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高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説します! 高血圧は世界中で数多くの人々が罹患している疾患です 。この病気は、しばしば「サイレントキラー」と呼ばれています。 高血圧自体では症状がほとんどないにもかかわらず、心臓病や脳卒中など、命に関わる病気のリスクを高めるからです。高血圧とストレスの関係は、多くの研究で注目されており、これら二つの間には密接なつながりがあることがわかっています。 本記事では、ストレスと高血圧の関係を深く掘り下げ、予防や改善のために役立つポイントを解説していきます。 高血圧とは何か 高血圧は、血液が血管壁にかかる圧力が通常よりも高い状態を指します。この状態が継続すると、心臓や血管に過剰な負担がかかり、心臓病、脳卒中、腎臓病などの重大な健康問題のリスクが高まります。 血圧は「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の二つの数値で表されます。 収縮期血圧(上の数値)は、心臓が収縮して血液を体中に送り出す際の圧力です。拡張期血圧(下の数値)は、心臓が次の収縮に備えて血液で満たされる際の圧力です。 通常、成人の正常な血圧は収縮期が120mmHg未満、拡張期が80mmHg未満とされています。一方、高血圧は、収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上である状態を指します。 引用) 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p18 血圧は、測定する場所によって以下のように分けられています。 診察室血圧 医療機関で医療従事者が測定する血圧です。 この環境で高い血圧を示す人は、白衣高血圧の可能性があります。 白衣高血圧は、医療機関での血圧測定時にのみ高血圧の値が出る状態を指します。家庭での測定や、24時間血圧モニタリングでは正常範囲内の血圧値を示すにも関わらず、医療機関で測定すると血圧が上昇する現象です。この現象は、医療環境に対する不安や緊張が原因で起こります。 白衣高血圧自体が直接的な健康リスクを示すわけではありませんが、一部の研究では、白衣高血圧の人が将来的に持続的な高血圧(本態性高血圧)を発症するリスクが高まる可能性が指摘されています。 したがって、白衣高血圧の診断を受けた場合でも、定期的な血圧のモニタリングと、必要に応じたライフスタイルの見直しが推奨されます。 家庭血圧 患者自身が自宅で測定する血圧です。 日常生活における血圧の変動をより正確に把握できる方法とされています。 24時間血圧モニタリング(ABPM: Ambulatory Blood Pressure Monitoring) 24時間持続的に血圧を測定する方法で、患者が通常の日常生活を送りながら測定します。 昼夜の血圧の変動や、睡眠中の血圧を含めた全体的な血圧コントロール状態を評価するのに有用です。 高血圧2つのタイプと原因 高血圧には二つの主なタイプがあります。「一次性高血圧」(原因不明の高血圧)と「二次性高血圧」(特定の原因による高血圧)です。 一次性高血圧 ほとんどの高血圧はこのタイプに該当し、明確な原因は特定されていませんが、遺伝、食生活、生活習慣など複数の要因が関連していると考えられています。 二次性高血圧 何らかの病気や状況が原因で血圧が高くなるケースです。腎臓病、内分泌異常、特定の薬剤の使用などが原因で起こります。 高血圧のリスク要因として考えられること 高血圧のリスクを高める要因には、以下のようなものがあります。 ①年齢 加齢とともに血圧は高くなる傾向にあります。 ③性別 年齢によっては、 男性の方が女性より 高血圧になりやすい時期があります。 ③家族歴 高血圧の方が家族に多い場合、遺伝的要因が関係している可能性があります。 ④不健康な生活習慣 不健康な食事(特に塩分の過剰摂取)、運動不足、肥満、過度のアルコール摂取、喫煙などが高血圧のリスクを高めます。 ⑤ストレス ストレスと緊張も高血圧のリスクを高める重要な因子です。 なぜストレスがかかると血圧が上昇するのか? さて、血圧が上がる原因の一つに、ストレスがあると述べました。 ストレスは、私たちの身体に多方面から影響を及ぼします。その影響の一つとして、身体の自律神経系を活性化させることで心拍数と血圧を一時的に上昇させることが知られています。 これは、身体が直面した脅威に対処するための「戦うか逃げるか」の反応として機能し、短期間であれば自然な生理現象とみなされます。しかし、この反応は短期的なものに留まらず、ストレスが慢性化すると、高血圧を引き起こす原因となり得ます。 慢性的なストレスは、心拍数と血圧の持続的な上昇を引き起こし、高血圧につながる恐れがあります。加えて、ストレスが多い環境にいると、健康に良くない食生活や運動不足など、高血圧につながる他のリスク要因が増えがちです 。 不健康な生活習慣は、さらに血圧に悪影響を及ぼし、悪循環を生むことになります。 ストレスは交感神経を刺激し、一時的な心拍数と血圧の上昇を引き起こすだけでなく、長期間にわたるストレスの影響で高血圧症を引き起こす可能性があることが分かります。 そして、慢性的なストレスが不健康な生活習慣へと導くこともあり、さらに血圧に悪影響を及ぼす可能性があるのです。したがって、ストレス管理は血圧コントロールの観点からも非常に重要であると言えます。 高血圧を引き起こす主なストレス源 職場や家庭内でのストレスは、高血圧の主な原因の一つとして広く認識されています。 職場での過剰な負担や、期限の迫ったプロジェクト、職場内での対人関係の問題などが、ストレスレベルを高める主な要因となるのです。これらのストレスは、交感神経系を刺激し、心拍数の増加や血管の狭窄を引き起こし、結果的に血圧を上昇させる可能性があります。 家庭環境も、ストレスの大きな源となり得ます。家族間の不和、経済的な問題、子育てや介護などの責任は、個人のストレスレベルを大幅に高めることがあります。家庭内でのストレスは、しばしば外部には見えにくいため、解決されずに長期化することがあります。 このようなストレス状態が続くと、心身の健康に悪影響を及ぼします。特に血圧に関しては、その数値を大幅に高めるリスクになります。 さらに、職場と家庭の双方からのストレスは、不健康な生活習慣につながってしまうことがあります。過剰なストレスは、不安や抑うつといった精神的な問題を引き起こすことがあり、これが不健康な食事、運動不足、過度のアルコール摂取や喫煙など、高血圧に直結する生活習慣へつながるのです。 したがって、職場や家庭内でのストレス管理は、血圧を健康的なレベルに保つために、 極めて重要です。 血圧測定時にストレスの影響で血圧は変動するのか 病院や自宅で測定した血圧が正常でも、職場や家庭のストレスにさらされている昼間の時間帯の血圧が高くなることがあります。具体的には、135/85mm/Hg以上の場合、昼間高血圧と定義されています。 精神的・身体的なストレスは血圧に影響を与えることが知られています。 健康診断の際や病院での血圧は正常でも、ストレス状況にある職場で測定した血圧が高い「職場高血圧」は、肥満の方や高血圧の方が家族にいる方に多いという特徴があります。 高血圧の治療 -生活指導や薬物療法 - 高血圧治療は、患者のライフスタイルの見直しと薬物療法を組み合わせていきます。 ①ライフスタイルの改善 高血圧治療においては、生活習慣の改善が重要となります。例えば、食生活、運動習慣、禁煙、ストレス管理など、日々の生活習慣を見直していきます。 具体的には、塩分の過剰摂取を避け、果物や野菜を豊富に含むバランスの取れた食事を心がけ、規則正しい運動を行うことが推奨されます。 具体的な食塩摂取量は、「健康日本21(第三次) 」の目標値では7g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。 成人男性・・・7.5g未満 成人女性・・・6.5g未満 また、日本高血圧学会では、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることが勧められています。 禁煙や適度なアルコール摂取、良好な睡眠習慣、効果的なストレスマネジメントが血圧管理に役立ちます。 ②薬物療法 生活習慣の改善だけでは血圧がコントロールできない場合、薬物療法が検討されます。 血圧降下薬には、ACE阻害薬、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、βブロッカーなどがあります。 患者の状態や既往症などを医師が総合的に判断することによって、こうした薬剤は個別に処方されます。 ストレスによる高血圧の予防法 - 生活習慣の改善 - 上記で述べたように、ストレスは高血圧と深い関係があります。そこで、ストレスに上手く対処することが血圧の上昇を防ぐために重要となります。 ここでは、ストレスへの対処法と改善策を詳しくご紹介します。 規則正しい運動 軽い有酸素運動は、ストレスを軽減し、血圧を低下させるのに役立ちます。週に数回、歩行やジョギング、水泳などを行うことをお勧めします。 バランスの取れた食事 塩分の摂取量を控えめにし、果物、野菜、全粒穀物を豊富に含む食事を心掛けてください。これらは血圧を健康的なレベルに保つのに役立ちます。 十分な睡眠 良質な睡眠はストレスレベルを低下させることができます。毎晩7〜8時間の睡眠を目指しましょう。 禁煙と節度ある飲酒 喫煙と過度の飲酒は血圧に悪影響を及ぼします。これらの習慣を控えることで、血圧の管理に役立ちます。 深呼吸や瞑想 深呼吸や瞑想は、ストレスを感じたときに交感神経の活動を鎮め、リラックス効果を促進します。日常生活にこれらの練習を取り入れることで、ストレスレベルを下げることができます。 趣味や興味の追求 好きな活動や趣味に時間を割くことで、心のリフレッシュが可能となり、ストレス軽減につながります。 社会的サポート 友人や家族との良好な関係は、ストレスの軽減に非常に重要です。信頼できる人と感情を共有することで、ストレスを効果的に管理できます。 ストレスに上手く対処することが、血圧の上昇を防ぐために重要です。日常生活にぜひ取り入れてみましょう。 まとめ・高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説! 高血圧とストレスは、現代社会において無視できない健康問題です。しかし、適切なストレス管理、健康的な生活習慣、そして必要に応じて医療機関を受診し、治療を受けることによって、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。 生活の中で意識的にリラックスする時間を作り、バランスの取れた食事と定期的な運動を心がけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.1 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p18 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p15 高血圧:診断と治療の進歩 トピックスI.診断と病態 1.本態性高血圧の成因.日本内科学会雑誌.2007;96(1):4-8. 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p21 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p22 健康日本21(第三次) 厚生労働省 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針 p28 ▼こちらもあわせてお読みください。
最終更新日:2024.07.23 -
