-
- 脊椎
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「帯状疱疹が治ったのに、なぜ痛みが続くの?」「この痛みは一生続くのだろうか…」 このように不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 帯状疱疹後神経痛は、患者さんのQOL(生活の質)を大きく低下させ、日常生活に支障をきたす可能性があります。しかし、近年の研究によって、その生理学的メカニズムが少しずつ明らかになってきました。 この記事では、帯状疱疹後神経痛のメカニズムについて詳しく解説します。科学的な理解を深めることが、痛みを和らげる希望につながるでしょう。 帯状疱疹後神経痛とは? 帯状疱疹は、子どもの頃に多くの方が感染する水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因で起こる病気です。水痘が治った後も、ウイルスは体の中の神経の近くに潜んでいます。普段は眠っているこのウイルスが、なんらかのきっかけで再び活動をはじめることを「再活性化」と言います。 再活性化したウイルスは神経に沿って移動し、皮膚で増えることで発疹や水ぶくれを作ります。この時、強い痛みを感じることが多いです。多くの人は数週間で治りますが、中には痛みが長く続く人もいます。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。 帯状疱疹後神経痛は、痛みのせいで日常生活が送りにくくなることがあります。痛みが生活に与える影響を「QOL(生活の質)の低下」と表現します。 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの生活に大きな影響を与える可能性がある、つらい病気なのです。 帯状疱疹後神経痛の診断は、国際的な基準に基づいて行われます。この基準では、帯状疱疹の発疹が治ってから3か月以上続く痛みを「帯状疱疹後神経痛」と定義しています。痛みは、発疹があった場所に限らず、その周辺にも広がることがあります。 また、日本のペインクリニック学会でも、独自の診断基準を作成しています。この基準では、痛みの性質や部位、程度などを詳しく評価することが重要だとされています。 医師は、これらの基準を参考に、患者さんの症状や経過を詳しく調べることで、帯状疱疹後神経痛かどうかを判断します。もし、帯状疱疹にかかった後で、長く続く痛みに悩んでいるなら、専門医に相談してみることをおすすめします。 帯状疱疹後神経痛の生理学的メカニズム 帯状疱疹後神経痛は、体の中で複雑な変化が起こることによって引き起こされます。ここでは、その生理学的なメカニズムについて詳しく解説します。 神経細胞の損傷と再生 帯状疱疹の原因となるウイルスは、子どもの頃にかかる水ぼうそうが治った後も、体の中に潜んでいます。このウイルスは、神経の近くで長い間じっとしています。 ところが、何かのきっかけでウイルスが目覚めると、神経に沿って移動をはじめます。そして、皮膚の中で増えていくことで、発疹や水ぶくれを作るのです。 この時、ウイルスに感染した神経の細胞は、ダメージを受けてしまいます。神経細胞は、脳と体の各部分をつなぐ大切な役割を持っています。痛みを感じると、その信号を脳に伝えるのも神経細胞の仕事です。 しかし、ウイルスに攻撃された神経細胞は、うまく働けなくなってしまうのです。痛みの信号が脳に正しく伝わらなかったり、必要以上に強い痛みを感じてしまったりします。これが、帯状疱疹後神経痛の原因の一つだと考えられています。 神経細胞は傷ついても、少しずつ回復することができます。けれども、完全に元通りになるのはとても難しいのです。一度ダメージを受けた神経細胞は、以前のように痛みの信号を伝えられなくなってしまうこともあるのです。 このように、帯状疱疹後神経痛は、ウイルスによる神経細胞へのダメージが原因で起こると考えられています。神経の回復を助け、痛みを和らげる治療法の開発が、今も進められているところです。 痛みの伝達メカニズム 帯状疱疹後神経痛では、傷ついた神経細胞が過敏な状態になっているのが特徴です。そのため、本来なら痛みを感じないような軽い刺激でも、痛みとして脳に伝わってしまうのです。この状態を「アロディニア」と呼んでいます。 さらに、痛みの信号が体の中の神経の通り道で増幅されることで、より強い痛みを感じるようになることもあり得ます。このように、痛みを伝えるしくみに異常が起こることが、帯状疱疹後神経痛が長引く原因の一つと考えられているのです。 帯状疱疹後神経痛の痛みは、「侵害受容器の感作」や「中枢性感作」といった変化が関係していると考えられています。 侵害受容器は、痛みを感じ取る神経の末端にある受容体です。帯状疱疹によって神経が傷つくと、この侵害受容器が過敏になり、本来は痛みを感じない刺激でも痛みを感じるようになってしまいます。 また、痛みの信号が繰り返し脳に伝わることで、脳の痛みに対する反応も敏感になってしまう「中枢性感作」という変化が起こります。その結果、痛みがさらに強く感じられるようになるのです。 このように、帯状疱疹後神経痛の痛みには、神経のダメージによる末梢での変化と、脳での痛みの処理の変化が関わっていると考えられています。これらのメカニズムを理解することは、効果的な治療法の開発につながると期待されています。 免疫システムの役割 私たちの体には、病気から体を守ってくれる「免疫システム」があります。免疫システムは、ウイルスなどの侵入者から体を守る重要な役割を持っています。 しかし、年をとったり、ストレスを受けたりすると、この免疫システムがうまく働かなくなることがあります。免疫力が下がると、体の中に潜んでいた帯状疱疹のウイルスが、再び活動をはじめてしまうのです。 一方で、帯状疱疹後神経痛が起こる原因の一つに、免疫の反応が過剰になってしまうことが関係しているようです。本来、免疫システムはウイルスから体を守るために働きますが、時には行きすぎた反応を起こしてしまうことがあるのです。 この過剰な免疫反応によって、体の中で炎症を引き起こす物質が増えてしまいます。これらの物質は、神経を傷つけたり、過敏にしたりして、痛みを悪化させてしまう可能性があります。 つまり、帯状疱疹後神経痛は、免疫システムのバランスが崩れることが原因の一つになっていると考えられているのです。免疫力が下がることで、ウイルスが活性化し、また、免疫の反応が過剰になることで、痛みが長引いてしまうのです。 免疫システムを整えることが、帯状疱疹後神経痛の予防や治療に役立つかもしれません。バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理などが、免疫力を維持するために大切だと言われています。 帯状疱疹後神経痛の影響 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの生活の質に大きな影響を与えます。痛みは日常生活のあらゆる場面で支障をきたし、精神的な健康にも悪影響を及ぼすのです。 日常生活への影響 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの日常生活にさまざまな影響を与えます。 まず、痛みのために十分な睡眠がとれなくなることがよくあります。夜中に痛みで目が覚めてしまったり、痛みが気になって寝付けなかったりするのです。睡眠不足は、日中の活動にも影響を及ぼします。集中力が低下したり、疲れやすくなったりするでしょう。 また、痛みは仕事や家事の効率を下げてしまうことがあります。デスクワークでは、長時間同じ姿勢でいるのがつらくなったり、資料を運ぶのが難しくなったりするかもしれません。家事では、掃除や洗濯など、体を動かす作業が痛みで困難になる場合もあります。 外出時には、衣服が患部に触れることで痛みが増したり、長時間歩くのがつらかったりと、移動そのものが大変になることもあります。公共交通機関の利用や、買い物など、これまであたり前にできていたことが、痛みによって制限されてしまうのです。 趣味や社会活動も、痛みの影響を受けます。スポーツや運動が思うようにできなくなったり、外出が減ったことで人との交流が減ったりするかもしれません。痛みは、人とのコミュニケーションにも影響を及ぼすのです。 さらに、痛みは患者さまの心理状態にも影響を与えます。痛みが続くことで、イライラしたり、落ち込んだりする方もいます。痛みのコントロールができないことへの不安や、先の見えない闘病生活への疲れが、心の負担になるのです。 このように、帯状疱疹後神経痛は、患者さんの日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼします。仕事、家事、外出、趣味、人間関係、心理状態など、生活のすべての側面で、痛みがつきまとうのです。 しかし、適切な治療とサポートによって、これらの影響を最小限に抑えることができます。医療者と相談しながら、自分に合った痛みのコントロール方法を見つけることが大切です。また、家族や友人、同じ悩みを持つ人たちと支え合うことも、困難を乗り越える大きな力になるでしょう。 精神的健康への影響 長期的に持続する痛みは、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスを崩す可能性があります。これらの物質は気分の調整に重要な役割を果たすため、その不均衡がうつ症状につながる場合があるでしょう。 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの精神面にも大きな影響を与えます。慢性的な痛みはストレスを増大させ、不安やうつ症状を引き起こすことがあるのです。 痛みがなかなかコントロールできないことで、将来への不安を感じる患者さんも少なくありません。「このまずっと痛みに苦しむのだろうか」と悲観的になってしまう方もいるでしょう。 また、周囲の人が帯状疱疹後神経痛の痛みを理解してくれないと、患者さんは孤独感を抱えてしまうかもしれません。「自分だけが痛みに苦しんでいる」と感じ、心理的に追い詰められてしまう方もいます。 実際に、50代の女性は帯状疱疹後神経痛のために仕事を辞めざるを得なくなり、経済的な不安から抑うつ状態になってしまったそうです。また、80代の男性は痛みのために家族との関係がぎくしゃくし、孤独感から不眠に悩まされていたと言います。 このように、帯状疱疹後神経痛は患者さんの精神的な負担を大きくし、QOLを著しく低下させる可能性があるのです。痛みに苦しむ患者さんが、周囲の理解とサポートを得られるよう、社会全体で支えていくことが大切だといえるでしょう。 現在の治療法と未来の可能性 帯状疱疹後神経痛の治療には、日本ペインクリニック学会が発表しているガイドラインがあります。 ガイドラインによると、帯状疱疹後神経痛に対する治療法は、薬物療法を中心にさまざまな選択肢があります。現在の主な治療法とその効果について見ていきましょう。また、最新の研究で注目されている新たな治療法や予防法についても触れていきます。 伝統的治療法 帯状疱疹後神経痛の治療には、いくつかの種類の薬が用いられます。 治療法 説明 効果 副作用 三環系抗うつ薬 脳内の神経伝達物質のバランスを整える 痛みを和らげる効果が期待できる 眠気、口の渇きなど 抗てんかん薬(プレガバリン、ガバペンチンなど) 神経の過敏性を抑える 痛みを軽減する めまい、眠気など オピオイド鎮痛薬 脳内の痛みを抑える物質の働きを強める 強い痛みに対して鎮痛効果を発揮 便秘、嘔吐、依存性のリスク リドカインパッチ 患部に直接貼る 局所的に痛みを和らげる 皮膚刺激など 神経ブロック療法 痛みを伝える神経の近くに麻酔薬やステロイドを注射 痛みの伝達を遮断 感染リスク、一時的な神経障害など 経皮的電気神経刺激療法(TENS) 皮膚に電極を貼り、弱い電流を流す 痛みを感じにくくする 皮膚刺激、まれに筋肉の痙攣 まず、三環系抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、眠気や口の渇きなどの副作用に注意が必要です。 次に、プレガバリンやガバペンチンなどの抗てんかん薬は、神経の過敏な反応を抑えることで痛みを軽減します。めまいや眠気などの副作用がある場合もありますが、多くの患者さんで効果が見られています。 また、オピオイド鎮痛薬は、強い痛みに対して使用されることがあります。これらの薬は、脳内の痛みを抑える物質の働きを強めることで、鎮痛効果を発揮します。ただし、便秘や吐き気、依存性などの副作用のリスクがあるため、慎重に使用する必要があります。 このほか、リドカインパッチなどの貼り薬を痛みのある部分に直接貼ることで、局所的に痛みを和らげる方法もあります。神経ブロック療法では、痛みを伝える神経の近くに麻酔薬やステロイドを注射し、痛みの伝達を遮断します。 経皮的電気神経刺激療法(TENS)は、皮膚に電極を貼り、弱い電流を流すことで痛みを和らげる治療法です。この方法は、痛みの信号を脳に伝えにくくすることで効果を発揮します。皮膚への刺激感はありますが、大きな副作用は少なく、とくに薬物療法と組み合わせることで効果が期待できます。ただし、効果の程度には個人差があり、すべての患者さんに同じように効くわけではありません。 これらの治療法を組み合わせることで、多くの患者さんである程度の痛みの緩和が得られますが、完全に痛みをなくすことは難しいのが現状です。 最新の研究と将来の治療法 近年、帯状疱疹後神経痛に対する新たな治療法の開発が進んでいます。 治療法 説明 期待される効果 現状 カプサイシン貼付剤 トウガラシの辛み成分を含む貼り薬 痛みを伝える神経終末の感受性を低下させ、鎮痛効果を発揮 研究段階 ボツリヌス毒素注射 ボトックス注射として知られる 痛みに関連する神経伝達物質の放出を抑制し、痛みを和らげる 臨床試験中 帯状疱疹ワクチン 予防接種 帯状疱疹の発症そのものを予防し、結果として帯状疱疹後神経痛の発症も防ぐ 一部実用化 カプサイシン貼付剤は、唐辛子の辛み成分を含む貼り薬です。これを痛みのある部分に貼ることで、痛みを感じる神経の働きを弱め、痛みを和らげる効果が期待できます。 ボツリヌス毒素注射は、一般的にはしわ取りで知られるボトックス注射と同じものです。この注射は、痛みを伝える神経の働きを抑えることで、痛みを軽減する効果が期待されています。 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹そのものの発症を予防するワクチンです。このワクチンを接種することで、体の中で眠っている帯状疱疹のウイルスが活動をはじめるのを抑え、結果として帯状疱疹後神経痛の発症も防げる可能性があります。 これらの新しい治療法や予防法は、帯状疱疹後神経痛で苦しむ患者さんの痛みを和らげるための新たな選択肢として注目されています。帯状疱疹後神経痛の治療は日々進歩しており、患者さんの生活の質を改善するためのさまざまな方法が増えています。 まとめ:科学的理解がもたらす希望 痛みのメカニズムを理解することで、患者さんは自身の症状をより客観的に捉えられるようになります。たとえば、天候の変化で痛みが増す現象も、気圧の変化が神経に与える影響として説明できるでしょう。これにより、不安や恐れが軽減される可能性があります。 医療者や研究者たちは、帯状疱疹後神経痛のメカニズムを少しずつ解明してきました。ウイルスによる神経の傷、痛みの信号伝達の異常、免疫システムの関与など、複雑な要因が絡み合っていることがわかってきたのです。 この科学的な理解は、あなたが自分の症状と向き合う上で、大きな助けになるでしょう。痛みの原因が少しずつ明らかになることで、あなたは自分の状態をより正しく理解することができます。そして、その理解を基に、医師とともに、あなたに合った治療法を選ぶことができるでしょう。 現在、多くの治療選択肢があります。薬物療法、神経ブロック、心理療法など、さまざまなアプローチが試みられています。これらの治療法は、あなたの痛みを和らげ、生活の質を改善するために役立つかもしれません。 帯状疱疹後神経痛は、簡単には克服できない病気かもしれません。しかし、医療者や周りの人々に支えられながら、一歩ずつ前に進むことができます。今日の痛みに負けず、希望を持ち続けることが大切です。 たとえ痛みがあっても、あなたの人生にはまだ多くの可能性があります。医師と相談しながら、自分に合った方法で痛みと向き合い、日々の生活を送っていきましょう。小さな進歩や改善を大切にし、自分のペースで前に進んでいきましょう。 痛みを単なる'敵'ではなく、身体からのメッセージとして捉え直すことで、より建設的な対処が可能になります。たとえば、痛みが強い時は休息を取り、和らいだ時に少しずつ活動を増やすなど、痛みと共存しながら生活の質を高める方法を見出すことができるでしょう。 この記事が、帯状疱疹後神経痛についての理解を深め、今後の生活に少しでも役立つ情報となれば幸いです。 参考文献一覧 加藤実,帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法,日本臨床麻酔科学会vol.28,No.1/Jan.2008,J-STAGE 日本ペインクリニック学会,Key Point,オピオイド 日本ペインクリニック学会,ⅢーA帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛,第3章 各疾患・痛みに対するペインクリニック治療指針p095ー100 日本ペインクリニック学会,ペインクリニックで扱う疾患と治療の現在,帯状疱疹関連痛を含む神経障害性痛 日本ペインクリニック学会,Key Point,神経ブロック 日本ペインクリニック学会,Key Point,NSAIDsとアセトアミノフェン 日本ペインクリニック学会,Key Point,オピオイド 日本ペインクリニック学会,Key Point,抗うつ薬、抗痙攣薬 国立感染症研究所,帯状疱疹ワクチン ファクトシート,厚生労働省 日本ペインクリニック学会,神経障害性疼痛の概要 日本ペインクリニック学会,痛みの機序と分類
2024.11.27 -
- 脊椎
