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高血圧の原因に女性ホルモンの影響が?更年期高血圧と対策 高血圧は生活習慣病の一つとして広く知られています。 しかし、高血圧の裏に別の病気が隠れていることも少なくありません。 思い当たる節がないのになぜか血圧が高いと思ったことは?その高血圧は、更年期によるものかもしれません。 40〜50代の女性が注意すべき更年期高血圧! 更年期は、女性ならば誰しもが通る道です。そして、更年期の変化によって生じる高血圧を『更年期高血圧』と呼びます。 これまで健康診断に引っかかることもなかったのに急に血圧が上がったり、生活習慣には気をつけているのに血圧を測ったら高かった、などということがあれば要注意!高血圧を放置しておくと、心臓病や脳血管障害に繋がることも。だからこそ、病態を理解し、きちんと対策を行うことが大切なのです。 女性ホルモンの減少によって生じる更年期障害 更年期とは、閉経前後それぞれ5年間を合わせた10年間を指します。日本人の平均閉経年齢は50歳とされていますが、早い人では40代前半、遅い人では60歳手前で迎えることもあります。 女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。更年期になると卵巣機能が低下し、それに伴い女性ホルモンも減少します。このうちエストロゲンの減少が、更年期障害の発症に大きく関わっていると考えられています。ホルモンバランスを保てなくなったことに対して、脳がそれを補おうと必死に身体に様々な命令を送り、それが更年期症状として現れてしまうのです。 加えて、加齢による身体的影響、性格などの心理的影響、そして家庭や仕事によるストレスが複雑に絡み合い、個々の症状に現れてきます。症状が軽度で済む人もいれば、日常生活に支障が出るくらい重い症状を呈する人もいます。軽度の場合は更年期症状、症状が重くなると更年期障害となります。 多岐にわたる更年期症状ですが、高血圧以外には以下のようなものが挙げられます。 ・血管運動に関わる症状(ほてり、のぼせ、発汗、動悸、息切れ、むくみなど) ・精神症状(頭痛、不眠、不安感、イライラ、抑うつ、無気力など) ・消化器症状(便秘、下痢、胃の不快感、胸焼け、吐き気など) ・皮膚症状(かゆみ、湿疹など) ・運動器に関わる症状(肩こり、腰痛、背中の痛み、関節痛など) ・そのほか(疲労感、排尿トラブル、不正出血など) それでは、どうして更年期になると血圧まで影響を受けてしまうのでしょうか? 更年期障害と高血圧の関係性 日常生活の中で、例えば運動中は血圧は上がり、運動後リラックスしている時は血圧が下がります。このように血圧の変動がある中でも、私たちの身体は常に一定の血圧を保持できるよう機能しており、高くなりすぎず、低くなりすぎないように調整されているのです。エストロゲンは、その調整因子の一つであり、血管を広げて血圧を下げる働きをします。よって、このエストロゲンが減少すると、血圧は下がりにくくなってしまうのです。 さらにもう一つ、自律神経の乱れも更年期高血圧に大きく関わる因子です。 自律神経には、交感神経と副交感神経があります。活発な時や緊張状態の時には交感神経が優位となり、血管が収縮して血圧が上昇します。逆に休んでいる時や就寝中は副交感神経が優位となり、血管は拡張して血圧が下がります。このように血圧調整にとても大切な自律神経ですが、女性ホルモン低下に追いつけないことでパニックになった脳は、様々な命令を身体に送る中で、自律神経も乱してしまうのです。自律神経の乱れは血圧変動のみならず、上記に述べたような精神症状や身体症状の原因にもなっています。 このようにエストロゲンの減少と自律神経の乱れは、本来私たちに備わっている血圧調整の歯車を狂わせ、結果的に更年期高血圧を引き起こすのです。 更年期高血圧の特徴とは? 更年期高血圧の特徴は、大きく2つあります。 特徴①40〜50代の女性に生じる まず一つ目の特徴として、更年期に生じる高血圧のため、40〜50代の女性にみられます。 それゆえ、更年期を過ぎると血圧も正常化する人もいます。しかし、加齢とともに血管の老化や自律神経の働きが低下し、更年期高血圧以降もそのまま高血圧に転じてしまう人も多くみられます。 特徴②血圧が不安定になり上がりやすくなる 二つ目の特徴は、血圧が不安定になることです。 不安やイライラなどの精神的な要素も加味され、ちょっとしたことで血圧が上がりやすくなっています。 更年期高血圧に!今日から自分でできる対策 今日からご自身で始められる、更年期高血圧の対策をいくつかご紹介いたします。 血圧の管理 まずは血圧の測定を定期的に行い、その血圧上昇が一時的なものなのか、あるいは血圧が高い状態がずっと続いているのか、そしてどのような時に高くなるのか確かめることが大切です。 ①血圧上昇が一時的なものなのか ②血圧が高い状態がずっと続いているのか ③どのような時に高くなるのか 外出時は精神的・身体的・環境的因子が血圧に影響することも多いため、自宅での血圧測定を推奨します。 定期測定は起床時と就寝前の2回、そしてめまいや動悸など、上記の更年期症状が出た際にも血圧を測定し、血圧の推移とともにどのような状況で血圧が上がったのかを書き留めておくと良いでしょう。自分の状況を把握するだけでなく、医師からの診察の際にも役立ちます。 生活習慣の見直し 次に、生活習慣の見直しも行いましょう。 冒頭で述べたとおり、塩分過多は高血圧の原因として最も多いとされています。また、肥満は動脈硬化を起こし、結果的に高血圧を生じさせます。 近年は特に、インスタント・冷凍食品の改良化や食事のデリバリー事業などが進み、便利な時代となりました。しかし、既製品や外食は塩分量とカロリーが高くなる傾向にあります。減塩調味料の使用や野菜多めの食事を心がけるようにしましょう。 運動習慣を取り入れる 仕事や家事に追われて、なかなか運動の時間をとるのが難しい方もいらっしゃいます。 1日の中で、少し早起きしてウォーキングをしてみる、パソコンで10分のエクササイズ動画を真似してみる、休日にスポーツセンターに行ってみる、一駅分歩いてみる、など小さなことで構いません。 ・ウォーキング ・10分簡易エクササイズ ・休日にスポーツセンターに行く ・一駅分歩いてみる 自分のできる範囲内で何か始めてみましょう。運動するとイライラした気持ちも収まり、身も心もスッキリします。 睡眠時間を十分に取る 睡眠不足は交感神経を刺激し、高血圧を引き起こします。 しかし更年期障害の一つに不眠もあり、夜なかなか寝付けない人もいるかと思います。 就寝時間の2時間前までに食事を摂り終える、布団に入ったらスマートフォンはいじらない、夜にカフェインやお酒は控える、リラックス効果のある香りや音楽をつけてみる、などの工夫をおすすめします。 ・就寝時間の2時間前までに食事を摂り終える ・布団に入ったらスマートフォンはいじらない ・夜にカフェインやお酒は控える ・リラックス効果のある香りや音楽をつける ここまでの対策は自身でできることですが、やはり重症化予防の鍵は早期受診となります。 高血圧を適切に治療しなかった場合、心臓や脳の血管に障害を生じ、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がります。こうならないためにも、適切な治療を受けることが必要です。 循環器内科を受診しましょう 更年期症状の改善に関しては婦人科、高血圧の改善に関しては循環器内科が専門となります。今はオンライン診療やオンライン医療相談も広まってきていますので、コロナ以降病院から足が遠のいた方や忙しい人も医師に気軽に相談できます。気になる方はぜひ調べてみてください。 治療法としては、上記に述べたような生活指導の上、高血圧に対しては降圧薬、更年期症状に対しては漢方薬や抗精神薬の処方、そして必要な場合にはホルモン療法なども検討されます。 どの治療法になるかは、患者さん一人一人に合った方法を医師と相談して決めていくこととなります。 まとめ・高血圧の原因に女性ホルモンの影響が?更年期高血圧と対策 更年期高血圧は、更年期の身体の変化に伴って生じるものです。 更年期を過ぎると血圧が元に戻ることもありますが、多くの場合は加齢の変化と相まって高血圧のままとなります。命を脅かす病気に発展しないよう、血圧のコントロールを行うことが大切です。 毎日の生活習慣を改善し、早期に病院を受診しましょう。このコラムがご参考なれば幸いです。 参考文献 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019. ▼こちらもあわせてお読みください。
2024.04.22 -
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高血圧の予防と改善!高い血圧を下げるには食事・運動・薬でコントロール! 高血圧を放置すると、脳卒中・心疾患・腎臓病など命に関わる病気に発展するリスクがあります。 それにもかかわらず、国内で4300万人と推計されている高血圧罹患者のうち、適切に血圧がコントロールされているのはたった3分の1といわれています。残りの3分の2の方はコントロール不良あるいは未治療、その半数は自分が高血圧であることに気づいてすらいないのです。 高血圧は、気がつかない間に重大な病気を引き起こし得るため「サイレントキラー」とも呼ばれています。 血圧を予防・改善するには何をすれば良いのでしょうか。鍵となるのは、食事や運動の見直しと適切な薬の使用です。 本記事では、高血圧の原因や症状、基準値などの基本的な情報とともに、効果的な対策法を分かりやすく解説していきます。 高血圧の原因:何が血圧を上げるのか 高血圧には、原因別に「二次性高血圧」と「本態性高血圧」の2つがあります。 二次性高血圧 二次性高血圧は、特定の病気が原因で血圧が上昇するケースを指します。 その病気を治療することで、高血圧を改善することが期待できます。 本態性高血圧 本態性高血圧は、複合的な原因で起こる高血圧のことです。 原因として、体質や遺伝的な要素に加え、不適切な食事・肥満・運動不足・喫煙などの生活習慣が関係しています。特に日本人は塩分をとりすぎやすく、血圧上昇に大きな影響があります。血圧を下げるためには減塩をはじめとした生活習慣の改善に取り組むことが必要です。 二つの高血圧のうち、圧倒的に多いのは本態性高血圧です。この記事でも主に本態性高血圧について取り上げていきます。 高血圧診断の基本:血圧の基準値とは 高血圧の診断は、診察室と自宅それぞれの血圧測定で行います。 まず、診察室血圧が【収縮期血圧140/拡張期血圧90mmHg以上】であれば自宅で血圧を測定します。 自宅の血圧が135/85mmHgであれば高血圧の確定診断となります。自宅での血圧が測定できない場合は、診察室の血圧だけでも「高血圧」と考えます。 では、基準値より低ければ正常かというと、そうではありません。 「正常血圧」は、診察室で測った血圧が120/80mmHg未満、自宅で測った血圧が115/75mmHg未満の場合を指します。 高血圧でなくても、正常血圧より高いグレーゾーンがあるのです。 病院での測定値で120〜139/80〜89mmHg、家庭血圧で115〜134/75〜84mmHgの場合が、以下のグレーゾーンに該当します。 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019 高血圧の診断を満たさなくとも、血圧が高くなるにつれて脳卒中や心筋梗塞などの「脳心血管の疾患」が起こりやすいのです。また、グレーゾーンの方は生涯のうちに「高血圧」の基準を満たす可能性も高くなります。たとえ診断に至らなくても、血圧が高めの方は対策をとることをおすすめします。 また、自宅での血圧が高血圧に該当しなくても、診察室血圧のみが高血圧の基準を満たす場合は「白衣高血圧」といいます。白衣高血圧の方は高血圧でない方と比べて、将来的に脳心血管の病気を起こすリスクが高く、要注意です。 自宅血圧測定の方法:計測する時間帯や回数 自宅で血圧を測定することは高血圧の診断に重要ですが、それ以上に治療においても重要です。家庭血圧が降圧治療の一番の指標になるからです。 家庭血圧が正常範囲になることが、高血圧対策が有効と判断する重要な材料になるのです。高血圧と診断されたら、家庭血圧を毎日測って把握することが治療の第一歩になります。 では、家庭で血圧を測定するときのポイントをお伝えします。 家庭血圧測定のポイント 1日の中で血圧を測る時間帯は、朝と夜の両方が基本です。 朝は起きてから1時間以内に測ります。朝ごはんを食べる前、薬を飲む前、トイレに行った後が良いです。測定前に水分を取ることは構いません。夜は寝る前に測定しましょう。 血圧測定時は、1〜2分間じっと落ち着いてから行います。測る前に深呼吸をしてリラックスしましょう。急いで測定すると、正確な血圧が出ないことがあります。 血圧は原則的には、都度2回測定します。2回の結果はどちらとも記録しておきましょう。つまり、朝2回、夜2回、計4回測ります。 ・起床後 1時間以内に2回 ・就寝前 2回 2回測った血圧の値は、平均値で判断します。 高血圧の診断や治療の効果を判断するには、5〜7日間の血圧の平均値を用います。そのため、毎回の血圧測定毎に「高かった」「今日は下がっている」と一喜一憂することはあまり意味がありません。 家庭血圧測定で一番大事なことは、継続することです。ご自身の生活スタイルに合わせて測定時間を調整しましょう。 毎日決まった時間に測定することが望ましいですが、難しい場合は担当医師と相談しましょう。 高血圧の自覚症状:頭痛・肩こりとの関係と潜むリスク 高血圧のみでは自覚症状がないことが多いです。人によっては、血圧が高いと軽度の頭痛や肩こりなどの症状が現れることがあります。 