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「心房細動と心不全はどう違うのだろう」 「片方の病気が、もう一方を引き起こすことはあるのだろうか」 動悸・息切れで受診したことをきっかけに、心房細動や心不全が見つかる方は多くいます。 どちらも心臓の病気であるため、違いや関係がわかりにくいものです。 別々の病気でありながら、互いを引き起こす関係にあり、併発すると脳梗塞や入院のリスクが高まります。(文献1)(文献2) そこで本記事では、現役医師が両者の違い・併発リスク・それぞれの症状・治療の注意点を詳しく解説します。 記事の後半にはよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 心臓の病気でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 心房細動と心不全の違い 心房細動とは、心臓の上の部屋(心房)が小刻みに震えて脈が乱れる不整脈の一種です。 一方で心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を指します。 それぞれの特徴を比較・整理したものが、次の表です。 項目 心房細動 心不全 症状 動悸・脈の乱れ・めまい(無症状のこともある) 息切れ・むくみ・倦怠感 主な原因 加齢・高血圧・糖尿病・弁膜症など 高血圧・虚血性心疾患・弁膜症・心房細動など 発症のしかた 発作的~持続的な不整脈 徐々に進行(急性型を除く) 心房細動と心不全は併発する可能性がある 心房細動と心不全は別の病気ですが、互いを引き起こし、悪化させる関係にあります。 ここでは、その具体的な関係性を見ていきましょう。 心房細動が心不全を招くことがある(頻脈誘発性心筋症) 心房細動で脈が速い状態(頻脈)が続くと、心臓は休みなく働き続けて疲弊します。 その結果、ポンプ機能が低下して心不全に至るのです。 このようにして起こる心不全を「頻脈誘発性心筋症」と呼びます。 この心不全は、速い脈を落ち着かせて心臓を休ませると回復に向かうと報告されています。(文献1) 心不全が心房細動を招くこともある 心不全によって心臓に負担がかかると、心房が引き伸ばされて、壁が硬くなります。 心臓は電気信号によって規則正しく動いていますが、変化した心房では、その信号が乱れがちです。 その結果、心房細動が起こりやすくなります。 もともと心不全や心筋梗塞などの持病がある方には、心房細動が多くみられると報告されています。(文献2) 併発すると悪循環に陥りやすい 心不全が悪化すると心房細動の発作が増え、心房細動が続くとさらに心不全が悪化します。 こうして両者が互いを進行させる悪循環に陥るのです。 併発すると脳梗塞や入院のリスクも高まるため、早めの治療が欠かせません。(文献1)(文献2) 心房細動・心不全でみられる症状 両者には息切れなどの共通する症状もあれば、異なる特徴もあります。 ここでは、その違いを順に見ていきましょう。 心房細動の症状 心房細動は、心房が1分間に400〜600回のペースで小刻みに震え、脈が乱れる病気です。 動悸、脈が抜ける感じ、めまい、息切れなどが現れます。 ただし自覚症状がなく、健康診断で偶然見つかることもよくあります。(文献2) 心不全の症状 心臓のポンプ機能が低下すると、体を動かしたときの息切れ、足のむくみ、倦怠感、急な体重増加などが起こります。 さらに進行した場合は、安静時にも息苦しさが出てきます。(文献3) 心房細動と心不全が併発したときの治療・注意点 併発している場合は、両方に配慮した治療と自己管理が必要です。 ここでは、押さえておきたい4つのポイントを順に解説します。 脈を整える治療(レートコントロール・リズムコントロール・アブレーション) 心房細動の治療の柱は、脈拍を抑えるレートコントロールと、正常なリズムに戻すリズムコントロールの2つです。 薬で脈が十分に整わない場合は、脈の乱れのもとになる部分を焼灼するカテーテルアブレーションが検討されます。 アブレーションは、発作的な心房細動に対して早い段階で行うほど、再発を抑える効果が高いと報告されています。(文献2) 脳梗塞を防ぐ抗凝固療法 心房細動になると、心房の中に血のかたまり(血栓)ができやすく、脳梗塞のリスクが高まります。 とくに心不全・高血圧・高齢・糖尿病・脳梗塞の既往のいずれかに当てはまる場合は、血を固まりにくくする薬(抗凝固薬)による予防が欠かせません。(文献2) 心不全の基本治療を並行する 併発時には心房細動の治療と並行して、心不全の基本治療(薬物療法・生活管理)を継続して行います。 心不全の薬物療法では、心臓のポンプ機能が低下したタイプ(駆出率が低下した心不全)に対して、ファンタスティック4と呼ばれる4つの基本薬が使われます。(文献1) 自己判断で薬を中断しない 症状が落ち着いても、自己判断で薬をやめると、心房細動の再発や心不全の急な悪化を招くことがあります。 これらは、動悸・息切れ・むくみ・急な体重増加として現れます。 気になる症状がある場合は、早めに受診してください。(文献3) 心房細動と心不全を正しく理解し治療を続けよう 心房細動と心不全は、片方がもう一方を招く関係にあり、併発すると互いを進行させます。 早めの治療と継続的な自己管理が、悪循環を断ち切るカギです。 とはいえ、治療や自己管理を続けていても、症状が安定しないケースもあります。 当院リペアセルクリニックでは、心不全でお悩みの方に対して再生医療を実施しています。 患者様自身の脂肪由来の幹細胞を活用する「幹細胞治療」が、選択肢のひとつです。 現在の治療にお悩みの方や再生医療について興味のある方は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」からお気軽にご相談ください。 【関連記事】 “リペア幹細胞” 不整脈が消えた!血糖値も大幅改善!心不全・糖尿病 70代 男性 【医師監修】心筋梗塞と心不全の違いとは?関係性や共通点も合わせて解説 心房細動と心不全に関するよくある質問 心房細動を放置すると心不全になりますか? 心房細動を放置して脈の速い状態が続くと、心臓が疲れて心不全に至ることがあります。 自覚症状がなくても、脳梗塞になるリスクがあるため、健康診断などで見つかったら早めに受診してください。 心房細動と心不全はどちらが危険ですか? 一概には言えません。 心房細動は脳梗塞、心不全は突然死につながることがあります。 さらに、併発すると互いを悪化させるため、片方が見つかったら、もう一方の有無も併せて調べるようにしましょう。 併発している場合、運動はしても良いですか? 状態が安定していれば、可能です。 適度な運動を続けることは、体力の維持に役立ちます。 ただし、運動の可否や強度は個人差が大きいため、始める前に主治医へ相談しましょう。 心房細動と心不全は治りますか? 完全に元に戻すことは難しいです。 ただし、心房細動はアブレーションによる改善が報告されており、心不全も治療の継続で症状を抑えられます。 早めに治療を開始し、継続することが、これまでどおりの生活を送ることにつながります。 参考文献 (文献1) 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン|日本循環器学会/日本心不全学会 (文献2) 心房細動|一般社団法人 日本循環器協会 (文献3) 心不全|心臓病の知識|公益財団法人 日本心臓財団
2026.07.31 -
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「ここ最近毎月のように風邪をひくようになった」 「なにかの病気が関係している?」 大人になってから、風邪を繰り返す背景には、日々の生活習慣による免疫機能の低下が関係している可能性があります。 本記事では、大人が毎月風邪をひく原因や原因となる病気、見直したい生活習慣などを解説します。原因を確認するためのセルフチェックリストを掲載しているため、風邪予防につなげるために参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。日頃から風邪をひきやすいなど健康上で気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大人が毎月風邪をひく原因【セルフチェック】 繰り返す風邪の背景には、生活習慣による免疫機能の低下があります。 以下に該当しないかチェックしてみましょう。 免疫機能を低下させる原因 チェック 睡眠不足が続いている ▢ 食生活が乱れている ▢ 過度な心理的ストレスが続いている ▢ 過度な飲酒習慣がある ▢ 喫煙者である ▢ 運動不足である ▢ エアコンの効いた室内で長時間過ごす ▢ 口呼吸の癖がある ▢ 人が密集する環境によくいる ▢ それぞれの原因について詳しく解説します。 睡眠不足 睡眠不足は、風邪をひきやすくする原因の一つです。本来は睡眠中に体内でウイルスと戦う免疫細胞の働きが整えられるのですが、睡眠時間が短いと十分な働きが得られなくなります。 実際に、睡眠時間が5時間未満であると、風邪の発症リスクを高めるとの報告があります。(文献1)仕事や育児に追われていると、睡眠時間を後回しにしがちですが、風邪予防のためには十分な睡眠が必要です。 食生活の乱れ 栄養バランスが偏った食事を続けていると、体の免疫機能が低下してしまいます。例えば、ビタミンEが不足すると免疫細胞が正常に働けなくなり、ウイルスや細菌に対する抵抗力が低下します。 しかし、コンビニ食や外食が続いたり、簡単な食事で済ませてしまったりすると、栄養バランスが偏ってしまいます。忙しい日々の中でも、食事内容を見直すことは、免疫機能を維持するために重要です。 過剰なストレス 過度なストレスは、感染症のリスクを高める原因の一つと考えられています。実際に、心理的ストレスが増加すると、感染症の発症リスクが高まるとの報告があります。(文献2) 現代社会では、仕事の責任やプレッシャー、育児の悩みなど、多方面にストレスがかかりやすいです。これらのストレスを上手に解消していくための対策を身につけていく必要があります。 過度な飲酒や喫煙 過度な飲酒や喫煙は、感染症のリスクを高める生活習慣として知られています。過度なアルコール摂取は、免疫機能に悪影響を与える可能性があるとされています。喫煙は気道の粘膜にダメージを与え、ウイルスや異物を排除する働きを弱めてしまいます。その結果、呼吸器の感染症にかかりやすくなるのです。 ストレス発散のために、飲酒や喫煙が増えるといったケースは珍しくありません。しかし、このような生活習慣の積み重ねは風邪をひきやすい状態につながります。 運動不足 運動不足は免疫機能の低下につながる生活習慣の一つです。実際に座りがちな生活習慣よりも、適度に運動している方は、感染症のリスクが低下するとの報告があります。(文献3) 一方、以下のような運動は、一時的に感染症のリスクを高めるとされています。 長時間にわたる激しい運動 強度の高いトレーニング 運動はほど良い強度で取り入れることが大切です。 体の冷え 「体が冷えると風邪をひきやすい」というのは、昔からよく言われている考え方です。しかし、体の冷えそのものが免疫機能を直接低下させるという医学的な根拠は、実ははっきりとは確認されていません。(文献4) 一方で、寒い時期に風邪をひく人が増えるのは事実です。これは、体が冷えること自体よりも、空気の乾燥や、暖房が効いた室内で長時間過ごすことなど、寒い季節特有の環境要因が関係していると考えられます。 気道粘膜の乾燥 喉や鼻などの気道粘膜が乾燥すると、ウイルスや細菌に対するバリア機能が低下するため、感染症のリスクが高まります。空気が乾燥する冬期に風邪をひきやすくなる原因の一つです。 また、エアコンの効いた室内で長時間過ごしたり、水分補給が不十分であったりすると、粘膜の乾燥を進める原因になります。口呼吸も気道粘膜を乾燥させてしまいます。体内へのウイルスや細菌の侵入を防ぐためには、気道粘膜の潤いを保つことが重要です。 ウイルスに接触しやすい環境 ほこりの多い場所や人が密集する環境などでは、ウイルスに接触することが多く感染症のリスクが高まります。 具体的には以下のような環境です。 満員電車での通勤 学校や保育園など人が集まる場所 掃除や換気が不十分な室内 換気が不十分な室内で長時間過ごすと、感染症につながる可能性があります。人が密集する室内などではこまめに換気をするのが重要です。 ここまでの風邪をひく原因のいずれかに該当する方は、免疫機能が低下していないか確認するために、以下の記事を参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、免疫機能に対する再生医療も行っています。詳しくは以下を参考にしてください。 大人が毎月風邪をひく原因になる病気 風邪のような症状を繰り返す背景には、生活習慣だけでなく、他の病気が隠れている場合があります。 例えば、以下のような病気は免疫機能に悪影響を及ぼす可能性があります。 病名 詳細 糖尿病 生活習慣の乱れや遺伝が原因で血液中の血糖値が高くなる病気 甲状腺機能低下症 体に必要なホルモンを分泌する甲状腺の働きが悪くなる病気 なお、長期間続く咳や息苦しさ、胸の痛み、高熱、荒い呼吸などが現れている場合は、ただの風邪ではないおそれがあります。医療機関を受診して適切な治療を受けてください。 毎月風邪をひく大人が見直したい生活習慣 毎月風邪をひく大人が見直したい生活習慣として、以下が挙げられます。 手洗い・うがいを徹底する 十分な睡眠をとる バランスの良い食生活を心がける 適度な運動習慣を取り入れる ストレスを解消する 湿度を管理する 予防接種を受ける それぞれについて詳しく解説します。 手洗い・うがいを徹底する 手洗い・うがいは風邪予防の基本となる対策です。外出先から帰宅した際には、まず手洗い・うがいを行う習慣を身につけましょう。 手洗いは、指先・爪先・指の間・手の甲・手首まで丁寧に洗うことで、手に付着したウイルスや細菌を洗い流すことができます。うがいは、喉の奥まで意識して行うことがポイントです。このような基本的な対策を毎日続けることで、ウイルスや細菌が体内に入ることを減らし風邪予防につながります。 十分な睡眠をとる 十分な睡眠は免疫機能を維持するために重要です。まずは、就寝時間と起床時間をできるだけ一定に保つことから始めてみましょう。 適度な睡眠時間は、6時間以上とされています。とはいえ、9時間以上など長時間におよぶ睡眠は、免疫機能を低下させるとの報告があるため注意が必要です。(文献5)また、寝る前に「スマートフォンを見ない」「お酒を飲まない」など、睡眠の質が悪くならないようにするのも大切です。 栄養バランスの良い食生活を心がける 栄養バランスの良い食生活を心がけることも、免疫機能を高めるための基本です。 免疫機能に関わる栄養素は以下のように多岐にわたります。 たんぱく質 ビタミンD ビタミンE ビタミンC 食物繊維 まずは、主食・主菜・副菜をそろえることを意識した食事を心がけましょう。 適度な運動習慣を取り入れる 適度な運動習慣は免疫機能の維持・向上に役立ちます。 以下のような有酸素運動を取り入れましょう。 ウォーキング 軽いジョギング 水泳 運動の強度は「少しきついかな」と思う程度が目安です。ウォーキングの場合は1日合計20〜30分を目安にしてください。 ストレスを解消する ストレスの解消は、免疫機能を維持するために大切です。 ストレスの解消方法の一例としては以下が挙げられます。 趣味の時間を確保する 信頼できる人に話を聞いてもらう 軽い運動で気分転換をする 「また風邪をひいてしまった」と自分を責めないことも、心の負担を減らす上で重要なポイントです。完璧を目指すのではなく、少しずつ生活習慣を整え心身を休めましょう。 湿度を管理する 室内の湿度管理も風邪予防につながる対策です。空気が乾燥すると、喉や鼻の粘膜が乾燥しやすくなり、ウイルスや細菌に対するバリア機能が低下するためです。室内の湿度は40〜70%が望ましいとされています。(文献6) とくに冬期や冷暖房を使用する時期は、空気が乾燥しやすいため注意が必要です。加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したりすると、無理なく湿度を保つことができます。また適宜換気を行うことも大切です。 予防接種を受ける 予防接種を受けることも、特定のウイルスに対策できる有効な予防策の一つです。とくにインフルエンザは毎年12月中旬までに接種するのが望ましいとされています。 インフルエンザが流行する時期は、1月上旬から3月上旬とある程度決まっています。仕事や育児で忙しく、なかなか通院の時間がとれない方も、流行時期が来る前に早めに予定を組んでおきましょう。 風邪予防に役立つ再生医療 頻繁に風邪をひいてお悩みの方に向けて、免疫細胞を活用した再生医療という選択肢もあります。再生医療とは、幹細胞を採取・培養して投与する治療法です。 当院「リペアセルクリニック」で提供している再生医療の一つに、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を用いた「高活性NK細胞免疫療法」があります。NK細胞は、体内をパトロールしながらウイルスや異常な細胞を攻撃する働きを持つ免疫細胞です。 この治療では、患者様ご自身の血液から採取したNK細胞を培養して数を増やし、点滴により体内へ戻します。当院「リペアセルクリニック」の免疫に対する再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 毎月風邪をひくことでお悩みの大人の方は当院へご相談ください 毎月風邪をひく原因として、考えられるのは免疫機能の低下です。 これは、睡眠不足や食生活の乱れ、心理的ストレス、過度な飲酒、喫煙などによって起きる可能性があります。生活習慣を改善するだけでなく、手洗い・うがいなどの基本的な対策を徹底するのが重要です。 免疫に関係する病気が隠れている可能性もあります。生活習慣を改善しても、頻繁に風邪を繰り返す場合は、医療機関の受診を検討してください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、免疫に対する再生医療を行っています。風邪をひきやすいなど健康上で気になることがある方は、お気軽に当院にご相談ください。 毎月繰り返す大人の風邪に関するよくある質問 頻繁に風邪をひく病気はありますか? 短期間で風邪を繰り返す場合は、甲状腺機能低下症や糖尿病など他の病気が隠れている可能性があります。生活習慣を整えても、体調をよく崩す方は、医療機関の受診を検討してください。 大人で熱が出やすい体質はありますか? まれな例ですが、家族性地中海熱という周期的に発熱が起きる遺伝性の病気があります。発熱だけでなく、胸の痛みや腹痛、関節痛などの症状が現れます。 毎月風邪をひく大人におすすめの検査はありますか? 毎月風邪をひく大人が受ける検査の一例として、以下が挙げられます。 免疫検査(血液検査) 副鼻腔レントゲン検査 胸部レントゲン検査 必要な検査は症状や既往歴に応じて異なるため、医師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold|National Library of Medicine (文献2) Psychological stress and susceptibility to the common cold|National Library of Medicine (文献3) The Immunomodulatory Effects of Physical Activity|National Library of Medicine (文献4) Cold exposure: human immune responses and intracellular cytokine expression|National Library of Medicine (文献5) 睡眠時間は主観的健康観及び 精神神経免疫学的反応と関連する|日本行動医学会 (文献6) 現下の感染状況を踏まえたオミクロン株の特性に応じた検査体制及び効果的な換気の徹底について|厚生労働省