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「帯状疱疹が治ったのに、痛みが続く…」「痛くて夜も眠れない…」 このような帯状疱疹後神経痛にお悩みの方は多いのではないでしょうか。帯状疱疹後神経痛は、皮膚の症状が治まった後も数か月から数年にわたって続く可能性がある、非常につらい症状です。 病院での治療と併せてマッサージを取り入れると、痛みの緩和に役立つ可能性があります。ただし、マッサージには注意すべき点もあり、正しい知識を持って行うことが大切です。 この記事では、自宅でできる帯状疱疹後神経痛のマッサージや注意点について解説します。痛みを和らげ、生活の質を高めるヒントとしてお役立てください。 また帯状疱疹後神経痛は、皮膚症状が治った後も神経のダメージが残ることで痛みが長期化しやすく、日常生活に負担がかかるケースも少なくありません。 そのような方には治療の選択肢のひとつとして再生医療があります。 再生医療は、損傷した神経や炎症を抑え、痛みの根本原因にアプローチすることを目指す治療法で、詳細は以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?si=-Kvk7EX-xDZ2ABYK 【こんな方は再生医療をご検討ください】 処方された薬を続けても、痛みが改善しない 既存の治療では効果が見られない 薬の副作用が気になる、あるいはこれ以上薬を増やしたくない まずは具体的な治療法について、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 【自宅でできる】帯状疱疹後神経痛のマッサージ方法 マッサージを行う上で役立つ道具や準備、簡単に実践できるマッサージ法をご紹介します。 必要な道具と準備 簡単なセルフマッサージ法 マッサージには神経の損傷を治す効果はないため、あくまで補助的なケアとして取り入れましょう。 必要な道具と準備 セルフマッサージや介助者によるマッサージを行う際は、以下の道具を準備しましょう。 道具 用途 マッサージオイルやクリーム 肌の摩擦を減らし、マッサージをスムーズに行うのに役立ちます。 タオル オイルやクリームを拭き取るのに使います。 バスタオル マッサージ中に下に敷いておくと、オイルなどで周りが汚れるのを防げます。 枕やクッション 体を楽な姿勢に保つのに使います。 マッサージをはじめる前に、手を清潔にし爪を短く切っておくことが大切です。また、お風呂上がりなど、体が温まっているときにマッサージを行うと、より効果的です。 簡単なセルフマッサージ法 マッサージ方法 手順 円を描くようにマッサージ 痛みのある部分の周りを、指の腹で円を描くようにやさしくマッサージします。痛くない程度の圧で行いましょう。 遠くから近くへのマッサージ 痛みのある部分から少し離れたところを、両手で優しくさすります。徐々に痛みのある部分に近づけていきます。 手のひら全体で温める 痛みのある部分を、手のひら全体で包み込むようにして温めます。 これらのマッサージを1日に2~3回、それぞれ5分ほど行ってみてください。痛みを感じたら、無理せずに中止しましょう。 痛みが強い部位や手の届かない場所については、1人でのマッサージが難しい場合があります。家族や介護者にお願いするか、医師や理学療法士に相談することをおすすめします。 帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげるマッサージの種類 マッサージの種類 効果 トリガーポイントセラピー 筋肉内の痛みの引き金となる緊張点(トリガーポイント)を刺激し、筋肉の緊張による痛みの軽減を目指す リンパドレナージュ 優しくリンパの流れを促し、むくみによる神経への圧迫を和らげる スウェディッシュマッサージ 全身の血行を促進し神経の修復を助け、痛みを軽減する ツボマッサージ 神経痛や皮膚症状に対応するツボを刺激し、痛みの緩和や回復を促すと考えられている マッサージは症状や目的に応じて使い分け、神経痛に伴う筋肉の緊張や血行不良の改善を目指しましょう。 トリガーポイントセラピー トリガーポイントセラピーは、筋肉のこりや痛みの引き金となるポイントをほぐすマッサージ法です。神経痛による慢性的な筋緊張や姿勢の崩れがある場合、筋肉のこわばりを和らげる効果が見込めます。 トリガーポイントセラピーの手順は、以下の通りです。 張っている部分やしこりを感じる部分を探す 指先やテニスボールなどを使う 軽く押し当てて10秒程キープしてゆっくり離す、を繰り返す 痛いけど気持ち良いと感じる程度の刺激を与える トリガーポイントセラピーは、筋肉の深層にアプローチするイメージで行いましょう。 また、慢性的な痛みや痺れがある方は、医師や理学療法士など専門家の指導を受けましょう。 リンパドレナージュ リンパドレナージュは体内のリンパの流れを促し、老廃物や余分な水分の排出を助けるマッサージ法です。リンパの滞りによって起こるむくみや組織の圧迫を軽減し、帯状疱疹後神経痛による不快感を和らげる効果が期待できます。 リンパドレナージュのポイントは、以下の通りです。 痛みのない部位から始める 手のひら全体を使い、鎖骨周辺や脇の下、足の付け根など、リンパ節に向かって流すように皮膚をやさしくなでる 撫でた手を元に戻す 5~10回繰り返す 痛みが強い部分を無理にマッサージするとかえって悪化する可能性があります。発熱時やリンパ浮腫のある方は自己判断で行わず、医師に相談しましょう。 スウェディッシュマッサージ スウェディッシュマッサージは筋肉や関節など身体構造に沿ってやさしくアプローチする、伝統的な全身マッサージです。ヨーロッパでは医療やリハビリにも使われており、疲労回復やストレス軽減、免疫機能の向上が期待できます。 スウェディッシュマッサージのポイントは、以下の通りです。 オイルを少量手に取り、手のひらで温めてから肌に塗布する 力を入れすぎず、手のひらや指でゆっくり滑らせる オイルが馴染んだら、筋肉をこねたり揺らしたりして深層の筋肉を緩める 痛みの強い部位は避けましょう。また、高熱、皮膚疾患、血液循環系の病気がある方は、事前に医師に相談しましょう。 帯状疱疹後神経痛のツボマッサージ 東洋医学では、神経痛や皮膚症状に対応するツボを刺激して、痛みの緩和や回復を促すと考えられています。 帯状疱疹後神経痛と関わりが深いとされるツボは、以下の通りです。 ツボの名前 場所 期待できる主な作用 合谷(ごうこく) 親指の骨と人差しの骨の間 顔の痛み 至陰(しいん) 小指の爪の生え際から約3mm外側 背中、腰、臀部、ふくらはぎの痛み 竅陰(きょういん) 薬指の爪の生え際から約3mm外側 脇腹など身体の側面の痛み 太渓(たいけい) 内側のくるぶしとアキレス腱の間 身体のむくみ緩和 太白(たいはく) 足の親指、足の甲と足底の境目で、くぼみがある 腸内環境を整え、免疫機能の活性化を促す ツボは、1日1~2回、各2~3分程度を目安に無理のない範囲で行いましょう。 帯状疱疹後神経痛マッサージの注意点 マッサージは帯状疱疹後神経痛の症状緩和に効果的ですが、状況によっては控えるべき場合もあります。 ここでは、マッサージが推奨されない症状や健康状態、および適切なマッサージの頻度と強度について説明します。 注意すべき症状と状況 以下のような症状や状況では、マッサージは控えめにするか、医師に相談してから行いましょう。 症状や状況 理由 熱があるとき 体調が優れない場合、マッサージによって症状が悪化する可能性があります。 皮膚に炎症や傷があるとき マッサージによって皮膚の状態が悪化したり、感染のリスクが高まったりする可能性があります。 痛みが強くてマッサージに耐えられないとき 強い痛みがある場合、マッサージによって痛みが増強される可能性があります。 血栓症や出血しやすい病気があるとき マッサージによって血栓が移動したり、出血が起こったりする危険性があります。生命に関わる重大な事態を引き起こす可能性があるため避けましょう。 帯状疱疹の発疹が出ている時期 発疹部分へのマッサージは、症状を悪化させる可能性があります。 また、妊娠中の方は、念のため医師に相談してからマッサージを受けるようにしましょう。 マッサージの頻度と強度 マッサージを行う際は、適切な頻度と強度を守ることが大切です。 項目 推奨 頻度 1日1~2回、それぞれ10~20分程度が適当です。 強度 痛くない程度の圧から始め、徐々に圧を強めていきます。痛みのある部分は、痛みに合わせて加減しましょう。 マッサージは帯状疱疹後神経痛の緩和に役立つ手法ですが、適切な注意点を守ることが重要です。症状や体調に合わせてマッサージを行い、無理のない範囲で継続して痛みの緩和につなげましょう。 帯状疱疹後神経痛にマッサージが効果的な理由 帯状疱疹後神経痛にマッサージが効果的な理由は、以下の通りです。 理由 説明 血流を促進する 痛みがあると血液の流れが悪くなりがちです。 マッサージは血流を改善し、痛みを和らげる効果があります。 血液の流れが良くなると栄養分が行き渡りやすくなり、身体の回復を助けます。 筋肉の緊張を和らげる 痛みがあると筋肉が緊張しがちです。 マッサージは緊張をほぐし、痛みを和らげる効果があります。 リラックス効果をもたらす マッサージにはリラックス効果があります。 リラックスすると痛みに対する敏感さが下がり、痛みを和らげる効果が見込めます。 マッサージはあくまで補助的な治療であり、効果の出方には個人差があります。実施する際は、医師の指導を受けましょう。 まとめ|帯状疱疹後神経痛に効くマッサージ法 帯状疱疹後神経痛は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって神経が傷つき、痛みが残る状態です。 マッサージには損傷した神経を修復する作用はありませんが、筋肉の緊張緩和やストレス軽減を通じて、痛みの感じ方に影響を与えることがあります。 また、神経の損傷修復を促す新しいアプローチとして、細胞や血液を活用した再生医療による治療も選択肢の一つです。 帯状疱疹後神経痛による痛みにお悩みの方や、再生医療による治療に関心がある方は、当院「リペアセルクリニック」までお気軽にご相談ください。 帯状疱疹後神経痛に関してよくある質問 帯状疱疹後神経痛はいつまで続くの? 帯状疱疹後神経痛の持続期間には個人差があり、比較的若い方では数週間程度で治まることが多いとされています。一方で、高齢の方ほど長引く傾向があります。 帯状疱疹後神経痛の持続期間に関するデータは、以下の通りです。(文献1) 年齢 1カ月後に痛みがある方 3カ月後に痛みがある方 12カ月後に痛みがある方 60歳未満 約6% 約1.8% 0% 60~69歳 約9% 約12% 約4% 上記の研究では、5年以上痛みが続いたケースも確認されています。痛みを長引かせないためにも、帯状疱疹の段階からの早期治療が非常に重要です。 帯状疱疹の痛みを和らげる方法は? 帯状疱疹の痛みを和らげる方法は、以下の通りです。 絹など、刺激の少ない素材の衣類を選ぶ ストレスや疲労をためないよう、しっかり休息を取る 症状が落ち着いたら、入浴や蒸しタオル、カイロなどで体を温めて血行を促進する また、再生医療などを取り入れた新しい治療法も選択肢のひとつです。詳しくは当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。 参考文献 (文献1) 帯状疱疹の最初のエピソード後の帯状疱疹後神経痛の有病率|PubMed
2024.11.25 -
- 脊椎
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「帯状疱疹が治ったのに痛みが続くのはなぜ?」「帯状疱疹後神経痛にはどのような薬が効くの?」このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後遺症として起こる難治性の痛みです。 皮膚の痛みやしびれ、灼熱感などが長期間続き、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 今回は、帯状疱疹後神経痛に効果が期待できるさまざまな薬について、選択肢や効果、副作用などを詳しく紹介します。 この記事が、痛みに悩むあなたの治療選択の助けになれば幸いです。 また帯状疱疹後神経痛は鎮痛薬や神経に作用する薬を飲んでも痛みが慢性化しやすく、日常生活に大きな負担がかかるケースが少なくありません。 そのような方にとって、「再生医療」は新しい選択肢の一つです。 \帯状疱疹後神経痛に対する再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経や炎症を抑え、痛みの根本原因にアプローチすることを目指す治療法です。 治療法については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?si=-Kvk7EX-xDZ2ABYK 【こんな方は再生医療をご検討ください】 処方された薬を続けても、痛みが改善しない 既存の治療では効果が見られない 薬の副作用が気になる、あるいはこれ以上薬を増やしたくない 「薬を飲み続ける以外の選択肢」として、まずは具体的な治療法について、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 帯状疱疹後神経痛に使用される5つの薬 帯状疱疹後に残る神経痛には、症状に応じてさまざまな薬が使われます。 抗ウイルス薬 抗てんかん薬 抗うつ薬 鎮痛薬(オピオイド含む) トピカル治療薬 ここでは、よく処方される代表的な5種類の薬について、それぞれの特徴や働き、注意点などをわかりやすく解説します。 抗ウイルス薬 抗ウイルス薬とは、ウイルスの増殖を抑える薬のことです。 帯状疱疹後神経痛の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスの活動を抑えることで、神経の損傷を防ぎ、痛みの発症リスクを下げる効果が期待できます。 代表的な薬剤としては、アシクロビルやバラシクロビルなどがあります。 抗てんかん薬 抗てんかん薬とは、本来はてんかんの治療に用いられる薬ですが、神経の過剰な興奮を抑える働きがあるため、帯状疱疹後神経痛の治療にも使われます。 痛みの信号を伝える神経の活動を抑制することで、痛みを和らげる効果が期待できます。 代表的な薬剤としては、ガバペンチンやプレガバリン(リリカ)などがあります。 抗うつ薬 抗うつ薬とは、うつ病の治療に用いられる薬ですが、慢性の痛みに対しても効果があることが知られています。 セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを調整することで、痛みの信号を抑制し、痛みを和らげる効果が期待できます。 代表的な薬剤としては、三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(デュロキセチンなど)があります。 鎮痛薬(オピオイド含む) 鎮痛薬とは、痛みを和らげる薬の総称です。 帯状疱疹後神経痛に対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの一般的な鎮痛薬が使われることがあります。 また、痛みが強い場合には、オピオイド鎮痛薬(トラマドールなど)が処方されることもあります。 これらの薬は、痛みの信号を遮断したり、痛みを感じにくくしたりすることで、鎮痛効果を発揮します。 トピカル治療薬 トピカル治療薬とは、患部に直接塗布したり貼付したりする薬のことです。 帯状疱疹後神経痛に対しては、リドカインパッチやカプサイシンクリームなどが用いられることがあります。 これらの薬は、痛みの信号を局所的に遮断したり、痛みを感じにくくしたりすることで、症状の緩和に役立ちます。 帯状疱疹後神経痛の薬について紹介してきましたが、そもそもの原因や詳しい症状について知りたい方は、あわせて以下の記事をご覧ください。 帯状疱疹後神経痛の薬の効果と副作用 帯状疱疹後神経痛の治療に用いられる薬物は、痛みの伝達を遮断したり、神経の感受性を調整したりすることで鎮痛効果を発揮します。 ただし、薬の効果と同時に、副作用のリスクについても理解しておく必要があります。 以下の表で、それぞれの薬の効果、副作用をまとめています。 薬剤 効果 副作用 抗てんかん薬 神経細胞の興奮を抑制し、鎮痛効果を発揮 眠気、めまい、体重増加など 三環系抗うつ薬・SNRI 痛みの伝達を遮断 口渇、便秘、視力障害など 外用薬 局所的な鎮痛効果 塗布部位の皮膚炎など オピオイド 強力な鎮痛作用 嘔気、便秘、眠気、依存リスクなど これらの薬剤は、それぞれ異なる作用機序を持っていますが、いずれも帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげることを目的として使用されます。 抗てんかん薬は、神経の過剰な興奮を抑制することで、痛みの信号伝達を抑えます。 三環系抗うつ薬やSNRI(抗うつ薬の一種)は、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを調整し、痛みの伝達を遮断します。 外用薬は、患部に直接作用することで局所的な鎮痛効果を発揮します。 オピオイドは、強力な鎮痛作用を持っていますが、副作用や依存のリスクが比較的高いため、他の治療法で十分な効果が得られない場合に限って使用されます。 これらの薬剤の使用に際しては、患者様の状態や痛みの程度、他の合併症の有無などを考慮し、医師が適切な薬剤を選択します。 また、定期的なモニタリングを行いながら、効果と副作用のバランスを見極め、必要に応じて薬剤の種類や用量を調整していきます。 副作用については、患者様によって現れ方や程度が異なるため、医師や薬剤師からの説明を十分に理解し、異変を感じたら速やかに報告することが大切です。 【選定基準】薬の適した選び方 帯状疱疹後神経痛に適した薬を選ぶ際のポイントは、以下の表のとおりです。 年齢や、服用中の薬との相性、身体の状態などを加味して選択されます。 考慮すべき要因 具体的な内容 年齢 高齢者では、薬物の代謝・排泄が遅れる傾向があるため、慎重な投与が必要 全身状態 患者様の全身的な健康状態を評価し、薬の選択に反映させる 合併症 腎機能障害や肝機能障害など、合併症の有無や程度を考慮する 他の服用中の薬剤 併用薬との相互作用を確認し、必要に応じて投与量の調整や薬剤の変更を行う 痛みの性質・部位 痛みの性質(灼熱感、チクチク感など)や部位に応じて、適切な薬剤を選択する 治療歴 これまでの治療経過や効果、副作用の情報を参考にする 医師は、これらの要因を総合的に判断し、患者様に最適な薬を選択します。 また、定期的なモニタリングを行いながら、効果と副作用のバランスを見極め、必要に応じて投与量の調整や薬剤の変更を行います。 患者様も、自身の症状や体調の変化を医師に伝え、治療方針について積極的に相談することが大切です。 医師と患者様が協力して、最適な薬の選択と調整を行っていくことが、帯状疱疹後神経痛の効果的な管理につながります。 早期治療の大切さをクリニックの研究をもとに解説 帯状疱疹後神経痛の薬物治療は、患者様の年齢や症状、合併症の有無、治療歴などを考慮して、医師が適切な薬剤を選択します。 治療効果や副作用の現れ方には個人差がありますが、早期の治療が大切ということが日本ペインクリニック学会のいくつかの研究によってわかっています。 帯状疱疹後神経痛の薬物治療は、患者さまの年齢や症状、合併症の有無、治療歴などを考慮して、医師が適切な薬剤を選択します。 神経ブロックに関する研究結果 日本ペインクリニック学会の研究によると、帯状疱疹後神経痛の予防における神経ブロックの効果は、全患者データでは統計的に有意な差は認められませんでした。 しかし、受診時期によって層別解析を行ったところ、帯状疱疹発症から病院受診までの期間が短いほど、神経ブロックが帯状疱疹後神経痛の予防に効果を示す可能性が高くなることがわかりました。(文献1) 帯状疱疹関連痛の改善に関する研究結果 東京女子医科大学の研究チームによる研究では、帯状疱疹関連痛の改善には受診時期と初期治療内容が重要であることが明らかになりました。 この研究では、次のように示されています。 帯状疱疹発症から30日以内にペインクリニックなどの痛みの専門機関を受診した患者は、痛みの改善率が高いことがわかりました。 発症から30日以内に専門機関を受診できない場合は、かかりつけ医で神経障害性疼痛治療薬の処方や神経ブロック治療を受けることが、その後の痛みの改善に重要な影響を与えます。 発症から31日以上経過してから痛みの専門機関を受診した患者のうち、それまでに適切な神経障害性疼痛治療を受けていなかった患者は、痛みの改善率が有意に低くなることが示されました。 この研究結果は、帯状疱疹発症時には早期の専門的治療が望ましく、それが難しい場合でも初期段階での適切な疼痛管理が長期的な痛みの改善に重要であることを示しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|神経痛が気になったら早めに医師に相談を! 帯状疱疹後神経痛の薬物治療では、痛みの程度や生活への影響を医師にしっかりと伝えることが大切です。 治療の選択肢や期待される効果、起こり得る副作用について、医師から十分な説明を受けましょう。 また、薬の効果や副作用の現れ方を注意深く観察し、定期的な診察で医師に報告していくことも欠かせません。 帯状疱疹後神経痛は、なるべく早期から適切な治療を継続することで、多くの場合徐々に改善が見込めます。 痛みと向き合う辛さはありますが、諦めずに医師と協力しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。 また往来の治療法では改善が見られないという方は、再生医療も検討ください。 再生医療は、損傷した神経の修復を促し、炎症の軽減を目指すことで、痛みの根本原因にアプローチする治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 薬を続けても痛みが改善しない 既存の治療では効果が見られない 薬の副作用が気になる、あるいはこれ以上薬を増やしたくない 当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングも実施していますので、痛みが続いてつらい方・治療に迷っている方はお気軽にご相談ください。 帯状疱疹後神経痛に関するQ&A 本章では、帯状疱疹後神経痛について、予防法や診断、自宅ケアのコツ、市販薬やリリカの副作用など、よくある質問に5つお答えします。 帯状疱疹後神経痛を予防することは可能? 帯状疱疹後神経痛の診断方法は? 自宅でできる帯状疱疹後神経痛のケアの方法は? プレガバリン(リリカ)の副作用は? 帯状疱疹後神経痛におすすめの市販薬はある? 帯状疱疹後神経痛を予防することは可能? 帯状疱疹後神経痛の予防には、帯状疱疹そのものを早期に治療することが大切です。 特に発疹が出てから3日以内に抗ウイルス薬を服用することで、神経へのダメージを抑え、後遺症のリスクを下げられるとされています。 また、50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの接種も有効です。 ワクチンは免疫力の低下によるウイルスの再活性化を防ぎ、帯状疱疹の発症を抑えることができます。 普段からストレスや疲労を溜め込まず、体調を整えることが大切です。 帯状疱疹後神経痛の診断方法は? 帯状疱疹後神経痛の診断は、主に問診と視診によって行われます。 医師は帯状疱疹の既往歴や皮膚に残る痕、痛みの場所や性質を確認し、継続する神経痛かどうかを判断します。 血液検査やレントゲンは通常必要ありませんが、他の疾患との鑑別が難しい場合には追加されることもあります。 痛みが長引いている場合や、日常生活に支障が出るほど痛む場合には、早めに受診することをおすすめします。 自宅でできる帯状疱疹後神経痛のケアの方法は? 神経痛が続くときは、肌への刺激をなるべく避けることが大切です。 柔らかく通気性のよい衣類を選び、痛みがある部分には直接圧がかからないよう工夫しましょう。 冷却パックをタオル越しに軽く当てると、一時的に痛みを和らげる効果が期待できます。 また、体を温めすぎたり、強いマッサージを加えるのは逆効果になることがあるため注意が必要です。 プレガバリン(リリカ)の副作用は? リリカは帯状疱疹後神経痛の治療によく使われる薬ですが、副作用も確認されています。 代表的なものとしては、ふらつきや眠気、めまいがあります。 人によっては体重の増加や手足のむくみ、集中力の低下を感じることもあります。 特に高齢の方や、他の薬を併用している方は副作用が出やすいため、服用を始める際は医師とよく相談することが大切です。 急に自己判断で中止すると症状が悪化する可能性があるため、必ず医師の指示に従って調整しましょう。 帯状疱疹後神経痛におすすめの市販薬はある? 市販薬の中には、帯状疱疹後神経痛に対してある程度の効果が期待できるものがあります。 例えば、消炎鎮痛成分を含む外用薬や、しびれや神経痛向けのビタミンB群を含む内服薬が選択肢となります。 外用薬 インドメタシンやフェルビナクを含む消炎鎮痛パッチ・テープ剤 (例:フェイタス®、モーラステープ®など) メントールやカンフルを含む清涼感のある塗り薬 (例:メンソレータム®、アンメルツ®など) リドカイン配合の局所麻酔成分を含む貼付剤 (例:ユートクバン®など) 内服薬 ビタミンB群(B1、B6、B12)を含む神経痛向けの薬 (例:アリナミンEX®、ノイロビタン®など) アセトアミノフェンを含む鎮痛剤 (例:タイレノール®、カロナール®など) しかし、これらはあくまで補助的な立ち位置であり、強い痛みや長引く症状には十分な効果が得られない場合が多いです。 市販薬で痛みが和らがない場合や、症状が悪化するようなら、早めに医療機関を受診した方がよいでしょう。 参考文献 (文献1) 日本ペインクリニック学会「帯状疱疹後神経痛予防のための神経ブロックの有効性」 https://www.jspc.gr.jp/mass/mass_clin-res01.html(最終アクセス:2025年4月27日) (文献2) 長谷川晴子ほか.「当院における帯状疱疹関連痛の疼痛改善に影響を与える要因の後ろ向き研究」『日本サポーティブケア学会誌』30(4), pp.71-78, 2023年 https://doi.org/10.11321/jjspc.22-0031(最終アクセス:2024年4月27日)
