツが制限される可能性がある点に注意が必要です。 体への負荷が少ないスポーツは許可されやすいですが、ジャンプをしたり、走ったりするスポーツは制限されやすい傾向にあります。 大腿骨頭壊死は医療費補助の対象になりますか? 明らかな原因がない「特発性大腿骨頭壊死」は、医療費補助の対象となります。特発性大腿骨頭壊死は、指定難病に分類されているためです。 特発性大腿骨頭壊死と診断された場合は、医療機関に医療費補助の手続き方法を相談しましょう。
2023.10.02 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
「腕を上げると肩が引っかかる」 「洗濯物を干す動作がつらい」このような肩の違和感が続くと、「インピンジメント症候群ではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。 インピンジメント症候群とは、肩の動きに関わる腱や組織が肩峰の下でこすれることで、腕を上げたときに痛みや動かしにくさが生じる状態です。放置すると症状が長引き、日常生活やスポーツへの復帰に影響を及ぼす可能性があります。 しかし、インピンジメント症候群は適切な評価と治療を行うことで改善が期待できる疾患です。早めに医療機関へ相談し、症状に応じた対応を行うことが大切です。 本記事では、現役医師がインピンジメント症候群の治し方を詳しく解説します。リハビリやストレッチ方法もわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。インピンジメント症候群に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 インピンジメント症候群のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 インピンジメント症候群の治し方(治療法) 治し方(治療法) 詳細 保存療法(安静・動作制限・リハビリテーション) 肩に負担がかかる動作の調整や安静を基本とし、肩甲骨や腱板の機能改善を目的としたリハビリを行う治療 薬物療法 消炎鎮痛薬や外用薬を用いて肩関節周囲の炎症を抑え、症状の軽減を図る治療 ステロイド注射(肩峰下滑液包内注射) 肩峰下滑液包にステロイド薬を注入し、局所の炎症反応を抑えることで症状の改善を目指す治療 物理療法(温熱療法・電気療法など) 温熱や電気刺激を利用して血流改善や筋緊張の緩和を図り、肩周囲の機能回復を促す治療 手術療法 保存療法で改善が乏しい場合に、肩峰下スペースの拡大や腱板修復などを行う外科的治療 再生医療 患者自身の血液や細胞を用いて組織の修復や機能回復を促すことを目的とした治療 インピンジメント症候群の治療は、保存療法が基本です。肩への負担がかかる動作を見直しながら、リハビリで肩関節の機能回復を図ります。症状の程度に応じて、消炎鎮痛薬などの薬物療法・ステロイド注射・温熱療法や電気療法といった物理療法を併用することがあります。 保存療法で十分な改善が得られない場合は、手術療法や再生医療が検討されますが、いずれも医師の診断が必要です。 保存療法(安静・動作制限・リハビリテーション) 目的 詳細 炎症を落ち着かせて症状の悪化を防ぐ 肩への負担を減らす安静や動作制限による炎症悪化の予防と症状軽減 肩関節の可動域を回復させる リハビリによる関節や周囲組織の柔軟性維持と可動域改善 腱板や肩甲骨周囲筋の機能を改善する 腱板や肩甲骨周囲筋を強化することで、肩関節の安定性を高める 手術を回避できる可能性がある 保存療法による症状改善によって手術を回避できる可能性 (文献1) インピンジメント症候群の治療は、手術を行わない保存療法が基本です。炎症を落ち着かせながら筋肉・関節の機能を改善し、肩関節の動きを正常に近づけることが目的です。 なかでもリハビリやストレッチといった運動療法は、肩関節の動きを整える上で中心的な役割を担います。運動療法を主体とした保存療法の有効性は、多くの研究で報告されています。