一方で、血圧が急激に高くなることによって危険な状態に陥る場合もあります。それが、「高血圧緊急症」です。脳・心臓・腎臓・大きな血管などに障害をきたし、放置すると命に関わります。多くの場合は180/120mmHg以上の高度の血圧上昇により起こるものです。 高血圧緊急症の例として次のような疾患が含まれます。 〈高血圧緊急症の例〉 ・高血圧性脳症 ・脳卒中 ・急性大動脈解離 ・急性心不全 ・急性心筋梗塞 ・急性腎不全 とくに「高血圧性脳症」は耳慣れない言葉かもしれません。これは急激に血圧が上昇することで、脳の血流が必要以上に増加して脳が浮腫む病気です。 そのまま放置すると脳出血や昏睡状態を引き起こし、命を落とす危険性もあります。急激な血圧上昇に加えて悪化する頭痛・吐き気・嘔吐・視力の障害・意識障害・痙攣などの症状は、緊急で受診をする必要があります。 高血圧対策!生活習慣の見直しで予防・改善 高血圧は生活習慣病であり、生活習慣を見直すことは高血圧の予防・改善の第一歩です。 具体的に改善すべき点の例を以下に挙げます。 〈高血圧対策において見直すべき項目〉 ・塩分を控えめにしているか ・食事の内容は野菜・果物・魚などが中心になっているか ・運動習慣があるか ・適正な体重(BMI 25kg/m2未満)を維持できているか ・お酒を飲み過ぎていないか(エタノールで男性20-30mL/日、女性で10-20mL/日以下) ・タバコを吸っていないか このような項目の1つだけを見直したとしても、一気に10mmHgも20mmHgも血圧が下がるものではありません。2つ、3つと可能な限り複数合わせて取り組むことで、大きな効果をもたらす可能性はあります。 降圧薬を飲んでいる状況でも、生活習慣を改善することで薬を減らすことができるかもしれません。それぞれの項目は互いに関連することも多いため、まずはできることから始めましょう。 食事療法で高い血圧を下げるには 食事で血圧を下げるのに重要な見直しポイントは「減塩」と「食事の内容と量」です。また、「飲酒量のコントロール」も大切です。一つずつ解説していきましょう。 減塩について 減塩については、1日に6g未満を目標にします。 厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査によると日本人の1日の塩分摂取量の推定は10.1gとされています。多くの日本人にとって6g未満の塩分量の食事は、非常に薄味に感じるでしょう。 医療機関では尿検査で1日の塩分量の推定をすることができます。あくまで推定値で誤差はありますが、自分がどのくらいの塩分を取っているかを知る一つの目安になるでしょう。気になる方はかかりつけの病院や最寄りの医療機関で相談してみてください。 減塩のポイントは、出汁やスパイス、お酢などを上手に使うことです。また、漬物やハム・ソーセージなどの加工食品には食塩が多く含まれるためなるべく避けましょう。味噌汁やラーメン・うどんなどの汁は飲み干さないようにしましょう。 食事の内容と量 食事の内容としては、野菜・果物・魚を積極的に摂り、肉類など動物性の脂肪は控えめにすることが重要です。 野菜や果物に多く含まれるカリウムは、塩分に含まれるナトリウムを排出させて血圧を下げることがわかっています。ただし、カリウム摂取については腎臓病の方は制限が必要な場合もあります。通院中の方は主治医の指示に従いましょう。 肉や高脂肪の乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸が過多になると、血中のコレステロールが増え動脈硬化が進み血圧が上がります。一方で魚や多くの植物性油脂・ナッツなどに多く含まれる不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減らし血圧を下げる効果があります。 そして、どんなに体に良い食事でも食べ過ぎは肥満のもとです。肥満は血圧上昇とも関連するため、腹八分目を心がけましょう。 飲酒量のコントロール 飲酒習慣は血圧を高くします。節酒も血圧を下げるのに有効です。高血圧がある方の飲酒量の目安は1日あたりエタノールで男性20-30mL、女性で10-20mL以下です。 〈1日あたりの飲酒量の目安:男性の場合〉 ・日本酒 1合 ・ビール 中瓶1本 ・焼酎 0.5合 ・ウイスキー ダブル(約60mL) ・ワイン 2杯 ※女性はこの半分を目安にしてください。 運動療法で血圧は下がる?有酸素運動のすすめ 運動は血圧を下げるだけでなく、肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や改善にも効果があります。 おすすめは有酸素運動です。ウォーキングやジョギング、エアロビクス、水泳など、ご自身が楽しいと感じるものが継続しやすいでしょう。 「少しきつい」と感じるくらいの運動強度で、1日30分以上行ってください。 毎日続けるのが難しい場合は、まずは週に1回でも運動習慣を作るところから始めてみてはいがかでしょうか。 薬物療法による高血圧のコントロールについて知ろう 高血圧の薬は様々な作用機序で血圧を下げます。代表的なものは以下の通りです。 〈代表的な降圧薬〉 ・ACE阻害薬、ARB:血圧を上昇させるホルモンの作用を阻害する ・カルシウム拮抗薬:血管を拡張させて血圧を下げる ・利尿薬:余分な水分やナトリウムを体外に排出する ・β遮断薬:交感神経を抑制して心収縮を抑えて血圧を下げる 血圧を下げる薬を内服する上で大切なことがあります。それは、血圧が下がっても自己判断で中止しないことです。 どのような降圧薬であっても、効果はあくまで一時的なものです。飲み始めて血圧が下がったからと内服をやめてしまうと、元の高い血圧に戻ってしまいます。ただし、生活習慣を良くしていくことで徐々に減薬・中止をすることができる方もいます。薬の調整は、運動や食事に気をつけながら、家庭血圧の測定結果をもとに医師と相談して決めましょう。 まとめ・高血圧は食事・運動・薬でコントロール! 本記事では高血圧の原因をはじめとした基本情報と、効果的な対策について説明しました。 高血圧の多くを占める本態性高血圧では、塩分のとりすぎをはじめとした生活習慣が大きく関わっています。症状がないからといって高血圧を放置すると、命に関わる病気を起こしかねません。 血圧が気になるのであれば、まずは定期的な血圧測定を行い日々の血圧がどのくらいかを把握するように努めましょう。 高血圧対策の第一歩は生活習慣を改善することです。一気に運動も食事も改善しようとするのが難しければ、できるところから始めてみましょう。薬をすでに処方されている方は、しっかり続けることもお忘れなく。 本コラムが皆様の健康的な生活に少しでも役立ちますと幸いです。 参考文献 厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019 ▼こちらもあわせてお読みください。
2024.04.15 -
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高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説します! 高血圧は世界中で数多くの人々が罹患している疾患です 。この病気は、しばしば「サイレントキラー」と呼ばれています。 高血圧自体では症状がほとんどないにもかかわらず、心臓病や脳卒中など、命に関わる病気のリスクを高めるからです。高血圧とストレスの関係は、多くの研究で注目されており、これら二つの間には密接なつながりがあることがわかっています。 本記事では、ストレスと高血圧の関係を深く掘り下げ、予防や改善のために役立つポイントを解説していきます。 高血圧とは何か 高血圧は、血液が血管壁にかかる圧力が通常よりも高い状態を指します。この状態が継続すると、心臓や血管に過剰な負担がかかり、心臓病、脳卒中、腎臓病などの重大な健康問題のリスクが高まります。 血圧は「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の二つの数値で表されます。 収縮期血圧(上の数値)は、心臓が収縮して血液を体中に送り出す際の圧力です。拡張期血圧(下の数値)は、心臓が次の収縮に備えて血液で満たされる際の圧力です。 通常、成人の正常な血圧は収縮期が120mmHg未満、拡張期が80mmHg未満とされています。一方、高血圧は、収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上である状態を指します。 引用) 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p18 血圧は、測定する場所によって以下のように分けられています。 診察室血圧 医療機関で医療従事者が測定する血圧です。 この環境で高い血圧を示す人は、白衣高血圧の可能性があります。 白衣高血圧は、医療機関での血圧測定時にのみ高血圧の値が出る状態を指します。家庭での測定や、24時間血圧モニタリングでは正常範囲内の血圧値を示すにも関わらず、医療機関で測定すると血圧が上昇する現象です。この現象は、医療環境に対する不安や緊張が原因で起こります。 白衣高血圧自体が直接的な健康リスクを示すわけではありませんが、一部の研究では、白衣高血圧の人が将来的に持続的な高血圧(本態性高血圧)を発症するリスクが高まる可能性が指摘されています。 したがって、白衣高血圧の診断を受けた場合でも、定期的な血圧のモニタリングと、必要に応じたライフスタイルの見直しが推奨されます。 家庭血圧 患者自身が自宅で測定する血圧です。 日常生活における血圧の変動をより正確に把握できる方法とされています。 24時間血圧モニタリング(ABPM: Ambulatory Blood Pressure Monitoring) 24時間持続的に血圧を測定する方法で、患者が通常の日常生活を送りながら測定します。 昼夜の血圧の変動や、睡眠中の血圧を含めた全体的な血圧コントロール状態を評価するのに有用です。 高血圧2つのタイプと原因 高血圧には二つの主なタイプがあります。「一次性高血圧」(原因不明の高血圧)と「二次性高血圧」(特定の原因による高血圧)です。 一次性高血圧 ほとんどの高血圧はこのタイプに該当し、明確な原因は特定されていませんが、遺伝、食生活、生活習慣など複数の要因が関連していると考えられています。 二次性高血圧 何らかの病気や状況が原因で血圧が高くなるケースです。腎臓病、内分泌異常、特定の薬剤の使用などが原因で起こります。 高血圧のリスク要因として考えられること 高血圧のリスクを高める要因には、以下のようなものがあります。 ①年齢 加齢とともに血圧は高くなる傾向にあります。 ③性別 年齢によっては、 男性の方が女性より 高血圧になりやすい時期があります。 ③家族歴 高血圧の方が家族に多い場合、遺伝的要因が関係している可能性があります。 ④不健康な生活習慣 不健康な食事(特に塩分の過剰摂取)、運動不足、肥満、過度のアルコール摂取、喫煙などが高血圧のリスクを高めます。 ⑤ストレス ストレスと緊張も高血圧のリスクを高める重要な因子です。 なぜストレスがかかると血圧が上昇するのか? さて、血圧が上がる原因の一つに、ストレスがあると述べました。 ストレスは、私たちの身体に多方面から影響を及ぼします。その影響の一つとして、身体の自律神経系を活性化させることで心拍数と血圧を一時的に上昇させることが知られています。 これは、身体が直面した脅威に対処するための「戦うか逃げるか」の反応として機能し、短期間であれば自然な生理現象とみなされます。しかし、この反応は短期的なものに留まらず、ストレスが慢性化すると、高血圧を引き起こす原因となり得ます。 慢性的なストレスは、心拍数と血圧の持続的な上昇を引き起こし、高血圧につながる恐れがあります。加えて、ストレスが多い環境にいると、健康に良くない食生活や運動不足など、高血圧につながる他のリスク要因が増えがちです 。 不健康な生活習慣は、さらに血圧に悪影響を及ぼし、悪循環を生むことになります。 ストレスは交感神経を刺激し、一時的な心拍数と血圧の上昇を引き起こすだけでなく、長期間にわたるストレスの影響で高血圧症を引き起こす可能性があることが分かります。 そして、慢性的なストレスが不健康な生活習慣へと導くこともあり、さらに血圧に悪影響を及ぼす可能性があるのです。したがって、ストレス管理は血圧コントロールの観点からも非常に重要であると言えます。 高血圧を引き起こす主なストレス源 職場や家庭内でのストレスは、高血圧の主な原因の一つとして広く認識されています。 職場での過剰な負担や、期限の迫ったプロジェクト、職場内での対人関係の問題などが、ストレスレベルを高める主な要因となるのです。これらのストレスは、交感神経系を刺激し、心拍数の増加や血管の狭窄を引き起こし、結果的に血圧を上昇させる可能性があります。 家庭環境も、ストレスの大きな源となり得ます。家族間の不和、経済的な問題、子育てや介護などの責任は、個人のストレスレベルを大幅に高めることがあります。家庭内でのストレスは、しばしば外部には見えにくいため、解決されずに長期化することがあります。 このようなストレス状態が続くと、心身の健康に悪影響を及ぼします。特に血圧に関しては、その数値を大幅に高めるリスクになります。 さらに、職場と家庭の双方からのストレスは、不健康な生活習慣につながってしまうことがあります。過剰なストレスは、不安や抑うつといった精神的な問題を引き起こすことがあり、これが不健康な食事、運動不足、過度のアルコール摂取や喫煙など、高血圧に直結する生活習慣へつながるのです。 したがって、職場や家庭内でのストレス管理は、血圧を健康的なレベルに保つために、 極めて重要です。 