ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法
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ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法
競技や趣味にかかわらずゴルフを行っていればゴルフ肩(スイングショルダー)という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。また実際にゴルフ肩で悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
この記事ではゴルフ肩(スイングショルダー)について、その症状や原因と治療法について、医師が解説させて頂きます。なお本記事では一般的な注意点などについて解説しておりますので、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをお勧めします。。
ゴルフ肩(スイングショルダー)とは
ゴルフ肩(スイングショルダー)について、この名称、実は特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般をいいます。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。
多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。
ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)としては「腱板損傷」、「腱板断裂」、「上腕二頭筋腱損傷」、「肩峰下インピンジメント」、「変形性関節症」、「肩関節の不安定性」などがあります。
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ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因
ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩が全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。
この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。
特にラウンドだけでなく練習中なども含めて、複雑な動きの組みあわされたスイング動作を繰り返し行うことによって、このような複数の動きの組み合わさることで肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間ゴルフをプレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。
前後いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。
ゴルフ肩(スイングショルダー)の検査
ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく、一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。
しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく、神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行することがあります。
より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためにレントゲンによる画像検査を施行することもあります。
また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。
ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法
ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく、一連の状況が起こす症状の総称であるため、傷害部位に応じた治療が必要になります。一般的には専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。
リハビリは、肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。
特にゴルフでは、体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。
ゴルフ肩(スイングショルダー)のリハビリと競技への復帰
ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。
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まとめ・ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法
今回の記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害はこのスポーツ競技特有のものです。
リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、なるべく早期に整形外科等、専門診療科に相談するようにしましょう。
手術を避ける再生医療という先端治療もあり、選択の幅も広がってまいりました。以上、参考になれば幸いです。
▶こちらの動画でも詳しく解説しています。是非ご覧ください。
No.083
監修:医師 坂本貞範
当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます