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「ふくらはぎが重だるく感じることが増えた」 「歩いていると途中で立ち止まることが多い」 足のだるさは、年齢や疲れのせいと考えがちですが、実は閉塞性動脈硬化症と呼ばれる血管の病気が原因かもしれません。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、最悪の場合、足が壊死してしまう恐れがあります。 本記事では、閉塞性動脈硬化症の症状とともに以下について解説します。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 閉塞性動脈硬化症の原因 閉塞性動脈硬化症の診療科 閉塞性動脈硬化症の治療法 閉塞性動脈硬化症は、早期発見と適切な治療により改善が期待できます。本記事では詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 閉塞性動脈硬化症とは 閉塞性動脈硬化症とは足の血管に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなる病気です。足の動脈が徐々に細くなり、十分な血液が届かなくなることでさまざまな症状を引き起こします。 主な原因としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣が引き金となり、血管が硬く、狭くなることで進行します。閉塞性動脈硬化症は進行すると血液の流れは悪化し、皮膚の色が変化したりただれたりするのが特徴です。重症化すると足の組織が壊死し、切断の可能性も危惧されます。 原因や症状 概要 足の血管の詰まり 足の動脈が狭くなったり詰まったりする 血流が悪くなる 足への血液の流れが悪くなる 動脈硬化が原因 血管に脂肪が溜まり、それが原因で血管が硬くなって発症 生活習慣が影響 高血圧、糖尿病、喫煙などが影響する 初期症状として歩くと違和感を感じる 運動時に足に違和感が走る(間欠性跛行) 症状が悪化する 違和感がひどくなり、安静時でも症状が出るようになる 傷が治りにくくなる 小さな傷も治りにくくなる 皮膚の色が変わる 足の皮膚が青紫色になる(チアノーゼ) 皮膚がただれる 潰瘍(かいよう)ができる 壊死が起こる 足の組織が腐ってしまう 切断のリスク 足を切断しなければならないこともある (文献1) 足の血流障害は全身の動脈硬化のサインでもあり、少しでも足に違和感が出た場合は、手遅れになる前に医療機関を受診しましょう。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 症状の種類 概要 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 歩行中にふくらはぎが張る・疲れる・力が入らないが、休むと楽になる 足の冷え・しびれが続く 血流が悪くなることで、足が冷たく感じたり、しびれが続いたりする 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 皮膚の血流が悪く、小さな傷が治らず、色が青白く変化するケースがある 足の脈拍の低下・消失 足先の血流が極端に悪くなり、脈が触れなくなることがある 閉塞性動脈硬化症の初期症状の多くは、年齢や疲れのせいと見過ごされてしまいがちです。しかし、歩いていると違和感や足の冷えやしびれが続く場合は閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れた場合は、早めの受診が必要です。 以下の記事では、自分でできる閉塞性動脈硬化症のセルフチェック方法について詳しく解説しています。 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 状態 症状の内容 原因のしくみ 歩き始め ふくらはぎや太ももに違和感・しびれ・張り感 運動時に筋肉が酸素不足になり、違和感が出る 少し休むと改善 数分の休憩で症状が和らぐ・消える 筋肉の酸素需要が減り、一時的に血流が追いつく 再び歩くと再発 同じ場所・感覚でまた症状が現れる 血流が根本的に不足しているため繰り返される 進行すると悪化 歩ける距離が短くなり、日常生活に支障 血管の狭窄が進み、血流不足がさらに深刻になる (文献2) 閉塞性動脈硬化症の初期には、歩くと足に違和感やしびれ、重だるさなどが現れます。ふくらはぎや太もも、お尻に症状が出やすく、休むと治まるため、放置されがちです。しかし、症状を放置すると徐々に進行し、足の血管が狭くなり、運動に必要な酸素や栄養が筋肉に届きにくくなります。 血流不足が深刻化する前に、医療機関の受診が大切です。 以下の記事では、間欠跛行の症状について詳しく解説しています。 足の冷え・しびれが続く 症状の特徴 概要 慢性的な冷え 温めても改善せず、常に足が冷たいと感じる しびれの頻度が増加 ピリピリ・ジンジンとしたしびれが続くようになる 安静時にも感じる 座っている時や寝ている時にも症状を感じる 夜間に悪化しやすい 夜になると冷えやしびれが強くなることがある 左右差があることも 片足だけ、または左右で症状の程度が異なる場合がある 他の症状を伴う可能性 足の皮膚の色が悪くなったり、むくみが出ることがある (文献3)(文献4) 気温とは関係なく、片方の足だけ冷たく感じたり、しびれが続く場合、血流障害を引き起こしている可能性があります。閉塞性動脈硬化症では、血流が悪くなって足先に酸素や栄養が届きにくくなり、その影響で神経に異常が起き、しびれや冷えが生じます。 足の冷え・しびれは年齢からくるものだと思われがちですが、足の左右で温度に差や頻度が多い場合は、閉塞性動脈硬化症を疑うべきサインです。重症化すると足が壊死する可能性があるため、早めの医療機関への受診が大切です。 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 症状の特徴 説明 小さなキズの治癒遅延 切り傷や擦り傷が通常より治りにくい 感染しやすい 傷口から細菌が入りやすく感染しやすい 皮膚の色が悪い(蒼白) 足を高く上げた時などに皮膚が白っぽく見える 皮膚の色が悪い(チアノーゼ) 皮膚が紫色や暗赤色になることがある 皮膚が薄く、つやがある 皮膚が栄養不足で薄く光沢を帯びる 毛が抜けやすい 足の毛が抜けやすくなる 爪の変形・変色 爪が厚くなる、変形・変色する (文献3) 閉塞性動脈硬化症が進行すると、血流が著しく低下し、足の皮膚や組織への酸素供給が不足します。酸素供給が不足するとちょっとした傷でも治りにくくなり、皮膚の色も悪く見えるようになります。足先が白くなったり、紫がかって見える状態はチアノーゼと呼ばれ、重度の血流不足状態です。 また、皮膚の乾燥や光沢、爪の変形も血流低下のサインであり、進行すると皮膚潰瘍や壊死に至る危険性もあります。チアノーゼは皮膚の色の変化として現れるため、足のしびれや歩行時の違和感よりも気づきやすいのが特徴です。皮膚が紫色や暗赤色に変色している場合は、早急に医療機関を受診してください。 足の脈拍の低下・消失 症状の特徴 説明 脈拍の触れにくさ 足の甲や足首で脈が弱くなったり、触れなくなったりする 左右差がある 片足だけ脈が弱い、または触れない場合がある 冷えやしびれを伴う 脈の変化と一緒に冷えやしびれを感じることが多い 皮膚の色や温度の変化 皮膚が青白くなり、足が冷たく感じることがある 運動後の変化 運動後に脈がさらに触れにくくなる場合がある 自己チェックの限界 自分で確認できても正確な判断は難しく、医師の検査が重要 (文献3) 足の甲や足首の脈が触れにくくなる、あるいはまったく触れなくなるのも、閉塞性動脈硬化症のサインです。足の動脈の詰まりが進行すると、足首や足の甲で触れる脈拍が弱くなったり、ほとんど感じられなくなったりするケースがあります。 足の脈拍の変化は自分ではわかりにくいため、医師の診察や超音波検査が必要です。とくに左右の脈に差がある場合や片足だけ脈が感じにくい場合は、動脈の詰まりが疑われます。早めに対応すれば血流を改善でき、重篤な合併症を防止できる可能性があります。 閉塞性動脈硬化症の原因 原因 なぜ関係するのか 防止策 具体的な説明 加齢 年齢とともに血管が硬くなり、動脈硬化が進行しやすくなる 血管をいたわる生活を心がける 食事の塩分や脂質を控え、適度な運動や定期的な健康診断を習慣にする 糖尿病 高血糖が血管の内側を傷つけ、血管が詰まりやすくなる 血糖値のコントロールが重要 食事療法・運動療法・内服治療などで血糖を安定させ、合併症の予防につなげる 脂質異常症 LDLコレステロールが血管にたまり、プラークとなって血流を妨げる 脂質管理と生活習慣の改善 動物性脂肪を控えた食事と、必要に応じたコレステロール低下薬の服用 喫煙 タバコに含まれる成分が血管を傷つけ、血流を悪くする 禁煙が最大の予防 禁煙外来の活用や代替品(ニコチンパッチなど)を利用して、段階的に習慣を断ち切る 閉塞性動脈硬化症は、動脈の内側にコレステロールなどの脂質がたまり、血管が狭くなる動脈硬化が原因で起こります。動脈硬化が引き起こされる原因は以下の4つです。 加齢 糖尿病 脂質異常症(高コレステロール血症など) 喫煙 以下では、閉塞性動脈硬化症の原因を詳しく解説します。 加齢 加齢に伴う変化 対策・予防方法 血管内皮細胞の機能低下 抗酸化作用のある食品をとる(野菜・果物)、定期的な検査を受ける 血管壁の弾力性の低下 ウォーキングなどの有酸素運動で血管の柔軟性を維持 酸化ストレスの増加 禁煙やバランスの良い食事で活性酸素を抑える 炎症反応の亢進 規則正しい生活・ストレス管理やEPAやDHAを含む食品 生活習慣病のリスク増加 高血圧・糖尿病・脂質異常症をきちんと治療・管理する (文献3)(文献5) 年を重ねると血管の弾力性が失われ、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症を発症し、軽い動作でも足に違和感が出ることがあります。 年齢とともに血管は弱くなりますが、運動や食生活を見直すことで健康を保てます。足の冷えやしびれが気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病 影響の種類 概要 血管を傷つけやすい 高血糖が続くと血管の内壁が傷つきやすくなる 動脈硬化を促進 脂肪が血管壁にたまりやすく、動脈硬化が進行しやすい 末梢血管が障害されやすい 足先など細い血管が多い部分で血流障害が起こりやすい 神経障害を合併しやすい 足の感覚が鈍くなり、違和感に気づきにくくなる 小さな傷に気づきにくく、治りにくい 小さな傷に気づかず、治りにくくなることで悪化しやすい 感染症のリスクが高い 免疫力が低下し、傷口からの感染症リスクが高まる 血管の石灰化が起こりやすい 血管にカルシウムがたまり、血管が硬くなりやすい 他の危険因子を合併しやすい 高血圧や脂質異常症を併発しやすく、動脈硬化が進みやすい (文献6)(文献7) 血糖値が高い状態が続くと、血管の内側が傷つき、脂質や血小板がたまりやすくなります。脂質や血小板がたまると血管が詰まりやすくなります。糖尿病では神経障害も起こりやすく、足のしびれや違和感に気づきにくいため、とくに注意が必要です。 血管と神経の障害が重なると、傷の治りが遅くなり、感染が悪化しやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症のリスクが高まります。糖尿病の方は、足の違和感や傷に気を配り、異常があれば早急に医療機関を受診しましょう。 脂質異常症(高コレステロール血症など) 影響の種類 概要 血管壁への脂質沈着 悪玉コレステロールが血管の内壁にたまりやすくなる プラーク形成の促進 たまった脂質がプラークを作り、血管を狭める 初期症状の発現を早める可能性 動脈硬化が早く進み、若いうちから症状が出ることがある 症状の悪化を加速 血流がさらに悪化し、違和感や歩行障害が進行する 他の危険因子との相乗効果 高血圧や糖尿病などと合併しやすく、リスクがさらに高まる 血管内皮機能の障害 血管の柔軟性が低下し、血栓ができやすくなる (文献8)(文献9) 血液中のコレステロールや中性脂肪が多いと、動脈の内壁に脂質が沈着し、プラークと呼ばれる塊ができやすくなります。プラークは血管を狭め、血流を妨げる原因です。 とくにLDL(悪玉)コレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化が進行しやすくなり、閉塞性動脈硬化症を引き起こしやすくなります。脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断で指摘された場合は放置せず、食生活の見直しや適切な治療を行うことが大切です。 喫煙 喫煙が与える影響 概要 血管の内側が傷つく タバコの有害物質が血管内皮細胞を傷つけ、血管機能が低下 動脈硬化が進みやすくなる コレステロールなどが沈着しやすくなり、血管が狭くなる 血管が収縮して血流が悪くなる ニコチンの作用で血管が細くなり、足の血流が悪化する 血液がドロドロになる 喫煙により血液の粘り気が増し、流れにくくなる 血栓ができやすくなる 血のかたまり(血栓)ができやすくなり、血管を詰まらせる 症状が早く現れる可能性が高くなる 非喫煙者より若い年齢で冷えやしびれなどの症状が出やすい 症状が急速に悪化しやすくなる 歩ける距離が短くなる、安静時にも違和感が出てくるなど悪化が早い 治療の効果が出にくくなる 薬や治療の効果が弱まり、改善しにくくなる (文献10) タバコに含まれる有害物質は血管の内側を傷つけ、炎症や動脈硬化を進行させます。とくにニコチンは血管を収縮させ、足の血流を悪化させる原因です。 そのため、喫煙者は非喫煙者より閉塞性動脈硬化症の発症リスクが約3〜5倍高く、若年で発症する傾向もあります。動脈硬化の予防や治療には禁煙が不可欠です。(文献11) 閉塞性動脈硬化症は何科を受診するべき? 診療科名 役割・特徴 受診の目安 循環器内科 血流や動脈硬化の評価・管理が可能。動脈の状態を総合的に診断 足の冷え・しびれ・歩行時の違和感などがある場合に最優先で受診 血管外科 動脈の狭窄・閉塞に対する検査・手術(カテーテル治療など)に対応 検査や手術が必要な場合、循環器内科から紹介されることも多い 内科(かかりつけ医) 必要に応じて専門科へ紹介してもらえる 専門科がない場合にまず相談。早期の受診・紹介が重要 整形外科(注意) 神経や筋肉の疾患が専門。血流の問題を見落とす可能性あり しびれや違和感で来院しても、血流障害が見逃されることがある 皮膚科(注意) 皮膚の異常は診られるが、血流の異常に気づかれにくいことがある 足の傷で受診しても、原因が血流障害と判断されにくい 閉塞性動脈硬化症が疑われる場合は、まず循環器内科または血管外科の受診が推奨されます。循環器内科または血管外科では、血管の状態を詳しく調べる検査や適切な治療方針の判断ができます。 とくに足が冷たい、足の色が悪いといった症状がある場合は、末梢動脈疾患の可能性があるため、早期受診が大切です。 どこを受診すべきか迷う場合は、内科やかかりつけ医に相談しましょう。初期診察で必要性があれば、専門科への紹介を受けられます。症状を放置すると潰瘍や壊死など重症化する恐れがあるため、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 「どの診療科に行けば良いのかわからない」とお悩みの方は、お気軽にリペアセルクリニックへご相談ください。当院では、どんな小さなお悩みにも丁寧に耳を傾け、患者様一人ひとりに寄り添った治療のご提案をいたします。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご利用いただけますので、ご不安なことがあればいつでもご相談ください。 閉塞性動脈硬化症の治療法 治療法 内容 適しているケース 注意点・ポイント 保存療法 ウォーキングや生活習慣の見直し 初期の症状がある方 運動を継続が大切。禁煙や減塩も効果的 薬物療法 抗血小板薬や高血圧・糖尿病の治療薬 軽度から中等度の症状がある方 医師の指示に従って服薬を継続が重要 手術療法 カテーテル治療やバイパス手術 血管の詰まりが進行し、日常生活に支障がある方 術式は症状によって異なるため、専門医とよく相談する 再生医療 幹細胞などを用いて血管の再生を促す治療 他の治療が難しく、重症の状態にある方 保険が適用されない場合があり、限られた施設で実施されている 閉塞性動脈硬化症の治療は、症状の進行度や原因となる病気の有無によって異なります。 保存療法 薬物療法 手術療法 再生医療 閉塞性動脈硬化症の治療法は医師の診断と指導のもと行われます。治療法について解説します。 保存療法 取り組み内容 概要 禁煙 最も重要な改善点。喫煙は血管を傷つけ動脈硬化を進行させるため、禁煙が必須 食事の見直し 塩分や脂質を控えた食事で動脈硬化の進行を抑える 適度な運動 ウォーキングなどの軽めの有酸素運動が血流改善に効果的 体重・血圧・血糖・脂質の管理 生活習慣病の管理を通じて、血管への負担を減らし、病気の進行を防ぐ (文献12) 保存療法とは、薬や手術を用いず、生活習慣の改善などで進行を抑える治療法です。代表的なのが運動療法であり、ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行い、血流の改善を促します。また、運動だけでなく、生活習慣の見直しも大切です。 禁煙や高カロリーな食事を控えるなど、動脈硬化の進行を抑える上で基本となります。保存療法は、医師の指導のもとで行うことが大切です。運動や食事制限は無理のない範囲で続け、少しでも違和感があれば、すぐに医師に相談しましょう。 以下の記事では、下肢閉塞性動脈硬化症でやってはいけないマッサージ方法について詳しく解説しています。 薬物療法 治癒カテゴリー 薬剤例 効果の概要 抗血小板薬 アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール 血小板の凝集を抑え血栓を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも有効 血管拡張薬 シロスタゾール、プロスタグランジン製剤 血管を広げて血流を改善し、歩行距離の延長や冷え・しびれに有効 プロスタグランジン製剤 プロスタグランジンE1製剤(注射・点滴) 末梢血流を改善し、潰瘍や壊死などの重症症状を緩和・治癒促進 脂質異常症治療薬 スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチンなど) LDLコレステロールを下げて動脈硬化を予防。心血管リスクの低減にもつながる 高血圧治療薬 ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、β遮断薬 血圧を下げて血管の負担を軽減し、動脈硬化の進行を抑える 糖尿病治療薬 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬 血糖管理に加え血管保護作用もあり、心血管リスクの抑制に貢献 (文献13)(文献14) 閉塞性動脈硬化症の薬物療法は、病気の進行を抑え、症状を和らげるために行います。抗血小板薬は血栓を防ぎ、血流を保つのに役立ちます。 高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合は、それぞれの治療薬も併用します。薬は根本的な治療ではなく、進行を止めることが目的です。薬剤は医師の指示のもと、継続しての服用が大切です。 手術療法 治療法 手術方法 効果・特徴 適応病変 バイパス手術(外科的血行再建術) 閉塞部位の上下をつなぎ、静脈や人工血管で血流のバイパスを作る 長い範囲の血管閉塞に効果があり、歩行距離の改善や潰瘍の治癒、さらには足の切断を回避できる可能性がある 長い範囲の閉塞や血管内治療が難しい場合に向いている 血管内治療(カテーテル治療) カテーテルで血管を内側から広げ、必要に応じてステントを入れる 早期に血流改善が期待でき、違和感や冷えの症状が軽減しやすい 比較的短い範囲の狭窄・閉塞に対して有効 閉塞性動脈硬化症が進行し、薬や運動では十分な改善が見込めない場合、手術療法が検討されます。とくに足の血管が高度に狭くなったり詰まったりしている場合、血液の流れを回復させるには物理的な処置が必要です。 代表的なのがカテーテル治療で、狭くなった血管内に細い管を入れ、バルーンで広げ、金属製のステントを留置する方法です。より重度の場合には、詰まった血管を迂回するバイパス手術を行います。 手術療法は誰にでも適応できるわけではなく、血管や全身の状態を見て慎重に判断する必要があります。また、カテーテル治療後の再狭窄やバイパス手術後の感染などのリスクもあるため、医師とよく相談し、メリットとリスクを理解した上で治療を選ぶことが大切です。 再生医療 再生医療は、薬や手術で改善が難しい場合に検討されます。再生医療は患者自身の細胞を使用し、新たな血管の形成を促す治療です。 再生医療は比較的新しい治療アプローチであり、一部では保険適用外となりますが、重症例における有効性が報告されており現在も研究が進められています。名古屋大学大学院の報告によると、血管内治療やバイパス手術が難しい末期の患者でも、再生医療によって血流が改善し、足の切断を回避できたケースが確認されています。(文献13) また、京都府立医科大学附属病院の資料によると、バージャー病に対する再生医療では、足の切断を1年後・3年後ともに95.5%の確率で回避できたことが示されています。(文献15) 再生医療は限られた医療機関での実施となるため、事前に取り扱いのある医療機関への受診が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れたらすぐに医療機関を受診しよう 閉塞性動脈硬化症の初期症状は見過ごされやすいですが、放置すると壊死を起こし、最悪の場合は足の切断に至ることもあります。 違和感を覚えた場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、動脈硬化は全身に起こるため、足の症状だけでなく心臓病や脳卒中といった重篤な病気につながる可能性もあります。 当院リペアセルクリニックでは、症状や受診科の悩みに丁寧に対応し、必要に応じて幹細胞を使った再生医療で治療をサポートしています。 閉塞性動脈硬化症が改善せずお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考資料 (文献1) 肢閉塞性動脈硬化症に対する治療法の評価とQOL日血学会誌 (文献2) 末梢閉塞性動脈疾患|MSD マニュアル 家庭版 (文献3) 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)|日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン (文献4) 臨床研究の概要をできる限り平易な用語を用いて記載した要旨|九州大学病院 (文献5) 動脈硬化は怖い病気のはじまり|一般社団法人 日本動脈硬化学会 (文献6) 糖尿病合併症について|一般社団法人日本糖尿病学会 (文献7) 糖尿病|厚生労働省 (文献8) 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス|日本動脈硬化学会・日本医師会 (文献9) 脂質異常症|国立循環器病研究センター (文献10) 禁煙は動脈硬化予防の第一歩|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献11) Smoking as a risk factor for lower extremity peripheral artery disease in women compared to men: A systematic review and meta-analysis|PLoS One (文献12) 下肢閉塞性動脈硬化症のリハビリテーション|特定非営利活動法人 ジャパンハートクラブ (文献13) 皮下脂肪由来幹細胞で血管病を治療|Angiogenesis (文献14) 閉塞性動脈硬化症(PAD)の薬物療法 〜循環器内科医の立場から〜|日本フットケア学会雑誌 (文献15) 先進医療B 総括報告書に関する評価表(告示旧24)|第154回先進医療技術審査部会
