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更年期に差しかかると、心身にさまざまな変化が現れます。 なかでも腰痛は、多くの女性が悩まされる代表的な症状の一つです。 女性ホルモンの急激な減少や加齢、心理的なストレスが複雑に絡み合って腰に不調をもたらしますが、他の病気が隠れている可能性も否定できません。 そこで本記事では、更年期の腰痛の原因と症状、日常生活でできるセルフケアの方法、医療機関での対応について詳しく解説します。 新しい選択肢として注目されている再生医療も紹介するので、腰痛で悩んでいる方は参考にしてみてください。 更年期に発症する腰痛のお悩みを今すぐ解消したいとお考えで、再生医療に興味がある方は当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 更年期と腰痛の関係|主な原因と傾向について 更年期に入ると、多くの女性が体調の変化を実感するようになります。 なかでも腰痛は、日常生活に支障をきたすほどの悩ましい症状の一つです。 ここでは、更年期に起こる腰痛の主な原因と傾向について、4つの視点から解説します。 女性ホルモンバランスの乱れが主な原因 更年期に入ると、エストロゲンを中心とした女性ホルモンの分泌量が大きく減少します。 ホルモンは骨や筋肉、関節の状態に深く関与しており、女性ホルモンの減少が腰痛の原因の一つです。 また、エストロゲンの低下により、骨密度が減少して骨粗しょう症が進行しやすくなります。(文献1) 結果として、腰椎への負担がさらに増してしまうのです。 さらに、関節や筋肉の柔軟性低下も、腰痛を引き起こす要因となります。 ストレスが原因の場合がある 更年期には身体的な変化に加え、心理的ストレスも腰痛に大きく関係します。 ホルモンバランスの乱れによって感情の起伏が激しくなり、不安やイライラを感じることも少なくありません。 自律神経の働きが乱れて筋肉の緊張が続くと、腰痛が悪化するケースがあるのです。 さらに、ストレスは睡眠の質を低下させ、身体の回復機能も阻害します。 身体状態の回復が遅れると慢性的な痛みにつながる恐れもあるため、ストレスに対する心理的なケアも更年期の腰痛対策には欠かせない要素です。 高齢になるほど悪化する傾向がある 加齢に伴う筋力や柔軟性の低下も、腰痛が悪化する一因です。 とくに、女性は閉経後に筋肉量が減少しやすく、姿勢の維持や日常動作に負担を感じるケースがあります。 運動不足が続くと体幹の筋力が低下し、腰椎へのサポート力が弱まってしまうのです。 また、加齢によって背骨の骨と骨の間にある椎間板に亀裂が入ってクッション機能が失われる「椎間板変性症」も、慢性的な腰痛の原因となります。 このような身体の変化は年齢とともに徐々に進行するため、早めの対策が重要です。 他の病気の可能性 腰痛が更年期による可能性が高いとはいえ、他の病気が原因かもしれません。 たとえば、骨粗しょう症による圧迫骨折や変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなどの整形外科的疾患が隠れているケースも考えられるのです。(文献2) さらに、腎臓や婦人科系の疾患でも腰部に痛みが出る場合があります。 症状が長引くときや強い痛みがある場合には自己判断で済ませず、医師の診断を受けましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、ヘルニアなどの腰痛に対する再生医療を行っております。 公式LINEでは簡易オンライン診断が受けられるので、腰の痛みにお悩みの方は、登録してぜひ一度お試しください。 更年期の腰の痛み・主な症状 更年期における腰痛には、痛みの部位や強さ、持続時間などさまざまな点で個人差があります。 単なる「腰が痛い」という表現では説明しきれない、多様な症状が存在するのです。 ここでは、具体的な痛みや症状について解説します。 腰全体が重だるい 腰全体に広がる重だるさは、更年期のホルモンバランスの乱れによって筋肉や関節の柔軟性が低下した可能性が考えられます。 とくに、長時間同じ姿勢を続けた後や起床時に感じやすいのが特徴です。 腰全体が重だるい状態は血流の悪化や筋肉の緊張が関係している場合が多く、軽いストレッチや入浴で改善できるケースがあります。 鈍痛が続く 腰の奥の方で感じる鈍い痛みは、慢性的な筋肉のこわばりや骨の異常が関係している場合があります。 鈍痛が続く方は、日常生活の中で無理な姿勢を続けていたり、運動不足が影響していたりするケースも少なくありません。 放置すると悪化する可能性があるため、早めの対処が必要です。 特定の場所が痛い 腰のある一部に集中して痛みが生じる場合、部分的に炎症や筋肉の損傷が起きている可能性があります。 また、関節や椎間板に問題がある場合にも、局所的な痛みとして現れる場合があります。 痛みの範囲が限定されている場合でも、安易に放置せず医師に相談しましょう。 力が入らない 腰部の筋力低下により、物を持ち上げる際に力が入らないと感じるケースも少なくありません。 更年期に伴う筋肉量の減少や運動不足が主な原因であり、体幹の安定性が低下すると腰への負担が増えてしまいます。 とくに、腰周辺のトラブルが原因で神経が影響を受けると、立ち上がりや歩行時に不安定さを感じて危険です。 放置すると転倒リスクが高まる可能性があるため、医師の診断を受けて早めに対処しましょう。 腰に加えて手足にも痛みがある 腰だけでなく手足にも痛みが及ぶ場合は、神経への圧迫や椎間板の変形などが原因になっている可能性があります。 とくに、坐骨神経痛のように腰から足にかけて痛みやしびれが広がる場合には、整形外科的な検査が必要です。 早期の発見と治療が症状の進行を防ぐ鍵になります。 左側・右側など片側だけ痛い 腰の片側だけに痛みを感じる場合、負荷が集中している可能性が考えられます。 たとえば、寝る姿勢や座り方の癖、利き手・利き足の使い方などが原因で、筋肉の使い方に偏りが生じる場合があるのです。 また、腎臓や内臓疾患による関連痛の可能性も否定できません。 片側の痛みが続くときには生活習慣を見直すほか、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 更年期の腰痛を治すために自分でできる改善方法 更年期における腰痛は、日常生活の中での工夫で改善できる場合があります。 以下では、セルフケアとして効果が期待できる方法を紹介します。 ツボ押し 体の特定の点を刺激して血流を促進し、痛みを和らげるのが東洋医学のツボ押しです。 腰痛に効果的とされるツボには、「三陰交(さんいんこう)」「八風(はっぷう)」「命門(めいもん)」などがあります。(文献2) 三陰交(さんいんこう):内くるぶしの中心から指4本分ほど上、すねの内側 八風(はっぷう):足の甲の指と指の間、付け根のあたり 命門(めいもん):背骨の腰の部分、へその高さで背面の中央 ツボを指の腹でやさしく押して筋肉の緊張を緩め、血行を良くすることが目的です。 ただし、強く押しすぎると傷める可能性があるので十分に注意してください。 ストレッチ・筋トレ 腰まわりの筋肉を柔らかく保ち、筋力を維持することは腰痛の予防になります。 まずは以下のストレッチを取り入れてみましょう。 【腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチ】 1.足を前後に開いて後ろ足の膝を床につける 2.前足の膝に両手を置いて上体をゆっくり前方にスライドさせる 3.元に戻す 4.左右交互に行う 【腰方形筋(ようほうけいきん)のストレッチ】 1.四つん這いの姿勢になる 2.息を吐きながら背中を丸める 3.吸いながら反らす動きをゆっくりと交互に行う 4.5回繰り返す 【脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)のストレッチ】 1.椅子に座って背筋を伸ばす 2.ゆっくりと腰を後ろにひねる 3.深呼吸しながら20秒キープ 4.元に戻って左右交互に行う 体幹トレーニングとして軽い筋力トレーニングも、腰椎を支える筋肉が強化され、痛みの軽減につながります。 ただし、ストレッチや筋トレで筋肉や関節を傷めるケースもあるため、無理のない範囲で継続することが大切です。 温めて血流を改善 腰を温めると血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれやすくなります。 日常的に、以下のような方法を取り入れてみましょう。 ぬるま湯の湯船にゆっくり浸かる 使い捨てカイロを腰に当てる 温湿布を使う 冷えによる血流の滞りは痛みを悪化させる要因となります。 とくに、寒い季節や冷房の効いた室内では意識的に腰を温めるようにしてください。 ビタミンEやたんぱく質を摂取 食事による栄養補給も、腰痛の改善に役立ちます。 なかでも、ナッツ類やかぼちゃなどに含まれている「ビタミンE」は血行を促進する作用があり、筋肉や関節の機能をサポートするのが特徴です。 また、筋肉の修復と維持にはたんぱく質の摂取も欠かせません。 良質なたんぱく質を含んでいる、肉・魚や大豆製品などを意識的に摂取しましょう。(文献3) ただし、持病で医師から摂取を控えるように指示されている食材には注意してください。 更年期の腰痛がひどい場合は医療機関で治療を受けよう セルフケアで改善が見られない場合や痛みが続く、あるいは悪化しているなら早めに医療機関を受診しましょう。 まずは婦人科に相談し、ホルモンバランスに起因する可能性があるかを確認してもらってください。 症状によっては、整形外科での画像診断や神経のチェックも必要です。 以下では、更年期の腰痛に対する具体的な治療方法を解説します。 ホルモン補充療法(HRT) ホルモン補充療法とは、更年期に減少するエストロゲンを医薬品で補う治療法です。 骨密度の維持や血流改善に効果があるとされ、腰痛の軽減につながります。 ただし、副作用のリスクがあるため、使用にあたっては医師の診断と経過観察が必要です。 漢方療法 漢方薬は、身体全体のバランスを整えて更年期症状の緩和を目指す治療法です。 血行を促す作用や筋肉のこわばりを和らげるのを目的として、処方される場合があります。 腰痛に限らず、更年期の代表的な処方には以下の種類があります。 種類 対応の症状 加味逍遙散(かみしょうようさん) のぼせ感、肩がこり、疲れ、精神不安、いらだち、不眠症など 温経湯(うんけいとう) 手足のほてり、唇がかわく、不眠など 五積散(ごしゃくさん) 冷え、頭痛など 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、足冷え、肩こりなど 温清飲(うんせいいん) 皮膚のかさかさ、のぼせ、神経症など 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 体力虚弱、冷え症、貧血、疲労、むくみ、冷え症など (文献4) ただし、医師や薬剤師と相談しながら適切に使用することが大切です。 再生医療 更年期の腰痛の原因として、「椎間板ヘルニア」や「腰椎すべり症」などが関係している可能性もあります。(文献5) 椎間板ヘルニアなどの治療選択肢の一つに、再生医療による幹細胞治療も含まれます。 幹細胞治療は、患者様から採取した幹細胞を培養して患部に注射する治療法です。 幹細胞には分化能と呼ばれる他の細胞に変化する能力が備わっており、この働きを活用します。 また、再生医療は入院手術を必要としないのも特徴です。 再生医療についての疑問や相談がある方は、お気軽にお問い合わせください。 まとめ|更年期の腰痛に要注意 更年期の腰痛は、ホルモンバランスの乱れや加齢、ストレスなど多くの要因が複雑に絡み合って生じます。 症状には個人差があり、重だるさや鈍痛、片側の痛みなどさまざまな形で現れますが、いずれも早めの対処が大切です。 ツボ押しやストレッチ、食生活の改善など日常生活でできる対策を取り入れつつ、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアなどの腰痛に対して再生医療を行っております。 更年期の腰痛に悩んでいる方は、以下の公式LINEに登録して簡易オンライン診断をお試しください。 更年期の腰痛に関するよくある質問 更年期の腰痛に効く薬はありますか? 更年期の腰痛には、症状に合わせてホルモン補充療法などで薬の使用が検討されます。 ただし、うつや不安などの精神神経症状が主な症状である場合には、抗うつ薬や向精神薬が処方されるケースもあります。(文献6) 更年期の腰痛はいつまで続きますか? 更年期の腰痛がどのくらい続くかについての明確なエビデンスはありません。 一般的に更年期とは、閉経前の約5年と閉経後の約5年、合わせて約10年間を指します。(文献6) ただし、ホルモンバランスが大きく変動する時期であり、約10年の間で収まるとは限りません。 更年期の時期が過ぎても、腰痛が続く場合がある点に留意しておきましょう。 症状が長引いて改善しない場合は、更年期以外の疾患の可能性も考慮し、早めに医療機関を受診することが大切です。 参考文献 (文献1) 更年期対策!運動の効果とは?|更年期相談室 (文献2) 【タイプ別】更年期のつらい腰痛の原因とおすすめのツボ・対策|クラシエ株式会社 (文献3) 更年期の腰痛、その原因や特徴、治し方を解説|キッコーマンニュートリケア・ジャパン株式会社 (文献4) 更年期障害|ツムラ (文献5) 腰痛 背部痛|日本女性医学学会 (文献6) 更年期障害|医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
2025.07.31 -
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指の痛みやこわばりが続いてはいるものの、年齢のせいだと見過ごしていませんか? とくに、40代後半から50代の女性に多く見られる手指の不調は、更年期によるホルモンバランスの変化が関係している可能性があります。 女性ホルモンの減少は、関節や腱に影響を及ぼし、日常生活に支障をきたすほどの指の痛みを引き起こすケースもあるのです。 そこで本記事では、更年期に起こる指の痛みの原因や考えられる疾患、治療法、さらに自宅でできる対処法までわかりやすく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 指が痛いのは更年期障害が原因の一つ 更年期に差しかかると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。 ホルモンバランスの変化は、体全体にさまざまな不調を引き起こしますが、その一つが関節の痛み、とくに指の関節痛です。 医学的には「関節痛」や「こわばり」として認識され、更年期障害の症状の一つとして起こることが知られています。 なかでも、手や指に特有の不快感や運動障害を伴う症状は「メノポハンド」(文献1)と呼ばれ、以下のような不調を感じるのが特徴です。 朝起きたときに手指がこわばる 指の関節が痛む、または腫れる 手指の動かしにくくなる 握力が低下する 手指がしびれる 上記のような症状は、更年期によるホルモン変化によって関節や腱、神経の働きが影響を受けるために起こります。 更年期と聞くと、のぼせや発汗といった全身症状に注目されがちですが、関節痛や手の不調も見逃せない重要なサインです。 女性ホルモンの減少が関係している 更年期における指の痛みは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量の減少と深く関係しています。 エストロゲンは骨や関節、筋肉の健康を維持する働きがあり、減少すると関節の炎症やこわばりが生じやすくなるのが特徴です。 また、筋肉と骨をつなぐ「腱(けん)」や関節を覆う薄い膜である「滑膜(かつまく)」に影響が及ぶと、手指の不調が現れるケースもあります。 とくに朝の指のこわばりや痛みは、更年期のサインの一つとして見逃せません。 自律神経の乱れや筋力低下も原因 更年期における指の痛みは女性ホルモンの減少だけでなく、自律神経の乱れや筋力低下も影響しています。 自律神経のバランスが崩れると、血流が悪化して手先の冷えや痛みが強まります。 さらに、加齢による筋力や柔軟性の低下が伴うと、関節や腱に負担がかかりやすくなるのです。 複合的にさまざまな要因が重なり、手指のこわばりや痛みが日常生活に支障をきたすケースがある点を押さえておきましょう。 関節リウマチとの違い 更年期の指の痛みと似た症状を持つ疾患に「関節リウマチ」がありますが、両者は異なる原因によるものです。 更年期の関節痛はホルモンバランスの変化による一時的な症状であるケースが多いのに対し、関節リウマチは自己免疫疾患であり、関節に炎症を引き起こして悪化します。 朝のこわばりが1時間以上続く場合や、左右対称に痛む場合はリウマチの可能性もあるため、医療機関で検査を受けましょう。 更年期の女性に多い指が痛い疾患 更年期の女性はホルモンバランスの変化により、関節や腱、神経に不調が生じやすくなります。 とくに手指は日常生活で頻繁に使う部位であり、痛みやしびれといった症状が現れると大きな支障になるため注意しなければなりません。 ここでは、更年期に多く見られる指の疾患について、代表的な4つの病気を紹介します。 指の第一関節が痛む「ヘバーデン結節」 ヘバーデン結節は、指の第一関節に変形や痛みを引き起こす疾患です。(文献2) 更年期の女性に多く見られ、関節が赤く腫れたり、指が曲がったまま戻らなくなったりする場合もあります。 原因は加齢やホルモン変化による関節軟骨のすり減りであり、炎症を伴うケースも少なくありません。 進行すると関節が変形し、見た目にも大きな変化が現れます。 握力が低下して日常生活に支障が出る恐れもあるため、早期の対応が重要な疾患です。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」 ブシャール結節は、指の第二関節に発症する関節疾患で、ヘバーデン結節と同様に更年期以降の女性に多く見られる傾向があります。(文献2) 関節の腫れや痛み、こわばりが生じるのが特徴です。 進行すると、関節の変形を伴う場合もあります。 原因は明確ではないものの、女性ホルモンの分泌量の低下や関節への負担が影響すると考えられています。 しびれが生じる「手根管症候群」 手根管症候群は、手首の内側にある「手根管(しゅこんかん)」というトンネル内で正中神経が圧迫されて起こります。(文献2) 更年期の女性に多く、ホルモンの変化によって腱や滑膜が腫れ、神経が圧迫されるのが原因の一つです。 主な症状は、親指から薬指のしびれや痛みで、夜間や早朝に悪化するケースもあります。 進行すると筋力低下や指先の細かい動作が困難になるため、早めの診断と治療が求められます。 指を伸ばそうとしたときに勢いよく伸びる「ばね指」 ばね指は、指を曲げ伸ばしする際に引っかかりや痛みがあり、無理に伸ばすとカクンと跳ねるように伸びる症状が特徴です。(文献2) 腱鞘炎(けんしょうえん)とも呼ばれ、腱を包む組織が炎症を起こし、腱がスムーズに動かなくなることで発症します。 とくに更年期の女性は、ホルモンバランスの乱れや手の使いすぎにより発症しやすく、悪化すると指が動かなくなることもあるため、早めの休息と医療機関での治療が重要です。 更年期で指が痛いときの治療法 更年期の指の痛みは、ホルモンバランスの変化によるものであるケースが多く、治療ではホルモンの働きを補う方法が重視されます。 ここでは、代表的な治療法の「ホルモン補充療法(HRT)」と、補助療法の「エクオール」を紹介します。 ホルモン補充療法(HRT) ホルモン補充療法(HRT)は、更年期に減少するエストロゲンを外から補って、ホルモンバランスを整える治療法です。(文献3) エストロゲンの補充によって関節や腱の炎症を抑え、痛みやこわばりの軽減が期待されます。 更年期症状全般に効果があるとされ、医師の指導のもとで内服薬や貼付薬などを用いるのが一般的です。 ただし、副作用のリスクや適応の有無があるため、治療については医師との相談が不可欠となります。 エクオール エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる成分です。(文献1) 体内で、エストロゲンに似た働きをすることが知られています。 更年期にエストロゲンの急激な減少によって起こる関節痛に対して、緩やかにホルモン作用を補うのが特徴です。 とくに、ホルモン補充療法の副作用リスクに不安を感じる方や、軽度の症状を抱える方にとって比較的取り入れやすい選択肢となります。 ただし、体質によってエクオールを産生できない人もおり、サプリメントの効果には個人差がある点に留意しておきましょう。 更年期で指が痛いときに自分でできる対処法 更年期に伴う指の痛みは、日常生活の中でのセルフケアによって軽減できる場合があります。 ここでは、自宅で実践できる具体的な対処法を6つ紹介するので、症状が軽いうちから意識して取り入れてみましょう。 生活習慣を見直す 不規則な生活習慣は、ホルモンバランスの乱れを助長します。 以下の点に注意して、健康的な生活を心がけましょう。 朝食を抜かず1日3食をバランスよく食べる ビタミンDやカルシウムを含む食品を積極的に食べる 適度な運動を日常に取り入れる 上記のような生活習慣がエストロゲンの作用を高め、関節の健康維持につながります。 また、規則正しい生活リズムを整えることも、ホルモンバランスを安定させる上で重要です。 手のケアやストレッチを行う 指の痛みやこわばりを和らげるためには、日々のケアが欠かせません。 以下のような方法を試してみてください。 手を温めながらマッサージする 指の曲げ伸ばし運動を毎日続ける 握力を保つためにタオル握り体操を行う 無理のない範囲で継続すれば、関節の柔軟性と血流改善に役立ちます。 また、手の保湿ケアも大切です。 乾燥によって皮膚が硬くなると関節の動きにも悪影響を与えるため、保湿クリームなどで手指を丁寧にケアしましょう。 体を温める 冷えは血流を悪化させ、関節の痛みを悪化させる原因になります。 次の方法で温めましょう。 入浴時はぬるま湯にゆっくり浸かる 手袋や温熱パッドで手元を保温する 白湯や温かい飲み物を積極的に取る 冷えを防いで体温を保つことで、炎症や痛みの緩和が期待できます。 日中も冷房の風に直接当たらないよう注意するなど、適切に冷え対策を行っていきましょう。 関節に負担をかけないように注意する 手や指に過剰な負荷をかけない工夫も重要です。 日常生活や仕事で、以下のような行動を意識してみてください。 重いものを持つときは両手を使う 指先ではなく手のひら全体で物を持つようにする 家事や手作業はこまめに休憩をとる 関節にやさしい動作を意識すれば、痛みの悪化を防ぐことにつながります。 また、作業の際は補助具やサポーターを活用するなどの工夫をこらしてみましょう。 ストレスや睡眠不足を改善する 自律神経のバランスは、ホルモン分泌にも大きく関わります。 以下のように意識しながら、ストレス管理と十分な休息を心がけましょう。 寝る前にスマートフォンやテレビを控える リラックスできる音楽や香りを活用する ストレッチや深呼吸で副交感神経を高める 就寝前にはスマートフォンの使用を控える、照明を落とすなど、睡眠の質を高める工夫が大切です。 心身のリラックスによってホルモンバランスが安定し、症状の緩和へつながっていきます。 エクオール含有サプリメントを利用する 大豆由来の成分であるエクオールは、体内でエストロゲンに似た働きを持つとされます。 ただし、サプリメントは健康食品であり、効果には個人差があります。 