2026.07.31 -
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「健康診断で血糖値が高いと指摘された」 「体に良いと言われる納豆は食べても大丈夫?」 納豆は低GI食品(血糖値を急上昇させない食品)に該当するため、基本的には血糖値が高い方が食べても問題ありません。ただし、「白米を食べすぎない」「野菜から先に食べる」など、血糖値を上げないための食べ方や注意点があります。また、服薬状況や持病によっては注意が必要な場合もあります。 本記事では、血糖値の管理に役立つ納豆の成分や正しい食べ方・注意点、そのほかの健康効果などを解説します。効果的な納豆の食べ方を知り、日々の血糖値の管理にお役立てください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。糖尿病の症状や治療で気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 納豆はダメじゃない!糖尿病の食事管理に役立つ 納豆は低GI食品に該当するため、糖尿病の方が食べても問題ありません。むしろ、食後の血糖値の上昇を抑える効果を期待できる食品として注目されています。 「納豆はダメ」という情報が広まった背景には、白米などの糖質の摂りすぎや食べ方によって、誤解が生じた可能性があります。納豆に関する研究では、食後の血糖値を抑える効果について報告もあります。(文献1) 【関連記事】 【医師監修】糖尿病とは|症状や原因・予防法までを詳しく解説 【何パック?】納豆は痛風でも食べていい?おすすめの食べ方を医師が解説 血糖値の管理に役立つ納豆の成分 血糖値の管理に役立つ納豆の成分として、以下が挙げられます。 水溶性食物繊維 大豆イソフラボン 植物性タンパク質 それぞれどのように血糖値の管理に役立つのかを解説します。 水溶性食物繊維 納豆には、水溶性食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維とは、水に溶けやすい性質をもつ食物繊維のことです。 食事に含まれる糖の吸収を緩やかにでき、食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果を期待できます。納豆を一品として取り入れることで、水溶性食物繊維を無理なく摂取できます。 大豆イソフラボン 納豆には、大豆イソフラボンという成分が含まれています。大豆イソフラボンとは、大豆に多く含まれるポリフェノールの一種で、女性ホルモンに似た働きがあります。 肥満・糖尿病に関する疫学研究では、過体重の女性においてイソフラボンや大豆製品の摂取が糖尿病リスクの低下に関連する可能性が示されています。(文献2) 植物性タンパク質 納豆は、植物性タンパク質を豊富に含む食品でもあります。植物性タンパク質とは、肉や卵などの動物性タンパク質に対して、大豆などに含まれる植物由来のタンパク質のことです。 動物性タンパク質から植物性タンパク質に置き換えると、血糖値がわずかに改善したとの報告もあります。(文献3)つまり、普段の食事の一部を植物性タンパク質に置き換えることで、血糖値の改善につなげられる可能性があります。 ただし、すべてを植物性タンパク質に置き換えることは推奨できません。栄養バランスを意識して、植物性タンパク質を取り入れましょう。 糖尿病における納豆の正しい食べ方と注意点 納豆が血糖値の管理に役立つ可能性があるとはいえ、食べ方によって効果が変わります。 糖尿病における納豆の正しい食べ方と注意点として、以下が挙げられます。 野菜から先に食べる 加熱せずに食べることが望ましい 白米を食べすぎないようにする ワルファリンを服用している場合は納豆を控える それぞれについて詳しく解説します。 野菜から先に食べる 血糖値の管理において、野菜から先に食べることは大切です。食物繊維を多く含む野菜から食べることで、糖の吸収を緩やかにできるためです。白米から先に食べるよりも、野菜から先に食べた場合のほうが、血糖値が低値を示したとの報告もあります。(文献4) 納豆と白米を一緒に食べると糖質を先に摂取してしまうため、血糖値が上がりやすくなる可能性があります。食事は野菜から先に食べるようにしましょう。 加熱せずに食べることが望ましい 納豆は加熱せずに、そのまま食べることが望ましいです。加熱すると納豆に含まれるナットウキナーゼという成分が壊れる可能性があるためです。実際にナットウキナーゼが安定するのは、30~50℃ほどとされています。(文献5) ナットウキナーゼは、血糖値の改善効果があるわけではありませんが、糖尿病の方にもリスクがある血栓症の予防に役立つ可能性があります。血栓とは血の塊のことで、血管内にできてしまうと血の流れが滞り、さまざまな臓器に障害を引き起こすおそれがあります。ナットウキナーゼを効率的に摂取するために、できるかぎり納豆は加熱しないようにしましょう。 白米を食べすぎないようにする 納豆と一緒に食べる白米の量には注意が必要です。白米は糖質を豊富に含んでいるため、食べすぎてしまうと血糖値を急上昇させてしまう可能性があるためです。 白米が好きな方は、玄米を取り入れる方法もあります。「納豆を食べているから大丈夫」と油断せず、白米の量には注意してください。 ワルファリンを服用している場合は納豆を控える 持病の治療のためにワルファリンを服用している方は、納豆を控える必要があります。ワルファリンとは、血液を固まりにくくする作用を持つ薬で、血栓症の治療や予防に使われる薬です。 納豆には、ビタミンKが豊富に含まれており、このビタミンKがワルファリンの効果を弱めてしまいます。なお、納豆を食べてしまったからといって、ワルファリンの服用を自己判断で減薬または中止しないでください。対応方法については医師に確認しましょう。 血糖値以外で期待される健康効果 血糖値以外で期待される健康効果として、以下が挙げられます。 骨折リスクの低下 血圧低下の効果 血栓予防の効果 それぞれについて詳しく解説します。 骨折リスクの低下 納豆は骨折リスクを低下させる効果が示唆されています。納豆に含まれるビタミンKには、カルシウムを骨に定着させ、骨の質を改善させる効果が期待できるためです。実際に納豆をよく食べる地方では、女性の骨折リスクが低い傾向が示唆されています。(文献6) 血圧低下の効果 納豆に含まれるナットウキナーゼには、血圧を低下させる効果が期待できます。ナットウキナーゼには、血圧を上げるホルモンであるレニンの働きを抑える作用があるためです。 実際に、ナットウキナーゼを含むカプセルを8週間服用してもらったところ、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)が低下したとの報告があります。(文献7) 血栓予防の効果 納豆に含まれるナットウキナーゼには、血栓症の予防の効果が示唆されています。ナットウキナーゼには、血栓の主成分であるフィブリンを直接分解する働きがあるためです。また、血栓を分解する酵素の働きを活性化させる作用もあると言われています。 実際に納豆の酵素を含む粉末を健康な男女5人に服用してもらったところ、4〜8時間の間で血液を溶かす働きに関わる数値の上昇が見られたとの報告があります。(文献8) 納豆を食べる際は白米など糖質の摂りすぎに注意しよう 納豆は、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。とはいえ、白米などの糖質の量には、十分注意して食べすぎないようにしなければなりません。また、糖の吸収を緩やかにするために、野菜から先に食べることもポイントです。 納豆には、骨折リスクや血圧の低下、血栓症の予防などの効果も期待できます。ただし、納豆だけを意識的に食べるのではなく、そのほかの野菜などをバランス良く食べることが大切です。 糖尿病の治療の選択肢の一つとしては、再生医療という方法もあります。当院「リペアセルクリニック」で行っている糖尿病に対する再生医療については、以下の記事で紹介しております。治療内容について詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。 糖尿病と納豆に関するよくある質問 糖尿病の方は納豆をいつ食べると良いですか? 普段の食事に取り入れてください。ただし、糖の吸収を緩やかにするために、野菜から先に食べましょう。 納豆は血糖値スパイクの原因になりますか? 納豆と一緒に白米などの糖質を摂りすぎると血糖値スパイクを引き起こす可能性があります。白米は食べすぎないようにしましょう。 納豆を食べると血糖値は上がるのですか? 納豆は低GI食品であり、血糖値の急上昇を招きにくいとされています。適量であれば、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。 参考文献 (文献1) 納豆、大豆が健常成人の食後血糖値に与える影響|大阪都市生活健康協会 (文献2) 研究概要|臨床研究センター (文献3) Effect of Replacing Animal Protein with Plant Protein on Glycemic Control in Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials|National Library of Medicine (文献4) 糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果|日本糖尿病学会 (文献5) Purification and characterization of nattokinase from Bacillus subtilis natto B-12|National Library of Medicine (文献6) Japanese fermented soybean food as the major determinant of the large geographic difference in circulating levels of vitamin K2: possible implications for hip-fracture risk|National Library of Medicine (文献7) Effects of nattokinase on blood pressure: a randomized, controlled trial|National Library of Medicine (文献8) 納豆中のプロウロキナーゼ活性化酵素と血栓溶解能|日本食品科学工学会誌
2026.07.31 -
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「風邪気味のときに会食でお酒を飲んでしまった」 「帰宅すると体のだるさを感じる」 風邪のときにお酒を飲むことは推奨されていません。免疫機能の低下や脱水リスクの上昇により、風邪の回復が妨げられるためです。 本記事では、風邪のときはお酒を控えるべき理由や回復を妨げるメカニズム、風邪薬との併用を避けるべき理由などを解説します。風邪のときにお酒を飲んでしまった場合の対処法も解説しているため、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。日頃から風邪をひきやすいなど健康上で気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 風邪のときはお酒を控えるべき 風邪のときはお酒を控えるべきです。風邪または風邪気味のときにお酒を飲むと回復を妨げる可能性があるためです。また、風邪薬とお酒を併用すると効果の変化や副作用の出現リスクが高まります。 風邪をひいたときは、お酒を飲まずに以下のことを意識して過ごしてください。 消化の良い食事を摂る こまめに水分補給をする 体を温める 十分な睡眠をとる 栄養面においては、たんぱく質やビタミンA・B1・Cを摂ることが大切です。 お酒が風邪の回復を妨げるメカニズム お酒が風邪の回復を妨げる理由は、以下のことが起きる可能性があるためです。 免疫機能が低下する 体内の水分を排出する 睡眠の質が低下する それぞれのメカニズムについて詳しく解説します。 免疫機能が低下する 飲酒は免疫機能を低下させる可能性があります。免疫とは、ウイルスや細菌から体を守る機能です。ところが風邪をひいて体力が落ちているときに過度な飲酒をすると、これらの免疫機能がうまく働かなくなってしまいます。 その結果、ウイルスや細菌と戦う免疫機能が十分に発揮されず、回復が遅れるリスクが高まります。風邪をひいたときは、免疫機能を乱さないために飲酒を控えることが大切です。 体内の水分を排出する お酒には、体の水分を排出する利尿作用があります。利尿作用とは、尿の量を増やして、水分を体の外へ排出させる作用のことです。風邪のときは、発熱や発汗により、ただでさえ体の水分が失われやすい状態です。そこへ飲酒が重なると、体の水分がさらに不足してしまうおそれがあります。 水分が不足すると、鼻や喉などが乾燥してしまい、ウイルスや細菌などを体の外に排出させる線毛運動(せんもううんどう)の働きが低下してしまいます。その結果、風邪の回復を遅らせる可能性があるのです。風邪をひいているときは、お酒ではなく水やお茶でこまめに水分を摂ることが大切です。 睡眠の質が低下する お酒は、眠りの質を下げてしまう可能性があります。とくに寝る前の飲酒は、寝付きを良くすると感じても、実際には眠りが浅くなりやすいです。 飲酒量が増えると、眠りの途中で目覚める回数も増えてしまいます。その結果、十分な休息をとることができなくなる可能性があります。風邪をひいているときは、飲酒をせず質の良い睡眠で体を休めることが大切です。 風邪薬とお酒の併用も避けるべき 風邪薬を飲んでいるときの飲酒は、以下のようなリスクを高めるため注意が必要です。 薬の効き目が変化する可能性がある 副作用が強く出るリスクがある それぞれについて詳しく解説します。 薬の効き目が変化する可能性がある 風邪薬とお酒を一緒に摂ると、薬の効き目が変わってしまう可能性があります。薬とアルコールはどちらも主に肝臓で分解されます。肝臓は、体に入ったアルコールや薬の成分を分解し、無害な形に変える臓器です。 しかし、薬と同時にお酒が入ると肝臓による薬の分解の速度が変わり、薬の効き目が変化する可能性があります。薬を飲んでいるときは、お酒を飲むのを控えましょう。 副作用が強く出るリスクがある 風邪薬とお酒を併用すると、薬の副作用が強く出るリスクがあります。薬と同時にお酒が入ると、肝臓による薬の分解の速度が変化するためです。 とくに以下のような薬とお酒の併用は注意が必要です。 風邪薬 解熱鎮痛薬 催眠鎮静剤(眠気を強めたり、気持ちを落ち着かせたりする薬) 適量であると危険は少ないとされていますが、薬を飲む場合はお酒を飲まないことが原則です。 風邪のときにお酒を飲んでしまった場合の対処法 風邪もしくは風邪気味のときにお酒を飲んでしまった場合は、落ち着いた対処が大切です。 以下のような対処をしてください。 なんらかの症状が強く現れていないか注意深く確認する 水やお茶を飲み十分な水分補給をする 安静にして体を休める 風邪薬とお酒を併用した場合は、自己判断で薬の量を変えず、飲酒したことを含めて医師に相談しましょう。とくに副作用を疑う症状が強く出ている場合は、速やかに受診してください。 「お酒は風邪をひきにくくする」という説の真偽 「お酒は風邪をひきにくくする」という話を耳にすることがあります。この説には、はっきりとした答えが出ていません。 飲酒と風邪のひきやすさとの関連性を調べた研究は、いくつか報告されています。しかし、その結果は一致しておらず明確な結論に至っていないのが現状です。(文献1、文献2) つまり、「お酒が風邪の予防になる」と断言できる根拠は、今のところありません。少なくとも、風邪または風邪気味のときはお酒を控えるようにしましょう。 風邪をひいたときは早期回復のためにお酒は控えよう 風邪または風邪気味のときはお酒を控えましょう。免疫機能の低下や脱水リスクの上昇、睡眠の質の低下など、風邪の回復を妨げることが体に起きるためです。 とくに薬を服用しているときは注意してください。お酒と薬を併用すると、薬の効き目の変化や副作用の出現といったリスクが高まるためです。 万が一お酒と薬を併用してしまった場合は、医師への相談が望ましいです。副作用を疑う症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 風邪とお酒に関するよくある質問 風邪気味のときにお酒を飲んでも大丈夫ですか? 軽い症状でも回復を妨げる可能性があるため、お酒は控えるのが望ましいです。「少量なら大丈夫」と思える程度でも、体に無理をさせてしまう可能性があります。体調が万全になるまでお酒を控えましょう。 風邪が治りかけのときにお酒を飲んでも大丈夫ですか? 治りかけのときにお酒を飲むと、風邪が再び悪くなる可能性があります。症状が完全になくなり体調が万全になるまでは、飲酒を控えましょう。 病み上がりのときのお酒はいつから飲んでも良いですか? 風邪の症状がなくなっても、体内に細菌やウイルスが残っている場合があります。症状が完全になくなってから数日経ち、体調が万全になってからにしましょう。 参考文献 (文献1) Moderate alcohol consumption and the immune system: a review|National Library of Medicine (文献2) Acute intake of moderate amounts of red wine or alcohol has no effect on the immune system of healthy men|National Library of Medicine
