- 足底腱膜炎
足底腱膜炎が重症化したときの症状を医師が解説|悪化する原因や治療法も紹介

「足底腱膜炎はなぜ重症化するの」
「足底腱膜炎が悪化したらどうすれば良いの」
このような不安を抱える方は多いでしょう。
足底腱膜炎は、足裏に負荷がかかりすぎることで発症し、重症化すると激しい痛みや安静時の痛みが生じます。
本記事では、足底腱膜炎が重症化したときの症状や重症化する原因と対処法について詳しく解説します。
重症化した足底腱膜炎の治し方も紹介しますので、足底腱膜炎が悪化して悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
足底腱膜炎が重症化したときの症状
足底腱膜炎には症状の程度があり、軽症であれば痛みは軽く日常生活に大きな支障はでません。中等症になると、歩行時の痛みや強い圧痛により日常生活に支障をきたします。
さらに症状が悪化し、重症化してしまうと以下のような症状がみられます。
- 動作時に激しい痛みが出る
- 動いていなくても痛みがある
- 踵骨棘が現れる
動作時に激しい痛みが出る
足底腱膜炎が重症化すると、多くの場合で痛みが強くなります。とくに長時間の立ち仕事や歩行、ランニングなどで足裏に体重がかかる際に、かかとや足裏に激しい痛みが出やすくなるでしょう。
階段の上り下りや、つま先立ちのような動作でも同様の症状がみられます。症状が進行すると、安静にしていてもジンジンとした痛みを感じたり、歩くこと自体が難しくなったりする場合もあります。
動いていなくても痛みがある
足底腱膜炎の初期は、動き始めや足裏に負荷がかかった際に痛みを感じることが一般的です。しかし、症状が重症化すると、炎症が強まり、足を地面に着いていない安静時でも痛みが出るようになります。
たとえば、座っているときや寝ているときなど、何もしていない状態でも、かかとや足裏がズキズキと絶えず痛む場合があります。このような状態になると、日常生活に大きな支障をきたすかもしれません。
踵骨棘(かかとの骨の突起)が現れる
足底腱膜炎の症状が長く続くと、かかとの骨に踵骨棘(しょうこつきょく)と呼ばれるトゲのような骨の突起が形成される場合があります。これは、足底腱膜が付着部を繰り返し引っ張ることで、その部分が骨化したものです。
この踵骨棘ができると、さらに痛みが増すことがあり、炎症を繰り返す要因の1つにもなります。踵骨棘がみられるほど重症化すると、治療が難しく、回復までの期間が長期に及ぶ傾向がみられます。痛みが6カ月以上続くような状態は「難治性足底腱膜炎」と呼ばれ、より専門的な治療が必要です。
そのため、足底腱膜炎は重症化する前に適切な治療を受けることが大切です。また、治療法のひとつである再生医療は、入院が不要で患者様の負担も少ない点が特徴です。
足底腱膜炎に対する再生医療について詳しく知りたい方に向けて、当院リペアセルクリニックでは、メール相談、オンラインカウンセリングも承っておりますので、ぜひご活用ください。
足底腱膜炎が重症化する5つの原因と対処法
足底腱膜炎が重症化する原因として以下の点があげられます。
- 痛みを我慢して足裏に負荷をかけ続ける
- 肥満体型で足裏への負担が大きい
- ふくらはぎの筋肉やアキレス腱の柔軟性が低い
- 加齢により足底腱膜の機能が低下する
- 足裏のアーチが崩れている
対処法と合わせて1つずつ解説していきます。
関連記事:足底腱膜炎が重症化するとどうなる?主な症状・治療法を再生医療専門医が詳しく解説
痛みを我慢して足裏に負荷をかけ続ける
足底腱膜炎は、足裏にある足底腱膜に繰り返し負荷がかかり、微細な損傷や炎症が生じることで発症します。
初期の段階で痛みを感じても、我慢して長時間の立ち仕事やランニングなどを続けると、炎症はさらに悪化し、症状の重症化を招く場合も少なくありません。
痛みや足裏の疲労を感じた際には、無理をせずに休憩を取り、足指をゆっくり反らせるストレッチや、ふくらはぎを伸ばす運動などでこまめにケアをおこなうことが大切です。
肥満体型で足裏への負担が大きい
体重が増加すると、立っているときや歩くときに足裏にかかる圧力は、標準体型の人と比較して大きくなります。
私たちの足は、全体重を支える土台であり、とくに足底腱膜は歩行や走行時の衝撃を吸収する重要な役割を担う部分です。
しかし、体重が増えるとその分、足底腱膜にかかる負荷が増大し、炎症や微細な損傷を引き起こしやすくなります。そのため、適切な体重管理は、足底腱膜炎の悪化を防ぐ上で大切なポイントの1つです。
ふくらはぎの筋肉やアキレス腱の柔軟性が低い
ふくらはぎの筋肉や、その延長線上にあるアキレス腱は、歩行やランニング時の衝撃を吸収し、足首の動きをスムーズにする重要な役割を担う部分です。
これらの部位の柔軟性が低下し硬くなってしまうと、足首の動きが制限されやすくなります。