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関節リウマチと膝の関節炎!症状と治療について医師が解説 関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも非常に多い症状の1つです。膝が痛いときは、変形性膝関節症で年のせいと思うかもしれませんが、もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 関節炎、関節リウマチとは 関節炎とは様々な原因で関節に炎症を起こしている状態の総称であり、関節リウマチは関節炎を起こす病気の1つです。 関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こり、痛みや腫れを起こしてしまいます。関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形したり、痛みだすなど、機能的な障害をきたしてしまいます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40-60歳代ごろの中高年の女性に発症します。正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患と考えられており、自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜という組織にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られることが原因と考えられています。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。また、膝関節で滑膜が増殖して、炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は、膝が腫れる、膝に水が溜まる、歩く時や階段での痛み、膝が曲がらないなどです。膝の痛みは膝裏に起こることが多く、曲げ伸ばしの時に音が生じることもあります。 また、炎症が強い場合には安静にしていても激痛を感じたり、歩けないくらいの痛みを生じる場合もあります。 膝関節炎、放っておくとどうなる? 膝関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまい、徐々に関節の変形が進んでいきます。その結果、徐々に膝の曲げ伸ばしが難しくなり、骨同士がぶつかることによって痛みが悪化してしまいます。関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。これは関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。そのため、関節リウマチの診断基準を使用して診断を行います。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用することが一般的です。 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 ①症状がある関節の数 ②症状が続いている期間 ③血液検査での炎症反応の数値 ④血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。しかし、両方とも陰性でも関節リウマチである場合や、陽性でも関節リウマチではない場合もあります。また、炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇することがあります。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では骨びらんという、骨の透亮像がみられる場合があります。また関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 治療の基本は、薬物治療です。リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始します。また、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 お薬を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をする方法があります。しかし、膝関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合には、人工関節置換術などの手術治療が行われます。 抗リウマチ薬の種類 抗リウマチ薬には複数の種類があります、日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を紹介します。 第一段階ではメトトレキサートが推奨されます。世界中で使用されている薬剤で有効性が高いことから関節リウマチ治療の第一選択となっています。 メトトレキサートに複数の抗リウマチ薬を併用しても炎症が治らない場合には第二段階の治療として、生物学的製剤やJAK阻害薬というお薬が使用されます。バイオテクノロジーを用いて製造されたお薬で、非常に効果が高いのですが、同時に自己免疫を抑える作用があるため、専門医に処方してもらうことが必要です。 抗リウマチ薬 ・メトトレキサート ・生物学的製剤 ・JAK阻害薬 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者さんも多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっており、効果が高いお薬もあるため、適切に治療することで症状を抑えることが可能になってきています。 まとめ・関節リウマチと膝の関節炎!症状と治療について医師が解説 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。しかし、早期発見と適切な治療を行うことで、症状の進行を抑え、生活の質を維持することが可能です。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用います。特に、リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 治療の中心は薬物療法です。メトトレキサートをはじめとする抗リウマチ薬や、症状に応じたステロイド、鎮痛薬が用いられます。これらの薬剤によって炎症を抑えることで、関節の損傷を防ぐことができます。症状が重い場合や薬物療法が効果を示さない場合には、人工関節置換術などの外科的治療が検討されることもあります。 関節リウマチの治療は、専門医の指導のもとで継続的に行うことが重要です。 自己判断で治療を中断したり、放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。また、日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れることが大切です。 関節リウマチによって膝関節炎が起きている場合は、放置してしまうと関節の変形、破壊が進行してしまい、人工関節手術が必要になることもあります。そのため、早期に発見、治療することが大事な病気です。 最後に、関節リウマチは生活習慣や環境要因とも関連しているため、喫煙や不規則な生活を避け、バランスの取れた食事やストレス管理を心がけることもが大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。 No.S151 監修:医師 加藤 秀一 ▼関節リウマチについて以下も参考にされませんか 関節リウマチしてはいけないこと
最終更新日:2024.05.20 -
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関節リウマチになったらやってはいけないことはある? 関節リウマチで食べてはいけないものは? 関節リウマチかもしれないと思ったらどうすれば良い? 関節リウマチの症状を改善したくて、日常生活で何に気をつければ良いか知りたいと考えていませんか? 痛みやこわばりでつらい思いをしないで済むよう、できることがあるならやっておきたいですよね。 結論、関節リウマチとうまく付き合うために日常生活の中で避けてほしいことがあります。 本記事では、関節リウマチの患者様が避けるべき10項目を紹介します。 最後まで読んで、注意点を守っていただければ関節リウマチの症状で苦しむ時間を減らせるはずですよ。 関節リウマチのしてはいけない10項目を紹介 関節リウマチの患者様がしてはいけない10項目は以下の通りです。 症状を悪化させる食事 激しい運動 体や関節を冷やす 首に負担をかける行動 肥満の状態 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙する ストレスを溜める 症状を悪化させないために、紹介した10項目を避けるよう心がけてみてください。 症状を悪化させる食事【砂糖や加工食品は要注意】 関節リウマチの症状を悪化させる可能性がある食べものとして、以下があります。 砂糖入りの飲みもの・デザート 赤身の肉 加工食品 また、不飽和脂肪酸のn-3系とn-6系の摂取するバランスが崩れることも関節リウマチの痛みと関わっているので、バランスの良い食事を意識することが大切です。 以下に根拠となる研究をご紹介します。 【砂糖入りの飲みもの・デザート】 砂糖入りの飲みものは、以下2つの研究から関節リウマチの悪化因子であり、発症リスクを高める因子でもあることが報告されています。同時にデザートもリウマチの悪化因子だと報告があるので、注意が必要です。 文献1 217人の関節リウマチ患者を対象とした、自己申告による研究があります。20種類の食品のうち、最も関節リウマチの症状が悪化したと報告されたのは砂糖入りの炭酸飲料とデザートでした。 文献2 アメリカの約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、砂糖入り炭酸飲料と関節リウマチの発症リスクの関連性を評価しています。毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%高いことがわかりました。 【赤身の肉】 関節リウマチを悪化させる可能性がある食べものとして赤身肉の報告があります。 文献1 217人の関節リウマチを有する患者を対象とした研究において「赤身肉を食べると関節リウマチの症状が悪化する」と報告した人の割合は、20種類の食品の中では高い方でした。 文献3 関節リウマチの新規患者88名とそうでない176名を比較した研究では、患者群の方が赤身肉の摂取量が高い結果でした。 【加工食品】 加工食品の摂取量が多いと、関節リウマチ患者の心血管系疾患のリスクが高くなる可能性が報告されています。 文献4 56人の関節リウマチ患者の摂取している食品を加工レベル別に評価した結果、糖分・塩分・脂肪を多く超加工食品の摂取量が多いほど患者の心疾患リスクが上がりました。 【不飽和脂肪酸のバランス】 あまに油や青魚に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸とごま油や卵黄などに多いn-6系不飽和脂肪酸のバランスが、関節リウマチの痛みと相関していることが示唆されています。 文献5 591名の関節リウマチ患者を対象に、n-3系不飽和脂肪酸とn-6系不飽和脂肪酸の摂取量と痛みの関連性を評価すると、n-3系不飽和脂肪酸の量が少なく、n-6系不飽和脂肪酸の量が多いと我慢できないほどの痛みが出る結果でした。 関節リウマチと食べものについてはさまざまな研究が行われていますが、いずれも摂取量の多いことが問題になっています。 関節リウマチの症状を悪化させないためにも、同じものを極端に食べすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。 激しい運動【適度であればOK】 痛みが強く出ているときは、激しい運動を避けるべきです。炎症が起きている関節に負担がかかることで、症状が悪化する場合があります。 ただし、関節の動きを良くするためにも適度な運動は推奨されています。治療を続ける中で痛みがコントロールできている場合は、適度に体を動かし、手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持しましょう。 関節リウマチは、関節だけでなく全身が消耗する病気です。運動は無理のない範囲で行い、疲れたら休憩や昼寝など適宜休息をとりましょう。 体や関節を冷やす 体や関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。 寒い季節はもちろん、夏も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。温まって関節の血液の流れがよくなると、こわばりや痛みをやわらげる効果が期待できます。 ただし、関節が腫れて熱感があるときは炎症が起きている可能性もあるので、温めないようにしましょう。 首に負担をかける行動 関節リウマチが進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限をきたします。 過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、呼吸障害が起こる可能性があります。 朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰かけてから立つ習慣をつけましょう。朝は不用意に首を回さないようにし、首の運動は医師の診察を受けた上で行うことが重要です。 肥満の状態 肥満だと膝や股関節などの主要な関節に過剰な負担がかかり、炎症や痛みが悪化する可能性があります。体重管理を適切に行うことで関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐよう心がけましょう。 上述の通り、関節リウマチの患者様には、バランスの取れた食事と適度な運動が重要です。 同じ姿勢を長時間とる 関節リウマチの患者様にとって、同じ姿勢を長時間保つのは同じ部位に負担をかけてしまいます。定期的に姿勢を変えて、関節に負担がかかりすぎないようにしましょう。 特にデスクワークや座りっぱなしの仕事では、適度に休憩をとったり、ストレッチを行ったりすることが重要です。 重いものを持つ 関節リウマチの好発部位は、手指や手首の関節です。