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「最近、手や膝が痛むようになってきた」 「更年期の影響だと思っていたが、もしかするとリウマチなのではないか?」 更年期に入り、関節痛に悩まされている方の中には、このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 ご家族にリウマチの方がいる場合は、とくに不安が強いのではないでしょうか。更年期関節痛とリウマチには、発症年齢や関節痛以外の症状などの違いがあります。 本記事では、更年期関節痛とリウマチの違いや治療法、セルフケアについて解説します。両者の違いを理解して適切な治療を受けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違い この章では、更年期関節痛とリウマチの違いについて説明します。 更年期関節痛とは 更年期関節痛とは、更年期に伴う身体症状の1つです。 近年になって、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少すると、関節痛や腫れ、しびれが生じることが明らかになりました。エストロゲンには、関節や腱を保護する滑膜の腫れを抑える働きがあります。エストロゲン減少により生じた関節痛や腫れなどが、更年期関節痛と呼ばれます。 主な更年期関節痛は、以下のとおりです。 関節痛の種類 特徴 へバーデン結節 手指の第1関節に症状が現れる ブシャール結節 手指の第2関節に症状が現れる 母指CM関節症 親指の付け根に症状が現れる ばね指 曲げた手指が伸ばしにくくなる ドケルバン病 親指側の手首が痛む 手根管症候群 手のひらが痛んだりしびれたりする 手の関節だけではなく、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる場合もあります。 以下の記事では、ブシャール結節について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 リウマチとは 関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。 関節内の滑膜が自分の免疫によって攻撃されたために、手指の関節痛や腫れ、朝のこわばりといった症状が現れます。進行すると関節の変形や破壊が見られるようになります。 免疫システムの異常や、喫煙をはじめとする環境要因、遺伝的要因が発症に関与していると考えられていますが、現時点で原因は特定されていません。 関節リウマチについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いを見分けるポイント 更年期関節痛とリウマチの違いを以下に示します。 更年期関節痛 関節リウマチ 発症年齢と性別による違い 40~50代の女性に多い 閉経前後の10年間に発症しやすい 30~50代の女性に多い 60代以上で発症する場合は、性別による差は少ない。 症状による違い 手指以外にも、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる 関節の腫れは見られない、もしくは軽度 更年期が過ぎると自然に軽減する 関節痛以外の症状としては、体のほてり、発汗、動悸、イライラなどが見られる 手指の関節痛が特徴的(膝や足にも症状が出る場合もある) 関節の腫れやこわばり、熱感などが見られる 徐々に進行し、関節の変形や破壊が生じるケースもある 関節痛以外に、微熱や食欲不振、倦怠感などが見られる 更年期関節痛では時間の経過とともに症状が軽減するケースが多い一方で、関節リウマチは症状が徐々に進行する点が大きな違いといえるでしょう。 更年期関節痛の治療とケア方法 更年期関節痛の治療やケア方法は、主に以下のとおりです。 ホルモン補充療法 薬物療法 日常生活におけるセルフケア ホルモン補充療法 更年期で減少したエストロゲンを補充する治療法です。 子宮を摘出された方の場合はエストロゲンのみを補充しますが、それ以外の方は、エストロゲンと黄体ホルモンを併用します。子宮がある方の場合、エストロゲンのみを補充すると、子宮内膜が異常に増殖する「子宮内膜増殖症」のリスクがあるためです。(文献1) 薬物療法 ホルモン剤以外の薬物療法では、アスピリンやロキソニンといった消炎鎮痛剤や漢方薬などが多く用いられます。 関節痛以外の症状がある場合は、向精神薬や自律神経調整薬も処方されます。 日常生活におけるセルフケア 痛みのない範囲でのストレッチやマッサージは、セルフケアとしておすすめです。血行が促進されて、関節が動きやすくなります。ただし、強く痛むときは安静にしましょう。 バランスの良い食事や適度な運動、睡眠などで生活リズムを整えることもセルフケアの1つです。規則正しい生活は、ホルモンバランスを整えることにつながります。 食事においては、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンや、ホルモンバランスを整える働きがあるビタミンEなどを積極的に摂りましょう。ビタミンEが多く含まれる食品は、かぼちゃやほうれん草、アーモンドなどです。 更年期関節痛のセルフケアについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 リウマチの治療とケア方法 関節リウマチの治療の中心は薬物療法です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などが主に用いられるほか、ステロイド剤や非ステロイド性の消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 関節の変形や破壊が進んだ場合は、手術も選択肢に含まれます。 セルフケアとして第一に挙げられるのは禁煙です。それ以外のセルフケアとしては、栄養バランスの良い食事や適度な運動、休息などが挙げられます。 関節リウマチの治療や予防策については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関わらず早めの受診を心がけよう 更年期関節痛とリウマチは原因や発症時期、症状に違いはあるものの、どちらも関節痛が続く疾患です。 更年期関節痛の場合は更年期が終わると徐々に回復しますが、リウマチは進行性であるため、放置しておくと関節の変形や破壊などの症状も現れます。 どちらの場合でも早期発見および、早期治療が大切です。関節痛が続いている方は、整形外科やリウマチ科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関するよくある質問 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はありますか? 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はあります。 更年期は、女性ホルモンの1つであるエストロゲン減少によりさまざまな心身の症状が発生する時期です。エストロゲンは、免疫系にも影響を与えるホルモンで、炎症を抑える働きがあります。 エストロゲン減少で免疫のバランスが崩れると、リウマチを発症するリスクが高まります。関節痛がある場合は、原因に関わらず、早急に医療機関を受診しましょう。 更年期障害による関節痛はいつまで続きますか? 更年期障害による関節痛は、更年期が終わると徐々に回復に向かいます。しかし、関節痛の原因が更年期ではなくリウマチの可能性もあります。 更年期関節痛とリウマチを同時に発症している場合もあるため、関節痛が続くときは放置せず、早急に医療機関を受診しましょう。 (参考文献) (文献1) 東京医科大学病院 薬剤部「お薬のしおり 更年期障害について」2022年 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/240.pdf (最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
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「関節リウマチで治療を受けているけれど、最近いつもと違う症状が出てきた」 「関節リウマチの合併症にはどのようなものがあるのだろう?」 関節リウマチの治療を受けている方の中には、合併症に関する不安を抱えている方も多いことでしょう。関節リウマチの合併症には、間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などがあります。 本記事では、関節リウマチの合併症および原因、予防のポイントなどを解説します。合併症に関する疑問や不安解消のきっかけになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの主な合併症 関節リウマチの主な合併症として挙げられる7つの疾患を以下に示します。 間質性肺炎 骨粗しょう症 シェーグレン症候群 貧血 アミロイドーシス 肝機能障害 腎機能障害 間質性肺炎 間質性肺炎とは、肺の間質(肺胞壁および肺胞を支える組織)を中心に炎症をきたす疾患です。炎症が進むと、肺全体が固くなります。 主な症状は、息苦しさや乾いた咳(痰を伴わない咳)などです。 進行すると呼吸不全の状態になるケースもありますが、呼吸不全まで進まない種類の間質性肺炎もあります。 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨量の減少や骨質の劣化などが原因で骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。骨粗しょう症の患者数は、全国で約1,280万人といわれています。(文献1) 骨粗しょう症には閉経後骨粗しょう症や続発性骨粗しょう症などの種類があり、関節リウマチ合併症由来のものは、続発性骨粗しょう症に分類されます。 骨粗しょう症自体は、自覚症状を感じにくい疾患です。症状がないまま徐々に骨が弱くなり、腰椎や大腿骨の骨折などを引き起こす可能性があります。 大腿骨の骨折は、歩行困難や寝たきりを引き起こす大きな原因の1つとされています。 骨粗しょう症については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群は、関節リウマチと同様、自己免疫疾患の1つです。(文献2) 涙腺や唾液腺などの慢性的な炎症が起こり、ドライアイやドライマウス、鼻の乾燥などの症状が現れます。 関節リウマチの合併症は二次性シェーグレン症候群と呼ばれており、他の合併症が見られないものは、一次性シェーグレン症候群と呼ばれます。一次性シェーグレン症候群には、病変が全身に及ぶタイプも存在します。(文献2) 貧血 関節リウマチの方は、慢性的な炎症や抗リウマチ薬の副作用などにより、貧血を合併しやすい状況です。 貧血にはさまざまな種類があり、関節リウマチによるものは、鉄分が足りなくなることで起こる小球性低色素性貧血に分類されます。 関節リウマチと貧血の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 アミロイドーシス アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が、脳や心臓、腎臓、消化管、神経などのさまざまな臓器に付着し、機能障害を起こす疾患です。 アミロイドーシスには、複数の臓器にアミロイドが付着する全身性と、特定の臓器にアミロイドが付着する限局性があります。 また、アミロイドーシスは遺伝性と非遺伝性にわかれており、多くの患者は非遺伝性です。関節リウマチ合併症によるものも、非遺伝性アミロイドーシスに分類されます。 肝機能障害 関節リウマチに合併する肝機能障害の多くは、薬剤性のものです。とくに、抗リウマチ薬であるメトトレキサートの副作用で肝機能障害が起こりやすいとされています。 リウマチの薬の影響でB型肝炎やC型肝炎のウイルスが活性化し、無症状の方が発症する場合もあります。 自己免疫疾患の一つである関節リウマチでは、他の自己免疫疾患を合併するケースも少なくありません。肝臓疾患としては、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などがあります。 腎機能障害 関節リウマチ合併症としての腎機能障害は、ネフローゼ症候群や腎不全などアミロイドーシスに関係しているものが多い状況です。抗リウマチ薬や消炎鎮痛剤の副作用による腎機能障害もあります。 腎機能障害の症状としては、全身の倦怠感やむくみ、タンパク尿などが挙げられます。 関節リウマチと腎機能障害の関係については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチの合併症が生じる原因 関節リウマチの合併症が生じる原因としては、疾患そのものに加えて薬の副作用が挙げられます。 間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などは関節リウマチ由来の合併症であり、肝機能障害は、薬の副作用であることが多い状況です。 腎機能障害には、アミロイドーシスに由来するものや薬の副作用によるものがあります。 関節リウマチの合併症予防と早期発見のポイント 関節リウマチの合併症予防および早期発見のポイントは、主に以下の2つです。 生活管理 定期的な受診 生活管理 関節リウマチ悪化予防のために一番望ましい行動は、禁煙です。(文献3)寝る前や食後の歯磨きや、歯科検診などの歯周病予防も欠かせません。歯周病は関節リウマチ発症や悪化に関係するためです。 貧血や骨粗しょう症といった合併症予防のためには、カルシウムや鉄分の多い、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。 関節リウマチは抗リウマチ薬やステロイド剤の影響で、感染症を引き起こしやすいとされています。(文献4)手洗いやうがいといった日頃からの感染予防に加えて、必要に応じて各種予防接種を受けましょう。 定期的な受診 合併症の予防や早期発見のためには、定期的に医療機関を受診し、必要な診察および検査を受けることが大切です。いつもと違う症状があるときは、ためらわずに受診し、主治医へ状況を伝えましょう。 症状がないときに受診や内服を中断すると、関節リウマチそのものが悪化してしまい、合併症のリスクも高まります。自己判断での服薬中断は避けてください。 関節リウマチの薬については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチで合併症を引き起こさないためにも継続的な治療が大切 関節リウマチの合併症は、疾患そのものによるものから薬の副作用まで多くの種類が存在します。 合併症予防および早期発見・治療のためにも、日頃から薬の内服を続け、いつもと違う症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。いつもと違う症状を放置しないことが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチおよび合併症についても、お気軽にご相談ください。 関節リウマチの合併症に関するよくある質問 関節リウマチの合併症で亡くなることはありますか? 関節リウマチ合併症の中でも、狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などの心血管イベントを発症すると、重症の場合亡くなることもあります。(文献5) 関節リウマチは、関節だけではなく血管にも炎症を起こすことがあるため、血管の狭窄や血栓が発生しやすい状況です。そのため心血管イベントにつながる可能性が高いとされています。 合併症の1つである間質性肺炎も、重症化したり急激に悪化したりすると命に関わる場合も少なくありません。(文献6) シェーグレン症候群を治療しないとどうなりますか? シェーグレン症候群を治療しないと、別の病気を発症していることに気づけないリスクがあります。 シェーグレン症候群は現段階では完治が難しいものの、予後は良好とされる疾患です。しかし、経過観察中に間質性肺炎や腎不全、リンパ腫を発症する場合もあります。(文献2)そのため発症後は、定期的な治療や経過観察が必要です。 関節リウマチの合併症で多いのは何ですか? 関節リウマチの合併症はさまざまであるため、どれが一番多いとの断定は難しい状況です。 合併症の1つである間質性肺炎は、関節リウマチ患者の約10~30%に見られています。(文献6) それ以外の合併症としては、肝機能障害や腎機能障害、骨粗しょう症、貧血、シェーグレン症候群、各種感染症などがあります。 (参考文献) (文献1) 公益財団法人 骨粗鬆財団「病気について」 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/faq/faqabout.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献2) 順天堂大学医学部附属順天堂医院「シェーグレン症候群」膠原病・リウマチ内科 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease03.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献3) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマチ・膠原病を心配したら」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/general/collagen-diseases/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献4) ファイザー株式会社「日常生活の注意点 関節リウマチと感染予防」リウマチeネット https://www.riumachi.jp/life/caution/infectionprevention(最終アクセス:2025年5月22日) (文献5) 公益財団法人日本リウマチ財団「心血管イベント」リウマチ情報センター https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/complications/shinkekkan_event/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献6) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「肺炎,間質性肺炎」,2015年6月1日 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/ra-complications/ip.html(最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