2026.07.31 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「プロテインは肝臓に良くないの?」 筋トレの効果を高めるため、もしくは健康維持のためにプロテインを飲んでいる方の中には、このような疑問を持たれる方もいらっしゃいます。実際に血液検査で肝機能の数値が高いと指摘されて、不安を覚えた方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、健康な方のプロテイン適量摂取と肝機能異常との関係は、一概には判断できません。肝機能値が高いと言われたときには、プロテイン摂取量に加えて、サプリメントとの併用や食事、飲酒についても見直す必要があります。 本記事ではプロテインと肝臓の関係や、肝臓の数値について、肝臓に配慮しつつプロテインを飲み続ける方法を紹介します。筋力維持と肝臓の健康を両立していくためにも、ぜひ最後までご覧ください。 当院リペアセルクリニックでは、公式LINEで再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を行っています。 プロテインや肝臓について詳しく知りたい方は、お気軽にご登録ください。 プロテインと肝臓の関係 この章では、プロテインと肝臓の関係および、プロテインが肝臓に悪いといわれる理由を解説します。 プロテインは肝臓に悪いのか? 現時点では、プロテインが肝臓に悪いといった明確な根拠は示されていません。 プロテインはたんぱく質を補給するための食品であり、食事から摂取したたんぱく質と同様に体内で利用されます。たんぱく質は筋肉や臓器など身体を構成する重要な栄養素であり、たんぱく質代謝に関与している臓器が肝臓です。 肝臓疾患がある場合には病態に応じた栄養管理が必要となり、たんぱく質摂取量の調整が行われる場合もあります。 プロテインが肝臓に悪いといわれる理由 プロテインが肝臓に悪いといわれる背景にあるのが、たんぱく質代謝と肝臓の関係に対する誤解です。 肝臓はたんぱく質代謝に関与している臓器です。そのため、プロテインで多くのたんぱく質を摂取すると、「肝臓を使い過ぎる=肝臓に悪い」と認識されることがあります。 しかし、肝機能異常の原因はプロテインだけではありません。ウイルス感染や飲酒習慣、肥満、服用中の薬剤、激しい運動などが影響するケースもあります。 肝臓の働きや肝機能値が高くなる原因については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 血液検査の肝機能値からわかること この章では、血液検査の肝機能値からわかることについて解説します。 血液検査における肝機能値の指標は、主に以下の3種類です。 AST(GOT) ALT(GPT) γ-GTP 以下の記事では、肝機能値の概要と異常の原因、正常化させるための方法について解説しています。あわせてご覧ください。 AST(GOT)が高い場合に考えられること AST(GOT)は肝臓や心筋、筋肉に多く含まれる酵素です。 急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変、心筋梗塞、筋肉の疾患などで数値が上昇します。また、高強度の筋トレや激しい運動による筋肉の損傷でも数値が上昇する可能性があります。 他の検査項目とあわせての判断が重要です。 ALT(GPT)が高い場合に考えられること ALT(GPT)は主に肝臓に存在する酵素です。 脂肪肝やアルコール性肝障害、ウイルス性肝炎などで高値を示すことがあるため、肝臓との関連性が高い指標とされています。 γ-GTPが高い場合に考えられること γ-GTPは肝臓や胆道、膵臓、腎臓などに多く含まれる酵素であり、アルコール性肝障害や胆道系疾患との関連が深い指標です。 飲酒習慣がある場合は数値が上昇しやすく、生活習慣を見直すきっかけとなることも少なくありません。健康な方であれば、一定期間の禁酒で改善される場合もあります。 肝機能値が高い人が見直すべき5つのポイント 肝機能値が高い方が見直すべきポイントは、以下の5点です。 プロテイン摂取量は適切か サプリメントを併用していないか 血液検査前に激しい運動をしていなかったか 脂肪肝のリスクがないか 飲酒量が増えていないか プロテイン摂取量は適切か 肝機能値が高い場合は、現在のたんぱく質摂取量を確認する必要があります。プロテインだけではなく、肉や魚、卵、大豆製品など、食事から摂取している量も含めて考えましょう。 たんぱく質は健康維持に欠かせない栄養素ですが、必要量は年齢や身体活動量によって異なります。 1日に必要なたんぱく質の摂取推奨量は、成人男性で65g、成人女性で50gです。(文献1) プロテインのみでたんぱく質の推奨量を満たしている場合は、プロテイン過剰摂取の可能性も考えられます。 サプリメントを併用していないか 健康食品やサプリメントの中には、成分や摂取状況によって健康へ影響を及ぼすものもあります。 実際の事例としてあげられているものは、鉄サプリメントの長期使用による鉄過剰症や、ダイエット食品使用による肝機能障害などです。(文献2)(文献3) 肝機能値が高く、かつプロテイン以外に利用しているサプリメントや健康食品がある場合は、摂取内容や摂取量を見直す必要があります。 以下の記事では、脂肪肝の栄養管理に使われているサプリメントの成分やリスクについて紹介しています。あわせてご覧ください。 血液検査前に激しい運動をしていなかったか 激しい運動や筋力トレーニングの後の血液検査では、筋肉の損傷によりAST値が上昇する可能性があります。 血液検査の結果を確認する際には、プロテイン摂取状況に加えて、採血前の運動状況を振り返ってみましょう。 脂肪肝のリスクがないか 脂肪肝は肝機能値が高くなる原因の1つです。 脂肪肝は主に、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝(NAFL)に分けられます。とくにNAFLは、肥満や糖尿病、高脂血症、運動不足など生活習慣との関連が深い疾患です。(文献4) いずれの脂肪肝も、多くの場合自覚症状がないまま進行します。 プロテインを摂取している方も、肝機能値上昇の背景に脂肪肝が隠れている可能性があります。体重や腹囲の増加、食生活の変化などもあわせて確認しましょう。 飲酒量が増えていないか 飲酒習慣は肝機能値、とくにγ-GTPに影響を与える要因の1つです。継続的な飲酒や過度な飲酒、急激な飲酒量増加は肝臓への負担となり、アルコール性脂肪肝やアルコール性肝炎などにつながります。 血液検査でγ-GTPやAST、ALTの上昇を指摘された際は、プロテインの摂取状況だけでなく、飲酒量や飲酒頻度の変化についても振り返ることが重要です。 以下の記事で、アルコール性肝炎について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 肝臓に配慮しながらプロテインを続ける方法 肝臓に配慮しながらプロテインを続ける方法は、主に以下の3点です。 1日に必要なたんぱく質量を把握する プロテインは食事を補う目的で活用する 肝機能値の推移を定期的に確認する 1日に必要なたんぱく質量を把握する たんぱく質の必要量は年齢や体格、身体活動量によって異なります。健康維持や身体づくりのためにも、自分に必要な量を把握した上でたんぱく質を摂取しましょう。 日本人の食事摂取基準における1日あたりのたんぱく質摂取推奨量は、成人男性では65g、成人女性は50gです。(文献1) プロテインは食事を補う目的で活用する プロテインはたんぱく質を補給するための補助食品であり、基本は日々の食事です。 肉や魚、卵、大豆製品などからたんぱく質を充分に摂取できない場合にプロテインを活用すると、必要量を補えます。 食品にはたんぱく質以外にもビタミンやミネラルなどさまざまな栄養素が含まれているため、プロテインだけに頼らないことが大切です。 まずは食事を整え、プロテインは不足分を補うために活用しましょう。 肝機能値の推移を定期的に確認する 肝機能は、1度の検査結果だけでは判断できない場合があります。 生活習慣や体調、運動状況などによって肝機能値は変動するため、継続的な確認が重要です。 プロテインを継続的に活用している方は、血液検査の結果を定期的に確認し、ASTやALT、γ-GTPなどの推移を把握しましょう。 数値の変化を継続的に見ることで、自身の健康状態を把握しやすくなります。 プロテインと肝臓の関係を正しく理解して適量を摂取しよう プロテインはたんぱく質を補給するためのいわば補助食品です。肝臓はたんぱく質の代謝に関与しているため、プロテインは肝臓に悪いと言われがちです。 しかし、肝機能値が高い原因はプロテインだけではありません。肝機能値の上昇には、脂肪肝や飲酒習慣、運動習慣、服用中の薬剤などさまざまな要因が関係しています。そのため、血液検査で肝機能値の高さを指摘されたときは、プロテインの摂取状況だけではなく生活習慣全体を見直すことが重要です。 プロテインはあくまで食事で足りないたんぱく質を補うための食品です。ご自身に必要なたんぱく質量を把握した上で活用し、定期的に血液検査を受けながら肝機能値の推移を確認していきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、公式LINEで再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を行っています。 プロテインや肝臓について詳しく知りたい方は、お気軽にご登録ください。 プロテインと肝臓に関するよくある質問 プロテインの摂りすぎサインはありますか? プロテインを含めて、たんぱく質を過剰に摂取した場合、人によっては体調を崩す可能性があります。 主な体調不良としては、以下のようなものがあげられます。 体重が増える 便秘になる おならが臭くなる 疲れやすくなる プロテインを活用するときは、自分に必要な摂取量を把握しましょう。また、食事や水分補給の代わりに飲むのも避けるべきです。 肝機能値が高いときはプロテインをやめるべきですか? 肝機能値が高い場合でも、原因が1つとは限りません。 ASTやALT、γ-GTPの上昇には脂肪肝や飲酒習慣、薬剤、ウイルス性肝炎などさまざまな要因が関係しています。筋トレや運動の習慣がある方は、運動によって数値が変動する場合もあります。 まずは、肝機能値が高くなった原因の特定が必要です。自己判断でプロテインの継続や中止を決める前に、医療機関で相談しましょう。 参考文献 (文献1) 三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット (文献2) 海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症|独立行政法人国民生活センター (文献3) 「いわゆる健康食品」による健康被害事例(都道府県等から報告を受けた事例)|厚生労働省 (文献4) 脂肪肝と言われたら|三重大学病院消化器・肝臓内科
2026.06.30 -
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「がんが嫌う食べ物って何?」 「どんなものを食べたら、がんを防げるの?」 そのような疑問を持たれる方も多いことでしょう。 がんは日本での死因順位第1位であり、日本人の2人に1人ががんと診断されています。(文献1) そのため、がん予防について関心を持たれている方も多くいらっしゃいます。 結論から申し上げますと、現時点では、「これをとっていればがんを予防できる」といった単一の食品、栄養素が存在していません。 ただし、がんが嫌う食べ物とされる食品は存在します。逆に、とりすぎるとがん発症のリスクをあげる食べ物も存在します。がん予防の基本は、1つの食べ物に偏らないバランスの良い食事です。 本記事ではがんが嫌う食べ物および、それを使った簡単なレシピ、がん予防のために見直したい食習慣について解説します。 「食べ物でがんを予防したい」「食習慣を変えたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。 当院リペアセルクリニックでは、公式LINEで再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を行っています。 がん予防の食事について詳しく知りたい方は、お気軽にご登録ください。 癌が嫌う食べ物とは がんが嫌う食べ物としては、がん細胞の発育を抑える効果があるもの、抗酸化作用によりがん予防に役立つものなどがあげられます。 主なものを表にまとめました。 主な食べ物 食べ物に含まれる成分および効果 ブロッコリー ピーマン いちご ビタミンCが多く含まれる。 ビタミンCの効果:がん細胞の発育を抑える 小麦胚芽 アーモンド かぼちゃ ビタミンEが多く含まれる ビタミンEの効果:抗酸化作用が、がん予防に役立つ ごぼう 厚揚げ 納豆 ひじき 食物繊維が多く含まれる 食物繊維の効果:発がん性物質を作る悪玉菌を減少させる コーヒー クロロゲン酸が多く含まれる クロロゲン酸の効果:抗炎症作用や抗酸化作用があり、がん予防につながる 癌が嫌う食べ物を使用した料理レシピ3選 この章では、がんが嫌う食べ物を使用した料理レシピを3種類紹介します。 厚揚げの照り焼き 食物繊維が多い大豆製品ときのこを合わせた一品です。ヘルシーで食べ応えもあります。 手順は以下のとおりです。 厚揚げを食べやすい大きさに切る 切った厚揚げに小麦粉をまぶし、余分な粉を落とす エリンギは縦半分、アスパラガスは2~3等分に切る フライパンに油を熱し、厚揚げとエリンギ、アスパラガスを入れて2~3分焼く しょうゆ(大さじ1と1/2)とみりん(大さじ1)、水(大さじ1)を入れて味をからめる かぼちゃの甘煮 ビタミンEを多く含むかぼちゃの常備菜です。冷めてもおいしく食べられます。 手順は以下のとおりです。 かぼちゃを一口大に切る かぼちゃの皮を下にして鍋に入れる だし(1/2カップ)と砂糖(小さじ1/2)とみりん(大さじ1/2)、しょうゆ(大さじ1と1/4)を入れてかぼちゃが柔らかくなるまで煮る 焼きブロッコリー ビタミンCを多く含むブロッコリーを簡単に食べられる一品です。ブロッコリーに含まれるスルフォラファンには、がん細胞増殖を抑える可能性があるとされています。 手順は以下のとおりです。 ブロッコリーを小房に分ける フライパンに大さじ2の水とブロッコリーを入れて中火で沸騰させる(2~3分蒸し焼き) ふたを開けてから火を強め、水分がなくなったらオリーブオイルを入れて焼き目がつくまで焼く 食べる前に、お好みでしょうゆをかける 癌予防のために見直したい食習慣 がん予防のために見直したい食習慣は、主に以下の5点です。 高カロリー・高脂肪の食事 塩分が多い食事 加工肉や赤肉の摂り過ぎ 野菜不足 過度な飲酒 高カロリー・高脂肪の食事 高カロリー・高脂肪の食品としてあげられるものは、揚げ物やスナック菓子、菓子パン、洋菓子などです。これらの食品を摂り過ぎると肥満になる可能性が高まります。 肥満は喫煙と同程度のがん発症リスクがあるとされています。大腸がんや肝臓がん、膵臓がん、乳がん、腎臓がんなどは肥満との関係が深いものです。 間食を控える、蒸す・ゆでる・焼くといった調理法で脂肪摂取量を減らすといった行動が、がん予防のためにも大切です。 塩分が多い食事 がんの中でも、胃がんは塩分の多い食事との関連性が高いものです。日本人の男性のがんのうち3.0%、女性のがんのうち1.6%は、減塩により予防できると考えられています。(文献2) 2023年の「国民健康・栄養調査」によると、食塩摂取量の平均値は20歳以上の男性で1日10.7g、女性は9.1gでした。(文献3) 厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準2025年版」によると、成人における食塩摂取量の目標は、男性で1日7.5g未満、女性では6.5g未満です。(文献4) 加工肉や赤肉の摂り過ぎ ハムやベーコン、ソーセージといった加工肉は国際がん研究機関(IARC)において「ヒトに対して発がん性がある」と分類されています。また、加工肉には亜硝酸塩や発色剤といった添加物が利用されており、一部の添加物は発がん性物質に変化します。 牛肉や豚肉、羊肉といった赤肉の摂り過ぎは、大腸がんリスクを高める食習慣です。脂肪の摂り過ぎから肥満にもつながります。 国際的には赤肉が1週間に500g未満、加工肉は最小限の摂取が望ましいとされています。(文献5) 野菜不足 がん予防で考えると、野菜不足は望ましくありません。 野菜や果物を多く摂ることで、食道がん発症のリスクはほぼ確実に減少します。胃がんや肺がんの発症リスクも減少する可能性が高いとされています。 野菜や果物は、心疾患や脳血管疾患といった生活習慣病発症のリスクを抑えるためにも大切です。健康的な生活を送るための目安は、野菜1日350g以上・果物1日200g程度です。(文献2) 過度な飲酒 過度な飲酒は、がんの発症リスクを高めます。