血圧測定時にストレスの影響で血圧は変動するのか 病院や自宅で測定した血圧が正常でも、職場や家庭のストレスにさらされている昼間の時間帯の血圧が高くなることがあります。具体的には、135/85mm/Hg以上の場合、昼間高血圧と定義されています。 精神的・身体的なストレスは血圧に影響を与えることが知られています。 健康診断の際や病院での血圧は正常でも、ストレス状況にある職場で測定した血圧が高い「職場高血圧」は、肥満の方や高血圧の方が家族にいる方に多いという特徴があります。 高血圧の治療 -生活指導や薬物療法 - 高血圧治療は、患者のライフスタイルの見直しと薬物療法を組み合わせていきます。 ①ライフスタイルの改善 高血圧治療においては、生活習慣の改善が重要となります。例えば、食生活、運動習慣、禁煙、ストレス管理など、日々の生活習慣を見直していきます。 具体的には、塩分の過剰摂取を避け、果物や野菜を豊富に含むバランスの取れた食事を心がけ、規則正しい運動を行うことが推奨されます。 具体的な食塩摂取量は、「健康日本21(第三次) 」の目標値では7g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。 成人男性・・・7.5g未満 成人女性・・・6.5g未満 また、日本高血圧学会では、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることが勧められています。 禁煙や適度なアルコール摂取、良好な睡眠習慣、効果的なストレスマネジメントが血圧管理に役立ちます。 ②薬物療法 生活習慣の改善だけでは血圧がコントロールできない場合、薬物療法が検討されます。 血圧降下薬には、ACE阻害薬、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、βブロッカーなどがあります。 患者の状態や既往症などを医師が総合的に判断することによって、こうした薬剤は個別に処方されます。 ストレスによる高血圧の予防法 - 生活習慣の改善 - 上記で述べたように、ストレスは高血圧と深い関係があります。そこで、ストレスに上手く対処することが血圧の上昇を防ぐために重要となります。 ここでは、ストレスへの対処法と改善策を詳しくご紹介します。 規則正しい運動 軽い有酸素運動は、ストレスを軽減し、血圧を低下させるのに役立ちます。週に数回、歩行やジョギング、水泳などを行うことをお勧めします。 バランスの取れた食事 塩分の摂取量を控えめにし、果物、野菜、全粒穀物を豊富に含む食事を心掛けてください。これらは血圧を健康的なレベルに保つのに役立ちます。 十分な睡眠 良質な睡眠はストレスレベルを低下させることができます。毎晩7〜8時間の睡眠を目指しましょう。 禁煙と節度ある飲酒 喫煙と過度の飲酒は血圧に悪影響を及ぼします。これらの習慣を控えることで、血圧の管理に役立ちます。 深呼吸や瞑想 深呼吸や瞑想は、ストレスを感じたときに交感神経の活動を鎮め、リラックス効果を促進します。日常生活にこれらの練習を取り入れることで、ストレスレベルを下げることができます。 趣味や興味の追求 好きな活動や趣味に時間を割くことで、心のリフレッシュが可能となり、ストレス軽減につながります。 社会的サポート 友人や家族との良好な関係は、ストレスの軽減に非常に重要です。信頼できる人と感情を共有することで、ストレスを効果的に管理できます。 ストレスに上手く対処することが、血圧の上昇を防ぐために重要です。日常生活にぜひ取り入れてみましょう。 まとめ・高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説! 高血圧とストレスは、現代社会において無視できない健康問題です。しかし、適切なストレス管理、健康的な生活習慣、そして必要に応じて医療機関を受診し、治療を受けることによって、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。 生活の中で意識的にリラックスする時間を作り、バランスの取れた食事と定期的な運動を心がけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 参考文献 高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p18 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p15 高血圧:診断と治療の進歩 トピックスI.診断と病態 1.本態性高血圧の成因.日本内科学会雑誌.2007;96(1):4-8. 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p21 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p22 健康日本21(第三次) 厚生労働省 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針 p28 ▼こちらもあわせてお読みください。
2024.04.10 -
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- 関節リウマチ
- 膝部、その他疾患
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも多い症状です。 膝が痛いとき、変形性膝関節症と考え「年のせいでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。 もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。 膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 膝の関節炎とリウマチの違い 関節炎とリウマチの違いは、大きく分けると以下の通りです。 関節炎 さまざまな原因で関節に起こる炎症の総称 リウマチ 関節炎を起こしている症状の1つ たとえば関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こります。 関節リウマチが起こると痛みや腫れを感じるでしょう。 関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形など機能的な障害をきたすので注意しましょう。 以下の記事では関節炎の1つ「化膿性関節炎」について解説しています。 治療法や再発予防もまとめたので、具体的な症状なども把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。 リウマチが発症する主な原因や症状 関節炎とリウマチの違いが理解できても「気づかないうちに痛みを感じるようになった」方もいるでしょう。 ここからは、リウマチになる主な原因と症状を順番に解説していきます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40〜60歳代頃の中高年女性に発症します。 正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患とも言えるでしょう。 自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られるのが原因とも考えられています。 【リウマチの発症が疑われるサイン】 ・起床時に関節部分がこわばっているように感じる ・関節が腫れている ・関節が熱っぽい ・力が入りにくい ・日常生活の作業が上手くいかない ・家族にリウマチの患者がいる など 上記の症状が感じられる方はリウマチになっている可能性があるので、しっかり検査しておきましょう。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。 発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。 膝関節で滑膜が増殖して炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は以下の通りです。 ・膝が腫れる ・膝に水が溜まる ・歩くときや階段での痛みを感じる ・膝が曲がらない など 膝の痛みは膝裏に起こるケースが多く、曲げ伸ばしのときに音が生じた経験もあるでしょう。 炎症が強い場合には安静にしていても歩けないくらいの激痛が生じる場合もあるので注意してください。 なお、リウマチはあくまで関節炎の1つなので、以下の表で似ている症状をまとめました。 病名 主な症状 膠原病(こうげんびょう) 関節に痛みを感じたり血管症などの症状がある 線維筋痛症 手足の関節だけでなく筋肉に激痛を感じるケースがある 比較的女性が発症しやすい 関節炎とリウマチの違いについてだけでなく、細かい症状の違いや治療法などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していきます。 膝関節炎を放置するリスク 膝の関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまうだけでなく、徐々に関節の変形が進んでいきます。 日常生活を送る上で「多少の痛みだから」と放置しすぎてしまうと、膝の曲げ伸ばしが難しくなるので注意してください。 骨同士のぶつかりだけで痛みを感じる可能性もあるので、症状が悪化してしまいます。 関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 リウマチの診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。 関節リウマチの診断基準を使用して診断を行うので、専門家である医師の診断が必須となります。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用するケースが大半です。(文献1) 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 ①症状がある関節の数 ②症状が続いている期間 ③血液検査での炎症反応の数値 ④血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。 しかし、両方とも陰性でも関節リウマチと診断されたり、陽性でも関節リウマチではなかったりもします。 炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇する可能性もあるので診断結果は要チェックです。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では「骨びらん」と呼ばれる骨の透亮像がみられる場合があります。 関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 リウマチによる膝関節の治療法は、日常生活で応急処置をする方法はもちろん、専門医から薬を処方してもらう方法などがあります。 ここからは、自宅でできる応急処置から薬物治療などの治療法を解説していきます。 体や関節を保温する 膝の関節炎だけでなく、体の関節が動かしにくいと感じた場合、患部を保温すると効果が期待できます。 冬場はもちろん、夏場の冷房があたるのも避け、長袖や長ズボンを着用しておくのがおすすめです。 患部を保温しておくと関節部分の血液がよく流れ、こわばりなどを症状を軽減する効果が期待できるのです。 関節が腫れている場合は炎症が起きている可能性があるので、保温以外の治療法を選択する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状や治療を詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 食事や姿勢などの私生活を見直す 関節リウマチの患者様は、食生活だけでなく姿勢改善などを普段から実施してもらうのがおすすめです。 症状を悪化させないためにも、以下のポイントには要注意です。 ・砂糖や加工食品を摂取しすぎない ・激しい運動を控える ・首に負担をかけない ・同じ姿勢を長時間とる ・重いものを持つ ・正座をする ・喫煙をする ・ストレスを溜める など 詳しい改善項目は、以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。 専門医から抗リウマチ薬を処方してもらう リウマチの治療法は基本的に薬物治療です。 リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始し、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 薬物治療を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をしたりする方法があります。 日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を以下の一覧でまとめました。(文献2) 抗リウマチ薬 メトトレキサート(第一段階) 生物学的製剤やJAK阻害薬(第二段階) 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者様も多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっています。 効果が高いお薬もあるため、適切に治療すれば症状を抑えられます。 しかし、膝の関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合、人工関節置換術などの手術治療が行われるので不安に感じている方もいるでしょう。 膝の痛みは現在、⼿術をしなくても治療できる時代になっているので、気になる方は気軽にお問い合わせください。 まとめ・関節炎とリウマチの違いを把握して適切な治療を行おう! 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療を行えば、症状の進行を抑え生活の質を維持できます。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用いられるので、専門医による診断が必須です。 リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 自己判断で治療を中断したり放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。 日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れるのも大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。