信頼性の高い製品を選ぶことも重要なので、医師と相談のうえ利用を検討しましょう。 更年期で指が痛い場合は何科を受診すべきなのか 更年期に指が痛む場合、症状によって適切な診療科が異なります。 関節や腱の異常が疑われる場合は整形外科、もし近隣にあれば手の怪我や病気を治療する「手外科専門医」を受診しましょう。(文献2) 手外科専門医は変形性関節症やばね指、手根管症候群など構造的な異常の診断・治療に対応しています。 なお、皮膚の変形や外見上の違和感がある場合は、形成外科でも対応可能です。 一方で、ホルモンバランスの乱れが関与していると考えられる場合は、婦人科で更年期障害の検査・相談するのがおすすめです。(文献4) ホルモン補充療法や生活指導を通じて、根本的な改善につながる可能性があります。 まとめ|症状に合わせて適切に治療・対処しよう 更年期における指の痛みは、ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、筋力低下などさまざまな要因が複雑に関係しています。 関節のこわばりやしびれ、痛みといった症状を放置すると、日常生活に支障をきたす恐れがあるため注意しなければなりません。 早期の対処と継続的なケアを意識しつつ、更年期を前向きに乗り越える気持ちを持つことが大切です。 気になる症状がある場合は、我慢せず専門医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療による治療を行っています。 公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供や簡易オンライン診断を実施しています。再生医療についての疑問や気になる症状があれば、公式LINEに登録して一度お試しください。 指が痛い更年期に関するよくある質問 更年期の指の痛みはいつ治りますか? 更年期の指の痛みは個人差が大きく、数か月で軽快する人もいれば、数年続く場合もあります。 エストロゲンの低下が原因なので、閉経後数年以内に自然と改善するケースもあります。 生活習慣の見直しやホルモン補充療法により緩和できる可能性があるため、症状が続く場合は医師の診察を受けましょう。 更年期の男性も指が痛くなりますか? 男性も加齢に伴って男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下し、関節のこわばりや指の痛みが現れるケースがあります。 「男性更年期障害(LOH症候群)」と呼ばれており、女性とは異なるホルモン変化によるものです。 指が痛い更年期に漢方は効果ありますか? 漢方薬は直接的に痛みを抑えるのではなく、体全体のバランスを整えて症状の改善を図ります。 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)といった漢方を更年期障害に用いる場合があります。 体質や症状に合った漢方薬を選ぶため、使用するときは漢方に詳しい医師や薬剤師へ相談しましょう。(文献5) 朝の寝起きで指が痛いのは更年期が原因ですか? 朝起きたときに指の関節がこわばったり、手が握れなかったりといった症状は、更年期に見られる女性ホルモンの低下による影響の可能性があります。 エストロゲンが減少すると関節や腱の柔軟性が損なわれ、炎症やむくみを引き起こしやすくなるのです。 とくに、朝方に指の動きにくさや痛みを感じる傾向があります。 症状が継続する場合は、整形外科や婦人科での検査を検討しましょう。 参考文献 (文献1) 更年期の手の不調|宝塚 かおるレディスクリニック コラム (文献2) 更年期以降の女性に多い手指の疾患|おおさかグローバル整形外科病院 (文献3) ホルモン補充療法(HRT)とは|あすか製薬株式会社 (文献4) 更年期の「関節痛」と「指のこわばり」リウマチとの違い・受診の目安や治療法を婦人科女医が解説!|白金高輪海老根ウィメンズクリニック (文献5) 更年期の手のこわばりに効く漢方薬とは?市販でおすすめのものやツムラの漢方薬なども紹介|YOJO LIFE
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男性更年期障害に関連してうつ症状に悩む方の中には、「バナナが気分の安定に効果がある」と耳にしたことがあるかもしれません。 バナナには、セロトニンの生成に関与するトリプトファンやビタミンB6などの栄養素が含まれており、心のバランスを整えると考えられています。 ただし、バナナだけで症状が改善するわけではなく、食事などの生活習慣全体の見直しが欠かせません。 本記事では、バナナがもたらす栄養的効果の詳細をはじめ、男性更年期障害の症状緩和におすすめの食材や生活改善のポイントまでわかりやすく解説します。 毎日の食事を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 バナナが男性更年期障害のうつ症状に効果的? バナナが男性更年期障害によるうつ症状に効果的とする明確な科学的根拠は、現在のところ報告されていません。 バナナ自体にテストステロンの分泌を促進する作用はなく、更年期障害の治療手段としては不十分です。 ただし、バナナには「幸せホルモン」(文献1)と呼ばれるセロトニンの生成に関わるトリプトファンやビタミンB6が含まれています。 セロトニンはうつ症状の緩和に寄与すると考えられており、男性更年期の方の気分を安定させる可能性があるのです。 うつ症状の改善に直接的な効果があるとはいえませんが、食生活の一部としてバナナを取り入れることは、間接的なサポートになるかもしれません。 とはいえ、現実的な症状の改善・緩和には、医師による診断と適切な治療が不可欠である点に留意しておきましょう。 バナナに含まれている栄養素 バナナは甘くて食べやすい果物として知られていますが、男性の心身の健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれています。 男性更年期障害による精神的な不調に対して、栄養面からサポートする可能性がある栄養素を見ていきましょう。 トリプトファン バナナには「トリプトファン」という必須アミノ酸が含まれており、脳内でセロトニンの材料になります。 セロトニンは感情を穏やかに保つ作用があり、うつ症状の緩和に役立つ可能性がある栄養素です。 ビタミンB6 ビタミンB6は、トリプトファンをセロトニンに変えるときに必要な栄養素です。 また、神経伝達物質のバランスを整える働きがあり、精神的な健康を支える役割があります。 マグネシウムやカリウム マグネシウムはストレス反応の調整に関与し、カリウムは血圧の安定化を助けるミネラルです。 いずれも自律神経の安定に寄与し、精神的な不調の軽減に貢献します。 炭水化物 炭水化物はエネルギー源として重要であり、トリプトファンの脳内移行を促進します。 セロトニン合成の効率を高める栄養素です。 バナナを食べるなら1日1本が目安 バナナはセロトニンの材料となるトリプトファンやビタミンB6を含む食品ですが、糖質量が高いため摂取量には注意が必要です。 バナナ1本あたり、約21gの糖質が含まれています。(文献2) 過剰に摂取すると血糖値の急上昇や肥満リスクにつながる可能性があるため、セロトニン生成を目的に取り入れる場合でも、1日1本が適量の目安です。 医師に制限されている場合を除いて継続的に食べても問題ありませんが、食べすぎには十分注意してください。 更年期障害におすすめのバナナ以外の食べもの 男性更年期障害の改善には、ホルモン合成に関わる栄養素をしっかり摂る食生活が重要です。 ここでは、日々のメニューに取り入れると、体と心のバランスを支える効果が期待できる食材を紹介します。 牡蠣・レバー 牡蠣とレバーには、テストステロンの生成に必要不可欠な亜鉛が豊富に含まれています。 亜鉛は精巣の機能維持に関与してホルモンバランスの正常化を助け、レバーは鉄分やビタミンA・B群が豊富です。 貧血や疲労感の軽減にも寄与します。 とくに、亜鉛不足と男性ホルモンの減少は密接に関係しているため、定期的に摂取するのがおすすめです。 肉・魚・卵 動物性たんぱく質は、テストステロンの合成に必要な栄養素です。 赤身肉には鉄分やビタミンB12、魚はオメガ3脂肪酸、卵には良質なたんぱく質やビタミンDが豊富に含まれています。 とくに、ビタミンDは血中テストステロン濃度の維持に役立つとされており、過剰な摂取は避けつつバランス良く取り入れると更年期症状の軽減につながります。 山芋・里芋 山芋や里芋には、エネルギー代謝をサポートするビタミンB群と、消化を助ける食物繊維が含まれています。 また、山芋に含まれるジオスゲニンという成分は、ホルモンの前段階の物質になるとされ、体調維持や疲労回復に役立つとされている点にも注目です。 粘り気のある成分には胃腸の保護作用もあり、栄養の吸収を助けます。 きのこ きのこ類は低カロリーながらビタミンDや食物繊維、β-グルカンといった免疫調整成分が豊富です。 ビタミンDは男性ホルモンの合成に関与し、とくに干し椎茸やまいたけに多く含まれます。 きのこに含まれる多糖類は腸内環境の改善にも役立つため、免疫機能と精神面の安定に貢献する見逃せない食材の一つです。 海藻・納豆 海藻にはヨウ素やマグネシウム、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれ、甲状腺機能を整える効果が期待できます。 納豆は発酵食品として腸内環境を整えるとともに、大豆イソフラボンによるホルモンバランスの調整作用を発揮するのが特徴です。 ブロッコリー ブロッコリーには、スルフォラファンという成分が含まれ、体内の余分なエストロゲンの代謝を促進する働きが知られています。 男性更年期障害の改善には、エストロゲンとテストステロンのバランスを整えることが大切です。ブロッコリーのスルフォラファンは、このホルモンバランスの調整をサポートしてくれます。 また、抗酸化作用も高く、細胞の老化を防ぐ効果も期待できます。 野菜ジュース・青汁 野菜類は直接食べるのが理想ですが、忙しい日常の中では野菜ジュースや青汁での補給も有効です。 ビタミン類やポリフェノール、食物繊維が含まれており、抗酸化作用や腸内環境の改善に寄与します。 たとえば、青汁にはクロロフィルやカルシウムなど、現代人に不足しがちな栄養素が含まれているのが特徴です。 プロテイン 筋肉量の減少はテストステロンの分泌低下を促進するため、適度な運動とともにたんぱく質の補給が重要です。 なかでもプロテインは、効率的にたんぱく質を摂取できます。 朝食時や運動後の摂取が推奨されており、筋力維持とホルモンバランスの改善を手軽に行えるのが魅力です。 発酵飲料 発酵飲料には、乳酸菌や酵母など腸内環境を整える微生物が含まれており、免疫機能の調整に加えて精神的なストレス軽減にも関与します。 甘酒や乳酸菌飲料などの継続的な摂取によってストレス耐性を高めると、更年期特有のイライラや不安感の軽減にもつながるのが特徴です。 男性更年期障害の改善に大切な生活習慣 男性更年期障害の症状を軽減するには、医療機関での治療や食事の見直しだけでなく、日常生活の質を高める意識も大切です。 生活習慣の改善ポイントを以下にまとめたので参考にしてください。 生活習慣 内容 ストレス管理 瞑想・深呼吸・趣味の時間などを取り入れ、自律神経の安定を図る。 睡眠の質を向上 就寝前のスマホ利用を控えるほか、入浴やリラックス習慣で深い睡眠を確保する。 筋力トレーニング スクワットや腕立て伏せなど、無理のない筋トレでテストステロン分泌を促す。 有酸素運動 ウォーキングやサイクリングなど週に数回の継続的な運動によって、心身を活性化させる。 禁煙・禁酒 喫煙や過度な飲酒はホルモン低下や血流悪化を招くため控えるべき。 男性更年期障害の症状緩和には、上記の生活習慣の積み重ねが大切です。 無理のない範囲で実践し、継続していきましょう。 まとめ|バナナを含む食事・生活習慣を見直して男性更年期障害の改善を目指そう 男性更年期障害の改善には、バナナに含まれるトリプトファンやビタミンB6といった栄養素の摂取も一助となりますが、食生活全体の見直しも重要です。 亜鉛やビタミンD、良質なたんぱく質を含む多様な食品を取り入れながら、ホルモンバランスの維持を目指しましょう。 また、ストレス管理や適度な運動、良質な睡眠といった基本的な生活習慣も大切です。 当院「リペアセルクリニック」ではPRP療法や幹細胞治療などの再生医療による治療を行っています。 公式LINEでは、再生医療に関する情報や簡易オンライン診断が受けられます。 ぜひ登録してお試しください。 男性更年期障害に関連するよくある質問 男性更年期障害に効くサプリはある? テストステロンを直接的に増やす効果が科学的に証明されたサプリメントは現在のところ存在しません。 ただし、バナナに含まれている亜鉛やビタミンD、マグネシウムなどの栄養素は、食事からの摂取が難しいならサプリメントでも補えます。 とはいえ、できるだけ食事から摂取し、サプリメントはあくまで補助的な手段として位置づけましょう。 男性更年期障害だけどアルコールはOK? 他の疾患で主治医に禁止されている場合を除き、適量のアルコールであれば問題はありません。 ただし、過度の飲酒はホルモンバランスを乱し、肝機能や精神面にも悪影響を及ぼすため、節度を持った摂取が求められます。 飲む量や頻度に注意しながら、たしなむ程度に留めましょう。 男性更年期障害に終わりのサインはありますか? 男性更年期障害は発症時期や症状の出方に個人差があり、明確な終わりのサインを把握するのは困難です。 症状が軽快し、日常生活に支障がなくなる状態が一つの目安となりますが、最終的な判断は医師による適切な評価を受けることが重要です。 男性更年期障害にお茶は効く? お茶に男性更年期障害を改善する直接的な効果は、認められていません。 ただし、緑茶やハーブティーなどにはリラックス効果があり、イライラや不眠といった自律神経の乱れを和らげる手助けになる場合があります。 日常的に手軽に取り入れやすい工夫としてはおすすめです。 バナナが男性機能に効果ある? バナナにはマグネシウムやカリウム、ビタミンB群が含まれているなど、筋肉や神経の働きを支える栄養素が豊富です。 ただし、男性機能を直接的に高める効果は確認されていません。 健康的な体作りには寄与しますが、過度な期待は禁物です。 男性更年期障害を疑う場合は何科に受診? 男性更年期障害が疑われる場合は、「泌尿器科」または「男性更年期外来(LOH症候群外来)」を受診するのが一般的です。 症状に応じてホルモン検査や心理的評価が行われ、必要な治療方針が決定されます。(文献3) 女性の更年期障害にバナナは効果ある? 男性と同様、女性にもバナナに直接的な更年期障害の改善効果は認められていません。 ただし、ビタミンB6をはじめとする栄養素が豊富に含まれているため、ホルモンバランスを整えるサポートとなる可能性があります。 あくまで補助的な役割と考えておきましょう。 参考文献 (文献1) 「幸せホルモン(幸福物質)4つ」ドーパミン・セロトニン・オキシトシン・βエンドルフィンとは?|国立消化器・内視鏡クリニック (文献2) バナナの栄養・栄養素|スミフル (文献3) < 女性だけじゃない!「男性更年期」を知ろう >|Mint+(あすか製薬株式会社)
2025.07.31 -
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男性で「原因不明の疲労感」や「集中力の低下」、「性欲の減退」といった不調に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 原因がわからない不調は、男性にも起こる「更年期障害」の可能性があります。 男性更年期障害とは、加齢やストレスなどを背景に男性ホルモンが減少して心身に多様な不調を引き起こす状態であり、生活の質を維持するためにも早急な対処が必要です。 本記事では、男性更年期障害の症状・原因・診断方法・治療法をわかりやすく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 男性更年期障害とは?40代から増えてくる疲労感などの不調 男性更年期障害とは、加齢により男性ホルモン(テストステロン)が減少し、心身にさまざまな不調が現れる状態を指します。 40代以降から症状が出始めるケースが多く、代表的な症状には疲労感やイライラ、性欲・集中力の低下などが挙げられます。 女性の更年期障害が閉経による急激なホルモン変化で起こるのに対し、男性の場合は緩やかにホルモンが減少するため、気づきにくく対処が遅れやすい傾向がある点も特徴です。 「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」とも呼ばれています。(文献1) 男性更年期障害の症状 男性更年期障害は、身体的・精神的・性機能に関わるさまざまな症状が現れるのが特徴です。 ここでは、具体的な症状を3つの側面から解説します。 身体的症状 男性更年期障害による身体的な変化には、日常生活に支障をきたすものが多く含まれる傾向があります。 代表的な症状は以下の通りです。 慢性的な疲労感や倦怠感 頭痛や肩こり、腰痛 多汗、ほてり、動悸 睡眠障害(寝つきの悪さ、中途覚醒) 上記の症状は加齢に伴う一般的な体調不良と混同されやすいですが、男性ホルモンの減少が影響している可能性があります。 以前よりも体力が落ちた、朝の目覚めが悪いといった変化に気づいた場合、加齢のせいと決めつけず、早めに専門医の診察を受けるのがおすすめです。 40代以降になって原因不明の不調を感じられるなら、医療機関で医師に相談してみましょう。 精神的症状 ホルモンバランスの変化は、精神面にも大きな影響を与えます。 男性更年期障害の精神的症状では、以下のような変化が見られるのが特徴です。 抑うつ気分や不安感 イライラしやすくなる 意欲や集中力の低下 とくに、些細なことで怒りっぽくなる、やる気が出ないといった変化は、本人だけでなく周囲にも悪影響を及ぼしかねない点も見逃せません。 また、うつ病と誤認されるケースもあるため、心身の状態を総合的に評価できる医療機関での診断が推奨されます。 性機能に関する症状 性機能の変化は、男性更年期障害における特徴的な症状のひとつです。 たとえば、以下のような症状が現れます。 性欲の減退 勃起力の低下や勃起維持の困難 射精回数や快感の減少 これらの症状は、パートナーシップや自己肯定感にも影響を与える重要な問題です。 また、性機能の変化は自己評価の低下や人間関係のストレスにもつながる可能性があります。 非常にデリケートな問題ですが、正確な診断と適切な治療によって改善を目指すことが可能です。 気恥ずかしいかもしれませんが、医療機関での相談をためらわず、早期の受診を検討しましょう。 男性に更年期障害が起こる原因 男性更年期障害は中高年男性の生活の質に深く関わる問題ですが、単に年齢の問題と考えるのではなく、原因を理解した上で適切に対処していきましょう。 ここでは、発症の主な要因を2つの観点からわかりやすく解説します。 ホルモン低下 男性更年期障害の大きな要因の一つが、加齢に伴うテストステロンの分泌低下です。 テストステロンは筋力や性機能、精神の安定などに関わる重要なホルモンで、30代半ばをピークに年齢とともに徐々に減少していきます。 テストステロンが一定の水準を下回ると、以下のような身体的・精神的にさまざまな不調が現れやすくなります。 疲労感や意欲低下 筋肉量の減少や内臓脂肪の増加 精神的に不安定になる テストステロンの値は血液検査で確認でき、数値が一定の基準を下回ると、男性更年期障害と診断される場合があります。 ストレスや生活習慣 現代社会におけるストレスや生活習慣の乱れも、男性更年期障害の原因の一つです。 仕事の責任や家庭内の役割などが重なる中年期は、精神的・身体的ストレスが蓄積しやすい時期になります。 以下のようなストレスや生活習慣により、テストステロンの分泌をさらに低下させ、症状を悪化させる原因になるため注意が必要です。 睡眠不足や不規則な食生活 運動不足や過剰な飲酒・喫煙 慢性的なストレス状態 ストレスや生活習慣の乱れにより、ホルモンバランスがさらに崩れやすくなる点に留意しておきましょう。 健康的な生活習慣と適切なストレス管理は、男性更年期障害の予防や改善に欠かせないのです。 男性更年期障害の診断・検査方法 男性更年期障害は、症状が多岐にわたる自己判断が難しい疾患です。 正確な診断には、医師による問診や血液検査などの医学的評価が欠かせません。 ここでは、男性更年期障害の診断や検査の主な方法について解説します。 「AMSスコア」でセルフチェック 医師による問診では、疲労感や性欲の変化、精神的な不調などについて詳しく聞き取りします。 その補助として広く用いられているのが「AMSスコア(加齢男性症状質問票)」です。 以下の項目に回答し、合計点数で自己評価します。 項目 点数 総合的に調子が思わしくない なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 関節や筋肉の痛み なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) ひどい発汗 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 睡眠の悩み なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) よく眠くなる・しばしば疲れを感じる なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) いらいらする なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 神経質になった なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 不安感 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) からだの疲労や行動力の減退 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 筋力の低下 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 憂うつな気分 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 「絶頂期は過ぎた」と感じる なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 力尽きた・どん底にいると感じる なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) ひげの伸びが遅くなった なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 性的能力の衰え なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 早朝勃起(朝立ち)の回数の減少 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) 性欲の低下 なし(1)・軽い(2)・中等度(3)・重い(4)・非常に重い(5) (文献1) スコアの合計が中程度の37~49点以上の場合、男性更年期障害の可能性があると判断できます。 ただし、あくまで診断の参考であり、AMSスコアだけでは確定診断に至らない点に留意しておきましょう。 