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石灰沈着性腱板炎とは、その原因と症状、治療法について

石灰沈着性腱板炎とは、その原因と症状、治療法について

石灰沈着性腱炎という症状をご存知でしょうか。

石灰沈着性腱炎は、筋肉や腱にカルシウムが沈着することで起こる病です。部位的には体のどこにでも起こる可能性がありますが、通常は「肩の腱板」で起こることが多く、そのために「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。

腱板は、上腕を肩につなぐ筋肉と腱の集まりです。この部分にカルシウムが蓄積すると、腕の可動域が制限されるだけでなく、激しい痛みも生じるようになります。

石灰沈着性腱板炎とは 腱板(上腕を肩につなぐ筋肉)にカルシウムが蓄積
  • 腕の動き(可動域)が制限される
  • 激しい痛み(夜間)

石灰沈着性腱板炎の女性

石灰沈着性腱板炎の原因や危険因子

石灰沈着性腱板炎は、肩が痛む場合の最も一般的な原因のひとつです。

石灰沈着性腱板炎が発症する原因は、腱板へのカルシウムの沈着ですが、このカルシウムとはリン酸カルシウムであり、リン酸カルシウムが結晶化することで、症状が発現します。

ただ、なぜリン酸カルシウムの沈着が起こるかは、実のところ、まだよく分かっていません。

リン酸カルシウムの結晶は、初めはどろっとしたミルク状なのですが、次第に固まりだして歯磨き粉状になり、最終的には硬く、そして大きくなっていきます。

なお、リン酸カルシウムの沈着は、遺伝的素因や糖尿病などの代謝性疾患などに伴うことが知られています。

またバスケットボールやテニスのようなスポーツをする人や、日常的に腕を上げ下げして重いもの持ち上げる仕事をする人に多く見られる病気です。

発症年齢は、一般的に40~60歳の成人に見られ、男性よりも女性の方が罹患しやすいと言われています。

石灰沈着性腱板炎の症状

石灰沈着性腱板炎になると肩の痛みがひどいために腕を動かせなかったり、眠れないという人もいます。その反面、約3分の1の方で、目立った症状を感じなていないという場合があります。

痛みを感じる場合は、夜間突然に激しい肩の痛みを感じることが多いと言われています。肩の前面または背面から腕にかけて痛みを感じることが多く、痛みは突然やってくることもあれば、徐々に増していくこともあります。

悪化すると痛みで腕を動かせない、髪をとかすとか、洗濯物を干すなどの腕を上げる動作で痛みを伴うこともあります。なお、発症後4週間程度強烈な痛みが続く急性型、運動時痛が6か月以上続く慢性型などがあります。

  • 石灰沈着性腱板炎の症状(痛み)
  • ・急性型(1か月(4週間)ほど強烈な痛みが続く)
  • ・慢性型(運動痛6か月程度続く)

石灰沈着性腱板炎の診断

異常な肩の痛みや持続的な肩の痛みを自覚した場合に、疑われます。

診察では、腕を上げたり、腕を回したりして、可動域の制限を確認します。診察の後、カルシウムの沈着やその他の異常がないか調べるために、画像検査を行います。

通常は肩のX線検査により、石灰化した沈着物を明らかにすることができます。最近は、超音波検査を利用することもあり、X線検査では見逃された小さな沈着物を見つけ出すこともあります。

石灰化した沈着物の大きさや場所を正確に評価するためにCT検査をすることもありますし、腱板断裂が合併していないか確認するためにMRI検査をすることもあります。

診断ではいずれか或いは複合的に行われる

  • ・レントゲン検査
  • ・超音波エコー
  • ・CT検査
  • ・MRI検査

石灰沈着性腱板炎の治療法

多くの場合、石灰沈着性腱板炎は手術をせずに治療することができます。軽度の場合、薬物療法と理学療法を組み合わせたり、非外科的処置な処置を行ったりします。

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、治療の第一選択薬と考えられています。また痛みや、腫れを和らげるために、肩にステロイドと局所麻酔薬の注射を行うこともあります。

非外科的処置

急性期に、ミルク状のリン酸カルシウムを吸引することもあります。

肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去することができます。針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながら行うこともあります。

手術

約10%の人が、リン酸カルシウムの沈着物を除去するために手術を受けます。特に慢性型で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要となります。

手術では、関節鏡手術が好んで使われています。術後は1週間以内に通常の機能に戻る人もいれば、痛みが続いて活動が制限される場合もあります。

理学療法

痛みに十分対処したのち、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法が必要となります。

手術をしない場合は、肩の動きを回復するために穏やかなリハビリテーションを行うことになります。振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われます。時間をかけて、アイソメトリック運動や軽い負荷をかけた運動などを行うこともあります。

なお手術後の回復には、個人差があります。場合によっては、完全な回復に3ヶ月以上かかることもあります。そこで手術後のリハビリテーションが必要となります。

石灰沈着性腱板炎の予後

石灰沈着性腱板炎は、痛みを伴うこともありますが、早期に治癒する可能性が高いです。最終的には自然消滅しますが、治療せずに放置すると、合併症を引き起こす可能性があります。

この石灰沈着性腱板炎の合併症には、腱板断裂や四十肩などを含みます。

まとめ・石灰沈着性腱板炎とは、その原因と症状、治療法について

以上、石灰沈着性腱板炎の原因や危険因子、症状や治療法などについて説明をいたしました。

腱板断裂や四十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていないこともあります。もし、肩の痛みがなかなか治らない、肩の痛みの原因を知りたいなど、肩の痛みにお悩みの方は、ぜひ医療機関を受診されることをお勧めします。

 

No.058

監修:医師 坂本貞範

 

▼石灰沈着性腱板炎の合併症に多い症状
腱板断裂と四十肩(五十肩)はどう違うのか

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