2023.09.10 -
- お皿付近に違和感
- 関節リウマチ
- 内科疾患
関節リウマチになったらやってはいけないことはある? 関節リウマチで食べてはいけないものは? 関節リウマチかもしれないと思ったらどうすれば良い? 関節リウマチの症状を改善したくて、日常生活で何に気をつければ良いか知りたいと考えていませんか? 痛みやこわばりでつらい思いをしないで済むよう、できることがあるならやっておきたいですよね。 結論、関節リウマチとうまく付き合うために日常生活の中で避けてほしいことがあります。 本記事では、関節リウマチの患者様が避けるべき10項目を紹介します。 本記事を参考にしていただき関節リウマチの症状軽減を目指すとともに、日々の生活を快適に過ごせるように意識してみてください。 関節リウマチのしてはいけない10項目を紹介 関節リウマチの患者様がしてはいけない10項目は以下の通りです。 症状を悪化させる食事 激しい運動 体や関節を冷やす 首に負担をかける行動 肥満の状態 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙する ストレスを溜める 症状を悪化させないために、紹介した10項目を避けるよう心がけてみてください。 症状を悪化させる食事【砂糖や加工食品は要注意】 関節リウマチの症状を悪化させる可能性がある食べものとして、以下があります。 砂糖入りの飲みもの・デザート 赤身の肉 加工食品 また、不飽和脂肪酸のn-3系とn-6系の摂取するバランスが崩れることも関節リウマチの痛みと関わっているので、バランスの良い食事を意識することが大切です。 以下に根拠となる研究をご紹介します。 【砂糖入りの飲みもの・デザート】 砂糖入りの飲みものは、以下2つの研究から関節リウマチの悪化因子であり、発症リスクを高める因子でもあることが報告されています。同時にデザートもリウマチの悪化因子だと報告があるので、注意が必要です。 文献1 217人の関節リウマチ患者を対象とした、自己申告による研究があります。20種類の食品のうち、最も関節リウマチの症状が悪化したと報告されたのは砂糖入りの炭酸飲料とデザートでした。 文献2 アメリカの約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、砂糖入り炭酸飲料と関節リウマチの発症リスクの関連性を評価しています。毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%高いことがわかりました。 【赤身の肉】 関節リウマチを悪化させる可能性がある食べものとして赤身肉の報告があります。 文献1 217人の関節リウマチを有する患者を対象とした研究において「赤身肉を食べると関節リウマチの症状が悪化する」と報告した人の割合は、20種類の食品の中では高い方でした。 文献3 関節リウマチの新規患者88名とそうでない176名を比較した研究では、患者群の方が赤身肉の摂取量が高い結果でした。 【加工食品】 加工食品の摂取量が多いと、関節リウマチ患者の心血管系疾患のリスクが高くなる可能性が報告されています。 文献4 56人の関節リウマチ患者の摂取している食品を加工レベル別に評価した結果、糖分・塩分・脂肪を多く超加工食品の摂取量が多いほど患者の心疾患リスクが上がりました。 【不飽和脂肪酸のバランス】 あまに油や青魚に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸とごま油や卵黄などに多いn-6系不飽和脂肪酸のバランスが、関節リウマチの痛みと相関していることが示唆されています。 文献5 591名の関節リウマチ患者を対象に、n-3系不飽和脂肪酸とn-6系不飽和脂肪酸の摂取量と痛みの関連性を評価すると、n-3系不飽和脂肪酸の量が少なく、n-6系不飽和脂肪酸の量が多いと我慢できないほどの痛みが出る結果でした。 関節リウマチと食べものについてはさまざまな研究が行われていますが、いずれも摂取量の多いことが問題になっています。 関節リウマチの症状を悪化させないためにも、同じものを極端に食べすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。 激しい運動【適度であればOK】 痛みが強く出ているときは、激しい運動を避けるべきです。炎症が起きている関節に負担がかかることで、症状が悪化する場合があります。 ただし、関節の動きを良くするためにも適度な運動は推奨されています。治療を続ける中で痛みがコントロールできている場合は、適度に体を動かし、手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持しましょう。 関節リウマチは、関節だけでなく全身に症状が出やすい病気です。運動は無理のない範囲で行い、疲れたら休憩や昼寝など適宜休息をとりましょう。 体や関節を冷やす 体や関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。 寒い季節はもちろん、夏も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。温まって関節の血液の流れがよくなると、こわばりや痛みをやわらげる効果が期待できます。 ただし、関節が腫れて熱感があるときは炎症が起きている可能性もあるので、温めないようにしましょう。 首に負担をかける行動 関節リウマチが進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限をきたします。 過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、呼吸障害が起こる可能性があるのです。 首に負担がかかる動作の一つに起居動作が挙げられます。朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰かけてから立つ習慣をつけましょう。朝は不用意に首を回さないようにし、首の運動は医師の診察を受けた上で行うことが重要です。 肥満の状態 肥満だと膝や股関節などの主要な関節に過剰な負担がかかり、炎症が悪化する可能性があります。体重管理を適切に行うことで関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐよう心がけましょう。 体重管理の観点からバランスの取れた食事と適度な運動が重要です。 同じ姿勢を長時間とる 同じ姿勢を長時間保つのは同じ部位に負担をかけてしまいます。定期的に姿勢を変えて、関節に負担がかかりすぎないようにしましょう。 特にデスクワークや座りっぱなしの仕事では、適度に休憩をとったり、ストレッチを行ったりすることが重要です。 重いものを持つ 関節リウマチの好発部位は、手指や手首の関節です。重いものを持つと過剰な負担をかけ、炎症や痛みを悪化させる原因となります。 日常生活では重いものを持つ機会をできるだけ避け、必要な場合は道具などを利用して負担を軽減しましょう。 症状があるとうまくものが持てないこともあるので、周囲のサポートを得るのも大切です。 正座をする 正座は膝関節に大きな負担がかかるので可能な限り避けましょう。とくに、正座を長時間続けるのは、膝や足首の可動域が制限され血行不良を招きやすいので、関節の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。 正座を避けて椅子に座る、膝を伸ばして楽な姿勢をとるようにしましょう。 ▼関節リウマチによる膝の関節炎について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 喫煙をする 関節リウマチの患者様は、禁煙が勧められます。喫煙は関節リウマチの症状を悪化させるだけでなく、病気を進行させる要因になり、死亡リスクが上がる可能性も報告されています。 とくに死亡リスクに関しては、リウマチの診断後に禁煙した人は喫煙を継続した人よりも死亡リスクが低くなると報告されていました。(文献6) 今更だと思わずに、早めに禁煙に取り組みましょう。 ▼関節リウマチと喫煙の関係性を詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ストレスを溜める 手がこわばってものがつかみにくいなど、関節リウマチの患者様は日常生活の不自由さからストレスを感じやすいです。ストレスが溜まることで自律神経の乱れやメンタルに不調をきたしてしまうことから、健康的な生活から遠ざかる可能性があります。 リラクゼーションや適度な運動を取り入れて、ストレスを溜めないことが、関節リウマチの治療を後押ししてくれます。 関節リウマチかも?と思ったら早めに受診しよう 関節リウマチかもしれないと思ったら、早めに整形外科を受診しましょう。 関節リウマチは、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活に支障をきたす病気です。始めは軽い痛みや腫れであっても、時間が経つにつれて悪化し、治療が遅れると回復しづらくなります。 関節リウマチを疑う症状として、以下のようなものがあります。 服のボタンが外しづらい びんの蓋が閉められない 床に落としたものが拾えない 朝起きたときにベッドから起き上がれない 早期に受診し適切な治療を開始すれば、薬物療法やリハビリテーションで関節の損傷を抑えつつ症状をコントロールすることが可能です。もとに戻らないほど関節が変形してしまう前に、早めに整形外科へご相談ください。 ▼関節リウマチではない膝の痛みは変形性膝関節症かも?詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから まとめ|関節リウマチのときにしてはいけない10項目を守ろう 関節リウマチの患者様には、してはいけない10項目を避けて、健康的な食事とライフスタイルを心がけていただきたいです。 重症化すると、普段の生活もままならなくなってしまう可能性があります。 治療と並行して関節の負担を減らし、症状をコントロールできるよう、普段の生活から意識してみてください。 もう一度、「関節リウマチのときにしてはいけない10項目」を確認してみましょう。 万が一、関節リウマチの治療をしていても膝の痛みがよくならない場合は、他の疾患が隠れているかもしれません。 再生医療が適応になる可能性がありますので、お困りの場合は当院へご相談ください。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから 関節リウマチに関するよくある質問 Q.関節リウマチとはどんな症状ですか? A.関節リウマチの症状には、関節の動かし始めがスムーズにいかない「こわばり」や腫れ・痛みなどがあります。 関節リウマチは免疫機能の異常によって骨や軟骨・関節の破壊が起こることが原因とされています。万が一「関節リウマチかも?」と思ったら早めに受診しましょう。 ▼関節リウマチの症状について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.関節リウマチは生物学的製剤で本当に治せますか? A.生物学的製剤で効果があれば、休薬しても症状が落ち着いている状態を目指せます。 関節リウマチの原因である免疫異常の改善が期待できる上、炎症を抑える効果もあるため、進行を抑えながら症状をコントロールできます。 ▼関節リウマチで使われる生物学的製剤について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.関節リウマチになりやすい性格はありますか? A.関節リウマチになりやすい性格は、ありません。 ただ、我慢強い性格の人は治療開始が遅れたり、神経質でストレスを感じやすい人は治療が難航したりする可能性があります。違和感があったら早めに受診し、不安があれば専門医に相談しましょう。 関節リウマチが心配な人は「関節リウマチかも?と思ったら」をもう一度振り返ってみてください。 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい ▼以下もご覧になりませんか [参考文献] 文献1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/ 文献2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4135503/ 文献3 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/art.20731 文献4 https://link.springer.com/article/10.1007/s10067-019-04916-4 文献5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5817233/ 文献6 https://acrabstracts.org/abstract/smoking-behavior-changes-after-rheumatoid-arthritis-diagnosis-and-risk-of-mortality-during-36-years-of-prospective-follow-up/