2024.11.22 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「尿酸値を下げる具体的な対策は?」 「痛風の予兆が現れた際に発作を防ぐ方法はある?」 痛風を予防するには、食事内容などの生活習慣の見直しが重要です。病状によっては、薬物療法も検討しなければなりません。 本記事では、主に以下について解説します。 痛風予防の対策8選 痛風の予兆が起きた際の対策 適切な対策をとらないと、痛風だけでなく尿路結石や腎臓の障害などを引き起こす恐れがあります。本記事を尿酸値の改善に役立ててください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 痛風について気になる症状やご相談がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 痛風予防の対策8選 痛風予防の対策8選は以下の通りです。 尿酸値を上げる原因を理解する 定期的に健康診断を受ける プリン体の多い食事は避ける 尿酸値を下げる食事を摂取する 十分な水分補給をする 運動習慣を取り入れる 節酒と禁煙を心がける ストレスをためないようにする それぞれの詳細を解説します。 1.尿酸値を上げる原因を理解する 痛風を予防するには、まず尿酸値が上がる原因を正しく理解することが大切です。尿酸値が高くなる原因は、ほとんどが生活習慣の乱れです。 代表的なものには、ビールの飲み過ぎや野菜の不足、肉類に偏った食生活などが挙げられます。尿酸値を改善して痛風発作を予防するには、食生活の見直しが大切ということです。 肥満傾向である方は、運動を取り入れる必要もあるでしょう。病状によっては、薬物療法の検討も必要です。まずは医療機関を受診して医師に相談してください。 2.定期的に健康診断を受ける 痛風予防において、定期的に健康診断を受けることは重要です。健康診断で尿酸値の経過を確認すれば、高尿酸血症を早期に発見できるためです。 とくに以下に該当する方は、尿酸値が上がりやすい傾向であるため、定期的に健康診断を受けてください。 大食いや早食いをする方 お酒をたくさん飲む方 無酸素運動をよくする方 肥満の方 家族に痛風歴がある方 (文献1) すでに「尿酸値が高め」と指摘された方や、高尿酸血症と診断された方は、定期的に医療機関を受診して、尿酸値の管理をしましょう。 3.プリン体の多い食事は避ける プリン体を多く含む食事を摂ることは、尿酸値を高める大きな原因です。 以下を参考にして、1日のプリン体の摂取量が400mgを超えないようにしましょう。(文献4) プリン体含有量(100gあたり) 食品 非常に多い(300mg以上) 鶏レバー、マイワシの干物、白子、あん肝の酒蒸し、太刀魚、ちりめんじゃこなど。 多い(200〜300mg) 豚レバー、牛レバー、マイワシ、カツオ、マアジの干物、サンマの干物、大正エビなど。 中等量(100〜200mg) 鶏ささみ、砂肝、鶏手羽、皮付き鶏もも、鶏皮、するめいか、カキ、あじ、あさり、マグロ、ブリ、牛モモ、ほうれん草の芽、ブロッコリースプラウトなど。 少ない(50〜100mg) ほうれんそう葉、カリフラワー、ほたて、うなぎ、牛ヒレ、豚ヒレ、豚ロース、牛ロース、牛タン、ボンレスハム、豚バラ、牛バラなど。 非常に少ない(50mg以下) 野菜全般、穀類、卵類、乳製品、豆類、きのこ類など。 (文献2)(文献3) 外食やコンビニなどで食事をする際も、上記の表を参考にプリン体を過度に摂取するのは控えてください。 4.尿酸値を下げる食事を摂取する ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜類、海藻類、イモ類などは、尿酸の排泄を促進させる働きがあります。また、特定の食べ物や飲み物の中には、尿酸値を下げる効果を期待できるものがあります。 具体的には以下の通りです。 バナナ 低脂肪ヨーグルト チェリー カツオ レモン 低脂肪牛乳 ワイン 緑茶 日々の食事の中に、以上のような食べ物や飲み物を取り入れてみても良いでしょう。 ただし、ワインで尿酸値を下げる効果を得られるのは、1日150mL程度までと飲酒量の目安があります。そのため、ワインであっても飲み過ぎないようにしてください。(文献6)また、ビールや蒸留酒は尿酸値を上げるため注意が必要です。 5.十分な水分補給をする 十分な水分補給は痛風予防において重要です。水分をたくさん摂ることで、尿と一緒に尿酸を排泄できるためです。 反対に、水分を十分に摂取しないと、尿酸の排泄が滞って血液中の尿酸値が上昇しやすくなります。 推奨されている1日の水分摂取量は2L以上です。(文献2)なお、アルコール飲料や加糖飲料は、尿酸値を高めるため水分に含めないでください。 6.運動習慣を取り入れる 運動は肥満やメタボリックシンドロームを改善して、尿酸値を下げる効果が期待できます。ただし、筋トレや短距離走などの無酸素運動は、尿酸値を高める恐れがあります。 運動内容は、以下のような有酸素運動が効果的です。 ウォーキング ジョギング サイクリング 水泳 社交ダンス 運動は継続が大切です。少なくとも1回10分以上の有酸素運動を1日30〜60分は取り入れましょう。(文献2) すでに痛風を発症したことがある方は、関節に負担がかかり発作を誘発する恐れがあります。医師と相談して運動内容を決めましょう。 7.節酒と禁煙を心がける 節酒と禁煙は痛風予防において重要です。アルコール飲料は、プリン体が豊富に含まれている場合が多いです。また、たとえプリン体の少ないアルコール飲料でも、アルコール自体に尿酸値を高める働きがあるため節酒を心がける必要があります。 尿酸値への影響を少なくする1日のアルコール摂取量の目安は、以下の通りです。 アルコール飲料 1日の飲酒量の目安 ビール 350〜500mL ウイスキー 60mL 日本酒 1合 ワインは1日148mLまでであれば、尿酸値への影響はないと報告があります。(文献2)タバコに関しては、痛風に直接影響があるわけではありませんが禁煙を推奨します。高尿酸血症の合併症である尿路結石や、その他高血圧などさまざまな病気のリスクを高めるためです。 8.ストレスをためないようにする ストレスは尿酸値を高める恐れがあります。ストレスは尿酸を産生させる物質を内臓脂肪や肝臓、小腸などで活性化させてしまうためです。(文献5) また、ストレスは高尿酸血症の合併症である尿路結石の発症に関係していると報告もあります。痛風を予防するためには、休息や余暇活動を行いストレスの軽減をすることも大切です。 痛風発作の予兆が起きた際の対策 痛風は発作が起こる予兆の段階で、コルヒチンという薬を内服すれば予防できます。 痛風の予兆を示す症状は以下の通りです。 むずむず、チクチクなどの患部の違和感 熱っぽさ だるさ ただし、発作が起きてしまったあとに内服しても効果は期待できません。コルヒチンの処方に関しては、医師に相談してください。 まとめ|適切な対策を実施して痛風を予防しよう 痛風を予防するには、多くの場合に生活習慣の見直しが必要です。プリン体がたくさん含まれる食事は避けて、野菜類や海藻類などをバランス良く食べましょう。 バナナや低脂肪ヨーグルト、チェリーなどの尿酸値を下げる効果が期待できる食べ物を摂取しても良いでしょう。アルコール飲料は尿酸値を高めるため節酒も必要です。 肥満傾向である方は、1回10分以上の有酸素運動を1日30〜60分取り入れることを推奨します。すでに尿酸値が高めと指摘されている方は、定期的に医療機関を受診して、尿酸値の経過を見るようにしましょう。 痛風対策に関するよくある質問 食べてはいけない食事はある? 痛風予防において食べてはいけない食事をまとめると、以下の通りです。 レバーや干物などのプリン体が豊富に含まれる食べ物 ビールなどのプリン体が豊富に含まれるアルコール飲料 果糖が豊富に含まれる清涼飲料水 以上は、尿酸値を高めてしまうため、多量摂取は控えるようにしてください。 痛風は1日で治る? 痛風は、発作が起きたあとに痛みが引いたからといって1日で治るわけではありません。発作を完全に落ち着かせるには、数日から数週間は必要です。 また、尿酸値が改善しなければ、発作が再度起こるリスクが高いです。治療を進めていない方は、医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 痛いだけじゃない痛風の怖さ|千葉県医師会 (文献2) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン|日本痛風・核酸代謝学会 (文献3) 魚介類50gあたりの脂質とプリン体の関係|厚生労働省 (文献4) 高尿酸血症と食事|厚生労働省労災疾病臨床研究事業 (文献5) ストレスが高尿酸血症の発症に関与するメカニズムを解明|名古屋大学 (文献6) 血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序|一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会
2024.11.11 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の痛みがすぐ引いたけど1日で治るの?」 結論、痛風の痛みは発作的に現れるため痛みが引いたからといって治ったわけではありません。 本記事では、日常生活に大きな支障をきたす痛風の発作に対する適切な対処法と予防策が重要を解説します。 また痛風を放置すると、以下のようなリスクも高まります。 激しい痛み 関節の変形 痛風結節、尿路結石 腎不全 心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中) 痛風について気になる症状がある方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 実際の治療法については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/WDZayyLiOYc?si=Ezg3BXBwFxRhrBaW 痛風の発作は一日で治らない 「痛風は一日で治る」とよく耳にしますが、これは誤解です。実際には、痛風の発作を完全に治すには数日から数週間はかかります。 痛風の発作が起こると、関節内の炎症を抑えるために、医師から消炎鎮痛薬やステロイド薬、コルヒチンなどの薬が処方されます。薬を適切に使うと症状を速やかに和らげて、回復までにかかる期間の短縮が可能です。 しかし、たとえ症状が改善されたように感じても、関節内の炎症が完全に治まるには時間がかかります。 一日での完治を期待せず、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。症状が軽くなっても、自己判断で治療を中断すると再発のリスクが高まります。 痛風は長期的な疾患であり、発作を予防するには、以下のように日常的な生活習慣の改善が欠かせません。 食事療法や運動習慣の見直し 定期的な検査と薬物療法 など 早期の適切な対処と長期的な疾患管理により、症状をコントロールし、健康的な生活を送るのも可能です。 痛風に関する正しい知識を身につけて、医療従事者と協力しながら、継続的な管理と治療に取り組みましょう。 痛風発作の原因と急性期の特徴 痛風発作は、体内で作られた尿酸が関節内に結晶として蓄積した際に、引き金となって起こる急性の炎症反応です。 痛風発作の典型的な症状例は、以下のとおりです。 激しい関節痛(主に足の親指の付け根に起こる場合が多い) 発赤、腫れ、熱感を伴う 触れるだけでも痛みを感じるほどの敏感さ 発作は突然始まり、適切な治療を行わないと数日から長くて2週間ほど続きます。 激しい痛みが持続し、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。 痛風の発作初期における痛みの対処法【自宅でできる】 痛風の発作が疑われるときは、以下のような自宅での対処法を試みましょう。 痛風の発作が起きた場合、できるだけ早く痛みを和らげるのが大切です。 上記の方法で症状が和らぐ場合もありますが、効果が不十分な場合は迷わず医療機関を受診しましょう。 現在、当院(リペセルクリニック)の公式LINEでは、先端医療である再生医療に関する詳細や症例を公開しております。 再生医療は痛風でよくある合併症の改善にも期待できる治療方法なので、将来的な不安がある方はこの機会にぜひ知っておきましょう。 ▼LINE限定のガイドブックが無料! >>公式LINE限定の再生医療に関する情報を見てみる 痛風は緊急治療になるケースもあり! 激しい痛みが続くときや関節の腫れが強い場合は、医師による治療が必要です。代表的な治療オプションは以下のとおりです。 治療の選択肢 説明 期待される効果 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の処方 NSAIDsは、炎症を引き起こす物質の生成を抑えて、関節の痛みと腫れを和らげる効果が期待できます 痛みと炎症の緩和 ステロイド薬の内服または関節内注射 ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持ち、速やかに症状を改善させる可能性があります。内服薬や関節内注射の形で投与します 速やかな症状の改善 コルヒチンの処方 コルヒチンは、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制して、発作を鎮める効果が期待できます 発作の鎮静化 上記の薬剤は炎症を速やかに抑えて、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、薬剤は副作用のリスクもあるため、医師と相談しながら治療を選択するのが大切です。 痛風の発作時は、早期の適切な対処が重要です。医師と連携しながら効果的な治療を受けられると、痛みを和らげて回復までの期間を短縮できるでしょう。 自宅での応急処置を行いつつ、症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診してみてください。 また、痛風以外にも、体の症状でなにかお悩みを抱えておられる方は、当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 痛風の予防における2つのポイント 痛風の発作を一日で治すのは難しいですが、適切な管理により再発の予防は可能です。 以下で長期的な尿酸値管理の重要性と、生活習慣の改善策を解説します。 尿酸値を管理しよう 生活習慣を改善しよう 尿酸値を管理しよう 痛風の発作を防ぐには、血中尿酸値を適正にコントロールするのが大切です。具体的には以下のような方法が有効です。 方法 説明 尿酸値を下げる薬物療法 アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールします 定期的な尿酸値のモニタリング 定期的な血液検査で尿酸値を確認し、必要に応じて治療方針を調整します プリン体の多い食品の制限 肉類、魚介類、ビールなど、プリン体を多く含む食品の摂取を控えめにします 医師と相談しながら、自分に合った尿酸値の管理法を見つけるのが重要です。 なお、個人差があるので画一的な方法ではなく、自分の体の反応を観察しながら方法を探りましょう。 また、痛風と尿酸値における詳細は、以下の記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてみてください。 生活習慣を改善しよう 日常生活でできる痛風の予防策も忘れてはいけません。具体的には以下のような点に注意しましょう。 予防策 具体例 十分な水分補給で尿酸の排泄を促す 1日1.5〜2リットル程度の水分摂取を目安に、こまめな水分補給を心がけましょう 適度な運動で体重管理と血行促進 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと、体重管理や血行促進に役立ちます。 ただし、急激な運動は避け、自分のペースで無理なく続けるのが大切です ストレス管理とリラクゼーション ストレスは尿酸値を上昇させる要因のひとつです。 リラックスできる時間を設けて、心身の健康維持に努めましょう アルコール(とくにビール)の制限 アルコールのなかでも、ビールは尿酸値を上昇させやすいため、できるだけ控えめにするのが望ましいです。 アルコールを飲む場合は、ビール以外の種類を選ぶなどの工夫も効果的です 上記の生活習慣を見直すと、痛風発作のリスクを下げる効果が期待できます。ただし、生活習慣の改善は短い期間では難しいため、無理のない範囲で少しずつ取り組んでいくのが大切です。 医師や栄養士と相談しながら、自分に合った予防策を見つけて長期的に実践していくのが、痛風とうまく付き合うための鍵となります。 痛風は完治が難しい病気ですが、適切な管理により、発作を最小限に抑えて健康的な生活を送れるでしょう。 痛風の発作が仕事・日常生活に与える影響について 痛風の発作は突然起こるため、仕事の予定に支障をきたす場合があります。 重要な会議の当日に発作が起こると、欠席せざるを得ない状況になるかもしれません。激しい痛みのため集中力が低下し、仕事の効率が下がる可能性もあるでしょう。 長期的な痛風の管理を怠ると、関節の変形や機能障害につながる恐れもあります。関節が変形すると、歩行や家事などの日常的な動作が難しくなり、生活の質が大きく低下します。 また、痛風の発作を恐れるあまり、外出や運動を控えてしまう人もいるかもしれません。 しかし、適切な痛風管理を行えば、これらの影響を最小限に抑えられます。医療チームと協力しながら、薬物療法や生活習慣の改善に取り組むのが大切です。 痛風と上手に付き合うコツ 痛風と上手に付き合うには、以下のような生活戦略が有効です。 戦略 具体例 痛風発作に備えた応急処置キットを常備する 鎮痛剤、氷のう、補助具などをつねに持ち歩く 職場や旅行先にもキットを置いておく ストレスマネジメントの方法を身につける 深呼吸やマインドフルネスなど、リラクゼーション技法を習得する 趣味や運動など、ストレス発散の時間を作る 周囲の理解と協力を得る 上司や同僚に病状を説明し、必要な配慮を求める 家族や友人に協力を呼びかけ、サポート体制を整える 定期的な通院と自己管理を怠らない 医師の指示に従い、定期的な検査と治療を受ける 日々の食事、運動、服薬を自己管理し、病状の安定を図る 上記の戦略を実践すると、痛風があっても充実した社会生活を送れるはずです。