重いものを持つと過剰な負担をかけ、炎症や痛みを悪化させる原因となります。 日常生活では重いものを持つ機会をできるだけ避け、必要な場合は道具などを利用して負担を軽減しましょう。 症状があるとうまくものが持てないこともあるので、周囲のサポートを得るのも大切です。 正座をする 正座は膝関節に大きな負担がかかるので、避けるのが勧められます。とくに、正座を長時間続けるのは、膝や足首の可動域が制限され血行不良を招きやすいので、関節の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。 正座を避けて椅子に座る、膝を伸ばして楽な姿勢をとるようにしましょう。 ▼関節リウマチによる膝の関節炎について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 喫煙をする 関節リウマチの患者様は、禁煙が勧められます。喫煙は関節リウマチの症状を悪化させるだけでなく、病気を進行させる要因になり、死亡リスクが上がる可能性も報告されています。 とくに死亡リスクに関しては、診断後に禁煙した人は喫煙を継続した人よりも死亡リスクが低くなると報告されていました。(文献6) 今更だと思わずに、早めに禁煙に取り組みましょう。 ▼関節リウマチと喫煙の関係性を詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ストレスを溜める 手がこわばってものがつかみにくいなど、関節リウマチの患者様は日常生活の不自由さからストレスを感じやすいです。ストレスが溜まることで暴飲暴食に走ってしまうなど、健康的な生活から遠ざかってしまう可能性があります。 リラクゼーションや適度な運動を取り入れて、ストレスを溜めないことが、関節リウマチの治療を後押ししてくれます。 関節リウマチかも?と思ったら早めに受診しよう 関節リウマチかもしれないと思ったら、早めに整形外科を受診しましょう。 関節リウマチは、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活に支障をきたす病気です。始めは軽い痛みや腫れであっても、時間が経つにつれて悪化し、治療が遅れると回復しづらくなります。 関節リウマチを疑う症状として、以下のようなものがあります。 服のボタンが外しづらい びんの蓋が閉められない 床に落としたものが拾えない 朝起きたときにベッドから起き上がれない 早期に受診し適切な治療を開始すれば、薬物療法やリハビリテーションで関節の損傷を抑えつつ症状をコントロールすることが可能です。もとに戻らないほど関節が変形してしまう前に、早めに整形外科へご相談ください。 ▼関節リウマチではない膝の痛みは変形性膝関節症かも?詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから まとめ|関節リウマチのときにしてはいけない10項目を守ろう 関節リウマチの患者様には、してはいけない10項目を避けて、健康的な食事とライフスタイルを心がけていただきたいです。 重症化すると、普段の生活もままならなくなってしまう可能性があります。 治療と並行して関節の負担を減らし、症状をコントロールできるよう、普段の生活から意識してみてください。 もう一度、気をつけるべきことを振り返りたい人は「関節リウマチのときにしてはいけない10項目」を確認してみましょう。 万が一、関節リウマチの治療をしていても膝の痛みがよくならない場合は、他の疾患が隠れているかもしれません。 再生医療が適応になる可能性がありますので、お困りの場合は当院へご相談ください。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから 関節リウマチに関するよくある質問 Q.関節リウマチとはどんな症状ですか? A.関節リウマチの症状には、関節の動かし始めがスムーズにいかない「こわばり」や腫れ・痛みなどがあります。 関節リウマチは免疫機能の異常によって骨や軟骨・関節の破壊が起こることが原因とされています。万が一「関節リウマチかも?」と思ったら早めに受診しましょう。 ▼関節リウマチの症状について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.関節リウマチは生物学的製剤で本当に治せますか? A.生物学的製剤で効果があれば、休薬しても症状が落ち着いている状態を目指せます。 関節リウマチの原因である免疫異常の改善が期待できる上、炎症を抑える効果もあるため、進行を抑えながら症状をコントロールできます。 ▼関節リウマチで使われる生物学的製剤について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.関節リウマチになりやすい性格はありますか? A.関節リウマチになりやすい性格は、ありません。 ただ、我慢強い性格の人は治療開始が遅れたり、神経質でストレスを感じやすい人は治療が難航したりする可能性があります。違和感があったら早めに受診し、不安があれば専門医に相談しましょう。 関節リウマチが心配な人は「関節リウマチかも?と思ったら」をもう一度振り返ってみてください。 No.085 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい ▼以下もご覧になりませんか [参考文献] 文献1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/ 文献2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4135503/ 文献3 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/art.20731 文献4 https://link.springer.com/article/10.1007/s10067-019-04916-4 文献5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5817233/ 文献6 https://acrabstracts.org/abstract/smoking-behavior-changes-after-rheumatoid-arthritis-diagnosis-and-risk-of-mortality-during-36-years-of-prospective-follow-up/
最終更新日:2024.10.02 -
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膝の水を抜く理由と注意すべき合併症について解説します 多くの方を悩ませる「膝の痛み」。膝痛の症状が長期にわたると日常生活に支障をきたすようにもなってきます。このような膝の痛みを抱える方によくある症状のひとつに「膝に水が溜まる」というものがあります。 この症状のある方は医療機関を受診した際に膝に溜った水を抜く処置を受ける場合が往々にしてあります。この記事では、主に膝に溜った水を抜いたあとの注意点について医師が解説したいと思います。 なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 膝の水はなぜ溜まるのか? 膝の関節は、関節包というもので覆われ、更にその中には、滑膜と言われる膜があり、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割を果たす「関節液」が存在します。この関節液は、健常者においても常に作られながら吸収され、一定の量になるように調整されています。 これが半月板損傷や、変形性関節症など関節の炎症をはじめとして、骨折や何らかの感染や外傷、靭帯損傷、痛風、偽痛風、関節リウマチなどといった原因により関節液が作られるスピードが吸収されるスピードを超えてしまうことがあります。 これにより「膝に水が溜まる」という症状が起こります。 膝に水が溜る原因(病気) ・半月板損傷 ・変形性関節症 ・靭帯損傷 ・痛風、偽痛風 ・関節リウマチ 何らかの関節の炎症 ・骨折 ・何らかの感染や外傷 なぜ膝に溜った水を抜くのか?その理由 膝の痛みで医療機関を受診した際に膝の水を抜くことがありますが、医療用語でこの診療行為を「関節穿刺」といいます。 この関節穿刺には主に診断と治療の2つの目的があります。 ①膝に水(関節液)が溜まる原因を調べるとき(診断) ・膝に水が溜まる原因はさまざま ・原因によって適切な治療が変わる可能性がある。 ・膝の水(関節液)を検査して水が溜まる原因を知る(関節穿刺) ②関節の痛みを和らげるとき(治療) ・膝に水がたまると、たまった水が膝の痛みをより悪くする可能性がある。 ・膝の水を抜いて、状況に応じて関節内注射を行い症状を和らげることがある。 ・治療目的に関節穿刺(膝の水を抜く)を行う場合があります。 膝の水を抜いた後の注意|合併症 膝の水を抜いた(関節穿刺)後に注意することは、関節穿刺によって起きる別の症状や病気、つまり合併症です。そこで、以下に一般的な合併症について解説します。 ①感染 ・通常、関節内は無菌状態です。 ・関節穿刺を行うことで細菌が関節内に入ってしまうことがあります。 ・細菌が関節内に入り感染を起こす可能性があります。 ・症状は、膝が赤く腫れたり、熱持ったり、痛みを伴うことがあります。 通常、関節穿刺を行った後数時間は穿刺を行ったことによる痛みが生じることがありますが、これが長引く場合はこの感染の可能性があります。 一般的な目安としては48時間以上持続する症状、48時間以内でも悪化を伴う症状を認めた場合には感染などの可能性を考慮し、可能な限り処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 ②出血 ・関節穿刺で関節周囲の血管を傷つけることがあります。 ・血管が傷つくと出血を起こすことがあります。 ・多くの場合は細い血管の損傷にとどまり、自然に止まることがほとんどです。 ・穿刺後に貼付していたテープなどを剥がした際に出血が起きても、しばらく圧迫すれば止血が可能です。 他の持病などで血液をサラサラにする薬を飲まれている方や、もともと血が固まりにくい病気の方、またより大きな血管を損傷してしまった場合などは自然に止血できないことがあります。 ※圧迫しても止まらない出血は、速やかに処置を行った医療機関にご相談ください。 ③その他 ・アレルギー反応は、関節内に薬剤を注射した場合に起こりやすい合併症。 ・数時間以内に、発疹・呼吸困難感・腹痛などの多彩な症状を生じます。 ・多くの場合は投与後すぐに発症し、医療機関で発見される場合がほとんどです ・まれに帰宅後に発症することもあるため注意してください。 血管以外の神経、靭帯、腱などの損傷も稀な合併症の例です。穿刺のみでこれらの組織に重大な損傷をきたすことは稀ですが、薬剤注入などを伴うと症状をきたす可能性があります。 膝の水を抜いた後に注意したいこと 膝の水を抜いたあと、気になる症状が出現した場合、どこまで様子を見て良いのか判断に迷うことがあると思います。悩んだ場合はまず処置を行った医療機関に相談することをお勧めしますが、一般的な観察項目について解説します。 ・症状が長く続いている 通常、痛みなどの症状は処置をしたことにより生じたものであれば数時間から1日程度で消失します。しかし、なかなか症状が消失せず持続期間が長い場合は合併症を疑うサインとなります。 ・症状がどんどん悪くなっている 処置からあまり時間が立っていなくても、どんどん悪化する症状は合併症を疑うサインになります。通常徐々に改善する痛みが、ぶつけたなどのきっかけもなく悪くなる場合は速やかに相談しましょう。 まとめ・膝の水を抜く理由と注意すべき合併症について 今回の記事では膝に水がたまる病気と、水を抜いたあと注意すべきことについて解説しました。 症状が出現した際に自己判断で放置せず気になる場合は速やかに処置を行った医療機関に相談しましょう。処置を行った医療機関が時間外などで対応できない場合は夜間救急などの受診を検討しましょう。 https://youtu.be/IyBCkOjTPi8?si=NqgIWpsWtI96eVEh No.072 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療が膝の治療を変える! 変形性膝関節症をはじめ膝の障害に対する新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療 ▼以下もご参考にしてください 膝の上の筋肉、ふとももが痛む場合の対策と考えられる病気
最終更新日:2024.08.30 -