とくに、肝臓がんや大腸がん、食道がんなどは飲酒により発症リスクが増加しやすい疾患です。 1日あたりの平均アルコール摂取量が純エタノール換算で46g以上の方は、適量である23g未満の方よりがん発症リスクが40%程度高まります。69g以上の方は、がんになるリスクが60%以上高くなります。(文献2) 飲酒量が少ないほどがん発症のリスクが低下するため、過度な飲酒は避けましょう。 癌と食べ物に関する誤解 がんと食べ物に関するよくある誤解としては、以下の2点があげられます。 がん細胞が消える食べ物がある サプリメントでがん予防ができる 癌細胞が消える食べ物がある がん細胞が消える食べ物は存在しないと考えましょう。 「にんじんジュースでがんが消える」「糖質制限ががんに効果がある」などの食事療法は、がんそのものへの効果は証明されていません。(文献6) 特定の栄養素を多量に摂取したり、逆に制限したりすると身体に悪影響を及ぼし、がんの治療にも支障をきたします。 がん予防のためにも、特定の食品に偏らずバランスの良い食事を心がけましょう。 サプリメントで癌予防ができる がんを予防する効果が証明されているサプリメントは、現時点で存在していません。 サプリメントでビタミンEやビタミンA(βカロテン)を摂取すると、通常の食事では摂取できないほどの量になります。その結果、逆にがんやほかの健康障害のリスクを上げます。 サプリメントは、あくまでも食事の補助と考えましょう。 癌が嫌う食べ物を把握し栄養バランスのよい食事を心がけよう 「これを食べるとがんが消える」といった単一の食べ物は存在しません。 対して、がん細胞の発育を抑えたり、抗酸化作用によりがん予防につながったりする食べ物は複数存在します。これらがいわゆる「がんが嫌う食べ物」です。 ただし、それだけを食べても栄養が偏ってしまい、がん予防にとっては悪影響です。 本記事で紹介した食べ物を上手に使いつつ、主食、主菜、副菜がそろった栄養バランスの良い食事を食べましょう。 また、がん予防のためには、食習慣の見直しも必要です。高カロリーや高脂肪の食事、塩分が多い食事、野菜不足などはがん発症のリスクを高めます。 本記事を参考に食習慣を見直し、がん予防につとめましょう。 当院リペアセルクリニックでは、公式LINEで再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を行っています。 がん予防の食事について詳しく知りたい方は、お気軽にご登録ください。 癌が嫌う食べ物に関するよくある質問 癌患者向けのレシピはありますか? 国立がん研究センターやがん患者支援サイトなどに、症状に合わせたレシピが多数掲載されています。 食欲がないときのメニューとしては麺類やおかゆ、ミニサイズのおにぎりがあげられます。味覚障害があるときに良いものは、お酢やレモンなどの酸味をきかせた料理やだしをきかせた料理などです。 以下の記事では、大腸がんの食事でおすすめのレシピを掲載していますので、あわせてご覧ください。 果物は癌に効果がありますか? 果物も、食道がんや胃がん、肺がんの発症リスク減少の効果があります。がん以外の生活習慣病発症のリスクも抑えられます。 果物の1日目安量は200g程度です。主な果物でたとえると、りんご1個、みかん(Mサイズ)2個です。 参考文献 (文献1) 最新がん統計|国立がん研究センターがん情報サービス (文献2) 科学的根拠に基づくがん予防法|国立がん研究センターがん情報サービス (文献3) 令和5年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省 (文献4) 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省 (文献5) がんを遠ざける生活習慣|国立がん研究センター (文献6) がんと民間療法(健康食品・サプリメント・食事療法を中心に)|国立がん研究センターがん情報サービス
2026.06.30 -
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心筋梗塞と診断され、「いつ退院できるのか」「仕事にはいつ戻れるのか」と不安を感じている患者さまやご家族も多いのではないでしょうか。 心筋梗塞の入院期間は、行われた治療や発症時の重症度によって数日から1カ月以上まで幅があります。入院中の見通しや退院後の生活をイメージしておくことは、治療に向き合う上でも大切です。 本記事では、治療法・重症度別の入院期間の目安から、治療費・高額療養費制度の活用法、退院後の仕事復帰や日常生活の注意点まで詳しく解説します。この記事を読めば、心筋梗塞の入院期間と退院後に必要な準備が具体的にわかるようになるので、ぜひ最後までお読みください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状や体調に不安がある方は、ぜひご登録ください。 心筋梗塞の入院期間は「治療法」と「重症度」で大きく変わる 心筋梗塞の入院期間を左右する最大の要因は、実施された治療の種類と、入院時の重症度・合併症の有無です。 一口に「心筋梗塞」と言っても、軽症でカテーテル治療が成功した症例と、心臓のポンプ機能が著しく低下する「心原性ショック」を合併した重症例とでは、入院日数に大きな差が生じます。 治療法別の入院期間の目安は以下のとおりです。 治療アプローチ・病態 標準的な入院期間 カテーテル治療(PCI)(軽症・予定治療) 3日〜7日程度 急性心筋梗塞への緊急PCI(合併症のない標準的な症例) 7〜14日間(平均10日前後) 冠動脈バイパス手術(CABG)(多枝病変・カテーテル困難例) 12〜21日間(2〜3週間) 心原性ショック・重症合併症あり(重篤な心不全・心破裂・致死的不整脈) 1カ月以上 それぞれ治療法別に詳しく解説します。 以下の記事では、心筋梗塞の後遺症について詳しく解説しています。 カテーテル治療(PCI)の場合:3日〜2週間程度 カテーテル治療(PCI)は、腕や足の付け根から細い管を血管に通し、詰まった冠動脈を内側から広げる治療法です。正式名称は経皮的冠動脈インターベンションといいます。 全身麻酔が不要で体への負担が少ないため、回復が早いのが特徴です。症状が安定している方や、あらかじめ日程を決めて受ける場合は、2日〜4日程度で退院できるケースもあります。(文献1) 発作後に緊急カテーテル治療を受けた場合、術後はCCU(心臓専門の集中治療室)に移り、心臓の状態を24時間体制で観察します。問題がないことを確認しながらリハビリを進め、10〜14日間での退院が一般的です。(文献2) 冠動脈バイパス手術(CABG)の場合:2〜3週間程度 複数の血管が詰まっていてカテーテル治療では対応が難しい場合、胸を開く手術(冠動脈バイパス手術/CABG)が選択されます。全身麻酔で行われ、体への負担が大きいため回復に時間がかかります。なお、近年は人工心肺を使わない術式(OPCAB)も増えています。 一般的な入院期間は術式にかかわらず約2〜4週間程度です。(文献3)術後は集中治療室で体の状態を観察したのち一般病棟へ移り、傷の回復と段階的なリハビリを並行しながら退院を目指します。 合併症がある重症例:1カ月以上になることも 心臓がほとんど血液を送り出せない状態や重篤な心不全、危険な不整脈などを合併した重症例では2週間から1カ月、場合によってはそれ以上の入院になるケースも少なくありません。(文献1) このような場合、心臓の働きを機械で補助する装置を一時的に使うことがあり、その装置を安全に取り外せるまでに時間がかかります。また、全身の臓器へのダメージの回復や、長期安静で低下した体力の回復にも時間が必要です。 以下の記事では、心不全について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】心不全とは?治る確率や完治した人について解説 心不全で亡くなる前の症状とは?原因になる主な疾患 厚生労働省データが示す在院日数の推移 厚生労働省の調査(令和2年患者調査)によると、心疾患全体の平均在院日数は24.6日となっています。(文献4) かつて(1998〜2002年)の日本では急性心筋梗塞患者の平均在院日数は31.2日と、欧米の約1週間と比べてかなり長い傾向がありました。その後、治療技術の進歩や医療制度の変化により、近年は大幅に短縮されています。(文献5) 心筋梗塞の入院後はどう進む?治療の流れと退院までの期間目安 心筋梗塞で入院した後、治療から退院までの流れは「緊急処置→経過観察→リハビリ→退院」という流れで進み、症状の重さによって入院期間が変わります。 ①搬送直後:詰まった血管を通す緊急処置(数時間〜1日) ②治療後:心臓の状態を24時間見守る(3〜7日) ③状態が落ち着いたら:一般病棟でリハビリ開始 ④退院が認められる条件 それぞれの段階で何が行われるのか、順に見ていきましょう。 ①搬送直後:詰まった血管を通す緊急処置(数時間〜1日) 病院に到着後、まず詰まった冠動脈にカテーテル治療などで血流を回復させる緊急処置が行われます。 心筋へのダメージを最小限に抑えるため、到着からできる限り早い処置が重要とされています。 ②治療後:心臓の状態を24時間見守る(3〜7日) 緊急処置が終わると、心臓の動きを集中管理できる専用の病室(心臓集中治療室)に移ります。不整脈や心臓の働きに問題が起きていないかを継続して確認しながら、体の回復を待ちます。 この期間はおおむね3〜7日程度です。 ③状態が落ち着いたら:一般病棟でリハビリ開始 心臓の状態が安定したら一般病棟に移り、少しずつ体を動かすリハビリが始まります。 かつては長期安静が基本でしたが、現在は早期から動いた方が回復に良いとされており、医師が心拍数・血圧・体温などを確認しながら、安全を見極めたうえで段階的に活動量を増やしていきます。 ④退院が認められる条件 以下がすべて整って初めて自宅退院が認められます。 胸痛・息切れなど、心臓に関係する症状がない 足のむくみや急な体重増加など、心臓の負担を示すサインがない 日常の動作に支障がない程度まで体力が回復している 薬の飲み方や退院後の生活について、患者さまとご家族への説明が完了している 退院までの目安は、軽症(カテーテル治療がうまくいったケース)なら3〜4日、心臓の働きが低下していたり合併症があったりする場合は2〜4週間以上かかることもあります。症状の重さや体の回復ペースによって個人差が大きいため、あくまでも目安としてご参照ください。 心筋梗塞の入院費用はいくらかかる? 心筋梗塞の治療は高度な医療を要するため、医療費は高額です。ただし、日本の公的医療保険制度を活用することで、実際の自己負担額はかなり抑えられます。 カテーテル治療(PCI)の場合 バイパス手術(CABG)の場合 それぞれの費用目安と入院費用を抑えるために使える制度について解説します。 カテーテル治療(PCI)の場合 1〜2週間の入院とカテーテル治療を行った場合、保険適用前の医療費の総額はおよそ100万〜180万円になります。 通常の3割負担だと30万〜54万円ですが、後述の高額療養費制度を使うと、一般的な所得水準であれば最終的な自己負担は8万〜9万円前後に収まります。 バイパス手術(CABG)の場合 全身麻酔・長期入院を伴うバイパス手術では、保険適用前の医療費の総額が300万円前後に達することもあります。 3割負担の単純計算では100万円になりますが、高額療養費制度を適用すると自己負担はカテーテル治療とほぼ同水準の8万〜10万円前後に抑えられます。 入院費用を抑えるために使える制度 心筋梗塞の入院は費用が高くなりがちですが、以下の公的制度を活用することで自己負担を抑えられます。 制度名 対象者 内容 高額療養費制度 公的医療保険に加入している方 月の医療費自己負担が一定額を超えた分が戻ってくる。事前に「限度額適用認定証」を取得すると窓口での支払いを最初から抑えられる 傷病手当金 会社員・公務員など社会保険加入者 病気で働けない期間、給与のおよそ3分の2が最長1年6カ月間支給される 障害年金 重度の心不全・ペースメーカー装着など 日常生活に大きな支障がある場合に受給できる可能性がある 医療費控除 年間医療費が10万円を超えた方 確定申告で所得税・住民税が軽減される(保険給付金は差し引いて申告) (文献6) 手続きの方法や受給要件は各制度によって異なるため、加入している保険の窓口や病院のソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。 心筋梗塞退院後の生活と社会復帰について カテーテル治療で血流が回復しても、心筋梗塞の根本原因である動脈硬化が治ったわけではありません。退院後は再発を防ぐための生活管理が重要です。 仕事復帰はデスクワークであれば退院直後から可能なケースもありますが、体を使う仕事や夜勤は2〜3カ月かけて段階的に戻すことが推奨されます。自動車の運転は退院後最低1週間は控え、入浴は38〜40℃のぬるめのお湯で短時間にとどめます。また、処方された薬(抗血小板薬・血圧の薬・コレステロールの薬など)は自己判断で中止せず、継続することが再発予防の基本です。 仕事復帰の時期・運動・飲酒・禁煙・薬の飲み方など、退院後の生活について詳しくは以下の記事をご参照ください。 心筋梗塞の入院期間を正しく知り、退院後の生活に備えよう 心筋梗塞の入院期間は、カテーテル治療(PCI)の標準的な症例で7〜14日程度、バイパス手術(CABG)では2〜3週間、重症合併症を伴う場合は1カ月以上になることがあります。一方で、PAMI-II基準などの適切なリスク評価のもとでは早期退院が医学的に安全であることが、複数の大規模臨床研究によって示されています。 治療費については高額療養費制度を活用することで自己負担を大幅に軽減でき、傷病手当金や医療費控除との組み合わせでさらに経済的な負担を和らげることが可能です。 退院後は自己判断による服薬中止を避け、主治医の指示に従った生活管理と定期的な外来受診を続けることが、再発を防ぎ長期的な回復を実現するうえで何より大切です。 心筋梗塞後も心機能の低下が続いている方や、再発リスクが気になる方は、専門の医療機関へのご相談をお勧めします。 \再生医療という選択肢/ 慢性的でつらい心筋梗塞後の心機能低下に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療とは、患者さまご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用する治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 心筋梗塞後、息切れや動悸が続いている 少し動いただけで疲れやすくなった 薬を続けているが心機能の回復が思わしくない 心筋梗塞後の心機能低下(心不全)と診断されている >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する まずは無料相談! 心筋梗塞の入院期間に関するよくある質問 軽い心筋梗塞でも入院が必要ですか? 心筋梗塞になると、程度にかかわらず入院が必要です。「軽い」と感じられる場合でも、急性心筋梗塞の急性期には致死的不整脈や心機能の急激な低下が突然起こるリスクがあり、24時間体制での監視が欠かせません。 合併症のない軽症例では入院期間が3〜7日程度と短くなることはありますが、自宅での経過観察は推奨されていません。 カテーテル手術後、いつから仕事に戻れますか? 職種によって大きく異なります。デスクワークなど体への負担が少ない仕事であれば退院直後から可能なケースもありますが、力仕事・立ち仕事・夜勤が伴う場合は2〜3カ月程度かけて段階的に復帰することが推奨されます。 具体的な復帰時期は心機能の回復状況をふまえた担当医の判断が必要ですので、退院前に必ず確認してください。 心筋梗塞の治療費はどのくらいかかりますか? カテーテル治療(PCI)の保険適用前の医療費総額は約100万〜180万円程度ですが、保険適用かつ高額療養費制度を適用することで、一般的な所得水準の世帯(年収約400万円)の自己負担額は約8万〜9万円前後に抑えられます。 バイパス手術(CABG)では医療費総額が300万円前後になることもありますが、同制度適用後の自己負担額はPCIとほぼ同水準になります。「限度額適用認定証」やマイナ保険証を活用することで、窓口での支払いを最初から上限額に抑えることが可能です。 参考文献 (文献1) 経皮的冠動脈形成術(PCI)|国立循環器病研究センター (文献2) 急性心筋梗塞:循環器内科|上尾中央総合病院 (文献3) OPCABとCABGの手術後ADL獲得および心肺運動負荷試験結果の比較|CiNii (文献4) 患者調査 令和2年|厚生労働省 (文献5) Predictors of length of hospital stay after acute myocardial infarction in Japan|PubMed (文献6) 高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省
2026.06.30 -