血液検査でテストステロン値を確認 男性更年期障害の診断では、血液検査によるテストステロン値の測定が欠かせません。 「遊離テストステロン(Free Testosterone)」の値が重視され、正常下限の8.5を下回ると男性更年期障害と診断される可能性があります。(文献2) 検査は朝の8時から10時頃、ホルモン値が最も安定している時間帯に行うのが一般的です。 また、加齢以外にも肥満や慢性的なストレス、生活習慣病などが影響するため、テストステロン値の低下が見られた場合はさまざまな要因も含めて総合的に評価されます。 うつ病など他の疾患との鑑別も重要ですので、必ず専門医の診察を受けましょう。 男性更年期障害の治療 男性更年期障害は心身に広がる多様な症状が特徴ですが、適切な治療によって症状の緩和や改善が期待できます。 ここでは、一般的に行われている3つの治療法についてわかりやすく説明します。 男性ホルモン補充療法 テストステロンが著しく低下していると診断された場合には、男性ホルモン補充療法が検討されます。 テストステロンを補う薬剤を注射で投与し、性欲や活力の回復、筋力の増加、精神状態の改善などを目指します。 ただし、副作用リスクがあり、以下の疾患には適応していません。 前立腺がん 前立腺肥大症 乳がん 多血症 重度の腎機能不全 重度の肝機能障害 うっ血性心不全 重度の高血圧症 睡眠時無呼吸症候群 抗凝固薬を服用中の方 上記の疾患に当てはまっている、もしくは可能性があるなら医師に相談しましょう。(文献3) 漢方薬 軽度の症状やホルモン補充療法に適応していない場合には、漢方薬による治療が選択肢となるケースがあります。 たとえば、以下のような漢方薬が処方されます。 漢方薬名 適応症状・使用場面 八味地黄丸(はちみじおうがん) 腎の機能低下がある場合に使用 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) 浮腫やしびれのある場合に使用 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 仕事や日常生活の疲労感、食欲不振を伴う場合に使用 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 気力体力が低下している場合に使用 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 心因的なうつ症状が大きい場合に使用 (文献4) 漢方薬は全身のバランスを整えることを目的としており、西洋薬に比べて副作用が少ない点が利点とされています。 ただし、効果が現れるまでに時間がかかる傾向がある点がデメリットです。 また、体質や症状に応じて処方されるため、医師による判断も重要となります。 生活習慣の改善・運動 男性更年期障害の予防と改善においては、生活習慣の見直しが重要です。 可能な限り、以下のような取り組みを行っていきましょう。 十分な睡眠と規則正しい生活リズム 栄養バランスの取れた食事 適度な有酸素運動や筋力トレーニング ストレスの軽減とリラクゼーション 上記を生活習慣に取り入れるとテストステロンの自然な分泌を促し、自律神経の安定にも寄与します。 なかでも、運動は血流改善とメンタルヘルスの向上にもつながるため、無理のない範囲で日常的に取り入れると良いでしょう。 また、薬物療法と並行して生活習慣を整えると、より効果的な治療につながります。 男性更年期障害になりやすい人の特徴 男性更年期障害は年齢やホルモンの変化だけでなく、性格や心理的な傾向、生活環境も大きく影響します。 ここでは、男性更年期障害になりやすいとされる方の特徴を解説します。 真面目で責任感が強い人 責任感が強く、常に仕事や家庭の義務を果たそうとする真面目な人は、男性更年期障害になりやすい傾向があります。 たとえば、以下に当てはまる人は無理をしてでも成果を上げようと努力を重ねるため、心身に過度な負担が蓄積しやすいのです。 常に自分に厳しく、休むことに罪悪感を感じやすい 完璧を求める姿勢が精神的な疲労につながる 小さな不調を軽視し、我慢し続ける傾向がある 上記のような性格の方は社会的に評価される一方で、プレッシャーや負担を感じやすく、自律神経やホルモンバランスに悪影響を及ぼす可能性があります。 また、自分の不調を他人に相談せずに我慢する傾向があるため、症状が深刻化するまで放置してしまうケースも少なくありません。 ストレスを抱えやすいタイプの人 感受性が高く、環境の変化や人間関係に強く反応する人も、男性更年期障害のリスクが高くなります。 過剰なストレスは自律神経やホルモン分泌に悪影響を与え、男性更年期障害のきっかけになるのです。 たとえば、以下に当てはまる方は注意しましょう。 仕事や家庭のプレッシャーを一人で抱え込む 失敗を引きずりやすく、気分の切り替えが難しい 緊張状態が続きやすく、常に心が落ち着かない とくに、仕事の不安や将来への漠然とした不安を抱える中高年男性に多く見られる傾向があります。 定期的な休養やリラクゼーション法を積極的に取り入れるなど、予防する意識を持ちましょう。 人間関係に悩んでいる人 対人関係のトラブルや孤立感も、男性更年期障害を引き起こす要因となります。 職場や家庭での人間関係がうまくいかず孤独や不満を感じている人は、以下のような不安で精神的な負荷が増幅しやすくなるのです。 周囲に悩みを打ち明けられない どうしても自分の感情を抑え込んでしまう 社会的役割からの疎外感を感じている また、対人関係のストレスに長期間さらされると、気分の落ち込みや意欲の低下を引き起こしやすくなり、結果として更年期障害の症状が顕在化しやすくなります。 問題を一人で抱え込まず、必要に応じて専門家に相談しましょう。 まとめ|男性更年期障害を理解し、適切な診断・治療へつなげよう 男性更年期障害は40代以降の男性に現れやすい心身の不調であり、加齢によるテストステロンの低下やストレスなどが原因です。 症状は疲労感や意欲低下、性機能の衰えなど多岐にわたりますが、正しい診断・治療によって改善も目指せます。 また、なにより自分の状態を正しく知り、無理をせず適切な対処で心身の健康を保つ意識も大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療による治療を行っています。 公式LINEでは再生医療に関する情報や簡易オンライン診断が受けられます。 ぜひお気軽に登録してみてください。 男性更年期障害に関するよくある質問 男性更年期障害は何科を受診すれば良いですか? 男性更年期障害が疑われる場合、まずは内科や泌尿器科を受診するのが一般的です。 なかでも泌尿器科は、男性ホルモンの低下や性機能の問題などを専門的に診療する診療科であり、ホルモン検査や治療を適切に行う体制が整っています。 男性更年期障害は何歳がなりやすいですか? 男性更年期障害は、40代後半から50代の男性に多く見られます。 テストステロンの分泌が30代半ばをピークに緩やかに減少し、40代後半になると影響が顕在化するのです。 ただし、年齢だけでなくストレスや生活習慣も発症に関与するため、若年層だからといって大丈夫とは限りません。 男性更年期障害にサプリは有効ですか? サプリメントには一定の栄養補助効果がありますが、医療的な治療や根本的な改善を目的とする場合には、まず食生活の見直しが優先されます。 とくに、ビタミンDや亜鉛などテストステロンの合成に関わる栄養素は、なるべく食事から摂取しましょう。 ただし、食事で十分にビタミンDや亜鉛を摂取できない場合は、サプリメントも選択肢となります。 男性更年期に効く食べ物はありますか? 特定の食品に頼るのではなく、栄養バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンD・亜鉛・たんぱく質などを含む食品を日常的に摂取しましょう。 一部では、バナナがうつ症状を軽減する可能性を説明している場合がありますが、明確な科学的エビデンスは確認されていません。 また、適度な運動やストレス管理を含めた生活習慣全体の見直しも、症状の予防と改善に重要です。 参考文献 (文献1) 男性更年期障害(LOH症候群)の治療について|医療法人社団 實理会 東京国際大堀病院 (文献2) 加齢にともなうテストステロン分泌の衰えについて|大東製薬工業| (文献3) 西南泌尿器科クリニック|5分でわかる「男性更年期障害」 (文献4) 漢方で治そう|クラシエ薬品
2025.07.31 -
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40代以降の女性にとって避けて通れないのが更年期です。 ホットフラッシュ(更年期に起こる急なほてりや発汗)やイライラ、眠れないといった不調を感じながらも、「年齢のせい」と我慢している方もいるのではないでしょうか。 更年期障害はすべての方に起こるわけではありませんが、発症しやすい体質や生活習慣、性格には一定の特徴があります。 本記事では、更年期障害になりやすい女性の特徴やリスク要因をわかりやすく解説し、重症化を防ぐためのポイントも紹介します。症状に悩む方は、ぜひ参考にしてください。 「当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 更年期障害になりやすい女性の5大特徴を解説 更年期障害はすべての女性が経験する可能性がありますが、症状の出やすさや重さには個人差があります。ここでは、なりやすい女性に共通する以下の「生理的要因」について詳しく解説します。 生理的要因(年齢・ホルモンバランス) ライフスタイル要因 心理的要因 社会的・環境的要因 遺伝的要因 生理的要因(年齢・ホルモンバランス) 以下のような生理的背景を持つ女性は、更年期障害が起こりやすくなる傾向があります。 早期閉経 月経不順になりがち 子宮・卵巣の手術歴がある 早期閉経 閉経が40歳未満で起こる「早発閉経(POI)」の女性は、エストロゲンが急激に減少してしまいます。(文献1)その結果、自律神経の不調やうつ症状、骨粗しょう症などのリスクが高まるため、注意が必要です。 また、早発閉経は自己免疫疾患や染色体異常、卵巣手術などが要因となることもあります。加齢による更年期とは異なり、ホルモンが急激に減少するため、体が急な変化に対応しにくく、重い更年期症状を引き起こす可能性もあります。 婦人科でのホルモン補充療法や漢方薬の活用、定期的な婦人科受診で、早めに自分の体の変化を把握することが大切です。 月経不順になりがち 月経が不規則な女性は、ホルモンの変動に体が慣れていません。そのため、更年期に入った際のエストロゲンの減少に敏感で、自律神経症状が出やすくなります。(文献2) 不眠や動悸、集中力低下などを感じやすく、精神面の不調も目立ちます。月経不順になりがちの女性は、規則正しい生活習慣だけでなく、基礎体温や月経周期の記録を残して自分のホルモンの変化に気づきやすくすると、症状を和らげる準備が可能です。 子宮・卵巣の手術歴がある 卵巣や子宮を摘出すると、エストロゲンの分泌が急に止まり、自然な閉経とは異なり「外科的閉経」となります。(文献3)この急激なホルモン断絶により、強い更年期症状が出やすくなります。 術後の不調にはホルモン補充療法が効果を期待できるといわれており、体の変化に合わせた定期的な医療サポートが不可欠です。子宮・卵巣の手術の予定がある女性は、術前・術後に医師と今後の体調管理について相談しておきましょう。 ライフスタイル要因 更年期症状を軽くするためには、生活習慣の改善が重要です。 以下では、代表的な4つの要因について説明します。 睡眠不足 運動不足 偏食・過度なダイエット 飲酒・喫煙 睡眠不足 睡眠不足は夜間のホットフラッシュや不眠を悪化させ、自律神経のバランスを乱します。(文献4)さらに、睡眠が不足するとストレスホルモン(コルチゾール)が増加し、更年期症状としてのイライラや集中力低下を引き起こしやすくなります。 睡眠不足を防ぐためには、就寝前のスマホ制限や寝室の環境(遮光カーテン・騒音対策)を整えるのが有効です。また、就寝時間を毎日一定にすることで、症状の悪化を防ぎやすく効果も期待できます。 運動不足 定期的に運動をする習慣がないと、筋力低下や骨密度の低下が進みやすくなります。(文献5)加えて、軽度な運動でもセロトニンやエンドルフィンの分泌が促され、メンタル面や睡眠の質の改善に影響してきます。 運動不足はうつ・不安・不眠などの更年期症状を強めることにつながります。そのため、運動不足が気になる方は、週に3〜5日ほど、ウォーキングや軽めの筋トレを取り入れてみましょう。 定期的な運動は、骨の健康を保ち、気分を安定させる効果が期待できます。毎日の生活に無理なく続けられる範囲で、体を動かす習慣をつけましょう。 偏食・過度なダイエット 極端なダイエットや特定の栄養に偏った食事を続けると、女性ホルモン(エストロゲン)をつくるために必要なビタミンやミネラルが不足してしまいます。その結果、ホルモンのバランスが乱れやすくなり、更年期の不調が強く出る原因になることがあります。 とくに栄養不足が続くと、骨量減少や身体疲労、免疫力低下を招き、更年期不調を増幅させやすくなります。 偏食やダイエット中の女性でも、カルシウムやビタミンD、タンパク質、良質な脂質を含むバランスの取れた食事を心がけてください。和食のように多様な食材を取り入れ、極端な減量は避けることが望ましいです。 飲酒・喫煙 喫煙はエストロゲンの代謝速度を速めて早期閉経を引き起こし、飲酒はホットフラッシュや不安症状を悪化させます。 また、重度の飲酒やたばこは更年期以外の骨粗しょう症や心疾患といった健康リスクを引き上げます。飲酒や喫煙が要因の可能性があるなら、禁煙を目指すことはもちろん、飲酒も1日1杯程度の節度ある量にとどめましょう。 心理的要因 人によっては、ストレスに敏感な性格や感情表現の苦手さが、更年期症状の悪化につながることがあります。以下4つのタイプを解説します。 真面目・神経質・完璧主義・責任感が強い 感情を表に出すのが苦手 感情の起伏が激しい・ストレス耐性が低い 真面目・神経質・完璧主義・責任感が強い 完璧主義や責任感が強い方は、自己への評価が厳しく、失敗への不安から慢性的なストレス状態に陥りがちです。これはコルチゾール分泌の増加につながり、更年期に伴うイライラや不眠、うつ傾向を悪化させます。 真面目で神経質、完璧主義、責任感が強い方は、自分の考え方のくせに気づき、少しずつ変えていきましょう。 その方法の一つが、「認知行動療法」です。これは気になる考え方や感じ方を整理する方法で「少し失敗しても次に活かせばよい」といった別の考え方を持てるよう練習します。 また、失敗したときやつらいときには、自分を責めすぎず、やさしく接することも大切です。 感情を表に出すのが苦手 自らの感情を抑え続ける傾向がある方は、外から見えないストレスが蓄積しやすく、その反動として不安感や身体症状(頭痛・動悸・消化不良など)が現れることもあります。 感情を表に出すのが苦手な方は、日記や信頼できる方への相談、自分の心の声に耳を傾ける時間を持つことが大切です。自分の気持ちを表現し、共感してもらえる環境を作ることで、内向的な緊張を軽減できます。 感情の起伏が激しい・ストレス耐性が低い 感情の起伏が激しい方は、ホルモンバランスの揺らぎに対しても敏感に反応します。とくに、うつ・不安・更年期のイライラ・涙もろさが強く出やすい傾向にあります。 対処法としては、呼吸法やヨガなどのリラクセーション法を習慣化し、心拍数を安定させる「自律神経トレーニング」が効果的です。また、専門家との定期カウンセリングもおすすめです。 社会的・環境的要因 仕事や家庭・社会的環境からのストレスが、更年期の症状をさらに悪化させます。以下3点について解説します。 仕事のストレス 家族問題によるストレス 更年期障害に対する周りのサポート(理解)がない 仕事のストレス 職場の過大な業務負担や不明瞭な役割、上司や同僚のサポート不足も更年期障害を引き起こす可能性があります。とくに、転職や昇進による責任の増加、職場の人間関係の変化、プレッシャーの強いポジションへの就任などは、自律神経を乱しやすくなるでしょう。 強いストレスは、ホットフラッシュや不眠、抑うつ感などの症状を悪化させる要因となります。仕事でストレスを感じている方は、テレワークや時差出勤などの柔軟な勤務方法や休憩、職場環境の調整を上司や人事に相談してみるのがおすすめです。 家族問題によるストレス 更年期世代の女性は、家庭内でも多くの課題を抱えがちです。親の介護負担や、子どもの反抗期・受験・進学・独り立ちなどによるストレスは、精神的な消耗を招きます。 とくに、子どもが巣立った後の喪失感や孤独感は、更年期うつの要因の一つです。こうした家庭の問題は、女性ホルモンの変動による心身の不安定さと重なり、更年期の症状をさらに悪化させる要因となります。 家族問題は一人で抱え込まず、地域の介護支援センターや教育相談窓口の活用、家族や専門家との対話を通じて負担を分散することが重要です。 更年期障害に対する周りのサポート(理解)がない 更年期症状への理解が職場や家庭で不足していると、症状を気兼ねなく話せなくなる方もいるでしょう。すると、孤立感や羞恥感が強まり、不調を助長してしまいます。 まずは自身が更年期について正しい知識を持ち、周囲に理解を促すことが大切です。 職場では、管理職や人事、産業医などが中心となって勉強会や支援制度の導入を進めることで、環境全体の理解が深まります。 こうした環境が整うことで、更年期の症状に対して安心して向き合えるようになります。 遺伝的要因 更年期障害の症状や重症度には、遺伝的な影響があるとされています。とくに母親や姉妹が更年期障害で強い不調を経験していた場合、自分も同様に重い症状が出るリスクが高まります。 さらに、更年期症状を和らげる効果があるとされる「エクオール」という成分を体内で作れない体質の方は、症状が重くなりやすい傾向があります。エクオールは大豆イソフラボンから作られる女性ホルモンに似た成分です。これを作れるかどうかは、遺伝的に決まります。 家族に更年期が重かった方がいる場合は、生活習慣の改善や早期の医療相談、必要に応じたサプリメントの活用などで、事前に対策しておきましょう。 更年期障害に関連する健康リスク 更年期障害の主な症状に加えて、エストロゲンの急速な低下が引き金となり、さまざまな健康リスクが高まります。リスクがある症状(病気)は主に以下です。 骨粗しょう症 生活習慣病 肥満 エストロゲンの減少によって骨密度が急激に低下し、骨折リスクが増加します。また、体脂肪の内臓への蓄積や血糖・血圧・脂質の乱れが起こりやすくなり、糖尿病・心疾患・脳卒中などのリスクが上昇します。 さらに、 中年期以降は腹部脂肪が増えやすく肥満の原因になりがちです。リスクを軽減するためには、骨密度を保つ運動(ウエイトトレーニングなど)、カルシウム・ビタミンD摂取、バランスの取れた食生活、適度な有酸素運動が効果的とされています。 これら対策は更年期症状を和らげつつ、将来の骨折や心血管疾患の予防にも直結します。更年期障害の自覚を少しでも感じたら、早めに生活習慣を見直すことが大切です。 【関連記事】 骨粗しょう症の原因は?骨がもろくなる要因や骨量を上げる予防策を解説 更年期関節痛とリウマチの違いは?見分けるポイントや治療法を医師が解説 【50代女性必見】糖尿病の初期症状とは?セルフチェック方法や予防法を医師が紹介 更年期障害にならない人はいる?発症割合をもとに紹介 更年期障害はすべての女性に起こるわけではありません。しかし、実際には「症状を自覚していない人」「症状があっても軽度な人」も多く存在します。 厚生労働省の調査では、年齢ごとの発症傾向が以下のように示されています。(文献6) 年齢層 医療機関を受診したことはないが、更年期障害を疑ったことがある/疑っている 更年期障害と診断されたことがある 40〜49歳 24.3% 3.6% 50〜59歳 34.5% 9.1% 60〜64歳 24.9% 6.9% 更年期症状を感じる方が多いのは50〜59歳の層で、約3割以上が「更年期障害を疑ったことがある/疑っている」と回答しています。一方で、実際に婦人科などの医療機関を受診している方は全体の10%未満にとどまり、多くの女性は「症状が軽い」「我慢できる」と判断して受診を控えているのが現状です。 この結果から、更年期障害は症状の重さに大きな個人差があることがわかります。約6〜8割の女性は軽い症状にとどまるか、医療機関での治療が不要なレベルで済んでいます。更年期を穏やかに過ごすには、日頃からの生活習慣管理や早めの情報収集がカギとなるでしょう。 更年期障害の症状が気になる場合は医師へ早めに相談しましょう 更年期障害は、年齢・性格・生活習慣・ストレス環境・遺伝的背景など、さまざまな要因が複雑に影響して発症します。ホットフラッシュや不眠、イライラなどの症状が現れても、すべての方に重い不調が出るわけではありません。 また、生活習慣病や骨粗しょう症、メンタル不調など将来的な健康リスクと関わることもあり、早めの対策が重要です。気になる症状がある場合は、婦人科や女性外来など専門医に相談し、適切なケアを受けましょう。 早めの対応が、健康的な更年期とその後の人生の第一歩になります。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 (文献1) 早発閉経|MSDマニュアル (文献2) 更年期以降、エストロゲン減少に伴う症状はどのように変化するのか?|医療法人社団 冬城産婦人科医院 (文献3) 自然閉経と外科的閉経の更年期症状の違い|医療法人社団 冬城産婦人科医院 (文献4) 不眠の原因・症状と対策方法|更年期ラボ (文献5) 運動で更年期症状を緩和|大塚製薬 (文献6) 更年期症状・障害に関する意識調査|厚生労働省