たとえば、職場で痛風の理解を得たいときは、上司や人事部門に相談しましょう。 症状や治療の必要性を説明し、通院や休息の配慮が必要な点を伝えてみてください。また、同僚にも状況を伝えてサポートを求めると、仕事上の負担を軽減できるかもしれません。 プライベートでは、家族や友人に痛風の話をして協力を求めるのも大切です。発作時には家事や育児を代わってもらったり、通院に付き添ってもらったりするなど、具体的な支援を求めましょう。 理解者を増やせると、痛風とうまく付き合いながら充実した生活を送れます。 痛風は生活に大きな影響を及ぼす病気ですが、適切な管理と周囲の支援があれば、影響を最小限に抑えられます。 医療チームと相談しながら、自分に合った生活戦略を立てて、実践していくのが重要です。痛みに負けず、前向きな気持ちで日々を過ごしていきましょう。 まとめ|痛風の発作は一日で治らないので生活習慣を整えて改善しよう 痛風の発作は一日で完治できませんが、適切な対処と予防策により、症状の急速な軽減と再発防止が可能です。 以下の表で、痛風の発作における管理のポイントをまとめています。 管理のポイント 具体的な方法 発作時の対処 安静を保ち、患部を冷やす 十分な水分を摂取 激しい痛みや発熱があるときは医療機関を受診 医師の指示に従い、鎮痛剤や炎症を抑える薬を服用 長期的な尿酸値管理 定期的な血液検査で尿酸値を確認 必要に応じて尿酸降下薬を服用 プリン体の多い食品を控えめにする 十分な水分摂取を心がける 生活習慣の改善 適度な運動(ウォーキング、ストレッチなど)を取り入れる ストレスの管理方法を身につける 体重管理を行う 仕事との両立 上司や同僚に病状を説明し、必要な配慮を求める 痛風の発作時は、在宅勤務や休暇を取得できるよう事前に相談 職場に応急処置キットを常備する 通院や体調管理の時間を確保する ストレスの多い仕事は可能な範囲で調整してもらう 痛風と向き合う姿勢が、充実した人生を送るための鍵となります。具体的には、以下のようなアプローチが大切です。 痛みに負けずに前向きに取り組む 医療チームと相談しながら、自分に合った痛風の管理方法を見つける 痛風を自分の健康と向き合うチャンスと捉える 痛風の治療に前向きに取り組む 毎日の小さな習慣を積み重ねる 痛風と診断されたからといって諦める必要はありません。痛風とうまく付き合うためにも一人で抱え込まず、医療機関などに相談してみてください。 また、痛風を放置すると激しい痛みや関節の変形など、様々な症状が起きる可能性はあります。 体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 痛風が一日で治るのかに関するよくあるQ&A 以下では、痛風が一日で治るのかに関して、よくある質問と答えをまとめています。 痛風の初期症状は何がありますか? 痛風の対策におすすめの食事はありますか? 痛風に市販薬を使っても良いですか? 痛風のときはコーヒーを飲まないほうが良いですか? Q.痛風の初期症状は何がありますか? A.以下の症状があげられます。 足の親指の付け根の激痛 関節の腫れと発赤 関節の熱感 歩行困難 上記でなにか当てはまる症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するのが大切です。 痛風の初期症状については、以下の記事で詳細を解説しているので、あわせて参考にしてみてください。 Q.痛風の対策におすすめの食事はありますか? A.痛風対策の食事では、プリン体の少ない食材を中心に選ぶのが大切です。 以下で、推奨される食品をまとめています。 低脂肪乳製品 全粒穀物 大豆製品 など 痛風になったときの食事法は、以下の記事が参考になります。 Q.痛風に市販薬を使っても良いですか? A.痛風の発作時に一時的な痛みを和らげるために、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む鎮痛消炎薬が市販されています。 ただし、根本的な治療にならない点は注意が必要です。また、薬には副作用もあるので、使うときはかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。 また、痛風の市販薬に関する詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.痛風のときはコーヒーを飲まないほうが良いですか? A.カフェインの過剰摂取を避ければ、痛風の方でもコーヒーを飲んで構いません。 ただし、本人の体調や体質によって変わるため、不安なときはかかりつけの医師に相談してみてください。 また、コーヒーと痛風の関係は、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。 参考文献一覧 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 沢井製薬株式会社,高尿酸血症・痛風ハンドブック
2024.11.08 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の発作がつらくて仕事や日常生活に支障が出ている」「痛風の薬を飲んでいるけれど、副作用が心配」といったお悩みをお持ちではないでしょうか。 痛風は適切な治療を行わなければ、関節の損傷や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。しかし、正しい薬の選択と使用法を理解し、生活習慣の改善を併せて行えば、症状の改善がより期待できます。 本記事では、痛風治療に用いられる代表的な薬剤の特徴と副作用対策、痛風予防のための生活習慣改善のポイントについて詳しく解説します。 なお、痛風は単独で発症することは少なく、糖尿病などの生活習慣病と相互に影響し合うことが知られています。そんな糖尿病に対しては再生医療という治療法もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施していおります。ぜひ公式LINEにご登録ください。 痛風治療薬の種類と副作用 痛風の薬は、大きく分けて「痛風発作を抑える薬」と「尿酸値を下げる薬」の2種類があります。(文献1) 分類 目的 主な薬剤 痛風発作を抑える薬 急性の関節炎症状を抑える NSAIDs(ロキソプロフェンなど) コルヒチン ステロイド(プレドニゾロンなど) 尿酸値を下げる薬 高尿酸血症を改善し、再発を予防する 尿酸生成抑制薬:アロプリノール、フェブキソスタット 尿酸排泄促進薬:ベンズブロマロン、プロベネシド 痛風発作を抑える薬(急性痛風関節炎の治療薬) 痛風発作を抑える薬として、NSAIDs、コルヒチン、ステロイド薬などが使われます。 これらは、痛風発作の予兆がある患者様や尿酸降下薬の開始初期の患者様に処方されることが多く、痛風発作の予兆(足の違和感など)がある時に服用すると、発作を予防・軽減できるとされています。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 主な薬剤 特徴 主な副作用 ロキソプロフェン インドメタシン ナプロキセン 炎症を抑える 関節の腫れや痛みを緩和 胃腸障害や腎機能への影響に注意 NSAIDsは、痛みや発熱を伴う症状を抑える薬として広く使われており、一般的には「痛みどめ」として知られています。 痛風発作が起きてしまった患者様向けに処方されることが多く、激しい痛みや腫れを緩和する目的で処方されます。(文献2) 一方で、胃腸障害(胃粘膜病変や胃潰瘍の誘発・増悪)や腎障害を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 また、ワーファリン(抗凝固薬)を服用中の患者様には、NSAIDsではなく、代わりにステロイド薬の処方が検討されます。 コルヒチン 薬剤名 特徴 主な副作用 コルヒチン 白血球の遊走を抑制し、炎症反応を阻害 発作初期に有効 予防投与にも用いる 下痢・嘔吐などの副作用が出やすい 腹痛、発疹 コルヒチンは、痛風発作の予防と急性期治療の両方に用いられる薬剤です。 この薬は、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制することで、発作を抑える効果が期待できます。 大量投与すると、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があるため、少量から開始し、慎重に用量を調整する必要があります。 ステロイド薬 薬剤名 特徴 主な副作用 ・プレドニゾロン ・強力な抗炎症作用 ・NSAIDsやコルヒチンが使えない場合の選択肢 ・糖尿病や感染症リスクに注意 ステロイド薬は、強力な抗炎症作用を持ち、重度の痛風発作に対して用いられる薬剤です。 NSAIDsやコルヒチンが使えない患者様に処方されることがあります。 しかし、長期使用によって、血糖値の上昇、感染症リスクの上昇、骨密度の低下を引き起こす可能性があります。 尿酸値を下げる薬(高尿酸血症の治療薬) 尿酸値を下げる薬は、体内での尿酸の生成を抑える「尿酸生成抑制薬」と、腎臓からの尿酸の排泄を促す「尿酸排泄促進薬」に分けられます。(文献3) これらは、痛風発作の治療薬ではなく、体内に蓄積した尿酸を減らすことで、痛風発作の予防や腎障害の改善が期待されています。 尿酸降下薬の開始時期は、発作が落ち着いた後に検討するのが一般的です。開始時期は医師が総合的に判断します。 尿酸生成抑制薬 主な薬剤 特徴 主な副作用 アロプリノール フェブキソスタット 体内での尿酸の生成を抑える 皮膚の発疹 肝機能障害 下痢 尿酸生成抑制薬とは、体内で尿酸をつくるキサンチンオキシダーゼという酵素の働きを弱め、尿酸の産生を減らす薬です。 薬の選定は、副作用や合併症の有無などを考慮し、主治医が一人ひとりの状況に応じて選びます。 アロプリノール 薬剤名 特徴 主な副作用 アロプリノール プリン体に似た構造を持つ薬 尿酸産生を抑える 投与回数1日2〜3回 世界中で古くから利用 重度の腎障害では使用制限がある 腎機能が低下している場合は用量調整が必要 免疫抑制薬(メルカプトプリンやアザチオプリン)との併用は注意 皮疹や過敏症に注意 アロプリノールは、体内のプリン体(DNAやRNAの材料になる物質)に似た構造を持っている薬です。 世界的に長年使用されていますが、腎機能に関連した副作用が確認されており、腎機能が低下している場合は用量を調整する必要があります。 また、免疫抑制薬であるメルカプトプリンやアザチオプリンとの併用には、減量のうえ慎重に使用する必要があります。 フェブキソスタット 薬剤名 特徴 主な副作用 フェブキソスタット 非プリン型の薬 尿酸産生を抑える 投与回数1日1回 肝機能への影響が報告 投与開始初期の痛風発作発症率が高い 免疫抑制薬(メルカプトプリンやアザチオプリン)との併用は禁止 フェブキソスタットは、プリン体の形をしていない「非プリン型」の薬で、1日1回の服用が可能です。 アロプリノールで十分な効果が得られない場合や、副作用などでアロプリノールが使えない場合に処方されます。 また、免疫抑制薬であるメルカプトプリンやアザチオプリンとの併用は禁止されています。 尿酸排泄促進薬 主な薬剤 特徴 主な副作用 ベンズブロマロン プロベネシド 腎臓からの尿酸の排泄を促す 必要に応じて尿をアルカリ性に保つ薬と併用利用 尿路結石 肝機能障害 胃腸障害 尿酸排泄促進薬とは、腎臓で尿酸が血液に戻るのを防ぎ、尿で排出を促す薬です。尿酸を排出し、血清尿酸値を下げます。 とくに、尿酸を作りすぎているわけではなく、腎臓からの排泄が不十分な「尿酸排泄低下型」の患者様に処方されます。 ただし、尿酸を体の外に出す働きが強まると、尿路結石ができやすくなる可能性があるため、薬を飲んでいる間は十分な水分を摂り、尿量を増やすことが大切です。 必要に応じて、尿をアルカリ性に保つ薬を併用することもあります。 ベンズブロマロン 薬剤名 特徴 主な副作用 ベンズブロマロン 尿酸の再吸収を強く抑え、尿中への排泄を増やす 投与開始6か月以内の肝障害が起こる可能性あり ワーファリンなど抗凝固薬の作用を強める可能性あり ベンズブロマロンは、尿酸排泄促進作用は強力で、効果が比較的長く続くと報告されており、プロベネシドに代わり、広く使用されています。 とくに飲み始めの6か月は肝障害に注意が必要なため、服用初期は定期的な検査が必要です。 また、ワーファリン(抗凝固薬)など一部の薬の効き方に影響することがあるため、服用中の薬がある場合は、必ず医師・薬剤師に伝えてください。 プロベネシド 薬剤名 特徴 主な副作用 プロベネシド 尿酸の再吸収を抑制して排泄を促す (作用はベンズブロマロンより弱め) ・ペニシリン系抗菌薬、メトトレキサートなどの血中濃度を上げることがある プロベネシドは、腎臓で尿酸が再吸収されるのを抑えることを主な作用としています。その結果、血液中の尿酸が体に蓄積しにくくなり、尿酸値の低下につながります。 また、ペニシリン系抗菌薬やメトトレキサートなど、一部の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるため、併用時には注意が必要です。 一般的に用法は人によって異なります。実際の用量・回数は医師が処方するため、服用中の薬がある場合は必ず医師・薬剤師に伝えてください。 痛風の原因・症状について知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください。 痛風治療の市販薬と処方薬の違い 痛風の治療薬には、医療機関で処方されるものと、薬局で購入できる市販薬があります。市販薬は治療ではなく、症状を一時的に和らげる目的で使用される薬です。 痛風発作時の激しい痛みに対しては、市販のロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が痛みを和らげる効果があります。 発作が続く場合は、根本原因に着目した治療が必要になります。また、市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、適切に使用することが重要です。 過剰摂取や長期連用は副作用のリスクを高める可能性があります。市販薬を使用する前には、医師や薬剤師に相談しましょう。 痛風予防と生活習慣 – 再発防止のためにできること 薬物療法と並行して、生活習慣の改善に取り組むことが痛風の再発予防につながります。とくに食事の工夫と適度な運動習慣が重要です。 食事と生活習慣の改善 痛風の予防には、プリン体の摂取を控えてバランスの良い食事をとることが大切です。 以下のプリン体を多く含む食品は、尿酸値上昇の原因となるため、なるべく控えましょう。 食品カテゴリ 主な食品 内臓類 レバー(鶏・豚・牛)、あん肝、腎臓、脳など 魚類 イワシ、サンマ、カツオなどの青魚 野菜類 マッシュルーム、ほうれん草、アスパラガスなど アルコール類 ビール、ワイン、日本酒などアルコール飲料 ただし、何も食べずにいると、体内脂肪の分解と尿酸排泄が滞ることで、尿酸値が上昇するケースもあります。プリン体を多く含む食品を避けながら、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。 また、尿酸値を下げることが期待されている「低脂肪乳製品」や「無糖コーヒー」を取り入れるのもおすすめです。 【関連記事】 痛風の食事療法とは?食べてはいけないもの一覧やストレスをためない食生活改善のポイント 痛風にコーヒーはダメ?OK?尿酸値への影響と安全な飲み方を医師が解説 痛風を防ぐための日常のポイント 適度な運動習慣と水分補給は、尿酸値を下げる効果が期待されています。 目安は以下の通りです。 項目 期待できる効果 内容 目安 有酸素運動 尿酸値を下げる可能性がある ジョギング(軽め) ウォーキング 水泳など 週3〜5回 30分〜1時間程度 水分補給 尿酸を多く排出しやすくなる ジョギング(軽め) ウォーキング 水泳など 1日に2リットル以上 ※個人差あり、医師との相談が必要 痛風予防のための生活習慣の改善は、薬物療法と並行して行うことで、再発防止につながります。 無理のない範囲で、生活習慣の見直しを行っていくことが大切です。 まとめ|痛風の薬・症状への理解を深めて適切な治療を選択しよう 痛風治療には「痛風発作を抑える薬」と「尿酸値を下げる薬」の2つがあり、それぞれ異なる目的で使用されます。 NSAIDsやコルヒチンは急性発作の痛みを和らげ、尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬は根本的な原因である高尿酸血症を改善します。 市販薬は一時的な症状緩和に留まるため、継続的な発作がある場合は医療機関での適切な診断と治療が必要です。 また、薬物療法と併せてプリン体を控えた食事、適度な運動、十分な水分補給など生活習慣の見直しを行うことで、痛風の再発予防と症状の改善が期待できます。 痛風は適切な治療と生活習慣の見直しによって十分にコントロール可能な疾患です。まずは医師に相談して治療計画を立て、健康的な日常生活を取り戻しましょう。 痛風の薬に関するよくある質問 痛風発作が治まったら、薬をやめてもいい? 自己判断でやめてはいけません。 痛風発作が治まっても、体内の尿酸結晶が溶けていない状態は続いています。 尿酸値を下げる薬を中断すると、再び尿酸値が上がりやすくなり、痛風発作の再発リスクが高まります。 薬を飲んでいれば、好きなものを飲食できる? 薬を飲んでいても、食事内容には注意しましょう。症状の改善には、プリン体が多く含まれる食事を避けて、栄養バランスの良い食事を摂ることが重要です。 痛風治療の基盤は、生活習慣(食事・飲酒・運動・体重管理)の見直しです。 好きなものを自由に摂る生活を続けた場合、薬の効果が不十分となり、薬剤量の増加や別の治療が必要になる可能性があります。 尿酸値を下げる薬を飲み始めたら、逆に痛風発作が起きた。なぜ? 尿酸値が長く高かった方が治療を始めると、尿酸が急に下がります。その結果、関節にたまっていた尿酸の結晶が刺激されやすくなり、白血球が反応して一時的に痛みや腫れ(痛風発作)が起こることがあります。(文献4) 発作が起きても薬は中断せず、医師に相談してください。 健康食品やサプリメントで尿酸値は下がりますか? 治療の基本はあくまで「医師から処方される医薬品」と「生活習慣の改善」です。 サプリや健康食品は補助として検討する位置づけなので、利用する場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。 痛風発作時にすぐにすべきことはある? 痛風発作が疑われる場合、まずは安静にして患部を動かさないようにしましょう。 冷却パックなどを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができる可能性があります。 また、発作時には水分を十分に摂取することが重要です。 水分をとることで尿量が増え、尿酸が体外に出やすくなることが期待されます。 参考文献 (文献1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版|日本内科学会雑誌第109巻第8号 (文献2) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(ダイジェスト版)|公益財団法人 痛風・尿酸財団 (文献3) 痛風・高尿酸血症治療のフローチャート|一般社団法人 日本動脈硬化学会 (文献4) 2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout|BMJ Jornals