(文献2) 薬物療法 目的 詳細 炎症の程度を和らげる手助け 消炎鎮痛薬などによる肩関節周囲の炎症反応の抑制 運動療法の効果を高めるサポート 炎症軽減による関節可動性の改善とリハビリ実施のしやすさ 継続的な治療環境を整える 炎症反応の一時的な軽減による理学療法やストレッチ継続の補助 (文献3) 薬物療法は、肩関節周囲の炎症を抑えることを目的に用いられます。炎症が強い状態では、肩を動かすたびに組織へ刺激が加わり、リハビリの進行に支障をきたすことがあります。 消炎鎮痛薬によって炎症を抑えることで関節の動きが改善しやすくなり、運動療法を進めやすくなりますが、薬物療法は原因そのものを治すものではなく、リハビリと併用する補助的な治療です。 ステロイド注射(肩峰下滑液包内注射) 目的 詳細 炎症が強い時期の反応を抑える 肩峰下滑液包へのステロイド注射による局所炎症反応の抑制 リハビリの効果を高める補助 炎症軽減による肩関節可動性の改善と運動療法実施のしやすさ 治療を進めやすくする環境づくり 症状が強い時期の反応軽減によるリハビリ継続の支援 (文献4) ステロイド注射(肩峰下滑液包内注射)は、肩峰下スペースの炎症を抑えることを主な目的とする治療です。 炎症が強い時期は肩を動かすたびに組織への刺激が生じ、リハビリやストレッチを進めにくくなります。そのため、注射によって炎症が落ち着くと関節の動きが改善しやすくなり、運動療法にも取り組みやすくなります。 物理療法(温熱療法・電気療法など) 治療法 詳細 温熱療法 肩周囲の血流促進による筋肉・組織の柔軟性向上と運動療法実施のしやすさ 電気療法 電気刺激による筋緊張の緩和と肩関節可動域訓練・筋力訓練の補助 インピンジメント症候群では、炎症によって筋肉のこわばりや肩周囲の緊張が生じ、リハビリの妨げになることがあります。 温熱療法は肩周囲の血流を促し、筋肉や組織の柔軟性を高めることで、運動に取り組みやすい状態を整える治療です。一方、電気療法は筋肉や神経に刺激を与え、筋緊張の調整や可動域訓練を補助します。 これらの物理療法は、リハビリやストレッチの前処置として併用され、運動療法の効果を高める補助的な治療です。 手術療法 保存療法を続けても症状が改善しない場合、手術療法が検討されます。手術の目的は、肩峰下スペースで生じている腱板や滑液包への圧迫を取り除き、組織が挟まれにくい状態をつくることです。 代表的な術式として、関節鏡を用いて滑液包の処置や骨を整える肩峰下除圧術が行われます。 腱板断裂や骨の変形など構造的な問題がある場合は、腱板修復術が選択されることもあります。手術の適応は、症状の程度や日常生活への影響をもとに判断されます。 再生医療 インピンジメント症候群では、腱や周囲組織への繰り返しの負担により、炎症やこわばりが慢性化することがあります。このような場合、運動療法に加えて組織の回復を促す目的で再生医療が検討されることがあります。(文献5) 再生医療のひとつであるPRP(多血小板血漿)療法は、血液から濃縮した血小板を患部に注射する治療法です。 血小板に含まれる成長因子が組織修復を促すと考えられており、インピンジメント症候群に対するPRP注射後に、肩関節の可動域や機能の改善がみられたとする報告もあります。(文献5) 従来の保存療法で十分な改善が得られない場合や手術を避けたい場合には、組織の修復プロセスへの働きかけが期待されるPRPや幹細胞などの再生療法が治療の選択肢として検討されることがあります。(文献6) 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 インピンジメント症候群におけるリハビリ・ストレッチ方法 リハビリ・ストレッチ方法 詳細 炎症に対するリハビリ・ストレッチ 炎症が強い時期に肩関節へ過度な負担をかけず、可動域の維持や関節のこわばり予防を目的とした軽い運動 猫背を改善するリハビリ・ストレッチ 胸郭や肩甲骨周囲の柔軟性向上による姿勢改善と肩関節への負担軽減を目的としたストレッチ 肩関節の動きを改善するリハビリ 肩関節後方組織の柔軟性向上や可動域の改善を目的としたストレッチや関節運動 腱板機能を改善するトレーニング 腱板や肩甲骨周囲筋の筋力強化による肩関節の安定性向上とインピンジメント予防を目的とした運動 インピンジメント症候群の改善には、肩関節だけでなく姿勢や周囲筋の機能を整えるリハビリ・ストレッチが欠かせません。