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「手の指が腫れていて、こわばる感じがする。」「血縁者にリウマチ患者がいるので、遺伝したのでは?」などと、関節リウマチの症状や遺伝について不安を抱える方もいるのではないでしょうか。 関節リウマチ発症には遺伝的要素もありますが、環境要因も発症に関係するため、確実に遺伝するわけではありません。 本記事では、関節リウマチと遺伝の関係性やその他の要因、予防法などについて解説します。 関節リウマチと遺伝に関する疑問を解消したい方は、参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。 気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 関節リウマチは遺伝要因と生活習慣が関係する 関節リウマチは、自分の免疫細胞が関節の滑膜を攻撃することで関節炎を引き起こす疾患です。 関節リウマチを発症する原因は、現在も完全には解明されていませんが、遺伝的な要因に加えて生活習慣が背景にあるとされています。 たとえば、家族内では食習慣や喫煙習慣などが受け継がれるケースがあるため、関節リウマチの発症リスクと間接的に関係する場合があるのです。 遺伝要因としては、「HLA-DR4」や「HLA-DR1」など、ヒト白血球抗原(HLA)に分類される特定の遺伝子の存在が関与しているとされています。 ただし、関節リウマチの遺伝は、いわゆる単一遺伝子疾患とは異なり、発症に関与する複数の遺伝子が複雑に関係しています。 つまり、特定の遺伝子を持っているからといって、必ずしも関節リウマチを発症するわけではありません。 関節リウマチと遺伝の関係については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチが遺伝する確率 家族歴がある場合、関節リウマチの発症リスクは高くなることが知られています。複数の研究により、親や兄弟姉妹が関節リウマチである場合、発症リスクは一般人口の約3〜12倍になると報告されています。(文献1)(文献2) 一卵性双生児での発症一致率は12~15%程度、二卵性双生児や兄弟姉妹間の発症一致率は2~4%程度とされています。(文献3) しかし、関節リウマチは遺伝的背景に加えて環境要因も関係するため、確実に遺伝する疾患ではありません。 血縁者に関節リウマチ患者がいても発症しない場合がありますし、血縁者に関節リウマチ患者がいない方でも発症するケースがある点に留意しておきましょう。 男性より女性のほうが遺伝しやすい 関節リウマチは女性に多く見られる疾患であり、発症には男女差が大きく影響していることが知られています。 日本リウマチ学会によると、男女比はおよそ1:3.21で女性に多いとされ、女性ホルモンや免疫機能の違いが関与している可能性があると考えられています。(文献4) また、関節リウマチの発症年齢は一般的に40~60代に多く見られますが、最近では高齢になってから症状が現れるケースが増加傾向にある点も見逃せません。 高齢の発症例では、男女比は1:2~3程度と報告されており、全体と比較して性別による差がやや小さくなる傾向があります。(文献4) したがって、高齢者の場合は、男女の区別なく関節リウマチに注意すべきであるといえるでしょう。 関節リウマチの遺伝と発症メカニズム 関節リウマチの発症には、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関与しています。 ここでは、関節リウマチに関連する遺伝子や発症メカニズムについて詳しく見ていきましょう。 関節リウマチの発症に関わる遺伝子 関節リウマチの発症には、複数の遺伝子が関与しています。 なかでも「HLA遺伝子(ヒト白血球抗原遺伝子)」は、発症リスクにもっとも大きな影響を与える遺伝的要因とされています。 HLA遺伝子は、免疫機能を調整する働きを持ち、体内の異物を識別して排除するための重要な役割を果たしているのが特徴です。 HLA遺伝子は「クラスI」「クラスII」「クラスIII」の3つの領域に分類されます。(文献5) とくに、クラスII領域のひとつである「HLA-DRB1遺伝子」が関節リウマチと強く関連していることが、近年の研究で明らかになっています。(文献6) 関節リウマチとの関連が判明している代表的な遺伝子は、以下のとおりです。 HLA PTPN22(免疫の働きを調整する遺伝子) PADI4(炎症反応に関与) CCR6(免疫細胞の移動に関与) IL2RA(免疫応答を調節) TNFAIP3(炎症抑制因子の調整) TYK2(免疫関連シグナル伝達に関与) IRF5(免疫応答の転写因子) IRAK1(炎症応答の活性化に関与) CD40(免疫細胞の活性化に関与) 関節リウマチの原因は完全に解明されていない 関節リウマチの明確な原因は、完全に解明されていません。本来自身を守るはずの免疫が誤って自分自身の関節の組織を攻撃する「自己免疫疾患」であり、誤作動によって関節の滑膜と呼ばれる組織に炎症が起き、腫れや痛み、関節の変形が進行していきます。 なぜ免疫が誤って反応してしまうのかについては、遺伝的素因と環境的要因(感染、喫煙、ストレスなど)が複雑に関係していると考えられています。つまり、特定の遺伝子を持つ人が外的な刺激を受けたことをきっかけに、免疫の異常を引き起こす可能性があるわけです。 このように、関節リウマチはひとつの原因で発症するわけではなく、複数の要因が重なり合って発症に至る「多因子性疾患」である点を理解しておきましょう。 炎症性サイトカインが骨を壊す破骨細胞を活性化させる 関節リウマチの発症や進行には、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が深く関係しています。サイトカインとは免疫細胞が出すタンパク質の一種で、体内で炎症や感染をコントロールする働きを担っているのが特徴です。 代表的な炎症性サイトカインには、TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)やIL-6(インターロイキン6)などがあります。本来、病原体と戦うために必要な物質ですが、関節リウマチではこれらのサイトカインが必要以上に作られ、関節内に慢性的な炎症を引き起こすのです。 さらに、炎症性サイトカインは「破骨細胞」という骨を壊す細胞を活性化させます。破骨細胞が過剰に働くと関節の骨が次第に溶かされ、骨そのものが破壊されていきます。 その結果、関節の変形が進んで動かしづらくなるなど、日常生活に大きな支障をきたすようになるわけです。 関節リウマチにおける主な検査 関節リウマチにおける主な検査は、血液検査と画像診断です。 血液検査では免疫反応や炎症反応を調べ、画像診断では関節の炎症や破壊の状況を確認します。 なお、一部の民間遺伝子解析サービスで関節リウマチの遺伝子検査が実施されていますが、医療機関で診断に用いられているケースはまれです。 また、一部の自己炎症性疾患に対して遺伝子検査を実施している医療機関もありますが、確定診断ではなく、発症リスクの評価や治療方針の決定に用いられています。 関節リウマチの検査については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチを予防する生活習慣改善のポイント 関節リウマチは、遺伝的な素因を持つ人が、さまざまな環境因子の影響を受けて発症する疾患とされています。 完全に予防することは困難ですが、発症リスクを低下させるために取り組める生活習慣の改善ポイントがいくつか明らかになっているのでチェックしておきましょう。 禁煙する 喫煙は、関節リウマチの発症リスクを高める要因のひとつです。 タバコに含まれる有害物質が免疫機能に影響を与え、自己免疫反応を誘導する可能性があると考えられています。 関節リウマチの予防と治療において、禁煙は極めて重要です。 喫煙は、一度関節リウマチを発症したあとの病状悪化にも関与するとされ、薬が効きにくくなるなど治療効果の低下にもつながる恐れがあります。 とくに、遺伝的素因がある人は、速やかに禁煙しましょう。 適切な体重を管理する 肥満も、関節リウマチの発症と進行に関わるリスク要因です。 体脂肪が増加すると、炎症性サイトカインの産生が活性化され、免疫のバランスが崩れることで関節リウマチのリスクが高まると考えられています。 さらに、肥満は関節に過剰な負担をかけるだけでなく、発症後の症状悪化や治療効果の低下にも影響を及ぼしかねません。 バランスの取れた食事や適度な運動を通じて適正な体重を維持し、予防につなげていきましょう。 歯周病を予防する 歯周病と関節リウマチには、強い関連があるとされています。 歯周病を引き起こす細菌が免疫系に異常な反応を誘発する可能性があり、自己免疫疾患の発症に関与するとされているのです。 歯周病を予防するためには、日常的な歯磨きに加えて定期的に歯科検診を受けましょう。 とくに、家族に関節リウマチの患者がいる場合や、すでに歯周病の兆候が見られる人は、早めに対処してください。 早期に医療機関を受診する 関節リウマチは、早期発見・早期治療が重要な疾患です。 初期には、以下のような症状が現れます。 朝の手のこわばり 指や手首の関節の違和感 左右対称に出る腫れや痛み これらの症状を放置すると関節の破壊が進み、元の機能を取り戻せなくなる恐れがあるため注意が必要です。 発症の兆候に早く気づき、医療機関で適切な検査と診断を受ければ、関節の機能を保ちつつ進行を抑えることが可能になります。 関節リウマチで注意すべき食生活と運動については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。 関節リウマチの痛みに対する「再生医療」の選択肢 近年、関節リウマチによる痛みや炎症に対して「再生医療」が新たな選択肢になっています。 再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。 再生医療には、主に2つの方法があります。 他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に投与する「幹細胞治療」 血液中の血小板に含まれる成長因子の働きを活用する「PRP療法」 いずれの治療法も入院や手術は不要で、日帰りでの対応が可能です。 体への負担を抑えた治療を検討している方にとって、手術を伴わない選択肢のひとつとなっています。 当院で行っている関節リウマチに対する再生医療については、以下の症例記事をご覧ください。 まとめ|関節リウマチは遺伝の有無にかかわらず早めに医療機関を受診しよう 関節リウマチは遺伝的な素因が関与しているものの、必ずしも遺伝性疾患とは言い切れません。 関節リウマチが疑われる症状がある場合、家族に患者がいるかどうかにかかわらず、早期の受診が極めて重要です。 初期段階で適切な治療を開始することで、関節の破壊や日常生活への支障を最小限に抑えられます。 また、喫煙や感染、歯周病などの環境要因も発症に関係があるため、生活習慣も改善していきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 関節リウマチと遺伝に関するよくある質問 関節リウマチになりやすいのはどのような人ですか? 日本での関節リウマチ患者数は60万人~100万人程度といわれており、人口の約0.5%から1%が関節リウマチ患者とされています。(文献7) 関節リウマチは女性に多い疾患であり、男女比は1:3.21です。 年齢で見ると、最も多いのは40代から60代とされてきましたが、近年では65歳以上で発症する「高齢発症関節リウマチ」も増えています。 関節リウマチは父母、もしくは祖母から孫へ隔世遺伝する? 関節リウマチは、親や祖父母が患者であっても、必ず子や孫に遺伝するわけではありません。 確かに遺伝的な素因が発症リスクに関与することは知られていますが、発症しやすい体質が受け継がれる可能性を示すものであり、直接的な遺伝性疾患とは異なります。 生活習慣や環境要因の影響も大きいため、過度に不安になる必要はありません。 関節リウマチ発症における遺伝以外の要因とは何ですか? 関節リウマチの発症は、遺伝的な要因だけではなく、以下のような環境要因も関与します。 細菌やウイルスへの感染 過労・精神的ストレス 喫煙 外傷 出産 上記のような要因が重なって自己免疫反応が活性化し、関節の炎症を引き起こすと考えられています。 参考文献 (文献1) Familial aggregation of rheumatoid arthritis and co-aggregation of autoimmune diseases in affected families: a nationwide population-based study|Rheumatology (Oxford) (文献2) Familial risks and heritability of rheumatoid arthritis: role of rheumatoid factor/anti-citrullinated protein antibody status, number and type of affected relatives, sex, and age|Arthritis Rheum (文献3) 関節リウマチ(RA):トピックス診断と治療の進歩|日本内科学会雑誌 (文献4) 関節リウマチの基礎知識|一般社団法人 日本リウマチ学会 (文献5) 関節リウマチのゲノム医療の入り口としてのHLA遺伝子|臨床リウマチ (文献6) Imputing Variants in HLA-DR Beta Genes Reveals That HLA-DRB1 Is Solely Associated with Rheumatoid Arthritis and Systemic Lupus Erythematosus.|PLOS ONE (文献7) リウマチ等対策委員会報告書」について|厚生労働省
2025.05.30 -
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- 内科疾患
「健康診断の血液検査でリウマチの数値が高いと指摘された」 「リウマチの数値が高い上に、関節が痛んだり腫れたりしている」 「関節リウマチの血液検査の内容を知りたい」 このような疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、関節リウマチの血液検査にはさまざまな種類があります。血液検査で異常がなくても関節リウマチと診断される場合も少なくありません。 本記事では関節リウマチの血液検査について詳しく紹介します。 お悩みの症状が関節リウマチに関係しているかの目安がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチにおける血液検査の種類 関節リウマチにおける血液検査の種類は、主に以下の3つです。 免疫に関する検査 炎症に関する検査 その他の血液検査 免疫に関する検査 ここでは免疫に関する検査として、リウマトイド因子と抗CCP抗体、MMP-3について説明します。 リウマトイド因子 リウマトイド因子とは、リウマチの診断および治療に有効な検査値で、一般的な基準値は15IU/ml以下です。(文献1) リウマトイド因子が50や100といった高値を示し、関節症状がある場合、リウマチである可能性が高いとされています。 ただし、関節リウマチ以外でも高値を示すこともあるため、この検査だけでリウマチと確定させることは難しいでしょう。 抗CCP抗体 抗CCP抗体とは、関節リウマチの診断や予後の予測に関する検査値で、一般的な基準値は4.5U/ml未満です。(文献2)、(文献3) 検査値が高く、関節症状がある場合、関節リウマチの可能性がきわめて高いといえるでしょう。他のリウマチ因子とは異なり、リウマチ以外の疾患で高値を示すことはまれであるため、関節リウマチの診断に有効な検査です。 抗CCP抗体の数値が高い場合は、関節リウマチの中でも関節や骨の破壊が進みやすいタイプであることを意味します。 MMP-3 MMP-3は、関節リウマチにより炎症を起こしている滑膜で多く分泌される酵素であり、リウマチによる軟骨破壊の程度をあらわします。 MMP-3 の基準値は、以下のとおりです。 男性:36.9~121.0 ng/ml 女性:17.3~59.7 ng/ml (文献3) 関節リウマチの初期段階から上昇するといわれていますが、関節リウマチ以外の疾患やステロイド内服時でも高値を示す場合もあります。 関節リウマチ以外でMMP-3 が高値を示す疾患として挙げられるのは、全身性エリテマトーデスやリウマチ性多発筋痛症などです。 炎症に関する検査 ここでは炎症に関する検査として、CRPと赤血球沈降速度について説明します。 CRP CRPは、全身の急性炎症を示す指標です。 正常値は0.3mg/dl未満であり、炎症が強いときには10mg/dlを超える場合もあります。(文献3)、(文献4) 炎症や組織の破壊が起きたときに、白血球の仲間であるリンパ球や単球、マクロファージが炎症性サイトカインを分泌します。炎症性サイトカインにより肝臓の細胞が刺激された結果分泌されるタンパク質が、CRPです。 CRP値が高値を示す疾患は、関節リウマチ以外に複数存在します。主な疾患としては、以下のようなものが挙げられます。 肺炎 ウイルス性肝炎 腎盂腎炎 そのため、CRP値のみでの関節リウマチ診断は難しいといえるでしょう。 赤血球沈降速度 赤血球沈降速度は慢性炎症の指標です。 細長いガラス管の中に抗凝固剤(クエン酸)を加えた血液を入れて、1~2時間立てておきます。この間に、赤血球が沈んだ深さを検査値とします。 正常値は以下のとおりです。(文献3) 男性:1時間に10㎜未満 女性:1時間に20㎜未満 炎症が起こっているときは赤血球の沈む速度が速くなり、関節リウマチ患者では50㎜前後といわれています。(文献4) その他の血液検査 その他の血液検査として挙げられるのは、主に以下の4項目です。 貧血検査 肝機能検査 腎機能検査 肺機能検査 貧血検査 関節リウマチ患者は慢性的な炎症が原因で、貧血傾向にあります。これは炎症性サイトカインが原因で鉄分の吸収が抑制されるためです。 抗リウマチ薬(メトトレキサート)の副作用で貧血が出現する場合もあります。 貧血の程度を測るための検査値が、赤血球数やヘモグロビン値、血色素量などです。WHO(世界保健機構)の定義によると、成人男性ではヘモグロビン値13.0g/dl以下、成人女性ではヘモグロビン値12.0g/dl以下が貧血とされます。 貧血に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 肝機能検査 関節リウマチ患者は、メトトレキサートをはじめとした薬の副作用により肝機能が低下する場合があるため、定期的に検査を実施します。 主な肝機能検査は、AST(別名GOT)やALT(別名GPT)です。医療機関ごとに異なりますが、どちらかの検査値が100U/Lを超えた場合は、内服薬を調整するケースが一般的です。(文献5) B型肝炎およびC型肝炎ウイルス検査を実施するケースもあります。肝炎ウイルスは感染しても無症状のことが多いのですが、リウマチの薬により免疫力が低下して、ウイルスが活性化する場合もあるためです。 関節リウマチと薬の関係については以下の記事でも解説しますので、あわせてご覧ください。 腎機能検査 関節リウマチ患者は薬の副作用により腎機能が低下する場合があるため、血液検査で経過を観察します。 主な腎機能検査は、クレアチニンやeGFRです。基準値は医療機関によって異なりますが、クレアチニン値が高い、もしくはeGFR値が低いと腎機能低下の疑いがあります。 リウマチのコントロールが不良の場合、「アミロイドーシス」と呼ばれる合併症を引き起こす可能性があります。アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるタンパク質が過剰に作られて、さまざまな臓器に付着した結果起こる疾患の総称です。 腎臓でアミロイドーシスが起きると、ネフローゼ症候群や腎不全を発症する場合があります。 肺機能検査 関節リウマチの合併症および副作用の1つとして、呼吸器疾患があります。重要な呼吸器疾患の1つが間質性肺炎(肺線維症)です。 一般的な肺炎は細菌やウイルス感染により肺に炎症が起こりますが、間質性肺炎は、肺胞の壁に当たる部分(肺胞壁)や肺胞を支える組織に炎症が起きます。その結果、肺全体が固くなります。 間質性肺炎の度合いを表す血液検査の1つが、KL-6です。医療機関ごとに異なりますが、一般的な基準値は500U/ml未満です。KL-6が高い場合は、間質性肺炎の発症もしくは悪化が考えられます。 