2024.11.06 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の激痛に襲われて、どんな治療を受ければいいのか不安」「薬は一生飲み続けないといけないの?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 痛風の治療は、急性期の発作を抑える治療と、慢性期の再発予防という二段階のアプローチで行われます。 適切な薬物療法と生活習慣改善を組み合わせることで、痛風発作のない快適な生活を送れるようになります。 本記事では、痛風治療の基本的な考え方から具体的な治療法、使用される薬剤の詳細、治療期間の目安まで詳しく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、無料電話相談を実施しております。痛風について痛みやお悩みがある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 痛風治療の基本的な考え方と目標 痛風治療は「急性期治療」と「慢性期治療」の二段階で構成されており、それぞれ異なる目的と治療方法があります。 急性期治療では、痛風発作による激しい関節の炎症を速やかに鎮静化することを優先していますが、選択肢としては低用量コルヒチン、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、副腎皮質ステロイドの経口投与の中から選ばれます。 治療法を選択する判断基準は、患者様の腎機能や消化性潰瘍歴、併用薬などです。 一方、慢性期治療では高尿酸血症の根本的な改善を目指し、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持して痛風の再発を防ぐのが目的となります。(文献1) さらに、痛風には腎障害、尿路結石、高血圧、糖尿病などの合併症が伴いやすいため、これらへの対応も治療計画に含めるのが基本的な考えです。 治療の最終目標は、単に痛みを取り除くだけでなく、尿酸値を適正にコントロールして合併症を予防することです。健康的な日常生活を取り戻すことを第一に考えて治療計画を立てます。 急性期治療|痛風発作時の対処法 痛風発作時の治療では、急激に尿酸値を下げる薬を服用すると発作が悪化してしまいます。 そのため、急性期は炎症や痛みを抑えることが重要です。 治療においてはまずNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を選択し、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシンなどが症状の程度や患者様の状況に応じて選択されます。 薬の名称 特徴 ロキソプロフェン 速効性があり痛風発作の急性期に有効 胃腸への負担が比較的少ない 1日3回服用で効果が持続 ジクロフェナク NSAIDsの一種で痛風の急性発作に使用可能 消化器症状や心血管リスクには注意が必要 経口剤のほか筋肉内注射剤もある インドメタシン 中枢神経系の副作用(頭痛、錯乱など)に注意 慢性腎臓病がある場合は使用を避け別の薬の服用を検討(文献7)(文献8) コルヒチン 発作前兆から極早期に低用量で投与すると効果的 発作が進行した後では効果が限定的 下痢などの消化器症状に注意 腎機能低下時は用量調整が必要(文献9) NSAIDs使用時には、胃腸障害や腎機能への影響に注意が必要で、とくに高齢者や腎機能低下のある患者様では慎重な投与が求められます。(文献7) コルヒチンは発作の初期段階で使用すると高い効果を発揮しますが、発作が本格化してからは効果が限定的になるため、投与のタイミングは慎重な判断が必要です。 副腎皮質ステロイド薬は、NSAIDsやコルヒチンが使用できない場合の代替選択肢として用いられ、腎機能障害や消化性潰瘍の既往がある患者様に適用されます。 慢性期治療|高尿酸血症の治療と再発予防 慢性期治療の目的は、血清尿酸値を目標値である6.0mg/dL以下に維持し、痛風発作の再発を防ぐことです。(文献1) 治療には主に尿酸降下薬が使用され、患者様の病型(尿酸産生過剰型、尿酸排泄低下型)に応じて薬剤を選択します。 【尿酸産生阻害薬】 •アロプリノール:古くから使用されている標準的な薬剤。 •フェブキソスタット:アロプリノールより強力で、腎機能低下例にも使用可能。 【尿酸排泄促進薬】 •ベンズブロマロン:尿酸の腎排泄を促進。有効性が高い一方、重篤な肝障害リスクが知られており、定期的な肝機能検査が必要。 •プロベネシド:尿酸排泄を促進しますが、現在は使用頻度が比較的少ない薬剤。 フェブキソスタットは、アロプリノールと比較して尿酸降下効果が高く、腎機能低下患者でも使用できることが臨床試験で確認されています。(文献3) 治療開始時は低用量から開始し、血清尿酸値をモニタリングしながら段階的に増量していきます。 ただし、急激に尿酸値を下げすぎると、かえって痛風発作を起こすことがあるため、慎重な調整が重要となります。 さらに、尿酸降下薬の開始初期は発作が起こりやすいため、低用量コルヒチンなどの予防投与を3〜6カ月行うことが推奨されます。(文献1) 高尿酸値がもたらすリスクについては、以下の記事も参考にしてください。 痛風の併発症・合併症への対策 痛風はメタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病などを合併しやすいことが知られています。各疾患との関連は強く、相互に悪循環を形成するため、総合的な管理が必要です。 慢性腎臓病も重要な合併症の一つで、高尿酸血症が腎機能低下を促進し、腎機能低下がさらに尿酸値を上昇させる悪循環を形成してしまいます。 これらの合併症に対しては、痛風治療と並行して包括的な管理が必要で、各専門科との連携による治療が推奨されます。(文献4)(文献5) 痛風治療で使用される薬剤の詳細と選び方 痛風治療薬の選択は、患者様の病期、病型、腎機能、合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。 【急性期治療薬の選択基準】 ・NSAIDs:第一選択薬として広く使用 ・コルヒチン:NSAIDs禁忌例や併用時に選択 ・ステロイド:NSAIDs、コルヒチン両方が使用困難な場合 【慢性期治療薬の選択基準】 ・尿酸産生過剰型:アロプリノール、フェブキソスタット ・尿酸排泄低下型:ベンズブロマロン、プロベネシド ・混合型:病態に応じて組み合わせ使用 フェブキソスタットは、アロプリノールと比較して尿酸降下効果が高い一方、心血管安全性については相反する報告があるため、心疾患の既往がある患者様には適応の判断は慎重に行います。(文献3) 薬剤の副作用モニタリングも重要で、肝機能、腎機能、血球数の確認を定期的な血液検査で確認します。 痛風治療の期間と効果|いつから改善が実感できるか 痛風治療の効果実感時期は、急性期治療と慢性期治療で大きく異なります。 急性期治療(痛風発作)の治療期間 急性期治療では、適切な薬物療法により発症から24〜48時間の段階で痛みの軽減がみられます。 NSAIDsは投与後まもなく鎮痛効果があらわれ、数日以内に炎症が落ち着く例が多いとされます。 症状が軽快になる目安は概ね1週間前後で、経過により長引く場合もあります。回復期も患部の安静と薬物療法の継続が重要です。 慢性期治療(再発予防)の治療期間 慢性期の治療では、尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことを目標に、薬の量を少しずつ調整します。 調整のタイミングや観察の間隔は人によって異なり、数週間から数カ月ごとに確認するのが一般的です。 尿酸を下げる薬の効果は、飲み始めてからの血液検査で少しずつあらわれます。 効果が出るまでの速さには個人差があるため、治療をはじめたばかりの時は発作を防ぐために少量のコルヒチンなどを併用し、定期的に診察や検査を受けることが大切です。 再発をどのくらい防げるかは目安はありますが、断言はできない難しいため、目標値6.0mg/dL以下を安定して保てれば発作は減りやすいと考えておきましょう。(文献1) 痛風治療と併用すべき生活習慣改善 薬物療法と並行した生活習慣改善は、治療効果を高め、薬剤の減量や中止につながる可能性があります。 食事療法 運動療法 さまざまな治療法がありますが、できることから一つずつ実施していきましょう。 また、以下の記事には痛風の対策についてもまとめておりますので、気になる方はぜひご確認ください。 食事療法 プリン体制限は痛風治療の基本ですが、過度な制限は必要ありません。 目安としては、1日のプリン体摂取量を400mg以下推奨とされています。(文献1) 高プリン体食品(100gあたり200mg以上) 鶏レバー、豚レバー、牛レバー 白子(精巣) あん肝 イワシ、カツオ 干し椎茸 中プリン体食品(100gあたり50-200mg) 豚肉、牛肉、鶏肉 アジ、サンマ、イカ ほうれん草、カリフラワー (文献6) データに基づいた食事指導により、適切な食品を選ぶことで痛風を再発予防できます。 アルコール制限も重要で、とくにビールはプリン体含量が高いため注意が必要です。 日本酒、焼酎、ウイスキーは比較的プリン体含量が少ないものの、アルコール自体が尿酸値を上昇させるため注意が必要です。 食事療法について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 運動療法 高尿酸血症の改善には、適度な有酸素運動が効果的です。 ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどを週3〜5回、1回30分程度行うことが推奨されます(文献1)。 運動強度は「軽く汗ばむ程度」を目安とし、息が上がるほどの激しい運動は逆に尿酸値を上昇させるため避けましょう。 続けるコツは、無理のない範囲から始めることです。まずは週2〜3回、15分程度のウォーキングから開始し、徐々に時間と頻度を増やしていきます。 運動前後のストレッチも忘れずに行い、怪我の予防に努めてください。 腎臓や心臓の状態に合わせて、1日2〜3リットルの水分をとることも大切です。尿酸の排泄を促し、尿路結石の予防にも役立ちます。ただし、心疾患や腎疾患がある場合は水分制限が必要な場合があるため、医師に相談してください。 体重の管理も欠かせません。BMI25未満を保つことを目標にし、BMI25以上の方も急に体重を落とすのではなく1カ月に1〜2kg程度のゆるやかな減量を意識しましょう。 さらに、ストレスをためない・十分に眠る・禁煙するといった生活習慣の見直しも全身の健康に良い影響を与えます。 運動療法の詳細については、以下の記事もご参照ください。 生活習慣の改善ポイント 痛風や高尿酸血症の改善には、薬物療法と併せて日常生活での取り組みが重要です。以下の表に、実践すべきポイントをまとめました。 改善点 ポイント 水分摂取 1日2〜3リットルを目安に摂取し、尿酸の排泄を促進する 体重管理 BMI25未満を維持し、月1〜2kgの緩やかな減量を心がける アルコール制限 1日あたり日本酒1合、ビール500ml、ワイン200ml程度を上限とする ストレス管理 十分な睡眠(7〜8時間)を確保し、ストレス解消法を見つける 禁煙 喫煙は血管に悪影響を与えるため、禁煙を目指す これらの生活習慣改善は継続が重要です。無理のない範囲で少しずつ取り組み、医師と相談しながら進めていきましょう。 詳しい生活習慣改善の方法については、以下の記事もご参照ください。 痛風治療はさまざまな療法を組み合わせて行おう 現代の痛風治療は、単一の治療法ではなく、薬物療法、食事療法、運動療法、生活習慣改善を組み合わせた包括的アプローチが推奨されます。 患者様一人ひとりの病態、合併症、生活環境に応じてオーダーメイドの治療計画を立案し、定期的な評価と調整を行います。 治療の成功には、患者様の治療に対する理解や生活習慣改善への取り組みが不可欠で、医師との良好なコミュニケーションも治療を進める上で大切です。また、家族の理解と協力も重要な要素で、とくに食事療法の実践には家族全体での取り組みが欠かせません。 痛風の治療法に関してよくある質問 痛風の薬は一生飲み続ける必要がありますか? 痛風の薬物治療は、多くの場合長期間の継続が必要ですが、必ずしも一生涯ではありません(文献1)。 血清尿酸値が安定して目標値を維持し、生活習慣改善が十分に行われている場合、医師の判断により薬剤の減量や中止が検討されることがあります。 ただし、薬剤中止後も定期的な血液検査による尿酸値のモニタリングは継続する必要があります。 痛風の治療費はどのくらいかかりますか? 治療費は、使う薬や検査の回数によって変わりますが、月に数千円程度、年間では数万円から10万円前後になるのが一般的です。 急性期治療ではNSAIDsやコルヒチンの処方が中心で、月1,000〜3,000円ほどが目安です。 慢性期治療では、尿酸を下げる薬の継続服用が必要になり、月に2,000〜5,000円ほどかかります。 これに加えて、血液検査の費用(1回1,000〜3,000円程度)が月1〜2回かかることがあり、年間では数万円から10万円前後になります。 痛風は完治しますか? 痛風は完治するのが難しい病気ですが、適切な治療により症状を抑えて、普段どおりの生活を送れます。 治療のゴールは「完治」ではなく、血清尿酸値の管理と生活習慣の改善により「症状のない生活を維持し続けること」です。(文献2) これにより痛風発作の再発を防ぎ、合併症の進行も抑えることができます。 参考文献 (文献1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版|日本痛風・核酸代謝学会 (文献2 ) 高尿酸血症・痛風の診断と治療|日本内科学会 (文献3 ) Febuxostat compared with allopurinol in patients with hyperuricemia and gout|PubMed (文献4 ) 痛風患者におけるメタボリックシンドローム|日本痛風・核酸代謝学会 (文献5 ) Gout epidemiology and comorbidities|Seminars in Arthritis and Rheumatism (文献6 ) 食品中プリン体含量(mg/100g)|痛風・尿酸財団 (文献7) Treatment Options for Acute Gout|Federal Practitioner (文献8) Taking the stress out of managing gout|Canadian Family Physician (文献9) Mechanism of action of colchicine in the treatment of gout|PubMed
2024.11.04 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の初期症状を知りたい」 「足の親指が突然激痛に襲われたけど、痛風の初期症状?」 足の指における激痛などの症状は、痛風の初期症状かもしれません。 痛風は放置すると関節の変形や機能障害を引き起こす可能性があり、早期発見と適切な対処が大切です。 今回は痛風の初期症状の見分け方と、症状が出たときの対処法を詳しく解説します。本記事を読むと痛風の初期症状を見逃さず、重症化を防げるはずです。 先に「痛風の初期症状」における詳細を知りたい方は、リンクをクリックいただくと該当ページに飛べます。 痛風の初期症状と基本知識 痛風と聞くと、中高年男性の病気をイメージされませんか。しかし、最近では30代以下の発症も増えており、女性も決して無縁ではありません。 以下で、痛風の基本的な知識を解説します。 痛風とは何か? 痛風が起こる生物学的メカニズム 痛風とは何か? 痛風は、体内で作られた尿酸が関節内に蓄積し、激しい炎症と痛みを引き起こす病気です。 尿酸とは「プリン体」と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種で、通常は血液中から腎臓を介して尿に溶けて排出されます。 しかし、尿酸値が高くなりすぎると、血液中で尿酸が結晶化し、関節内に蓄積します。 主に足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に発症しますが、足首や膝などの関節にも生じます。関節の変形や機能障害につながる恐れがあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 痛風の有病率は男性で1.1%、女性で0.1% 男性の発症年齢のピークは30~50代、女性は閉経後に多い 痛風が起こる生物学的メカニズム 体内の尿酸濃度は、尿酸の「産生」と「排泄」のバランスで決まります。痛風は、以下のような原因で尿酸の産生過剰や排泄低下が起こりやすく、血中尿酸濃度が上昇すると発症します。 原因 説明 プリン体の過剰摂取 肉類、魚類、ビールなどに多く含まれるプリン体を過剰に摂取すると、尿酸の産生が増加する 尿酸の排泄低下 体内で尿酸が過剰に生成される または腎臓からの尿酸排泄が低下する 遺伝的要因 尿酸の産生や排泄に関連する酵素の遺伝的な異常により、尿酸が上昇しやすくなる 高濃度の尿酸は針状結晶となって関節内に蓄積し、激しい炎症反応を引き起こすのです。炎症は発赤、腫脹、熱感、痛みなどの症状を引き起こします。 血中尿酸値が7.0mg/dL以上の状態を高尿酸血症と呼び、痛風発症のリスクが高くなる 高尿酸血症の人は約2割が痛風を発症すると言われている 上記のように、痛風は尿酸値の上昇を引き起こす病気であり、生活習慣や遺伝的要因が関与しているといわれています。初期症状を見逃さず、適切な治療を行うのが大切です。 痛風の初期症状【激しい関節痛・違和感がある】 痛風の初期症状は、主に突然の激しい関節痛です。しかし、痛風発作が起こる前に、軽い痛みや違和感などの前兆が現れるときもあります。 初期症状を見逃さず、適切な対処を行うためにも、以下で痛風の初期症状と前兆を見ていきましょう。 痛風が起きたときの症状 痛風の前兆に起こる症状 痛風が起きたときの症状 痛風の代表的な初期症状は、以下のとおりです。 症状 説明 足の親指の付け根の激痛 痛風発作の約半数は、足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に起こる 夜間から早朝にかけて突然発症する場合が多い 激しい痛みで布団の重みでも痛がるほど 関節の腫れと発赤 痛みを伴う関節は腫れて赤く変色する 皮膚が光沢を帯び、赤紫色に変色する場合もある 関節の熱感 炎症を起こした関節は熱をもち、触ると熱く感じる 歩行困難 激しい痛みで歩くのが困難になる 靴が履けなくなる場合もある 痛風発作は非常に強い痛みを特徴とし、安静時でも痛みが持続します。さらに、関節を動かすと痛みが増強します。発作が起こると日常生活に大きな支障をきたすでしょう。 発作は数日から長くて2週間ほど続きますが、炎症が治まると痛みや腫れは徐々に引いていきます。 しかし、適切な治療を行わないと発作を繰り返すようになり、関節の変形や機能障害につながる場合があります。 初期症状を見逃さず、早期に治療を開始するのが大切です。症状が軽度でも痛風が疑われる場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 痛風の前兆に起こる症状 痛風の発作が起こる前兆の症状は、以下のようなものがあります。 前兆 説明 関節の違和感やこわばり 発作が起こる数日から数週間前に関節の違和感やこわばりを感じる場合がある 違和感は痛みとは異なる不快感で、関節を動かしにくい感じがする 軽い痛みや熱感 発作前に軽度の痛みや熱感が出る場合もある 痛みは発作時ほど強くないが、不快感を伴う 倦怠感や微熱 全身的な倦怠感や微熱が出る場合がある 倦怠感は疲労感や脱力感として感じられる 前兆を感じたら、安静にし、患部を冷やし、十分な水分を摂取するなどの対処を行いましょう。 痛風は発作を繰り返すと関節の変形や機能障害につながる恐れがある疾患です。初期症状を見逃さず、適切な治療を行うのが重要です。 痛風の症状が強いときや発作が起こった場合を始め、症状が気になるときは、早めに医療機関を受診して専門医の診断を受けましょう。 痛風になるリスクが高い人の傾向は? 痛風は特定の人に起こりやすい病気です。以下で痛風のリスクが高いかどうか、セルフチェックしましょう。 5つのセルフチェックリスト 痛風になる確率を高めるリスク要因 5つのセルフチェックリスト 以下の項目に当てはまる人は、痛風のリスクが高い傾向にあります。 リスク因子 説明 肥満または過体重 BMIが25以上の肥満、または過体重の人は痛風のリスクが高い 体重が10%増加すると、尿酸値は1mg/dL上昇しやすい 生活習慣病 糖尿病、高血圧、脂質異常症など、生活習慣病がある人は痛風のリスクが高い 上記の疾患ではインスリン抵抗性が尿酸値を上昇させる 多量のアルコール摂取 1日あたりアルコールを純アルコール換算で60g以上(日本酒なら1合以上)摂取する人は痛風のリスクが高い アルコールは尿酸の産生を促進し、排泄を阻害する 高プリン食の嗜好 肉類、魚介類など、高プリン食を好む人は痛風のリスクが高い プリン体の摂取過剰は尿酸の産生を増やす 家族歴 家族に痛風の人がいる場合、痛風のリスクが高い 痛風には遺伝的素因があり、家族歴がある人の発症リスクは約2倍とされている 参照:日本痛風・核酸代謝学会高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 当てはまる項目が多いほど、痛風のリスクは高くなります。しかし、これらの項目に当てはまらない方でも痛風を発症する可能性はあります。 リスクが高いと感じた方は、生活習慣の改善に取り組むのが大切です。食事、飲酒、運動などの生活習慣を見直して、尿酸値の上昇を防ぐのが重要です。 ただし、すでに痛風の症状がある場合や、生活習慣の改善だけでは尿酸値が下がらない場合は、医療機関で専門医に相談しましょう。 