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野球肩|インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法とは

野球肩|インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について

野球やバトミントンなどオーバーヘッドスポーツで生じやすいインピンジメント症候群。投球動作で肩に痛みが生じる、いわゆる「野球肩」の一種として知られています。インピンジメントとは「衝突」という意味で、インピンジメント症候群は、肩の関節を構成する骨同士が衝突したり、骨の間に筋肉が挟まれたりして痛みが生じる状態です。

インピンジメントを引き起こす原因はさまざまで、原因に合わせたリハビリの実施が必要です。

今回は、インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について解説します。

インピンジメント症候群リハビリ

インピンジメント症候群に対するリハビリの目的

肩の関節は、背中にある肩甲骨と腕の骨である上腕骨、鎖骨によってできています。

上腕骨の先端にある球状の上腕骨頭(じょうわんこっとう)が肩甲骨のくぼみにはまるように作られる肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)が、一般的に肩関節と呼ばれる関節です。

インピンジメント症候群は、以下のような要因で、肩関節の正常な動きが妨げられるため生じます。

  • インピンジメント症候群の要因

  • ・関節周辺の組織が固くなり上腕骨頭の位置がずれる
  • ・猫背になり肩甲骨の動きが悪くなる
  • ・筋力が低下して上腕骨頭が正常とは異なる動きをする

これらの要因を改善して、インピンジメントを生じさせない動きを取り戻すのがリハビリの目的です。また、リハビリでは、インピンジメント症候群により生じた炎症の回復を補助する目的も含まれます。

次からは具体的なリハビリの内容を紹介します。

インピンジメント症候群のリハビリ|炎症への対応

肩を動かさなくても痛みがでる場合や、夜間に痛みがでる場合は、インピンジメントにより肩周辺の組織に炎症が生じている可能性があります。そのような状態では、積極的な運動よりも、炎症や痛みを和らげる対応が優先されます。

そのため、肩のアイシングや安静時のポジショニング(肩の位置の調整)を行い、肩にかかるストレスを軽減させるのが大切です。ポジショニングは、肩や肘の下にタオルなどを入れて痛みがないポジションを作ります。

振り子運動

また、運動では振り子運動により、自重を使った関節の運動を実施して、肩への負担をかけないようにします。振り子運動

インピンジメント症候群のリハビリ|猫背を改善するリハビリ

猫背になると、肩甲骨の動きが妨げられるため、正常な肩関節の動きが生じずに、インピンジメントを引き起こしやすくなります。

肩の痛みがあり肩関節を動かしにくいときでも、猫背を改善するリハビリは、肩関節を動かさずに実施できるため、積極的に取り組みましょう。

具体的な方法は以下の通りです。

ストレッチポールでのストレッチ

ストレッチポールの上に仰向けで寝て、胸を開いて背中をストレッチします。

ストレッチポールでのストレッチ

cat & dogストレッチ

四つ這いで背中を丸めたり、反らしたりする「cat & dog」の運動もおすすめです。キャットバック

インピンジメント症候群のリハビリ|肩関節の動きを改善するリハビリ

インピンジメントを起こす原因の1つが、肩の関節周辺にある組織の柔軟性低下です。特に肩の後ろの組織が固くなると、上腕骨頭が前方にずれてしまい、正常な肩関節の運動ができません。その結果、インピンジメントが生じやすくなります。

そこで、肩の後ろで関節を覆っており、動きの制限になりやすい後方関節包(こうほうかんせつほう)のストレッチを紹介します。

クロスボディストレッチ

1つ目の方法は座った状態または立った状態で行います。

具体的な方法は以下の通りです。

  • 1, 痛みのある方の腕を肩の高さまで上げる
  • 2, 反対の手で肘を掴んで体の内側に引きよせる
  • 3, 肩の後ろが伸ばされるのを確認しながら30秒キープする
    クロスボディストレッチ

痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。

スリーパーストレッチ

2つ目の方法は横向きに寝て行うストレッチです。

具体的な方法を解説します。

  • スリーパーストレッチ
  • 1, ストレッチする方の肩が下になるように横向きに寝る
  • 2, 腕を肩の高さに合わせるように脇を開く
  • 3, 肘を直角に曲げて前腕を立たせる
  • 4, 反対の手で立てた前腕をゆっくり内側に倒す
  • 5, 限界まで倒した状態で30秒キープする

強く抑えるように倒すと痛みが出やすいので、ゆっくり力を入れずに倒しましょう。

インピンジメント症候群のリハビリ|腱板機能を改善するリハビリ

腱板(ローテーターカフ)は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ以下の4つの筋肉をまとめた呼び方です。

腱板の図

  • 腱板とは

  • ・棘上筋(きょくじょうきん)
  • ・棘下筋(きょくかきん)
  • ・肩甲下筋(けんこうかきん)
  • ・小円筋(しょうえんきん)

肩関節をおおうように位置しており、肩関節を安定させて、スムーズに動かせるようにする役割を持っています。そのため、腱板をうまく使えないと、肩関節が不安定になり、正常な関節の運動ができず、インピンジメントを引き起こします。

そこで、腱板の機能を改善するリハビリを紹介します。

棘上筋トレーニング

腱板の1つである棘上筋のトレーニングを紹介します。

  • 1, 腕を体の横につけて、親指が上になるようにする
  • 2, 肘を伸ばしたままで、体から腕が離れるように上げる
  • 3, バレーボール1個分程度まで上げた後で元に戻す

負荷をかける場合は、500mlのペットボトルやチューブを使用しましょう。

腱板は関節を安定させるインナーマッスルですので、負荷は軽めにして20〜30回を目安に3〜4セット行いましょう。

棘下筋・肩甲下筋トレーニング

棘下筋と肩甲下筋は、お互い対照的な働きをする筋肉です。

そのため、棘下筋のトレーニングと反対の動きをすると肩甲下筋のトレーニングになります。

  • 1, 腕を体の横につけて、肘を直角に曲げる
  • 2, 脇を開かないように注意して、手を外側に動かしたり、戻したりする(棘下筋トレーニング)
  • 3, 肩甲下筋をトレーニングする場合は、反対に手を内側に動かしたり、戻したりする

脇を開くと、ほかの筋肉が働いてしまうため、棘下筋、肩甲下筋のどちらのトレーニングでも、脇を開かないように注意しましょう。

棘上筋トレーニングと同様、チューブなどを使い、軽めの負荷で、頻度を多く行いましょう。

まとめ・野球肩!インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について

インピンジメント症候群は肩の柔軟性低下や腱板機能の低下、悪い姿勢によって、正常な関節の運動ができないことで生じます。そのため、リハビリにより、原因となっている部分を改善して、肩関節の正常な運動を可能にする必要があります。

本記事では、原因ごとに基本的なリハビリ方法を紹介しました。より効果を高めるためには、整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家による指導を受けましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

▶治療方法の選択肢のひとつとして、こちらの動画も是非ご覧ください。

No.S120

監修:医師 加藤 秀一

 

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