2022.08.19 -
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膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水が溜まる原因は、炎症反応が起こっているためです。病院では、注射器を使用して膝の水を抜きます。 また、セルフケアではストレッチやマッサージで膝の水を抜く方法もあります。しかし、誤ったセルフケアは痛みや炎症の悪化につながるため、症状が強い場合は病院で適切に処置してもらった方が良いでしょう。 本記事では、病院やセルフケアで膝の水を抜く方法を詳しく解説しています。皆様が納得できる膝の水を抜いて痛みを緩和する方法の選択に役立てれば幸いです。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 膝の水を抜くストレッチ・マッサージ 膝の水を抜くために効果的なストレッチ・マッサージとして、以下の4つがあげられます。 ストレッチ 足上げ運動 1. 仰向けになり、両足を伸ばす 2. 左右の足を交互にゆっくりと上げるたり降ろしたりを繰り返す パテラセッティング(膝の前側の筋肉を鍛える) 1. 床に足を伸ばして座る 2. 片側の膝下に丸めたタオルやクッションを置く 3. クッション・タオルを膝下で床に押し付ける 4. 3〜5秒経ったら力を抜き、再度3.を行う 5. 数回行ったら左右の足を交換し、2.~4.を同様に繰り返す マッサージ 膝下のほぐし 1. 片側の膝下に両手で親指を添える 2. 強めの力で押し、前後左右に動かす 3. 反対側の足も同様に1.2.を行う 太もものほぐし 1. 椅子に座る 2. 片側の外ももに手のひらを添え、押しながらゆっくり回す 3. 反対側の足も同様に1を行う 4. 両足の前ももに手のひらを添え、足の付け根から膝上まで強い力でほぐす すべて自宅で手軽にできます。無理のない範囲で、上記のストレッチやマッサージを行ってみましょう。 痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29 -
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- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
人工関節置換術、膝の手術を決断する前に知っておくべきこと 膝関節に変形や炎症が起きたりする病気があると、膝に人工関節を入れなくてはいけない状態になることもあります。それが膝への人工関節置換術という名称の手術になります。その手術を決断する前に、手術の流れや合併症、手術に備えて準備するべきことなどを知ることは非常に大事です。 膝関節とは まず、膝関節とは何かについて述べていきます。膝関節は3つの骨で支えられています。太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨、いわゆる膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の3つです。 その3つの骨と、太ももの筋肉である大腿四頭筋と、膝の腱である膝蓋腱で膝関節をつくっています。これらの3つの骨と筋肉、腱が支え合うことで、私たちが、走ったり、飛んだり、座ったりするときに安定するようになっています。 膝関節の病気 膝関節の病気については様々なものがあります。変形性膝関節症、膝靭帯損傷、関節リウマチなど様々な病気があります。また、スポーツ外傷でも膝の慢性的な障害を起こしたりします。それらの病気の中で、変形性膝関節症や関節リウマチは、変形や炎症が強くなった時に、人工膝関節置換術という、人工関節のための手術を行う必要のある病気です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝が痛くなり水が貯まる病気です。最初は歩き始めに痛い程度ですが、徐々に階段を登ることが難しくなり、最終的には、休んでいる時も痛みが取れなくなるような病気です。 変形性膝関節症では、膝が変形して、伸ばすことができなくなります。変形性膝関節症の治療法は、症状が軽いうちは、炎症を抑える薬を飲んだり、膝関節にヒアルロン酸の注射をしたり、リハビリを行なったりします。しかし、重症になると、人工関節の手術をするか否かの選択が必要になります。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節内にある『滑膜』とよばれる組織が、異常に増えることが原因で、関節の中に炎症が起きる病気です。関節リウマチでは身体の中のいろいろな関節が破壊されるので、膝だけでなく、手や足など様々な関節に変形を起こします。 関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬や、炎症を抑える薬、免疫抑制剤、ステロイド剤などの薬を飲むことが一番大事です。お薬の治療に併用して、ヒアルロン酸の関節内注射やリハビリなどが行われることもあります。 関節リウマチも治療が遅れたりして重傷になると、人工関節のための手術を行うか同課の選択が必要になります。 膝の人工関節とは 膝の人工関節は、金属や、ポリエチレンやセラミックなどで作られます。変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気で、変形し傷ついた膝関節を取り出して、手術によって膝用の人工関節を変わりに入れます。悪くなってた関節を置換えるイメージです。 この人工関節は、膝の動きを再現するために3つの部品から作られています。人工関節の3つの部品は、実際の膝を構成している3つの骨(大腿骨部、脛骨部、膝蓋骨部)の部分をそれぞれ担当しています。 人工関節置換術/手術 膝の人工関節を入れるためには人工関節置換術という手術が必要です。手術が必要ということは、もちろん入院も必要です。昨今の新型コロナウイルスの関係で、入院生活は、家族や友人との面会が制限されているところが多いです。 入院前に入院生活のために必要な物品や、家族や友人との連絡手段を事前に決めておく必要があります。手術は全身麻酔をかけて眠った状態で行われます。そのため、麻酔から覚めて、目が覚めると手術が終わっている状態になります。 手術自体は、膝の皮膚を切り開いて、骨が見える状態になったら、器械を使って傷のある膝の部分を削り、人工関節の形に合わせて残りの骨の形を調整します。形の調整ができたら人工関節をはめ込みます。しっかりと固定できていることを医師が確認したら、縫い合わせます。 手術の傷口にたまった血液を出すための管を入れて傷口をふさぎ手術が終わります。手術の時間は、平均2−3時間程度のことが多いですが、もともとの病気や膝の状態に応じて手術の時間は変わってきます。 人工関節置換術の術後 手術が終わればすぐに退院できるという訳ではありません。手術した関節を安定させるために、リハビリを開始します。リハビリは手術後の状態に応じて開始時期が異なりますが、早ければ手術翌日から段階的に始めることが多いです。 リハビリは、寝たまま膝を伸ばしたりして筋力をつけることから始まり、だんだんと平行棒などを使用したり、歩行器などで歩く練習などへと移行していくのが一般的です。 外来通院でリハビリを実施できる患者さんは退院が早くなりますが、外来に通院するのが難しい患者さんは、手術した病院からリハビリ専門の病院に転院してリハビリを行うことになります。 そのため入院期間は患者さんによって異なりますが、多くは2週〜4週くらいのことが多いです。 人工関節置換術(手術の合併症) 人工関節置換術を行うことで一番気をつけなくてはいけないのが、手術した場所に悪い菌が感染することです。感染すると、腫れたり、発熱したりします。 手術した場所に感染が起きると抗生物質による治療が行われますが、多くの場合、再び手術のやり直しが必要になることがあります。そのほかには麻酔によるアレルギー反応や、手術によって身体が防御反応を示し、血液が固まりやすい状態になることから血栓症の心配もあります。 手術中はもちろん、手術後にじゃ身体を動かすことができないことから、血の流れが滞ることで静脈内に血栓という血液が固まったものができる事がああります。これが深部静脈血栓症です。この血の塊が血液の中に混じって肺へ移動することで、肺の血管を詰まらせることがあります。これを肺塞栓症といい、生命の危機にもかかわりかねないため注意が必要です。 その他、術後としては、人工関節のゆるみや、歩けるようになったことで逆に転倒し、脱臼や、その周りの骨を骨折するという心配もあります。もちろんこれらのリスクには予防法があります。手術に際しては主治医から説明を受け、十分に納得して挑んで頂ければと思います。 人工膝関節置換術/手術の一般的なリスク ・細菌による感染症(抗生物質、再手術) ・麻酔によるアレルギー反応 ・肺塞栓症、深部静脈血栓症 ・人工関節は、緩むことがある ・転倒による脱臼や骨折の可能性 ・その他 まとめ・膝の人工関節、手術を決断する前に知っておくべきこと 人工関節にするには、手術が必要なため入院が必要です。入院期間は短くはなってきましたが1か月ほどは見ておきたいものです。また、手術を行うことによる合併症のリスクもあります。できれば膝に違和感を感じたり、痛みを感じるようになった時は早めにリハビリや投薬などの保存的治療を受けて手術を避けることが一番です。 ただ、既に症状が進んでしまった場合は、しっかりと説明を受けて納得して手術を受けましょう。 ですが近年は医学が発達、「再生医療」という新しい先端医療を選択できる道ができました。この方法なら手術が不要で、入院も不要という興味深い方法です。 https://youtu.be/N1DJGcURhsg?si=rMtZGgghatI3U2n0 ▶山や川が好きな患者様。再生医療(幹細胞治療)を体験されたご友人にお薦めされご来院。 手術に不安をお待ちの方は、当院のような再生医療専門の医療機関に問い合わせてみても良いでしょう。いずれにしても人工関節になると、元には戻せないだけによく理解してお取組みください。 また、昨今は新型コロナウイルスの関係で面会が制限されています。家族と会えない数週間は、患者さんにとって、とても寂しくつらい期間です。手術のために入院する患者さんは、家族や友人とビデオ通話ができるように準備などをしてのぞむのも一つ方法ではないかと思います。 以上、膝への人工関節置換術、その手術を決断する前に知っておくべきことについて記載させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 ▼ 再生医療が膝関節の治療を変える! 手術不要、入院も必要ない日帰りで治療する膝関節症の新たな選択肢、再生医療
2022.06.21 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
膝の痛みは多くの方が悩まされている症状のひとつです。 膝は座る・立つ・歩くといった日常動作に深く関わるため、症状が強くなると日常生活への影響は大きなものになります。とくに「朝寝起きに膝が痛い」といった症状をご経験された方も多いことと存じます。 そこで本記事では、寝起きで生じる膝の痛みを中心に医師の見解からご紹介します。 寝起きに膝が痛む原因 寝起きに膝が痛む症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」疾患の特徴です。それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。 関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きたとき時や、動き始めのとき時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 原因①|関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患です。その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 関節リウマチの診断 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけで判断しません。レントゲン上での関節裂隙の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 関節リウマチの治療 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 原因②|変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症します。 変形性膝関節症の診断 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされています。 