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関節リウマチにおける注射治療の副作用|生物学的製剤と従来薬との違い

関節リウマチは、関節の痛みや腫れを引き起こす慢性疾患で、日常生活に大きな影響を及ぼす場合もあります。
近年では、関節リウマチの治療法も進化し、とくに注射による薬物療法として高い効果が期待できる「生物学的製剤」の使用が広まりつつあります。
一方で、副作用についても気になるところです。
従来薬と比べてどう違うのか、どんな点に注意すべきなのかを知っておくことはとても大切です。
今回は、関節リウマチの注射治療における副作用や生物学的製剤と従来薬との違いについてわかりやすく解説していきます。
目次
関節リウマチの注射治療の役割と主な副作用
関節リウマチは、免疫の異常によって関節が慢性的に炎症を起こす病気です。
放っておくと関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
そのため、早期の治療と炎症のコントロールが非常に重要とされています。
関節リウマチの治療には、内服薬に加えて注射薬が使われるケースが増えてきました。
注射治療が選ばれる主な理由には、以下のような点があります。
- 即効性や効果の持続時間が期待できる
- 内服薬に比べて消化器への負担が少ない
- 自己注射が可能な薬もあり、通院の負担を減らせる
とくに重症例や、内服薬だけでは効果が不十分な場合には、生物学的製剤やステロイド注射による治療が効果的な選択肢となります。
生物学的製剤は、免疫システムの特定の部分だけをターゲットにして炎症を抑える先進的な薬剤です。
一方、ステロイド注射は急性の炎症を素早く鎮める目的で使用され、特に痛みの強い関節に直接注入されることが多いのが特徴です。
こうした注射薬は高い治療効果が期待できる反面、副作用にも注意が必要です。
たとえば、注射部位に腫れや赤みが出ることがあり、発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状が出る場合もあります。
副作用の出方は個人差があり、すべての人に起こるわけではありませんが、使用前には医師と十分に相談し、定期的な経過観察が欠かせません。
関節リウマチの治療で使われる生物学的薬剤とは?
関節リウマチの治療は、主に抗リウマチ薬などの従来薬が中心でしたが、近年では「生物学的製剤」と呼ばれる新しい治療薬が広く使われるようになってきました。
本章では、以下3つの項目について解説します。
- 生物学的製剤と従来薬との違い
- 生物学的製剤の種類
- どのように体に作用するのか
生物学的製剤と従来薬との違い
従来薬は、免疫全体の働きを広く抑制して炎症をコントロールする薬で、内服薬を中心とした治療方法のため、効果の発現に時間がかかる傾向があります。
一方、生物学的製剤は、炎症に関与する特定の物質(サイトカイン)や細胞にピンポイントで作用するため、即効性があり、より高い効果が期待されます。
しかし、生物学的製剤は注射や点滴による投与が必要で、治療費も高額になる傾向があります。
そのため、まずは従来薬で治療を開始し、効果が不十分な場合に生物学的製剤へ切り替えるという流れが一般的です。
生物学的製剤の種類
関節リウマチの注射治療に使われる生物学的製剤には、いくつかのタイプがあり、それぞれ炎症の原因となる免疫の働きに対して、異なるアプローチで作用します。
代表的な生物学的製剤は以下の4つです。
- 抗TNFα抗体(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなど)
炎症を引き起こす「TNF-α」という物質をブロックし、関節の腫れや痛みを抑えます。 - IL-6阻害薬(トシリズマブなど)
炎症に関与する「IL-6」というサイトカインの働きを抑制します。 - T細胞共刺激阻害薬(アバタセプトなど)
免疫細胞同士の過剰な活性化をブロックし、炎症の連鎖を断ちます。 - B細胞抑制薬(リツキシマブなど)
抗体を産生するB細胞の働きを抑えて免疫反応を和らげます。
それぞれの製剤には特徴や適応があり、患者様の病状や体質、他の合併症の有無などに応じて使い分けられます。
どのように体に作用するのか
生物学的製剤は、関節リウマチの炎症に関わる免疫反応の一部を「選択的に抑える」ことで効果を発揮します。