関節リウマチにおける血液以外の検査 関節リウマチにおける血液検査以外の検査としては、画像検査があります。具体的には、レントゲン検査や超音波検査、MRI検査などです。 レントゲン検査では関節周囲の骨が薄くなる骨粗しょう症や、骨が削られたように欠ける骨びらんなどの状況がわかります。 超音波検査では炎症の状態がリアルタイムに把握できるほか、骨の状況も高感度で確認可能です。 MRI検査では、関節周囲の筋肉や軟骨などの炎症や腫れを確認できます。 血液検査で異常なしでも関節リウマチを発症している場合がある リウマトイド因子や抗CCP抗体などの血液検査が陰性であっても、関節リウマチと診断されるケースがあります。主に挙げられるのが、血清反応陰性関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症です。 血清反応陰性関節リウマチの症状や治療法は、一般的な関節リウマチと同様です。血液検査が陰性であるため、超音波検査で関節の腫れや炎症を確認します。 60歳以上で発症する関節リウマチの場合、血清反応陰性例が多いとされています。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は、両肩周囲のこわばりや痛みで発症し、手指や足指の腫れや関節痛が少ないのが特徴的です。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は関節リウマチと異なり、少量のステロイド剤が治療に使われます。ステロイド剤の量は患者の状況によって調整します。リウマチ性多発筋痛症も高齢での発症が多い疾患です。 関節リウマチの治療については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 血液検査の理解を深めて関節リウマチの改善に努めよう 関節リウマチにおける血液検査は、免疫や炎症に関する項目に加えて、貧血や肝機能、腎機能、肺機能などに関する項目があります。貧血や肝機能などの検査は、薬の副作用や合併症に関連したものです。 関節リウマチの場合、血液検査だけではなく画像診断も大事な指標です。 また、血液検査で異常なしであってもリウマチを発症しているケースもあります。関節痛や腫れ、変形など、リウマチと思われる症状でお悩みの方は、早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの方が日常で避けるべき行動について、下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。血液検査の結果に疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチと血液検査に関するよくある質問 関節リウマチの有無は検査後にすぐわかるものですか? 関節リウマチの有無は、検査後すぐにわからないことが多いとされています。 血液検査、とくにリウマトイド因子や抗CCP抗体などは検査結果が判明するまでに数日から1週間程度かかるためです。 画像検査においても、レントゲン検査や超音波検査はすぐに結果がわかりますが、MRI検査の場合は結果がわかるまで数日かかることがあります。 これらの状況から見ても、関節リウマチの有無は検査後すぐにはわからないと考えた方が良いでしょう。 関節リウマチの検査は何科を受診すれば良いですか? リウマチ科や膠原病内科、整形外科などのリウマチ専門医がいる科の受診が望ましいでしょう。 近くの医療機関にこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科を受診して、専門医への紹介状を書いてもらうことをおすすめします。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節リウマチの治療を実施しております。お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマトイド因子標準化のガイドライン」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/news110817/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 京都大学医学部附属病院リウマチセンター「関節リウマチに関わる血液の検査結果の見方」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/01/ra2013011702.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 順天堂越谷病院「膠原病・リウマチの検査」2020年 https://hosp-koshigaya.juntendo.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/49a86a7ddc1e3f5f01e26b8a369af6e8.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) Doctors Me 「健康診断の血液検査項目「CRP」 知っておきたい数値の意味」 https://doctors-me.com/column/detail/4886(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター「京大リウマチ通信 リウマチで注意する血液データ」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/05/ra201303.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 桑名正隆.「高齢者における診断・治療の進歩:関節リウマチ」『日本内科学会雑誌』111(3), pp.454-460, 2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/3/111_454/_pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「関節リウマチと診断されて薬を飲み始めた」 「自分が今飲んでいる薬は、どのような効果があるのだろう」 「リウマチの薬は一生飲み続けるものだろうか」 このような疑問や不安を抱えている方も多く、とくに、関節リウマチと診断されて間もない方にとっては切実な問題です。 本記事では、関節リウマチの薬に関して詳しく解説します。 病気の進行が落ち着く「寛解状態」を目指すためにも、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの薬は主に5種類 関節リウマチの治療で用いられる薬は、主に以下の5種類です。 抗リウマチ薬 生物学的製剤 JAK阻害剤 非ステロイド性消炎鎮痛剤 副腎皮質ステロイド剤 抗リウマチ薬 抗リウマチ薬には、免疫異常や、関節の炎症およびリウマチの活動性を抑制するはたらきがあります。 メトトレキサート 抗リウマチ薬の第一選択肢がメトトレキサートです。一般的に抗リウマチ薬は、効果が出るまで1~2か月程度かかりますが、メトトレキサートは2~3週間程度で効果が出るといわれています。(文献1) メトトレキサートは、1週間に1日もしくは2日だけ内服する薬です。副作用軽減のために、内服日の2日後に葉酸を内服します。 メトトレキサートの副作用として挙げられるのは、口内炎や貧血、肝機能異常、間質性肺炎などです。 メトトレキサート以外の抗リウマチ薬 メトトレキサート以外の主な抗リウマチ薬を以下に示します。 薬剤名 特徴 内服方法 副作用 サラゾスルファピリジン 軽症から中等症の患者に有用 メトトレキサート内服不可の患者に用いられる 内服開始後1~2か月程度で効果が出る 朝食後と夕食後に1錠内服 1錠は250mgもしくは500㎎ 皮疹 かゆみ 発熱 肝機能障害 ブシラミン 日本で開発された抗リウマチ薬 軽症から中等症の患者に有用 内服開始後1~3か月程度で効果が出る 1日50㎎もしくは100㎎から開始 通常は1日100~200mg 消化器症状 皮疹 肝機能障害 腎機能障害 タンパク尿が出た場合は内服中止 タクロリムス 日本で開発された免疫抑制剤の一種 2005年に関節リウマチへの適応が認められた 血中濃度測定が保険適応になっている 夕食後に内服 成人は1回2錠(3㎎) 高齢者は1回1錠(1.5㎎) 腎機能障害 耐糖能異常 下痢 腹痛 (文献1) タクロリムス内服時にグレープフルーツを食べたり、他の薬剤を内服したりすると、血中濃度が必要以上に上昇する場合があります。 生物学的製剤 生物学的製剤とは、生物から産生されるタンパク質を応用して作られた薬の総称です。 関節リウマチは、免疫に関わる物質であるサイトカインが通常より増えて、関節の炎症や破壊が生じる疾患です。 生物学的製剤は、点滴や皮下注射によって、サイトカインおよびサイトカインを産み出す細胞の働きを抑えます。これにより炎症を和らげ、関節痛や腫れなどの症状を軽減させる仕組みです。 サイトカイン産生細胞には、炎症を引き起こすTNF-αや炎症に関与するIL-6などがあります。 主な生物学的製剤を以下に示します。 薬剤名 特徴 投与方法 投与間隔 インフリキシマブ TNF-αに作用する 点滴 4~8週間に1回 エタネルセプト TNF-αに作用する 皮下注射 1週間に2回 アダリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 ゴリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 4週間に1回 セルトリズマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 トシリズマブ IL-6に作用する 点滴 4週間に1回 サリルマブ IL-6に作用する 皮下注射 2週間に1回 アバタセプト T細胞に作用する 点滴 4週間に1回 T細胞とは、白血球の仲間であるリンパ球の1つであり、免疫機能をつかさどる細胞です。 生物学的製剤については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 JAK阻害薬 JAK阻害薬は、分子標的型のリウマチ治療薬であり、関節に炎症を起こす分子「JAK」の働きを抑える効果があります。2013年3月にトファシチニブが日本で承認され、同年7月に発売されました。(文献2) 生物学的製剤は注射もしくは点滴での投与ですが、JAK阻害薬は内服可能な薬です。 トファシチニブ以外の主なJAK阻害剤としては、以下のようなものが挙げられます。(文献2) バリシチニブ ベフィシチニブ ウパダシチニブ フィルゴチニブ JAK阻害薬の副作用では、帯状疱疹の発症リスクが高いとされています。加えて、悪性腫瘍や狭心症、心筋梗塞などにも注意が必要です。 JAK阻害薬は費用が高額であるため、医療保険で自己負担3割の方の場合、毎月5万円程度の医療費が発生します。 非ステロイド性消炎鎮痛剤 主な非ステロイド性消炎鎮痛剤は、アスピリンやロキソニン、インドメタシンなどです。プロスタグランジンと呼ばれる、炎症を引き起こす物質の産生を抑えて、関節痛や腫れを軽減させる役割があります。 効き目が速い点が特徴ですが、関節変形を抑える効果は期待できないとされています。 主な副作用は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍や、腎機能低下などです。 最近では、COX-2阻害薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤が使用可能になりました。(文献3) 副腎皮質ステロイド剤 関節リウマチでは、症例により少量のステロイド剤を用いるケースがあります。主なステロイド剤は、プレドニンやリンデロン、デカドロンなどです。 炎症を抑える作用や免疫抑制作用が強く、はやく効果が出ます。しかし、骨粗しょう症や消化性潰瘍など、副作用も多いこともあり、リウマチ治療においては補助的な役割です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤の使用により、ステロイドを減量もしくは中止する例も増えています。 関節リウマチにおける薬物療法の目的 関節リウマチにおける薬物療法の目的は、「症状を抑えること」から「寛解導入」に移行しています。寛解とは、病気の進行が落ち着いている状態です。 現在、関節リウマチ治療の最終ゴールは、以下3点の達成・維持とされています。 臨床的寛解(炎症がほぼ消えた状態) 構造的寛解(関節破壊の進行が抑えられている状態) 機能的寛解(身体機能の低下がみられない状態) 関節リウマチは進行性の疾患であり、進行を止めることは難しいと考えられていました。その考えに変化が生じたのは、2000年前後です。 1999年に抗リウマチ薬の1つであるメトトレキサートが保険適用され、2003年には生物学的製剤が国内で発売開始されました。これらの変化により、関節リウマチの進行を抑えられるようになったのです。 リウマチの薬を飲まないとどうなるのか 副作用が怖い、症状が改善されたなどの理由により、自己判断でリウマチの薬を飲まなくなる方も少なくありません。しかし、自己判断で薬を中止すると、症状が悪化する可能性が高まります。 とくに、メトトレキサートを中心とする抗リウマチ薬のみの治療を受けている場合は、自己判断で中止すべきではありません。内服をやめた場合、症状の悪化率が倍になったという研究データもあります。 日本リウマチ学会による「関節リウマチ治療ガイドライン2014」を要約すると、減薬の優先度は以下のとおりです。 ステロイド 生物学的製剤 抗リウマチ薬 薬を飲むことに不安や疑問がある方は、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談しましょう。 関節リウマチの薬について理解した上で治療を受けよう 節リウマチの薬は、免疫に関係して関節の炎症を抑えたり、関節痛や腫れ、変形を軽減したりする効果があります。 関節リウマチは進行性の疾患ですが、新たな薬の開発が進んでいることもあり、寛解を目標にできるようになりました。しかし、寛解を目標にできるのは、指示どおりに薬を内服している場合です。 自己判断で薬を減らしたり止めたりすると、病気に良くない影響を与えます。副作用が不安である、症状が軽減されたなどの理由で、薬の減量や中止を考えている方は必ず主治医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの薬や治療について疑問や不安のある方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの薬に関するよくある質問 関節リウマチの薬が効かず症状が改善されない場合もありますか? 薬物治療の効果が得られないケースもあり、その場合は薬を見直します。 抗リウマチ薬の内服を始めて3か月経過しても効果が不十分であれば、量を増やすか、生物学的製剤に切り替えます。 生物学的製剤を投与する場合も、3~6か月程度の経過観察が必要です。経過観察の結果、効果が不十分と判明したときは、他の生物学的製剤やJAK阻害剤に変更します。 内服・投与治療による効果が見られない場合は、手術療法も選択肢に入ります。 リウマチの治療費が高すぎると感じます。医療費の補助はありますか? 生物学的製剤やJAK阻害剤などは薬代が高いため、医療保険で自己負担3割の方の場合、1か月の医療費が3万円以上になることも少なくありません。(文献4) 医療費を軽減する主な制度が、高額療養費制度です。1か月の医療費が所定の自己負担上限額を超えたときに、加入している医療保険から上限を超えた分が支給されます。 高額療養費制度について詳しく知りたい方は、加入している健康保険組合やお住まいの市区町村役場などにお問い合わせください。通院先の医療機関で確認できる場合もあります。 参考文献 (文献1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科「関節リウマチ」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease01.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献2) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「JAK阻害薬(ジャックそがいやく)」 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/medication/biologics/jak.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター「非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)」 https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/dtherapy/nsaids/(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 松野博明.「医療費を考慮した関節リウマチの治療」『臨床リウマチ』34(4), pp.268-274, 2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/34/4/34_268/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月16日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
関節リウマチの発症には、さまざまな原因が関係していると考えられています。 現時点で原因は完全には解明されていませんが、発症の仕組みやリスクを理解することは、予防や悪化防止の観点からも重要です。 本記事では、免疫・遺伝・生活環境といった基本的な要因に加え、ストレス・喫煙・飲酒・歯周病・性格傾向といった身近な要素との関連性についても解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチなどの治療にも用いられている「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 関節リウマチの原因 ここでは、関節リウマチの発症に関係する免疫・遺伝・環境の3つの要因を中心に、原因をわかりやすく解説します。 免疫システム 関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じる「自己免疫疾患」の一種です。 本来は細菌やウイルスなどを攻撃する免疫システムが、自分の体の一部である関節の内側にある「滑膜(かつまく)」という組織を誤って攻撃し、炎症を引き起こします。 炎症の原因となるのが、「サイトカイン」と呼ばれるたんぱく質です。 サイトカインは免疫細胞から分泌され、なかでも「IL-6(インターロイキン6)」や「TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)」は、炎症を強く進める働きを持っています。 サイトカインが過剰に分泌されることで、炎症が悪化していくのです。 環境要因 関節リウマチの発症には、もともとの体質に加えて生活環境も関わってきます。 免疫の働きに異常が起こると、関節の滑膜や骨などを自分で攻撃してしまい、そこに環境要因が重なることで発症しやすくなるのです。 代表的な環境要因には、以下のようなものがあります。 喫煙 ウイルスや細菌の感染 歯周病 腸内細菌叢の変化 家族に関節リウマチの人がいる場合は、上記のような環境要因をできるだけ避けると発症リスクを減らすことにつながります。 遺伝的要因 関節リウマチの発症には、遺伝的な要因も深く関わっていることがわかっています。 なかでも、代表的なのが「HLA(ヒト白血球型抗原)」という遺伝子です。 HLAは免疫の働きを調整する重要な役割を持っており、特定のタイプをもつ人は関節リウマチを発症しやすいとされています。 また、家族の中に関節リウマチの患者がいる場合、発症リスクが高まることも知られていますが、親や祖父母が患者であっても、必ず子や孫に遺伝するわけではありません。 発症しやすい体質が受け継がれる可能性があるだけで、直接的な遺伝性疾患とは異なります。 関節リウマチの遺伝は、発症に関与する複数の遺伝子が複雑に関係しており、特定の遺伝子を持っているだけで必ずしも関節リウマチを発症するわけではないのです。 関節リウマチと遺伝の関係は下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 発症の原因?関節リウマチと各要因の関係性 ここでは、関節リウマチと関係があると考えられている具体的な要因について、詳しく解説します。 関節リウマチとストレスの関係性 現時点では、ストレスが関節リウマチの直接的な原因であるという明確な根拠は見つかっていません。 しかし、ストレスによって免疫の働きが弱まることがあるため、発症に間接的な影響を与える可能性はあると考えられています。 