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人工関節置換術、膝の手術を決断する前に知っておくべきこと 膝関節に変形や炎症が起きたりする病気があると、膝に人工関節を入れなくてはいけない状態になることもあります。それが膝への人工関節置換術という名称の手術になります。その手術を決断する前に、手術の流れや合併症、手術に備えて準備するべきことなどを知ることは非常に大事です。 膝関節とは まず、膝関節とは何かについて述べていきます。膝関節は3つの骨で支えられています。太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨、いわゆる膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の3つです。 その3つの骨と、太ももの筋肉である大腿四頭筋と、膝の腱である膝蓋腱で膝関節をつくっています。これらの3つの骨と筋肉、腱が支え合うことで、私たちが、走ったり、飛んだり、座ったりするときに安定するようになっています。 膝関節の病気 膝関節の病気については様々なものがあります。変形性膝関節症、膝靭帯損傷、関節リウマチなど様々な病気があります。また、スポーツ外傷でも膝の慢性的な障害を起こしたりします。それらの病気の中で、変形性膝関節症や関節リウマチは、変形や炎症が強くなった時に、人工膝関節置換術という、人工関節のための手術を行う必要のある病気です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝が痛くなり水が貯まる病気です。最初は歩き始めに痛い程度ですが、徐々に階段を登ることが難しくなり、最終的には、休んでいる時も痛みが取れなくなるような病気です。 変形性膝関節症では、膝が変形して、伸ばすことができなくなります。変形性膝関節症の治療法は、症状が軽いうちは、炎症を抑える薬を飲んだり、膝関節にヒアルロン酸の注射をしたり、リハビリを行なったりします。しかし、重症になると、人工関節の手術をするか否かの選択が必要になります。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節内にある『滑膜』とよばれる組織が、異常に増えることが原因で、関節の中に炎症が起きる病気です。関節リウマチでは身体の中のいろいろな関節が破壊されるので、膝だけでなく、手や足など様々な関節に変形を起こします。 関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬や、炎症を抑える薬、免疫抑制剤、ステロイド剤などの薬を飲むことが一番大事です。お薬の治療に併用して、ヒアルロン酸の関節内注射やリハビリなどが行われることもあります。 関節リウマチも治療が遅れたりして重傷になると、人工関節のための手術を行うか同課の選択が必要になります。 膝の人工関節とは 膝の人工関節は、金属や、ポリエチレンやセラミックなどで作られます。変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気で、変形し傷ついた膝関節を取り出して、手術によって膝用の人工関節を変わりに入れます。悪くなってた関節を置換えるイメージです。 この人工関節は、膝の動きを再現するために3つの部品から作られています。人工関節の3つの部品は、実際の膝を構成している3つの骨(大腿骨部、脛骨部、膝蓋骨部)の部分をそれぞれ担当しています。 人工関節置換術/手術 膝の人工関節を入れるためには人工関節置換術という手術が必要です。手術が必要ということは、もちろん入院も必要です。昨今の新型コロナウイルスの関係で、入院生活は、家族や友人との面会が制限されているところが多いです。 入院前に入院生活のために必要な物品や、家族や友人との連絡手段を事前に決めておく必要があります。手術は全身麻酔をかけて眠った状態で行われます。そのため、麻酔から覚めて、目が覚めると手術が終わっている状態になります。 手術自体は、膝の皮膚を切り開いて、骨が見える状態になったら、器械を使って傷のある膝の部分を削り、人工関節の形に合わせて残りの骨の形を調整します。形の調整ができたら人工関節をはめ込みます。しっかりと固定できていることを医師が確認したら、縫い合わせます。 手術の傷口にたまった血液を出すための管を入れて傷口をふさぎ手術が終わります。手術の時間は、平均2−3時間程度のことが多いですが、もともとの病気や膝の状態に応じて手術の時間は変わってきます。 人工関節置換術の術後 手術が終わればすぐに退院できるという訳ではありません。手術した関節を安定させるために、リハビリを開始します。リハビリは手術後の状態に応じて開始時期が異なりますが、早ければ手術翌日から段階的に始めることが多いです。 リハビリは、寝たまま膝を伸ばしたりして筋力をつけることから始まり、だんだんと平行棒などを使用したり、歩行器などで歩く練習などへと移行していくのが一般的です。 外来通院でリハビリを実施できる患者さんは退院が早くなりますが、外来に通院するのが難しい患者さんは、手術した病院からリハビリ専門の病院に転院してリハビリを行うことになります。 そのため入院期間は患者さんによって異なりますが、多くは2週〜4週くらいのことが多いです。 人工関節置換術(手術の合併症) 人工関節置換術を行うことで一番気をつけなくてはいけないのが、手術した場所に悪い菌が感染することです。感染すると、腫れたり、発熱したりします。 手術した場所に感染が起きると抗生物質による治療が行われますが、多くの場合、再び手術のやり直しが必要になることがあります。そのほかには麻酔によるアレルギー反応や、手術によって身体が防御反応を示し、血液が固まりやすい状態になることから血栓症の心配もあります。 手術中はもちろん、手術後にじゃ身体を動かすことができないことから、血の流れが滞ることで静脈内に血栓という血液が固まったものができる事がああります。これが深部静脈血栓症です。この血の塊が血液の中に混じって肺へ移動することで、肺の血管を詰まらせることがあります。これを肺塞栓症といい、生命の危機にもかかわりかねないため注意が必要です。 その他、術後としては、人工関節のゆるみや、歩けるようになったことで逆に転倒し、脱臼や、その周りの骨を骨折するという心配もあります。もちろんこれらのリスクには予防法があります。手術に際しては主治医から説明を受け、十分に納得して挑んで頂ければと思います。 人工膝関節置換術/手術の一般的なリスク ・細菌による感染症(抗生物質、再手術) ・麻酔によるアレルギー反応 ・肺塞栓症、深部静脈血栓症 ・人工関節は、緩むことがある ・転倒による脱臼や骨折の可能性 ・その他 まとめ・膝の人工関節、手術を決断する前に知っておくべきこと 人工関節にするには、手術が必要なため入院が必要です。入院期間は短くはなってきましたが1か月ほどは見ておきたいものです。また、手術を行うことによる合併症のリスクもあります。できれば膝に違和感を感じたり、痛みを感じるようになった時は早めにリハビリや投薬などの保存的治療を受けて手術を避けることが一番です。 ただ、既に症状が進んでしまった場合は、しっかりと説明を受けて納得して手術を受けましょう。 ですが近年は医学が発達、「再生医療」という新しい先端医療を選択できる道ができました。この方法なら手術が不要で、入院も不要という興味深い方法です。 https://youtu.be/N1DJGcURhsg?si=rMtZGgghatI3U2n0 ▶山や川が好きな患者様。再生医療(幹細胞治療)を体験されたご友人にお薦めされご来院。 手術に不安をお待ちの方は、当院のような再生医療専門の医療機関に問い合わせてみても良いでしょう。いずれにしても人工関節になると、元には戻せないだけによく理解してお取組みください。 また、昨今は新型コロナウイルスの関係で面会が制限されています。家族と会えない数週間は、患者さんにとって、とても寂しくつらい期間です。手術のために入院する患者さんは、家族や友人とビデオ通話ができるように準備などをしてのぞむのも一つ方法ではないかと思います。 以上、膝への人工関節置換術、その手術を決断する前に知っておくべきことについて記載させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 No.070 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療が膝関節の治療を変える! 手術不要、入院も必要ない日帰りで治療する膝関節症の新たな選択肢、再生医療
最終更新日:2024.08.30 -
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膝の痛み|朝寝起きや歩きはじめに痛みや違和感を感じたときの治療法 膝の痛みは、しばしば経験する症状です。膝は、座る・立つ・歩くといった日常動作に深く関わるため、症状が強くなると日常生活への影響はとても大きなものになります。 膝の痛みを抱える方の中には、「朝寝起きに膝が痛い」「歩きはじめの膝に違和感を感じる」といった症状を経験する方もいるのではないでしょうか。 この記事では、そのような特徴的な症状を含む膝の痛みを生じる疾患と、その原因および治療法について解説します。なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 朝の寝起きに膝が痛む、歩きはじめ膝に違和感を感じる 膝の痛みの中でも、このような症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」などの疾患に特徴的と言われています。それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きた時や、動き始めの時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 原因① 関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患で、その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 ・関節リウマチの診断 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけでなく、レントゲン上での関節腔の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 ・関節リウマチの治療 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 原因② 変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症することもあります。 ・変形性膝関節症の診断 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされていますが、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とすることがあります。 レントゲンでは関節腔の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 ・変形性膝関節症の治療 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主眼となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。しかし、加齢による変化そのものは不可逆性のため、消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮することもあります。 > 変形性膝関節症の新世代医療「再生医療」とは 関節リウマチと変形性膝関節症の違い 今回紹介した関節リウマチと変形性膝関節症は同じ膝関節の痛みを生じる疾患ですが、異なる特徴もあります。症状については、一般的には関節リウマチは関節を動かさないと症状が悪化するという特徴があるため、朝のこわばりが特徴になります。一方で変形性膝関節症は関節の疲労で症状が悪化するため、夜のこわばりが特徴と言われています。 また関節リウマチは全身の炎症を起こすため血液検査で異常が出ることがありますが、変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 まとめ・膝の痛み|朝寝起きや歩きはじめに痛みや違和感を感じたときの治療法 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」について、その症状と治療法について解説しました。 この二つの疾患は類似点もありますが診断や治療など、大きく異なるものもあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している、整形外科または、最寄りの医療機関に問い合わせることを推奨します。 以上、本記事が参考になれば幸いです。 No.067 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で膝の痛み、違和感を治療する 膝の痛み、違和感の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療とは ▼こちらの参考にされませんか 膝の裏が痛い?その原因と対策、考えられる病気について
最終更新日:2024.02.29 -
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- 半月板損傷