炎症が強い時期は関節への負担を抑えた軽い運動で可動域を維持し、状態に応じて姿勢改善や肩甲骨周囲の柔軟性を高めるストレッチへ移行します。 さらに肩関節の動きを改善する運動や腱板・肩甲骨周囲筋のトレーニングを加えることで、肩関節の安定性を高め、再発予防と機能回復につなげます。 以下の記事では、インピンジメント症候群のリハビリ前に行うセルフチェックについて詳しく解説しています。 炎症に対するリハビリ・ストレッチ 肩を動かしていない状態でも違和感が出る場合や、夜間に症状が強くなる場合は、インピンジメントにより肩周囲の組織に炎症が生じている可能性があります。 このような時期は無理に運動を行うよりも、炎症を落ち着かせる対応を優先します。具体的には、肩のアイシングや安静時のポジショニング(肩の位置の調整)を行い、肩関節への負担を軽減する方法です。 ポジショニングでは、肩や肘の下にタオルなどを入れ、肩に負担がかかりにくい姿勢を保つことが大切です。 振り子運動 手順 動作 ポイント 1.上体を支える 痛みのない方の手を机や椅子の背もたれに置き、上体を安定させる 前傾姿勢になりすぎないよう注意 2.腕の力を抜く 痛みのある方の腕をだらりと下げ、完全に脱力する 肩に力が入らないよう意識する 3.身体をゆっくり動かす 身体を小さく前後・左右・円を描くようにゆっくり揺らす(1回20〜30秒) 腕を自分で動かさず、身体の揺れに任せる 4.腕が「つられて動く」状態をつくる 身体の揺れに合わせて腕が自然に動いている状態が理想 肩を動かす意識を持たないことが大切 振り子運動は、肩の症状が強い時期でも取り組みやすい基本的なリハビリです。腕の重みを利用して肩関節を軽く動かすことで、炎症によるこわばりの軽減や血流改善が期待されます。 方法は、症状のない側の手を机や椅子に置いて上体を支え、症状のある側の腕を脱力して自然に下げます。その状態で身体を小さく前後・左右、または円を描くようにゆっくり動かします。 振り子運動の姿勢は以下の画像を参考に行うと良いでしょう。 運動中は肩を意識して動かすのではなく、身体の揺れに合わせて腕が自然に動く状態を保ちます。症状が強く出る範囲まで動かさず、肩に力を入れないことも大切です。 入浴後など筋肉が緩みやすいタイミングで行うと取り組みやすく、状態に応じて振り幅を少しずつ広げていきます。 猫背を改善するリハビリ・ストレッチ 猫背になると肩甲骨の動きが妨げられ、肩関節の正常な動きが損なわれるためインピンジメントが起こりやすくなります。 肩関節を動かしにくい時期でも、姿勢改善のリハビリは肩関節を動かさずに行えるため、積極的に取り組むことが大切です。 ストレッチポールでのストレッチ 手順 動作 ポイント 1.準備 ストレッチポールを床に置き、頭から尾骨まで背骨に沿って仰向けに寝る ポールが背骨と一直線になる位置に調整する 2.足を安定させる 膝を軽く曲げ、足裏を床につけて安定させる この姿勢で背中・胸郭がリラックスしやすくなる 3.腕を広げる 両腕を自然に横へ広げる 肘を軽く曲げるなど、無理のない位置で行う 4.深呼吸する ゆっくり深呼吸しながら胸を開く(5〜10回) 呼吸を止めず、ゆったりと繰り返す 5.慣れてきたら 腕を大きく円を描くようにゆっくり動かす(肩回し)を加える 肩甲骨の可動性向上にも効果的 ストレッチポールを用いたストレッチは、猫背姿勢の改善と胸郭の柔軟性向上を目的としたリハビリです。ポールの上に仰向けで寝ることで背骨が自然に伸び、胸が開きやすい姿勢が得られます。これにより胸部前面や肩甲骨周囲の筋肉が伸ばされ、猫背による肩・背中のこわばり軽減が期待されます。 以下の画像のようにストレッチポールの上に仰向けで寝て、胸を開くように背中をストレッチしましょう。 