2025.07.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「健康診断で脂質の数値が気になると言われた」 「コレステロールが高めだけど、どこまでが問題なのかわからない」 このような不安を抱えていませんか? 脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、診断基準を正しく理解しておくことが早めの対策につながります。 本記事では、LDL・HDL・中性脂肪などの診断基準と再検査や治療が必要となる目安について解説します。 脂質異常症を放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な疾患のリスクが高まります。 本記事を参考に、ご自身の検査結果を確認し、必要に応じて早めの受診や生活習慣の見直しを始めましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、脳梗塞後の後遺症改善や再発予防といった、脳血管疾患に対する再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 将来的なリスクに備えて再生医療について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂質異常症を判断する診断基準【基準値一覧】 脂質異常症の診断では、LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪(トリグリセライド)・non-HDLコレステロールといった血中脂質の数値をもとに判断します。 これらの数値が基準を超えると、動脈硬化の進行リスクが高まるため注意が必要です。 まずは各項目の基準値を確認し、自分の検査結果がどこに該当するのかを把握しておきましょう。 診断項目 基準値 高LDLコレステロール血症 140mg/dL以上 境界域高LDLコレステロール血症 120~139mg/dL 高トリグリセライド(中性脂肪)血症(空腹時) 150mg/dL以上 高トリグリセライド(中性脂肪)血症(随時) 175mg/dL以上 低HDLコレステロール血症 40mg/dL未満 高Non-HDLコレステロール血症 170mg/dL以上 境界域高Non-HDLコレステロール血症 150~169mg/dL (文献1) 脂質異常症は、これらの数値が基準を超えることで診断されます。 一つでも基準値を外れると脂質異常症の可能性があり、複数項目に異常がある場合は動脈硬化のリスクがさらに高くなります。 とくにLDLコレステロールが160mg/dL以上、中性脂肪が400mg/dL以上、HDLコレステロールが30mg/dL未満のときは、動脈硬化や重症な急性膵炎などのリスクが高いため、医療機関での精密検査が必要です。(文献2) 以下の記事では、脂質異常症の異常値で起こりうる症状のひとつであるしびれについて詳しく解説しています。 LDL・HDL・中性脂肪の基準値と判断基準 脂質異常症の診断では、LDL・HDL・中性脂肪の3つがとくに重要です。 LDLコレステロール(悪玉) 増えすぎると血管の壁に蓄積し動脈硬化を進めるため、140mg/dL以上は脂質異常症と判断されます。 とくに160mg/dLを超える場合は、動脈硬化リスクが高く、早めの受診がすすめられます。 HDLコレステロール(善玉) 余分な脂質を回収する役割があるため、40mg/dL未満は要注意です。 HDLが低いほど、血管に負担がかかりやすい状態といえます。 中性脂肪(トリグリセライド) 150mg/dL以上で異常とされ、400mg/dLを超えると精密検査の対象になることがあります。 食事や生活習慣の影響を受けやすいため、食後採血か空腹時採血かも重要な判断ポイントです。 それぞれの数値は単独でも評価されますが、複数項目の異常が重なると動脈硬化のリスクがさらに高まるため、総合的な判断が必要です。 non-HDLコレステロールの評価が重視される理由 non-HDLコレステロールとは、血液中に含まれる動脈硬化の原因になりやすいコレステロールの総量を示す数値です。 LDLだけでなく、VLDL、IDL、レムナントなど、すべての悪玉系脂質をまとめて評価できる点が特徴です。 近年のガイドラインでは、このnon-HDLコレステロールがより正確にリスクを把握できる指標として重視されるようになりました。 とくに中性脂肪が高い場合は、LDLコレステロールだけでは動脈硬化のリスクを十分に評価できないため、non-HDLの数値確認が重要です。 non-HDLコレステロールは、食後でも比較的安定した値を示すため、随時採血で診断しやすい利点もあります。 LDLが正常でも、non-HDLが高ければ動脈硬化のリスクが考えられるため、健診では必ず確認しておきたい項目です。 総コレステロール「だけ」高い場合の見方 総コレステロールは、LDL・HDL・中性脂肪由来のコレステロールをすべて合計した数値です。 そのため、総コレステロールが高いからといって、すぐに脂質異常症と判断されるわけではありません。 たとえば、HDLコレステロール(善玉)が高いことで総コレステロールが上がっている場合、必ずしも危険ではなく、むしろ血管の健康状態は良好なケースもあります。 反対に、総コレステロールが正常範囲でも、LDLだけ高い場合は脂質異常症と診断されることがあります。 総コレステロールの数値を評価する際は、 LDLコレステロールが基準値内か HDLコレステロールが低くないか 中性脂肪が高くないか といった項目を合わせて確認する必要があります。 総コレステロール「だけ」を見ても正確な判断はできないため、血液検査の詳細項目を医師と一緒に確認し、自分の数値のどこに注意が必要なのか整理することが大切です。 健康診断の判定(A~D)と何が違う? 健康診断の判定(A〜D)は、あくまで「健康状態のスクリーニング(一次評価)」として用いられる指標です。 一方で、脂質異常症の診断基準は、医学的根拠に基づいて設定された「治療が必要かどうかを判断する数値」です。 この2つは似ているようで役割が異なります。 健康診断の判定では、総合的なリスクを簡易的に判断するため、境界値(少し高めの数値)でもC判定やD判定がつくことがあります。 これはあくまで「詳しい検査や生活改善が必要かどうか」を知らせるためのものです。 一方、脂質異常症の診断基準は、LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪などの数値が医学的な基準値を超えているかどうかで判断されます。 同じC判定でも基準値に近い場合と、大きく超えている場合では必要な対応が異なるため、検査結果は個別に確認することが大切です。 健康診断の判定は目安として活用しつつ、基準値との比較や他の検査結果も合わせて医師の判断を受けることが、早期の対策につながります。 脂質異常症を疑うときの検査方法 脂質異常症が疑われる場合は、まず血液検査を中心に体の状態を確認します。 脂質の数値は体調や食事によって変動しやすいため、正確に判断するためには適切な検査方法を知っておくことが大切です。 ここでは、脂質異常症の診断でよく行われる検査について紹介します。 血液検査でわかること 脂質異常症が疑われる場合、まず血液検査を行い、血液中の脂質バランスを調べます。 測定される主な項目とその役割は以下の通りです。 検査項目 役割・意味 LDLコレステロール(悪玉) 増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化を進行させる HDLコレステロール(善玉) 余分なコレステロールを回収し、血管を守る 中性脂肪(トリグリセライド) エネルギー源だが、増えすぎると脂質バランスが崩れ、動脈硬化や急性膵炎のリスクを高める non-HDLコレステロール (総コレステロール−HDL) LDLだけでなく、動脈硬化の原因となるすべての悪玉系脂質をまとめて評価でき、総合的なリスク判断に有効 これらの数値は、現在の動脈硬化のリスクを客観的に評価し、生活習慣の見直しや治療の開始タイミングを判断するための大切な手がかりとなります。 再検査が必要な数値の目安 血液検査で脂質の異常が見られた際、軽度の変動は生活習慣による一時的な可能性もありますが、数値が明らかに基準値を大きく外れている場合は注意が必要です。 動脈硬化の進行や重篤な合併症リスクを考慮し、速やかに再検査や医師の診察を受けてください。 とくに下記の範囲に該当する場合は、精密検査を検討する目安とされています。 LDLコレステロール:160mg/dL以上 中性脂肪:400mg/dL以上(空腹時) HDLコレステロール:30mg/dL未満 また、「前回より急に悪化している」「複数の項目が同時に異常値」という場合も、早めの医療機関受診が安心です。 生活習慣の見直しをしても改善しないときは、他の病気が関係している可能性もあるため、自己判断せずに相談しましょう。 家族性脂質異常症(FH)の可能性 家族性脂質異常症(FH)は、生まれつきLDLコレステロールが非常に高くなりやすい遺伝性の疾患です。 一般的な生活習慣による脂質異常とは異なり、健康的な食事や運動をしていても数値が高くなることが特徴です。 LDLコレステロールが180mg/dL以上、あるいは200mg/dLを超える状態が続く場合は、FHの可能性を考える必要があります。 また、家族に「若い頃からコレステロールが高かった」「心筋梗塞を早期に発症した」方がいる場合も注意が必要です。 FHは遺伝的な背景が関係するため、家族歴は非常に重要な手がかりになります。 FHは放置すると動脈硬化が早期に進行し、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まります。 疑いがある場合は、早めに医療機関での検査や専門的な治療の相談を行いましょう。 適切に管理することで、健康リスクを大きく減らせます。 脂質異常症の原因 脂質異常症は、食生活や運動習慣だけでなく、体質・基礎疾患・薬剤など、さまざまな要因が複雑に関わって起こります。 原因を正しく理解することで、改善方法や医療的な対応が明確になります。 原因 詳細 食生活の乱れと栄養バランスの偏り 飽和脂肪酸やコレステロールの過剰摂取、野菜や食物繊維の不足、糖質やアルコールの多量摂取 運動不足・喫煙・ストレスなどの生活習慣の乱れ 運動不足による代謝低下、喫煙によるHDLコレステロール(善玉)低下、ストレスや肥満による脂質代謝の悪化 遺伝や体質による要因 家族性高コレステロール血症(FH)などの遺伝的素因、体質による脂質代謝異常 基礎疾患や薬剤の影響による脂質異常症 糖尿病や甲状腺機能低下症などの基礎疾患、一部薬剤の副作用による脂質バランスの変化 脂質異常症の原因としては、脂っこい食事や野菜不足、糖質・アルコールの過剰摂取など食生活の乱れが挙げられます。 また、運動不足や喫煙、ストレスなどの生活習慣も脂質異常症に影響しやすく、とくにHDLコレステロールが減る原因となります。 さらに、遺伝や体質により脂質代謝が乱れやすい人もいます。 糖尿病や甲状腺の病気、一部の薬剤の影響でも脂質異常症を発症するおそれがあるため、原因を把握し、早急に対策することが大切です。 以下の記事では、脂質異常症と高脂血症の違いについて詳しく解説しています。 脂質異常症の治療法 脂質異常症の治療は、まず生活習慣の改善から始めます。 食事の見直しや運動習慣の定着によって、血中脂質は着実に改善しやすくなります。 これらを続けても数値が十分に下がらない場合や、リスクが高い場合には薬物療法が検討されます。 治療法 詳細 注意点 食事療法 摂取エネルギー量の調整、脂質・糖質の制限、食物繊維や魚・大豆製品の積極的摂取、バランスの良い食事 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、コレステロールの多い食品、過度な糖質やアルコールの摂取に注意 運動療法 有酸素運動や筋力トレーニングの定期的実施、適正体重の維持、基礎代謝の向上、脂質代謝の改善 急激な運動や無理な運動は避け、体力や持病に合わせて無理なく継続することが重要 薬物療法 スタチンやフィブラートなどの脂質低下薬の使用、医師の指導による継続的な投薬管理 副作用や他の薬剤との相互作用に注意し、自己判断で中止せず定期的な検査と診察を受けること いずれの治療法も自己判断で行うのではなく、医師の助言に従い適切に取り組むことが重要です。 生活習慣の改善と治療の継続が、動脈硬化や心疾患の予防につながります。 以下の記事では、脂質異常症の改善について詳しく解説しています。 食事療法 取り組み内容 期待できる効果 ポイント・目安 飽和脂肪酸・コレステロールの摂取を減らす LDLコレステロール(悪玉)の低下 肉の脂身・バター・卵・レバーなどを控える 食物繊維・野菜をしっかり摂る コレステロール吸収の抑制、LDL低下 食物繊維20~25g/日、野菜350g/日が目安 砂糖や精製炭水化物の摂取を控える 中性脂肪(TG)の上昇抑制 菓子・ジュース・白米・パンなどを控えめに 青魚(DHA・EPA)を積極的に摂る 中性脂肪(TG)の低下 サバ・イワシ・サンマなどを週2回以上 適正体重・エネルギーバランスを保つ 内臓脂肪減少・インスリン感受性向上、LDL・TGの正常化 標準体重×25~30kcal/日を目安 飽和脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸を積極的に摂る LDL増加の抑制、HDLや非HDLのバランス改善、動脈硬化予防 オリーブ油・しそ油・青魚油などを活用 脂質異常症の治療で最も基本となるのが食事療法です。 飽和脂肪酸(肉の脂身やバター)やコレステロール(卵・レバーなど)の摂取を控え、青魚やオリーブオイル、ナッツ類など不飽和脂肪酸を積極的に取り入れることが重要です。 また、食物繊維を多く含む野菜や全粒穀物、海藻類を摂ることで、腸でのコレステロール吸収を抑え、血中LDLコレステロールの低下が期待できます。 食物繊維20〜25g/日、野菜を1日約350g摂ることが推奨されます。 中性脂肪(TG)を下げるためには、砂糖や精製炭水化物、甘い飲料の摂取を控え、青魚に含まれるDHA・EPAを意識して摂ることも効果的です。 適正体重の維持(標準体重×25〜30kcal/日)により、内臓脂肪の減少やインスリン感受性の改善とともに、LDL・TGの正常化が期待されます。 食事療法は薬を使わずに始められる基本の治療であり、生活習慣病全般の予防にもつながります。 運動療法 定期的な有酸素運動は脂質異常症治療に有効です。 中等度〜高強度の運動でHDLが6.6〜11.6%増加し、LDLが低下することが報告されています。(文献5) ウォーキングなどの継続的な運動は中性脂肪(TG)値を下げ、筋肉内のリポプロテインリパーゼ(LPL)活性を高めることで、効率的に中性脂肪を減少させます。 体脂肪・内臓脂肪が減るとインスリン感受性が改善し、LDL・TGの正常化を促します。 また、週150分以上の中等度運動は心筋梗塞や脳卒中などの心血管リスクを低減し、他の生活習慣病予防にも役立ちます。(文献6) 食事と並び、無理なく続けられる運動習慣を構築することが、血管を守る上で重要です。 薬物療法 LDLコレステロール(悪玉)は動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。 まずは食事や運動での改善が基本ですが、効果が不十分な場合は薬物療法が有効です。 代表的な治療薬には、肝臓でのコレステロール合成を抑えるスタチン、腸での吸収を抑えるエゼチミブ、中性脂肪を下げるフィブラート系薬、注射でLDLを大幅に下げるPCSK9阻害薬などがあります。 糖尿病や腎疾患のある方、過去に心筋梗塞を経験した方にはとくに重要な治療法です。(文献7) 薬の効果や副作用は血液検査で定期的に確認し、医師が患者様一人ひとりに合わせて治療内容を調整します。 生活習慣の見直しと薬を組み合わせることで、将来のリスクを減らすことができます。 脂質異常症は治療前から予防が重要 脂質異常症は、気づかないうちに進行することが多い病気です。 数値が基準値をわずかに超えている段階でも、生活習慣を見直すことで改善が期待でき、将来的な動脈硬化のリスクを下げることにつながります。 そのため、治療が必要になる前から、日々の暮らしの中で予防を意識することが大切です。 予防法 詳細 食生活と適正体重の管理 脂肪分の多い食品を控え、野菜や魚、果物を中心としたバランスの良い食事、適正体重の維持 運動習慣を身につける 有酸素運動や筋力トレーニングの継続、基礎代謝の向上と脂質代謝の改善 禁煙と生活習慣の見直し 喫煙の中止、ストレス管理、十分な睡眠と適切な飲酒量の維持 定期的に健康状態をチェックする 健康診断や血液検査で脂質の状態を把握し、異常があれば早期対応 食生活と適正体重の管理 脂質異常症予防には、日々の食事と体重管理が重要です。 摂取エネルギーを消費に近づけることで、肝臓での中性脂肪・コレステロール合成を抑制できます。 また、体重の5〜10%減少により、LDL値や中性脂肪が改善し、HDLも増加するため、心血管リスクが低減されます。(文献8) バランスの取れた食事、つまり飽和脂肪・トランス脂肪酸の制限と食物繊維、オメガ-3脂肪酸の豊富な食品の摂取は、LDL低下とHDL増加に効果的です。 さらに、健康的な体重維持と良い食習慣は、血圧や血糖、内臓脂肪、炎症マーカーにも好影響を与え、総合的に動脈硬化リスクを下げます。 肉の脂身を控えて青魚や大豆製品、野菜・果物・海藻・きのこを意識的に取り入れ、間食やアルコール、甘い飲料を控えることが重要です。 そしてBMI25以上を目安に、急激ではなく無理のないペースで少しずつ減量を続けることが、継続的な改善と予防につながります。 運動習慣を身につける 脂質異常症を予防するためには、日常的に体を動かす習慣をつけることがとても大切です。 ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を続けると、中性脂肪やLDLコレステロールが下がり、HDLコレステロールが増えやすくなります。 その結果、動脈硬化の予防にもつながります。 また、軽い筋力トレーニングで筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂質や糖の代謝がスムーズになります。 運動が苦手な方でも、階段を使う、通勤で一駅分歩くなど、日常の中でできることを取り入れるだけで十分効果があります。 効果 詳細 中性脂肪・LDL低下 有酸素運動を続けることで、中性脂肪(トリグリセライド)やLDLコレステロール(悪玉)が減りやすくなる HDL増加・リスク低下 運動でHDLコレステロール(善玉)が増え、動脈硬化や心血管疾患リスク低下 体脂肪・内臓脂肪減少 継続的な運動により内臓脂肪や体脂肪が減少し、肥満・メタボ予防につながる 基礎代謝上昇 筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂質や糖の代謝が整いやすくなる 生活習慣病全般の予防 運動が血圧・血糖も整え、生活習慣病全体の改善・予防につながる 無理のない範囲で継続することが、脂質異常症の効果的な予防法です。 禁煙と生活習慣の見直し 脂質異常症の予防には禁煙が不可欠です。 喫煙はHDL(善玉)コレステロールを低下させ、動脈硬化を進行させますが、禁煙により改善が期待できます。 さらに、運動や食事など他の健康習慣への意識も高まり、生活全体の改善に貢献します。 過度な飲酒や睡眠不足、ストレスも脂質代謝に悪影響を及ぼすため、リラックスできる時間を意識的に確保し、生活習慣の見直しが大切です。 脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま進行するため、早めの対策が重要です。 定期的に健康状態をチェックする 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行することがあります。 そのため、年1回の血液検査でHDLやLDL、中性脂肪の変化をチェックすることが予防につながります。 検査結果は、生活習慣を見直す手がかりとなるだけでなく、高血圧や糖尿病など他の病気のリスクを早期に発見する上でも役立つため、毎年欠かさず受けることが大切です。 また、薬を服用している場合には、効果や副作用を評価するためにも定期検査が欠かせません。 健康を守る第一歩として、定期的にチェックを行う習慣を身につけましょう。 脂質異常症の診断基準値が高い方は早めに医療機関へ 健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪の値が基準より高い場合、放置せず医療機関を受診することが重要です。 脂質異常症は自覚症状がないまま進行し、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めます。 とくに数値が大きく基準を超えている場合や、複数項目に異常がある場合は注意が必要です。 放置せず、医師の評価を受けて治療方針を立てましょう。 脂質異常症の診断基準が高いと指摘された方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、脂質異常症と深く関わる糖尿病などの疾患に対して、再生医療を治療の選択肢のひとつとしてご提案します。 脂質異常症の診断基準に関するよくある質問 数値が少し高いだけなら様子見で大丈夫? 健康診断で「少しだけ高い」と言われても、放置はおすすめできません。 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに動脈硬化が進むことがあるためです。 ただし、数値がわずかに基準を超えているだけで、すぐに薬の治療が始まるわけではありません。 まずは生活習慣の見直し(食事・運動・禁煙など)が基本となり、3か月ほど経過を見て再検査するのが一般的です。 痩せていても脂質異常症になりますか? 痩せ型の人でも脂質異常症になることはあります。 体重だけでは脂質バランスは判断できず、遺伝体質・食習慣・ストレス・運動量などさまざまな要因が関わっています。 とくに、痩せていても LDLコレステロールが高い 中性脂肪が高い HDLコレステロールが低い といったパターンは珍しくありません。 「太っていないから大丈夫」と思っている人ほど、血液検査で初めて異常が見つかるケースもあります。 痩せ型の人も、数値が気になるときは油断せず、定期的に検査を受けることが大切です。 家族に脂質異常症の人がいるのですが自分も検査すべき? 家族に脂質異常症の人がいる場合、自分も検査を受けることをおすすめします。 とくに家族性脂質異常症(FH)は遺伝的にLDLコレステロールが上がりやすい病気で、家族に同じ傾向が見られることが多いです。 FHは遺伝性の疾患で、親がFHの場合、子どもに遺伝する可能性は50%あります。(文献9) また、LDLコレステロールが180mg/dL以上、または家族歴がある場合は、FHの可能性が高くなります。(文献10) 早期に発見すれば、薬による治療や生活習慣の改善により、心筋梗塞や脳卒中のリスク減少が期待できます。 また、検査は20歳前後で受け、その後も定期的なフォローが推奨されています。 ホルモンバランス(更年期)は関係ありますか? 更年期は脂質のバランスが変化しやすい時期です。 女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって、脂質の代謝が乱れやすくなるため、 LDLコレステロールが上がりやすい 中性脂肪が増えやすい HDLコレステロールが低下しやすい といった変化が起こることがあります。 更年期のタイミングで数値が悪化した場合は、生活習慣の見直しと定期的な検査がとても大切です。 必要に応じて医師と相談し、無理なく続けられる改善策を選びましょう。 まとめ|脂質異常症の診断基準を知り早めの対策につなげよう 脂質異常症は自覚しにくい一方で、放置すると動脈硬化が進み、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながる可能性があります。 そのため、LDL・HDL・中性脂肪といった診断基準を正しく理解し、数値の変化に早めに気づくことが大切です。 数値が基準を少し超えただけでも、生活習慣を見直すことで改善できる場合があります。 食事の工夫や運動習慣の追加など、自分にできる範囲から始めることが対策として重要です。 また、数値が高いまま続く場合や、家族に脂質異常症の人がいる場合は、医療機関での検査や治療を早めに検討しましょう。 診断基準を知ることは、将来の健康を守るための大切な指標になります。 日々の習慣を整えながら、無理なく続けられる改善を積み重ねていきましょう。 参考文献 (文献1) 脂質異常症の診断基準|生活習慣病オンライン (文献2) 脂質異常症の検査と治療の最前線|2020年度日本内科学会生涯教育講演会Cセッション (文献3) 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(指定難病79)|難病情報センター (文献4) 家族性高コレステロール血症(FH)とは?|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献5) Moderate‐ and High‐Intensity Exercise Improves Lipoprotein Profile and Cholesterol Efflux Capacity in Healthy Young Men|AHA|ASA JournaIs (文献6) 疾病予防および健康に対する 身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因|運動基準・指針の改定のための検討会資料 (文献7) A review of low-density lipoprotein cholesterol, treatment strategies, and its impact on cardiovascular disease morbidity and mortality|ScienceDirect (文献8) How to Lower Triglycerides & LDL Cholesterol|EatingWeII (文献9) What to Do If Your High Cholesterol Is Genetic|TIME (文献10) Application of the Japanese Guidelines for the Diagnosis of Familial Hypercholesterolemia in General Practice:|PMC pubMed CentraI