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- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活で安定して自由な伸展運動などがスムーズに実行できるよう半月板や複数個の靭帯などを始めとする周囲の構造物が補助しています。 これらの膝を形成している組織が「スポーツなどの外傷」、あるいは「加齢」や「自己免疫異常」などの要因に伴って異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じることに繋がります。 【膝の裏が痛い原因の代表例】 ・スポーツなどの外傷 ・加齢 ・自己免疫異常 そこで、「膝の裏が痛い原因、考えられる病気と対策」と題して解説してまいります。 膝の裏が痛いときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる膝疾患には、「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」の他、膝部位に存在する「靱帯の損傷」などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 ・変形性膝関節症 ・半月板損傷 ・ベーカー嚢腫(のうしゅ) ・関節リウマチ ・靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下でそれぞれ詳しく解説していきます。 変形性膝関節症 中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減り、膝の内側や膝の裏からふくらはぎにかけて痛くなり正座もしにくくなります。変形が進行してひどくなるとO脚になり、いよいよ歩行困難になると人工関節の手術となります。 膝の関節が硬くなり、膝を伸ばすときに裏が痛くなったりします。 膝の屈伸の時に『ミシミシ』『ゴリゴリ』とした音が鳴る時もあります。 膝に水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛くなります。(文献1) ▶変形性膝関節症についてこちらもご参考にされてください。 半月板損傷 膝関節のクッションの役目があり、スポーツや怪我、加齢に伴って断裂などの損傷が生じます。 膝が伸びなくなるロッキングを起こしたり、正座やしゃがんだり、立ったりするときに膝の裏側が痛くなります。 ベーカー嚢腫 何らかの原因で膝関節が炎症を起こし、増えた関節液が膝の裏の滑液包に流入し袋状のコブになったものを言います。ゴルフボールぐらいの大きさにボッコリ腫れることもあり、大きくなると膝の裏が突っ張った状態になります。 放置していて腫れが治ることもありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くこともあります。 変形性膝関節症、半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▶ベーカー嚢腫についてこちらでも詳しく解説していますのでよろしければご覧ください。 関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人と言われており、その発症原因は自己免疫系統の異常とされていて、自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃し、破壊することとなり、関節部位に炎症を引き起こします。(文献3) 特に膝裏部に疼痛症状を認めると考えられます。この病気を発症しやすい年齢は、30代~50代前後の中年齢層で、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 初期の段階では、手足における特に手指部の関節領域が左右対称に腫れる以外にも、倦怠感や、食欲不振など自覚症状が合併することも懸念されています。 関節リウマチの特徴 ・原因:自己免疫系統の異常 ・年齢:30代~50代前後 ・性別:女性の発症率が高い 靭帯損傷 膝関節には4つの靱帯が存在して重要な役割を担っています。 そのうち膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯、外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯、後十字靱帯が走行しています。 例えば、交通事故に遭う、もしくはスポーツ活動中に怪我を負うなど、受傷を引き起こすことによって大きな物理的衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯部に強い損傷や断裂などが起こり、膝の裏側が痛むことが考えられます。 特に後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばすとピキッとした痛みが出ることが多くみられます。(文献4) 通常の場合、内側側副靱帯と前十字靱帯が外力によって損傷を受けやすいと言われていますが、受傷してから3週間前後の発症してまだ間もない頃には膝痛と膝の伸展運動がしにくいなどといったサインが認められます。 受傷後1か月程度、しばらく経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともありますし、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著化してくることもあります。 膝の裏側の筋肉の損傷 膝の裏には膝窩筋があり、身体が硬かったり無理な運動や動きで筋肉や腱が損傷します。 損傷すると次のような症状が出ます。(文献5) ・しゃがむと痛い ・しゃがんで立つと膝の裏が痛い ・膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い ・膝を曲げると膝の裏が痛い ・階段上り下りの時に膝の裏からふくらはぎが痛い 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。 痺れやズキズキした痛みを感じることもあります。安静時に痛みがあるのも特徴です。 リンパによる膝の裏の痛みや腫れ 同じ姿勢で長時間いたり、肥満や食事の偏りでリンパの流れが悪くなり膝の裏に痛みや腫れが生じます。 リンパ管には体の老廃物を運ぶ役目があり、リンパ節でその老廃物が処理されます。リンパ管の流れが悪くなることで、リンパ節が腫れて痛くなります。 反張膝 太ももの前と後ろの筋肉のバランスが悪かったり、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋の筋力の低下で起こります。 そのため膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、膝の裏が痛くなるのです。 膝の裏が痛いときの治療法 前章では、主に膝裏が痛む代表疾患に関して触れてまいりました。 ここからはそれぞれの疾患について対処法や治療法を解説していきます。 変形性膝関節症の治療法は幹細胞やPRPによる再生医療 初期の頃は、ヒアルロン酸注射やリハビリ、内服で様子を見ます。 変形が進むと、骨切り術や人工関節置換術などが行われます。最近では幹細胞やPRPによる再生医療も行われていて新しい治療の選択肢として注目されています。 半月板損傷の治療法は手術か再生医療 日常生活に支障が出たり、スポーツ復帰を目指す場合は関節鏡による手術が行われます。断裂部を切除や縫合して治療します。 こちらも新しい選択肢として再生医療が注目されています。 ベーカー嚢腫の治療法は水を抜くか自然に治す 自然に治ることもありますが、膝の裏の腫れや突っ張りや違和感がある時には水を抜くこともあります。 関節リウマチは病勢進行を可能な限り抑制 関節リウマチに対する治療について、近年では特に目覚ましく進歩しています。 早期に適切な治療を行えば関節の変形も抑えられて、痛みも生活する上で特に困らない程度にもなります。 関節リウマチの病勢進行を可能な限り抑制して、症状を少しでも改善させるためには普段から関節に大きな負荷をかけないように認識しながら対策を講じることが重要な観点となります。 例えば、携帯電話を操作するときに片手ではなく、両手を使って動作すると、手首の関節にも優しい姿勢になりますし、デスクワークするときに両腕部分を机やクッションなどで支えるように対策すると関節にかかる負担を軽減させることが期待できます。 膝の靭帯損傷の治療法は手術治療 膝の靭帯損傷については、急激にストップするような動作をした際、あるいは方向を突然転換するときに膝を強く捻ることによって発症します。 一般的に、外側側副靱帯や内側側副靱帯は、膝が左右に動くのを制御しています。前十字靱帯は膝から足側の部分が前方に突出しないようにストップをかける役割を担っており、後十字靱帯でも前十字靭帯と協調して膝が安定的に可動するように機能しています。 これらの靱帯組織が仮に断裂して受傷してしまうと、膝の安定性が減り、下半身における踏み込み動作や切り返しの作業が難しく実施できなくなるのみならず半月板損傷など合併する場合もあります。 内側側副靭帯損傷の場合には手術せずに治療するケースが多く、後十字靭帯が損傷を受けたケースでは、ほとんどの症例で手術治療が適応となります。 膝受傷して靱帯を損傷した直後は、迅速にアイシング(冷却)を行ってから患部を固定し、患部に極力負担が掛からないように免荷処置をしましょう。 症状によっては、手術治療を検討する場合もあります。その際は、術後に理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践して、筋力を鍛えて早期復帰できるように努めることになります。 特に、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために、体幹を鍛える、柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす、あるいは座位の状態になって膝を伸展させる、そして大腿部の筋を鍛えることなどが主なリハビリ療法の内容となります。 膝の裏が痛い場合のストレッチの仕方 膝の裏をストレッチしたりマッサージを行うことで、筋肉の柔軟性を持たせ血流促進にもつながります。 ふくらはぎの筋肉と太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチやマッサージの仕方を紹介しています。注意点として、ストレッチによる痛みを感じたときには、直ちにかかりつけの医師との相談をお勧めします。 https://youtu.be/WQZfXd6s1iA 膝の裏が痛いときにとるべき行動 結論、膝の裏が痛いときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛い原因(病気)はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけない思いもよらぬ重度なものまで存在します。 また、「そのうち治るだろう」「大した症状ではないだろう」と自身で判断し、膝の痛みを放置してしまうと歩行や日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。最悪の場合には歩くことが次第に困難となり、後に治療したとしても後遺症が残ってしまう可能性もあります。 膝の裏の痛みを軽視せずに最寄りの医療機関に受診するか、リペアセルクリニックに気軽にご相談ください。 まとめ|膝裏の痛みが長引くときは迷わず治療を 今回は、膝の裏が痛い原因で考えられる病気と対策について詳しく解説してきました。 膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症、関節リウマチや、膝靱帯損傷などが考えられます。 関節リウマチについては薬剤の治療成績が著しく向上していますし、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。膝靱帯損傷した際には早期的にアイシング(冷却)して患部固定で症状緩和に繋がります。 このような対処策を自分なりに実践しても症状が軽快しない際や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような際には、早期的に整形外科など専門医を受診するように心がけましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 監修:医師 坂本貞範 参考文献 文献1^ Øiestad BE, Juhl CB, Culvenor AG, Berg B, Thorlund JB. Knee extensor muscle weakness is arisk factor for the development of knee osteoarthritis: an updated systematic review and metaanalysis including 46 819 men and women. Br J Sports Med. 2022 Mar;56(6):349-355. doi:10.1136/bjsports-2021-104861. Epub 2021 Dec 16. PMID: 34916210. 