ストレッチポールを背骨のラインに沿って置き、頭から尾骨まで一直線になる位置で仰向けになります。膝を軽く曲げて足を床につけ、両腕を無理のない位置に広げましょう。 そのままゆっくりと深呼吸を繰り返し、胸を開く意識で身体をリラックスさせます。慣れてきたら腕を円を描くように動かし、肩甲骨の可動性を高める運動を加えます。 Cat&Dogストレッチ 手順 動作 ポイント 1.準備 四つ這いになり、手は肩幅よりやや広め・膝は腰幅に置く 背骨が中立になる位置に身体を整える 2.Cat(猫のポーズ) 息を吐きながら背中を丸め、おへそを見るように背骨を伸ばす 両肩甲骨を外側に引き離す意識で背中全体を丸くする 3.Dog(犬のポーズ) 息を吸いながら背中をゆっくり反らせ、胸を前方に押し出す 肩甲骨を内側に寄せ、胸を軽く開く感覚で行う 4.繰り返す 2と3を呼吸に合わせてゆっくり5〜10回繰り返す 無理のない範囲で行う (文献7) Cat&Dogストレッチは、背骨(脊柱)や肩甲骨周囲の柔軟性を高め、猫背などの姿勢不良の改善を目的とした体操です。 四つ這いの姿勢で背中を丸めたり反らしたりする動作を繰り返すことで脊柱全体の可動性が高まり、肩や背中への負担軽減が期待されます。デスクワークなどで背中が丸まりやすい方にも取り入れやすい運動です。 Cat&Dogストレッチの姿勢は以下の画像を参考に行いましょう。 四つ這いの姿勢で手を肩幅よりやや広め、膝を腰幅に置き、背骨を中立の位置に整えます。息を吐きながら背中を丸めておへそを見るように動かし、息を吸いながら胸を前に出すように背中をゆっくり反らせます。 この動作を呼吸に合わせて5〜10回繰り返します。急に大きく動かすと肩や腰に負担がかかるため、背骨全体をゆっくり動かす意識で行いましょう。 肩関節の動きを改善するリハビリ 炎症が落ち着いてきた段階では、肩関節の可動域を改善するストレッチを取り入れます。肩後方の組織が硬くなると腕を上げる動作が制限され、肩峰下での衝突が起こりやすくなります。そのため、肩後方の関節包や周囲筋の柔軟性を高めるストレッチが有効とされており、無理のない範囲で行いながら可動域を徐々に広げていくことが大切です。 クロスボディストレッチ 手順 動作 ポイント 1.腕を上げる 症状のある側の腕を肩の高さまで上げる 肩に力を入れず自然な高さで止める 2.腕を引き寄せる 反対の手で肘を掴み、身体の内側へゆっくり引き寄せる 急に引きすぎず、無理のない範囲で行う 3.キープする 肩後方が伸びているのを確認しながら30秒保持する 呼吸を止めず、ゆっくり深呼吸しながら保持する クロスボディストレッチは、肩関節後方の柔軟性を高める運動です。腕を身体の前で反対側へ引き寄せ、肩後方が伸びる位置で保持します。反対の手で肘を支えると、姿勢を安定させやすくなります。 ストレッチは以下の画像を参考に行いましょう 肩後方組織の柔軟性が高まることで、肩関節の動きが改善しやすくなります。動作はゆっくり行い、強く引きすぎないようにしましょう。 スリーパーストレッチ 手順 動作 ポイント 1.横向きに寝る ストレッチする側の肩が下になるように横向きに寝る 身体がぐらつかないよう安定した姿勢を保つ 2.腕を肩の高さに合わせる 脇を開き、腕を肩の高さに合わせる 肩に力を入れず自然な位置に置く 3.肘を曲げる 肘を直角(90度)に曲げる(前ならえの形) 肩・肘・手首が一直線になるよう意識する 4.前腕を倒す 反対の手で前腕をゆっくり床方向へ内側に倒す 急に押し込まず、伸び感を感じる位置で止める 5.キープする 限界まで倒した状態で30秒ほど保持する 呼吸を止めず、肩後方の伸びを確認しながら保持する スリーパーストレッチは、肩の内旋可動域を改善する運動です。横向きに寝た状態で肘を90度曲げ、前腕を床方向へゆっくり倒します。 肩後方が伸びる位置で一定時間保持します。肩関節後方の柔軟性を高める方法として広く用いられており、無理に押し込まずゆっくり行いましょう。 腱板機能を改善するトレーニング 腱板(ローテーターカフ)とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つの筋肉の総称です。