2025.07.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
健康診断で脂質異常症と指摘され、「どう改善すればいいの?」と不安を感じていませんか。 放置すると動脈硬化や心筋梗塞につながることがあるため、早めの対策が大切です。脂質異常症の改善には、食事・運動・飲み物選びなど、日々の生活習慣を見直すことが効果的とされています。 本記事では、脂質異常症を改善するための食事や運動方法、日常に取り入れやすいお茶の選び方について解説します。 脂質異常症は放置すると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などにつながることがあり、これらの疾患には再生医療による治療の選択肢もあります。 気になる症状がある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録ください。 脂質異常症の改善には食事と運動が重要 脂質異常症は、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が高い、またはHDLコレステロールが低い状態を指します。 以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、脂質が高いだけでなく低い場合も健康に影響することから、現在は「脂質異常症」という名称が使われています。(文献1)健康診断では今も「高脂血症」という表現を見ることがあり、両者は同じ概念です。 この脂質異常症を改善するためには、日々の食事と運動を整えることが基本になります。脂質の摂りすぎや運動不足が続くと数値が上がりやすいため、食事の選び方を意識したり、軽い運動を習慣にしたりすることが大切です。 無理なく続けられる工夫を取り入れることで、改善につながりやすくなります。 【関連記事】 【医師監修】脂質異常症の診断基準|総コレステロールなど各数値の正常値と治療法を解説 脂質異常症と高脂血症の違いを医師が解説! 脂質異常症を改善する食事のポイント 脂質異常症の改善には、食事内容を整えることがとても重要です。 脂質の摂り方や食品の選び方によって、LDLコレステロールや中性脂肪の数値は大きく変わります。控えたい食品と積極的に摂りたい食品を意識することで、日常の食事でも無理なく改善につなげることができます。 とくに、脂質の質、食物繊維の量、調理方法を見直すことがポイントです。毎日の食事から少しずつ改善していきましょう。 控えたい食べ物(飽和脂肪酸・糖質・揚げ物) 脂質異常症の改善には、飽和脂肪酸や糖質の摂りすぎに注意する必要があります。 これらを多く含む食品は、LDLコレステロールや中性脂肪が高くなりやすいため、量や頻度を控えることが大切です。 【控えめにしたい食品例】 項目 代表的な食品 理由 飽和脂肪酸が多い食品 バター、ラード、脂身の多い肉、ソーセージ、クロワッサン LDLコレステロールが上がりやすい 糖質の摂りすぎにつながる食品 白米、パン、麺類、菓子類、甘い飲み物 中性脂肪が増えやすい 揚げ物・油が多い料理 フライドポテト、唐揚げ、天ぷら、とんかつ 調理過程で脂質が増加する 【控える際のポイント】 完全に避ける必要はなく、「量」と「頻度」を調整する 揚げ物は週に数回ではなく、週1回程度に抑える 肉は脂身の少ない部位や鶏むね・ささみなどに置き換える 主食(白米・パン)の量を調整し、食物繊維の多い副菜を増やす 積極的に摂りたい食べ物(食物繊維/EPA・DHA) 脂質異常症の改善には、LDLコレステロールの吸収を抑える食品や、中性脂肪を下げる働きのある食品を積極的に取り入れることが大切です。とくに食物繊維とEPA・DHAは食事改善の中心となる成分です。 【積極的に取り入れたい食品例】 項目 代表的な食品 期待できる働き 食物繊維を多く含む食品 玄米・雑穀、海藻、きのこ類、野菜、豆類 食後の血中脂質の上昇を抑えやすい EPA・DHAを多く含む魚 さば、さんま、いわし、鮭、まぐろ 中性脂肪を下げる働きがある 良質な脂質を含む食品 オリーブオイル、アボカド、ナッツ類 飽和脂肪酸の置き換えに適している 【取り入れる際のポイント】 野菜や海藻類は「毎食」取り入れるのが理想 魚(とくに青魚)は週2~3回を目安に食卓へ 調理の油は、バターやラードよりオリーブオイルを優先 ナッツは食べすぎると脂質が増えるため1日10〜20g程度にとどめる 脂質異常症改善の献立例 脂質異常症の改善には、「脂質を減らす」よりも質の良い脂質を選ぶ・食物繊維を増やす・糖質を摂りすぎないことが大切です。 以下は、日常に取り入れやすい献立例です。 朝食例(糖質控えめ+食物繊維アップ) オートミール+無脂肪ヨーグルト+ベリー類→食物繊維・ポリフェノールが豊富でLDL対策に◎ ゆで卵/卵焼き(油少なめ)→良質なたんぱく質で満腹感が続く 昼食例(脂質控えめ・野菜たっぷり) サバの味噌煮/サバ缶アレンジ→EPA・DHAで中性脂肪対策に◎ 玄米ごはん/雑穀米→食物繊維が多く血糖急上昇を予防 具だくさん味噌汁(豆腐・わかめ・野菜)→満腹感アップ&カロリー調整 夕食例(低脂質・高タンパク・食物繊維) 鶏むね肉のグリル/豆腐ハンバーグ→脂質が少なくたんぱく質をしっかり補給 ひじき・切り干し大根・ほうれん草おひたし→不溶性+水溶性食物繊維でコレステロールにアプローチ 間食のおすすめ(どうしても食べたい時) ナッツ(無塩・小袋で量を調整) 高カカオチョコレート(1日10g程度) こんにゃくゼリー、ヨーグルト 献立を考えるときは、主菜の脂質量を抑えつつ、野菜や海藻・大豆など食物繊維の多い副菜をしっかり組み合わせることが大切です。 また、魚や鶏肉などのたんぱく質を適度に取り入れ、油を使わない調理法を選ぶことで、無理なく脂質バランスを整えやすくなります。 脂質異常症を改善するための正しい運動方法 脂質異常症の改善には、生活の中で継続できる運動が大切です。 運動習慣を身につけることで中性脂肪が減り、HDL(善玉)コレステロールが増えやすくなります。また、脂肪の蓄積を防ぎ、動脈硬化の予防にも役立ちます。 ここでは、脂質異常症の改善に効果的な運動と、続けるためのポイントを紹介します。 有酸素運動 有酸素運動は、中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やすために効果的な運動です。 軽く息が弾む程度の強度で続けることで、体内の脂肪エネルギーが優先的に使われます。 種類 内容 注意点 ウォーキング 1日30分を目安に、やや早歩きで歩く 無理のないペースで継続する ジョギング 会話できる程度のペースで走る 走りすぎない、足の痛みに注意 水泳 水中での負荷により効率的に脂肪燃焼 冷えすぎないよう休憩を挟む サイクリング 平坦な道を軽快にこぐ程度 交通状況に注意する 継続が何より大切です。 週150分以上(1日30分程度)を目安に、できる範囲から始めてみましょう。(文献2) 筋力トレーニング(レジスタンス運動) 筋力トレーニングは、基礎代謝を高め、脂質のコントロールを助けます。 とくに大きな筋肉を鍛えることで消費エネルギーが増え、脂質をためにくい身体づくりにつながります。 種類 詳細 注意点 スクワット 下半身の大きな筋肉を重点的に鍛える 無理のない回数で、膝に痛みがある場合は控える 腕立て伏せ 胸・腕・肩など広い範囲を鍛える フォームを意識し、膝つきで調整OK 腹筋運動 体幹を鍛え姿勢改善にも役立つ 急な動作を避け、ゆっくりと行う 筋トレは週2〜3回を目安に行い、休息を挟みながら続けることがポイントです。 日常生活での身体活動量を増やす 特別な運動をしなくても、普段の生活の中で体を動かすだけでも効果は得られます。 行動 内容 注意点 階段を使う エレベーターやエスカレーターをなるべく使わない 膝の痛みがある日は無理しない こまめに歩く 一駅前で降りる、買い物は歩いて行く 暑い日は熱中症に注意 家事・庭仕事 掃除・洗濯・草むしりなども立派な運動 疲れすぎないよう休憩をはさむ 長時間座らない 30~60分ごとに立ち上がって動く 姿勢を変えるだけでもOK 日々のちょっとした活動で中性脂肪が減り、脂肪が燃えやすい体質になります。 運動以外の活動を意識し、座っている時間を減らし、デスクワークやテレビの合間に立ち上がって身体を動かす習慣をつけましょう。歩数計アプリで目標を設定したり、何かのついでに動く工夫をすると、無理なく続けやすくなります。 日常生活の中で意識的に体を動かすことが、血中脂質の改善と健康維持につながります。 脂質異常症の改善に役立つおすすめの飲み物 脂質異常症の改善には、日常的に飲むお茶や飲料に含まれる成分も役立ちます。 とくにカテキンやポリフェノールは、脂質の吸収や酸化に関わる働きがあり、食事と合わせて取り入れることで健康的な脂質バランスの維持に役立ちます。 無理なく続けられる飲み物を選びながら、生活習慣全体とあわせて取り入れることが大切です。 カテキン(緑茶) カテキンは緑茶に多く含まれる成分で、脂質代謝をサポートする働きがあります。 カテキンの働き 詳細 食事由来のコレステロール吸収を抑える 食事と一緒に飲むことで、コレステロールが体内へ吸収される量を穏やかにする 脂肪の分解・燃焼をサポート 脂肪をエネルギーに変える酵素の働きを助ける 抗酸化作用で血管を守る LDLが酸化するのを抑え、動脈硬化を予防する働きが知られている カテキンが多い飲み物 煎茶 抹茶 カテキン高含有タイプの特定保健用食品(トクホ) 毎日続けられる飲み方を選び、食事・運動と合わせて取り入れることが大切です。 ポリフェノール(烏龍茶・紅茶) ポリフェノールは、種類ごとに働きが異なり、飲み物によって品質や量が変わります。 抗酸化作用を持つため、血管の健康維持に役立つとされています。 含まれる成分 主な働き 飲み物の例 重合ポリフェノール 脂肪の吸収を抑える、代謝をサポート プーアール茶 ウーロン茶ポリフェノール 食事の脂肪の吸収を穏やかにする ウーロン茶 ゲニポシド酸など 血圧や血管の健康を保つ働きが知られている 杜仲茶 没食子酸・カテキン・タンニン LDLの酸化を抑える抗酸化作用 紅茶、プーアール茶 日ごとに違う種類のお茶を取り入れると、さまざまなポリフェノールが摂れます。 カフェインが気になる場合は、午後以降はノンカフェインのお茶に切り替えてください。 トマトジュース(中性脂肪) トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用があり、中性脂肪の管理にも役立つとされています。 期待される働き リコピンの抗酸化作用で血管の健康を保つ 食事と一緒に飲むと血中脂質に関わる働きが期待できる 飲み方の目安 無塩タイプのトマトジュースを1日コップ1杯程度 朝食や夕食のタイミングに取り入れると続けやすい 脂質異常症が改善しない原因と対処方法 脂質異常症は、食事や運動を意識していても、なかなか数値が改善しないケースがあります。続かない生活習慣や隠れた要因が関係していることも多く、原因を把握することが改善への第一歩です。 この章では、改善しない理由と、今日から取り入れられる対処方法を解説します。 やせ型でも脂質異常症(高脂血症)が起こる理由 「痩せているのに脂質異常症と言われた」という方は少なくありません。 やせ型でも以下の理由で脂質異常が起こることがあります。 遺伝的体質 家族性脂質異常症(FH)など、遺伝によってLDLが高くなることがある 筋肉量が少ない 基礎代謝が低く、脂質代謝がうまく働かない 食事内容の偏り 炭水化物中心、脂質の質が悪い、たんぱく質不足 隠れ肥満(内臓脂肪型肥満) 見た目は細くても中性脂肪が高くなるケース やせ型の脂質異常症は生活習慣の見直しとあわせて、必要に応じて医療機関に相談してください。 サプリ・特保は補助として扱う 脂質異常症の改善には、まず食事・運動などの生活習慣が土台になります。 サプリメントや特定保健用食品(トクホ)は、その土台を支える「補助的な役割」として考えることが大切です。たとえば、EPA・DHAのサプリや、コレステロールの吸収を抑えるトクホのお茶などは、日々の食事だけでは不足しがちな成分を補う点で役立つ場合があります。 しかし、それだけで数値が大きく改善するわけではなく、食べすぎ・飲みすぎ・運動不足が続くと効果を実感しにくくなります。 医師の治療方針や体調に合わせて適切に取り入れながら、あくまで生活習慣の改善を中心に続けていくことが重要です。 継続期間と再受診の目安 脂質異常症の改善には、生活習慣を整えてから結果が数値に反映されるまでに時間がかかります。 一般的に、食事や運動の見直しを始めてから効果が現れ始めるのは1〜3カ月程度とされており、健康診断でも通常は数カ月単位で経過を確認します。自己管理を続けても改善が見られない場合や、数値が大きく変動した場合は、早めに医療機関を受診して原因を見直すことが重要です。 また、家族性脂質異常症の可能性がある人や、更年期・基礎疾患が背景にある人は、自分の判断で放置せず、定期的な受診を習慣づけることで、より適切な治療やアドバイスを受けられます。 まとめ|自分にできる改善を続けて無理なく数値を整えましょう 脂質異常症は、すぐに数値が変わるものではありませんが、食事や運動といった普段の生活を少しずつ整えていくことで、確実に改善へ近づけます。 完璧を目指す必要はなく、自分が続けられる範囲で習慣を積み重ねることが大切です。外食や忙しい日があっても気にしすぎず、できる日からまた整えていけば大丈夫です。 もし数値が思うように下がらない場合は、早めに医療機関へ相談し、必要に応じて治療や検査を受けることで安心につながります。 自分の体と向き合いながら、無理のない改善を続けていきましょう。 脂質異常症の改善におけるよくある質問 改善にかかる期間は? 脂質異常症の数値が改善するまでの期間は、食事や運動をどれだけ継続できるかによって大きく変わります。 早い方では1〜2カ月で中性脂肪の低下が見られることがありますが、LDLコレステロールの改善には3カ月以上かかることも珍しくありません。 とくに食事療法や有酸素運動は毎日の積み重ねが重要で、短期間で劇的に変わるわけではありません。焦らず続けながら、定期的に血液検査で変化を確認することが大切です。 外食時にどう工夫する? 外食では脂質の多いメニューを選びやすくなるため、注文の仕方を少し工夫するだけで改善につながります。揚げ物を避け、焼く・蒸す・ゆでる調理法の料理を選ぶと脂質を抑えられます。 丼ものや麺類など炭水化物中心になりやすいメニューは控えめにし、野菜や海藻、きのこ類がしっかり入った副菜を追加するのがおすすめです。外食では味付けが濃くなりやすいため、ドレッシングやソースを別添えにして量を調整すると、余分な脂質と糖質を避けられます。 更年期や家族性は改善できる? 更年期では女性ホルモンの変化によりLDLコレステロールが上がりやすくなりますが、食事改善や運動習慣の見直しによって数値が整うことは十分にあります。とはいえ、変化が大きい時期のため、早めに医師へ相談しながら対策を進めることが安心です。 一方、家族性脂質異常症(FH)の場合は遺伝的な要因で数値が高くなりやすく、生活習慣だけで十分に改善できないケースもあります。(文献2) 早期に専門的な評価を受け、必要に応じて薬物療法を取り入れながら総合的に管理することが重要です。 参考文献 (文献1) 脂質異常症診療のQ&A|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献2) 脂質異常症|日本循環器協会
2025.07.31 -
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「コレステロールが高い」 「中性脂肪が多い」 健康診断で指摘されたものの、どの食品を避ければ良いかわからず、食生活の改善に悩む方も多いでしょう。脂質異常症は、放置すれば動脈硬化や心筋梗塞などの重大な病気につながるリスクがあります。 脂質異常症と診断されたら、まずは食生活の見直しが不可欠です。本記事では現役医師が、脂質異常症で食べてはいけないものを一覧で紹介します。 記事の最後には、脂質異常症の食事に関するよくある質問についてもまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脂質異常症に関連する「しびれ」などの症状についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂質異常症で食べてはいけないもの一覧 食品の種類 具体的な食品例 控える理由・ポイント 肉類(脂身の多い肉・加工肉) 牛・豚のバラ肉、鶏皮、ベーコン、ソーセージ、ハム 飽和脂肪酸が多く、悪玉コレステロール(LDL)を増やし、動脈硬化のリスクを高める 乳製品(全脂ヨーグルト・生クリーム・バター) 全脂ヨーグルト、生クリーム、バター、チーズ 飽和脂肪酸やコレステロールが多く、血中脂質を悪化させやすい 油脂類(マーガリン・ショートニング・揚げ物) マーガリン、ショートニング、フライドポテト、唐揚げ トランス脂肪酸や飽和脂肪酸が多く、LDL増加・HDL減少の原因になる 菓子類(スナック菓子・洋菓子) スナック菓子、ケーキ、ドーナツ、クッキー、チョコレート 脂質・糖分・トランス脂肪酸が多く、中性脂肪やコレステロールを増やす 精製された炭水化物や糖分の多い食品 白米、白パン、砂糖菓子、清涼飲料水 血糖値や中性脂肪を上げやすく、脂質異常症の管理に不向き インスタント食品や外食メニュー ラーメン、ファストフード、カップ麺、ピザ 脂質・塩分・糖分が多く、トランス脂肪酸やカロリー過多になりやすい 脂質異常症と診断された場合、食事を見直すことが不可欠です。その中でもとくに、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロール・糖質を多く含む食品は、血中脂質を悪化させる原因になります。 具体的には、脂身の多い肉や加工肉、乳製品、トランス脂肪酸を含む油脂類、菓子類、精製された炭水化物、インスタント食品などの摂取を控える必要があります。 以下の記事でも、脂質異常症で食べてはいけないものについて解説しています。 【関連記事】 【一覧】脂肪肝を改善できる食事は?食べてはいけないものも【医師監修】 糖尿病予備軍が「食べてはいけないもの」7選|血糖値を安定させる「大根」がおすすめな理由 肉類(脂身の多い肉・加工肉) ポイント 内容 健康への影響・推奨 飽和脂肪酸が多い 脂身の多い牛肉・豚肉、ソーセージ、ベーコンなど LDLコレステロール上昇→動脈硬化・心臓病・脳卒中リスク増。摂取は1日の総カロリーの6%以下推奨 加工肉のリスク ベーコン、ハム、ソーセージなど トランス脂肪酸・塩分も多く、悪玉コレステロール増・善玉減、血圧上昇・心血管リスク増 脂質量が重要 脂身の多い部位(赤身・白身問わず)、鶏皮付き肉など 飽和脂肪酸が多いとLDL上昇。肉の種類より脂質量に注意 代替タンパク質 青魚、大豆製品、ナッツ類など 植物性・魚由来のタンパク質や不飽和脂肪酸でLDL低下が期待できる 飽和脂肪酸は豚バラ肉や牛バラ肉、ベーコン、ソーセージなどの脂肪分の多い肉類や加工肉に多く含まれ、肝臓のLDL受容体の働きを抑制し、血中LDLコレステロール値の上昇を引き起こします。その結果、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まるとされています。 米国心臓協会は、飽和脂肪酸の摂取を総エネルギー比6%以下に制限するよう推奨しています。(文献1) また加工肉にはトランス脂肪酸と塩分が多く含まれており、トランス脂肪酸はLDLを増やしてHDLを減少させ、塩分は高血圧を招き心血管リスクを上昇させる要因です。肉については、赤身か白身かよりも脂身の量が重要であり、鶏皮も脂質が多いため注意が必要です。 そのため、魚(とくに青魚)や豆類、ナッツ類などの不飽和脂肪酸を含む食品に切り替えることで、LDL低下が期待できます。 乳製品(全脂ヨーグルト・生クリーム・バター) 理由・ポイント 具体例 詳細 飽和脂肪酸が多い 全脂ヨーグルト、生クリーム、バター LDLコレステロール上昇リスク。低脂肪・無脂肪タイプの選択推奨 製品による影響の違い バター、生クリーム、全脂ヨーグルト、チーズ バター・生クリームは控えめ。ヨーグルト・チーズは無糖・低脂肪タイプを選択 飽和脂肪酸の過剰摂取回避 乳製品全般 食事全体で飽和脂肪酸を抑え、心血管リスク低減 食べ方の工夫 バター・生クリーム・ヨーグルト・チーズ たまの使用や低脂肪・ノンファット製品への置き換え 全脂ヨーグルトやバターに多く含まれる飽和脂肪酸は、肝臓のLDL受容体の働きを抑制し、結果的にLDLコレステロール値を上昇させます。 米国心臓協会は、飽和脂肪酸摂取の総カロリーを6%以下に抑えることを推奨しており、生クリームやバターの過剰摂取による健康リスクを軽減すると報告されています。(文献1) ただし、全脂ヨーグルトやチーズは種類によっては悪影響が少ないとされており、必ずしも避ける必要はありません。まずは低脂肪または無脂肪の製品を選ぶのがおすすめです。(文献2) TLC(治療的生活習慣改善)プランでは、飽和脂肪酸と総コレステロールを制限することで動脈硬化や心血管疾患のリスク低下が示されており、とくに乳製品は飽和脂肪酸の主要な供給源であるため注意が必要です。 ヨーグルトや牛乳を取り入れる場合は、低脂肪または無脂肪タイプを選ぶことで脂質を抑えつつ、カルシウムやタンパク質をしっかり補えます。 油脂類(マーガリン・ショートニング・揚げ物) 理由・ポイント 具体例 健康への影響・注意点 トランス脂肪酸の含有 マーガリン、ショートニング LDL(悪玉)コレステロール上昇、HDL(善玉)コレステロール低下、動脈硬化・心血管疾患リスク増。摂取は総エネルギーの1%未満推奨 揚げ物の油の問題 フライ、ドーナツなど 油の繰り返し加熱でトランス脂肪酸が増加する。脂質摂取量も多くなりやすい 飽和脂肪酸の多さ 揚げ物、加工油脂 飽和脂肪酸がLDLコレステロールを上げ、心血管リスクを高める 日本人の摂取状況 パン、洋菓子、揚げ物 平均摂取量は少ないが、頻繁に食べる人は注意が必要 マーガリンやショートニングには、部分水素化された油に由来するトランス脂肪酸が含まれており、LDL(悪玉)コレステロールを上昇させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを低下させるため、動脈硬化や心血管疾患リスクの要因となります。 