文献2^ Abate M, Di Carlo L, Di Iorio A, Salini V. Baker's Cyst with Knee Osteoarthritis:Clinical and Therapeutic Implications. Med Princ Pract. 2021;30(6):585-591. doi:10.1159/000518792. Epub 2021 Aug 2. PMID: 34348320; PMCID: PMC8739941. 文献3^ Maderbacher G, Greimel F, Schaumburger J, Grifka J, Baier C. Kniegelenk bei rheumatoiderArthritis – aktuelle orthopädisch-chirurgische Therapieoptionen [The knee joint in rheumatoidarthritis-current orthopaedic surgical treatment options]. Z Rheumatol. 2018 Dec;77(10):882-888.German. doi: 10.1007/s00393-018-0534-2. PMID: 30194490. 文献4^ Schüttler KF, Ziring E, Ruchholtz S, Efe T. Verletzungen des hinteren Kreuzbands [Posteriorcruciate ligament injuries]. Unfallchirurg. 2017 Jan;120(1):55-68. German. doi: 10.1007/s00113-016-0292-z. Erratum in: Unfallchirurg. 2017 Jun;120(6):530. doi: 10.1007/s00113-017-0353-y. PMID: 28058447. 文献5^ Covey DC. Injuries of the posterolateral corner of the knee. J Bone Joint Surg Am. 2001Jan;83(1):106-18. doi: 10.2106/00004623-200101000-00015. PMID: 11205847.
最終更新日:2024.09.03 -
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Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病はライフスタイルの見直しで予防や改善ができる 糖尿病にはその発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。 日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」はライフスタイル(生活習慣)を見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避することが可能であると考えられています。 そのような観点から今回は、「Ⅱ型糖尿病」や「妊娠糖尿病」において、規則正しい食生活は勿論のこと日常生活に運動、身体を動かすことを実践し、ストレスを出来るだけ発散できるように努めることで予防や改善ができることを詳細に紹介していきます。 その一方で、大変残念なのですが、主に自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」については現在のところ改善や予防できる方法は見つかっていません。 以下、明記しない場合の糖尿病の表示は2型並びに妊娠糖尿病に向けた情報になります。 ・1型糖尿病 改善、予防が難しい ・2型糖尿病 ・妊娠糖尿病 ライフスタイル(生活習慣)を見直せば予防、改善、予防が可能 糖尿病の予防、改善には運動が有効 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の中で大きな基本となっています。特に、糖尿病の発症要因として「肥満体形、過食傾向、運動不足」の関与が強く疑われています。 なぜ運動が必要かというと、運動することでエネルギーを消費して、肥満を解消できるのみならず、運動を行うことで筋肉活動量が向上してインスリン機能を改善する効果が期待できるからです。 食事摂取直後には運動をなるべく控えるほうがよいですが、食後1時間程度経過してから運動を行うことで食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用が効率的に促進されて血糖値が有効的に下降する可能性も指摘されています。 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものが回復することによる治療効果はあまり期待できませんが、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献します。 ただし、血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには運動と食事に関する治療どちらか一方が欠けてもうまく制御できませんので、毎日運動するからという理由で入念な食事療法は怠らないように心がけましょう。 糖尿病の発症原因 ・肥満体形、過食傾向、運動不足 なぜ運動が必要か? ・運動でエネルギーを消費し、肥満を解消できる(脂肪を減らす) ・運動で筋肉活動量が向上し、インスリン機能の改善を期待できる 運動の種類について 一般的に、糖尿病を抱えている患者様の場合には、ダンベルや重りなどの器具を用いて筋肉に過剰な負荷をかける筋肉トレーニングに代表されるレジスタンス運動よりも、ウォーキングやジョギング、水泳などを始めとする全身を使う有酸素運動が適合しています。 その背景には、有酸素運動を継続して実践することで、インスリンの働きがよくなって血糖値を上手く調整しやすいと考えられているからです。 したがって、糖尿病における運動療法の目標としてはまずは有酸素運動で身体の不活動を改善させて、余裕があれば次のステップでレジスタンス運動を検討しましょう。 ✕ 器具を使って筋力に負荷をかけるトレーニング(レジスタンス運動) 〇 身体を動かす有酸素運動が最適(有酸素運動) レジスタンス運動とは 具体的には、有酸素運動として可能であれば少なくとも週に3回程度、それぞれ30分から60分間行うように意識して実施することが重要であると伝えられています。 この有酸素運動は、週当たり150分(2時間30分)以上かけて実施することがひとつの目標とされています。 通常では、糖代謝の改善期間は運動してからおよそ半日から3日間前後持続することが知られていますので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を少なくとも1週間のなかで3日間は実践することが理想的です。 運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められますし、特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると伝えられています。 また、糖尿病のみならず高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化して減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 運動を実行することは加齢に伴って引き起こされやすい筋肉の衰弱や骨粗鬆症を回避する期待が込められていますし、関節や骨が強靭化する以外にも心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果も併せて考慮できます。 運動をしなければと、精神的に追い込まない。逆にストレスがたまらないような取り組みも大切です。 実際に、運動療法を実践する時には準備運動やストレッチを丹念に行って軽動作から開始して、徐々に運動強度を増やしていくように意識しながら、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動の実行にあたって ・無理せず、継続することが大切 ・軽めの運動から、徐々に始める ・体調に気を配る ・ストレスを発散、運動が逆にストレスをためることにならないように まとめ・Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病はライフスタイルの見直しで予防や改善ができる 今回は糖尿病を予防して改善するためのライフスタイル(生活習慣)の見直しについて詳しく紹介しました。 糖尿病には様々なタイプがありますが、Ⅱ型糖尿病や妊娠糖尿病においては、ライフスタイルの見直しによって予防や改善が可能です。特に規則正しい食生活、適度な運動、ストレスの管理などが重要になることを知り真剣に取り組むことで改善が可能になります。 また、運動は、血糖値の調整やインスリン機能の改善に大きく寄与します。中でも有酸素運動が大切で週に3回程度、30分から60分間行うことが効果的です。ただし、これらの運動は無理せず継続することが大切で、体調やストレスに配慮しながら行うようにしましょう。 糖尿病の予防や改善には、食事療法と運動の両方が欠かせません。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.057 監修:医師 坂本貞範 ▼糖尿病の合併症が心配な方への先端医療|最新の「再生医療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼運動療法をさらに詳しく以下もご参考にしていただけます 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮
最終更新日:2024.05.01 -
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糖尿病|女性は要注意!更年期から発症するリスクが高まるわけ これまでに「糖尿病という病気は、やっかいだ…」ということを耳にされたことはおありでしょうか。 我が国における糖尿病の患者数は増加傾向であり、2016 年の厚生労働省による国民健康調査によると糖尿病有病者と糖尿病予備軍はいずれも約1000万人近く存在すると推計されています。 この疾患は、体内の「インスリン」と呼ばれる血糖を一定の範囲におさめる働きを担っているホルモンが機能しなくなることによって血液中に存在する「ブドウ糖が増加する病気」です。 更年期の女性にとって大きなリスクになりかねない糖尿病 女性の場合、誰にでも訪れる更年期を迎えると「エストロゲン」「プロゲステロン」と呼ばれる「女性ホルモン」が急激に減少します。 特に、エストロゲンは、「エストロゲン」「プロゲステロン」があります。そのため、更年期を迎えるにあたってエストロゲンの量が減少すれば相対的にインスリンの働きも弱くなってしまうのです。 つまり、この血糖値が下がりにくくなることにより「糖尿病を発症するリスク」が上昇するということなのです。 そこで今回は、糖尿病とはどのような病気なのか、特に「更年期から注意したい女性の糖尿病」に関する情報を中心に詳しく解説していきましょう。 更年期に起こるリスク要因 ・女性ホルモン;エストロゲン減少 → インスリンの働きが低下 ・女性ホルモン:プロゲステロン減少 糖尿病とは、どのような病気なのか 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のあるインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなることで発症します。 この糖尿病は、大きく「1型」と、「2型」に分類されています。 自己免疫異常によってインスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受けることで発症するタイプの糖尿病は1型糖尿病と呼ばれており、生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与していません。 一方で、糖尿病患者さんの約9割以上が「2型糖尿病」と言われており、ストレスや肥満体形、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れが主な原因となってインスリンが相対的に効きにくくなることでブドウ糖が細胞に十分に取り込まれなくなるタイプが存在します。 このような、2型糖尿病の場合でインスリンの分泌機能に異常をきたす原因として多いのは、高脂肪、高カロリーなどを始めとした悪しき食習慣であり、糖質成分の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの抵抗性が増して徐々に血糖値が上昇するといった症状が発生するようになります。 その他、妊娠や更年期を契機に発症する糖尿病のパターン、あるいは膵炎や膵臓癌など膵臓疾患に合併して発症する場合なども挙げられます。 なぜ女性の更年期から発症リスクが高まるのか 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ます。