これらは肩関節を包み込むように位置し、関節を安定させながら腕を滑らかに動かす役割を担っています。 腱板の機能が低下すると肩関節の安定性が損なわれ、動きのバランスが崩れることでインピンジメント(肩峰下での組織の挟み込み)が起こりやすくなります。そのため、腱板の筋力や協調性を高める運動を取り入れ、肩関節の安定性と動作の改善を図ることが大切です。 棘上筋トレーニング 棘上筋は腱板を構成する筋肉のひとつで、腕を持ち上げる動作や肩関節の安定に重要な役割を担います。インピンジメント症候群では、この筋肉の機能が低下すると肩関節の動きのバランスが崩れ、症状の要因となることがあります。 そのため、リハビリでは棘上筋の筋力や働きを高めるトレーニングが取り入れられます。腱板は関節を安定させるインナーマッスルであるため、強い負荷よりも軽い負荷で丁寧に動かすことが大切です。 以下は腱板のひとつである棘上筋のトレーニング手順です。 手順 動作 ポイント 1.準備 腕を身体の横につけ、親指が上を向くようにする 肩に力を入れず自然な位置に腕を置く 2.腕を上げる 肘を伸ばしたまま、身体から腕が離れるようにゆっくり上げる 反動をつけず、ゆっくりと持ち上げる 3.元に戻す バレーボール1個分程度の高さまで上げたら、ゆっくり元の位置に戻す 下ろす動作も力を抜かずコントロールして行う 負荷を加える場合は、500mlのペットボトルやトレーニングチューブを使用します。軽い負荷で20〜30回を目安に3〜4セット行うのが一般的です。腕を高く上げすぎると他の筋肉が優位に働くため、無理のない範囲で行いましょう。 チューブがある場合、以下の棘上筋トレーニングも導入できます。 手順 動作 ポイント 1.チューブを握る 鍛えたい側の手でチューブを握る 握りすぎず、自然な力加減で持つ 2.チューブを固定する 反対側の足でチューブを踏んで固定する チューブがずれないよう足の中央で踏む 3.持ち上げる 肘を伸ばしたまま3〜5秒かけてチューブをゆっくり持ち上げる 反動をつけず、肩に力を入れすぎない 4.元に戻す 3〜5秒かけて元の位置にゆっくり戻す 下ろす動作も力を抜かずコントロールして行う この運動は1セット15回を目安に3〜4セット行います。動作を速くすると筋肉への刺激が弱まるため、ゆっくりとした動きで行いましょう。 棘下筋・肩甲下筋トレーニング 棘下筋と肩甲下筋は腱板を構成する筋肉で、肩関節の回旋動作を担い互いに反対の働きをします。これらが適切に機能することで肩関節の安定性が保たれ、腕を動かす際のバランスが整います。 以下の手順を参考に取り組みましょう。 ※反対の動きが肩甲下筋のトレーニングになります 手順 動作 ポイント 1.準備 脇を閉じ、肘を90度に曲げて身体の横につける 脇が開かないよう意識する 2.外旋(棘下筋) 脇を閉じたまま、前腕を外側へゆっくり開く 脇が浮かないようにし、肩だけを回す意識で行う 3.内旋(肩甲下筋) 脇を閉じたまま、前腕を内側へゆっくり戻す 反動をつけず、ゆっくりコントロールして行う これらのトレーニングはチューブなどを用いて軽い負荷で行い、回数を多めにするのが一般的です。腱板は関節を安定させるインナーマッスルであるため、強い負荷よりも丁寧な動作を繰り返すことが大切です。 また、1〜2kgのダンベルがある場合、以下のトレーニングも実施できます。 手順 動作 ポイント 1.横向きに寝る 身体の側部を床につけて寝転がり、膝と背中を軽く曲げる 身体が前後にぐらつかないよう安定した姿勢を保つ 2.肘を固定する 鍛えたい側の肘を身体につけ、前腕を床に対して垂直に曲げる 肘が身体から離れないよう意識する 3.持ち上げる ダンベルを持ち、胸の近くまでゆっくり持ち上げる 反動をつけず、肩の回旋だけで動かす意識で行う 4.元に戻す ダンベルが床につく手前までゆっくり下げる 下ろす動作も力を抜かずコントロールして行う この動作を15回で1セットとし、3〜4セット程度行います。ゆっくりとした動作を意識し、無理のない範囲で継続することが重要です。 