痛風になる確率を高めるリスク要因 痛風の発症には、遺伝的要因と生活習慣の両方が関与しているといわれています。主な痛風のリスク要因とメカニズムは以下のとおりです。 リスク要因 メカニズム 肥満 体重増加により尿酸値が上昇 多量飲酒 アルコールによる尿酸の産生促進と排泄阻害 高プリン食の過剰摂取 プリン体の摂取過剰による尿酸産生増加 遺伝的要因 尿酸代謝関連酵素の遺伝子変異 家族歴 遺伝的素因による発症リスクの上昇 加齢 加齢に伴う腎機能低下と尿酸排泄機能の減少 性別 男性に多く、女性は閉経後にリスク上昇 痛風の発症は複数の要因が絡み合って起こるため、リスク要因を理解して、ご自身に当てはまるリスクを把握しておくのが重要です。 痛風が疑われるときの対応法【家庭でできる対策】 痛風の発作が疑われる場合、以下のような対応を取りましょう。 対応方法 説明 安静 痛みのある関節を動かさないようにし、安静にすると炎症の拡大を防ぐ 冷却 痛みと腫れのある関節を冷やし、炎症を抑える。氷のうやアイスパックを20分程度当てる 水分補給 体内の尿酸を排出するために、十分な水分補給を行う。1日2リットル以上の水分摂取を心がける ただし、上記は応急処置で根本的な治療にはなりません。 痛風の治療は早ければ早いほど効果的です。症状が改善しない場合や、発作が頻繁に起こる場合は、速やかに医療機関を受診してみてください。 医師の診断を受けるタイミング【早期発見が大切】 痛風の症状が疑われる場合、早めに医師の診断を受けるのが大切です。以下で、医療機関を受診すべきタイミングをまとめています。 受診すべきタイミング 詳細 突然の激しい関節痛がある とくに足の親指の付け根、足首、膝などに強い痛みを感じる場合 痛みで歩行が困難になるような場合 関節が腫れて赤く変色している 痛みを伴う関節の腫れや発赤、熱感がある場合 関節の腫れが持続している、複数の関節に症状が現れる場合 痛みが引かず、日常生活に支障をきたす 痛みや腫れが数日経っても改善せず、日常活動が制限される場合 発作を繰り返し、頻度が増えてきた場合 発熱や倦怠感などの全身症状を伴う 関節症状に加えて、発熱や体のだるさ、食欲不振などの症状がある場合 痛風が重症化し、全身に影響を及ぼしている可能性がある 上記の症状がある場合、痛風の可能性が高いと考えられます。早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けるのが重要です。 医師は患者の症状や病歴、身体診察から痛風を疑い、以下のような検査を行って診断します。 医師が行う主な検査 目的 血液検査 血中尿酸値の測定。痛風発作時は正常値でも、症状が治っている期間には高値を示す 関節液検査 関節から液体を採取し、尿酸結晶の有無を顕微鏡で確認。痛風に特異的な所見 画像検査 X線やCTスキャン、超音波検査で、関節の損傷や尿酸結晶の沈着を評価 上記の検査結果を総合的に判断し、痛風の確定診断が行われます。 軽い痛みでも繰り返し出る場合は、長期化のサインかもしれません。早めに専門医(リウマチ科、整形外科、内科など)に相談し、適切な診断と治療方針を検討するのが賢明です。 痛風は早期発見・早期治療が重要な疾患です。症状が軽度であっても、痛風が疑われる場合は、自己判断せずに医療機関を受診してみてください。 適切な治療と生活指導を受けると、痛風の症状をコントロールしながら、病状の進行や合併症を防げるでしょう。 また、痛風以外にも、体の症状でなにかお悩みを抱えておられる方は、当院のメールや電話からお気軽にご相談ください。 生活習慣における痛風の予防法 痛風を予防するには、日頃の生活習慣を改善するのが大切です。とくに食生活の見直しと運動の習慣を作るのがポイントになるので、以下で詳細を解説します。 食生活の改善 運動と健康管理 食生活の改善 痛風を予防する食事療法のポイントは以下のとおりです。 食生活の改善ポイント 内容 プリン体の摂取制限 肉類、魚介類、ビールなどの高プリン食品は控えめに 1日あたりのプリン体摂取量は400mg以下が目安 例:ビール1缶(350mL)あたり12~25mg 低脂肪・低エネルギー食 脂肪とエネルギーを控えめにする 標準体重(BMI 22)の維持を目指す 「BMI = 体重(kg)÷(身長(m)の2乗)」 野菜・果物の積極的摂取 ビタミンやミネラルが豊富な野菜 果物を十分に取り入れる ビタミンCは尿酸排泄を促進する効果が期待できる 水分摂取の励行 十分な水分摂取は尿酸排泄に欠かせない 1日2リットル以上の水分摂取を心がける アルコールの制限 アルコールは尿酸の排泄を妨げる原因となる 飲酒は1日純アルコール20g以下(ビール中瓶1本程度)に抑える 運動と健康管理 運動は痛風の予防に欠かせません。有酸素運動を中心に、無理のない範囲で定期的に体を動かすのが大切です。 運動の種類 具体例 強度(目安) 時間(目安) 頻度(目安) 有酸素運動 ウォーキング、ジョギング、 水泳、サイクリング など 会話ができる 程度の強度 30分以上 週5日以上 筋力トレーニング 自重トレーニング、 ダンベル体操など ややきつい 程度の強度 20分以上 週2日以上 ストレッチ 静的ストレッチ、 動的ストレッチなど 伸びる程度の強度 10分以上 毎日 運動するときは、関節に負担をかけすぎないよう注意しましょう。痛みを感じる運動は避けて、徐々に強度と時間を増やすのが大切です。 また、定期的な健康診断で尿酸値のチェックを忘れずに行います。尿酸値が高めの場合は、あわせて生活習慣の改善に取り組みましょう。 痛風の予防には、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。一度に大きな変化を求めるのではなく、自分のペースで少しずつ生活習慣を改善するのが重要です。 医師や管理栄養士など専門家のアドバイスを参考に、ご自身に合った予防法を見つけましょう。痛風と上手に付き合い、健康的な生活を送るためのサポートを積極的に活用するのをおすすめします。 まとめ|痛風の初期症状があるときは早めに医療機関を受診しよう 痛風の初期症状を見逃さず、適切に対処するのが肝心です。また、尿酸値に注意して痛風を予防する生活習慣を日頃から意識するのも大切になります。 もう一度、痛風の初期症状を以下でおさらいしましょう。 【以下に当てはまるときは医療機関へ受診を】 足の親指の付け根の激痛 関節の腫れと発赤 関節の熱感 歩行困難 定期的な健康チェックを怠らず、痛風知らずの健康な生活を送りましょう。症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、医師のアドバイスをもとに治療を行ってみてください。 また、痛風以外の症状でも、なにかしらの不調が出てしまう場合もあります。体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 【リペアセルクリニックへのご相談方法】 メール相談 来院予約 電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) 痛風の初期症状についてよくあるQ&A 痛風の初期症状でよくある質問と答えをまとめています。 Q.女性でも痛風になりますか? A.痛風患者の約95%は男性ですが、約5%は女性です。 女性の痛風発症年齢は60歳以降が多く、閉経後に増加します。これは、閉経後にエストロゲンの低下により尿酸値が上昇しやすくなるためです。 Q.サプリメントで痛風は予防できますか? A.痛風の予防はサプリメントに頼るよりも、バランスの取れた食事と運動が基本です。 サプリメントの使用を検討するときは、必ず医師に相談し、適切な助言を受けるのが大切です。 Q.痛風の合併症にはどのようなものがありますか? A.痛風は、放置すると関節の変形や腎臓の機能低下など、重大な合併症を引き起こします。 たとえば、痛風結節は関節や軟骨に尿酸の結晶が蓄積し、こぶのようにできものができる状態で、関節の変形や機能障害の原因となります。 また、尿路結石は尿酸が尿路で結晶化し、腎臓や尿管に結石ができる合併症です。激しい腹痛や血尿を引き起こします。 ほかにも、長年の高尿酸血症により、腎臓の尿酸排泄機能が低下して腎不全に至るケースもあります。 痛風と腎機能の関係は、以下の記事で詳細を解説しているので参考にしてみてください。 Q.痛風の発作を予防するための生活習慣は? A.痛風の発作を予防するには、日常生活での工夫が欠かせません。1日2リットル以上の水分摂取を心がけて、体内の尿酸を排出しやすくしましょう。 また、肥満は痛風のリスクを高めるため、標準体重(BMI 22)の維持を目指すべきです。アルコールについては、尿酸の排泄を妨げるので飲酒は1日純アルコール20g以下に抑えましょう。 食事では高プリン食品を控えて、バランスの良い食事を心がけるのが大切です。 さらに、有酸素運動を中心に無理のない範囲で定期的に体を動かすと、尿酸値の低下と全身の健康維持につながります。 痛風と生活習慣における内容については、以下の記事も参考になります。 Q.痛風の発作は一日で治りますか? A.痛風の発作は一日では治りません。適切な治療を行わないと、数日から長くて2週間ほど続く場合もあります。 関連する内容は、以下の記事で詳細を解説しているので参考にしてみてください。 参考文献一覧 千葉県栄養士会,痛風の予防と食事 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 一般社団法人日本痛風・核酸代謝学会.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.第3版,診断と治療社,2018,p.74-76
2024.11.01 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「コーヒーは痛風に悪いって聞いたけど、本当?」「痛風になったらコーヒーを飲んではダメ?」 このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 コーヒーは日常的に親しまれている飲み物ですが、痛風患者にとってはその影響が気になるところでしょう。 しかし、薬学研究において、コーヒーが痛風の管理に一定の効果をもたらす可能性もあると示されています。 本記事では、コーヒーの栄養成分と健康への影響から始まり、痛風に対する具体的な効果、そして安全な飲み方までを詳しく解説します。コーヒーを上手に取り入れた痛風管理法を見つけるための参考になれば幸いです。 痛風の症状についてのご相談や、食事管理のご相談はメール相談 やオンラインカウンセリングも可能です。お気軽にご相談ください。 【結論】痛風にコーヒーはダメじゃない!1日4杯までならOK 嗜好品として親しまれているコーヒーも尿酸値を上げるのではないかと心配に思う方もいるかもしれません。しかし、コーヒーが尿酸値に影響を及ぼすという明確な根拠はないため、痛風患者でも一般的な摂取基準であれば、コーヒーを楽しめます。(文献1) 痛風患者に限らず、一般的に推奨されるコーヒーの摂取量は「1日3~4杯」です。カフェイン摂取量が400mg未満になるよう調整しましょう。しかし、痛風の重症度やカフェインへの耐性によって、適量は異なります。 自己判断で摂取量を決めずに、必ず主治医や栄養士に相談し、自分に合った適量を摂るようにしましょう。 本章では、コーヒーと尿酸値の関連について詳しく解説します。 コーヒーが尿酸値に与える影響は解明されていない 以前の研究では、コーヒーを飲んで尿酸値が下がったグループもあれば、上がったグループもあり、尿酸値に与える影響は明らかでないとされています。(文献1) 以下の表は、コーヒー摂取と血中尿酸値の関係性について、研究で報告されている内容をまとめたものです。 研究結果 説明 尿酸値の低下 コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの成分が、尿酸の排泄を促進する可能性がある 個人差がある コーヒーの尿酸値低下効果は、すべての人に同様に見られるわけではない コーヒーを多く摂取する人ほど痛風のリスクが低いという傾向が見られますが、これは因果関係を直接証明したものではありません。 つまり、コーヒーを飲むこと自体が直接的に痛風リスクを下げているとは限らないのです。 適度なコーヒー摂取は痛風の予防につながるとの研究もある 大規模な疫学研究で、コーヒー摂取量と痛風発症リスクの関連性が報告されています。(文献2) 詳しい研究結果は以下の表の通りです。 研究結果 説明 痛風リスクの低下 1日4杯以上のコーヒーを飲む人は、まったく全く飲まない人に比べて痛風リスクが約40%低いという報告がある 観察研究であることに注意 これらの研究は観察研究であり、因果関係を直接証明するものではない コーヒーを多く摂取する人ほど痛風のリスクが低いという傾向が見られますが、これらの結果はあくまで観察研究に基づくものです。 そのため、個人差があることや、研究の限界を考慮する必要があります。 コーヒーは痛風対策の特効薬ではありませんが、適度に楽しむことで、痛風の予防に寄与するかもしれません。 ただし、コーヒーの効果を過信せず、バランスの取れた食事や生活習慣の改善など、総合的な痛風管理を心がけることが大切です。 具体的には以下のようなことを意識してみましょう。(文献3) プリン体の多い食品を控えめにする 適度な運動を心がける 水分をこまめに取る ストレス管理に努める 定期的な健康診断を受ける コーヒーは楽しみながら、これらの対策と組み合わせることで、痛風の予防に役立てられるでしょう。ただし、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。 カフェインの摂りすぎは、不眠や胃への負担などの他の身体への影響を引き起こす可能性があります。多くても1日3〜4杯程度(400mg)未満のコーヒーを、ライフスタイルに合わせて上手に取り入れて、適度に楽しみましょう。 コーヒー摂取は健康上の利点もある コーヒーの適度な摂取は、仕事のパフォーマンスを上げたり、血液中の血糖やコレステロールの調整を行ってくれたりといったメリットも期待できます。 ここでは、コーヒーの主要成分や、一般的な健康への影響についてご紹介します。 コーヒーに含まれる主要成分 コーヒーには、以下のような作用を及ぼすとされる物質が含まれています。 成分 説明 カフェイン 中枢神経系を刺激し、眠気覚ましや集中力向上の効果がある クロロゲン酸 抗酸化作用や血糖値の調整に関与する ジテルペン類 コレステロール上昇に関連する物質だが、フィルター濾過で除去可能 また、コーヒーは豊富なポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールは強い抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスから細胞を守る働きがあると考えられています。 コーヒー摂取の一般的な健康への影響 適度なコーヒー摂取は、以下のような健康上の利点と関連付けられています。 健康への影響 説明 認知機能の向上 カフェインが脳の働きを活発にし、記憶力や反応時間の改善に役立つ可能性がある 特定の病気のリスク低下 パーキンソン病や2型糖尿病など、一部の疾患の発症リスクを下げる可能性がある 肝機能の改善 コーヒーに含まれる物質が肝臓を保護し、肝機能の改善に寄与する可能性がある 運動パフォーマンスの向上 カフェインが運動能力を高め、疲労感を軽減する効果が期待できる ただし、カフェインの過剰摂取は不眠やイライラ、胃への負担などの問題を引き起こすことがあります。個人差はありますが、一般的に1日400mg(コーヒー4杯程度)までのカフェイン摂取は問題ないとされています。 コーヒーは嗜好品ですが、適度に楽しむことで、健康的なライフスタイルに影響する可能性があります。ただし、飲み過ぎには注意が必要です。自分に合った量を見つけ、上手に取り入れていきましょう。 痛風でコーヒーを飲むときの注意点 痛風患者がコーヒーの利点を安全に活かすためには、適切な飲み方を心がけることが大切です。ここでは、推奨される摂取量と、飲む際の注意点について解説します。 飲むときに入れるものや、飲むタイミングに気をつけてコーヒーを楽しみましょう。 痛風患者のコーヒーの飲み方 痛風の方がコーヒーを飲むときは、以下の点に注意しましょう。(文献4) 注意点 説明 カフェインの過剰摂取 カフェインの摂り過ぎは、不眠や胃への負担につながる可能性がある。また、カフェインは尿の生成を促進するため、脱水にも注意が必要 砂糖やクリームの追加 砂糖やクリームを加えすぎると、カロリーや脂肪の摂取量が増加し、痛風の症状を悪化させる可能性がある 飲み過ぎ 就寝前のコーヒーは避けた方が良い。カフェインの作用で眠りが妨げられ、十分な休養が取れなくなるかもしれない 脱水 コーヒーには利尿作用があるため、こまめな水分補給を忘れずに。脱水は痛風発作のリスクを高める可能性がある 体調によっては控える 痛風の症状が悪化している時や、体調が優れない時は、コーヒーを控えめにするか、避けた方が良い 痛風患者の方がコーヒーを飲む際は、飲む量や飲み方など細心の注意を払う必要があります。 コーヒーは嗜好品のため、楽しみながらも適量を守り、体調と相談しながら付き合っていくことが大切です。 また、コーヒーの摂取だけに頼るのではなく、食事療法や運動療法など、日常の生活習慣で痛風対策を並行して行いましょう。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、生活習慣全般を見直すことが、痛風の予防と改善が期待できます。 【一覧】コーヒーと同時に摂取すべき/避けるべき食品 以下の表は、コーヒーと一緒に摂取しても比較的良いとされる食品です。 食品 説明 水 コーヒーには利尿作用があるため、水分が体から失われやすくなります。脱水は痛風発作のリスクを高めるため、こまめな水分補給が大切です。 低脂肪乳製品 牛乳やヨーグルトなどの低脂肪乳製品に含まれるカルシウムには、尿酸の排泄を促進する効果が期待されています。ただし、高脂肪の乳製品は避けましょう。 野菜 ビタミンやミネラルが豊富な野菜は、痛風の予防と改善に役立ちます。とくに特に、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなどがおすすめです。 基本的にはバランスの取れた食事を心がけ、コーヒーはその一部として適度に取り入れるのが望ましいでしょう。 また、コーヒーと同時に摂取を控えるべき食品は以下のとおりです。 食品 説明 果物 果物にはビタミンやミネラルが豊富ですが、同時に果糖も多く含まれています。果糖は尿酸値を上げる可能性があるため、摂取量に注意が必要です。とくに特に糖度の高い果物や果物ジュースは控えめにしましょう。 肉類や魚介類 肉類や魚介類には、プリン体が多く含まれています。プリン体は体内で尿酸に変化するため、過剰摂取は痛風のリスクを高めます。コーヒーと一緒に摂り過ぎないよう注意しましょう。 アルコール アルコールは尿酸の生成を促進し、排泄を妨げる働きがあります。コーヒーと一緒に飲むと、痛風のリスクがさらに高まる可能性があるため、控えめにしましょう。 コーヒーと相性の良い食品を選び、悪影響を及ぼす可能性のあるプリン体の高い食品は控えめにすることが大切です。 痛風改善に役立つコーヒー以外の飲料 痛風の改善に役立つ飲料は、コーヒー以外にもいくつかあります。痛風の方におすすめできるコーヒー以外の飲料は以下のとおりです。(文献5) 飲料 効果 緑茶 緑茶に含まれるカテキンには、尿酸の排泄を促進する作用が期待されています。また、抗酸化物質が豊富なため、痛風の炎症を抑える効果も期待できる レモン水 レモンに含まれるクエン酸には、尿のpHを上げる働きがあります。尿のpHが上がると、尿酸が溶けやすくなり、排泄が促進される 低脂肪乳 低脂肪乳に含まれるカルシウムには、尿酸の排泄を助ける効果が期待されています。また、乳製品はプリン体が少ないため、痛風の方に適した飲料といえる 人によって痛風の症状や進行度合いは異なるため、自分の体の反応を注意深く観察しながら、主医師や栄養士と相談して、最適な飲料・食事プランを立てましょう。 専門家のアドバイスを参考に、コーヒーと上手に付き合っていくことが大切です。 まとめ|痛風にコーヒーはダメではない!適量ならば摂取してOK 痛風でも、適量であればコーヒーを摂取することは問題ありません。 痛風の人がコーヒーと上手に付き合うには、以下の点に気をつけると良いでしょう。 1日3〜4杯までを目安にする 体の変化を観察して、具合が悪くなったら医師に相談する コーヒー以外の飲み物や食事のバランスも考える 主治医と相談して、自分に合った痛風の管理方法を見つける 医師とよく相談しながら、一人ひとりが自分に合ったコーヒーの飲み方を見つけることが大切です。 痛風とコーヒーの関係は複雑であり、完全に制限するものではありませんが、適切に付き合えば、痛風の管理に役立つ可能性があります。 尿酸値を上げない食生活や飲み物などを相談したい、また痛風の症状や治療方法について相談したい方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 さらに痛風に適切な食事方法が知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 文献1 PMC,Is coffee consumption associated with a lower risk of hyperuricaemia or gout? A systematic review and meta-analysis 文献2 藤森新,痛風・高尿酸血症の病態と治療,日本内科学会雑誌,第107巻第3号 文献3 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 文献4 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 文献5 Hyperuricemia and associated factors: a cross-sectional study of Japanese-Brazilians - PubMed