一般社団法人日本動脈硬化学会も冠動脈疾患のリスク因子として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギーの1%未満に抑えることを推奨しています。(文献3) 揚げ物は、油を繰り返し加熱することでトランス脂肪酸が増え、衣が油を多く吸収するため、脂質の摂取量が過剰になりやすい食品です。また、加工油脂や揚げ油には飽和脂肪酸も含まれており、LDLの上昇を促します。 日本人の平均的なトランス脂肪酸摂取量は総エネルギーの約0.3%と、WHOの1%未満という基準を十分に下回っていますが、パン類・洋菓子・揚げ物を頻繁に摂取する方では、1%を超えるケースも報告されており、注意が必要とされています。(文献4) 脂質異常症管理においては、調理油の種類や使用頻度、調理方法に注意し、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の摂取を控えることが重要です。たとえば、蒸す・焼くなど油を控えた調理法への切り替えが推奨されます。 菓子類(スナック菓子・洋菓子) スナック菓子や洋菓子には、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸、精製された糖分が多く含まれています。これらは悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を増やし、善玉(HDL)コレステロールを減らすため、脂質異常症や動脈硬化、心疾患のリスクを高めます。 また、菓子類は高カロリーで肥満の原因にもなりやすく、生活習慣病が悪化する要因の1つです。間食には果物や無糖ヨーグルト、ナッツなどを選び、成分表示でトランス脂肪酸を確認する習慣が数値改善と病気予防に役立ちます。 精製された炭水化物や糖分の多い食品(白米、白パン、砂糖菓子) 項目 内容 健康への影響・注意点 控える理由 精製炭水化物は中性脂肪を上げやすく、HDL(善玉)コレステロールを下げやすい 肥満、動脈硬化、心血管疾患リスク増加 不足しやすい栄養素 食物繊維、ビタミンB群、ミネラル 栄養バランスの乱れ、コレステロール排泄促進効果の減少 控えたい食品 白米、白パン、砂糖菓子、精白麺、菓子パン 高GI・高糖質食品 おすすめ食品 玄米、全粒粉パン、雑穀ご飯 食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富、コレステロール排泄促進 注意点 糖質を極端に減らさず、バランス良く摂取 炭水化物エネルギー比率は50~55%が目安 白米や白パン、砂糖を多く含む菓子や飲料などの精製された炭水化物は、血糖値を急上昇させやすく、中性脂肪の増加やHDL(善玉)コレステロールの低下を引き起こします。その結果、脂質異常症が悪化し、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まります。また、これらの食品は食物繊維やビタミン・ミネラルが不足しやすく、栄養バランスも崩れがちです。 日本循環器協会も、精製されていない穀類への切り替えを推奨しており、玄米などはコレステロール排泄を促進する効果も報告されています。ただし、糖質の極端な制限は、近年の研究では死亡リスクの上昇とも関連していると報告されています。そのため、日本人では炭水化物の摂取比率は総エネルギーの50~55%が望ましいです。(文献4) 主食を選ぶ際は、玄米や全粒粉パンなどの未精製穀類を取り入れ、食物繊維とともにバランスよく摂ることが大切です。 インスタント食品や外食メニュー(ラーメン・ファストフード) インスタント食品やファストフードは、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・塩分・カロリーが多く含まれており、脂質異常症の悪化に直結します。インスタントラーメンや揚げ物は、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やし、HDL(善玉)を減らす原因になります。 また、日本国内の研究では、牛丼のようなファストフードを12週間継続摂取した結果、血圧の上昇や血中脂質の変動が確認されており、健康リスクの高さが指摘されています。(文献5) どうしても外食が必要なときは、揚げ物や濃い味付けを避け、野菜の多い定食などを選び、脂質・塩分・カロリーを抑える意識を持つことが大切です。 脂質異常症で食べたほうがいい食材一覧 食材グループ 具体例 期待できる効果・ポイント 青魚や魚介類 さば、いわし、さんま、さけ、まぐろ EPA・DHAの摂取で中性脂肪低下、悪玉コレステロール抑制、動脈硬化予防 野菜・海藻・きのこ類 ほうれん草、ブロッコリー、わかめ、ひじき、しいたけ、えのき 食物繊維が豊富でコレステロール吸収抑制、血糖値安定、ビタミン・ミネラル補給 大豆製品 豆腐、納豆、豆乳、みそ、おから 植物性タンパク質とイソフラボンで血中脂質改善、動脈硬化予防 良質な油脂 オリーブオイル、えごま油、アマニ油 不飽和脂肪酸が多く、悪玉コレステロール低下、心血管リスク低減 玄米・全粒粉パンなど低GI食品 玄米、雑穀米、全粒粉パン、そば 食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富、血糖値の急上昇を防ぎ中性脂肪抑制 脂質異常症の改善には、避ける食品だけでなく、積極的に摂りたい食材を意識するのも重要です。血中脂質のバランスを整える栄養素を含む食品を選ぶことで、無理なく健康的な食生活を続けやすくなります。 以下の記事では、食事以外にも脂質異常症を改善する方法を解説しています。 青魚や魚介類(EPA・DHAを含む) 項目 内容 期待できる効果・ポイント EPA・DHAの作用 青魚に多いオメガ-3系脂肪酸 中性脂肪(TG)を減らし、脂質バランスを改善 抗炎症作用 血管の炎症抑制 動脈硬化予防、心筋梗塞や脳卒中リスク低減 血液サラサラ効果 EPAが血小板凝集を抑制 血栓予防、心血管トラブル予防 摂取目安 サバ、イワシ、アジ、サンマなどを週2〜3回 焼き魚・煮魚など揚げない調理法がおすすめ (文献5) 青魚に多く含まれるEPAやDHA(オメガ-3系脂肪酸)は、血液中の中性脂肪を減らし、脂質バランスを整える働きがあります。EPAには血管の炎症を抑える作用があり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の予防にも効果が期待されています。 また、血小板の凝集を抑えることで血液をサラサラに保ち、血栓の予防にもつながります。青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマなど)は、週2〜3回を目安に取り入れると効果的です。DHAは生活習慣病だけでなく、目の健康にも良いとされています。(文献6) 調理法は煮魚や焼き魚など、揚げない方法がおすすめです。揚げない調理法で仕上げることで、余分な脂を避けつつEPA・DHAを効率よく摂取できます。 野菜・海藻・きのこ類(食物繊維が豊富) 項目 内容 期待できる効果・ポイント コレステロール吸収抑制 水溶性食物繊維(海藻、果物、麦類) LDLコレステロール低下、胆汁酸の排出促進 不要な脂質排出 食物繊維全般 余分な脂質の便排出、脂質異常症の改善 腸内環境改善 不溶性食物繊維(ごぼう、きのこ、豆類、根菜) 便通促進、腸内環境の正常化 摂取バランス 水溶性:不溶性=1:2が理想 野菜・きのこ・海藻の組み合わせ推奨 摂取目安 男性18~64歳22g以上、女性18~74歳18g以上/日 日本人の食事摂取基準2025年版準拠 食物繊維は、コレステロールや中性脂肪の吸収を抑え、余分な脂質の排出や便通の改善に役立つため、脂質異常症の改善に重要です。とくに水溶性食物繊維はLDL(悪玉)コレステロールの低下に効果的で、不溶性食物繊維は腸の動きを活発にし便通を促進します。 野菜・海藻・きのこ類を組み合わせることで、水溶性と不溶性を1:2のバランスで摂ることができ、どちらも効率よく補えます。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、男性18~29歳・75歳以上は1日20g以上、30~64歳は22g以上、65~74歳は21g以上、女性18~74歳は18g以上、75歳以上は17g以上が目標量です。(文献6) 調理時は油の使いすぎに注意し、蒸し物や煮物を中心に取り入れることが、無理なく脂質コントロールにつながります。 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳など) 大豆製品は植物性タンパク質を豊富に含み、飽和脂肪酸が少ないため、脂質異常症に適した食品とされています。豆腐・納豆・豆乳は調理が簡便で、日常の食事に取り入れやすい点も特徴です。大豆イソフラボンや大豆タンパク質には、LDL(悪玉)コレステロールを低下させる効果が臨床試験で確認されています。(文献7) さらに、植物ステロールや食物繊維の作用により、腸管からのコレステロール吸収も抑制されます。納豆は発酵によって栄養価が高まり、健康効果がさらに期待できます。肉類の代替として大豆製品を取り入れることで、飽和脂肪酸の摂取を減らしつつ、良質なタンパク質とバランスの取れた栄養補給が可能となり、脂質異常症の改善や予防に有用です。 良質な油脂(オリーブオイル・えごま油) オリーブオイルやえごま油などの良質な油脂は、脂質異常症の方にとって非常に有効な食材です。これらの油に多く含まれる不飽和脂肪酸は、血液中の脂質バランスを整える働きがあります。 オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、悪玉(LDL)コレステロールを下げ、善玉(HDL)コレステロールにはほとんど影響を与えません。えごま油に豊富なα-リノレン酸は、中性脂肪を減らし、血液をサラサラに保つ効果や血栓予防作用が期待できます。 動物性脂肪やトランス脂肪酸を多く含む油の代わりに、これらの良質な油に置き換えることで、動脈硬化や心疾患のリスクを下げられます。ただし、どんな油でも摂りすぎはカロリー過多の原因となるため、適量を守ることが大切です。炒め物やサラダに上手に取り入れ、脂質の「質」を意識した食生活を心がけましょう。 玄米・全粒粉パンなどの低GI食品 ポイント 内容 期待できる効果 血糖値の急上昇抑制 低GI食品(玄米・全粒粉パン) 中性脂肪の増加防止、脂質異常症の改善 食物繊維が豊富 白米・白パンより多い食物繊維 LDLコレステロール低下、腸内環境の改善 満腹感の持続 噛む回数が増え消化がゆっくり 過食・間食の予防、体重管理 糖尿病・肥満予防 低GI・高食物繊維の特性 生活習慣病全体のリスク低減 低GI食品は血糖値の急上昇を抑え、インスリンの過剰分泌を防ぐことで肝臓での中性脂肪の合成を抑制し、脂質異常症の改善に役立ちます。玄米や全粒粉パンに多く含まれる食物繊維は、胆汁酸と結合してLDLコレステロールを下げる効果があり、全粒穀物の摂取によるLDLコレステロール低下も期待できます。 粒子が粗いため噛む回数が増え、満腹感が持続しやすく、過食や間食の抑制にもつながり、低GIかつ高食物繊維の食事は肥満や糖尿病のリスクを下げ、脂質異常症だけでなく生活習慣病全体の予防にも有効です。主食に玄米や全粒粉パン、雑穀ごはんを取り入れることで、血液の脂質バランスと健康維持が期待できます。 今日から始められる食事の見直しポイント 見直しポイント 詳細 食事の量やバランスを考慮する 適正なエネルギー量の把握、主食・主菜・副菜の組み合わせ、さまざまな食材の選択、食物繊維の積極的摂取 調理法を見直す 油の使用量の制限、揚げ物や脂質の多い料理の頻度を減らす、蒸し物・煮物・焼き物の活用、調理油の種類の工夫 外食での食事選びを工夫する 主食・主菜・副菜が揃うメニューの選択、野菜や魚料理の優先、油や塩分の多い料理の回避、量の調整 脂質異常症の改善には、特定の食品を取り入れるだけでなく、日々の食事全体を見直すことが重要です。どのくらい食べるか、どのように調理するか、外食では何を選ぶかといった基本的なポイントを意識し、食事の量やバランス、調理法の工夫が実践的な改善につながります。 無理のない範囲で生活を見直すことが、脂質コントロールと健康維持の第一歩です。ただし、自己判断で行うのではなく、医師の指導のもとで進めることが大切です。 食事の量やバランスを考慮する ポイント 内容 適切なエネルギー摂取で肥満と脂質異常を防ぐ 摂取エネルギーの適正管理、体重増加防止、BMIの安定化、脂質異常症悪化の予防 バランスの良い食事が血中脂質を改善する 和食パターン(ご飯・魚・野菜・大豆)による血中脂質改善と動脈硬化予防 バランス配分(主食・主菜・副菜)が習慣化を後押し 野菜・果物と全粒穀物を皿の半分に、残りをタンパク質源にする食事習慣による血中脂質・体重管理支援 過食やムラ食を防ぎ、脂質バランスを保てる 一定量の食事と均等なバランスによる間食・過食防止、血糖・中性脂肪の安定化 (文献8) 脂質異常症の予防・改善には、摂取エネルギーを抑えつつ、栄養バランスの良い食事を心がけることが重要です。主食・主菜・副菜をそろえた一汁三菜のような食事スタイルは、自然と食べすぎを防ぎ、満足感を得やすくなります。 米国農務省によると、野菜や果物、全粒穀物を皿の半分に、残りをタンパク質源とする食事習慣が、血中脂質の改善や体重管理に効果的とされています。たとえば、白米を玄米に替える、肉の代わりに魚や大豆製品を取り入れるといった工夫が、過剰な脂質やカロリーの摂取を防ぎ、栄養バランスを整える助けになります。 日々の食事で、量の調整と食材の組み合わせを意識することが、脂質異常症の改善への一歩となります。 調理法を見直す 見直しポイント 内容 脂質の摂取量を抑えられる 油を多く使う揚げ物や炒め物を控える 余分な脂を減らせる 焼く・茹でることで脂が自然に落ちる トランス脂肪酸や酸化を防げる 高温加熱を避け、健康リスクを軽減 カロリー摂取の抑制・肥満予防につながる 油を使わない分、全体のカロリーが減る 取り入れやすい工夫 揚げ物を蒸す・茹でる・焼くに切替える 脂質異常症の改善には、毎日の調理法を見直すのが効果的です。揚げ物や炒め物は脂質やカロリーの摂取量が増える原因となりますが、蒸す・茹でる・焼く調理法なら、油の使用を抑えることで、脂質やカロリーの摂取量も自然に減らせます。 また、余分な脂が落ちるためコレステロールの管理にも役立ちます。家庭でもすぐに取り入れられる実践的な方法です。 外食での食事選びを工夫する 外食は脂質や塩分が多くなりやすく、脂質異常症を悪化させる原因となります。揚げ物や脂っこい料理は避け、焼き魚や蒸し料理、野菜が多く含まれる定食を選ぶことで、栄養バランスが整いやすくなります。 主食・主菜・副菜・汁物がそろった定食は、食物繊維が豊富で、LDLコレステロールの抑制にも効果的です。野菜や汁物を先に食べる、栄養成分表示を参考にするなどの工夫も有効です。 ラーメンのスープを残す、丼物より定食を選ぶ、腹八分目を意識するなど、外食でも脂質を抑える工夫を重ねることで、脂質異常症の予防・改善につながります。 脂質異常症における食べていけないものを控えてバランスの良い食事を心がけよう 脂質異常症と診断された方は、まず「避けるべき食品」を知り、日々の食事を見直すことが大切です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を含む食品を減らし、青魚や野菜、食物繊維が豊富な食品を積極的に取り入れることで、脂質バランスの正常化に貢献します。 また、調理法や食事の量にも気を配ることで、日常生活の中で無理なくコントロールできます。一人で改善が難しいと感じる場合は、医師や管理栄養士への相談も選択肢のひとつです。 脂質異常症と密接に関係する糖尿病にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。糖尿病はインスリンをつくる細胞の働きが弱くなることで起こります。再生医療はその細胞を補い、機能を回復させることで、根本的な治療につながると期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 脂質異常症の食事に関するよくある質問 脂質異常症で食べても良いお菓子はありますか? 脂質異常症の方でもお菓子を楽しむことはできますが、脂質やカロリーが少ないものを選び、量に注意しましょう。羊羹や寒天、高カカオチョコ、あたりめなどがおすすめです。 成分表示を確認し、個包装を活用すると食べすぎ防止にもなります。洋菓子やスナック類は控えめにしましょう。 食事制限はいつまで続ければいいですか? 脂質異常症では、まず3〜6カ月間、食事や運動など生活習慣の改善を行い、血液検査で効果を確認します。数値が改善しても再発しやすいため、食事管理は継続が必要です。薬を始めた場合も、医師の指示に従って続けましょう。 脂質異常症は食事以外に気を付けることはありますか? 脂質異常症の改善には、食事に加えて生活習慣全体の見直しが重要です。有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)を1日30分以上、週3回以上行うことで、HDL(善玉)コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があります。 さらに、禁煙や節酒、適正体重の維持、定期的な検査も大切です。必要に応じて医師の指導で薬を併用するケースもあります。 以下の記事では、脂質異常症の薬物療法について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) Saturated Fat|American Heart Association (文献2) Is It Okay to Eat Butter If You Have High Cholesterol? A Cardiologist Settles the Debate|EatingWell (文献3) 脂質異常症診療のQ&A|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献4) 食事に気を付けよう|日本循環器協会 (文献5) 脂質異常症の食事|厚生労働省 (文献6) 食物繊維の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団 (文献7) Cumulative Meta‐Analysis of the Soy Effect Over Time|AHA|ASA Journals (文献8) 厚労省が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を公表 脂質異常症と高齢者のフレイルに対策 よりきめ細かな食事指導が必要に|保健指導リソースガイド
2025.07.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「足先が冷える」「しびれが続く」といった症状が気になっていませんか。 その不調は、ただの疲労や年齢のせいではなく、「バージャー病」という血管の病気が関係している可能性があります。 バージャー病とは、主に手足の血管が詰まり、進行すると壊死や切断のリスクもある深刻な疾患です。 本記事では、「バージャー病」について、気になる初期症状や原因、治療法を医師がわかりやすく解説します。 ぜひ本記事を参考にご自身の症状と照らし合わせ、バージャー病の可能性がないかどうかを確認してみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 バージャー病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 バージャー病とは手足の血管が詰まりやすくなる難病 バージャー病とは、正式名称は「閉塞性血栓性血管炎」で、手足の血管が詰まりやすくなる指定難病の一つです。発症には喫煙が深く関係しており、特に「若年層で喫煙歴のある男性」に多いと報告されています。(文献1) (文献2) 主に手足の動脈や静脈に炎症が起こることで血管が詰まり、手足の冷えやしびれ・痛みなどの症状があらわれます。死亡率はきわめて低いものの、進行すると皮膚潰瘍や組織の壊死を引き起こし、手足の切断に至るケースもあるため注意が必要です。 また、国内の患者数は2012年時点で約7,000人と推定されており、生活の質(QOL)を守るためにも、早期発見と禁煙を含めた適切な治療が大切です。(文献1) 【進行度別】バージャー病にみられる症状 バージャー病の症状は、病気の進行とともに変化し、初期段階から末期にかけて段階的に悪化することがあります。本章では、進行度に応じてみられる主な症状を順を追って解説します。 重症化を防ぐためにも、早期に異変に気づき、適切な対処を心がけましょう。 なお、バージャー病にみられる「血栓性静脈炎」については、以下の記事にて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 初期症状|手足のしびれが多い バージャー病の初期症状として多く見られるのが、手足のしびれや冷えです。 これらの症状は、末梢血管の炎症により血流が悪化し、組織への酸素・栄養供給が不足することで起こります。 また、皮膚が青白く変色するチアノーゼが見られることもあります。冷たいものに触れたときや寒い場所にいるときに血行が一時的に悪化し、皮膚の色が青白く変化する現象です。その後じんじんとした痛みを感じることもあります。 これらの症状はいずれも血行不良のサインであり、放置すると進行する可能性があるため早めの対処が重要です。 進行した症状|運動時の足の違和感・潰瘍があらわれることも バージャー病が進行すると、初期症状に加えて、見た目にもわかるような症状があらわれることがあります。代表的な症状は以下のとおりです。 症状 説明 間欠性跛行(かんけつせいはこう) 一定距離を歩くと足が痛くなり、休むと痛みが和らぐ 手足の潰瘍 皮膚が赤黒く変色し、表面がただれて見えることが多く、悪臭を伴う場合もある ただし、バージャー病の症状があらわれる順番は個人差があり、人によっては最初から指先をはじめとする部位に潰瘍ができるケースもあります。手足の違和感や見た目の変化が気になる場合は、早めに受診するようにしましょう。 バージャー病と同様、間欠性跛行がみられることが多い病気に「閉塞性動脈硬化症」があります。詳細はこちらの記事でも解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。 末期状態|壊死による切断リスクがある バージャー病が末期状態にまで進行すると、潰瘍が広がり、最終的には壊死(組織死)が起こるようになります。 壊死とは、血流が完全に途絶えることで酸素や栄養が届かなくなり、組織が死んでしまう状態です。壊死した部位は黒く変色して冷たくなり、感覚がなくなることも多く見られます。 さらに壊死が進行すると感染症を併発しやすくなり、生命に危険が及ぶ可能性が高まります。そのため、壊死の部位を取り除くために患部の手足を切断せざるを得ないケースもあるのです。 手足の切断は、生活の質を著しく低下させるため、末期に至る前の早期発見と治療が大切です。 