そのため、日頃から規則正しい生活を意識し、しっかりと休養をとることが大切です。 体に負担をかけすぎないよう、身体的なストレスを減らす工夫も心がけましょう。 趣味に没頭する時間をつくったり、信頼できる友人と話したりすることでも、精神的なストレスを軽減できます。 関節リウマチと喫煙の関連性 関節リウマチは、喫煙によって発症リスクが高まることがわかっています。(文献1) 喫煙は心臓や肺などの臓器に悪影響を及ぼすだけでなく、関節の炎症を悪化させたり、治療薬の効果を弱めたりする可能性があるため、関節リウマチの管理においても大きなリスク要因です。 もし自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来でサポートを受ける方法もあります。 また、間質性肺疾患などの合併症を防ぐためにも、禁煙は重要な生活改善のひとつです。 関節リウマチと歯周病の関連性 関節リウマチは、歯周病との関係にも注意が必要です。 歯ぐきの炎症によって起こる歯周病は、単なる口のトラブルにとどまらず、関節リウマチの発症や症状の悪化に関与する可能性があります。 メカニズムは完全に解明されていませんが、歯周病によって口腔内の細菌バランスが乱れると、免疫の異常を引き起こしやすくなるのです。(文献2) 具体的には、次のような対策を行いましょう。 毎日丁寧に歯磨きする 歯科医院で定期的に歯石除去やクリーニングをする 歯科医院で正しい歯の磨き方や、自分に合った歯ブラシの選び方を指導してもらう また、歯の健康状態が悪いと、骨粗鬆症など他の治療にも悪影響を及ぼす可能性があります。 口腔ケアを積極的に行い、全身の健康を守ることにつなげていきましょう。 関節リウマチと飲酒の関係性 現時点では、飲酒が関節リウマチの発症を直接引き起こすという明確な証拠はありません。 一方、アメリカの大規模研究では、純アルコール量に換算して1日5〜10g程度の適度な飲酒をしていた女性は、全く飲まない女性と比べて関節リウマチの発症リスクが低かったと報告されています。(文献3) アルコール10g未満とは、おおよそ以下の量に相当します。 ワイングラス1杯(約120ml) 日本酒0.5合(約90ml) ただし、この研究は女性を対象としたものであり、飲酒を推奨するものではありません。 飲酒において注意したいのが、関節リウマチの治療でよく使われる「メトトレキサート」という薬です。 肝機能に負担をかける副作用があるため、服用する日には禁酒が望ましいとされています。 メトトレキサートは通常、週に1〜2回の服用となるため、主治医の指示に従って飲酒のタイミングを調整しましょう。 関節リウマチと性格の関係性 関節リウマチの原因に、性格そのものが直接関係するという医学的な根拠はありません。 しかし、性格の傾向によってストレスの感じやすさや病気との向き合い方が変わるため、間接的に影響を与える可能性はあります。 たとえば、ストレスに弱いタイプの方は、日常のちょっとした出来事でも精神的な負担を感じやすく、免疫機能が低下しやすい傾向があります。 また、ネガティブな感情に振り回されやすい性格の方は、関節の痛みや腫れが気になると何度も触ってしまい、かえって症状を悪化させてしまうケースも少なくありません。 一方で、我慢強い性格の方は症状があっても医療機関を受診せず、「まだ大丈夫」と無理をして、関節リウマチの重症化リスクを高めてしまう場合もあるでしょう。 このように、性格そのものが発症の直接的な原因ではないものの、ストレスや治療行動に影響がないとは言い切れないのです。 関節リウマチの治療方法 ここでは、関節リウマチに対して行われる代表的な治療法について見ていきましょう。 薬物療法 関節リウマチの治療では、免疫の異常に働きかけて病気の進行を抑える薬と、痛みや炎症を和らげる薬が使われます。 中心となる治療薬は「抗リウマチ薬(DMARDs)」と呼ばれるもので、なかでも代表的なのが「メトトレキサート」です。 メトトレキサートを最大量まで使用しても効果が不十分な場合は、「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬を使用することがあります。(文献4) また、炎症を引き起こすシグナル伝達を抑える「JAK阻害薬」という飲み薬を使うケースもあります。 さらに、炎症を抑えるために少量のステロイドを併用することもあり、痛みや腫れのコントロールが可能です。 関節リウマチの薬についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 手術療法 関節リウマチによる変形や可動域の制限が著しくなった場合には、手術が検討されることがあります。 手術の目的は、関節の痛みや機能障害の改善と日常生活の質(QOL)向上です。 関節リウマチに対して行われる主な手術には、以下のような方法があります。 人工関節置換術 頚椎や腰椎に対する手術 手指の腱断裂に対する再建手術 外反母趾の矯正手術 足関節の固定術 人工関節置換術が最も一般的で、膝・股関節・足・肘・指など、関節の状態に応じてさまざまな部位に適用されます。 リハビリ 関節リウマチのリハビリは、薬による治療と並行して行われます。 関節の痛みや炎症を和らげること、関節の変形や機能低下を防ぐことが主な目的です。 リハビリには、大きく分けて「理学療法」と「作業療法」があります。 理学療法 ・関節を動かせる範囲を保つための訓練 ・筋力を維持・強化するトレーニング ・温めて血流を促す温熱療法 作業療法 ・食事や着替えなどの日常生活の動作を無理なく続けられるように練習 ・関節に負担をかけない動作の指導 ・サポーターや専用道具の使い方の指導 ただし、痛みや腫れが強い急性期には無理に動かさず、安静にすることも大切です。 再生医療 関節リウマチの治療には、再生医療も選択肢のひとつになっています。 再生医療とは、手術を避けたい方や日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に適した治療法です。 代表的な方法としては、「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 幹細胞治療:患者様の細胞から幹細胞を採取・培養して患部へ投与する治療法 PRP療法:患者様の血液を採取し、血小板を濃縮した液体を作製し注射で投与する治療法 いずれも注射や点滴による治療のため、入院や手術を必要とせず日帰りで受けられます。 以下の記事は、当院「リペアセルクリニック」で行った関節リウマチに対する再生医療の症例です。再生医療についてもっと知りたい方は参考にしてみてください。 関節リウマチの悪化を防ぐ4つの生活習慣 関節リウマチの悪化を防ぐには、治療だけでなく生活習慣を整えることも重要です。 ここでは、関節リウマチの悪化を防ぐ、4つの生活習慣について解説します。 適度に運動する 関節リウマチの治療では薬だけでなく、体を適度に動かして関節や筋肉の機能を保つことも大切です。 長く安静にしすぎると、筋力の低下や関節のこわばりが進み、日常生活の動きがさらに難しくなる可能性があります。 ただし、痛みや腫れが強い時期の無理は禁物です。症状が落ち着いてきたら、ウォーキングなど関節に負担の少ない運動から始めてみましょう。 また、自宅でできるスクワットや簡単な体操、エアロバイクなども筋力アップに有効です。 バランスの良い食事を摂る 関節リウマチの方にとって、栄養バランスの整った食生活も大切です。 食事の量が減って栄養不足になると、体力が落ちるだけでなく、筋肉量の低下や骨粗鬆症のリスクも高まります。 魚や乳製品、大豆製品などから良質なたんぱく質を摂取し、カルシウムやビタミンDを含む食品も意識的に取り入れましょう。 一方で、白米やパン、菓子類、脂っこい料理などを食べすぎて体重が増えると、膝などの関節に余計な負担がかかるため注意が必要です。 しっかり休息・睡眠時間を確保する 関節リウマチの治療では、十分な睡眠と休養も重要です。 身体的・精神的な疲れがたまると、痛みや炎症が悪化しやすくなり、日常生活への負担も大きくなってしまいます。 毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムに整え、疲労回復やストレス軽減につなげていきましょう。 また、肉体労働や夜勤など、体への負担が大きい仕事をしている場合は、主治医と相談しながら勤務時間や業務内容の調整も検討してください。 関節に負担をかけない生活を心がける 関節リウマチでは、関節に負担をかけにくい生活を心がけ、症状の悪化を防ぐことが大切です。 たとえば、和式トイレや正座の姿勢は、膝や股関節に大きな負担がかかります。洋式トイレや椅子、ベッドを中心とした生活に切り替えると、立ち座りの動作が楽になるでしょう。 また、浴室にシャワーチェアを置いたり、玄関に手すりやスロープを設置したりすると、移動や出入りの際の転倒リスクを減らせます。 身の回りの道具や住環境を自分の状態に合わせて見直し、無理なく安心して暮らせる環境に整えましょう。 まとめ|関節リウマチの原因を理解して悪化を防ごう 関節リウマチの発症には、免疫異常や遺伝的要因、環境要因が複雑に関係しています。 関節リウマチと診断された場合は、薬物療法を続けつつ、生活習慣の見直しで悪化を防ぐことも大切です。 とくに、30代から50代の女性で、関節の腫れや痛み、原因不明の微熱や倦怠感などがある方は、早めに医療機関を受診しましょう。 外科的な治療に抵抗がある方には、手術不要で身体への負担が少ない「再生医療」も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひお気軽にご利用ください。 関節リウマチの原因に関するよくある質問 関節リウマチの原因になるかもしれない食べ物は? 関節リウマチにおいて、特定の食べ物が発症の直接的な原因になると明確に示されたものはありません。 ただし、ステロイド薬を服用している方は、体重の増加や糖尿病、コレステロールの上昇などが起こりやすくなる傾向があります。 過食を控え、脂っこい料理を減らすなど、できるだけバランスの取れた食生活を心がけると良いでしょう。 肥満は関節リウマチを悪化させる原因になる? 肥満は、関節リウマチの症状を悪化させる要因となる可能性があるため、日常的な体重管理が重要です。 体重が増えると、膝や股関節などの大きな関節にかかる負担が増え、痛みや腫れが強くなるリスクが高まります。 症状を安定させるためには、バランスの良い食事と無理のない運動を継続し、適正な体重を保つことが大切です。 関節リウマチの方がやってはいけない仕事はある? 関節リウマチがあるからといって、すべての仕事が制限されるわけではなく、「絶対にしてはいけない職業」というものはありません。 ただし、仕事内容によっては関節に強い負担がかかり、症状を悪化させる恐れがあります。 たとえば、長時間の立ち仕事や歩行、重い荷物の運搬、寒い環境での作業などは注意が必要です。 無理を続けることで関節の炎症が悪化し、仕事の継続が難しくなるケースもあります。 主治医と相談しながら、業務内容や勤務時間を調整することも有効です。 関節リウマチは治る病気? 関節リウマチは、現時点の医学では完全に治すことが難しい病気とされています。 しかし、適切な薬物療法の継続によって症状をしっかり抑えれば、普段どおりの生活を送れる状態に保つことは可能です。 とくに、発症の早い段階から治療を始めると、関節の破壊を防ぎ、病気の進行をゆるやかにする効果が期待できます。 関節リウマチの治療の目標は「完治」ではなく、症状がほとんど現れず、病気の活動性が十分に抑えられた状態「寛解(かんかい)」です。 無理をしない地道なケアの積み重ねが、将来の生活の質を大きく左右します。 関節リウマチは男性でも発症する? 国内の関節リウマチ患者全体を見ると、男女比はおよそ1:3.2で女性に多くみられますが、男性でも発症する可能性があります。(文献5) 高齢になってから発症するケースでは、男女比が1:2〜3程度と小さくなり、男性の発症リスクが高まるため注意が必要です。 気になる症状があれば、性別に関係なく早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの初期症状は? 関節リウマチの初期には、関節の症状だけでなく、全身の不調を伴うケースが多いのが特徴です。 たとえば、体がだるい・重い感じがする、食欲が落ちる、体重が減る、微熱が続くといった症状が現れることがあります。 この段階では、関節の痛みや腫れはまだ軽度であり、見過ごされがちです。 病気が進行すると、手指や手首、肩、膝、足首、足の指などの関節に腫れや痛みが生じ、朝起きたときのこわばりが目立つようになります。 倦怠感が続く、関節がはれて痛むといった症状が見られる場合は、早めに整形外科やリウマチ専門の医師に相談しましょう。 早期の診断と治療開始が、関節リウマチの進行を防ぐ上で非常に重要です。 参考文献 (文献1) 関節リウマチ|慶應義塾大学病院(COMPAS) (文献2) 歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムの可能性|J-STAGE(日本歯周病学会会誌) (文献3) Alcohol consumption and risk of incident rheumatoid arthritis in women: a prospective study|PubMed Central (文献4) Q: 最新の関節リウマチ治療―関節リウマチ|富山大学附属病院 (文献5) 第1部 関節リウマチの基礎|一般社団法人 日本リウマチ学会
2025.05.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
2024年に東京iCDCリスクコミュニケーションチームが実施した都民1万人アンケート調査によれば、2か月以上コロナ後遺症に苦しんだ成人は23.4%にものぼっていました。(文献1) 新型コロナ感染症罹患後の後遺症については、かかった人の年齢、性別問わず多くの報告が寄せられています。 多くの症状が確認されており、いまだ解明されていないことも少なくありません。 意識が朦朧とする「ブレインフォグ」が一時期話題となりましたが、実は「筋肉痛」も後遺症として現れることをご存知でしょうか。 この記事では、コロナ後遺症として報告されている筋肉痛について、原因や治療法を解説します。 コロナにかかってから筋肉痛が治らない、運動していないのに筋肉痛がするという人はぜひ参考にしてみてください。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 従来の治療では改善が見られなかった方に対して、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。 患者様ご自身の細胞を活用し、ダメージを受けた神経や組織の修復・免疫機能の正常化をサポートすることで、倦怠感や筋肉痛などの後遺症改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 これまでの治療を受けても症状が改善しない方 筋肉痛や倦怠感で日常生活に支障を感じている方 後遺症が3か月以上続いている方 今、コロナ後遺症の筋肉痛で苦しんでいる場合、1人で悩まずに、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 コロナ後遺症の筋肉痛・関節痛は気のせいではない コロナ後遺症について、WHOは以下のように定義しています。 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。 通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる(文献7) 厚生労働省が北海道札幌市と大阪府八尾市を対象に行った調査では、新型コロナウイルス感染3か月後も何らかの症状が続いていると答えた人が八尾市で「14.3%」、札幌市では「20.9%」にものぼりました。(文献2) コロナ後、原因不明の体調不良に悩まされている人が15%前後いたのです。 コロナ後遺症に悩まされる人の多くが「倦怠感」「集中力の低下」「身体の痛み」を訴えています。 新型コロナウイルスが流行した当初は研究が進んでおらずコロナとの関連性が明確ではありませんでしたが、現在ではコロナ後遺症はひとつの病状として世界が認めているのです。 コロナ後遺症による筋肉痛の症状・特徴 実際にコロナ後遺症でどのような症状が起こるのかを以下で紹介します。 コロナ後遺症の筋肉痛の症状・特徴 筋肉痛以外の後遺症 通常の筋肉痛との違いや、筋肉痛以外のコロナ後遺症の症状についても項目ごとに解説します。 コロナ後遺症の筋肉痛の症状・特徴 コロナ後遺症による筋肉痛の症状の特徴として、身体全体に痛みが見られるという点が挙げられます。 通常起こる筋肉痛は、運動などによって筋肉組織が損傷を起こし、その修復過程で炎症が起こることで痛みが発生します。 そのため、通常の筋肉痛では運動でよく使った一部の筋肉が痛みます。 しかし、コロナ後遺症の筋肉痛の場合はウイルスが原因で起こっているため、全身が痛むのです。 また、通常の筋肉痛は、運動の負荷にもよりますがおよそ2~4日ほどで治ることがほとんどです。 一方コロナ後遺症の筋肉痛は長期化することも多く、長ければ数か月痛みが続くこともあります。 そのほかにも通常の筋肉痛とコロナ後遺症による筋肉痛には違いがあります。表で比較してみましょう。 特徴 コロナ後遺症の筋肉痛 通常の筋肉痛 原因 免疫異常・炎症反応・神経障害(自己免疫など) 運動などによる筋繊維の損傷 発症のきっかけ 運動していないのに痛くなる 激しい運動や普段しない運動をした後 痛みの性質 持続的、身体が重い 鋭い痛みや張り感 場所 広範囲(肩・背中・太ももなど) 痛む場所が移動することもある 使った部位に限定される 持続時間 数週間〜数か月続くことも 通常は2〜3日で軽快 他の症状 倦怠感・ブレインフォグ・息苦しさなどを伴う 通常は痛み以外の症状はない 検査で異常 炎症マーカー上昇や自己抗体が見つかる場合あり 基本的に異常なし 通常の筋肉痛と違う点を感じたら、まずは医師に相談してみましょう。 筋肉痛以外の後遺症 筋肉痛以外のコロナ後遺症については、以下の症状が報告されています。 ブレインフォグ 疲労感・倦怠感 関節痛 咳、喀痰、息切れ 胸痛 脱毛 記憶障害 集中力低下 頭痛 抑うつ 嗅覚・味覚障害 動悸 下痢、腹痛 睡眠障害 一見すると風邪症状に見えるものも多く、コロナ後遺症と結びついていなかったという人もいるかもしれません。 また、複数の症状が併発することが多い点もコロナ後遺症の特徴です。 なぜコロナ後遺症で筋肉痛が起きるのか コロナ後遺症で筋肉痛が発生するメカニズムについては研究が進んでいます。 通常の筋肉痛は運動を行うことにより筋繊維が破壊されることで発生しますが、コロナ後遺症による筋肉痛はその限りではありません。 近年の研究をもとに、コロナ後遺症で筋肉痛が起こる原因を以下で紹介します。 コロナ罹患により体内のエネルギーをつくる力が低下する コロナウイルスと自己免疫の関係 コロナ罹患後の運動が逆効果になることも コロナ罹患により体内のエネルギーをつくる力が低下する 2024年に海外で、コロナ後遺症の患者25名と新型コロナ感染症に罹患したものの後遺症の症状のない患者21名を集め、エアロバイクを10分~15分間こぐサイクリングテストが実施されました。(文献3) この実験の結果、コロナ後遺症の患者は健康な被験者と同量の運動でも、運動後筋力が低く酸素摂取量も少なかったことがわかりました。 また、コロナ後遺症患者の筋繊維中にあるミトコンドリアについて調べたところ、ミトコンドリアの機能が低下していることがわかりました。(文献5) ミトコンドリアの主な機能は細胞のエネルギーを生成することです。この機能が弱まっているため、筋肉痛が長引いているのではないかと考えられています。 コロナウイルスと自己免疫の関係 近年の研究では、コロナ罹患後に自己免疫疾患、炎症疾患のリスクが高まることが報告されています。(文献4) この研究では観察期間180日を超える新型コロナウイルス患者約314万例、そうではない人約376万例の計約690万例を検証しました。 その結果、新型コロナウイルスに罹患した人は関節リウマチや脱毛症といった自己炎症性疾患を患うリスクが高いことがわかりました。 自己炎症性疾患には筋肉痛を伴う病気もあります。長期化している場合は炎症疾患の可能性も考慮し、医師への相談も検討したほうがよいでしょう。 コロナ罹患後の運動が逆効果になることも 体力を回復しようと運動を行うと、さらに後遺症がひどくなってしまう可能性があるため注意が必要です。 コロナウイルスによって免疫機能が低下している場合、運動によって損傷を受けた筋肉繊維の回復に時間がかかってしまいます。 ダメージを受けたことによって、炎症を起こすリスクもあり、結果として筋肉痛の回復が遅れてしまう可能性もあります。まずは、かかりつけの医師に相談し、過度な運動は控えるようにしましょう。 コロナ後遺症による筋肉痛の治療法 コロナ後遺症による筋肉痛は時間経過によって治ることが多いとされています。厚生労働省の調査では、罹患18か月後に後遺症を訴える人は成人ではおよそ5%、小児では1%ほどでした。(文献2) 治療の基本としては痛みを抑える薬物療法が推奨されています。 しかし、コロナ後遺症の筋肉痛は様々な要因が絡んでいる可能性が高いといわれています。長期化している場合はリハビリテーションの実施も検討すべきでしょう。 また、精神的な要因が潜んでいる場合もあります。心理面でのケアも含め、多方面でのアプローチが必要になります。 コロナ後遺症の治療としての選択肢「再生医療」とは https://youtu.be/aTnT8dbLjSs コロナ後遺症には、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは患者様自身から幹細胞を採取・培養し、患部に投与する治療法です。 幹細胞は「分化能」という、さまざまな組織の細胞に変化する能力があります。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 【こんな方は再生医療をご検討ください】 これまでの治療を受けても症状が改善しない方 筋肉痛や倦怠感で日常生活に支障を感じている方 後遺症が3か月以上続いている方 今、コロナ後遺症の筋肉痛で苦しんでいて少しでも改善の可能性を探したいという方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 まとめ|コロナ後遺症の筋肉痛は時間経過で治ることが多い!不安な場合はすぐかかりつけ医師に相談を コロナ後遺症のひとつとして、筋肉痛はよく見られる症状のひとつです。 近年の研究では免疫や細胞の再生力の低下により、炎症を引き起こし筋肉痛を伴っている可能性が高いとされています。 コロナ後遺症による筋肉痛は時間経過によって治ることが多いため、継続的な薬物療法やリハビリテーションが効果的です。 また、コロナ後遺症の治療としては、再生医療という選択肢もあります。 長期的なコロナ後遺症に悩まされている人は、まずは当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 参考文献 (文献1) 東京iCDCリスクコミュニケーションチームによる都民1万人アンケート調査結果(2024年2月実施)|東京都 (文献2) 新型コロナウイルス感染症(COV ID-1 9)の罹患後症状について(研究報告、今後の厚生労働省の対応)|厚生労働省 (文献3) Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID|Nature Communications (文献4) Yeon-Woo Heo,et al.(2024)JAMA dermatology|JAMA dermatology (文献5) Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID| Nature Communications (文献6) 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A|厚生労働省