しかし、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とします。 レントゲンでは関節裂隙の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 変形性膝関節症の治療 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。 しかし、加齢による変化そのものは不可逆性です。消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮する必要もあります。 関節リウマチと変形性膝関節症の違い 関節リウマチ 変形性関節症 ・関節を動かさないと症状が悪化 ・朝のこわばりを発症する ・関節の摩耗で症状が悪化 ・夜の疼痛 今回紹介した関節リウマチと変形性膝関節症は、同じ膝関節の痛みを生じる疾患ですが異なる特徴もあります。 症状については、一般的には関節リウマチは関節を動かさないと症状が悪化する特徴があるため、朝のこわばりが特徴です。一方で変形性膝関節症は摩耗が溜まることで筋肉が緩み、関節に圧力が加わるため夜の痛みが特徴と言われています。 また、関節リウマチは全身の炎症を起こすため血液検査で異常が出ることがありますが、変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 寝起きの苦痛を解消しよう!膝の痛みの予防・対処法 寝起きに膝が痛む原因や治療法などを理解いただいたところで、本項目では予防や対処法といった具体例を紹介します。 寝起きの膝痛に悩まされている読者の皆さんには必見の内容です。 関節リウマチの予防・対処法 関節リウマチの予防 関節リウマチの対処法 食生活の改善 喫煙習慣の改善 安静にする 関節の保温 関節リウマチの発症を抑えるためにも、食生活の改善は必須です。 体重増加の元となる脂質・糖質類を摂りすぎには注意しましょう。また、喫煙もリウマチが発症・悪化する要因とされているため、控えておくべきです。 発症後の具体的な対処法としては、安静治療が基本です。心身の疲れを溜めないよう心がけましょう。また、関節を冷やす行為は悪化の要因となりえます。日頃から適度な保温を意識しましょう。 変形性膝関節症の予防・対処法 変形性膝関節症の予防 変形性膝関節症の対処法 生活習慣の改善 靴の見直し 軽度な運動 サポーターの装着 変形性膝関節症の予防策として、体重管理(適度なダイエット)が挙げられます。体重が増えると、膝への負担が増加するのも必然です。生活習慣の見直しからスタートしてみましょう。 また、普段から履いてる靴が適切なものでないと膝に負担がかかります。ハイヒールやサイズが合っていない靴は極力避ける努力も必要です。 対処法としては、適切かつ軽度な運動やサポーターの装着が挙げられます。運動は膝周りの筋肉を伸ばすストレッチなどが適切で、安静にしすぎて筋力が衰えしまわないよう無理ない範囲で行いましょう。 また、サポーターの装着も膝周りの不安感を解消してくれる心強い味方です。 まとめ|寝起きに膝が痛む方はお気軽に相談ください! 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である関節リウマチと、変形性膝関節症の症状と治療法について解説しました。 二つの疾患は類似点もありますが、診断や治療など、大きく異なる点もあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している整形外科、または最寄りの医療機関に問い合わせてみましょう。 また、膝に関するお悩みは当クリニックでも受け付けています。ぜひ、お気軽にご相談ください。 ▼こちらも参考にしてください 膝の裏が痛い?その原因と対策、考えられる病気について
2022.06.17 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活でスムーズかつ自由な伸展運動ができるよう、半月板や靭帯をはじめとする周囲の構造物が膝関節を補助しています。 何気ない動作において、「膝の裏に痛みを感じる」「ピキッと音が鳴る」といった違和感を覚えた経験がある方もいるでしょう。 膝を形成している組織が、スポーツなどの外傷や加齢、自己免疫異常などによる異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じます。 今回は、膝の裏が痛い原因やピキッと鳴るときに考えられる病気と対策を解説します。医療機関での治療法のほか、セルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 膝の裏がピキッと痛むときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチのほか、膝部位に存在する靱帯の損傷などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 変形性膝関節症 半月板損傷 ベーカー嚢腫(のうしゅ) 関節リウマチ 靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下で、それぞれ詳しく解説していきます。 ▼ 膝の痛みを放置するリスクについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 1.変形性膝関節症 変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。 変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。また、膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。 ▼ 変形性膝関節症によるO脚の例 また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。(文献1) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 2.半月板損傷 膝の裏がピキッと痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。 半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。 半月板が損傷すると、膝の裏側に痛みを感じるケースも珍しくありません。また、膝が動かなくなるロッキングを起こしたり、曲げ伸ばししづらくなったりします。 3.ベーカー嚢腫 ベーカー嚢腫も、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる疾患の一つです。 ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。 ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。 放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。なお、ベーカー腫瘍は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▼ ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 4.関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。(文献3) 関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。 ▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 5.靭帯損傷 靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。(文献4) 膝関節には4つの靱帯があり、重要な役割を担っています。膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯と外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯と後十字靱帯が走行しています。 たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うでしょう。 とくに、靭帯を損傷してから3週間前後の発症して間もない頃には、膝裏の痛みのほか、伸展運動がしにくいといったサインも認められます。 受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。 6.膝裏の筋肉の損傷 膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。 過度な負荷や無理な動きによって筋肉や腱が損傷すると、次のような症状が現れます。(文献5) しゃがむと痛い しゃがんで立つと膝の裏が痛い 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い 膝を曲げると膝裏が痛い 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い 膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため注意が必要です。 7.腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に、早めに理学療法や薬物療法を行ってください。 8.リンパによる膝の裏の痛みや腫れ リンパ液の流れが悪化することによる膝裏の痛みや腫れも、ピキッと音が鳴る原因の一つです。 リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。 なお、リンパ液が滞った状態を放置すると、膝周辺が硬くなりさらに痛みを伴う可能性が高いため注意してください。 適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れを改善・促進することが大切です。 9.反張膝 反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏がピキッと痛む場合があります。 反張膝は、膝関節が角にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、班長膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。 なお、反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。 膝の裏がピキッと痛むときの治療法 ここでは、膝の裏がピキッと痛むときの具体的な対処法や治療法を解説します。 幹細胞やPRPによる再生医療 膝裏がピキッと痛むときの治療法として、最近では幹細胞やPRPによる再生医療が注目されています。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって高い治療効果が期待できることが特徴です。 たとえば、変形性膝関節症が原因で膝の裏が痛む場合、初期段階ではヒアルロン酸注射やリハビリテーション、内服で様子を見ます。しかし、変形が進むと、人工関節置換術などをすすめられる場合がほとんどです。幹細胞やPRPによる再生医療は、手術を避けたい場合の新しい選択肢だといえるでしょう。 再生医療は、変形性膝関節症のほか、半月板損傷や腰椎ヘルニアなどの治療としても期待されています。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。なお、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます 手術治療とリハビリテーション 膝裏に重度の痛みを感じる場合や保存療法が効果を示さない場合には、手術を検討します。 とくに、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯断裂などが原因で膝裏に痛みがある場合は、手術治療が必要になるケースも珍しくありません。 また、術後には理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら、状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践し、早期回復に努めます。リハビリテーションは、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために以下の内容を中心に行われます。 体幹を鍛える 柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす 座位の状態になって膝を伸展させる 大腿部の筋肉を鍛える など なお、手術治療の方法は、膝の痛みの根本的な原因によって異なります。早期回復を目指す場合には、最小限の切開で済む膝関節鏡による手術をすることが一般的です。 膝の水抜き 膝の裏の痛みと同時に水が溜まっているときは、膝の水抜きをします。膝に水が溜まる原因には、変形性膝関節症や半月板損傷、ベーカー嚢腫などがあります。 膝の水が自然になくなるケースもありますが、膝裏の腫れや突っ張り、違和感があるときには水を抜くことが一般的です。 膝に水が溜まるのは、膝関節内で炎症が起こり、関節液が過剰に分泌されるためです。膝の水を抜くことで、痛みを軽減できます。ただし、膝の水抜きは一時的な効果にすぎないケースも多いため、原因に対する根本的な治療もあわせて行う必要があります。 ▼ 膝の水を抜く方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 病勢進行の抑制 膝の裏が痛む原因によっては、病勢の進行を抑制するための治療をします。とくに、関節リウマチや変形性膝関節症など、進行性の疾患においては、症状を抑えるだけではなく、関節の損傷や変形を防ぐために以下のような治療が必要です。 抗炎症薬の使用 関節内注射(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など) 生活習慣の改善 など 早期に適切な治療ができれば、生活する上で困らない程度まで痛みを軽減できるでしょう。 病勢進行を可能な限り抑制し、痛みを少しでも改善させるためには、普段から膝に大きな負荷をかけないように意識しながら対策することが大切です。 膝の裏がピキッと痛む場合のセルフケア方法 膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。 以下で、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 安静にする 膝の裏にピキッとした痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため注意しましょう。とくに、急性の痛みがある場合は、できるだけ安静にするようにしてください。 安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝を軽くあげると良いでしょう。安静にすることで、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。 ストレッチをする 膝の裏がピキッと痛むときには、ストレッチも効果的です。 膝の裏のストレッチをすることで、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。 ふくらはぎのストレッチ 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ 膝窩筋のストレッチ ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。 ▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。 マッサージをする 膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐし、血流が促進されます。 膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。 ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。 マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。 テーピングやサポーターを使用する 膝の裏がピキッと痛むときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすることで、痛みの軽減に役立ちます。 とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。 テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。 まとめ・膝裏のピキッとした痛みが長引くときは迷わず専門医に相談しよう 今回は、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。 たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。 自分なりに対処策を実践しても症状が軽快しない場合や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。 膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問 ここでは、膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問をまとめました。 膝の裏は歩きすぎると痛みやすい? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みがでやすいでしょう。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。また、歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛むときに専門医に相談すべき目安は? 膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛むときに考えられる原因はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけないような重度な疾患まで存在します。自己判断して膝の痛みを放置してしまうと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化すると歩行が困難となり、治療後に後遺症が残ってしまう可能性もゼロではありません。 膝の裏の痛みは軽視せず、最寄りの医療機関を受診するか、リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングまで気軽にご連絡ください。 膝裏のピキッとした痛みは予防できますか? 膝裏の痛みに対する予防には、筋力トレーニングやストレッチが効果的です。 大腿四頭筋やハムストリング、ふくらはぎなどの筋肉を鍛えて柔軟性を保つことで、膝の安定性を維持しやすくなります。また、正しい歩行姿勢を保ったり適切な体重を維持したりすることも、膝への負担を軽減し、痛みの予防につながります。
2022.06.07 -
- 糖尿病
- 内科疾患
Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病はライフスタイルの見直しで予防や改善ができる 糖尿病にはその発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。 日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」はライフスタイル(生活習慣)を見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避することが可能であると考えられています。 そのような観点から今回は、「Ⅱ型糖尿病」や「妊娠糖尿病」において、規則正しい食生活は勿論のこと日常生活に運動、身体を動かすことを実践し、ストレスを出来るだけ発散できるように努めることで予防や改善ができることを詳細に紹介していきます。 その一方で、大変残念なのですが、主に自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」については現在のところ改善や予防できる方法は見つかっていません。 以下、明記しない場合の糖尿病の表示は2型並びに妊娠糖尿病に向けた情報になります。 ・1型糖尿病 改善、予防が難しい ・2型糖尿病 ・妊娠糖尿病 ライフスタイル(生活習慣)を見直せば予防、改善、予防が可能 糖尿病の予防、改善には運動が有効 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の中で大きな基本となっています。特に、糖尿病の発症要因として「肥満体形、過食傾向、運動不足」の関与が強く疑われています。 なぜ運動が必要かというと、運動することでエネルギーを消費して、肥満を解消できるのみならず、運動を行うことで筋肉活動量が向上してインスリン機能を改善する効果が期待できるからです。 食事摂取直後には運動をなるべく控えるほうがよいですが、食後1時間程度経過してから運動を行うことで食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用が効率的に促進されて血糖値が有効的に下降する可能性も指摘されています。 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものが回復することによる治療効果はあまり期待できませんが、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献します。 ただし、血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには運動と食事に関する治療どちらか一方が欠けてもうまく制御できませんので、毎日運動するからという理由で入念な食事療法は怠らないように心がけましょう。 糖尿病の発症原因 ・肥満体形、過食傾向、運動不足 なぜ運動が必要か? ・運動でエネルギーを消費し、肥満を解消できる(脂肪を減らす) ・運動で筋肉活動量が向上し、インスリン機能の改善を期待できる 運動の種類について 一般的に、糖尿病を抱えている患者様の場合には、ダンベルや重りなどの器具を用いて筋肉に過剰な負荷をかける筋肉トレーニングに代表されるレジスタンス運動よりも、ウォーキングやジョギング、水泳などを始めとする全身を使う有酸素運動が適合しています。 その背景には、有酸素運動を継続して実践することで、インスリンの働きがよくなって血糖値を上手く調整しやすいと考えられているからです。 したがって、糖尿病における運動療法の目標としてはまずは有酸素運動で身体の不活動を改善させて、余裕があれば次のステップでレジスタンス運動を検討しましょう。 ✕ 器具を使って筋力に負荷をかけるトレーニング(レジスタンス運動) 〇 身体を動かす有酸素運動が最適(有酸素運動) レジスタンス運動とは 具体的には、有酸素運動として可能であれば少なくとも週に3回程度、それぞれ30分から60分間行うように意識して実施することが重要であると伝えられています。 この有酸素運動は、週当たり150分(2時間30分)以上かけて実施することがひとつの目標とされています。 通常では、糖代謝の改善期間は運動してからおよそ半日から3日間前後持続することが知られていますので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を少なくとも1週間のなかで3日間は実践することが理想的です。 運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められますし、特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると伝えられています。 また、糖尿病のみならず高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化して減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 運動を実行することは加齢に伴って引き起こされやすい筋肉の衰弱や骨粗鬆症を回避する期待が込められていますし、関節や骨が強靭化する以外にも心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果も併せて考慮できます。 運動をしなければと、精神的に追い込まない。逆にストレスがたまらないような取り組みも大切です。 実際に、運動療法を実践する時には準備運動やストレッチを丹念に行って軽動作から開始して、徐々に運動強度を増やしていくように意識しながら、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動の実行にあたって ・無理せず、継続することが大切 ・軽めの運動から、徐々に始める ・体調に気を配る ・ストレスを発散、運動が逆にストレスをためることにならないように まとめ・Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病はライフスタイルの見直しで予防や改善ができる 今回は糖尿病を予防して改善するためのライフスタイル(生活習慣)の見直しについて詳しく紹介しました。 糖尿病には様々なタイプがありますが、Ⅱ型糖尿病や妊娠糖尿病においては、ライフスタイルの見直しによって予防や改善が可能です。特に規則正しい食生活、適度な運動、ストレスの管理などが重要になることを知り真剣に取り組むことで改善が可能になります。 また、運動は、血糖値の調整やインスリン機能の改善に大きく寄与します。中でも有酸素運動が大切で週に3回程度、30分から60分間行うことが効果的です。ただし、これらの運動は無理せず継続することが大切で、体調やストレスに配慮しながら行うようにしましょう。 糖尿病の予防や改善には、食事療法と運動の両方が欠かせません。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症が心配な方への先端医療|最新の「再生医療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼運動療法をさらに詳しく以下もご参考にしていただけます 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮
2022.06.02 -