その結果、歩く際に足底腱膜が過剰に引っ張られる状態になり、負担が増加し、足底腱膜炎の悪化につながります。日頃からストレッチをおこない、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性を保つよう心がけることが大切です。
加齢により足底腱膜の機能が低下する
年齢を重ねるとともに、徐々に足底腱膜の柔軟性が失われ、硬くなるため、衝撃を吸収するクッションとしての機能が低下します。
その結果、歩いたり走ったりする際に地面から受ける衝撃が足裏に直接的に伝わりやすくなり、足底腱膜への負担が増加します。
このような負担を和らげるためには、クッション性のあるインソールの使用や、足に合った靴を選ぶことが、1つの対処法として考えられるでしょう。
足裏のアーチが崩れている
足裏のアーチ構造は、歩行や運動の際に地面から受ける衝撃を吸収するバネのような役割を担う重要な部分です。
このアーチが低すぎる「扁平足」や、逆に高すぎる「ハイアーチ(凹足)」の状態では、衝撃吸収がうまく機能せず、足底腱膜に過度な負担がかかりやすくなります。
アーチの崩れが起こる要因は、生まれつきの骨格のほか、加齢や運動不足による足裏の筋力低下、長時間の立ち仕事、合わない靴の着用などが挙げられます。
重症化した足底腱膜炎の治し方
足底腱膜炎は症状が軽いほど治りやすく、重症化すると治療が困難になります。
重症化した足底腱膜炎の治し方には以下の治療法が挙げられます。
- 体外衝撃波治療
- 手術療法
- 再生医療
1つずつ詳しく解説していきます。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、患部に非連続性の音波である衝撃波を照射し、痛みの感覚を伝える神経に作用して痛みを和らげるとともに、組織の修復を促すことを目的とした治療法です。
衝撃波が患部の細胞を刺激するため、血流の改善や組織再生に関わる成長因子の産生を促すといった作用が期待されます。通常、1週間に1回程度の頻度で、数回(多くは3〜5回程度)の照射を1クールとしておこないます。
体外衝撃波治療は、他の保存療法(薬物療法、理学療法、装具療法など)を6カ月以上おこなっても症状の改善がみられない「難治性足底腱膜炎」に対してのみ、健康保険が適用されます。
手術療法
足底腱膜炎の治療は、まず安静、ストレッチ、インソール、物理療法といった保存療法がおこなわれます。
これらの保存療法を長期間(一般的には6カ月〜1年以上)続けても症状の改善がみられず、日常生活に大きな支障をきたしている場合に、手術療法が検討されることがあります。
ただし、足底腱膜炎で手術に至るケースは非常に稀です。手術方法としては、内視鏡を用いて足底腱膜の緊張をゆるめるために一部を切離する方法や、痛みの原因となっている骨棘を切除する方法などがあります。
再生医療
足底腱膜炎の治療において、再生医療は新しい選択肢として考えられます。これは、人間が本来持っている組織の治癒力を利用する治療法です。
代表的なものに「PRP(多血小板血漿)療法」と「幹細胞治療」があります。PRP療法は、患者様ご自身の血液を採取し、そこから血小板を多く含む成分(PRP)を抽出して患部に注射します。
一方、幹細胞治療は、患者様ご自身の脂肪などから幹細胞を採取し、培養して患部に移植する方法です。
これらの再生医療は、患者様ご自身の細胞や血液を用いるため、アレルギー反応や拒絶反応といった副作用のリスクが低いとされています。日帰りの治療が可能で、入院の必要はありません。
足底腱膜炎に対する再生医療について詳しく知りたい方に向けて、当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますので、ぜひご活用ください。
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足底腱膜炎が重症化する前に早期の治療を心がけよう
足底腱膜炎は、初期段階での適切な対処が重要です。放置すると、日常生活に大きな支障をきたす場合も少なくありません。
痛みを我慢して足裏に負荷をかけ続けることや、肥満、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性低下、加齢による足底腱膜の機能低下、足裏のアーチの崩れなどが原因で、症状は徐々に進行します。
重症化すると、安静時の痛みや踵骨棘が現れ、痛みが6カ月以上続くような状態は「難治性足底腱膜炎」と呼ばれます。
そうなると、治療期間が長引くだけでなく、体外衝撃波治療や手術、再生医療といった、より専門的な治療が必要です。
足底腱膜炎の症状に気づいたら、できるだけ早い段階で医療機関を受診し、早期から適切な治療を受けましょう。自己判断で無理をせず、安静やストレッチなどのケアを併用すると重症化を予防できます。