たとえば、関節内で過剰に分泌されるサイトカインに結合してその作用をブロックしたり、特定の免疫細胞の働きをコントロールすることで、関節の腫れや痛みを軽減します。
このような選択的な作用により、高い治療効果が得られる一方、免疫の一部を抑えるために感染症への注意が必要です。
治療を受ける際は、定期的な血液検査や医師の管理のもと、安全性にも十分配慮した継続的なフォローが行われます。
\まずは当院にお問い合わせください/
関節リウマチ注射の副作用と生物学的製剤の注意点について
関節リウマチの注射治療として使用される生物学的製剤は、効果が高い反面、副作用や注意すべき点もあります。
ここでは、注射治療にともなう副作用やリスクについて詳しく解説します。
関節リウマチ注射のよくある副作用
関節リウマチの注射治療で比較的よくみられる副作用には、以下のようなものがあります。
- 注射部位の反応(発赤、腫れ、かゆみ、痛みなど)
- 倦怠感や軽度の発熱
- 頭痛、吐き気、筋肉痛
これらの副作用は、多くの場合は一時的で、自然に治ることがほとんどです。
とくに皮下注射(薬液を皮膚と筋肉の間にある皮下組織に注入する方法)の生物学的製剤では、注射部位に炎症反応が出ることがありますが、冷やすなどの対処で落ち着くこともあります。
関節リウマチ注射のまれに起こる重篤な副作用
一方で、まれではありますが、注意が必要な重篤な副作用も存在します。
代表的なものは以下の4つです。
- 感染症のリスク増加(肺炎、尿路感染症、帯状疱疹など)
- アレルギー反応(アナフィラキシー):急な呼吸困難や発疹、血圧低下などを伴うことがある
- 肝機能障害や血液異常(肝酵素の上昇、白血球や血小板の減少)
- 心不全の悪化や間質性肺炎の誘発(既往がある場合)
上記の副作用は頻度こそ低いものの、早期に対応することが重要です。
症状が出た場合は、自己判断で放置せず、必ず主治医に相談しましょう。
関節リウマチ注射の副作用が出やすいタイミングやリスク要因
副作用が出やすいタイミングとしては、投与開始直後や投与変更後の数回目までがとくに注意が必要です。
初回投与では、体が薬に慣れていないため、副作用が出やすくなる傾向があります。
また、以下のようなリスク要因がある場合、副作用の出現や重症化の可能性が高まります。
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生物学的製剤は、免疫機能に直接働きかける薬のため、「副作用が出るかも」と事前に想定しておくことが大切です。
治療開始前には十分な検査や医師との相談を行い、使用中も定期的なモニタリングを続けることで、安全に治療を継続することができます。
\まずは当院にお問い合わせください/
関節リウマチ注射の副作用に対する予防策と対処法
関節リウマチの注射治療には高い効果が期待できますが、副作用が心配という声も少なくありません。
副作用を防ぐため、治療前には血液検査や感染症の有無を確認する検査が行われます。
肝機能や腎機能のチェック、結核やB型肝炎などの検査を通して、安全に治療を始められるよう準備が整えられます。
注射後に、注射部位の赤みやかゆみ、軽い発熱などが出ることがありますが、多くは一時的なもので心配はいりません。
ただし、息苦しさや高熱、強い倦怠感などが出た場合は、副作用の可能性もあるため、早めに医師へ相談しましょう。
また、副作用が出やすいのは治療開始初期や、薬を変えた直後のため、体調の変化を記録し、気になる症状があれば遠慮せず医師に伝えることが大切です。
事前の検査と早めの対応によって、多くの副作用は予防・軽減できます。
正しい知識と備えで、安心して注射治療に取り組みましょう。
まとめ|関節リウマチ注射の効果と副作用を正しく理解して治療に臨もう
関節リウマチの注射治療は、症状の進行を抑え、関節の機能を保つために非常に有効な手段です。
生物学的製剤の登場により、これまでコントロールが難しかった症状にも対応できるようになってきました。
一方で、副作用のリスクがあることも事実です。
しかし、治療前の適切な検査や準備、治療中の体調管理によって、多くの副作用は予防・軽減できます。
また、万が一症状が現れた場合でも、早期に対応することで重症化を防ぐことが可能です。
大切なのは、注射治療の効果と副作用の両方を正しく理解し、自分の体と向き合いながら医師と協力して治療を進めることです。不安なことがあれば、一人で抱え込まず、医師に相談しましょう。
しっかりと情報を得て備えることで、安心して治療に臨み、日常生活の質を高める一歩につながります。