バージャー病の原因の多くは「喫煙習慣」 バージャー病の最大の危険因子は、喫煙習慣です。 タバコに含まれるニコチンをはじめとする有害物質が、血管の細胞に直接ダメージを与え、炎症を引き起こしやすくなります。さらに血小板が集まりやすくなるため、血の塊ができやすくなります。 特に、手足の末梢にある細い血管でこの作用が強く働き、血流が阻害されるため、初期段階では手足に症状があらわれやすくなるのです。 そのため、バージャー病と診断された場合、禁煙が最も重要な治療法の一つとなります。 バージャー病の治療法 医療機関で行われるバージャー病の治療法は、主に以下の4つです。 禁煙 薬物療法 運動療法 手術(重症の場合) 治療法をあらかじめ知っておくことで、医師との相談がスムーズになり、自分に合った治療を選ぶ際の参考になります。本章を参考に、それぞれの治療内容について理解を深めてみてください。 禁煙 喫煙は、バージャー病の大きな要因とされており、多くの場合で喫煙者に対しては禁煙を勧められます。禁煙によりバージャー病の進行抑制や再発リスクの低減などが期待されています。 ただし、自力での禁煙が難しい方も少なくありません。そのような場合は、医療機関による禁煙支援を活用するのも有効です。主な支援内容には、以下のようなものがあります。(文献3) ニコチン依存度のチェック 呼気の測定 ニコチンパッチやニコチンガムなどを使った薬物療法 専門スタッフによる禁煙指導 これらの支援を受けることで、禁煙の成功率を高めることができます。禁煙に不安を感じる方は、ひとりで抱え込まず、このような支援を積極的に活用してみましょう。 薬物療法 手足しびれや冷えが認められる場合は血行不良が疑われるため、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)が処方されることがあります。(文献4) これにより、血のかたまりの形成を抑えて血管の詰まりを予防し、手足の冷えやしびれといった症状の緩和につながるのです。 状態によっては、血管拡張薬や血流改善薬などが用いられることもありますが、これらの薬は病状や体質に応じて医師が判断します。自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。 運動療法 間欠性跛行の症状がある場合、薬物療法に加え、医師や理学療法士の指示の下で運動療法が行われることがあります。なかでも代表的なのが「トレッドミル療法」です。(文献4) トレッドミル(電動式の歩行マシン)を使用し、一定の速度で歩行を行い、痛みが出た時点で休憩をはさむというサイクルを繰り返し行います。これにより血流改善や歩行能力の向上が期待できるのです。 ただし、潰瘍や壊死がある場合は、運動により症状を悪化させるおそれもあります。必ず専門医の指導のもとで行うようにしましょう。 重症例は手術を行う 薬物療法や禁煙だけでは改善が見られない場合や症状が進行する場合には「血行再建術」と呼ばれる手術が行われることがあります。「血行再建術」は詰まった血管の代わりに人工血管や自身の血管を用いて迂回路(バイパス)を作り、血流を回復させる治療法です。 また、血行再建術が困難な場合や手指に限局した潰瘍がある場合は「交感神経節切除」が行われることもあります。 一方で、これらの従来治療では十分な効果が得られない症例も少なくありません。そのような中で注目されているのが、細胞や組織の再生能力を活かした「再生医療」です。 再生医療では、自身の細胞を活用して血管や組織の再生を図る治療を行います。 当院「リペアセルクリニック」では、この再生医療を取り入れた治療を行っております。メール相談やオンラインカウンセリングを通じて無料のご相談も可能です。 バージャー病の治療方針に悩まれている方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。 バージャー病の進行を防ぐ生活習慣・日常の注意点 バージャー病の進行を防ぐためには、治療と並行して日常生活でのセルフケアも大切です。日常生活の主な注意点は以下の3つです。 受動喫煙を避ける 手足を冷やさない 生活習慣の治療を適切に管理する この章を参考に、今日からできる予防習慣を少しずつ取り入れていきましょう。 たばこの煙を避ける 喫煙は、バージャー病の発症リスクを高めます。自分自身が禁煙するのはもちろんのこと、喫煙していない方も周囲の環境に注意を払うことが大切です。タバコの煙には、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」だけでなく、周囲に拡散される「副流煙」にも多くの有害物質が含まれています。 家庭や職場などに喫煙者がいる場合は、分煙環境を整える、喫煙スペースに近づかないなど、受動喫煙を避ける対策を講じましょう。 手足を冷やさない バージャー病では末梢の血流が悪くなるため、特に冷えに注意が必要です。 特に寒い季節や冷房の効いた室内では、知らないうちに血流が悪化しやすくなります。以下のような工夫で、手足を温かく保ちましょう。 靴下や手袋を重ねて着用する 就寝前に湯船でしっかり温まる 外出時は手足の露出を避ける服装を選ぶ 手足の冷えは、バージャー病の症状悪化に直結するため、日頃から意識的に温める習慣を持つことが大切です。 なお「冷えていないのに手足が冷たく感じる」場合の対処法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。 生活習慣病の治療を適切に受ける 糖尿病・高血圧・高脂血症といった生活習慣病は、いずれも末梢血流の悪化を進める要因となります。 糖尿病は血管にダメージを与え、高血圧や高脂血症は動脈硬化を進行させます。これらの病気を治療せずに放置すると、バージャー病の進行を早めたり、合併症を引き起こしたりするリスクが高まります。 そのため、生活習慣病の治療中の方は、医師の指導のもとで食事や運動などの生活習慣を見直し、必要に応じて薬を正しく服用することが大切です。 また、生活習慣病は初期には自覚症状がないことも多いため、症状がなくても年に1回程度の定期的な健康診断を受けるようにしましょう。 バージャー病は早期発見と禁煙が進行抑制のカギ バージャー病は、手足の血管が詰まる進行性の難病であり、主な原因は喫煙とされています。初期には足のしびれや冷えといった症状から始まり、最悪の場合には手足の切断に至ることもあるため、早期対応が重要です。 バージャー病の予防や進行抑制には、禁煙と早期発見が不可欠です。本記事を参考にし、気になる症状がある場合は、速やかに専門医の診察・治療を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、もともと人体にある幹細胞を用いた再生医療による治療を行っております。メール相談やオンラインカウンセリングを通じて無料相談も受付中です。 バージャー病の治療方針に悩まれている方は、お気軽に当院までご相談ください。 バージャー病に関してよくある質問 閉塞性動脈硬化症(ASO)との違いは? バージャー病と閉塞性動脈硬化症(ASO)には、以下のような違いがあります。(文献4)(文献5) バージャー病 閉塞性動脈硬化症(ASO) 主な発症年齢 若年層(特に喫煙者) 高齢者が中心 最大のリスク要因 喫煙 (生活習慣病も影響することあり) 動脈硬化(糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病) 影響が出やすい血管の場所 手足の細い血管に断続的に発生 比較的太い血管に広範囲に発生 血管の状態 血管壁が炎症を起こして閉塞 血管壁が硬化し閉塞 鑑別には、年齢、喫煙歴、他の生活習慣病の有無などが用いられます。 バージャー病は何科で見てもらえるの? バージャー病の症状が疑われる場合は、血管外科、循環器内科、または膠原病内科での診療が可能です。 お住まいの地域に血管外科や循環器内科がない場合や、どの科を受診すべきか迷うときは、まずはかかりつけ医や総合診療科を受診することをおすすめします。 いずれの場合も、不安な症状がある場合は早めに医療機関を受診し、必要に応じて専門医の診察を受けることが大切です。 参考文献 文献1 047 バージャー病|厚生労働省 文献2 CLINICAL STUDY ON BUERGER'S DISEASE AT A TERTIARY CARE TEACHING HOSPITAL, SILCHAR|INTERNATIONAL JOURNAL OF SCIENTIFIC RESEARCH 文献3 禁煙治療ってどんなもの?|厚生労働省 文献4 血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)|合同研究班(日本循環器学会・日本血管外科学会など) 文献5 コラテジェン筋注用 |PMDA
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腎臓癌と診断され「これからどうなるのか」と不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 腎臓癌にはさまざまなタイプがあり、進行スピードや症状のあらわれ方には個人差があります。 ただし、治る確率は、どのくらい進行しているのか判断する「ステージ」によって異なるのです。 本記事では、腎臓癌の進行スピードやステージごとの治る確率、進行度による症状の変化を解説します。 今後をしっかり見据えて治療に臨みたい方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腎臓がんに対する再生医療について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腎臓癌の進行スピードには個人差がある【早いとは限らない】 腎臓癌と聞いて「すぐに悪化してしまうのでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、腎臓癌の多くを占める腎細胞癌(じんさいぼうがん)は、進行スピードが必ずしも早いとは限りません。 腎臓癌はどこの細胞が癌化したかによって、「腎細胞癌」と「腎盂癌(じんうがん)」の2種類に分けられます。(文献1) 癌化した細胞 特徴 腎細胞癌 腎実質の細胞 一般的に「腎臓癌」と呼ばれるのはこのタイプ 腎臓癌の多くを占める 腎盂癌(じんうがん) 尿管につながる「腎盂」にある細胞 尿管癌とまとめて治療されるケースが多い 腎細胞癌は、さらに14タイプに分かれ、なかでも「淡明細胞癌(たんめいさいぼうがん)」が約70%~85%を占めるとされています。 タイプによって進行スピードに差があるという報告もありますが、実際の進行スピードは癌のステージや本人の体調によってさまざまです。 一方、腎盂癌を含む尿路上皮にできる癌は、尿路全体にできたり再発をくり返したりしやすく、腎細胞癌とは治療方針も異なります。 自分の癌のタイプがわからない方は、今後の治療の見通しを正しく理解するためにも、次回の診察時に医師へ確認してみましょう。 なお、本記事では腎臓癌の多くを占める「腎細胞癌」を中心に解説します。 【進行度別】腎臓癌の症状 腎臓癌は、進行の度合いによって症状のあらわれ方が変わります。 進行度合い あらわれやすい症状 初期 ・多くが無症状 進行時 ・血尿 ・食欲不振 ・おなかのしこり 転移時・末期 ・痛み ・呼吸困難 詳しく解説します。 初期症状|多くが無症状 腎臓癌の初期段階では、ほとんどの場合で自覚症状がありません。(文献1) そのため、健康診断での画像検査や、ほかの病気の検査中に偶然発見されることが多い傾向です。 進行時の症状|血尿・食欲不振・おなかのしこり 腎臓癌が進行すると、腎臓や周りの組織が癌で圧迫されたり、癌が周囲の組織に侵入すること(浸潤:しんじゅん)で、さまざまな症状があらわれます。 代表的な症状は以下のとおりです。(文献1) 食欲不振 吐き気や便秘 おなかの痛み・しこり 背中や腰の痛み 血尿 足のむくみ 症状の出方には個人差があり「なんとなく体調が悪い」程度の変化しか感じない方もいます。 転移したとき・末期の症状|痛み・呼吸困難 腎臓癌がさらに進行してほかの臓器に転移すると、その転移先に応じた症状があらわれます。 腎臓癌はとくに「肺」への転移が多く、ほかにも骨、肝臓、副腎、脳などにも広がる恐れがあります。(文献1) 転移部位ごとの症状は、以下のとおりです。(文献2) 転移部位 あらわれやすい症状 肺 ・咳 ・血痰 ・呼吸困難 骨 ・骨の痛み ・骨折しやすさ 肝臓 ・おなかの張り ・だるさ ・黄疸 副腎 ・腹痛 ・血圧・血糖値の上昇 ・筋力低下 脳 ・頭痛 ・めまい ・けいれん このように、末期になると痛みや息苦しさ、だるさなど、自覚する症状が強くなる傾向です。 腎臓癌の治る確率を左右する「ステージ分類」と「5年生存率」 腎臓癌は進行の段階(ステージ)が1〜4に分類され、ステージが進むほど、治る確率(生存率)は低くなる傾向にあります。 よく使われるのが「5年生存率」という指標で、これは「癌と診断されてから5年後に生きている人の割合」のことです。 本記事では「ネット・サバイバル」と呼ばれる、純粋に癌そのものが原因で亡くなったかどうかに焦点をあてたデータをもとにしています。(文献3) 以下に、2014年〜2015年におけるステージごとの特徴と、5年生存率をまとめました。(文献3)(文献4)(文献5) 腎癌のステージ 特徴 5年生存率(ネット・サバイバル) ステージ1 癌が腎臓のなかにとどまり、大きさは7cm以下 94.9% ステージ2 癌はまだ腎臓のなかだが、7cmより大きい 87.9% ステージ3 癌が腎臓の外に広がっている(ただし腎臓を包む脂肪の膜は超えていない) 血管のなかに入り込んでいる 76.5% ステージ4 癌がほかの臓器に転移しているか、周りの臓器に直接広がっている 18.7% このように、早期に見つかれば見つかるほど、治療によって長く生きられる可能性が高くなります。 【進行ステージ別】腎臓癌の治療法 腎臓癌の治療法は、以下のように癌のステージによって異なります。 ステージ1・2|手術が基本 ステージ3|手術+リンパ節郭清/凍結療法 ステージ4|分子標的薬治療+手術+薬物療法、放射線治療 迷いや不安があるときは、医師としっかり話し合いながら納得のいく方針を立てて、治療を受けましょう。 ステージ1・2|手術が基本 進行が浅いステージ1・2では、手術による癌の切除が基本的な治療法です。 標準的には、腎臓をまるごと取り除く「腎摘出術」がおこなわれます。 癌が小さい場合や、腎機能を温存したい場合には、癌の影響が及んでいる部分だけ切除する「腎部分切除術」が適応される傾向です。 なお、癌の状態が落ち着いていて、積極的な治療が今すぐは必要ないと判断された場合、定期的な画像検査(CT・MRI・超音波など)で癌の変化を慎重に観察していく「監視療法」が選択されるケースもあります。(文献1) ステージ3|手術+リンパ節郭清/凍結療法 腎臓周囲の組織や血管に広がっているステージ3では、腎臓の摘出に加えてリンパ節郭清(りんぱせつかくせい)をおこないます。 リンパ節郭清とは、癌が広がる可能性のあるリンパ節を切除する治療です。 また、手術が難しい高齢者や持病のある方向けの選択肢として「凍結療法(がん組織を凍らせて壊す治療)」がおこなわれるケースもあります。(文献1) 細い針を癌に刺して冷却し、癌細胞を凍らせて壊す治療法で、身体への負担が比較的少ないのが特徴です。 ステージ4|分子標的薬治療+手術+薬物療法、放射線治療 腎臓以外への転移があるステージ4では、薬による治療(薬物療法)が中心です。 代表的な薬として「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」などがあり、癌の増殖を抑えたり、身体の免疫力を高めて癌と闘いやすくしたりする効果が期待されます。 分子標的薬:癌細胞の成長や血管をつくる仕組みなどをピンポイントで狙って抑える 免疫チェックポイント阻害薬:免疫の働きを邪魔しているブレーキを外して、本来の力で癌細胞を攻撃しやすくする また、腫瘍の大きさや出血・痛みなどの症状によって、病状の進行を遅らせる目的で手術や放射線治療、免疫療法が選択されることもあります。(文献5) 当院リペアセルクリニックでは「第4の癌治療」として注目される免疫療法を提供しています。 手術や薬物療法などの標準的な治療だけでは不安、自分に免疫療法が合うのか知っておきたいなどの方は、お気軽にオンラインカウンセリングやメール相談をご利用ください。 全ステージ|緩和ケア 「緩和ケア」と聞くと最期のときを過ごすためのケアだと思われがちですが、実際には癌と診断された段階から利用できる医療サポートです。(文献1) 身体的な痛みを和らげるのはもちろん、治療への不安、仕事やご家族のこと、将来への悩みなど、こころの面でも寄り添ってくれます。 医療チームや専門のスタッフと連携しながら、できる限り不安の少ない治療を続けるために重要なケアといえます。 腎臓癌の悪化・再発を防ぐ対策3選 腎臓癌は、治療後に再発する可能性がゼロではなく、治療中にも病状が進行してしまう場合もあります。 だからこそ、日々の生活習慣や身体の変化に注意を向け、再発や悪化の予防につなげていきましょう。 定期的に通院し検査を受ける 腎臓癌は、再発しても初期には自覚症状が出にくいことが多く、症状が出たときには進行しているケースも珍しくありません。 そのため、定期的なCT検査や超音波(エコー)検査、血液検査などでの早期発見が重要です。 国立がんセンターによると、腎臓癌は、治療後10年以上経過してからも再発を起こす可能性があるとされています。(文献1) 医師の指示にしたがって、決められたスケジュールで通院し、再発や転移を早い段階で見つけられる体制を整えておきましょう。 免疫力を高める生活を送る 癌の再発予防には、免疫力の維持・向上が重要と考えられています。 癌細胞は、私たちの身体のなかで日々発生していると考えられ、通常は免疫の働きによって癌細胞のような異常な細胞が排除されます。 しかし、免疫力が低下するとこの仕組みがうまくいかず、癌を発症するリスクが高まるとした意見があります。 そのため、以下のような免疫力を高める行動が、癌の再発予防につながると期待されているのです。 栄養バランスを意識した食事 1日7〜8時間程度の質の良い睡眠 ウォーキングやヨガなどの継続しやすい軽い運動 趣味の時間をもつ、ストレスをためない工夫 無理のない範囲で、医師と相談しながら取り組むのがポイントです。 なお、当院リペアセルクリニックでは、第4の治療法として注目されている免疫療法をおこなっています。 以下のページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 「自分の状態で受けられるのかな」「まずは話を聞いてみたい」と感じた方は、メール相談またはオンラインカウンセリングのご利用をおすすめします。 高血圧や糖尿病などの生活習慣病を防ぐ 高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、腎臓に負担をかけたり、癌の再発や予後に影響を及ぼしたりする可能性が指摘されています。(文献6)(文献7) 再治療が必要になった場合に、手術や薬物療法の選択肢に制限がでる可能性もあるため、以下のような日頃からの予防と管理が大切です。 塩分・脂肪を控えめにした食生活 よく噛む、食べる順番を意識するなど血糖値が急上昇しにくい食べ方 適度な運動で体重をコントロール 定期的な健康診断と血圧・血糖のチェック 無理のない範囲で、できることからで構いません。 体調や気分に合わせて、少しずつ生活習慣を見直しましょう。 腎臓癌の進行スピードは早いとは限らない!正しい知識をもって治療に臨もう 腎臓癌の進行スピードは個人差があり、一概に「早い」とは言い切れません。 ステージや身体の状態に合わせて適切な治療を受けることで、再発や悪化のリスクを抑えられます。 だからこそ大切なのは、正しい知識を持ち、信頼できる医療機関で自分に合った治療を選ぶことです。 リペアセルクリニックでは、癌治療に関するご相談や、免疫療法を含めた治療のご提案もおこなっています。 「まずは話を聞いてみたい」「今の治療に不安がある」などの方は、メール相談やオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 不安な気持ちを一人で抱え込まず、一緒に向き合っていきましょう。 腎臓癌の進行スピードにまつわるよくある質問 腎臓癌を女性が発症した場合、原因はストレスが多いですか? ストレスが腎臓癌の直接の原因とした科学的な根拠はありません。 ただし、ストレスが長く続くと生活習慣の乱れや免疫力の低下を引き起こし、肥満や高血圧などの腎臓癌のリスク因子を高める要因になる恐れがあります。 腎臓癌のリスクを高める主な要因は、以下のとおりです。(文献6)(文献8) 喫煙 肥満 慢性的な腎疾患 高血圧 そのため、ストレスケアや生活習慣の見直しは、腎臓癌の予防・再発リスクの軽減にもつながる大切なポイントといえるでしょう。 腎臓癌ステージ1の治療中です。再発率はどのくらいですか? ステージ1の腎臓癌のうち腫瘍の大きさが5〜6cmの場合、再発のリスクは約20〜30%とする報告があります。(文献9) なお、以下の要因は再発リスクに影響する可能性があるとされています。(文献10) 腫瘍の大きさ 症状の種類や程度 生活習慣病(とくに糖尿病) 治療が終わっても再発の可能性はあるため、定期的な検査が必要です。 CTやエコーなどの画像検査をとおして、すぐに対処できるような体制を整えておきましょう。 腎臓癌ステージ4で手術ができないと言われてしまいました。余命はどのくらいですか? 手術できない場合の余命は数カ月〜数年と個人差があるため、どのくらいとは断言できません。 ただし、最近は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、効果のある治療薬が増えており、進行していても長期的に病状をコントロールできるケースもあります。 医師と相談しながら、体力や生活の質を保ちつつ、納得のいく治療を続けることが大切です。 参考文献 (文献1) 腎臓がん(腎細胞がん)|国立がん研究センターがん情報サービス (文献2) 腎臓がんの種類と症状|東京女子医科大学病院 泌尿器科 (文献3) 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム|国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センター (文献4) 腎臓がん(腎細胞がん)治療|国立がん研究センターがん情報サービス (文献5) 腎癌 - 患者さんへ|岐阜大学大学院医学系研究科 泌尿器科 (文献6) Geographic variation of mutagenic exposures in kidney cancer genomes | Nature (文献7) Association of Dyslipidemia with Renal Cell Carcinoma:A1∶2Matched Case-Control Study|PMC (文献8) 腎臓がん(腎細胞がん)予防・検診|国立がん研究センターがん情報サービス (文献9) 各種がんの解説:腎細胞がん|日本赤十字社伊勢赤十字病院 (文献10) Validation of risk factors for recurrence of renal cell carcinoma: Results from a large single-institution series|PLOS One