2025.05.27 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「尿酸値を下げるためには何を食べたり飲んだりすれば良いの?」 「摂取を控えたいプリン体の多い食品は?」 尿酸値が高いと指摘された方は、このようなことを知りたいのではないでしょうか。尿酸値のコントロールにおいて食事内容は重要です。 プリン体が多い食品を避けるのはもちろん大切ですが、尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂れば、高尿酸血症の改善に役立つでしょう。 本記事では、尿酸値が高めと指摘された方に対して以下を解説します。 尿酸値を下げる食べ物・飲み物 摂取を控えたいプリン体の多い食品 尿酸値を下げる3つのポイント コーヒーと尿酸値の関係について 尿酸値を下げる食べ物・飲み物の主な効果を一覧表で紹介するので、ぜひ参考にしてください。 尿酸値を下げる食べ物・飲み物【一覧表】 尿酸値を下げる食べ物・飲み物は以下の通りです。 食品名 主な効果 バナナ カリウムにより尿酸が尿に溶けやすくなる 低脂肪ヨーグルト 乳酸菌により腸管からのプリン体の吸収を抑える チェリー ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える マグロ・カツオ アンセリンにより尿酸の生成を抑える レモン ビタミンCにより腎臓での尿酸の吸収を抑える 低脂肪牛乳 腎臓からの尿酸の排出を促す(アミノ酸が関係すると考えられている) 豆乳 フィチン酸により腸管からのプリン体の吸収を抑える ワイン ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える 緑茶 ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える (文献1)(文献5) 食生活の改善は尿酸値のコントロールにおいて重要です。ただし、関節の痛みや腫れなどの症状が出ている人は、食事内容を意識するだけではなく薬物療法を検討しなければなりません。とくに尿酸値が8.0mg/dL以上の方は、症状が出ていなくても医師に相談してください。(文献2) 【関連記事】 痛風の初期症状は?早期発見につなげて重症化を防ごう【医師監修】 高い尿酸値がもたらすリスクとは?原因や合併症の予防法も解説 バナナ バナナなどに豊富に含まれているカリウムは、尿酸値を下げる効果を期待できます。これはカリウムにより尿がアルカリ性に傾き、尿酸が尿に溶けやすくなるためです。(文献5)とはいえ、バナナには尿酸値を高める果糖も含まれているため、食べ過ぎには注意してください。 尿酸値が高い方は尿が酸性に傾きやすい傾向です。尿が酸性に傾いていると、尿酸が結晶化して痛風を引き起こしやすくなります。尿をアルカリ性に傾けるには、以下のような食品をバランス良く食べると良いでしょう。 尿をアルカリ性に傾ける働きがある食品 ヒジキ、ワカメ、こんぶ、干し椎茸、大豆、ほうれん草、ごぼう、にんじん、さつまいも、里芋 以上の食品を意識的に摂取して、尿から尿酸を排出しやすくすることが大切です。 低脂肪ヨーグルト ヨーグルト(低脂肪)は、腸管からのプリン体の吸収を抑える効果を期待できます。これはヨーグルトに含まれている乳酸菌に、以下のような働きがあるためです。 プリン体を体に吸収されにくいプリン塩基といった物質に分解してくれる 乳酸菌がプリン体を取り込んでくれることで体に吸収されるプリン体の量が減る 実際に男性約47,000人を対象にした12年間の観察研究で、ヨーグルトを1週間に2カップ以上摂取しているグループと、摂取量が最も少ないグループを比較すると、0.76倍痛風の発症が少ないと報告があります。(文献1) チェリー チェリーは、尿酸の生成を抑えて尿酸値を下げる効果が期待できます。この効果は、チェリーに含まれているポリフェノールによるものです。 実際に女性10例を対象にした研究では、280gのチェリーの摂取により尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)チェリーの他にポリフェノールが多い食品は、以下のようなものがあります。 ブルーベリー スモモ ブドウ イチゴ チョコレート ココア ワイン コーヒー とはいえ、果糖や砂糖は摂り過ぎると尿酸値を高めてしまいます。摂取は適量にしてください。 マグロ・カツオ マグロ・カツオなどに豊富に含まれているアンセリンは、尿酸の生成を抑える働きがあるため、尿酸値を下げる効果を期待できます。 実際に健康な方および尿酸値の高い方48名を対象に、アンセリンを含む食品(アンセリン25mg/日または50mg/日)とプラセボ食品(有効成分を含まない食品)のどちらかを4週間摂取してもらったところ、アンセリンを摂取したグループの尿酸値が低下しました。(文献1) とくに50mgを摂取したグループにおいては、明らかな低下が見られています。アンセリンが豊富な食材は、マグロやカツオの他に鶏のささみなどがあります。 レモン レモンなどに豊富に含まれているビタミンCは、摂取量が多いほど尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)ビタミンCが尿酸値を下げられるのは、以下のような働きがあるためです。 腎臓での尿酸の吸収を抑える 尿へ排出できる尿酸の量が増える これらのメカニズムは詳細に解明できていません。レモンの他にビタミンCが豊富に含まれている果物や野菜は、オレンジやカキ、ブロッコリー、黄色パプリカなどがあります。 低脂肪牛乳 牛乳(低脂肪)には、腎臓からの尿酸の排出を促す効果があると考えられています。詳細なメカニズムは解明されていませんが、アミノ酸が関係すると考えられています。 実際に男性約47,000人を対象にした12年間の研究では、牛乳の摂取が多いグループと少ないグループを比較したところ、痛風の発症率が0.54倍になったと報告がありました。(文献1) 豆乳 豆乳に含まれているフィチン酸は、尿酸値の上昇を抑える効果が期待できます。フィチン酸には、腸管からのプリン体の吸収を抑える働きがあるためです。 実際に尿酸値が高い31名を対象に、フィチン酸が含まれる飲料とプラセボ飲料を昼食と夕食に1本ずつ付けて14日間摂取したところ、フィチン酸を摂取したグループの尿酸値が低下したと報告があります。(文献1) ワイン アルコール飲料は、一般的に尿酸値を上昇させて痛風リスクを高めます。ただし、ワインは他のアルコール飲料と異なり、尿酸値を高める影響が低いと考えられています。実際に米国の調査では、ワイン約150mlまでの摂取はむしろ尿酸値を低下させると報告がありました。(文献1) また、約50,000人の男性が飲用しているアルコール飲料を12年間追跡した調査では、ワインを1日2杯まで飲む人は痛風のリスクが抑えられると報告があります。(文献1)尿酸値が低下した理由は、ワインに多く含まれているポリフェノールによるものと考えられます。 緑茶 30名の健康な方を対象に、緑茶の抽出物を2週間摂取したところ尿酸値が低下の傾向を示したと報告があります。(文献1)これは、ポリフェノールによる尿酸の生成を抑える働きによるものと考えられます。 小規模な研究のため、尿酸値低下効果の確実性はまだ限定的です。しかし、緑茶には抗酸化作用など他の健康効果も期待できるので、日常的に適量を楽しむことをおすすめします。 なお、1日に5〜6杯以上の過剰摂取はカフェインの影響で不眠や動悸を引き起こす可能性があります。飲みすぎには注意しましょう。 摂取を控えたいプリン体の多い食品【 一覧表】 尿酸値を下げるには、プリン体の多い食品の摂取を控えることが大切です。ここからは、プリン体が多い食べ物とアルコール飲料を解説します。 プリン体が多い食べ物 プリン体が多い食品の一例は以下の通りです。 プリン体含有量(100gあたり) 食品名 非常に多い(300mg〜) 干物(マイワシ)、白子(フグ、タラ)、鶏レバー、あんこう、太刀魚など 多い(200〜300mg) 干物(サンマ、マアジ)、豚レバー、牛レバー、マイワシ、カツオ、大正エビなど 中等量(100〜200mg) 鶏ささみ、砂肝、鶏の手羽先、鶏もも(皮付き)、鶏皮、豚ヒレ、牛ヒレ、アジ、マグロ、サワラ、サバ、ほうれん草の芽、ブロッコリースプラウトなど (文献2)(文献3) 飲食店やコンビニで食事を済ませる際は、上記の表を参考にしてプリン体が多い食品を避けてください。ほとんどの肉類や魚類には中等量以上のプリン体が含まれていると捉えましょう。 プリン体が多いアルコール飲料 プリン体が多く含まれているアルコール飲料の一例は以下の通りです。 プリン体含有量(100mlあたり) アルコール飲料名 約5〜7mg ビール 約3〜4mg 発泡酒 約7〜17mg 地ビール 約1mg 日本酒 (文献3) ワインや焼酎、ブランデー、ウィスキーなどに含まれているプリン体含有量は0.5mg以下(100mlあたり)と少ないです。しかし、アルコール自体に尿酸の排出を抑える働きがあるため、飲み過ぎてはいけません。(文献3)(文献5) また、同じアルコール飲料でも、メーカーによってプリン体が含まれる量は異なるため参考程度にとどめてください。 日常生活における尿酸値を下げる3つのポイント 日常生活における尿酸値を下げるポイントは、以下の3つです。 プリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶ 水分を十分に摂取する 有酸素運動の習慣を身につける それぞれの詳細を解説します。 1.プリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶ 尿酸値を下げるには、日頃からプリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶことが重要です。プリン体が非常に少ない食品の種類は以下の通りです。 プリン体含有量(100mgあたり) 食品の種類 非常に少ない(〜50mg) 野菜類、穀類、豆類、キノコ類、鶏卵、乳製品など (文献2) 果糖や砂糖が含まれている飲み物は、尿酸値を高めるため水やお茶にしましょう。 2.水分を十分に摂取する 十分に水分を摂取すると尿からの尿酸排出が増えます。十分な尿量を確保するために必要な一日の水分摂取量は2〜2.5Lです。(文献2) 水分は入浴中や就寝中に失われます。入浴前後や就寝前、起床後に水分を取ることも大切です。水分の種類は前述した通り水やお茶にしてください。アルコール飲料は水分に含まれません。 3.有酸素運動の習慣を身につける 有酸素運動は肥満を改善して、尿酸値の低下も期待できます。推奨されているのは以下のような有酸素運動です。 ウォーキング ジョギング サイクリング 有酸素運動は、脈が少し速くなる程度の強度で1日合計30〜60分ほど行うことが効果的です。(文献2)短時間の激しい無酸素運動は、尿酸値を高める恐れがあるため控えてください。 コーヒーと尿酸値の関係について コーヒーが尿酸値に影響を及ぼすかどうかは明確な根拠がありません。しかし、大規模な研究においては、1日4杯以上コーヒーを飲む人は、まったく飲まない人と比較して、痛風リスクが40%低いと報告があります。(文献4) とはいえ、この研究は因果関係を証明したわけではありません。コーヒーは「適度に楽しむことで痛風予防に役立つかもしれない」と捉えましょう。 まとめ|尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂取しよう 尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂取すれば、尿酸値の改善を期待できます。本記事で紹介した食品は効果が期待できますが、いずれも摂り過ぎには注意が必要です。バランス良く取り入れつつ、プリン体の多い食品は控えめにしましょう。 また、1日2~2.5Lの十分な水分摂取と30分以上の有酸素運動を習慣化することで、尿酸値のコントロールをサポートできます。これらの生活習慣の改善は、痛風予防にもつながります。 ただし、尿酸値が8.0mg/dL以上の方は、症状が出ていなくても薬物療法が必要となる場合があります。食事改善に取り組みながらも、主治医と相談して適切な治療方針を決めましょう。 参考文献 (文献1) 藏城 雅文,山本 徹也.「血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序」『痛風と尿酸・核酸』45(1), pp.13-21, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gnamtsunyo/45/1/45_13/_pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献2) 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献3) 厚生労働省「魚介類50gあたりの脂質とプリン体の関係」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0619-5d03-05.pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献4) 藤森 新.「痛風・高尿酸血症の病態と治療」『日本内科学会雑誌』107(3), pp.458-463, 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/3/107_458/_pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献5) 日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」 https://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf(最終アクセス:2025年5月17日)
2025.05.25 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
健康診断で尿酸値が高めと書かれていてドキッとした経験はありませんか?そんなときに真っ先にイメージされる痛風ですが、実はその痛みの原因は腎臓にも関係しています。 尿酸は体内の老廃物の一種で、痛風の原因としてよく知られていますが、尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、実は腎臓にも大きな負担がかかり、放置すると腎臓の機能低下を招いて将来的に透析が必要になることもあります。 尿酸値の高い状態が続くと痛風発作を起こすだけでなく、腎臓病や高血圧、心臓病、尿路結石などさまざまな病気を発症しやすくなることがわかっています。 本記事では、尿酸と腎臓の関係や腎臓に影響をあたえるメカニズムについて解説します。尿酸と腎臓のトラブルを予防・改善するポイントを一緒に見ていきましょう。 尿酸値と腎臓との関係|さまざまな疾患への影響 尿酸値が高くなると、体内の尿酸は結晶化してさまざまな場所にたまりやすくなります。足の親指の関節に結晶がたまれば激痛を伴う痛風発作を起こし、尿路にたまると尿路結石、腎臓にたまると腎結石(じんけっせき)になります。 腎臓に尿酸の結晶が沈着すると腎臓の組織に炎症を引き起こし、腎臓の働きが低下してしまいます。尿酸によるこうした腎臓障害を痛風腎(つうふうじん)と呼びます。 さらに尿酸値が高い方は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満といった生活習慣病を合併しやすいことも知られており、動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患のリスクも上昇する傾向があります。 このように尿酸値は痛風だけでなく全身の健康、腎臓の健康と深く関わっています。 尿酸と腎臓が連動する仕組み 尿酸とはプリン体という物質が分解されてできる老廃物です。プリン体は食品や体内の細胞に含まれており、それらが分解されると尿酸が産生されます。 通常、この尿酸は血液を通して腎臓に運ばれ、腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。健康な腎臓であれば体内の尿酸バランスは保たれますが、腎臓の働きが悪くなると尿酸を十分に排泄できずに血液中に溜まり、尿酸値が高くなってしまいます。 尿酸値が高い人ほど腎機能が低下している傾向は研究でも判明してますが、尿酸値が高いこと自体が腎臓を悪くする原因なのか、腎機能が低下した結果として尿酸が高くなっているのかは明確にはわかっておらず、両者が悪循環を起こす可能性も指摘されています。このように、尿酸と腎臓は密接な関係があるといえます。 検査値の見方を押さえて、尿酸値とクレアチニンの関係を知ろう 高尿酸血症と腎臓の関係を理解するには、血液検査の「尿酸値」と「クレアチニン値」に注目しましょう。 尿酸値が高すぎると痛風や腎障害につながります。一方、クレアチニン値は腎臓のろ過機能を示す重要な指標です。 ここでは尿酸値が高くなる原因と、クレアチニン値からわかる腎機能の状態について具体的に解説します。 尿酸値が高くなる原因 尿酸値が上がる要因は生活習慣と体質(遺伝)です。まず生活面では過食・飲酒・運動不足が代表格です。ビールや内臓類・干物など高プリン体食品の多量摂取、肥満、さらには高血圧・糖尿病・脂質異常症などの併発が尿酸産生増と排泄低下を招きます。 一方、遺伝的素因も大きく、痛風患者の一親等内に家族歴があると高尿酸血症リスクは約2倍に跳ね上がると報告されています。 加えて、腎機能障害や白血病など細胞代謝が過剰に活発になる病態でも尿酸が蓄積するケースがあり、まずは食事・運動など日常習慣を整えた上で、異常が続く場合は医師の検査を受けることが大切です。 \まずは当院にお問い合わせください/ クレアチニン値が示す腎臓機能の指標 腎機能を知るカギは血液中のクレアチニン(Cre)です。クレアチニンは筋肉が動く際に生じる老廃物で、腎臓が正常なら尿へ排泄され血中濃度は低く保たれます。 男性0.6~1.0mg/dL、女性0.5~0.8mg/dL前後が目安ですが、筋肉量や年齢により変動するため数値だけで一喜一憂せず体格を加味した評価が必須です(文献1)。 Cre値と年齢・性別を組み合わせて算出するeGFR(推定糸球体ろ過量)は腎臓が老廃物をどれだけ濾過できるかを%換算した指標で、60mL/分/1.73㎡未満が3か月以上続くと慢性腎臓病(CKD)とみなされます(文献1)。 