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心筋梗塞を乗り越えて退院したものの、「また突然倒れるのではないか」「以前と同じように生活して良いのだろうか」と、強い不安を抱えている方やご家族も多いのではないでしょうか。 一度心筋梗塞を起こした方の再発リスクは、発症していない人の4〜6倍にのぼり、発症後2年以内に約6%が再発するといわれています。 だからこそ、退院後の過ごし方が、その後の人生を大きく左右します。 本記事では、現役医師が心筋梗塞後の生活で気をつけることについて詳しく解説します。また、心筋梗塞の再発を防ぐための「心臓リハビリテーション」や「危険因子の管理目標値」などについても合わせて紹介します。 記事を最後まで読み進めることで、再発を防ぎながら生活の質(QOL)を取り戻すために「今日から取り組むべきこと」が具体的にわかりますので、ぜひ最後までご一読ください。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 糖尿病や動脈硬化など、心筋梗塞の再発リスクを根本から減らしたい 薬や注射による治療を続けているが、検査数値が思うように改善しない 将来の合併症(脳卒中・腎臓病など)をできるだけ防ぎたい 手術や入院はできるだけ避けたいと考えている >> 再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 心筋梗塞後の生活で最初に知っておきたい再発リスクと前兆 急性心筋梗塞は、救急医療やカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション:PCI)の進歩によって救命率が95%ほどまで向上しました。 しかし、壊死してしまった心筋は元には戻らないため、退院後も心不全や不整脈などの後遺症を抱えるケースが少なくありません。 以下の記事では、心筋梗塞の後遺症について詳しく解説しています。 再発リスクは未発症者の4〜6倍に高まる 一度心筋梗塞を発症した方の再発リスクは、未発症の人と比べて4〜6倍と非常に高く、発症後2年以内の再発率は約6%に達します。 再発は心臓の機能を大きく低下させ、生命予後を著しく縮めます。そのため、心筋梗塞後の生活では「二次予防(再発予防)」の徹底が何よりも重要になります。 以下の記事では、心筋梗塞になりやすい人の特徴について詳しく解説しています。 見逃してはいけない再発の前兆(労作性狭心症のサイン) 再発を防ぐには、患者やご家族が「狭心症」という初期の警告サインに気づけることが大切です。 「階段を上る」「急いで歩くなど」身体に一定の負荷がかかったときに、数分ほど胸が締め付けられるように痛み、休むと自然におさまるのは、労作性狭心症の典型的なサインです。 こうした症状を「一時的なものだから」と見過ごさず、この段階で速やかに循環器専門医を受診することが、心筋梗塞の再発を防ぐ上で大切です。 以下の記事では、心筋梗塞の余命について詳しく解説しています。 心筋梗塞後の生活を支える治療・予防法 治療・予防法 詳細 心臓リハビリテーション 運動や生活習慣の改善を総合的に行う治療 食事療法(減塩・脂質管理) 塩分や脂質を見直し、心臓への負担を減らす食事 薬物療法 再発予防や心臓を守るための薬による治療 心筋梗塞後は、症状が落ち着いた後も再発予防のための治療を継続することが重要です。 薬物療法に加え、心臓リハビリテーションや食生活の見直しを組み合わせることで、心臓への負担を軽減できます。医師の指導のもと、自分に合った治療と生活習慣を継続してください。 心筋梗塞後の生活を支える「心臓リハビリテーション」 かつては心筋梗塞後に長期間安静にすることがすすめられていました。しかし、過度な安静は全身の筋力低下や心肺機能の急激な低下(デコンディショニング=廃用症候群)を招き、かえって予後を悪化させることがわかっています。 こうした問題を防ぎ、社会復帰を目指すためにすすめられるのが「包括的心臓リハビリテーション(心リハ)」です。 心リハは単なる運動療法ではなく、医学的評価・食事指導・禁煙指導・服薬管理・心理社会的支援を組み合わせた包括的なプログラムで、死亡率を26%低下させることがわかっています。(文献1) 心リハは発症からの経過に応じて「急性期」「回復期」「維持期」の3段階に分かれ、それぞれ目標が異なります。 時期 主な内容 急性期 発症・手術当日から離床までの時期。病状を確認しながら、座る・立つ・歩くなどを段階的に進め、日常生活への復帰を目指す 回復期 離床後から社会復帰に向けた時期。運動療法や生活習慣の改善を継続し、体力や心肺機能の回復、再発予防に取り組む 維持期 社会復帰後から生涯にわたる時期。運動習慣や食事療法、服薬管理などを継続し、再発予防や長期的な健康維持を目指す (文献2) 急性期は安全な離床を目標とし、回復期は運動療法と生活習慣の見直しを通じて体力を取り戻しながら社会復帰を目指します。維持期に入ってからも、運動・食事管理・服薬を継続することが、再発予防と健康維持には欠かせません。 自宅でできる安全な運動プログラムの作り方 自己判断で急に激しい運動を始めると、虚血の再発や重篤な不整脈を招く恐れがあります。 医療機関で心肺運動負荷試験(CPX)を受け、嫌気性代謝閾値(AT)をもとに適切な運動の上限を把握した上で、自分に合った運動処方に沿って取り組むことが重要です。 自宅で運動する際は、以下の原則を守ってください。 運動の前後に5〜10分のウォームアップ・クールダウンを必ず行う(急な運動は血圧の急変動を招くため) 強度は「息は弾むが笑顔で会話できる程度(ややきつい:Borg指数12〜14)」を目安に行う。 スクワットやかかと上げなどの軽い筋力運動を、息を止めずに週2〜3回行う 体調が悪い日や天候が悪い日は無理をしない。食後すぐの激しい運動は避け、こまめに水分補給する 運動の前後には、ウォームアップとクールダウンの時間を設けてください。有酸素運動や軽い筋力トレーニングは、無理のない強度から始めるのが基本です。また、その日の体調や気温、天候によって運動量を調整することも大切です。 食後すぐの激しい運動は避け、運動中はこまめに水分を補給しましょう。運動の内容や頻度は、医師の指導をもとに自分の状態に合わせてください。 心筋梗塞の再発リスクを高める糖尿病などに対しては、再生医療という選択肢もあります。 再生医療についてご興味がある方は「LINE」や「メール」「オンラインカウンセリング」でご相談を受け付けております。お気軽に当院へお問い合わせください。 心筋梗塞後の生活を変える「食事療法(減塩・脂質管理)」 食生活の改善は、再発予防に直結します。心筋梗塞後の食事でとくに意識したいのは「塩分の摂りすぎを避けること「脂質の種類と量を見直すこと」「水分を適切に補給すること」の3点です。 退院後は、塩分を控えることに加え、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む食品を減らすなど、脂質の質を見直していくことが求められます。 水分補給については、医師の指示に従って量や頻度を調整しましょう。食生活の改善は、無理のない範囲で少しずつ取り組み、長く続けることが重要です。 1日6g未満を実現する減塩テクニック 塩分の摂りすぎは血液中の水分量を増やして心臓の負担を高め、血圧を急上昇させます。食塩摂取量は1日6g未満を目標にします。 次のような工夫が効果的です。 醤油やソースは「かける」のではなく小皿に出して「つける」。麺類のスープ(汁)は飲み干さず残す 味噌汁は出汁を効かせ、わかめや大根など具だくさんにして汁の量を減らす 酢・レモンなどの酸味、こしょう・七味などの香辛料、しょうが・にんにくの香味で物足りなさを補う 加工肉(ハム・ソーセージ)やインスタント麺は控え、外食・惣菜は栄養成分表示で1食あたり食塩2g以内に調整する 減塩を続けるには、調味料や食品の選び方を少し変えるだけでも差が出ます。醤油やソースは小皿に取り分けて「つける」使い方に切り替え、麺類のスープは残すことを習慣にしましょう。 味噌汁は汁を少なめにして具材をたっぷり入れると、だしや香辛料、香味野菜の風味が引き立ち、塩分を減らしても物足りなさを感じにくくなります。 加工肉やインスタント食品はなるべく避け、外食や惣菜を選ぶ際は栄養成分表示で食塩量を確認する習慣をつけておきましょう。 以下の記事では、食生活改善について詳しく解説しています。 【関連記事】 脂質異常症の改善は食事と運動が基本|発症の原因と改善方法・おすすめの食事を解説 【医師監修】脂質異常症で食べてはいけないもの一覧|食べたほうがいい食材も紹介 脂質の質を整え青魚・食物繊維・適量の飲酒を意識する 脂質は「量」だけでなく「質」を整えることが大切です。以下の点を意識してみましょう。 意識したいこと 具体的なポイント 脂質の質を整える 脂身の多い肉やバター、生クリームなどを控え、魚や植物油などを適量取り入れる 青魚を取り入れる サバ・イワシ・サンマなどを食事に取り入れ、心血管リスクの管理に役立てる 大豆製品を活用する 豆腐・納豆・大豆などを取り入れ、肉類に偏らないたんぱく質摂取を意識する 食物繊維を増やす 野菜・海藻・きのこ類を取り入れ、脂質管理や便通改善につなげる 飲酒は控えめにする 飲酒習慣がある場合は量を控え、飲まない日を設ける 脂身の多い肉やバターなどを控え、魚や大豆製品、植物油を上手に取り入れましょう。また、野菜・海藻・きのこ類に含まれる食物繊維は脂質管理や便通改善に役立ちます。 飲酒習慣がある場合は量を控え、休肝日を設けながら、無理なく続けられる食生活を目指しましょう。 心筋梗塞後の生活に欠かせない「薬物療法」 カテーテル治療(PCI)で血管を広げても、動脈硬化が完治したわけではありません。 ステント部の再閉塞や他のプラークの破綻を防ぐには、自覚症状がなくても生涯にわたる薬物療法の継続が不可欠です。 自己判断で薬を中断・減量することは、致死的な再発を招く恐れがあるため、避けてください。 二次予防で処方される主な薬とその役割 項目 主な役割 ポイント 抗血小板薬(DAPT) ステント内に血栓ができるのを防ぐ ステント留置後は通常6〜12カ月2剤併用、その後は1剤を生涯継続 ストロング・スタチン 悪玉コレステロールを下げ、プラークを安定させる 抗炎症作用でプラークを縮小させる効果も β遮断薬 心拍数と心臓の負担を抑える 心筋の酸素消費を減らし、突然死の原因となる不整脈を防ぐ ACE阻害薬/ARB 血圧を下げ心臓の変形(リモデリング)を防ぐ 慢性心不全への進行リスクを大きく下げる (文献3)(文献4) 心筋梗塞後の薬物療法は、再発予防の観点から継続が前提となります。処方される主な薬剤として「血栓形成を抑える抗血小板薬」「コレステロール値を管理するスタチン」「心臓への負担を和らげるβ遮断薬」「心機能を保護するACE阻害薬やARB」があり、それぞれ異なる機序で心臓を守っています。 いずれも自己判断で中断すると再発リスクが高まるため、用法・用量は医師の指示に従ってください。 飲み忘れを防ぐ服薬管理の工夫 高齢の方や多くの薬を飲む方ほど、飲み忘れや重複服用が起こりがちです。次のような工夫で確実な服薬(アドヒアランス)を保ちましょう。 1回に飲む薬を1袋にまとめる「一包化」を主治医・薬局に依頼する お薬カレンダーやピルケースを、毎日目にする場所(食卓やテレビの横)に置く スマートフォンのアラームや服薬管理アプリで飲む時間を知らせる 外泊時は余裕を持った日数の薬と「お薬手帳」「健康保険証」を必ず携帯する 家族にも薬の種類・タイミングを共有し、家族全体で管理を支える 心筋梗塞後の薬物療法は、決められた薬を毎日継続して飲むことが再発予防の基本です。飲み忘れを防ぐには「一包化の利用やお薬カレンダー」「ピルケース」「スマートフォンのアラーム」が役立ちます。 外出や旅行の際は薬とお薬手帳を必ず持参し、服薬方法を家族と共有しておくと、日常的に続けやすい環境が整います。 心筋梗塞後の生活で管理すべき危険因子の目標値 心筋梗塞の根本原因である動脈硬化の再進行を食い止めるには、冠危険因子(高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満)を厳密にコントロールすることが欠かせません。 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」などでは、心筋梗塞の既往がある方(二次予防)に対して、次のような厳しい管理目標値が設定されています。(文献5) 項目 管理目標値 ポイント LDLコレステロール 100mg/dL未満(急性冠症候群・糖尿病などの高リスク病態は70mg/dL未満) 強力なスタチンが第一選択。プラークを安定させ破れにくくする Non-HDLコレステロール 130mg/dL未満(高リスクは100mg/dL未満) LDL達成後に目指す努力目標値 中性脂肪(TG) 150mg/dL未満(空腹時)/175mg/dL未満(随時) 2022年改訂で随時採血の基準が明文化 HDLコレステロール 40mg/dL以上 有酸素運動と禁煙で引き上げる 家庭血圧 医師が設定した目標値を維持する 朝晩決まった時間に測定・記録する 血糖(HbA1c) 7.0%未満 糖尿病合併例は予後が悪く、より厳格な管理が必要 体格(BMI) 年齢に応じた適正BMIを目指す 過食と運動不足を避け標準体重を維持する 心筋梗塞の再発予防において、症状がない時期こそ数値の管理が重要です。LDLコレステロールはとくに優先度の高い管理項目で、必要に応じて薬物療法を継続しながら目標値を維持します。 血圧や血糖、体重についても主治医が設定した目標に沿って管理し、生活習慣の改善と組み合わせることで、心臓への負担を着実に減らせるでしょう。 以下の記事では、心筋梗塞の原因のひとつであるストレスについて詳しく解説しています。 糖尿病・腎臓病を合併している場合はとくに注意 糖尿病を合併している場合、心筋梗塞後の予後は悪化しやすく、より厳格な血糖管理が求められます。 慢性腎臓病(CKD)の合併がある場合は予後への影響がさらに大きく、心筋梗塞自体が腎機能をさらに低下させることもあるため、水分管理を含めた全身の厳密な状態把握が必要です。 こうした持病がある方は、心臓の治療だけでなく、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を継続して管理することが、心筋梗塞の再発予防につながります。 以下の記事では、糖尿病について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】糖尿病とは|症状や原因・予防法までを詳しく解説 糖尿病性腎症の人が知っておきたい食事療法と献立のコツ 心筋梗塞後の生活での注意点 日常動作のリスク 詳細 ヒートショックに注意する 急激な温度変化による血圧変動や心臓への負担の増加 排便時のいきみ(怒責)と季節の変化に注意する 強いいきみや寒暖差による血圧・心拍数の急激な変化 心筋梗塞後の生活と社会復帰・自動車運転の制限を心がける 病状や医師の判断に応じた適切な復職・運転再開への配慮 「心のケア」と家族の支えを大切にする 不安やストレスへの対応と家族による継続的なサポート 心筋梗塞後は、食事や運動の管理と並行して、日常生活の中で心臓に負担をかける場面にも目を向ける必要があります。 急激な温度変化や排便時の強いいきみは心臓に負荷をかけるため、日々の生活で意識しておくべき点です。 仕事や自動車運転の再開時期は、医師と相談した上で判断してください。不安やストレスは一人で抱え込まず、家族や医療スタッフに早めに相談することも、身体の管理と同様に大切です。 ヒートショックに注意する 急激な温度変化は血圧を激しく乱高下させ、ヒートショック(急性心機能不全や致死的不整脈)を誘発します。入浴時は以下を守りましょう。 脱衣所・浴室をあらかじめ暖め、部屋との温度差をなくす 湯温は40度以下(38〜40度のぬるめ)にし、長湯を避ける いきなり肩まで浸からず、みぞおちから下の半身浴で体を慣らす 退院後1〜2週間は、主治医の許可が出るまでシャワー浴にとどめる 心筋梗塞後の入浴では、急激な温度変化による心臓への負担を避けることが基本です。入浴前には脱衣所と浴室を十分に暖め、ぬるめの湯に短時間浸かるようにしてください。 最初からいきなり肩まで湯船に入るのは避け、半身浴から始めると血圧の急激な変動を抑えやすくなります。 退院直後は医師の許可が出るまでシャワー浴を原則とし、入浴再開の時期や方法を確認してから進めてください。 排便時のいきみ(怒責)と季節の変化に注意する 排便時に息を止めて強くいきむと、一時的に血圧が急上昇し、その後に急低下するため、心臓に大きな負担がかかります。 水分と食物繊維をしっかり摂って便を軟らかく保ち、出にくいときは無理にいきまず、医師に相談しましょう。 また、夏は涼しい時間帯に活動して脱水を防ぎ、冬は暖かい部屋から急に寒い場所へ移らないよう防寒を徹底し、マスクで冷気を直接吸い込まないようにしましょう。 心筋梗塞の再発リスクを高める糖尿病などに対しては、再生医療という選択肢もあります。 再生医療についてご興味がある方は「LINE」や「メール」「オンラインカウンセリング」でご相談を受け付けております。お気軽に当院へお問い合わせください。 心筋梗塞後の生活と社会復帰・自動車運転の制限を心がける 仕事や趣味への復帰はQOL向上のために大切ですが、自己判断による早すぎる復帰は再発リスクを高めます。 就労内容の身体的な負荷に応じて、医学的な指標に沿って段階的に進めましょう。 仕事への段階的な復帰の目安 心筋梗塞後の仕事復帰は、心臓への負担を考慮しながら段階的に進めることが重要です。 社会復帰 詳細 デスクワーク・軽事務職 病状が安定し、医師の許可を得た上で復職を検討 立ち仕事・販売職 心臓への負担を考慮し、勤務内容や勤務時間を調整しながら段階的に復職 肉体労働・重労働 心機能や運動能力を十分に評価し、医師の判断に基づいて復職を決定 心筋梗塞後の社会復帰は、仕事の内容や心機能の回復状況によって適切な時期が変わります。 早期復帰を急がず、医師の評価を踏まえた上で、体調と仕事内容に合わせて段階的に進めましょう。 病態・デバイス別の自動車運転の制限期間 運転中の発作や失神は重大事故に直結するため、病態ごとに運転を控える期間の目安が示されています。 代表的な目安は次のとおりですが、基準は国内外のガイドラインで異なる場合があり、日数だけで判断してはいけません。 項目 運転を控える期間の目安 PCI(カテーテル治療後) 治療後しばらくは控える(数日程度) 急性心筋梗塞(一般的な梗塞後) 発症後しばらくは控える(おおむね数週間) 冠動脈バイパス手術(CABG後) 退院後しばらくは控える(おおむね1カ月程度) 植込み型除細動器(ICD)を装着している場合 不整脈の再発リスクに応じて一定期間の制限がある 運転再開の可否や時期は病態によって大きく異なり、「日数が経ったから大丈夫」と自分で判断してはいけません。 具体的な制限期間は必ず医師に確認し、安全性の評価(診断書)を受けた上で、公安委員会への所定の手続きを経てから再開してください。 心筋梗塞後の生活で見落とされがちな「心のケア」と家族の支えを大切にする 食事療法や運動療法に目が向きがちですが「不安やストレスへの心理的なケア」「禁煙を継続できる環境づくり」も、心筋梗塞の再発予防や長期的な健康維持に欠かせない重要な取り組みです。心筋梗塞後は、身体と同じく心の状態にも注意が必要です。 発症後に不安や落ち込みを感じる方は少なくなく、抑うつ状態が続くと治療の継続や生活習慣の改善が妨げられ、再発リスクに影響します。 