2025.07.31 -
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「食べ物が原因でギランバレー症候群になるって本当?」 「どの食べ物がギランバレー症候群の原因になるのか知りたい」 身近な食べ物がギランバレー症候群の原因になっているかもと不安に感じる方もいるでしょう。 ギランバレー症候群は感染症をきっかけに発症する場合が多く、特定の食品に含まれる細菌が引き金となるケースもあります。なかでも、カンピロバクター感染症を引き起こす恐れがある加熱不十分な鶏肉や生の鶏肉、レバーなどには注意が必要です。 本記事では、医師の視点から原因となりうる食べ物について解説します。また、予防方法や治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ギランバレー症候群の後遺症にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ギランバレー症候群は食べ物のカンピロバクターが原因となりやすい ギランバレー症候群は、食べ物に含まれるカンピロバクター感染などをきっかけに発症することがある疾患です。 加熱不十分な鶏肉などから菌が体内に入ると、免疫が細菌を排除しようと働く過程で自己抗体をつくることがあります。 この自己抗体が末梢神経の構造と細菌の特徴を誤って同一と認識し、神経を攻撃することが症状発症の根底にあります。ごく少量の菌でも感染の可能性があり、しびれや筋力低下が急激に進む場合も少なくありません。 とくに短期間で症状が広がるときは重症化のリスクが高いため、異変を感じた場合は速やかな医療機関の受診が重要です。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物 ギランバレー症候群は、特定の食べ物に含まれる細菌が発症のきっかけになるケースがあります。とくに以下の食品などに注意が必要です。 生鶏肉料理(鳥刺し・鳥たたき・鶏肉ユッケなど) 加熱不足の肉料理 鶏レバー・牛レバー・ホルモン 未消毒の井戸水・湧き水 生鶏肉料理(鳥刺し・鳥たたき・鶏肉ユッケなど) 生の鶏肉を使った料理は、カンピロバクター菌が潜んでいる可能性が非常に高いといわれており、代表的な料理は以下のとおりです。 鳥刺し 鳥たたき 鶏肉ユッケ 日本には鳥刺しやたたきといった生食文化が根付いていますが、生鶏肉にはカンピロバクター菌が潜んでいる場合があります。 カンピロバクター菌は少量でも食中毒を引き起こす力をもっており、感染後に人体の免疫が神経に障害を加えると、ギランバレー症候群へ発展する可能性が指摘されています。 細菌に汚染された食品は味やにおいで見分けるのは難しく、新鮮に見える食材でも、十分加熱されていなければ細菌は死滅しません。 生の鶏肉を使った料理は、カンピロバクター感染症を起こすリスクがあるため、口にしないように注意しましょう。 加熱不足の肉料理 加熱不足の肉料理は、ギランバレー症候群のリスクを高めます。鶏肉だけでなく牛肉や豚肉でも十分に中心まで火が通っていない場合、細菌感染の危険性があります。 調理の際は、目で色を確認するだけでなく、中心温度が75℃以上になっているかを必ず確認しましょう。 火が十分に通っていない肉を食べると、感染症を介して免疫が神経を攻撃するリスクが高まり、発症につながる可能性があります。 鶏レバー・牛レバー・ホルモン 鶏レバーや牛レバー、ホルモンは、加熱不足で食べるとギランバレー症候群の発症リスクを高めます。 とくに鶏レバーはカンピロバクターが検出されやすく、中心部まで火を通さないと感染の危険性があります。 牛レバーも生食は法律で禁止されており、ホルモンも内部までの加熱が重要です。安全に食べるためには、中心温度までしっかり加熱する調理が欠かせません。 未消毒の井戸水・湧き水 ギランバレー症候群の発症には、未消毒の井戸水や湧き水も潜在的な感染リスクとして注意が必要です。 これらの水源には目に見えない細菌が存在し、感染すると自己免疫反応を引き起こす可能性があります。 カンピロバクターなどが含まれている場合、少量の摂取でも発症につながるケースが報告されており、加熱や消毒をしていない状態での使用はとくに危険です。 ギランバレー症候群を予防するための調理・食事のポイント ギランバレー症候群の発症リスクを減らすためには、以下のような食品の加熱や手洗いなど日常的な衛生管理が重要です。 鶏肉は中心を75℃以上で1分以上しっかり加熱する 生肉と調理済み食品の器具を分けて使う 生肉を触ったら石けんと水で手をよく洗う 井戸水や湧き水は煮沸してから使う 鶏肉は中心を75℃以上で1分以上しっかり加熱する 鶏肉は中心部までしっかり加熱することが、ギランバレー症候群など感染症の予防において最も基本的なポイントです。 75℃以上で1分以上の加熱で、カンピロバクター菌やサルモネラ菌などの病原菌を確実に死滅させられます。 見た目だけでは十分に火が通っているか判断できず、少量でも発症リスクが高まるため、調理時には温度計で中心温度を確認することが重要です。 加熱不足の鶏肉は、少量でも感染リスクを高めるため、とくに免疫力が低い方は慎重な調理が必要です。 生肉と調理済み食品の器具を分けて使う ギランバレー症候群を防ぐためには、生肉と調理済み食品で使用する器具を必ず分けることが重要です。 まな板や包丁を共通で使うと、加熱済みの食品にも生肉由来の細菌が付着し、思わぬ感染の原因となる場合があります。 とくにカンピロバクター菌はごくわずかな量でも感染リスクを高めるため、注意が必要です。生肉専用の器具を用意するだけでなく、使用後には石けんや洗剤で十分に洗浄し、必要に応じて熱湯や消毒液で消毒する習慣を徹底すると安心です。 こうした工夫を日常的に取り入れることで、家庭内での食中毒リスクやギランバレー症候群の発症リスクを大幅に抑えられます。 生肉を触ったら石けんと水で手をよく洗う 生肉を扱った後は、必ず石けんと流水で手を十分に洗うことが、ギランバレー症候群の原因となる感染症予防の基本です。 生肉にはカンピロバクター菌が付着している場合があり、わずかな量でも体内に入ると発症リスクが高まります。そのため、手のひらだけでなく爪の間や手首まで丁寧に洗うことが重要です。 また、洗浄後は清潔なタオルやペーパータオルで水分を拭き取り、調理器具や食材に菌を移さないよう注意しましょう。さらに、家族や同居人に感染を広げないためにも、手洗いの習慣を徹底すると安心です。 井戸水や湧き水は煮沸してから使う 井戸水や湧き水は、カンピロバクター菌やその他の病原菌が含まれている場合があり、未処理のまま使用するとギランバレー症候群の原因になる可能性があります。 とくに、調理や飲用にそのまま使うと、わずかな菌でも感染リスクを高めるため注意が必要です。そのため、利用する前には必ず十分に煮沸して安全性を確保することが重要です。 煮沸により菌は死滅し、料理や飲料に安心して使用できます。井戸水や湧き水を日常的に使う場合は、煮沸を習慣化することが安全性を維持するポイントです。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物を理解し健全な食生活を送ろう ギランバレー症候群は、鶏肉やレバーなどに付着するカンピロバクター菌による感染が発症の引き金となることがあります。 予防には、中心までしっかり加熱するなどの食中毒対策が重要です。発症後は早期治療が進行防止の鍵ですが、回復後に残る筋力低下やしびれは生活の質に影響を与える場合があります。 当院「リペアセルクリニック」では、こうしたギランバレー症候群発症後の症状に対して再生医療の可能性を踏まえ、個別サポートを提供しています。 当院の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ギランバレー症候群の後遺症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物に関するよくある質問 ギランバレー症候群の原因となる食品について、よくある疑問や注意点をまとめて解説します。 カンピロバクターは冷凍すれば安全ですか? 外食でもカンピロバクターに注意は必要ですか? ギランバレー症候群は卵が原因になることはありますか? ギランバレー症候群の原因となる食べ物にパンは該当しますか? 食べ物が原因でカンピロバクターへ感染した場合の初期症状は? カンピロバクターは冷凍すれば安全ですか? カンピロバクターは冷凍しても死滅せず、安全対策としては十分ではありません。冷凍はあくまで菌の増殖を抑えるだけであり、解凍後も生き残った菌が体内に入ると感染につながる恐れがあります。 そのため、鶏肉や内臓を扱う際は冷凍状態に頼らず、中心部までしっかり加熱することが重要です。とくに家庭調理では加熱温度が不十分になりやすいため、火通りの確認を徹底すると安心です。 外食でもカンピロバクターに注意は必要ですか? 外食でもカンピロバクターへの注意は欠かせません。生食や半生状態で提供される鶏肉やレバーは、加熱が不十分だと菌が残りやすく、感染の原因となる場合があります。 とくに居酒屋や焼き鳥店などではレア調理を提供する店舗もあるため、注文時にしっかり火が通っているかを確認する姿勢が重要です。 また、提供までの衛生管理状況は店によって差があるため、安全性を意識してメニューを選ぶと安心です。 ギランバレー症候群は卵が原因になることはありますか? 卵がギランバレー症候群の原因となる可能性は極めて低いと考えられています。卵の殻に菌が付着していたとしても、殻の表面は乾燥しており、乾燥に弱いカンピロバクター菌は死滅しているからです。 ただし、卵で問題となりやすい食中毒菌に「サルモネラ菌」があり、食中毒を引き起こす可能性があります。 サルモネラ食中毒を防ぐ観点からは、ひび割れた卵の使用を避け、生で食べる際は賞味期限内の新鮮な卵を選び、調理後は早めに食べるといった基本的な注意は引き続き重要です。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物にパンは該当しますか? パン自体は、ギランバレー症候群の原因になりません。パンの原料である小麦粉や酵母に原因菌が潜んでいる症例はなく、万が一細菌が付着しても高温で焼き上げる製造過程で死滅するため、パン自体は非常に安全な食べ物といえます。 ただし、パンを使った料理のなかでも、サンドイッチや惣菜パンなどの「具材」には注意してください。パンがギランバレー症候群を引き起こす具体例は以下のとおりです。 具材として使用されたチキンが加熱不十分だった 生肉を扱った手や調理器具でパンに触れてしまった 実際、加熱不足の鶏肉や、調理中の2次汚染によりカンピロバクターに感染するリスクはあります。問題の本質はパンではなく、あくまで原因菌に汚染された食材との接触です。パンは安全ですが、何を挟むか、どのように調理するかが重要だと理解しましょう。 食べ物が原因でカンピロバクターへ感染した場合の初期症状は? 食べ物が原因でのカンピロバクター感染の初期症状は、以下の通りです。 発熱 吐き気 嘔吐 腹痛 下痢 発症は通常、まず発熱や吐き気、嘔吐などの症状から始まり、数時間後に腹痛や下痢が現れます。軽症の場合は自然に落ち着くこともありますが、水分補給を怠ると脱水のリスクが高まるため注意が必要です。
2025.07.31 -
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「喫煙と高血圧は関係しているのか」「喫煙者が血圧を下げる方法を知りたい」 上記のように、喫煙と高血圧は関係しているのか気になっている方もいるでしょう。喫煙は高血圧をはじめ、脳卒中や高血圧網膜症などに大きく関わっています。 本記事では、喫煙と高血圧の関係について詳しく解説します。喫煙者が血圧を下げる方法や、禁煙によって得られる効果も紹介しているので、高血圧に悩んでいる喫煙者はぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 高血圧に関わる脳卒中の予防などについて興味がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 喫煙によって引き起こされやすい高血圧とは? 高血圧とは、血圧が平均値よりも高すぎる状態が続く病気です。喫煙や肥満など原因が判明しているにも関わらず、高血圧を放置していると、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。 ここでは、喫煙によって引き起こされやすい高血圧症の種類について紹介します。 本態性高血圧症 本態性高血圧症は、高血圧全体の約9割を占めるといわれる、原因を特定できないタイプの高血圧です。遺伝的要因をはじめとし、以下のような要因が複雑に絡み合い、高血圧症を発症すると考えられています。 喫煙 過度の飲酒 塩分の摂りすぎ 肥満 運動不足 ストレス 喫煙習慣がある方は、タバコに含まれるニコチンや有害物質が血管にダメージを与え、自律神経に作用するため、血圧が上昇しやすい状態になります。本態性高血圧症は明確な原因がなく、喫煙をはじめとした生活習慣の改善が予防につながります。 二次性高血圧症 二次性高血圧症は、特定の病気や薬剤が原因で引き起こされる高血圧です。高血圧の1〜2割が二次性高血圧症に当てはまると考えられています。主に腎臓病や内分泌系の病気、睡眠時無呼吸症候群などが代表的な原因としてあげられます。一部の薬の副作用によって血圧が上昇するケースもあるでしょう。 二次性高血圧症に関しては、喫煙は直接的な原因よりも、基礎疾患が悪化するリスクを高めたり、血管への負担を増やしたりする要因となり得ます。喫煙は腎臓病のリスクを上げるため、結果的に二次性高血圧症の発症や悪化につながる可能性も否定できません。 高血圧症の原因となっている病気を治療したり、服用している薬を見直したりすると、血圧が改善する可能性があります。 喫煙をはじめとした本態性高血圧症の原因 高血圧のほとんどを占める本態性高血圧症は、特定の病気が原因となる二次性高血圧症とは異なり、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。とくに、日常生活における習慣が大きく影響しており、生活習慣病とも呼ばれているため、不摂生な生活をしている人は注意が必要です。 ここでは、喫煙をはじめとした本態性高血圧症の原因を詳しく見ていきましょう。 喫煙や飲酒 喫煙は、血圧を上げる生活習慣の1つです。タバコに含まれるニコチンは、血管を一時的に収縮させ、心拍数を増加させることで血圧を急上昇させます。一酸化炭素は血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を促進します。長期的な喫煙は、血管の柔軟性を奪い、高血圧を慢性化させる原因になるため、注意が必要です。 また、適度な飲酒は血圧に良い影響を与える説もありますが、過度な飲酒は血圧を上昇させることが明らかになっています。 アルコールを分解する際に生成される物質が血管を収縮させたり、利尿作用によって脱水を起こしたりすると、血圧上昇につながると考えられています。 食生活や運動不足 食生活や運動不足も血圧に影響を与えます。とくに塩分の過剰摂取は、体内の水分量を増やし、血管にかかる圧力を高めるため、血圧上昇の大きな原因となります。 加工食品や外食が多い方は、塩分過多になりやすいため注意が必要です。カリウムや食物繊維が豊富な野菜や果物を摂り、バランスの取れた食事を意識しましょう。 また、運動不足も血圧上昇のリスクを高めます。体を動かさないと、血液の循環が悪くなり、心肺機能も低下します。定期的な運動は、血管を柔軟に保ち、血流の改善を期待できるため血圧管理には欠かせません。適度な有酸素運動を習慣にすると、血圧の安定につながります。 肥満 肥満も高血圧を引き起こす原因です。なかでも内臓脂肪の蓄積は、血圧を上げるホルモンの分泌を促したり、インスリンの働きを悪くして血糖値を上昇させたりするなど、さまざまな形で血圧に悪影響を及ぼします。 体重が増えるほど、全身に血液を送る心臓の負担が大きくなり、必然的に血圧も高くなりがちです。肥満を解消するために、バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることで、体重を減らしながら血圧を下げる効果が期待できます。 ストレス 現代社会において避けられないストレスも、高血圧の一因となり得るでしょう。強いストレスを感じると、体は交感神経を優位にし、アドレナリンなどのホルモンを分泌します。アドレナリンなどのホルモンは、一時的に血管を収縮させ、心拍数を上げる作用があるため、血圧が上昇します。 慢性的なストレスは、血管に負担をかけ続け、高血圧を招く可能性があるため注意が必要です。十分な睡眠を取ったり趣味の時間を持ったりなど、リラックスできる方法を見つけ、ストレスを適切に管理するのが血圧を安定させる上で大切です。 遺伝的要素 本態性高血圧症は、遺伝的な要素も関わっているといわれています。両親や祖父母に高血圧の方がいる場合、自身も高血圧になるリスクが高い傾向にあります。 しかし、遺伝的要素があるからといって、必ずしも高血圧になるわけではありません。遺伝的リスクを持っている方は、喫煙や食生活、肥満、ストレスなど生活習慣因子に注意を払い、健康的な生活を心がけることが大切です。定期的な健康診断で血圧をチェックし、早期発見・早期対応に努めましょう。 喫煙者がタバコをやめることで起こる血圧の変化 高血圧に悩んでいる喫煙者は、まず禁煙を検討しましょう。高血圧はさまざまな要因が絡み合うことで発症するため、思い当たる原因から取り除くことが大切です。 喫煙者がタバコをやめることで起こる血圧の変化を見ていきましょう。 短期的な変化 禁煙がもたらす血圧の変化として、禁煙後20分でニコチンの刺激作用が減少すると心拍数と血圧が低下します。12時間後には血中の一酸化炭素レベルが通常値に戻り、24時間後には心臓発作のリスクがわずかではありますが、低下します。 ただし、一時的に禁煙直後の数日間は、血圧が上がる可能性があります。禁煙によるストレスや禁断症状による一時的な症状のため、通常は数日から数週間で安定するため過度に心配する必要はありません。 長期的な変化 禁煙を続けることで、血圧は安定し、健康リスクを大幅に減らせます。禁煙後、約2週間で血管内皮細胞の機能が改善し始め、血管拡張能が向上します。交感神経や副交感神経のバランスも変化し、心拍変動性が増加するのも特徴です。 【注意】高血圧の方が喫煙すると心血管疾患のリスクも高まる 高血圧の方が喫煙を続けることは、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の発症リスクを高めるため注意が必要です。喫煙は、血圧を上げる直接的な要因であるだけでなく血管そのものに深刻なダメージを与えます。 タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を一時的に上昇させてしまうのです。一酸化炭素は血液中の酸素運搬能力を低下させ、心臓に余計な負担をかけます。慢性的な高血圧と結びつくことで血管の壁が傷つきやすくなり、動脈硬化の進行を加速させてしまうのです。 動脈硬化が進行すると血管は硬く狭くなり、血液の流れが悪くなります。その結果、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性が高まってしまうでしょう。 喫煙者におすすめな血圧を下げるための対策 高血圧と診断された喫煙者は、禁煙をはじめとした対策を取りましょう。高血圧を放置すると重篤な病気を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。禁煙のほか食生活や運動不足の改善など実践できることは多くあります。 ここでは、喫煙者におすすめな血圧を下げるための対策を見ていきましょう。 禁煙する 喫煙者が血圧を下げるために重要かつ効果的な対策は禁煙です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を一時的に上昇させるうえ、一酸化炭素は血管にダメージを与え動脈硬化を促進します。 禁煙により心拍数と血圧が低下し始め、数カ月後には血管の機能が改善し、長期的には非喫煙者と同レベルまで血圧が安定する可能性があります。 禁煙は決して簡単なことではありませんが、禁煙外来の利用やニコチン代替療法など、さまざまなサポートがあります。1人で禁煙するのが難しい方は、専門家のサポートを受け、禁煙をはじめましょう。 飲酒や減塩など食生活に気を配る 血圧を下げるには、食生活の見直しも必要です。飲酒をする方は、まず飲酒量を控えることから始めましょう。過度なアルコール摂取は血圧を上昇させる原因となります。 もし飲酒をしたい場合は、適量を守るか休肝日を設けるなどして、アルコールの摂取量を減らしましょう。 また食事を作る際は、減塩を意識するのも大切です。加工食品や外食が多い方は塩分過多になりやすいため、塩分量を減らすよう意識しましょう。出汁を効かせたり、香辛料やハーブを使ったりして、薄味でも美味しく食べられる工夫をするのがおすすめです。 適度な運動をする 血圧を下げるには、適度な運動を習慣にするのも大切です。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を無理のない範囲で30分程度、週に数回行いましょう。 運動はストレス解消にもつながり、体重管理にも役立つため、さまざまな方面から血圧の安定に貢献します。急に激しい運動を始めるのではなく、少し体を動かす習慣を取り入れることから始めてみましょう。一駅分歩いたり階段を使ったりなどの小さな運動でも、血圧に良い影響をもたらします。 ストレスを溜めないようリフレッシュする 高血圧に悩んでいる方は、ストレスを適切に管理し、溜め込まないようにリフレッシュしましょう。趣味に没頭したり、友人や家族と会話を楽しんだりなど自分に合ったリフレッシュ方法を見つけるのがおすすめです。 また質の良い十分な睡眠をとることも、ストレス軽減と血圧の安定には欠かせません。ストレスを溜め込まず、心穏やかに過ごせる時間を作ることで、血圧のコントロールにも良い影響を与えられます。 【喫煙者向け】高血圧に関する疾患でお悩みの方は再生医療をご検討ください 高血圧に関する疾患で悩んでいる喫煙者は、従来の治療方法だけでなく再生医療といった選択肢もあります。再生医療とは、自身の細胞や血液を利用した治療方法です。 自己細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応を起こしづらい傾向にあります。 リペアセルクリニックでは、疾患・免疫・美容などすべての分野で再生医療を提供しています。脳卒中や糖尿病、高血圧網膜症など高血圧が原因で引き起こされる疾患に悩んでいる方は、ぜひリペアセルクリニックの再生医療をご検討ください。 喫煙は血圧を上昇させる!禁煙を心がけよう 高血圧は喫煙をはじめ、食生活や肥満、ストレスなどさまざまな原因が絡み合うことで発症します。なかでも喫煙は、血圧を上昇させるだけでなく、脳卒中や糖尿病、高血圧網膜症などのリスクも高めるため注意が必要です。高血圧に悩んでいる喫煙者は、禁煙を検討しましょう。 また禁煙以外にも、減塩を意識した食事や適度な運動も高血圧の改善に期待できます。生活習慣を改善し、高血圧の改善を意識しましょう。
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