この時期には体が火照って疲労を感じやすいなど辛い期間が訪れるのですが、実はこの「更年期に入ると糖尿病の発症リスクが高まる」のです。 前章で述べたように、血糖値が上昇する原因としては「最近忙しくて」、「つい面倒だから」「付き合いで」などと外食する機会が頻繁に増加していることから、昔に比べて「体重増加が著しい」、会社や私生活など周囲環境などで「過剰なストレス」を抱えている。 これらは典型的な糖尿病の発生原因となるほか、「女性特有の要因として更年期前後におけるエストロゲンの分泌量低下」が挙げられます。 女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、様々な「健康リスクから女性の身体を守る」働きがあります。その代表例として「血糖値を調整する働き」があります。このエストロゲンの分泌量は、およそ40代頃から減少し始めて、50代の閉経期になれば急激に落ち込んでしまいます。 通常であれば、女性は「エストロゲン」や「プロゲステロン」という女性ホルモンに保護されているため、男性と比して糖尿病になりにくいという傾向がありますが、それが更年期を過ぎてしまうと「エストロゲン」の分泌量が低下することで糖尿病を発症する危険性が急激に増していくのです。 そのためにも自治体の定期検診や、勤務されているなら企業健診における「血糖値(空腹時血糖126mg/dl以上、ヘモグロビンHbA1c 6.5%以上)」や、「尿検査」の結果に注目するようにし、問題があれば医療機関を受診し、指示を受けることをお勧めします。 血糖値上昇の原因 ・外食機会の増加 → 「最近忙しくて」「面倒だから」「付き合いで」 ・更年期で女性を護るべき女性ホルモンが減少(エストロゲン、プロゲステロン) まとめ・糖尿病、女性のリスクについて!なぜ更年期から特に注意すべきなのか 今回は「女性が更年期から注意すべき糖尿病リスク」について解説しました。 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気を指しており、現代の疫病とも称され糖尿病予備軍まで含めると全人口の約3割程度が発症していると考えられています。 糖尿病の原因や発症リスクから考えて、普段から規則正しい食生活、運動を心がけて、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して糖尿病にならないように心がけましょう。 女性のリスクを減らすために ・規則正しい生活 ・定期的に適度な運動の実行 ・禁煙 ・ストレスの除去 エストロゲンなどの女性ホルモンが減少し始める更年期の時期を迎えると、どんな女性にも糖尿病を罹患するリスクが増大することが指摘されていることを知っておきましょう。 普段から特段の自覚症状がなくても知らぬ間に高血糖になっていることも考えられますので、特に女性の場合は、更年期前後になれば、これまでの生活習慣に意識を向けてみることが必要になります。 女性なら知っておきたい発症リスク ・更年期以降、どんな女性でも糖尿病の発症リスクが高まる ・自覚症状のない高血糖に注意 糖尿病の発症リスクを知り、血糖値が上昇しにくい生活スタイルを学び、意識して健康的な生活を実践することが大切です。 糖尿病は、早期に発見して的確に治療すると症状を良好にコントロールできる病気です。心配であればぜひ専門医を受診してご相談されることをおススメします。 以上、女性が更年期から注意したい糖尿病のリスクについて記させていただきました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.055 監修:医師 坂本貞範 ▼女性の糖尿病|最新、幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、女性の糖尿病の新たな治療法として注目してください ▼こちらもご参考下さい Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病を改善または予防に必要な運動とは
最終更新日:2024.04.30 -
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糖尿病の初期症状!自覚症状、身体のサインを見落とさないため、知っておきたいこと! 糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高値を示す病気です。 糖尿病にかかると、慢性的に高血糖が続くために、喉が渇きやすくなり、尿量増加、体重減少などの身体のサインが現れる場合もありますが、顕著な自覚症状が認められないケースも少なくないと言われている点で注意が必要です。 万が一、「糖尿病の初期症状」に気が付けば早期の食事療法などで健康状態を維持することが可能ですが、糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こすことが知られていますので専門医療施設で精密検査を必要に応じて受けることが重要です。 今回は、糖尿病を初期の段階で知り、早期治療を開始するための「初期症状」と、その際に現れる「身体のサイン」、そして初期症状が出現した際の対処法に関する情報を中心に詳しく解説していきます。 初期症状を知り早期治療を開始するために このような身体のサイン(症状)に気が付いたら医療機関へ ・のどが渇きやすくなった ・尿の量が増加します ・体重が減少した ・空腹が満たされない ・足がつったり、しびれる ・足にひび割れや、乾燥しやすくなった ・すぐに風邪をひくなど体が弱くなった 糖尿病はどのような病気? 糖尿病とは、インスリンが十分に作用しないために血液中を流れるブドウ糖の数が多くなってしまう病気です。 糖尿病は基本的に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類されており、その中でも2型糖尿病は生活習慣に強く関連する頻度が高いタイプであり、初期の段階では有意な症状が現れにくく、自覚症状を覚えた頃には、すでに病状が進行していることも多く見受けられます。 1型糖尿病も2型糖尿病も出現する症状自体に大差はありませんが、それらの発症メカニズムが異なる事から自覚症状の現れ方や出現経過などは若干違います。 ・1型糖尿病 1型糖尿病のケースではインスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊されることがあります。 このような場合、急激に血糖値が上昇するため、喉の渇き、頻尿、多飲、足のしびれなど神経障害、体重減少、疲労感などが突如として出現することがあります。 ・2型糖尿病 一般的に「糖尿病」と呼ばれているものが、2型糖尿病になります。2型糖尿病では少しずつインスリン分泌量が減ってインスリン機能が悪くなるために症状は、ゆるく徐々に現れます。 また、2型糖尿病における自覚症状は多種多様であり、少しずつ現れるため初期の段階では気付かないことが多くあります。 自覚症状が乏しいままで知らず知らずのうちに病状が進行していることも多いため、定期的に健康診断を受けて空腹時血糖値などの指数をチェックすることが重要な視点となります。 最近では高齢者ばかりではなく、10代や20代などの若い世代でもと尿病を発症したり、予備軍に含まれる方が増えてきています。若いからと油断しないでください。 糖尿病の疑いがある初期症状 自覚症状がなく、ゆるやかに発症していく糖尿病ですが、代表的な初期症状があります。 1)体重が急激に落ちる 糖尿病の症状として、エネルギー源でもあるブドウ糖を上手に取り込むことができなくなります。ブドウ糖の代わりに筋肉や脂肪をエネルギーに変えようと身体が働いてしまい、ダイエット等を意識していなくても急激に痩せてしまうことがあります。 2)喉が渇きやすくなる 血糖値が高くなることで、血液がドロドロとした状態になってしまいます。 そうなることによって、脳は水分が足りないと認識してしまい、水を飲まなければと混乱してしまいます。また、水をたくさん飲むことで尿の回数も多くなります。 3)足への症状 糖尿病になってしまうと、毛細血管がダメージを受けやすくなってしまい、自律神経へ悪い影響を及ぼしてしまいます。 その結果、次のような症状が現れやすくなります。 糖尿病の足の症状 ・つりやすくなる ・足が痺れやすくなる ・ひび割れや乾燥しやすくなる 4)感染症にかかりやすくなる 血糖値が高くなることで、白血球などをはじめとして免疫細胞の機能が低下します。風邪をひきやすくなったり、皮膚の感染症などにかかりやすくなってしまいます。 5)空腹感が続きやすくなる 通常は血液中にあるブドウ糖が増えることで、処理するためにインスリンが分泌されますが、糖尿病になるとインスリンが思うように機能してくれません。 そこで上がった血糖値を処理するために尿として糖を排出するようになります。エネルギーでもある糖が吸収されずに排出されてしまうため、脳は常にエネルギーを補おうと空腹のサインを出してしまうのです。 まとめ・糖尿病の初期症状!自覚症状、身体のサインを見落とさないために! 今回は糖尿病における初期症状の身体のサイン、そして初期症状が出現した際の対処法などについて詳しく解説してきました。 糖尿病とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの機能が減弱することで、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 喉の渇き、多飲、多尿、足のしびれなど糖尿病の初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、血管が障害されて心筋梗塞、脳卒中など重篤な病気に繋がります。 また血糖値が高い場合には、白血球を始めとして免疫機能が低下するので、感染症に罹患しやすい、感染所見が重篤化しやすいなど指摘されています。 今回ご紹介した初期症状は、特に見逃すことなく仮に有意な身体のサインを自覚した場合には、すぐに糖尿病内科など専門の医療機関を受診して精密検査を受けることを心がけましょう。 以上、糖尿病の初期症状!自覚症状など身体のサインを見落とさないで!と題して記させて頂きました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.054 監修:医師 坂本貞範 ▼糖尿病の治し方、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下の記事も参考にしてください 糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぐ
最終更新日:2024.05.01 -
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脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝という病気は、脂質のひとつである中性脂肪と呼ばれる成分が肝臓内に多く蓄積してしまう状態を指しています。 脂肪肝と一言で言っても、普段から過剰に飲酒をしすぎるケースに起こるアルコール性が原因で引き起こされる種類、またはアルコールを摂取していないのにも関わらず発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(略称:NAFLD)というタイプが存在します。 脂肪肝とは、そもそも肝臓に脂肪が沈着する病気なので、日常的に食事メニューで脂肪分を過度に摂取しないようにだけ対策すればよいと考えている方がいますが、本当にそれだけでいいのでしょうか。 今回は、脂肪肝を改善するために食べてはいけないものに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脂肪肝の食事、食べてはいけないもの 脂肪肝に罹患した人にとって病気を改善させるために日頃の食事は非常に重要です。そこで、食べてはいけない、避けるべき食べ物を紹介してまいりましょう。 まず、一つ目は炭水化物や糖質から取り込まれる摂取エネルギーを抑えるということです。その背景には、肥満体形や糖尿病の発症率と脂肪肝の重症度は比例すると考えられているからです。 脂肪肝を指摘された方においては食事からの摂取エネルギー量を可能な範囲で制限して、理想的な標準体重を目標に、少しでも近づけることが重要な視点となります。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、通常労働をしている場合には標準体重(身長m×身長m×22)×25kcal/日を基準として自分なりに適切なカロリー量を計算してみましょう。 食事から取り込まれる過剰な糖質成分は、中性脂肪に変換されて肝臓に沈着して脂肪肝を発症させやすくすることが知られています。 標準体型を目指す ・制限:炭水化物、糖質、脂質→中性脂肪に変換され肝臓に沈着>脂肪肝のリスク増大 ・肥満体形:糖尿病の発症率、脂肪肝の重症度は比例 糖質について 通常では、白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられているため、一食につき、お茶碗一杯程度なら食べても大きな問題には繋がりません。 