また、喫煙は心筋梗塞の再発リスクを高めるため、禁煙は治療の一環として継続することが重要です。さらに「家族が禁煙や食生活の改善」「運動習慣の維持」「心身のケア」に一緒に取り組むことで、患者自身も健康的な生活習慣を継続しやすくなります。 心筋梗塞後の生活の選択肢を広げる「再生医療」という考え方 糖尿病を合併して動脈硬化が進みやすい方や、既存の治療だけでは管理が十分でない方には、将来に向けた前向きな選択肢として再生医療があります。心筋梗塞の再発リスクを根本から高めるのは、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病です。 リペアセルクリニックでは、ご自身の脂肪由来の幹細胞を培養して点滴で投与することで、弱ったすい臓や血管の修復を促し、本来持っている血糖値を下げる力の回復を目指す新たな治療法です。 心筋梗塞そのものを直接治療するものではありませんが、再発の土台となる生活習慣病に働きかけることで、合併症の予防やQOLの向上につながる可能性があります。 また、心筋梗塞と同じく動脈硬化を背景に起こる脳卒中(脳梗塞・脳出血)に対しても、再生医療による治療を行っています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 糖尿病や動脈硬化など、心筋梗塞の再発リスクを根本から減らしたい 薬や注射による治療を続けているが、検査数値が思うように改善しない 将来の合併症(脳卒中・腎臓病など)をできるだけ防ぎたい 手術や入院はできるだけ避けたいと考えている >> 再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 心筋梗塞後の生活で大切なことを把握しよう 心筋梗塞後の生活では、心臓リハビリで体力を回復させ、危険因子(LDL・血圧・血糖など)を目標値内に管理し、減塩を中心とした食事と服薬を続けることが再発予防に欠かせません。 ヒートショックや排便時のいきみといった日常動作のリスクにも注意が必要です。社会復帰や運転の再開は医学的な指標に沿って段階的に進め、見過ごされやすい心のケアと禁煙にも同様に取り組みましょう。 心筋梗塞後の生活にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、後遺症の状態によっては、再生医療を用いた治療を提案しています。 心筋梗塞後の治療の基本は、薬物療法や心臓リハビリテーションの継続です。心機能の低下や心不全がみられる場合には、再生医療という治療の選択肢もあります。 自己脂肪由来幹細胞治療では、ご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、特定細胞加工物として投与します。適応は心臓の状態や全身状態などを総合的に判断した上で決定します。治療を検討する際は、一度当院の医師へ相談し、ご自身に適した治療方針について確認してください。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 心筋梗塞後の生活に関するよくある質問 心筋梗塞の後の運動はいつから始めて良いですか? 入院中の急性期から段階的に身体を動かし始め、退院後は心臓リハビリとして有酸素運動を続けます。 ただし自己判断で急に激しい運動を始めるのは危険です。まずは医師のメディカルチェックを受け、心肺運動負荷試験(CPX)などで自分に合った強度を確認してから始めましょう。 薬は症状がなくなっても飲み続ける必要がありますか? 自覚症状がなくても、動脈硬化やステント内血栓による再発を防ぐため、薬の継続は不可欠です。 自己判断での中断や減量は致死的な再発につながる恐れがあるため、必ず医師の指示に従って続けてください。 お酒や入浴はどの程度まで大丈夫ですか? 飲酒習慣がある場合は飲み過ぎを避け、適量を心がけましょう。入浴はぬるめのお湯で短時間とし、脱衣所や浴室を暖めて急激な温度変化を避けることが大切です。 また、退院後の入浴方法や再開時期は病状によって異なるため、医師の指示に従いましょう。 参考文献 (文献1) The Effectiveness of Cardiac Rehabilitation Programs in Improving Cardiovascular Outcomes: Systematic Review and Meta-Analysis|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献2) 2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン|日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会合同ガイドライン (文献3) Effects of a secondary prevention combination therapy with an aspirin, an ACE inhibitor and a statin on 1-year mortality of patients with acute myocardial infarction treated with a beta-blocker. Support for a polypill approach|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) 動脈硬化性疾患予防 ガイドライン|一般社団法人 日本動脈硬化学会 Japan Atherosclerosis Society
2026.06.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「急性散在性脳脊髄炎と診断されたが、いつ治るのだろう」 「後遺症が出ないか、心配でたまらない」 このような不安を抱える方は、多くいます。 急性散在性脳脊髄炎はまれな病気で、情報が限られているため、回復の見通しが立たないことに不安を感じるのは当然です。とくにお子さんが発症した場合は、なおさら心配も大きくなります。 しかし、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、適切な治療によって数週間〜数カ月で回復が見込めます。まずは、その経過や見通しを正しく知ることが大切です。 そこで本記事では、現役医師が急性散在性脳脊髄炎の完治までの経過・症状・治療法・後遺症や再発の可能性を詳しく解説します。記事の後半にはよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 急性散在性脳脊髄炎でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 急性散在性脳脊髄炎が完治するまでの経過と期間の目安 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、脳や脊髄の神経を覆う「髄鞘(ずいしょう)」に炎症が起こる病気です。この炎症で髄鞘が壊れることを「脱髄(だつずい)」といいます。 急性散在性脳脊髄炎は、ウイルス感染やワクチン接種のあとに発症することが多い病気です。(文献1) 適切な治療を受けた場合、数週間〜数カ月での完全回復が55〜95%と報告されています。時間の経過とともに、症状が改善していくケースがほとんどです。(文献2) ただし、炎症が起きた部位や程度によって、回復までの期間には個人差があります。完治までの大まかな経過は、以下のとおりです。 時期 状態・対応 急性期(発症〜数週間) さまざまな神経症状が現れる。ステロイドパルス療法などで炎症を抑える。 回復期(数週間〜数カ月) 症状が徐々に改善する。必要に応じてリハビリを行う。 経過観察期 多くの場合は、後遺症なく回復する。再発がないか、経過を見守る。 このように、段階を追って回復へと向かっていきます。 【まず知っておきたい】急性散在性脳脊髄炎の主な症状 完治までの経過を理解する前提として、どのような症状が出るのかを部位別に紹介します。 急性散在性脳脊髄炎は、炎症が起きた部位によって症状が異なる点が特徴です。 脳に炎症が起きたときの症状 脳に炎症が起きると、発熱、頭痛、吐き気・嘔吐、けいれん、意識障害(ぼんやりする・呼びかけに反応しにくい)などが現れます。(文献1) 症状は突発的に出て、進行が速い場合が多いため、早期の診断と治療が必要です。 脊髄に炎症が起きたときの症状 脊髄に炎症が起きると、手足の麻痺(力が入らない)やしびれ、歩きにくさ、排尿の障害(尿が出にくい)などが見られます。 また、視神経に炎症が及ぶと、視力が低下することもあります。(文献1) 急性散在性脳脊髄炎の治療法 急性散在性脳脊髄炎の治療は、大きく2つに分かれます。急性期に炎症を抑える治療と機能回復のためのリハビリです。 各治療について、順番に解説します。 ステロイドパルス療法(急性期の中心的な治療) 急性期にまず行うのは、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロンの大量点滴)です。強い炎症を抑え、症状の改善を目指します。(文献1) 点滴のあとは、飲み薬のステロイドに切り替えます。ステロイドを急にやめると体に負担がかかるため、数週間かけて少しずつ薬の量を減らしていくのが一般的です。 効果が不十分なときに検討される治療 ステロイドパルス療法で十分な効果が得られない場合は、別の治療を検討します。具体的には、血漿交換療法(血液中の原因物質を取り除く治療)や、免疫グロブリン大量静注療法です。(文献2) けいれんが強い場合は抗けいれん薬、呼吸の障害が強い場合は呼吸管理など、症状に応じた治療も並行して行います。 回復期のリハビリテーション 回復期には、残った症状の改善や回復を促すためにリハビリを行います。症状によっては、リハビリ専門の病院へ移ることもあります。 リハビリの内容は、残った症状によってさまざまです。歩く・立つといった動作には理学療法、着替えや食事などの生活動作には作業療法、言葉や飲み込みには言語聴覚療法を用います。 急性散在性脳脊髄炎における後遺症と再発の可能性 急性散在性脳脊髄炎は多くの場合、後遺症なく回復する病気です。 ただし、まれに症状が残ったり再発したりするため、正しく理解しておくことが重要です。 項目 内容 後遺症 多くの場合は、後遺症なく回復する。炎症の程度により、麻痺などが残ることもある。 再発 通常は一度きり(単相性)で、再発は比較的少ない。 回復の見通し 数週間〜数カ月での完全回復が55〜95%と報告されている。 後遺症が出るかどうかや、その程度には個人差があります。これは、炎症が脳や脊髄のどこに、どの程度で起きたかによって変わるためです。(文献2) 後遺症の代表的な例は、手足の麻痺や、注意力・記憶力の低下などです。 回復のしやすさは、年齢によって変わります。お子さんは比較的よく回復する一方、成人は重症化する例もあるため、慎重な経過観察が欠かせません。 急性散在性脳脊髄炎の完治までを正しく理解し回復に向き合おう 急性散在性脳脊髄炎は、適切な治療によって数週間〜数カ月で回復が見込める病気です。多くの場合は、後遺症なく治ります。(文献2) 一方で、症状が残るケースもあります。その際は、リハビリや専門医への相談を通じて、焦らず回復を目指していきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、急性散在性脳脊髄炎の後遺症など、治療後も続く神経の症状に対応しています。再生医療には、神経の障害による症状の改善を目指す治療もあります。 現在の治療にお悩みの方や再生医療について興味のある方は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」からお気軽にご相談ください。 【関連記事】 ギラン・バレー症候群(GBS)とは?原因・症状・治療法を医師が解説 視神経脊髄炎の治療方法を目的別に解説!治療薬の種類も紹介 急性散在性脳脊髄炎の完治に関するよくある質問 急性散在性脳脊髄炎は完治しますか? 多くの場合、適切な治療によって数週間〜数カ月で回復が見込めます。後遺症なく治るケースも多いです。 ただし、炎症の程度によっては、麻痺などが残ることもあります。回復の経過は人それぞれです。 今後の見通しが気になる場合は、主治医に確認しましょう。 急性散在性脳脊髄炎は再発しますか? 通常は一度の発症だけで終わり、再び発症することは比較的少ない病気です。ただし、まれに症状がぶり返すこともあります。 再発が心配な場合は、定期的に受診して経過を見てもらうことが大切です。 急性散在性脳脊髄炎の後遺症にはどのようなものがありますか? 主な後遺症は、手足の麻痺や、注意力・記憶力の低下などです。ただし、多くの場合は後遺症なく治り、麻痺などの症状が残るのは炎症が強かった場合などに限られます。 後遺症が出る場合は、リハビリテーションを通じて機能の回復を目指していきます。 参考文献 (文献1) 重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性散在性脳脊髄炎|厚生労働省 (文献2) 神経疾患領域 急性散在性脳脊髄炎|日本アフェレシス学会雑誌
2026.06.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「帯状疱疹は治ったのに、ピリピリした痛みだけが続いている」 「薬を飲んでも痛みが取れない場合、食事で何かできることはないの?」 発疹が治まっても痛みが残ると「いつまで続くのか」と不安になるものです。少しでも回復を早めたいと、食事を見直せないか考える方も多くいます。 結論からいうと、特定の食べ物だけで痛みが必ず改善するわけではありません。ただし、栄養を意識した食事は、傷ついた神経や免疫の回復につながります。 そこで本記事では、現役医師が帯状疱疹後神経痛に良い栄養素と食べ物・避けたい飲食物・食事の工夫を詳しく解説します。記事の後半にはよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 帯状疱疹後神経痛にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 帯状疱疹後神経痛に良い食べ物の基本的な考え方 帯状疱疹後神経痛(PHN)は、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経を傷つけることで起こる痛みです。皮膚症状が治まった後も、3カ月以上にわたって痛みが続く状態を指します。(文献1) まず知っておきたいのは、これを食べれば治るという特定の食べ物はないということです。帯状疱疹後神経痛の治療は、薬物療法や神経ブロックが中心となります。 ただし、傷ついた末梢神経の修復や免疫の回復には、栄養素が必要です。特定の食品に偏らず、さまざまな食材からバランス良く摂ることが大切です。 帯状疱疹後神経痛に良い栄養素と食べ物 帯状疱疹後神経痛の回復のために意識したい栄養素は、主に以下の4つです。 栄養素 期待される役割 ビタミンB12 傷ついた末梢神経の修復に関わる たんぱく質 免疫細胞や組織を作る材料になる 抗酸化ビタミン(A・C・E) 皮膚や粘膜の健康維持・免疫機能を保つ 亜鉛 免疫機能や皮膚の健康維持に関わる 各栄養素を多く含む食べ物を、順番に解説します。 ビタミンB12を多く含む食べ物 ビタミンB12は、末梢神経の働きを正常に保つために欠かせない栄養素です。不足すると、手足のしびれなどの神経症状が起こります。(文献2) B12は主に動物性食品に含まれます。菜食中心の方や高齢者は不足しやすいため、意識して取り入れましょう。 【主な食品源】しじみ・あさり・はまぐりなどの貝類、さば・いわし・さけ、レバー、卵 良質なたんぱく質を多く含む食べ物 たんぱく質は、免疫細胞や傷ついた組織を作り直す材料になる栄養素です。 肉・魚・卵・大豆製品は、体内で効率よく利用される良質なたんぱく源で、回復期に不足すると、体力や免疫の低下につながります。(文献3) とくに高齢者は食が細くなり、たんぱく質が不足しがちです。肉・魚・卵・大豆製品などの主菜を、毎食欠かさず食べましょう。 【主な食品源】肉・魚・卵・豆腐・納豆・乳製品 抗酸化作用のあるビタミン(A・C・E)を多く含む食べ物 ビタミンA・C・Eは抗酸化作用をもち、皮膚・粘膜の健康や免疫機能に関わる栄養素です。免疫の低下が背景にある帯状疱疹では、これらの不足を防ぐことが回復への近道になります。(文献3) 3つのビタミンの働きは、それぞれ異なります。 ビタミンAは、皮膚や粘膜を正常に保つ栄養素です。ビタミンCはコラーゲンの合成を助け、免疫細胞の働きを高めます。ビタミンEは抗酸化作用をもち、ビタミンCと一緒に摂ることで働きが長持ちするのが特徴です。 これらの栄養素は、さまざまな食材に含まれています。特定の食品に偏らず、組み合わせて摂るようにしましょう。 【主な食品源】 ビタミンA:レバー・うなぎ・にんじん・ほうれん草 ビタミンC:緑黄色野菜・柑橘類・キウイ・いちご・いも類 ビタミンE:ナッツ類・アボカド・植物油・かぼちゃ 亜鉛を多く含む食べ物 亜鉛は、免疫細胞の働きや皮膚・粘膜の健康維持に関わるミネラルです。不足すると、免疫機能の低下や肌のトラブルにつながります。(文献3) 亜鉛も、高齢者で不足しやすい栄養素です。日々の食事で意識して取り入れましょう。 【主な食品源】牡蠣・赤身肉・レバー・卵・ナッツ類・大豆製品 帯状疱疹後神経痛のときに避けたい食べ物 痛みがあるからといって、必ず避けるべき食品が存在するわけではありません。 ただし、回復の妨げになりやすい以下のものは控えるべきです。 避けたい飲食物 理由 アルコール 血流や睡眠に影響する。服薬中は、薬との飲み合わせに留意する。 カフェインの多い飲み物 飲み過ぎると、睡眠の質が下がる。 糖質・脂質に偏った食品 栄養バランスが偏り、回復に必要な栄養素が不足する。 体を冷やす飲食物 体が冷えると血流が低下し、痛みに影響することがある。 上記はあくまで控えめにしたい飲食物です。過剰な摂取を避け、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。 帯状疱疹後神経痛の回復を助ける食事のとり方の工夫 帯状疱疹後神経痛に良い栄養素を知っても、毎日の食事にどう取り入れるか迷う方もいます。 