インピンジメント症候群の治療目安 重症度レベル 詳細 回復期間の目安 軽度 日常生活への影響が少ない状態 1〜3週間 中等度 関節の動きに制限がみられる状態 3〜6週間 重度 日常生活にも影響が出る状態 6〜12週間以上 (文献8) インピンジメント症候群の治療期間は、症状の程度や原因によって異なりますが、保存療法を中心に数週間〜数カ月かけて徐々に改善していくケースが多いとされています。 炎症を落ち着かせながらリハビリで筋力や可動域を回復させるため、一定の治療期間が必要です。無理に肩を動かすよりも、適切な治療とリハビリを継続することが回復につながります。 インピンジメント症候群の治し方を正しく理解し適切な治療を講じよう インピンジメント症候群は、肩関節だけでなく姿勢や筋機能など複数の要因が関係することが多い疾患です。そのため、症状を抑える治療だけでなく、原因となる動作や姿勢を見直す必要があります。 保存療法やリハビリで改善が期待できるケースも多いため、医療機関で状態を確認しながら適切な治療を継続することが大切です。 インピンジメント症候群の治療にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、状態や症状に応じて、再生医療を治療選択肢のひとつとして検討できます。 インピンジメント症候群では、腱や周囲組織への繰り返しの負担によって炎症やこわばりが慢性化することがあります。こうした場合、再生医療が治療の選択肢として検討されることがあります。 再生医療は、身体本来の組織修復の働きを活かして改善を目指す治療法で、手術療法や長期的な薬物療法とは異なるアプローチとして用いられることがあります。適応や効果には個人差があるため、医師と相談しながら検討することが大切です。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 治療方法の選択肢のひとつとして、ぜひ以下の動画もご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=B4Vx0of7CsE インピンジメント症候群の治し方に関するよくある質問 インピンジメント症候群の再発を防止するにはどうすれば良いですか? インピンジメント症候群の再発予防には肩への負担を見直し、必要に応じて専門家にフォームや動作の指導を受けながら、運動後のアイシングや十分な休息を取り入れることが大切です。 再発を予防するために、以下のポイントを押さえておきましょう。 予防のポイント 内容 投球・送球フォームの見直し 医師や専門家の指導のもと、肩に負担がかかりにくいフォームへの調整 アイシング・休息の確保 運動後のアイシングや十分な休息による肩周囲組織の負担軽減 ウォームアップ・クールダウンの実施 運動前後の準備運動や整理運動による筋肉・関節の負担予防 肩周囲の筋力トレーニング 腱板や肩甲骨周囲筋の筋力維持による肩関節の安定性向上 ストレッチの習慣化 肩や背中の柔軟性向上による関節可動域の維持と負担軽減 ウォームアップ・クールダウンを習慣づけ、腱板や肩甲骨周囲の筋力トレーニングとストレッチを継続することで肩関節の安定性と柔軟性を保ち、再発予防につながります。 インピンジメント症候群に効くツボはありますか? ツボ 位置 肩髃(けんぐう) 肩峰のやや前下方、肩甲骨の端付近 肩井(けんせい) 首のつけ根と肩先の中間付近 インピンジメント症候群では、肩髃(けんぐう)や肩井(けんせい)などのツボが挙げられることがあります。 これらを指圧することで肩周囲の緊張が和らぐ可能性はありますが、ツボ刺激によってインピンジメント症候群そのものを改善できるかについては科学的根拠が十分とはいえません。 ツボ刺激のみに頼るのではなく、医療機関で状態を評価した上でリハビリや運動療法など適切な治療を行うことが大切です。 インピンジメント症候群の治療において禁忌はありますか? 