2024.10.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風って腎臓にも悪いって本当?」 「尿酸値が高いって言われたけど、腎臓にどんな影響があるのか不安…」 このような疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。 痛風は関節に関わる疾患のイメージが強いかもしれませんが、実は腎臓とも深い関係があります。具体的には、腎機能の低下や痛風腎・尿酸結石などの腎臓系の病気を引き起こす可能性があるのです。 腎臓の状態を良好に保つためには、定期的な検診を受け、腎臓に負担のかからない生活を送ることが大切です。 本記事では、痛風と腎臓の関係や発症しうる腎臓病を詳しく解説します。尿酸値・クレアチニン値が示す健康状態や腎機能を低下させない方法、治療法も紹介するので、参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 「痛風による腎臓病」について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 痛風と腎臓の関係 痛風は単に関節の問題だと思われがちですが、実は腎臓とも密接な関わりがあります。 ある調査では、26,753名の痛風患者のうち、7,245名(27.1%)が腎機能低下と判定されました。(文献1) 痛風患者では、以下のようなプロセスを経て、腎機能が低下していきます。 血中尿酸値の上昇 尿酸塩結晶の形成 腎臓への尿酸塩結晶の蓄積 腎臓の炎症・組織の硬化 腎機能低下 痛風患者の体内では、尿酸が過剰に産生されるか、十分に排出されないことで血液中の尿酸値が上昇します。尿酸値が高くなると、尿酸は血液中で溶けきれなくなり、尿酸塩と呼ばれる結晶の形で沈殿するのです。 この尿酸塩の結晶が腎臓の細い管(尿細管)に詰まると、尿の流れを妨げたり、腎臓の組織に炎症を引き起こしたりします。炎症が起こると、腎臓の組織が傷ついて硬くなりやすいです。これらの変化が長期間続くと、徐々に腎臓の機能が低下していきます。 さらに、血中尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、それ自体が腎臓の血管を傷つける可能性も指摘されています。 このように、痛風は腎臓に深刻なダメージを与える恐れがあるため、早期発見と適切な管理が重要です。痛風によって引き起こされる高尿酸血症と尿酸塩結晶の蓄積は、さまざまなメカニズムを通じて腎機能の低下を招きます。 痛風で発症しうる腎臓の病気 痛風の影響で発症しうる腎臓の病気は以下の3つです。 痛風腎 尿酸結石 腎炎 病気の特徴を順番に見ていきましょう。 痛風腎 痛風腎は、痛風または痛風と同等ほどの高い尿酸値が長時間持続することで発症する疾患です。 高い尿酸値により腎臓がダメージを受けはじめた段階では、無症状であるケースが多いです。 しかし、腎臓に負担のかかる状態が続き、腎機能が低下していくと、関節の痛みやむくみ、倦怠感といった症状が現れるようになります。 尿酸結石 尿酸結石とは、尿が通る尿路に結石ができる疾患です。 痛風で尿酸値が高くなると、尿が酸性となります。酸性は水に溶けにくい性質があるため、尿酸結石ができやすくなります。 とあるデータでは、痛風患者312例のうち、23.7%に相当する60例に腎結石が認められたと報告されています。(文献2) 尿酸結石の主な症状は、わき腹や下腹部の強い痛みや血尿です。 小さな結石であれば、薬物療法を中心に自然と体外に排出されるのを待ちます。大きな結石の場合は、内視鏡治療で、結石を砕く治療が選択されます。 腎炎 腎炎とは、腎臓が炎症を起こしている状態です。 尿酸値が高いと体内で、尿酸塩結晶が形成されます。この尿酸の結晶が関節や腎臓に溜まることで、炎症や組織の損傷を引き起こすのです。 主な症状は、発熱や腰痛です。慢性化すると、食欲不振や多尿などの症状が現れます。 痛風の腎臓機能低下と関連のある2つの数値 痛風で腎臓機能が低下した場合「尿酸値」「クレアチニン値」の変化が重要な指標となります。 それぞれの値がどんな意味を持つのか、見ていきましょう。 尿酸値 尿酸は、プリン体と呼ばれる物質から生成されます。体内でプリン体が分解される段階でできた老廃物が尿酸で、通常は尿から排出される仕組みです。 尿酸値とは、体内の尿酸濃度を示す数値です。尿酸値は、7.0mg/dLまでは正常値内とされています。(参考3)それ以上の値になると、高尿酸血症となり、痛風や腎臓病の発症リスクを高めます。 尿酸値は血液検査で調べられるので、健康診断や内科の受診を通して検査を受けましょう。 【関連記事】 尿酸値と痛風の関係性|8.0mg/dLはやばい?高い原因と治療法を解説 尿酸値を下げて腎臓の健康を守る!今すぐ始めたい痛風・腎臓病予防の生活習慣 クレアチニン値 クレアチニンは、筋肉を動かすエネルギーを生み出したあとに産生される老廃物です。主に腎臓から排出されますが、腎機能が低下していると体内に残りやすくなります。 クレアチニン値は血中のクレアチニン濃度を示した数値です。 クレアチニン値の正常基準値は以下のとおりです。 男性:0.61〜1.04(mg/dL) 女性:0.47〜0.79(mg/dL) 数値が上昇すると、疲労感や食欲不振、むくみといった症状が現れます。 クレアチニンは血液検査や尿検査を組み合わせて総合的に評価されます。健康診断や自主的な検査の機会で、クレアチニン値の変化をチェックしてみてください。 痛風で腎機能を低下させない方法 ここでは、痛風で腎機能を低下させない方法を解説します。 主な方法は以下の4つです。 食生活を改善する 適度な運動をする 禁煙する 高血圧・糖尿病の治療をする 普段の生活を見直し、腎機能の維持・改善につなげましょう。 食生活を改善する 腎臓を保護するための食事では、以下の点に気を付けましょう。 食事の工夫 説明 プリン体の多い食品を控える 肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品は、尿酸値を上昇させるため、摂取を控えめにする。 プリン体の少ない食品を選ぶようにしましょう。 塩分や蛋白質の摂取を控えめにする 塩分や蛋白質の過剰摂取は、腎臓に負担をかけるため、適量を心がける。 塩分は1日6g未満、蛋白質は体重1kgあたり0.8gを目安に摂取しましょう。 十分な水分を摂取する 水分補給は尿酸の排泄を促進し、腎臓の負担を軽減するために重要。 1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう。 野菜や果物を積極的に取り入れる 野菜や果物に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維は、腎機能の維持に役立つ。 1日に350g以上の野菜や果物を摂取するようにしましょう。 アルコールは控えめにする アルコールは尿酸値を上昇させ、腎臓に負担をかけるため、摂取は控えめにする。 1日の飲酒量は、ビールなら500ml、日本酒なら1合未満を目安にしましょう。 管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事の計画を立てることが大切です。バランスの取れた食事を心がけ、腎臓にやさしい食生活を送りましょう。 適度な運動をする 腎臓の健康を守るには、適度な運動と体重管理が大切です。 適度な運動は体重管理に役立ち、血圧を安定させる効果があります。これにより腎臓への負担が軽減され、腎機能の保護につながります。 肥満は高尿酸血症や腎臓病のリスクを高めます。標準体重を目指し、必要に応じて医師や栄養士に相談しましょう。 禁煙する 喫煙は、腎臓の血管を収縮させ、腎機能を低下させる可能性があります。そのため、喫煙している方は禁煙を検討しましょう。 以下は禁煙の方法です。 禁煙外来で専門家に相談する ニコチンパッチやガムを使う たばこを吸いたくなったときの気分転換方法を見つける 急に断ち切る必要はありません。少しずつたばこの本数を減らし、無理のないペースで禁煙を進めてみてください。 高血圧・糖尿病の治療をする 痛風と高血圧を併発している人は、腎臓に負担がかかりやすくなります。 高血圧によって腎臓の血管が傷つき、尿酸の結晶がたまりやすくなるためです。血圧のコントロールが悪いと、腎臓の障害がさらに進行してしまう可能性があります。 また、糖尿病も腎臓病のリスクを高める重要な因子です。血糖値が高い状態が続くと、腎臓の細い血管が損傷を受け、機能が低下していきます。 高血圧・糖尿病を患っている方は、それらの疾患を適切に治療することで痛風や腎機能低下の根本治療につながるケースも少なくありません。 糖尿病治療の選択肢として、再生医療があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、詳しい治療方法を知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 痛風における腎臓病の治療法 痛風で腎臓病を発症した場合、適切な治療を進めていく必要があります。 腎臓病における代表的な治療法は以下の3つです。 薬物療法 透析治療 再生医療 順番に見ていきましょう。 薬物療法 痛風による腎臓病の際に用いられる薬物療法では、尿酸値を下げたり、腎機能を保護したりする治療が行われます。 主な薬物療法の種類と効果を以下にまとめました。 治療法 説明 尿酸値を下げる薬物療法 アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールする。 尿酸の産生を抑えたり、排泄を促進したりすることで、尿酸値を下げる。 腎機能を保護する薬剤 腎臓の血管を保護し、タンパク尿を減らす働きのある薬を使用し、腎臓の機能低下を防ぐ。 代表的な薬には、血圧を下げる作用もあるACE阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)などがある。 医師の診断と指導のもとで患者様の状態にあった治療法が選択されます。 透析治療 腎機能が著しく低下し、老廃物が体内に蓄積した場合は、透析治療が検討されます。 透析治療では、腎臓の代わりに尿として排出されるはずの余分な水分や老廃物を取り除きます。 2008年のあるデータでは、痛風腎による新規透析導入数は100人で、透析治療患者全体の0.3%とそこまで高い数値ではありませんでした。(文献4) 透析療法では水分制限や食事制限なども開始されるため、担当医と相談しながら患者様のペースで治療を進める流れが多いです。 再生医療 痛風による腎機能低下の治療法には再生医療の選択肢もあります。 再生医療とは、人間の組織や血液を活用する治療法です。自身の細胞を使用するため副作用も少なく、注射や点滴による治療が多いため、身体への負担が少ないのが特徴です。 再生医療を専門とするリペアセルクリニックでは、無料のメール相談またはオンラインカウンセリングを受け付けております。再生医療の詳しい治療内容や症例を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 痛風と腎臓の関係性を知って腎機能を高める生活を送ろう 痛風と腎臓は深く関係しているため、日々の生活で腎機能を守る工夫が必要です。 高尿酸血症のコントロール、腎臓にやさしい食事療法、生活習慣の改善など、さまざまな角度からのアプローチが求められます。 また、定期的な医療チェックと継続的なケアを通じて、合併症の早期発見と適切な対処を心がける必要があります。 痛風と腎臓病を抱える患者さんには、医療従事者とのパートナーシップを大切にしながら、積極的に健康管理に取り組んでいきましょう。 腎臓病の治療の選択肢に再生医療があります。 再生医療を提供している当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。再生医療について詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 痛風患者における腎障害の関連因子の検討|GoutandNucleicAcidMetabolismV (文献2) 原著2痛風患者における腎結石の有病率|J-STAGE (文献3) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版|日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン訂正委員会 (文献4) 腎予後に及ぼす高尿酸血症の影響|琉球大学医学部附属病院血液浄化療法部 (文献5) 痛風|MSD マニュアルプロフェッショナル版 (文献6) 健康を考える皆さまへ|千葉県栄養士会 (文献7) 高尿酸血症・痛風の食事療法|順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部 (文献8) 高尿酸血症/痛風|日本生活習慣病予防協会 (文献9) 「高尿酸血症/痛風」|日本生活習慣病予防協会 (文献10) 高尿酸血症・痛風ハンドブック|沢井製薬株式会社 (文献11) 腎臓の病気について調べる 6.全身性疾患に伴う腎障害 7.痛風腎|日本腎臓学会 (文献12) 痛風(高尿酸血症)|愛知県薬剤師会 (文献13) 腎臓の病気について調べる 7.治療|日本腎臓学会 (文献14) 腎臓の病気について調べる 11.腎代替療法|日本腎臓学会
2024.10.28 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「足の親指が突然ズキズキ痛み出した…歩くと余計に悪化するの?」 このような疑問をお持ちではありませんか? 痛風は、尿酸が関節に蓄積することで炎症を引き起こし、激しい痛みを伴う病気です。特に足の親指に発作が起こると、歩行が困難になる場合もあります。 歩行自体が痛風を悪化させるわけではありませんが、運動の強度が高すぎると症状が悪化する可能性があります。そのため、運動に関する正しい知識を身につけておく意識が大切です。 本記事では、痛風と歩行の関係性や、痛風の症状改善に効果のある対処法を解説しています。正しい知識を覚えて、痛みの軽減や再発予防につなげましょう。 痛風は歩くと悪化する可能性がある? 痛風は「風が当たるだけで痛みが走る」という意味から名付けられた、激しい痛みを特徴とする疾患です。血液中の尿酸値(体内でできる老廃物の一種)の上昇が痛風を発症する主な原因です。 「痛風は歩くと悪化するのか」という疑問を持つ人は多いですが、歩くこと自体は痛風を悪化させる行為ではありません。 ただし、過度な運動や関節に負担がかかりすぎる動きは、尿酸値を上昇させて痛風を誘発する可能性があります。そのため、山登りや急な坂道の往復といった関節に負担がかかる歩行は、事前に医師に相談しましょう。 以下は、歩行以外で尿酸値上昇のリスクを高める運動例です。 短距離走 ベンチプレス ダッシュを繰り返す運動 症状を悪化させないためにも、運動強度は医師と相談しながら調整しましょう。 痛風とは? 痛風とは、足の親指のつけ根が急に赤く腫れ、強い痛みを感じる病気です。 痛風の症状は、足の親指だけでなく手足や膝の関節にも現れることがあります。また、耳に小さなしこりができたり、尿路結石が生じたりする場合もあります。 痛風の原因は、血液中の尿酸値(体内でできる老廃物の一種)の上昇です。尿酸が過剰に生成されると結晶化し、免疫細胞が結晶を処理する際に炎症が起こります。この炎症が痛風の症状となって出てくるのです。 尿酸が増える理由には、腎臓の働きが弱くなることや生活習慣の乱れが関係しています。特に、食べすぎや飲酒、肥満、激しい運動は尿酸を増やす主な原因です。 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善で、症状をコントロールできるので、正しい知識と対処法を覚えましょう。 痛風の初期症状や症状が出る部位について知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 【関連記事】 痛風の初期症状は?早期発見につなげて重症化を防ごう【医師監修】 痛風が影響を与える主な部位とその対策 痛風は適度に歩くと治る確率が高まる 適度な運動は、痛風の改善に効果があります。特に、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの軽めの有酸素運動がおすすめです。 適度な運動は、痛風の原因となる肥満を改善するだけでなく、健康状態の維持にもつながります。 ただし、激しい運動はかえって尿酸値を上げてしまう可能性があるため、運動強度を高めすぎない意識が大切です。 痛風で適度に歩く以外に症状を緩和する6つの方法 ここでは、痛風の症状を緩和する6つの方法を紹介します。 患部を冷やす 食生活を見直す 水分を多く摂取する 禁煙または喫煙量を減らす ストレスをためないようにする 医師の指導のもと薬物治療を行う 順番に見ていきましょう。 患部を冷やす 患部を冷やせば、炎症や痛みが和らぎます。氷嚢(ひょうのう)やアイスパックを使うと、血管が収縮し、腫れが抑えられるためです。 ただし、冷やしすぎると血流が悪くなり、逆効果になる場合があります。 冷却は1回につき15分以内にとどめ、数時間おきに繰り返すのが適切です。 アイシングやジェルパックなどの冷却グッズを常備しておくと、急な痛みが出たときにも対応しやすくなります。冷却を行う際は、直接肌に当てず、タオルを挟んで使用してください。 食生活を見直す 痛風の予防と管理において、食事の改善は重要な役割を果たします。痛風に関連する食生活の注意点は以下のとおりです。 注意点 説明 プリン体の多い食品を控える プリン体の多いレバーやイカ、青魚などは控えめにすることで、痛風発作のリスクを抑えられます アルコール、特にビールの摂取を控える アルコール(特にビール)は尿酸の排泄を妨げ、体内の尿酸値を上昇させる働きがあるため、摂取量を控えれば痛風の予防にもつながります。 低脂肪乳製品、野菜、果物を積極的に取り入れる 低脂肪乳製品、野菜、果物は、尿酸値を下げる効果が期待できます。 コーヒーは1日3〜4杯程度に抑える コーヒーには尿酸値を下げる効果があります。飲みすぎは逆効果のリスクがあるため、1日3〜4杯程度に抑えるのが理想的です。 痛風を予防するには、これらの食事の注意点を日常的に意識することが大切です。個人の体質や健康状態に合わせて、管理栄養士など専門家のアドバイスを参考にしながら、適切な食事プランを立てることをおすすめします。 水分を多く摂取する 水分をしっかり摂ると、体の老廃物が尿と一緒に排出されやすくなります。 特に、尿酸を体の外へ出すためには、水を十分に飲むのが大切です。発作が起きているときは、意識してこまめに水分を補給してください。 目安として、1日に1.5〜2リットルの水を飲むと良いでしょう。水分が不足すると尿の量が減り、尿酸が体内にたまりやすくなります。 飲み物は水やお茶を中心にし、お酒や砂糖の多いジュースは控えましょう。 禁煙または喫煙量を減らす 喫煙は尿酸値を上昇させる要因の1つです。 禁煙または喫煙量の削減に努めれば、痛風発作のリスクを下げられます。禁煙が難しい場合は、内科やクリニックで相談してみるのも良いでしょう。 ストレスをためないようにする ストレスは尿酸値を上昇させる原因の1つです。 ストレス管理とリラクゼーションを心がければ、痛風発作のリスクを下げられます。自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。 医師の指導のもと薬物治療を行う 痛風の治療では、医師の指導のもとで薬を使用します。医師が処方する治療薬には以下のようなものがあります。 治療薬 説明 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) ロキソプロフェンやジクロフェナクなどの薬剤で、炎症を抑え、痛みを和らげます。 コルヒチン 痛風発作の初期治療に用いられる薬剤で、炎症を引き起こす細胞の活動を抑制します。 ステロイド薬 プレドニゾロンなどの薬剤で、強力な抗炎症作用を持ちます。内服や関節内注射で用いられます。 症状の程度に応じて、これらの薬剤が単独または併用で使用されます。医師と相談しながら、最適な治療法を選択していきましょう。 まとめ|痛風は無理して歩くと悪化するので適度な運動を心がけよう 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできる病気です。 運動に関しては、ウォーキングや水泳などの軽い有酸素運動が効果的ですが、尿酸値の上昇につながる短距離走やベンチプレスなどの高強度の運動は避けましょう。 また、日常生活では、プリン体の多い食品やアルコールを控え、十分な水分摂取を心がけることが大切です。喫煙やストレスも尿酸値を上昇させる原因となるため、生活習慣全体の見直しが重要です。 症状の緩和には、適切な冷却処置や医師による薬物治療も効果的です。 医師と相談しながら、治療や生活習慣を改善することで、痛風の症状改善や再発予防につなげることができます。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みに対する治療として再生医療を行っております。 無料のメール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 痛風に関するよくある質問 痛風って1日で治るんですか? 痛風の発作は1日で治りません。 強い痛みや腫れは短期間で軽減する場合もありますが、完全に回復するまでには数日から数週間ほどかかります。 痛風でやってはいけないことはなんですか? 痛風は、尿酸値が高い状態が続くことで発症します。そのため、尿酸値を上げる行為は避けるようにしましょう。 具体的には、喫煙、暴飲暴食、激しい運動、ストレスなどが尿酸値を上げる要因となります。 参考文献 診断と治療者「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」 MSDマニュアル「痛風」 公益社団法人千葉県栄養士会「痛風の予防と食事」 地方独立行政法人東京都立病院機構「高尿酸血症・痛風の食事」 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部「高尿酸血症・痛風の食事療法」 e-ヘルスネット「アルコールと高尿酸血症・痛風」 e-ヘルスネット「高尿酸血症」 日本生活習慣病予防協会「生活習慣病.高尿酸血症/痛風」 日本生活習慣病予防協会「生活習慣病の調査・統計.高尿酸血症/痛風」 沢井製薬株式会社「高尿酸血症・痛風ハンドブック」