ここでは、食事のとり方とサプリメントを利用するときの注意点を解説します。 栄養バランスと温かい食事を意識する 特定の栄養素だけを多く摂取するより、主食・主菜・副菜をそろえることが大切です。また、体を冷やすと血流が低下しやすいため、温かい食事を心がけましょう。 食欲があまりないときには、具だくさんのスープや煮物がおすすめです。消化が良く、栄養を無理なくとれます。 サプリメントを利用するときの注意点 サプリメントは食事で不足しがちな栄養素を補う手段ですが、あくまで補助として使うものです。利用するときは、以下の3点に注意してください。(文献3) 過剰摂取を避ける:脂溶性ビタミン(A・E)や亜鉛は、とり過ぎると健康への悪影響が出るため、用量を守ることが大切です。 薬との飲み合わせを確認する:胃酸分泌抑制薬やメトホルミンの服用は、ビタミンB12の吸収を妨げます。服薬中の方は、自己判断でサプリを追加せず医師・薬剤師に相談してください。 持病がある場合は医師に相談する:腎臓病などの持病があると、過剰摂取のリスクが高まります。必ず医師に相談しましょう。 痛みが続く場合はサプリメントで対処しようとせず、医療機関に相談しましょう。 帯状疱疹後神経痛に良い食べ物を取り入れて回復を支えよう 帯状疱疹後神経痛そのものを治す特定の食べ物はありません。ただし、ビタミンB12・たんぱく質・抗酸化ビタミン・亜鉛をバランス良く摂る食事は、神経や免疫の回復につながります。 食事はあくまで補助的なものであるため、痛みが続く場合は、医療機関での治療を優先しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、帯状疱疹後神経痛のような神経の痛みや、薬だけでは改善が難しい慢性的な痛みに対応しています。 再生医療には、神経障害による痛みの改善を目指す治療もあります。 現在の治療にお悩みの方や再生医療について興味のある方は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」からお気軽にご相談ください。 【関連記事】 【最新版】帯状疱疹後神経痛の解消法|後遺症でピリピリする際の治療法を紹介 帯状疱疹後神経痛に効く薬は?5つの薬の効果・副作用を解説 帯状疱疹後神経痛に良い食べ物に関するよくある質問 帯状疱疹後神経痛に効く食べ物はありますか? 痛みそのものを治す特定の食べ物は確認されていません。ただし、神経の修復に関わるビタミンB12は、回復の助けになります。 たんぱく質・抗酸化ビタミン・亜鉛も、免疫や皮膚の回復に欠かせない栄養素です。食事は補助的な役割と考え、痛みが続く場合は医療機関に相談しましょう。 帯状疱疹後神経痛のときに避けたほうが良い食べ物は何ですか? 必ず避けるべき食品はありません。ただし、アルコールやカフェインのとり過ぎは、睡眠の質を下げて回復を妨げます。 糖質・脂質に偏った食事も、栄養バランスを崩す原因です。いずれも完全に断つ必要はなく、とり過ぎを避けることが大切です。 食事だけで帯状疱疹後神経痛は治りますか? 食事だけで治すことは難しいといえます。帯状疱疹後神経痛の治療は、薬物療法や神経ブロックが中心となります。 痛みが続く場合は、自己判断で食事に頼らず、早めに医療機関へ相談しましょう。 参考文献 (文献1) 帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛(ペインクリニック治療指針)|日本ペインクリニック学会 (文献2) ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル]|厚生労働省eJIM (文献3) 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省
2026.06.30 -
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糖尿病患者における心筋梗塞や脳梗塞などの発症頻度は、非糖尿病者の2〜3倍にも上ると報告されています。動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、放置すると命に関わる重大な合併症につながる危険性があるため注意が必要です。 本記事では、動脈硬化と糖尿病の関係性について解説します。血管が傷つくメカニズムや今日から実践できる予防・治療法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。動脈硬化の発症リスクが不安な方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 動脈硬化と糖尿病の関係性 動脈硬化と糖尿病は非常に密接な関係にあります。糖尿病による高血糖状態の長期化や代謝の異常は、知らず知らずのうちに全身の血管へ大きなダメージを与え、動脈硬化の進行を加速させてしまうため注意が必要です。 動脈硬化とは|血管が硬くなる仕組み 動脈硬化とは、弾力性を持っていた動脈の壁が厚く硬くなり、本来のしなやかさを失った状態を指します。血管が硬く狭くなる理由は、血管の最も内側にある内皮細胞が傷つき、そこにコレステロールなどが入り込んで「プラーク」と呼ばれるドロドロとした塊を形成するためです。 プラークが蓄積すると血管の通り道(内腔)が狭くなり血流が悪化します。さらにプラークが破れて血栓ができると、血管が完全に塞がって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしかねません。動脈硬化は単に血管が硬くなるだけでなく、放置すれば命に関わる重大な疾患の引き金となる危険な状態だといえます。 糖尿病が動脈硬化を進行させるメカニズム 糖尿病の場合になぜ動脈硬化が進みやすいのか、その理由は、血管の内側にある内皮細胞が傷つくことで、慢性的な炎症や酸化ストレスを引き起こすためです。具体的には、以下のメカニズムが絡み合って血管に深刻なダメージを与えます。 高血糖による血管内皮細胞の損傷 高血糖状態が続くと、血管の最も内側にある内皮細胞への糖の取り込みが過剰になり、細胞の機能が障害される インスリン抵抗性による影響 インスリンの効きが悪くなると、血管を広げる役割を持つ一酸化窒素の産生が低下し、血管を保護する機能が失われて傷つきやすくなる 終末糖化産物(AGEs)の蓄積と酸化ストレス 体内のタンパク質や脂質が過剰な糖と結合することで、終末糖化産物(AGEs)と呼ばれる老化物質が生成される 血糖変動(血糖スパイク)が血管を傷つける影響 1日における大きな血糖値の変動が酸化ストレスを増大させ、血管内皮の機能を低下させる このように糖尿病は複数の要因を通じて動脈硬化を進行させます。単に空腹時の血糖値を下げるだけでなく、食後高血糖を含めた血糖スパイクを抑えたり、インスリン抵抗性を改善したりするなど、合併症を防ぐためには包括的なアプローチが不可欠です。 動脈硬化と糖尿病によって引き起こされる主な合併症 糖尿病患者は動脈硬化の発症リスクが高いため、太い血管が障害される「大血管症」に注意が必要です。ここでは、動脈硬化と糖尿病によって引き起こされる主な合併症について詳しく見ていきましょう。 虚血性心疾患 糖尿病で警戒すべき大血管症が、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患です。 虚血性心疾患は冠動脈の動脈硬化で発症しますが、糖尿病患者は発作の痛みに気づきにくい特徴があります。 神経障害の合併により、本来なら強烈な痛みを伴う心筋梗塞でも、痛みを感じない「無痛性心筋梗塞」を引き起こすリスクが高い傾向にあります。痛みのサインがないまま重症化し、突然命に関わる危険があるため、自覚症状がなくても定期的な検査が不可欠です。 脳血管障害 心疾患と並んで警戒すべき大血管症が、脳梗塞をはじめとする脳血管障害です。 高血糖やインスリン抵抗性により、首や脳の血管で動脈硬化が急速に進行する場合があります。具体的には、頸動脈に溜まったプラークが破れてできた血栓が脳の太い血管を塞ぐ「アテローム血栓性脳梗塞」のリスクが高まります。また、糖尿病患者は重症化や再発につながりやすい点も注意が必要です。 命に関わるだけでなく、深刻な後遺症が出る危険性もあるため、自覚症状がなくても定期的に血管の状態を確認する必要があります。 末梢動脈疾患 足の血管が狭窄・閉塞する末梢動脈疾患(PAD)も、糖尿病によって引き起こされる大血管症の一つです。動脈硬化の進行により、下肢への血流が著しく悪化するためです。 初期には歩行時にふくらはぎが痛み、休むと治まる間欠性跛行が現れます。さらに重症化すると、足の組織が壊死する「壊疽(えそ)」に至る危険性もあります。最悪の場合は下肢の切断が必要になるケースもあるため、足の冷えや歩行時の違和感を見逃さず、早めに受診する必要があります。 糖尿病による動脈硬化を予防・改善する治療法 動脈硬化の悪化を防ぐためには、血糖値だけではなく、血圧や脂質、体重などを包括的に管理するアクションプランが必要です。以下で、具体的な治療法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 薬物療法 糖尿病治療における薬物療法は、単に血糖値を下げることだけが目的ではありません。心臓や腎臓などの重要な臓器を直接保護し、動脈硬化の悪化を防ぐ薬剤の使用が強く推奨されています。 動脈硬化の予防につながる代表的な治療薬は以下のとおりです。 薬剤の種類 期待される主な効果・特徴 SGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬 血糖を改善するだけでなく、心筋梗塞や脳卒中の抑制や腎保護効果が証明されている スタチン(脂質管理薬) 悪玉であるLDLコレステロールを強力に低下させ、動脈硬化の一次予防・二次予防に貢献する 降圧薬 血圧を適切にコントロールして血管への負担を減らし、脳卒中などの発症リスクを低下させる 糖尿病による動脈硬化を防ぐためには、血糖・血圧・脂質を総合的に管理し、将来の心血管疾患の発症リスクを抑える多角的な薬物療法が重要です。 食事療法 糖尿病による動脈硬化の進行を防ぐためには、日本動脈硬化学会が推奨する「The Japan Diet(ザ・ジャパン・ダイエット)」を取り入れた食事療法をおすすめします。動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールや中性脂肪を増やす食品を制限し、血管を健康に保つ栄養素を豊富に含む食品を積極的に摂る方法です。 積極的に摂るべき食品と控えるべき食品は以下のとおりです(文献1)。 積極的に摂るべき食品の例 摂取を控えるべき食品の例 魚(とくに青背魚) 大豆・大豆製品(納豆や豆腐など) 緑黄色野菜 海藻 きのこ こんにゃく 未精製穀類(玄米や麦飯、そばなど) 肉の脂身(霜降り肉やひき肉など) 動物脂(バターやラードなど) 砂糖や果糖を含む加工食品やお菓子 アルコール飲料 また、終末糖化産物(AGEs)の蓄積を防ぐためには、高温で焼く・揚げるのを極力避け、蒸す・煮る・茹でるといった調理法を選びましょう。栄養素が豊富な食品を選び、調理法を工夫することが血管への負担を減らし、動脈硬化の進行を防ぐためのポイントになります。 運動療法(適正な体重管理) 糖尿病による動脈硬化の進行を防ぐためには、運動療法の習慣化が欠かせません。運動によってコレステロールや中性脂肪のバランスが整うと、血管にダメージを与えるインスリン抵抗性の改善につながるからです。 動脈硬化予防に役立つ運動療法のポイントは、以下のとおりです。 運動の種類 有酸素運動(ウォーキング、速歩、水泳、サイクリングなど) 運動の強度 中強度以上(少し息が上がる、ややきついと感じる程度) 頻度と時間 1回につき20〜60分をできれば毎日(少なくとも週3日以上)、あるいは週に合計150分以上 日常の工夫 こまめに動き、できるだけ座ったままの生活を避ける なお、過体重と指摘されている場合は、現在の体重から5〜10%の減量を目標にすると代謝リスクの改善につながります。動脈硬化の予防には、日々の生活に運動を取り入れ、適正体重を目指して減量していくことが重要です。 再生医療 近年、動脈硬化や糖尿病の進行を防ぐ新たな治療の選択肢として再生医療による「幹細胞治療」が注目されています。 再生医療は、ご自身の細胞や血液を用いて損傷した組織の再生・修復を促し、機能改善や免疫系の正常化を図る治療法です。幹細胞治療では、採取した幹細胞を培養して数を増やしたあとに、点滴や注射によって体内に戻す治療を行います。 当院でも幹細胞治療によって閉塞性動脈硬化症・糖尿病性神経障害の症状が改善した症例があるので、ぜひ参考にしてください。 糖尿病による動脈硬化の進行を評価するための検査法 糖尿病による動脈硬化の進行を防ぐためには、自覚症状が現れる前から定期的な検査を受け、血管の状態を早期に評価・把握することが大切です。 動脈硬化は初期には痛みを伴わず静かに進行するため注意が必要です。自覚症状がなくても以下の方法で客観的に血管の状態をチェックすると、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を未然に防げます。 検査法 特徴 頸動脈エコー検査 頸動脈に超音波を当てる安全で痛みのない検査 血管壁の厚さ(IMT)やプラーク(コレステロールなどの塊)の有無、血管の狭窄度を直接観察し、全身の動脈硬化の進行度を推測 ABI検査(血圧脈波検査) 自覚症状のない糖尿病の患者様にも推奨される検査 腕と足首の血圧を同時に測定・比較し、足の血管の詰まり具合(末梢動脈疾患)や血管の硬さを評価 血液検査 血糖の状態を確認するだけでなく、動脈硬化を促進するLDLコレステロールや中性脂肪、腎機能(eGFR)などを測定し、全身の包括的なリスクを評価 エコーや脈波による検査と、血液によるリスク要因の評価を定期的に組み合わせることが、合併症を防ぐための第一歩になります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。早期に検査を受けたいとお考えの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 糖尿病による動脈硬化の進行が不安な方は早めに医療機関へ相談しよう 糖尿病と動脈硬化は密接に関わっており、放置すれば心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症につながる危険な状態です。動脈硬化は自覚症状がないまま進行するため、健診で血糖値や血圧、脂質などの異常を指摘された際は、早めに医療機関へ相談する必要があります。 専門医のもとで頸動脈エコーやABI検査を受ければ、現在の血管の状態を正しく評価できます。状態に合わせて薬物療法を行なったり生活習慣を改善したりして糖尿病による動脈硬化の進行リスクを減らしましょう。 動脈硬化と糖尿病に関するよくある質問 糖尿病予備軍でも動脈硬化のリスクはありますか? 糖尿病予備軍でも動脈硬化のリスクはあります。糖尿病と診断される前の「耐糖能異常(糖尿病予備軍)」の段階から、すでに動脈硬化の発症リスクは上昇し始めていることが分かっています。糖尿病予備軍の場合、早期からの生活習慣改善が重要です。 喫煙は動脈硬化や糖尿病にどのような影響を与えますか? 喫煙は動脈硬化の最大の危険因子の一つです。血管内皮細胞を傷つけ、プラークの発生を強力に促進するため、動脈硬化性疾患の一次予防・二次予防ともに禁煙が強く推奨されます。 動脈硬化の進行に気づく自覚症状はありますか? 動脈硬化は初期には自覚症状がほとんどありません。胸痛や足の激しい痛みなどの症状が現れたときには、すでに血管が著しく狭窄し、重症化しているケースがほとんどです。そのため、動脈硬化の進行リスクを減らすためには、自覚症状の有無にかかわらず定期的な健診と検査を受けることが重要です。 参考文献 (文献1) 動脈硬化を知る×動脈硬化を予防する食事|一般社団法人日本動脈硬化学会
2026.06.30 -