注意点 理由 痛みを伴う運動やストレッチを無理に続けること 痛みを我慢して肩を動かすと炎症が悪化し、回復が遅れる可能性 腕を頭上に上げる動作や過度な負荷の運動 オーバーヘッド動作や重量トレーニングで腱板が骨に挟まれやすくなるため症状悪化の可能性 肩に強い負担がかかるトレーニング(ベンチプレス・アップライトローなど) 肩関節の圧迫が強まり、腱や滑液包への刺激が増えるため回復期は回避が推奨 痛みがある状態での過度な反復動作(投球・水泳など) 肩を繰り返し頭上に動かすことで炎症が悪化する可能性 (文献9) インピンジメント症候群の治療において禁忌とされる動作は多くありません。しかし、不快感を我慢して運動を続けたり、腕を頭上に上げる動作や高負荷トレーニングを行ったりすると、腱板や滑液包への刺激が増して症状が悪化する可能性があります。 とくに回復期は肩への過度な負担を避けることが大切です。医師や理学療法士の指導のもと、肩の状態に合わせて段階的にリハビリを進めることが望ましいとされています。 参考文献 (文献1) Effectiveness of conservative interventions including exercise, manual therapy and medical management in adults with shoulder impingement: a systematic review and meta-analysis of RCTs|BMJ Journals (文献2) An Update of Systematic Reviews Examining the Effectiveness of Conservative Physical Therapy Interventions for Subacromial Shoulder Pain|MOVEMENT SCIENCE MEDIA JOSPT (文献3) What is - Shoulder Impingement|Shoulder Impingement (文献4) Comparison of corticosteroid injection, physiotherapy and combined treatment for patients with chronic subacromial bursitis - A randomised controlled trial|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献5) Efficacy of Single Injection of Platelet-Rich Plasma in Shoulder Impingement Syndrome|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献6) Regenerative medicine: Do PRP and stem cell therapies help sports injuries heal faster? | UT Southwestern Medical Center (文献7) Cat-Cow Stretch: How To Do It and Benefits|Cleveland Clinic (文献8) Depends Severity Acute vs Chronic|Liv Hospital (文献9) Impingement Syndrome of the Shoulder|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2023.03.24 -
- 腱板損傷・断裂
- インピンジメント症候群
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競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、手術や入院なしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
2022.08.15