2024.10.25 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風って足の親指だけに起こるんじゃないの?」 「痛風が他の部位にも影響するなんて知らなかった!」 このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 痛風はたしかに足の親指の付け根に最も頻繁に発症しますが、実は他の関節や部位にも影響を及ぼす可能性があるのです。 それぞれの部位で痛風が起こった場合の対処法を理解しておくことが、効果的な痛風管理につながります。 本記事では、痛風が影響を与える主な部位と症状、部位別の対策について詳しく解説します。痛風とうまく付き合うための参考にしてください。 痛風の症状は足の甲にも現れる 痛風の症状は、足の指に最も多く現れるとされていますが、足の甲にも現れます。 足の甲に痛風が発症すると、歩行や立つことが困難になり、日常生活に大きな影響を与えます。 主な症状は激しい痛みや腫れ、発赤、熱感などで、足の指と同様に、急性の発作として突然起こることが特徴です。 痛風の発症は、過剰なアルコール摂取やプリン体を多く含む食品の摂取が引き金となるケースが多く、関節に激しい痛みを引き起こします。 痛風とは何か? 痛風は、体内で作られた尿酸が過剰に蓄積して発症する病気です。 尿酸は、プリン体と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種で、通常は尿として体外に排出されます。 この尿酸が、なんらかの理由で体内に蓄積すると、針のような形の結晶となって関節内に沈着し、激しい炎症と痛みを引き起こすのです。 痛風は、主に40代以降の男性に多くみられる病気ですが、女性も閉経後に発症リスクが高まります。 そして、痛風発作は突然起こるため、日常生活に大きな支障をきたし、適切な治療を行わないと、関節の変形や腎臓の障害など、深刻な合併症につながる可能性もあります。 痛風の原因 痛風の主な原因は、次の3つが挙げられます。 尿酸の過剰産生または排泄低下 プリン体の多い食事の摂取 肥満や過度のアルコール摂取 それぞれ、具体例を交えて1つずつ説明します。 尿酸の過剰産生または排泄低下 体内で尿酸の生成が増加、または尿酸の排泄が減少すると、血中の尿酸値が上昇します。 尿酸が血中に過剰に存在すると、関節や周辺の組織に結晶として蓄積され、痛風発作が起こります。 具体例 遺伝的要因(尿酸を作りやすい、または尿酸を排出しにくい体質) 利尿剤や低用量アスピリンなど、特定の薬剤の使用 プリン体の多い食事の摂取 プリン体とよばれる肉類、魚介類、ビールなどの過剰摂取は、尿酸値を上昇させます。 具体例 肉類(レバー、ささみなど)や魚介類(イカ、タラコなど)の多量摂取 ビールの大量飲酒 肥満や過度のアルコール摂取 肥満から起こるインスリン抵抗性は尿酸の排泄減少の可能性を高め、アルコール摂取は尿酸の生成促進と排泄を阻害する作用があります。 具体例 BMI(肥満指数)数値が25以上 500ml以上(瓶ビール1本以上)のアルコールを毎日飲酒する 痛風の症状 痛風発作の症状には、以下3つの特徴があります。 突然の激しい関節痛 発赤、腫れ、熱感をともなう 発症から24~36時間後が最も痛みのピーク それぞれの特徴について、具体例を交えて1つずつ解説します。 突然の激しい関節痛 痛風の最も特徴的な症状で、発作的に現れます。 足の親指の付け根(第1中足趾節関節)に最初の発作が起こる場合が多いですが、他の関節(足首、膝、手首など)も侵される可能性があります。 具体例 夜中や早朝に突然起こる激痛 歩行や靴の着用が困難なほどの痛み 発赤、腫れ、熱感をともなう 尿酸の結晶が関節にたまると、免疫系が反応して炎症が起こり、関節周囲の皮膚が赤く腫れ上がって熱を持ちます。 この症状は、足の親指の付け根や足首、膝関節など、体重がかかる部位でよく見られ、軽い触れ合いでも痛みを感じる状態になる場合もあります。 具体例 患部が赤く腫れ上がり、皮膚が光沢を帯びる シーツの重みでも痛みを感じるほどの圧痛 発症から24~36時間後が最も痛みのピーク 発作が始まってから1〜2日で、痛みが最も強くなります。 炎症反応が最も活発になり、動かすことができないほど痛みが強くなるケースが多いです。 その後、数日から2週間ほどかけて徐々に症状が改善していきます。 具体例 発症から1日半ほどで、痛みが最高潮に達する 痛みのピークを過ぎると、徐々に腫れや痛みが引いていく 痛風が影響を及ぼす具体的な部位 足の親指の付け根だけでなく、痛風はさまざまな部位に影響を及ぼす可能性があります。 ここでは、その具体的な部位とそこに起こる症状について説明します。 足の親指の付け根:最も一般的な痛風発作の場所 足の親指の付け根(第一中足趾節関節)は、痛風発作が最も頻繁に起こる場所です。 この部位は、体重を支える重要な関節の一つであり、歩行時に大きな負担がかかります。 そのため、この関節に尿酸結晶が沈着すると、以下のような症状が現れます。 症状 説明 靴を履くことも困難なほどの激しい痛み 痛風発作が起こると、激しい痛みが生じ、痛みのために、靴を履くことさえ困難になります。 安静時でも持続する痛み 痛風発作による痛みは、安静にしていても持続します。痛みのために、夜も眠れなくなるほどの不快感をともなう場合もあります。 歩行困難 痛みと腫れにより、歩行が困難になり、痛みを避けるために、足を引きずるような歩き方になる場合もあります。 発作治まった後も関節の腫れや違和感が残る 痛風発作が治まった後も、関節の腫れや違和感が しばらく残る場合があります。完全に症状が消失するまでには、数日から数週間かかることもあります。 痛風が足の親指の付け根に好発する3つの理由 痛風で最も起こりやすい部位は足の親指の付け根です。 足の親指が好発部位となる理由は、主に次の3点が考えられています。 体重負荷を受けやすい 血流が滞りやすい 体温が低めで尿酸結晶が沈着しやすい 1つずつ、詳しく見ていきましょう。 体重負荷を受けやすい 歩行時や立位時に、足の親指の付け根には体重が集中しやすいため、関節に負担がかかります。 また、圧力や摩擦も加わるので、尿酸結晶が集まりやすくなります。 血流が滞りやすい 足の末端は心臓から遠く、重力の影響もあるため、血流が滞りやすく、尿酸が結晶化して沈着しやすい場所です。 足の親指の付け根以外の関節(足首、膝、手首など)に発症することもあります。 体温が低めで尿酸結晶が沈着しやすい 足の末端は体の中心部と比べて体温が低めのため、尿酸結晶が沈着しやすい環境です。 冬場や長時間の座位、運動不足などの状況は、足の先端部分が冷えやすく、足の親指の付け根に尿酸結晶が沈着しやすくなります。 痛風は尿酸値の上昇が主な原因ですが、体の特定の部位に症状が現れやすいという特徴もあります。 尿酸値のコントロールとともに、この好発部位についても理解を深めることが大切です。 その他の関節:手、足首、膝、足の甲など 足の親指以外にも、痛風発作は以下のような部位に起こる可能性があります。 部位 説明 手の関節(指の関節、手首) 手の関節の痛風発作は、物を握ったり、ボタンを留めたりする動作を困難にします。 足首 足首の痛風発作は、歩行時の痛みや腫れが生じます。足首の可動域が制限され、階段の昇り降りなどの動作が困難になるケースもあります。 膝 膝関節の痛風発作は、激しい痛みと腫れを伴います。膝を曲げ伸ばしする動作が困難になり、歩行や立ち座りに支障をきたすことがあります。 肘 肘関節の痛風発作は、肘の痛みと腫れにより、腕を曲げ伸ばしする動作が制限されます。 アキレス腱の周辺 アキレス腱周辺の痛風発作は、歩行時の痛みや違和感が生じます。アキレス腱の炎症により、歩行パターンが変化することもあります。 足の甲 足の甲の痛風発作は、靴の着脱が困難になります。足の甲の腫れと痛みにより、歩行時の不快感が増すことがあります。 これらの部位での発作は、足の親指ほど頻繁ではありませんが、激しい痛みと腫れをともない、場合によっては、複数の関節に同時に発作が起こることもあります。 たとえば、足の親指と足の甲に同時に発作が起こった場合、歩行が極めて困難になります。 また、手の関節と膝関節に同時に発作が起こった場合、日常生活動作の多くが制限されることになります。 このように、痛風は特定の関節に発症しやすい傾向があります。 関節部位ごとの症状の違いを理解し、発作の初期段階から適切な対処を心がけることが大切です。 痛風発作の好発部位と一般的な症状について知識を深め、痛風が疑われる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 痛風発作時の場所別対策法 痛風が発症した部位によって、対処法に少し違いがあります。 ここでは、足の親指と他の部位における痛風発作の治療と対策方法について説明します。 足の親指に発生した痛風の治療と対策 足の親指に痛風発作が起こった場合、以下の対処が有効です。 対処法 説明 安静と冷却 発作時は、患部の安静と冷却が重要です。安静にすることで、関節への負担を軽減し、患部の冷却で、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。 水分補給 十分な水分を摂取し、尿酸の排泄を促すことも効果的です。尿量を増やすことで、体内の尿酸の効率的な排出が可能です。1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう。 薬物療法 炎症を抑え、痛みを和らげる効果のある消炎鎮痛薬の服用が一般的ですが、必要に応じてコルヒチンやステロイド薬を医師が処方することもあります。ただし、副作用の可能性もあるため、医師の指示に従った服用が大切です。 食事療法 プリン体の摂取制限などの食事療法が大切です。肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品の摂取を控えることで、尿酸値の上昇を防ぎます。 靴の選択 足の親指への負担軽減のために、適切な靴の選択も重要です。ゆったりとしたつま先、クッション性のある靴底、足首を支えるデザインの靴を選ぶことで、関節への負担を和らげます。 足の手入れ 足を清潔に保つことで、感染症のリスクを減らせます。また、足の爪を適切な長さに切り、肌の乾燥防止も大切です。 他の部位の痛風発作に対する対策 足の親指以外の関節(手、足首、膝、肘など)に痛風が発症した場合も、基本的な対処法は同様です。 対処法 説明 安静と冷却 発作時は、患部を安静にし、冷却することが大切です。安静と冷却は、関節の負担軽減と痛みや腫れの緩和、患部の炎症を抑えます。 水分補給 十分な水分補給(1日の摂取目安量:1.5~2リットル)を行い、尿酸の排泄を促し、尿量を増やすことで体内の尿酸の効率的な排出が可能です。 薬物療法 消炎鎮痛薬、コルヒチン、ステロイド薬などを服用し、炎症と痛みを抑えます。ただし、副作用の可能性もあるため、医師の指示に従って適切な服用が大切です。 対策の追加 部位によっては関節の固定や運動療法、リハビリなど、対策の追加が必要となる場合があります。例えば、手関節に発作が起こった場合は、手首を固定する装具の使用、膝関節の発作には、適切な運動療法やリハビリで、関節の可動域を維持し、機能低下を防ぎます。 痛風発作の対処は発症部位によってある程度異なります。 足の親指であれば靴の選択が、手関節であれば運動療法がポイントになるなど、発症部位の特性を踏まえ、医師や理学療法士と相談しながら、適切な治療計画を立てることが大切です。 痛風が疑われる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。 早期発見と適切な治療により、痛風発作による痛みや日常生活の制限を最小限に抑えることができます。 また、生活習慣の改善や薬物療法により、発作の頻度を減らし、関節の変形や機能障害の予防が期待できます。 痛風と上手に付き合いながら、健康的で充実した生活を送れるよう、医療従事者と協力して取り組んでいきましょう。 痛風発作の予防 痛風発作を予防するためには、日常生活の改善が欠かせません。 とくに食生活の管理と適切な運動・体重管理が重要になります。 ここでは、それぞれの詳細について説明します。 食生活の管理 痛風予防のための食事療法では、主に4つの注意が必要です。 注意点 説明 プリン体の多い食品を控える プリン体の多い食品(レバー、イカ、鶏皮、内臓肉)は控えめにすると尿酸値上昇を防げます。完全に避ける必要はありませんが、バランスを考えた適量摂取を心がけましょう。 アルコール、特にビールの摂取を控える アルコールは尿酸の生成を促進し、排泄を妨げる作用があります。とくにビールは、プリン体も多く含まれているため、痛風発作のリスクを高めます。アルコールは適量を心がけ、できればビールは控えめにしましょう。 十分な水分を意識的に摂取する 十分な水分摂取は、尿酸の排泄を促すために重要です。1日1.5~2リットルの水分摂取を目指しましょう。ただし、一度に大量の水を飲むのではなく、こまめに水分を補給することが大切です。 バランスの取れた食事を心がける 偏った食事は痛風発作のリスクを高めます。さまざまな食品群を偏りなく摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。とくに、野菜や果物、低脂肪乳製品、全粒穀物などを積極的に取り入れることが大切です。 これらのポイントを意識しながら、管理栄養士と相談して自分に合った食事計画を立てることが大切です。 一度に大幅な食事内容の変更を行うのではなく、少しずつ改善していくのがよいでしょう。 また、外食や食事会などの際は、プリン体の多い食品を控えめにするなど、工夫をしながら対応しましょう。 自分の体の反応を観察しながら、無理のない範囲で食生活の改善を進めていくことが重要です。 適切な運動と体重管理 運動は尿酸値を下げる効果が期待でき、痛風発作のリスクを減らすのに役立ちます。 運動の目安は以下の通りです。 項目 内容 頻度 週2~3回 時間 1回30分以上 種類 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など自分に合った続けやすいもの) 運動をはじめる際は、自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲ではじめることが大切です。 ウォーキングであれば、1回10分からはじめ、徐々に時間を延ばしていくのがよいでしょう。 また、痛みや違和感がある場合は、無理せず、医師や理学療法士に相談しましょう。 加えて、肥満は痛風のリスクを高めるため、適正体重の維持を心がける必要があります。 適正体重は、身長(m)の2乗×22が目安となります。 たとえば、身長170cmの方であれば、適正体重は約64kgです。 無理のない範囲で、徐々に体重を適正範囲に近づけていくことが大切です。 身長 適正体重の目安 適正体重の計算式:身長(m)の2乗 × 22 150cm 49.5~54.0kg 49.5kg 160cm 56.3~61.4kg 56.3kg 170cm 63.6~69.4kg 63.6kg 180cm 71.3~77.8kg 71.3kg 適正体重には個人差があります。 筋肉量が多い人や骨格が大きい方は、この目安よりも重めでも適正体重の範囲内である可能性があります。 運動療法は個人差が大きいため、自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲ではじめることが大切です。 また、痛風発作時や回復期には無理な運動は控え、医師や理学療法士の指示に従うことが重要です。 食生活と運動、体重管理を総合的に見直すことが、痛風発作の予防につながります。 生活習慣の改善に取り組み、痛風とうまく付き合っていくことが大切です。 生活習慣の改善は簡単ではありません。長期的な視点を持って、自分のペースで無理のない継続が重要です。 痛風は再発や合併症のリスクあり|早期診断と治療が大切 痛風発作は、適切な治療を行わないと再発する可能性が高まります。 また、長期化すると関節の変形や腎臓などの合併症を引き起こすこともあるため、早期の診断と治療が重要です。 以下のような場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 突然の激しい関節痛があり、関節が赤く腫れている 発熱や風邪の症状をともなう関節痛がある 痛風発作を繰り返し起こしている 痛風発作が長引き、日常生活に支障をきたしている 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善により、十分にコントロールできる病気です。 早期に診断を受け、医師の指導のもと、薬物療法や食事療法に取り組むことが大切です。 また、日頃から体重管理やアルコール摂取量の調整など、生活習慣の見直しを心がけることも重要です。 痛風と上手に付き合いながら、健康的で充実した人生を送れるよう、医療チームと協力して取り組んでいきましょう。 まとめ:痛風発作への効果的なアプローチ 痛風は足の親指だけでなく、手の関節、足首、膝、肘などさまざまな関節に発症することがあります。 部位によって対処法は異なりますが、共通する発作時の対応としては安静・冷却・消炎鎮痛薬があります。 部位別の予防策 手の関節:適切な道具の使用、運動療法、リハビリ 足首・膝:固定装具、適切な靴の選択、運動療法、リハビリ 肘:固定装具、適切な姿勢、運動療法、リハビリ 一般的な予防策 プリン体の多い食品の摂取を控える 1日1.5~2リットルの水分をこまめに摂取 週2~3回、30分以上の有酸素運動 適正体重の維持(BMI 22程度) 痛風とうまく付き合うには、体の変化に早めに気づき適切に対処することが重要です。 症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、自分に合った管理法を見つけましょう。
2024.10.18