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「ニトログリセリンは心筋梗塞にも効果があるのか?」 「ニトログリセリンの服用に抵抗がある」 ニトログリセリンを処方されているものの「副作用は大丈夫なのか?」「発作時、いつ使えば良いのか」と疑問を抱いている方は多くいます。 ニトログリセリンは、狭心症発作による症状の緩和に用いられる薬です。一方で、心筋梗塞では十分な効果が得られない場合もあり、症状によっては速やかな救急要請が必要になります。 本記事では、現役医師が心筋梗塞に対するニトログリセリンの効果について詳しく解説します。ニトログリセリンの副作用や作用時間についても合わせて紹介し、記事の後半にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 心筋梗塞について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 心筋梗塞に対するニトログリセリンの効果 ニトログリセリンの効果 詳細 ニトログリセリンは血管を広げて心臓の負担を軽減する 血管拡張による心臓の負担軽減や血流改善への作用 心筋梗塞による胸部症状の緩和を目的に使用される 胸の圧迫感や息苦しさなどの症状緩和を目的とした薬剤 ニトログリセリンは血管を拡張させることで心臓が必要とする酸素量を減らし、胸の痛みや息苦しさを和らげる薬です。 狭心症発作時はもちろん、心筋梗塞に伴う症状緩和を目的に使用されることもあります。ただし、冠動脈を塞いだ血栓を取り除く作用はなく、心筋梗塞そのものを治す薬ではありません。 あくまで症状を和らげる補助的な位置づけであるため、心筋梗塞が疑われる際は速やかに医療機関を受診してください。 ニトログリセリンは血管を広げて心臓の負担を軽減する ニトログリセリンは血管を広げることで心臓の負担を軽減し、心筋の酸素需要と供給のバランスを整える目的で使用される薬です。心筋梗塞や狭心症に伴う胸の圧迫感、息苦しさの緩和を目的として使用されます。 ニトログリセリンには、以下のような効果が期待できます。 期待される効果 詳細 心臓の負担を軽くする 心臓へ戻る血液量の減少による心臓負荷の軽減 心筋の酸素不足を和らげる 心筋酸素消費量の減少による虚血状態の改善補助 冠動脈の血流改善を助ける 冠動脈拡張による心筋への血流確保の補助 胸部症状を和らげる 胸の圧迫感、息苦しさなどの症状の緩和 (文献1)(文献2) ニトログリセリンは血管を拡張させ、心臓の仕事量を減らすことで心筋への負担を軽減します。これにより酸素消費量が抑えられ、胸の圧迫感や息苦しさが和らぎます。 冠動脈の血流改善を助ける作用もありますが、血管の閉塞そのものを解消する薬ではありません。心筋梗塞に対してはあくまで症状緩和を目的とした補助的な薬であり、根本治療にはカテーテル治療などが必要です。 心筋梗塞による胸部症状の緩和を目的に使用される ニトログリセリンは、心筋梗塞や狭心症に伴う胸の痛みや圧迫感などを和らげる薬です。血管の閉塞を解消する治療薬ではありませんが、心臓への負担を軽減することで症状の改善が期待できます。主な効果は下記の通りです。 胸部症状の緩和につながる作用 詳細 心筋の酸素不足を和らげる 心筋酸素需要の低下による虚血症状の軽減 胸部症状や息苦しさを軽減する 心臓負荷の軽減による胸部症状の緩和 発症直後の症状管理に活用される 心筋梗塞急性期における症状コントロール 重症度の判断につなげる 症状の経過をもとに治療方針を検討 (文献3)(文献4) ニトログリセリンは心臓への負担を軽減し、胸の痛みや息苦しさを和らげる薬です。発症直後の症状管理に用いられますが、心筋梗塞そのものを治癒するものではありません。 症状が落ち着いた場合でも心筋への障害が進行していることがあるため、速やかに医療機関を受診してください。 ニトログリセリンの効果が現れるまでの時間の目安 ニトログリセリンは剤形によって効果が現れるまでの時間や持続時間が異なります。心筋梗塞や狭心症の発作時に使用される舌下錠やスプレーは、数分以内に作用することが特徴です。 効果が現れるまでの時間の目安は以下の通りです。 ニトログリセリンの種類 効果が現れるまでの時間の目安 舌下錠 約1〜3分 舌下スプレー 約1〜3分 点滴(静脈内投与) ほぼ即時 貼り薬(経皮製剤) 約30分 徐放性製剤(飲み薬) 約60分 (文献5) 舌下錠やスプレーは舌下粘膜から吸収されるため、使用後1〜3分で効果が現れます。点滴製剤は医療機関で投与され、ほぼ即時に作用します。 貼り薬やゆっくり効くタイプの飲み薬は、発作の予防を目的としており、効果が出るまで時間がかかるため、急性の胸部症状には対応できません。症状が落ち着いた場合も心筋梗塞の治療が完結したわけではないため、医療機関を受診してください。 心筋梗塞で使用されるニトログリセリンの種類と使い方 種類 使い方 舌下錠の使い方 発作時に舌の下で溶かして使用 スプレータイプの使い方 発作時に舌の下へ噴霧して使用 テープ(貼付剤)の使い方 発作予防を目的として皮膚へ貼付 注射タイプの使い方 救急外来や入院中に点滴で投与する ニトログリセリンには「舌下錠」「スプレー」「テープ」「注射剤」があり、使用目的と使い方はそれぞれ異なります。 舌下錠とスプレーは発作時に使用し、速やかに症状を和らげます。テープは発作予防として継続的に使用する製剤で、注射剤は救急外来や入院中に、医師や看護師の管理のもとで投与されます。剤形ごとの正しい使い方を把握し、自己判断で変更しないようにしましょう。 舌下錠の使い方 舌下錠は、心筋梗塞や狭心症による胸部症状が現れた際に使用される代表的なニトログリセリン製剤です。正しい方法で使用することで、速やかな症状緩和が期待できます。舌下錠の使い方は以下の通りです。 使い方のポイント 詳細 舌の下に置いて溶かす 口腔粘膜からの速やかな薬剤吸収 座るか横になって使用する 血圧低下による転倒予防 飲み込まないようにする 薬効低下の予防 (文献6)(文献7) 舌下錠は飲み込まず、舌の下に置いて溶かしながら粘膜から吸収させる薬です。舌下には血管が豊富なため、数分で効果が現れます。 使用後は血圧が低下し、めまいやふらつきが生じることがあるため、座るか横になった状態で服用してください。飲み込んでしまうと効果が十分に得られないため、正しい使い方をあらかじめ確認しておきましょう。 スプレータイプの使い方 スプレータイプは舌下錠と同様に、心筋梗塞や狭心症による胸部症状が現れた際に使用します。携帯しやすく外出先でも使いやすいため、舌下錠の代わりに処方されることもあります。使い方は下記の通りです。 使い方のポイント 詳細 舌の下や口の中へ噴霧する 口腔粘膜からの速やかな薬剤吸収 噴霧後は吸い込まない 粘膜からの薬剤吸収の促進 医師の指示どおり使用する 過量使用による副作用予防 外出時も携帯しやすい 発作時にすぐ使用できる (文献8)(文献9) 胸の圧迫感や息苦しさが出始めたら、舌の下や口の中に向けて噴霧します。薬剤は口腔粘膜から吸収されるため、数分で効果が現れます。 噴霧後は吸い込まず、口を閉じたまましばらく待ちましょう。使用回数を自己判断で増やすと血圧が過度に低下するため、必ず医師の指示に従って使用してください。 テープ(貼付剤)の使い方 テープ(貼付剤)は心筋梗塞や狭心症による胸部症状の予防を目的とした製剤で、発作時の応急処置ではなく日常的な症状管理に使用します。使い方は下記の通りです。 使い方のポイント 詳細 胸や腕などの皮膚に貼付する 皮膚からの持続的な薬剤吸収 発作時には使用しない 急な症状には効果が間に合わない可能性 指示された時間に貼り替える 薬剤耐性の予防 毎日継続して使用する 狭心症発作の予防 (文献10)(文献11) テープ(貼付剤)は胸部や上腕などに貼り、薬を少しずつ皮膚から吸収させる製剤です。狭心症発作の予防を目的としており、急な胸部症状への応急処置には使用できません。 長期連続使用で効果が減弱することがあるため、医師の指示通りに貼付時間と貼り替え方法を守ってください。 注射タイプの使い方 注射タイプは心筋梗塞や重症の狭心症、急性心不全に対して医療機関で使用される製剤で、医師や看護師の管理下で投与されます。注射タイプの使い方は以下の通りです。 使い方のポイント 詳細 点滴で投与する 静脈内からの迅速な薬剤投与 医療機関で使用する 救急外来や集中治療室での管理 状態を確認しながら投与量を調整する 血圧や症状に応じた投与管理 心臓への負担を軽減する目的で使用する 心筋酸素需給バランスの改善 (文献12)(文献13) 注射タイプは救急外来や集中治療室で点滴により投与される製剤です。静脈内に直接投与するためほぼ即時に作用し、血圧や症状をモニタリングしながら投与量を調整します。 心筋梗塞では心臓への負担軽減を目的に使用されますが、根本治療ではなくカテーテル治療などと併用されます。 心筋梗塞で使用されるニトログリセリンの副作用 副作用 詳細 頭痛 血管拡張による頭痛や拍動感 血圧低下やめまい 血圧低下によるふらつきやめまい 失神 強い血圧低下による意識消失 ニトログリセリンは血管拡張作用があるため、使用後に頭痛やめまい、血圧低下が現れることがあります。多くは一時的な症状ですが、血圧が大きく低下するとふらつきや立ちくらみが生じ、まれに失神に至ることもあります。 とくに高齢者や降圧薬を服用中の方は注意が必要です。転倒を防ぐため、使用時は座るか横になって服用してください。強い症状や意識障害がみられる場合は速やかに医療機関を受診しましょう。 頭痛 頭痛は、ニトログリセリンでよくみられる副作用のひとつです。心臓だけでなく脳の血管も拡張するため、薬が効き始めるタイミングでズキズキと脈打つような頭痛が現れることがあります。 多くは薬の作用が落ち着くにつれて自然に軽減するため、頭痛が生じたからといって必ずしも異常な反応ではありません。ただし、症状が強い場合や長引く場合は自己判断で服用を中止せず、医師や薬剤師に相談してください。 血圧低下やめまい 血圧低下やめまいはニトログリセリンの血管拡張作用による代表的な副作用です。血管が広がることで血圧が一時的に低下し、立ちくらみやふらつきが現れることがあります。 服用直後に立ち上がると脳への血流が下がりやすく、症状が強く出ることがあるため、使用時は座るか横になった状態で服用してください。 高齢者は血圧変動の影響を受けやすく転倒のリスクがあるため、服用後はしばらく安静にする必要があります。 失神 失神は頻度の高い副作用ではありませんが、発生した場合は注意が必要な症状です。速やかに救急要請すべき症状は以下の通りです。 注意すべき症状 詳細 意識を失う 脳血流低下による意識消失 意識がもうろうとする 重度の血圧低下や循環不全の可能性 転倒や頭部を強く打つ 外傷や骨折の発生リスク 胸部症状とともに失神する 心筋梗塞悪化や重篤な不整脈の可能性 (文献14)(文献15) ニトログリセリンによる血圧低下が強く現れると、脳への血流が一時的に不足し失神することがあります。 失神は薬の副作用だけでなく、心筋梗塞の進行や重篤な不整脈が原因となる場合もあります。胸部症状や息苦しさを伴う場合はとくに危険なサインです。意識を失った場合やもうろうとした場合は様子を見ず、直ちに救急要請してください。 心筋梗塞で使用されるニトログリセリンの禁忌事項 禁忌事項 詳細 特定の心疾患や医師から使用を制限されている方 病状悪化につながる可能性 重度の低血圧や循環不全がある方 血圧がさらに低下する危険性 ED治療薬との併用 命に関わる血圧低下の危険性 ニトログリセリンは心筋梗塞や狭心症で広く使用される薬ですが、すべての方に使用できるわけではありません。 特定の心疾患がある方や医師から使用を制限されている方では病状が悪化することがあります。重度の低血圧や循環不全がある場合は血圧がさらに低下し、危険な状態に至るおそれがあります。 ED治療薬との併用は急激な血圧低下を招くため禁忌です。持病や服用中の薬については事前に医師へ伝えてください。 特定の心疾患や医師から使用を制限されている方 重度の大動脈弁狭窄症や閉塞性肥大型心筋症では、心臓から血液を送り出しにくい状態にあるため、ニトログリセリンによる血圧低下が全身の血流不足を招くことがあります。 過去に強い副作用を経験した方や医師から使用を制限されている方、脳血管疾患や重度の貧血がある方も同様です。持病や治療中の疾患がある方は自己判断で使用せず、事前に医師へ相談してください。 重度の低血圧や循環不全がある方 重度の低血圧や循環不全がある方は、ニトログリセリンの使用により血圧がさらに低下し、めまいや意識障害、ショック状態を招くことがあります。 心原性ショックのように心臓の働きが大きく低下した状態では、循環状態がさらに悪化するおそれがあるため、救急外来では血圧や全身状態を確認した上で投与の可否を判断します。気になる症状がある方は自己判断で使用せず、医師に確認してください。 ED治療薬との併用 ニトログリセリンとED治療薬の併用は禁忌です。代表的なED治療薬は下記の通りです。 代表的なED治療薬 詳細 シルデナフィル 血管拡張作用を持つED治療薬 タダラフィル 持続時間が長いED治療薬 バルデナフィル 比較的速効性のあるED治療薬 ニトログリセリンとの併用 急激な血圧低下の危険性 ニトログリセリンとED治療薬を併用すると、血管拡張作用が重なり血圧が急激に低下する恐れがあります。 重症の場合はショック状態など命に関わる危険があるため、併用は禁忌です。シルデナフィルやタダラフィル、バルデナフィルを服用中の方は、救急搬送時を含め必ず医師へ伝えてください。 血管拡張作用を持つ成分は市販薬やサプリメントにも含まれることがあるため、服用中の薬やサプリメントは、お薬手帳に記録して医師や薬剤師に伝えましょう。 心筋梗塞においてニトログリセリンを使用する際の注意点 注意点 詳細 使用時は座るか横になった状態で服用する ふらつきや転倒の予防 症状が改善しない場合は速やかに救急要請する 命に関わる状態の早期対応 自己判断で使用回数を増やさない 重い副作用の予防 保管方法や使用期限を定期的に確認する 必要時に使用できる状態の維持 ニトログリセリンは服用後に血圧が低下し、めまいやふらつきが生じることがあるため、座るか横になった状態で使用してください。 使用しても胸部症状が改善しない場合は心筋梗塞が進行している可能性があるため、直ちに救急要請してください。 自己判断で使用回数を増やすと血圧が過度に低下するため、医師の指示を守りましょう。緊急時に確実に使用できるよう、保管方法と使用期限を定期的に確認しておきましょう。 使用時は座るか横になった状態で服用する ニトログリセリンは服用後に血圧が低下し、立ちくらみやふらつきが生じることがあります。 立ったまま使用したり服用直後に動いたりすると転倒につながるため、必ず座るか横になった状態で使用してください。高齢者の場合、骨折などの重篤な外傷に至ることもあります。 舌下錠やスプレーは通常1〜3分で効果が現れるため、症状の変化を確認しながら安静に過ごしましょう。(文献5) 症状が改善しない場合は速やかに救急要請する ニトログリセリンを使用しても症状が改善しない場合は、速やかに救急要請しましょう。とくに注意が必要な症状は以下の通りです。 注意すべき症状 詳細 胸部症状や締め付け感が続く 心筋梗塞進行の可能性 冷汗 重篤な循環障害のサイン 吐き気 心筋虚血悪化の可能性 呼吸困難 心機能低下や心不全の可能性 意識が遠のく感覚 血圧低下や不整脈の可能性 ニトログリセリンは胸部症状を和らげる薬であり、血管の閉塞を解消する薬ではありません。使用後も胸部症状や締め付け感が続く場合は緊急性が高い状態です。 冷汗や吐き気、呼吸困難、意識が遠のく感覚を伴う場合は重篤なサインであるため、様子を見ず直ちに救急要請してください。 以下の記事では、心筋梗塞の代表的な前兆について詳しく解説しています。 自己判断で使用回数を増やさない 胸部症状が強くても、ニトログリセリンの使用回数を自己判断で増やすことは避けましょう。過剰使用は血圧の過度な低下や失神を招くだけでなく、症状を抑え続けることで心筋梗塞の進行や病状悪化のサインを見逃すおそれがあります。 使用回数や追加投与の方法は製剤の種類や状態によって異なるため、処方時に説明された用法と用量を守ってください。 症状が改善しない場合や繰り返し現れる場合は、自己判断で追加使用せず速やかに医療機関を受診しましょう。 保管方法や使用期限を定期的に確認する ニトログリセリンは保管方法によって品質や効果に影響が生じます。とくに舌下錠は湿気や高温に弱く、保管環境が悪いと有効成分が劣化し、十分な効果が得られないことがあります。 別の容器に移し替えると湿気や温度変化の影響を受けやすくなるため、処方時の容器のまま保管してください。 発作時に確実に使用できるよう定期的に使用期限を確認し、長期間持ち歩いている場合は劣化がないかを合わせて確認しましょう。 ニトログリセリンで改善しない心筋梗塞は当院へご相談ください ニトログリセリンを使用しても胸の圧迫感や息苦しさが改善しない場合は、直ちに119番へ連絡してください。心筋梗塞は治療開始が遅れるほど心筋への障害が広がります。 冷汗や吐き気、呼吸困難、意識の低下を伴う場合はより危険な状態であるため、ためらわず救急要請してください。 日々、ニトログリセリンで改善しない心筋梗塞の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、心筋梗塞の状態や症状によっては、再生医療を用いた治療を提案しています。 「ニトログリセリンを使っても胸の圧迫感が繰り返される」「治療後も息切れや疲れやすさが続いて不安」とお悩みの方へ、心筋梗塞後の心機能低下に対しては、薬物療法やカテーテル治療などに加え、再生医療が検討される場合があります。 当院では自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を提供しています。幹細胞には、さまざまな細胞へ変化する「分化能」などの特徴があります。 再生医療はすべての方が対象となるわけではなく、心機能や全身状態などを踏まえて適応を慎重に判断します。心筋梗塞後の心機能低下や今後の治療についてお悩みの方は、まずは当院へご相談ください。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ニトログリセリンと心筋梗塞に関するよくある質問 ニトログリセリンは爆発すると聞きましたが本当ですか? ニトログリセリンはダイナマイトの原料として知られていますが、医療用製剤が体内で爆発することはありません。 医療用のニトログリセリンは舌下錠やスプレー、テープに加工されており、含まれる成分量も工業用とは大きく異なります。処方された方法で使用する限り、爆発の心配は不要です。 心筋梗塞でニトログリセリンが無効な理由はなぜですか? 心筋梗塞でニトログリセリンが効きにくい主な理由は、冠動脈が血栓によって高度に閉塞しているためです。 血管を広げる作用はありますが、血栓そのものを取り除くことはできないため、血流がほとんど途絶えた状態では十分な効果が得られないことがあります。 狭心症は血管が狭くなった状態であるため血管拡張で血流が改善しますが、心筋梗塞では効果が限定的です。 使用しても胸部症状が続く場合は心筋梗塞が進行している可能性があるため、直ちに救急要請しカテーテル治療などを受けてください。 参考文献 (文献1) ミニトロテープ27mg|RELX™ (文献2) DAILYMED-NITROGLYCERIN tablet (文献3) 医療用医薬品 : ニトログリセリン|KEGG (文献4) ニトログリセリン舌下錠0.3mg「NK」|DI Station (文献5) 医療用医薬品 : ニトロペン|KEGG (文献6) ニトロペン® 舌錠0.3mg|日本化薬株式会社 (文献7) 医療用医薬品 : ミオコール|KEGG (文献8) ミオコールスプレー0.3mgの基本情報|日経メディカル (文献9) ニトログリセリンテープ27mg「トーワ」の基本情報|日経メディカル (文献10) ニトログリセリンテープ27mg「トーワ」 | くすりのしおり (文献11) ニトログリセリン点滴静注25mg/50mL「TE」の基本情報|日経メディカル (文献12) ニトログリセリン静注25mg/50mLシリンジ「TE」 | 今日の臨床サポート|RELX™ (文献13) 神経調節性失神の診断ーチルト試験の実際と解釈|HEART's Selection2 (文献14) 失神の診療|18 J Cardiol Jpn Ed Vol. 2 No. 1 2008
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