何より、常日頃から甘いものを制限するように意識しましょう。 例えば自動販売機で売られているジュース類、あるいは駄菓子に含まれているショ糖、そして果物に豊富に含有されている果糖は、穀物のでんぷん類と比較して中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があるため注意が必要です。 したがって、普段の食生活でも間食などはできるだけ避け、砂糖類を沢山含んでいる食べものは出来る限り摂取しないように回避するべきです。また果物にも果糖を含んでいるため、控えめにするように心がけましょう。 脂質成分を控える 脂質成分を控えることが脂肪肝を改善させるためには重要なキーポイントとなっています。 脂肪肝を患っている場合には、食べ物を調理する際にはなるべく動物性ではなく、植物性の油を使用するように心がけて、1日あたりの油の使用量は大さじ1杯程度までに抑制するように認識しておきましょう。 脂質を過剰摂取すると肝臓に中性脂肪が蓄積する原因となることが知られていますが、極端な脂肪制限は必須脂肪酸の欠乏に繋がるため、バランスよく脂質を制限することを忘れてはいけません。 バランス良い脂質制限とは、その目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度の頻度になるように調整しましょう。 たんぱく質について たんぱく質に関しては、適正量を確保して良質なものを適切な範囲で補給することが必要であると考えられており、たんぱく質を摂取しすぎても極端に不足に陥っても脂肪肝そのものを悪化させることが指摘されていますので注意を払いましょう。 アルコールの考え方 アルコールに関しては、肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝に拍車をかける懸念がありますので出来るなら禁酒するほうが望ましく、飲むとしても特にアルコール度数の高い酒や、糖質の多い発泡などは、肝臓における脂肪蓄積にも繋がりますのでなるべく控えましょう。 どうしても我慢できない場合には、成人では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限して、週に2日以上は休肝日を設けるように意識しておきましょう。 昨今では、脂肪肝を実際に診療する場面では、従来のアルコール性肝障害から非アルコール性脂肪性肝疾患に着眼点が移行してきています。特に、肥満症や2型糖尿病が蔓延する現代では,メタボリックシンドロームを基本として病態を理解して診療指針を立てることが重要であると指摘されています。 万が一、自分が脂肪肝になってしてしまったら、過剰な糖質や脂質の摂取を控えて、良質なたんぱく質や糖質や脂肪の吸収を緩徐にして脂肪蓄積を予防できる食物繊維を中心とした食事に改善するように心がけましょう。 日常生活における食事内容としては、余分な脂質や糖質を出来るだけ抑えることが期待できる蒸し物や焼き物、あるいは魚料理であれば刺身などを食べる事をお勧めします。 まとめ・脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 今回は特に脂肪肝を改善させるために普段食べてはいけないものに焦点を当てて説明してきました。脂肪肝とは肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪成分が沈着して蓄積される病気を意味します。 本疾患の原因として、肥満、糖尿病、過度のアルコール摂取などが挙げられます。今一度食事内容を見直して生活習慣を修正することにより、脂肪肝を改善することが期待できますので前向きに実践するように心がけましょう。 以上、脂肪肝の食事で食べてはいけないものについて記させて頂きました。 参考になれば幸いです。 No.053 監修:医師 坂本貞範 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病の新たな治療法として注目を浴びています ▼肝臓の異常について以下の記事も参考にしてください 検診結果で「肝臓の数値に異常」が見つかった場合、肝機能障害の原因と対策
最終更新日:2024.04.11 -
- 糖尿病
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糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぐためにできることとは 糖尿病が「サイレントキラー」と恐れられる理由をご存知でしょうか? それは、糖尿病の進行がしばしば無症状であるためです。糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続くことで、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、特に早期に発見や治療が行われない場合に重篤な結果をもたらすことがあります。 その合併症としては失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出る人がいるため注意が必要です。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐ目的があるためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であることがほとんどといわれています。 糖尿病の合併症が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであることを知ることで、「生活習慣改善を変えるきっかけ」にしていただければと思います。 糖尿病は合併症により「サイレントキラー」と呼ばれる 糖尿病は、それ自体には痛みなどの症状はほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病であることが指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病は全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことを指しています。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病を「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ぶ医師も多くいるようです。 糖尿病の三大合併症は(し・め・じ)と呼ばれる 糖尿病の合併症には三大合併症と呼ばれる代表的なものがあります。次の病気が、糖尿病三大合併症と呼ばれるものです。 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って覚えやすく「し(神経症)・め(網膜症→め)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も、多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 糖尿病の三大合併症 ・し)神経障害 ・め)網膜症 ・じ)腎症 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病になってから適切な治療を受けずに放置すると、約5年で現れることが多く、糖尿病三大合併症の中で最も早く症状が現れるといわれています。 これは、高血糖が神経にダメージを与えることで、これにより感覚を伝える神経や身体を動かす神経が障害され、痛みやしびれ、こむら返りなど自覚しやすいものや、足の感覚が鈍くなる感覚鈍麻など自覚しづらいものが症状として現れます。手足の知覚や運動機能が低下することがあります 病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が出ます。そのため、しびれや麻痺が全身に広がり、身体が動かしにくくなり生活に大きな支障をきたしてしまう恐れがあります。 特に足の神経障害は重要であり、潰瘍が進行して感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、目の網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりすることで、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力を回復することは難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えるなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態であり、早期の発見と治療が重要です。 糖尿病腎症は人工透析の原因第一位 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります。(タンパク尿)症状が悪化すると腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。現在、日本の人工透析の原因第一位は、こうした糖尿病による腎症なのです。 これらの合併症は、糖尿病患者が血糖値の管理に注意を払い、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病と診断されたら、定期的な尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 糖尿病 ・日本の人工透析:原因第一位は、糖尿病による腎症 ・早期発見:進行を遅らせる ・合併症:進行を遅らせる 合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐためには、症状が現れていないうちから血糖値のコントロールを行うことが必要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。食事療法においては、血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれることで高血糖の改善や体重低下が期待できます。 なお、極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。運動療法によって血糖コントロールに関わるインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。薬物療法を行う場合は主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続けて経過を見てもらいましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があり、これも薬物療法にあてはまります。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 糖尿病の治療や合併症の予防の三本柱 食事療法 ・血糖値が上がりやすい糖質の量を減らす ・野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれる ・極端な糖質制限は逆効果 運動療法 ・インスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できる ・軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続 薬物療法 ・主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続ける ・インスリン分泌が少ない場合、インスリン注射を日常的に行う場合もある まとめ・糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぎたい 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を全身に引き起こすことを解説しました。糖尿病三大合併症である神経障害、網膜症、腎症が進行すると、治療して元の状態に戻すことは難しいとされています。 どの合併症も、症状が重くなるまで自覚症状がほとんどなく、自分で気付くのは困難です。糖尿病と診断されたら、内科や眼科での定期的な検査を受けて異常をいち早く発見しましょう。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから定期的な検査や血糖コントロールを行うことが大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意下さい。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 No.S078 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下もご参考にしていただければ幸いです 糖尿病を予防するための運動とは、その効果と注意点 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています
最終更新日:2024.04.29