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糖尿病|女性は要注意!更年期から発症するリスクが高まるわけ これまでに「糖尿病という病気は、やっかいだ…」ということを耳にされたことはおありでしょうか。 我が国における糖尿病の患者数は増加傾向であり、2016 年の厚生労働省による国民健康調査によると糖尿病有病者と糖尿病予備軍はいずれも約1000万人近く存在すると推計されています。 この疾患は、体内の「インスリン」と呼ばれる血糖を一定の範囲におさめる働きを担っているホルモンが機能しなくなることによって血液中に存在する「ブドウ糖が増加する病気」です。 更年期の女性にとって大きなリスクになりかねない糖尿病 女性の場合、誰にでも訪れる更年期を迎えると「エストロゲン」「プロゲステロン」と呼ばれる「女性ホルモン」が急激に減少します。 特に、エストロゲンは、「エストロゲン」「プロゲステロン」があります。そのため、更年期を迎えるにあたってエストロゲンの量が減少すれば相対的にインスリンの働きも弱くなってしまうのです。 つまり、この血糖値が下がりにくくなることにより「糖尿病を発症するリスク」が上昇するということなのです。 そこで今回は、糖尿病とはどのような病気なのか、特に「更年期から注意したい女性の糖尿病」に関する情報を中心に詳しく解説していきましょう。 更年期に起こるリスク要因 ・女性ホルモン;エストロゲン減少 → インスリンの働きが低下 ・女性ホルモン:プロゲステロン減少 糖尿病とは、どのような病気なのか 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のあるインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなることで発症します。 この糖尿病は、大きく「1型」と、「2型」に分類されています。 自己免疫異常によってインスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受けることで発症するタイプの糖尿病は1型糖尿病と呼ばれており、生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与していません。 一方で、糖尿病患者さんの約9割以上が「2型糖尿病」と言われており、ストレスや肥満体形、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れが主な原因となってインスリンが相対的に効きにくくなることでブドウ糖が細胞に十分に取り込まれなくなるタイプが存在します。 このような、2型糖尿病の場合でインスリンの分泌機能に異常をきたす原因として多いのは、高脂肪、高カロリーなどを始めとした悪しき食習慣であり、糖質成分の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの抵抗性が増して徐々に血糖値が上昇するといった症状が発生するようになります。 その他、妊娠や更年期を契機に発症する糖尿病のパターン、あるいは膵炎や膵臓癌など膵臓疾患に合併して発症する場合なども挙げられます。 なぜ女性の更年期から発症リスクが高まるのか 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ます。この時期には体が火照って疲労を感じやすいなど辛い期間が訪れるのですが、実はこの「更年期に入ると糖尿病の発症リスクが高まる」のです。 前章で述べたように、血糖値が上昇する原因としては「最近忙しくて」、「つい面倒だから」「付き合いで」などと外食する機会が頻繁に増加していることから、昔に比べて「体重増加が著しい」、会社や私生活など周囲環境などで「過剰なストレス」を抱えている。 これらは典型的な糖尿病の発生原因となるほか、「女性特有の要因として更年期前後におけるエストロゲンの分泌量低下」が挙げられます。 女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、様々な「健康リスクから女性の身体を守る」働きがあります。その代表例として「血糖値を調整する働き」があります。このエストロゲンの分泌量は、およそ40代頃から減少し始めて、50代の閉経期になれば急激に落ち込んでしまいます。 通常であれば、女性は「エストロゲン」や「プロゲステロン」という女性ホルモンに保護されているため、男性と比して糖尿病になりにくいという傾向がありますが、それが更年期を過ぎてしまうと「エストロゲン」の分泌量が低下することで糖尿病を発症する危険性が急激に増していくのです。 そのためにも自治体の定期検診や、勤務されているなら企業健診における「血糖値(空腹時血糖126mg/dl以上、ヘモグロビンHbA1c 6.5%以上)」や、「尿検査」の結果に注目するようにし、問題があれば医療機関を受診し、指示を受けることをお勧めします。 血糖値上昇の原因 ・外食機会の増加 → 「最近忙しくて」「面倒だから」「付き合いで」 ・更年期で女性を護るべき女性ホルモンが減少(エストロゲン、プロゲステロン) まとめ・糖尿病、女性のリスクについて!なぜ更年期から特に注意すべきなのか 今回は「女性が更年期から注意すべき糖尿病リスク」について解説しました。 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気を指しており、現代の疫病とも称され糖尿病予備軍まで含めると全人口の約3割程度が発症していると考えられています。 糖尿病の原因や発症リスクから考えて、普段から規則正しい食生活、運動を心がけて、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して糖尿病にならないように心がけましょう。 女性のリスクを減らすために ・規則正しい生活 ・定期的に適度な運動の実行 ・禁煙 ・ストレスの除去 エストロゲンなどの女性ホルモンが減少し始める更年期の時期を迎えると、どんな女性にも糖尿病を罹患するリスクが増大することが指摘されていることを知っておきましょう。 普段から特段の自覚症状がなくても知らぬ間に高血糖になっていることも考えられますので、特に女性の場合は、更年期前後になれば、これまでの生活習慣に意識を向けてみることが必要になります。 女性なら知っておきたい発症リスク ・更年期以降、どんな女性でも糖尿病の発症リスクが高まる ・自覚症状のない高血糖に注意 糖尿病の発症リスクを知り、血糖値が上昇しにくい生活スタイルを学び、意識して健康的な生活を実践することが大切です。 糖尿病は、早期に発見して的確に治療すると症状を良好にコントロールできる病気です。心配であればぜひ専門医を受診してご相談されることをおススメします。 以上、女性が更年期から注意したい糖尿病のリスクについて記させていただきました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼女性の糖尿病|最新、幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、女性の糖尿病の新たな治療法として注目してください ▼こちらもご参考下さい Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病を改善または予防に必要な運動とは
2022.05.24 -
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糖尿病の初期症状!自覚症状、身体のサインを見落とさないため、知っておきたいこと! 糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高値を示す病気です。 糖尿病にかかると、慢性的に高血糖が続くために、喉が渇きやすくなり、尿量増加、体重減少などの身体のサインが現れる場合もありますが、顕著な自覚症状が認められないケースも少なくないと言われている点で注意が必要です。 万が一、「糖尿病の初期症状」に気が付けば早期の食事療法などで健康状態を維持することが可能ですが、糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こすことが知られていますので専門医療施設で精密検査を必要に応じて受けることが重要です。 今回は、糖尿病を初期の段階で知り、早期治療を開始するための「初期症状」と、その際に現れる「身体のサイン」、そして初期症状が出現した際の対処法に関する情報を中心に詳しく解説していきます。 初期症状を知り早期治療を開始するために このような身体のサイン(症状)に気が付いたら医療機関へ ・のどが渇きやすくなった ・尿の量が増加します ・体重が減少した ・空腹が満たされない ・足がつったり、しびれる ・足にひび割れや、乾燥しやすくなった ・すぐに風邪をひくなど体が弱くなった 糖尿病はどのような病気? 糖尿病とは、インスリンが十分に作用しないために血液中を流れるブドウ糖の数が多くなってしまう病気です。 糖尿病は基本的に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類されており、その中でも2型糖尿病は生活習慣に強く関連する頻度が高いタイプであり、初期の段階では有意な症状が現れにくく、自覚症状を覚えた頃には、すでに病状が進行していることも多く見受けられます。 1型糖尿病も2型糖尿病も出現する症状自体に大差はありませんが、それらの発症メカニズムが異なる事から自覚症状の現れ方や出現経過などは若干違います。 ・1型糖尿病 1型糖尿病のケースではインスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊されることがあります。 このような場合、急激に血糖値が上昇するため、喉の渇き、頻尿、多飲、足のしびれなど神経障害、体重減少、疲労感などが突如として出現することがあります。 ・2型糖尿病 一般的に「糖尿病」と呼ばれているものが、2型糖尿病になります。2型糖尿病では少しずつインスリン分泌量が減ってインスリン機能が悪くなるために症状は、ゆるく徐々に現れます。 また、2型糖尿病における自覚症状は多種多様であり、少しずつ現れるため初期の段階では気付かないことが多くあります。 自覚症状が乏しいままで知らず知らずのうちに病状が進行していることも多いため、定期的に健康診断を受けて空腹時血糖値などの指数をチェックすることが重要な視点となります。 最近では高齢者ばかりではなく、10代や20代などの若い世代でもと尿病を発症したり、予備軍に含まれる方が増えてきています。若いからと油断しないでください。 糖尿病の疑いがある初期症状 自覚症状がなく、ゆるやかに発症していく糖尿病ですが、代表的な初期症状があります。 1)体重が急激に落ちる 糖尿病の症状として、エネルギー源でもあるブドウ糖を上手に取り込むことができなくなります。ブドウ糖の代わりに筋肉や脂肪をエネルギーに変えようと身体が働いてしまい、ダイエット等を意識していなくても急激に痩せてしまうことがあります。 2)喉が渇きやすくなる 血糖値が高くなることで、血液がドロドロとした状態になってしまいます。 そうなることによって、脳は水分が足りないと認識してしまい、水を飲まなければと混乱してしまいます。また、水をたくさん飲むことで尿の回数も多くなります。 3)足への症状 糖尿病になってしまうと、毛細血管がダメージを受けやすくなってしまい、自律神経へ悪い影響を及ぼしてしまいます。 その結果、次のような症状が現れやすくなります。 糖尿病の足の症状 ・つりやすくなる ・足が痺れやすくなる ・ひび割れや乾燥しやすくなる 4)感染症にかかりやすくなる 血糖値が高くなることで、白血球などをはじめとして免疫細胞の機能が低下します。風邪をひきやすくなったり、皮膚の感染症などにかかりやすくなってしまいます。 5)空腹感が続きやすくなる 通常は血液中にあるブドウ糖が増えることで、処理するためにインスリンが分泌されますが、糖尿病になるとインスリンが思うように機能してくれません。 そこで上がった血糖値を処理するために尿として糖を排出するようになります。エネルギーでもある糖が吸収されずに排出されてしまうため、脳は常にエネルギーを補おうと空腹のサインを出してしまうのです。 まとめ・糖尿病の初期症状!自覚症状、身体のサインを見落とさないために! 今回は糖尿病における初期症状の身体のサイン、そして初期症状が出現した際の対処法などについて詳しく解説してきました。 糖尿病とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの機能が減弱することで、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 喉の渇き、多飲、多尿、足のしびれなど糖尿病の初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、血管が障害されて心筋梗塞、脳卒中など重篤な病気に繋がります。 また血糖値が高い場合には、白血球を始めとして免疫機能が低下するので、感染症に罹患しやすい、感染所見が重篤化しやすいなど指摘されています。 今回ご紹介した初期症状は、特に見逃すことなく仮に有意な身体のサインを自覚した場合には、すぐに糖尿病内科など専門の医療機関を受診して精密検査を受けることを心がけましょう。 以上、糖尿病の初期症状!自覚症状など身体のサインを見落とさないで!と題して記させて頂きました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の治し方、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下の記事も参考にしてください 糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぐ
2022.05.23