尿酸値が高い人はCre値も上がりやすいため、両指標をセットでチェックし早期に腎機能低下を掴むことが、痛風腎やCKDの進行を防ぐ第一歩になります。 痛風が腎臓に影響をあたえるメカニズム 痛風は関節だけの病気ではありません。合併症である高尿酸血症は腎臓にも深刻な打撃を与えます。血中で余った尿酸が針のように結晶化し、腎臓の細い管に詰まると、目詰まりを起こして炎症になります。 すると腎臓のろ過フィルター役割をする糸球体が痛み、老廃物を捨てにくくなるため腎機能が低下します。 さらに腎機能が低下することで痛風患者に多い肥満・高血圧・糖尿病が加わると悪循環になってしまいます。 長年放置すれば慢性腎臓病(CKD)や透析に至る恐れもありますので、尿酸値管理と生活習慣改善を早期に徹底しましょう。 痛風腎とは?放置する危険性 痛風腎(つうふうじん)とは、その名のとおり痛風(高尿酸血症)が原因で起こる腎臓障害のことです。痛風や高尿酸血症がしっかり治療・コントロールされずに長期間経過すると、尿酸塩の結晶が腎臓の深部(髄質)に析出して沈着し、腎臓の組織に慢性的な炎症を引き起こします。(文献2) 簡単に言えば、尿酸の結晶が腎臓に石のようにたまって腎臓を傷つけてしまった状態ですが、その結果腎臓の濾過機能が低下し、放置すると慢性腎不全へ進行して透析療法が必要になる可能性もあります。 痛風腎の怖いところは、これといった特有の自覚症状がない点です。尿が泡立つ(蛋白尿)・むくみが出る・血圧が上がるなど、症状が出るとすれば他の腎臓病と共通するサインばかりで、痛風腎に特有な症状はありません。 検査所見でも、尿検査でタンパク尿や尿潜血反応が出る、血清クレアチニン値が上がる等、一般的な慢性腎臓病(CKD)と同様の所見を示します(文献2)。 また、痛風のある方は前述のように高血圧、脂質異常症、耐糖能異常(糖尿病予備軍)など複数の生活習慣病を併せ持つことが非常に多いです。 そのため、痛風そのものによる腎障害(尿酸結晶による腎炎)に加えて、そうした生活習慣病が原因となる腎障害(たとえば高血圧性腎硬化症や糖尿病性腎症)が合わさり、より腎機能を悪化させているケースもしばしばあります。 痛風腎を予防・進行抑制するためには高尿酸血症を適切な治療をすると同時に、合併している生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の管理に努めることが重要です。 \まずは当院にお問い合わせください/ CKD(慢性腎臓病)とは CKD(慢性腎臓病)は腎機能の低下や腎障害が3か月以上続く状態で、日本では成人の7~8人に1人が該当するとされています(文献3)(文献4)。 代表的な原因は糖尿病や高血圧などで、自覚症状が乏しいため定期的な検査が重要です。CKD患者では腎機能低下により尿酸の排泄がうまくいかず、尿酸値が上昇する傾向があります。 一方で、高尿酸血症の人はCKDを合併しやすいこともわかっており、尿酸値を適正にコントロールすることが腎機能を守る上で重要です。 日本腎臓学会のガイドラインでは、高尿酸血症を伴うCKD患者に対して、血液中の尿酸値を下げるために行う尿酸降下療法の施術を考慮しても良いとされてます。尿酸と腎臓は密接に関係しているため、双方を総合的に管理することが求められます。(文献5) \まずは当院にお問い合わせください/ 痛風・腎臓病を予防する生活習慣の改善 高尿酸血症や腎臓病を予防・改善するためには、日常生活での取り組みが非常に大切です。 ここでは、尿酸値と腎臓の健康を守るために有効な生活改善のポイントをまとめます。どれも今日から実践できる内容ですので、無理のない範囲で取り入れてみましょう。 食事・水分摂取で予防する プリン体の摂取量を減らし、尿酸の産生を抑えることが基本です。 ビールなどのアルコール類やレバー・干物・魚卵といった高プリン体食品は頻度と量を控えめにし、主菜は鶏むね肉や白身魚を少量、野菜・海藻・大豆製品をたっぷり組み合わせ、タンパク質と食物繊維が豊富な食事を意識しましょう。 また、尿酸を体外へ流すには尿量の確保が不可欠です。水やお茶を1日1.5〜2リットルを目安にこまめに補給し、朝起きた直後・入浴前後・就寝前は必ずコップ1杯の水を飲むなど、ルールを決めてやってみましょう。 適度な運動・体重管理で予防する ウォーキングや早歩き、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を週3〜5回・1回30分程度続けると、エネルギー代謝が上がり肥満を防げる上、血糖値・血圧も整い尿酸値のコントロールに直結します。 筋トレはスクワットや腹筋など自重中心に無理なく行い筋肉量を維持しましょう。ただし、息を止めるような激しい無酸素運動は一時的に尿酸値を跳ね上げるため控えめに。 肥満は尿酸の産生過多と排泄低下の両方を招くので、BMI25以上の人は食事改善と運動を組み合わせ月1kgペースで減量を目標にします。 加えて高血圧・糖尿病・脂質異常症を放置すると腎臓への負担が倍増し痛風腎やCKD進行を招く恐れがあるため(文献2)、塩分を控えた食事・適正カロリー・血糖コントロールを徹底し、必要なら医師の治療を受けることが重要です。 ストレスの軽減・睡眠で予防する ストレスが強いと交感神経が優位になり、コルチゾール分泌が増えてプリン体代謝が活発化し尿酸値が上昇しやすくなります。 さらに睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、血圧上昇や食欲増進による体重増加が重なって腎臓への負担も増加します。 毎日30分の軽いストレッチや深呼吸、ぬるめの入浴でリラックスし、趣味や散歩など「自分が楽しい」と感じる時間を意識的に確保しましょう。就寝1時間前にはスマホを手放し、室内を暗めにしてメラトニン分泌を促進すると自然に眠りにつけます。 以上のポイントを実践することで、尿酸値のコントロールと腎臓の保護につながります。最初は難しく感じるかもしれませんが、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。 まとめ|尿酸値を下げて腎臓を守るために生活習慣を改善しよう 尿酸は高すぎると痛風になるだけでなく、腎臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。 腎臓は尿酸を排泄する臓器であり、腎機能が低下すると尿酸が溜まってしまうため、お互いに影響し合う「持ちつ持たれつ」の関係にあります。尿酸値が高めと言われた方は、ぜひ一度腎臓の検査も受けてみてください。 逆に腎臓が悪いと言われた方も尿酸値の管理に注意が必要です。幸い、高尿酸血症や慢性腎臓病は生活習慣の改善や適切な治療によって予防・進行抑制が可能ですので、食事の工夫や運動習慣、定期検査など、できることから始めてみましょう。 日々の積み重ねが将来の健康につながります。もし不安なことやわからないことがあれば、遠慮せず主治医に相談してください。あなたの大切な腎臓を守り、痛風や腎不全にならないよう、今日からぜひ予防に取り組んでいきましょう。 参考文献 (文献1)腎援隊「クレアチニンやeGFRとは、どのような検査値ですか?」家族と考える慢性腎臓病サイト 腎援隊.https://jinentai.com/doctor_qas/post_14.html(最終アクセス:2025年04月22日) (文献2)日本腎臓学会「痛風腎とは?」日本腎臓学会 ホームページ.https://jsn.or.jp/global/general/_3204.php.(最終アクセス:2025年04月22日) (文献3)阿部雅紀ほか.「CKD診療ガイドライン2023」『日大医誌』82(6), pp.319‑324, 2023年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/82/6/82_319/_pdf.(最終アクセス:2025年04月22日) (文献4)東京都保健医療局「CKDってどんな病気?」東京都保健医療局.https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shippei/ckd/p2.html.(最終アクセス:2025年04月22日) (文献5)日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」日本腎臓学会 ホームページ.https://jsn.or.jp/data/gl2024_ckd_ch05.pdf.(最終アクセス:2025年04月29日)
2025.04.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
大腸がんは、部位別のがん発生率で男女どちらも上位に位置しており、女性ではがんによる死亡数が最も多い病気です。(文献1) とくに、初期には自覚症状がほとんどないため発見が遅れやすく、進行すると治療の選択肢が限られてしまいます。 自分や家族の健康を守るためにも、大腸がんのリスクを正しく知り、早期発見・予防につなげていきましょう。 本記事では、大腸がんの主な原因や発症リスクの高い人の特徴、見逃しやすい症状、検査方法などを詳しく解説しますので、参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方は、ぜひ一度ご利用ください。 大腸がんの原因は何?なりやすい人の特徴 大腸がんになる可能性を高める要因には、ストレス・食生活・年齢など複数の特徴的な背景があります。さまざまな要因が重なる人ほどリスクが高まるため、早めに把握して改善していくことが大切です。 ここでは、大腸がんの原因をひとつずつ掘り下げて解説します。 ストレス|直腸がんの発症率に影響 強い心理的ストレスは、直腸がんの発症リスクを高める可能性があります。ストレスは免疫機能を低下させ、喫煙・飲酒・暴飲暴食といった生活習慣の悪化を招く場合があるのです。 日本人約6万人を対象にした追跡調査では、「心理的ストレスが高い人ほど直腸がんの発症率に影響があった」と報告されています。(文献2) また、女性に限定した別の研究では、ストレスを自覚している人の大腸がんによる死亡リスクが、ストレスを感じていない人に比べて 1.64倍に上昇したと報告されています。(文献3) ストレスだけで大腸がんになるわけではありませんが、発症リスクを間接的に押し上げる一因です。趣味に没頭する時間を設けるなど、自身に合ったストレス管理を心がけると良いでしょう。 食生活|野菜や食物繊維が不足しがちな食事 近年、日本を含む先進国では大腸がんの発症率が上昇傾向にあり、50歳未満の比較的若い世代での大腸がん増加が世界的に報告されています。 食生活の欧米化が背景にあると考えられており、肉類(とくに赤身肉や加工肉)中心で野菜や食物繊維が不足しがちな食事は、大腸がんのリスクを高める可能性があるわけです。 若年層での発症が増えている傾向を食い止めるためにも、日頃の食習慣を見直し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。 発症年齢|高齢になるほど高い罹患率 国立がん研究センターの統計では、大腸がんの罹患率は40代から徐々に増加し、年齢を重ねるごとに罹患率は高くなる傾向を示しています。(文献5) 自治体などの検診が40歳から始まることも、40代以降に発見される一因と考えられます。 しかし、数は多くないものの、20代や30代で発症するケースもあるため、若いから無関係とはいえません。腹部の不調が続くなど、気になる症状があれば、30代から検査を受けておきましょう。 なお、大腸がんは年齢によって進行速度に違いがあるといわれます。詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 運動不足|肥満による影響 運動の少なさや肥満傾向も、大腸がんのリスクを高めます。身体をあまり動かさない生活が続くと腸の働きが鈍くなり、腸内に有害物質が停滞しやすくなるのです。 肥満そのものもホルモンバランスの乱れや慢性炎症を通じて、がん発生の要因になると考えられており、大腸がんの発生率が高いことが報告されています。(文献6) 喫煙と飲酒|さまざまなガンのリスク 喫煙習慣や過度の飲酒も、大腸がんのリスクを上げると明らかになっています。 喫煙といえば肺がんの原因として知られていますが、たばこに含まれる有害物質が血流を通じて全身に巡るため、大腸の細胞にも悪影響を及ぼすわけです。 国立がん研究センターの研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べ大腸がんの発生率が高い傾向が認められています。(文献7) また、アルコールと体内で代謝されてできるアセトアルデヒドには発がん性があり、大量の飲酒習慣は大腸がんの危険性を高めるため注意が必要です。日常的にタバコやお酒を嗜む方は、大腸がんを含むさまざまながん予防のためにも、禁煙・節酒を意識しましょう。 遺伝的要因|家族の発症歴との関連 大腸がんには、遺伝的な要因も一部存在します。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群といった遺伝性疾患のある家系では、若いうちから大腸がんを発症する率が高いとされています。 また、遺伝的要因とは別に、炎症性腸疾患と総称される難治性の腸の病気(潰瘍性大腸炎やクローン病など)を患っている人も要注意です。大腸に慢性的な炎症がある状態が続くため、大腸がんの発生率が上がることがわかっています。(文献8) とくに、家族歴がある方や腸の持病がある方は、定期検診を欠かさず早期発見に努めましょう。 高身長|大腸がん・結腸がんのリスクが高い 高身長の人は、大腸がんや結腸がんのリスクが高くなることが明らかになっています。成長に関与するホルモンや体内の細胞分裂の頻度などが関連していると考えられています。 国立がん研究センターの疫学研究によると、最も身長が高い群(男性170cm以上、女性157cm以上)は、最も低い群(男性160cm未満、女性148cm未満)と比較して、大腸がん全体のリスクが男性で1.23倍、女性で1.21倍と報告しています。(文献13) また、遠位結腸がんでは、女性で1.35倍と高い傾向が示されました。身長は変えられませんが、定期的に検診を受けるなど、予防的行動を取ることが重要です。 炎症性腸疾患|長期間炎症が続くと大腸がんを合併する 炎症性腸疾患(IBD)を長期間患っている人は、大腸がんを合併するリスクが高まります。 潰瘍性大腸炎やクローン病など、慢性的に腸管に炎症が生じる病気では、腸粘膜の細胞が繰り返し傷つけられ、遺伝子変異が蓄積してがん化の可能性が高まるのです。 症状が安定していても、自己判断で治療を中断せず、医師の管理のもと継続的に炎症を抑えていきましょう。 コリバクチン毒素|若い人の大腸がん発症要因の可能性 近年の研究で、大腸内の一部の腸内細菌が産生する「コリバクチン」という毒素が、若年層の大腸がん発症と関係している可能性が示されました。 コリバクチンはDNAを損傷する性質があり、大腸がん初期段階で見られる遺伝子変異「APC変異」の一部が、コリバクチンに由来することが明らかになっているのです。 国際共同研究では、50歳未満の若年性大腸がん患者に、コリバクチン毒素による特徴的な変異パターンがあると報告されました。(文献14) 若年層のがん発症は生活習慣だけでなく、腸内環境や微生物との関連も強く示唆されており、今後の予防や治療法開発に大きな影響を与えるとされています。(文献14) 大腸がんを早期発見するための2つのポイント 大腸がんは、早期のうちに発見できれば高い確率で治癒が望めます。ただし、初期段階では症状がほとんど出ないため、発見が遅れるケースも少なくありません。 ここでは、大腸がんを早期発見するための2つのポイントを解説します。 初期症状に該当するかチェックする 大腸がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、少し進行してからようやく異変に気づくケースがあります。(文献9)。 以下に、大腸がんの代表的な症状をまとめたので、思い当たるものがないかチェックしてみましょう。 初期症状 チェックポイント 便に血が混じる、または便の表面に血が付着する 血便・下血と呼ばれる症状です。大腸がんが進行すると腸管内で出血が起こり、排泄物に鮮紅色もしくは暗赤色の血液が混ざることがあります。 痔など良性疾患でも起こる症状ですが注意が必要です。 貧血の症状が出る 大腸がんからの出血が断続的に続くと慢性的な貧血状態になります。 立ちくらみやめまい、動悸・息切れ、顔色の悪さなど貧血のサインが現れることがあります。 便通の変化(下痢や便秘を繰り返す)や便の形状変化 腸管が狭くなるために便秘と下痢を交互に繰り返したり、便が細くなったりする場合があります。 また常に残便感(出し切れていない感じ)があるのも特徴です。 お腹の張りや痛み 腸にガスや便が溜まりやすくなることで腹部膨満感を感じたり、腫瘍が大きくなるとお腹が痛くなることもあります。 進行した場合、腸閉塞(腸詰まり)を起こして激しい腹痛や嘔吐を引き起こすこともあります。 頻度が高いのは血便や下血ですが、痔など良性の病気でも起こり得るため、自己判断して放置してしまう例も少なくありません。 上記のような症状に心当たりがある場合は、お早めに消化器科・胃腸科・肛門科など専門医を受診しましょう。 大腸がんの初期症状については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。 定期的に健康診断を受ける 大腸がんを早期発見するには、自覚症状だけに頼らず、定期的に大腸がん検診を受けることが重要です。 日本では、40歳以上の男女に対し、年に1回の大腸がん検診受診が推奨されています。(文献9) 市区町村によっては、集団検診や職場健診で便潜血検査を実施しており、多くの場合費用の一部または全額が公費負担です。 大腸がん検診は主に問診と便潜血検査で、痛みもなく短時間で終わります。 手軽に受けられる検査なので、忙しくて時間がない方も年に一度はスケジュールを確保して受診しましょう。 大腸がんの原因になりやすい食べ物|男性・女性 特定の食べ物の摂取は大腸がん、とくに結腸がんの発症リスクに影響を及ぼすことが報告されています。 なかでも、赤肉(牛肉や豚肉)や肉類全体の摂取量が多いと、性別によって異なる影響をもたらす可能性があるため注意が必要です。 国立がん研究センターによると、女性で赤肉を1日あたり約80g以上食べているグループでは、結腸がんのリスクが高まる傾向が認められました。 一方、男性では、肉類全体の摂取量が1日約100g以上のグループにおいて、結腸がんのリスク上昇が確認されています。 なお、ハムやソーセージなどの加工肉については、日本人の一般的な摂取量の範囲内では男女ともに、統計的に有意な大腸がんリスクの上昇は見られなかったという結果も報告されています。(文献15) 大腸がんのリスクを下げる5つの予防方法 生活習慣の影響が大きい大腸がんは、日々の習慣を改善すると予防効果が期待できます。 日常生活で取り組める大腸がん予防策を解説するので、できることから取り組んでみましょう。 ストレスを適切にコントロールする ストレスは、大腸がんの間接的なリスクとなりうるため、上手に付き合っていかなければなりません。 心身の健康を保つには、まず十分な睡眠時間を確保し、生活リズムを整えるのが基本です。 また、自身に合ったストレス解消法を日常生活に取り入れるのも一つの方法です。 たとえば、以下のようなものが挙げられます。 ウォーキングやストレッチなどの軽い運動 読書や音楽鑑賞といった趣味の時間 親しい友人や家族との会話 すべてを完璧におこなう必要はないので、無理のない範囲で自分が心地よいと感じる方法を見つけてみましょう。 食物繊維を十分に摂る 食習慣の見直しは、大腸がん予防の柱となります。 まず、食物繊維を十分に摂取するよう心がけましょう。 野菜や果物、海藻、豆類、全粒穀物(玄米や全粒パンなど)には食物繊維が豊富に含まれており、食物繊維の摂取量が多い人ほど大腸がんの発症リスクが16〜24%低いとの研究結果も報告されています。(文献4) 日々の食事を見直し、大腸がんになりにくい食生活を意識しましょう。 運動習慣を身につける 定期的な運動習慣は、大腸がんのリスクを低減させる上で役立つと考えられています。 運動によって腸の動きが活発化し、便に含まれる有害物質が腸の粘膜に接触する時間を短くできるのが理由です。 実際に運動習慣がある人では、大腸がんの発症リスクが低下するとの報告もあります。(文献6) また、運動は肥満の解消や適正体重の維持にもつながります。 肥満はリスク要因のひとつであり、とくに糖尿病の人は大腸がんのリスクが1.4倍高まるとのデータも示されています。(文献4) まずは、毎日30分程度のウォーキングなど、継続しやすいものから始めてみましょう。 禁煙する タバコを吸う人は、禁煙しましょう。 喫煙は、大腸がんを含むすべてのがんのリスクを高める最大要因のひとつです。(文献7) タールやニコチンなどタバコに含まれる有害物質は、吸い込んだ肺だけでなく、血液を介して大腸の粘膜にも届き、細胞を傷つけDNAにダメージを与えます。 禁煙によって肺がんはもちろん、大腸がんやその他のがんになる確率も時間とともに減少していくことがわかっています。(文献10) 禁煙開始直後はストレスを感じるかもしれませんが、禁煙外来の活用やニコチンパッチ・ガムなど補助剤の利用も有効です。 がんにならない健康な体づくりの一環として、ぜひ禁煙にチャレンジしてみてください。 飲酒は適量を心がける お酒を嗜む方は、飲みすぎに注意しましょう。 過度の飲酒習慣は、大腸がんのリスクを高めます。(文献7) 一般的に節度ある適量の目安は、ビール中瓶1本または日本酒1合程度です。 適量を超える連日の飲酒は控え、飲む頻度も週に2日は休肝日を設けることが推奨されています。 また、お酒以外のリラックス法を見つけ、飲酒量を徐々に減らす努力が大切です。 適切な飲酒量の管理は大腸がんのみならず、肝臓や膵臓など他の臓器のがんにも関係していきます。 健康を維持するためにも、飲酒量には十分に注意しましょう。 大腸がんの主な症状 大腸がんは初期段階では目立った自覚症状がなく、進行するにつれてさまざまな症状が現れます。 ここでは、大腸がんの主な症状を見ていきましょう。 血便 大腸がんが進行すると、腫瘍部からの出血により便に血が混じる「血便」が起こる場合があります。 肛門に近い直腸がんは、鮮やかな赤色の血が便に見えることが多いほか、結腸のがんでは便と混ざって肉眼では気付きにくい場合があります。 出血が続くと慢性的な貧血につながるため、痔と判断せず早めに検査を受けましょう。 出血だけでがんと確定できるわけではないですが、便に血が付着する・色が変わるなどの異変があるなら要注意です。 便秘・下痢 大腸がんの腫瘍が大腸の内腔(中の空間)を狭めると、排便のリズムが乱れ、便秘と下痢を繰り返す可能性があります。 また、便が細くなったり、コロコロした便、残便感(排便後もまだ便が残っているような感じ)も併発します。 便通の異常は、消化器の他の疾患やホルモン異常でも起こり得るため、専門医に評価してもらうことが重要です。 大腸がんと便の関係については、以下の記事でも詳しく解説しています。 体重減少 大腸がんが進行すると、腸を通過する便の流れが妨げられ、食事量が減少したり、がん細胞から分泌される物質により代謝が変化したりして、体重が減少する場合があります。 食事や運動量に大きな変化がないにもかかわらず、痩せてきた場合は、早めに検査を受けましょう。 貧血 大腸がんによって持続的に出血したり、食欲不振・栄養不良が続いたりすると、鉄欠乏性貧血を伴うケースがあります。 とくに、血便と併発してめまい・動悸・息切れなどの症状が出た場合には、がんの可能性を含めた精査が必要です。 貧血とひと口にいっても、原因は多岐にわたるため、自分で判断せず医師に相談しましょう。 お腹のはり・しこり 腫瘍が大きくなって腸内で便やガスの通過が悪くなると、お腹の張り(腹部膨満感)や違和感が現れるのが特徴です。比較的進行した段階では、腹部を触った際にしこりを感じる場合もあります。 なかでも、右側大腸(盲腸・上行結腸)にがんが出来ると自覚症状が出にくく、腹部の張りや貧血をきっかけに発見されるケースも少なくありません。 お腹が張る・しこりがあるという違和感があれば、早めに受診しましょう。 大腸がんの症状については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 大腸がんの検査方法 大腸がんの早期発見には、定期的な検査が不可欠です。 ここでは、大腸がんで多くの医療機関が採用している代表的な検査方法を見ていきましょう。 便潜血検査 便潜血検査は、便の中に肉眼では見えない微量の血液が含まれていないかを調べる検査です。 大腸がんやポリープなどの病変があると、腸内でわずかな出血を起こし、便に混ざる場合があります。便潜血検査では、専用の試薬を使って血液の痕跡を化学的に検出可能です。 検査方法は、自宅で便を少量採取し、検査キットに塗布して提出します。 検査の結果、「陽性(血液反応あり)」であっても、必ずしも大腸がんとは限りません。痔や月経血の混入などによる「偽陽性」の可能性もあるため、陽性となった場合でも落ち着いて精密検査(大腸内視鏡など)を受けましょう。(文献9) また、「陰性」だからといっても完全に安心とは限らず、ごく初期のがんが見逃されているケースがあります。年1回は定期的に便潜血検査を受け、早期発見に努めていきましょう。 大腸内視鏡検査 大腸内視鏡検査では、肛門から細長い内視鏡(先端にカメラの付いた管)を挿入し、大腸内の粘膜を直接観察します。 便潜血検査よりも精度が高く、大腸がんの確定診断や早期の病変発見に有効です。 検査前日から専用の下剤を服用して腸内を洗浄し、当日は腸に空気や水を入れてふくらませながら、腸壁のすみずみまで確認します。 がんが疑われる場合や便潜血検査が陽性だった場合に実施されることが多く、医師が検査中にポリープを発見すれば、その場で切除することも可能です。(文献9) 採取した組織は、病理検査で詳しく分析され、良性か悪性かを診断します。 最近では鎮静剤を使用し、眠った状態で検査を受けられる医療機関も多く、苦痛を感じにくい工夫が進んでいます。 大腸内視鏡検査は半日から1日かかる場合もありますが、がんの早期発見と同時に治療もできる点で有用です。 なお、症状が強い場合は、便潜血を待たずに直接内視鏡検査を行うケースもあります。 大腸がんと大腸ポリープの違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 大腸がんの治療方法 大腸がんの治療は、がんの進行度や体の状態に応じて、以下の4つの方法があります。 内視鏡治療 薬物療法(化学療法) 放射線治療 手術療法 免疫療法 再生医療 では、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。 内視鏡治療 内視鏡治療は、がんが腸の粘膜内にとどまっているような早い段階(ステージ0〜I期)で発見された場合に選択される治療法です。 お腹を切る必要がなく、肛門から内視鏡(カメラ)を挿入し、モニターで確認しながらがんやポリープを切除します。 体への負担が少ないため、入院期間も2〜3日程度で済むケースがほとんどです。また、お腹に傷が残らず、回復が早いといった利点もあります。 ただし、がんの大きさや深さによっては、手術療法が必要と判断されるケースがあります。 薬物療法(化学療法) 薬物療法は、抗がん剤や分子標的薬を使ってがん細胞の増殖を抑える治療法です。 以下のような場合に用いられます。 手術後の再発予防(術後補助化学療法) 手術前にがんを小さくする目的(術前化学療法) 切除できない進行がんや再発がんの治療 他の臓器に転移がある場合 主に以下の薬剤が使用されます。 抗がん剤:5FU系薬剤、オキサリプラチン、イリノテカンなど 分子標的薬:ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブなど 治療は点滴や内服で行われ、複数の薬剤を組み合わせることが一般的です。副作用には吐き気、下痢、手足のしびれ、皮膚症状などがありますが、吐き気止めなどの薬を使うことで軽減できる場合が多くあります。 放射線治療 放射線治療は、高エネルギーの放射線をがん細胞に照射して死滅させる治療法です。 大腸がんでは主に以下の場合に用いられます。 直腸がんの手術前治療(がんを小さくして切除しやすくする) 直腸がんの術後再発予防 骨やリンパ節への転移による痛みの緩和 手術が困難な局所進行がんの制御 直腸がんでは、化学療法と併用する「化学放射線療法」が標準治療として行われることがあります。 治療は通常、平日に毎日少しずつ照射し、数週間かけて行います。副作用には、照射部位の皮膚炎、下痢、頻尿、疲労感などがありますが、多くは治療終了後に改善します。 手術療法 手術療法は、がんが腸の壁の深くまで達していたり、リンパ節に転移したりしている可能性があるステージI〜IIIで行われる治療法です。 がん細胞が含まれる腸管と、その周囲のリンパ節を一緒に切除します。 手術の方法は、以下の2つの術式があります。 術式 概要 腹腔鏡手術 お腹に小さな穴を開けておこなう 開腹手術 お腹を切り開いておこなう 進行状況によっては、一時的に人工肛門(ストーマ)を造設する場合もあり、手術後に再びつなぎ合わせるケースも少なくありません。 また、手術後には再発を防ぐ目的で、半年ほど抗がん剤などを用いた補助化学療法を行う場合があります。 免疫療法 免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。 現在、大腸がんの治療に効果があると証明されている免疫療法は、「免疫チェックポイント阻害薬」です。 ただし、すべての大腸がんに有効ではなく、以下のケースに該当する場合にのみ効果があるとされています。 遺伝子に入った傷を修復する機能が働きにくい状態 がん細胞中の遺伝子変異の量が多い状態 なお現段階で、免疫チェックポイント阻害薬以外の免疫療法は、大腸がんに対して効果が証明されていません。(文献11) 再生医療 近年、さまざまな病気の治療で「再生医療」が用いられています。 再生医療とは、自身の細胞を用いて身体の機能を整える治療法です。大腸がんにおいても、発症や再発のリスクを抑える目的で再生医療が選択肢になるケースがあります。 患者様ご自身の免疫細胞の働きを高める「免疫細胞療法」もその1つです。 血液から免疫細胞を採取し、体外でその数を増やし活性化させてから再び体内に戻す治療法で、体への負担を抑えられるのが特徴です。 免疫細胞療法について、詳しくは下記のページをご覧ください。 まとめ|大腸がんの原因を理解して生活習慣を見直そう 大腸がんは怖い病気ですが、原因となるストレスや食生活などの生活習慣を見直せば、予防が可能です。 日々のストレスを減らし、バランスの良い食事と適度な運動を心がけることは、大腸がんのみならず他の病気の予防にもつながります。 忙しいからと後回しにせず、できる範囲で生活習慣を改善していくことが大切です。 また、40歳を過ぎたら定期検診を受け、早期発見に努めていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に利用されている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご活用ください。 大腸がんの原因に関するよくある質問 大腸がんに気づいたきっかけは何が多いですか? 大腸がんは初期症状がほとんど出ないため、自身の判断で気づくのは難しいといわれています。発見に至るきっかけで多く挙げられるのは、会社の健康診断や自治体の検診で行う「便潜血検査」です。 検査で陽性反応が出た場合は大腸内視鏡検査を行い、大腸がんと診断されるケースがあります。 日本においては、40歳になると大腸がん検診の対象となるため、検診をきっかけに発見される方も少なくありません。ただし、30代でも発症する可能性はあるため、血便や長引く便秘・下痢、腹痛といった症状が続く場合は、専門機関の受診を検討しましょう。 50代で大腸がんになる確率はどれぐらいですか? 国立がん研究センターの報告によると、50代で1年間に大腸がんと診断される人数は、10万人あたり男性がおよそ120人、女性がおよそ75人です。(文献12) 確率に換算すると、男性は約0.12%、女性は約0.075%となります。男性であれば約833人に1人、女性では約1,333人に1人が50代のうちに罹患する計算になります。 参考文献 (文献1) 最新がん統計|国立がん研究センター (文献2) Perceived Stress and Colorectal Cancer Incidence: The Japan Collaborative Cohort Study|Scientific Reports (文献3) Perceived Psychologic Stress and Colorectal Cancer Mortality: Findings From the Japan Collaborative Cohort Study|Psychosomatic Medicine (文献4) 糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?|糖尿病ネットワーク (文献5) がん種別統計情報 大腸|国立がん研究センター (文献6) 身体活動量と大腸がん罹患との関連について|国立がん研究センター (文献7) お酒・たばこと大腸がんの関連について|国立がん研究センター (文献8) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)について|国立がん研究センター (文献9) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診|国立がん研究センター (文献10) がんゲノムビッグデータから喫煙による遺伝子異常を同定|国立がん研究センター (文献11) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療|国立がん研究センター (文献12) 大腸がんファクトシート2024|国立がん研究センター がん対策研究所 (文献13) 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究|国立がん研究センター (文献14) 日本人大腸がん患者さんの5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因を発見|国立がん研究センター (文献15) 赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて|国立がん研究センター
2025.04.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「寝ても寝ても眠い状態が続く」 「眠いのは貧血も関係していると聞いた」 「貧血の検査を受けた方が良いのだろうか」 このように悩まれている方は多いでしょう。女性の場合、月経前後や月経中に眠気が強くなる方も少なくありません。 本記事では、貧血で眠くなる理由や対処法を解説します。セルフケアを続けても眠気が続く場合や、眠気が強くなる場合は、専門医に相談してみましょう。 いつも眠い理由は貧血のせいかもしれません! 眠気が続く原因として、貧血が考えられます。 貧血が眠気を引き起こす理由は、主に以下の3つです。 血液中の酸素不足 睡眠の質の低下 月経の影響 血液中の酸素不足 貧血とは、赤血球の中にあるヘモグロビンの量が不足した状態です。ヘモグロビンは、血液に酸素を行きわたらせる働きがあります。 貧血によりヘモグロビンが不足すると、血液中の酸素が不足し、その影響で脳の活動も低下します。眠気は、脳の活動低下によるものです。そのほかにも判断力の低下や頭がぼんやりするなどの症状があらわれます。 貧血の方は、体内への酸素運搬能力が低下しているため、筋肉や他の組織もエネルギー不足の状態です。そのため、通常の日常生活でも疲れやすくなっています。 貧血の症状については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 睡眠の質の低下 貧血が原因で、睡眠の質が低下するケースもあります。代表的なものが、むずむず脚症候群です。 むずむず脚症候群とは、脚の奥に不快な感覚が生じるものです。不快な感覚としては、主に以下のようなものがあげられます。 むずむずする ピリピリする 虫が這っているような感じがする かゆみがある むずむず脚症候群の特徴は、安静にしていると症状が出現もしくは増強し、足を動かすと症状が軽減される点です。 夜に症状が出現しやすいため、寝付けなかったり、何度も目が覚めたりします。そのため睡眠の質が低下して、眠い状況が続くのです。 月経の影響 女性の場合は、月経も眠気に関連しています。 女性は月経による出血が毎月あるため体内から鉄分が失われることが多く、鉄欠乏性貧血を引き起こしやすいです。そのため、体内で酸素不足が起きやすく、眠気を生じやすいといえます。 1回の月経による出血量は、20〜140mlが正常範囲であり、140ml以上の出血があると月経過多状態とされます。(文献1) また、月経前の2週間はとくに眠気を生じやすい時期です。ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、体温変動の少なさなどが、理由としてあげられます。 貧血が原因で眠いときの対処法 貧血が原因で眠いときの対処法としてあげられるのは、主に以下の2つです。 生活リズムの見直し 食生活の見直し 生活リズムの見直し 眠いときの対処法の1つが、生活リズム、とくに睡眠リズムの見直しです。 起床後すぐに日光を浴びると体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整います。 日中、光を多く浴びることにより入眠前に「メラトニン」が適切に分泌されます。メラトニンは、就寝の1~2時間前に眠気をもよおすホルモンです。(文献2) 眠気が出てきたタイミングで寝室に入り、静かな環境で就寝すると、質の良い睡眠が得られます。睡眠の質が高まると、眠気の改善に繋がります。 就寝前にスマートフォンやタブレット、パソコンなどの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されて、睡眠が妨げられます。スマートフォンやタブレットを寝室に持ち込むことは、睡眠の質低下につながるため、おすすめできません。 食生活の見直し 貧血の多くは、体内の鉄分不足による鉄欠乏性貧血です。毎日の食事を通じて、鉄分やビタミンB12、ビタミンC、葉酸、タンパク質など赤血球やヘモグロビンの材料になるものを摂り続けましょう。 貧血が改善されると、眠気が軽減する可能性も高まります。 食生活の見直しについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 医師に相談すべき眠気の症状 前章で紹介した対処法を試してもなお眠気が続く場合や、この章で紹介する症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診し、医師に相談しましょう。 眠気のため気絶してしまう 貧血が重度の場合、強い眠気や疲労感が生じます。血液中の酸素不足により、脳の血流量が低下し、結果として脳が正常に機能するためのエネルギーが失われるためです。 脳の血流量が減少すると、一時的に意識を失ってしまうこともあります。いわゆる「気絶」「失神」と呼ばれる症状です。 眠気以外に動悸や息切れといった症状がある 平担な道を歩いているだけで動悸や息切れがする場合は、貧血が重症化している可能性があります。 貧血が進行すると、体内への酸素供給量も低下し、平地を歩くといった軽い動作でも体に負担がかかります。酸素供給量を増やすため、平常時よりも心臓の動きが速くなったために生じるのが動悸です。 酸素供給量低下によるもう1つの症状が、息切れ(呼吸困難)です。貧血の方は、血液中の酸素量を増やすため、速く深い呼吸になっています。 貧血で強い眠気を感じる場合は専門医に相談しよう 貧血は血液中のヘモグロビン値が低下して、身体が酸素不足になっている状態です。身体が酸素不足であるために、結果として脳の活動も低下して、眠気につながります。 貧血によりむずむず脚症候群が引き起こされると、睡眠の質が低下します。これも眠気につながる原因の1つです。 女性の場合、月経のために鉄欠乏性貧血を起こしやすく、月経周期の関係で眠くなることもあります。 本記事で紹介した対処法を実践しても眠気が続く場合や、気絶する、動悸・息切れが強いときなどは、貧血が重症化していることが考えられるため、医療機関を受診しましょう。 リペアセルクリニックでは、貧血治療に関するご相談にも対応いたします。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。 貧血と眠気に関するよくある質問 貧血のため眠いと感じるときは何科を受診すると良いでしょうか 最初は内科を受診すると良いでしょう。血液検査で、ヘモグロビンや赤血球数といった貧血関連の数値を調べて、必要であれば総合病院や大学病院などの血液内科を受診する流れです。この場合、内科医師が紹介状を書くことが一般的です。 女性の方で、「生理中に貧血のような症状がある」「生理中に眠気が強くなる」などの状況であれば、婦人科受診も選択肢として考えられます。 貧血で眠いのは鉄剤の副作用でしょうか? 鉄剤の主な副作用は、吐き気や胸やけ、腹痛といった消化器症状です。他にも湿疹や皮膚のかゆみなどの副作用があります。 眠いのは、貧血による影響が強いと考えられます。 薬について不安や心配ごとがある場合は、主治医もしくは薬剤師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部 保健室「月経時、出血量が多く悩んでいませんか?」2024年 https://www.sapporo-otani.ac.jp/wp/wp-content/themes/sapporo-otani/images/campuslife/support/hokehshitu_letter_2411.pdf(最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 厚生労働省「眠りのメカニズム」健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~, 2023年01月23日 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-002.html(最終アクセス:2025年6月5日)
2025.04.30







