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足底筋膜炎を発症したら、その治療法とやってはいけないこと

足底筋膜炎になったら!その治療法とやってはいけないこと!

アスリートをはじめとして日常的にスポーツを行う方の中には、かかと周囲の痛みに悩まされている方もいるのではないでしょうか。

この記事ではスポーツにおけるかかと周囲の痛みの原因となる「足底筋膜炎」について、その原因、症状、治療法などの一般的な内容から「足底筋膜炎を発症したら、やってはいけないこと!してはいけない、避けたいこと」などについて医師が解説します。

なお、本記事では一般的な注意点などについて解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。

足底筋膜炎について

足底筋膜炎とは

足底筋膜炎は走ったり、ジャンプしたり、長時間立っている人によく起こるかかとの痛みを引き起こす病気です。

足底筋膜は足の裏にある、かかとの骨と足の指をつなぐ帯状の組織で、この部位に炎症が生じると足底筋膜炎になります。最も一般的な症状はかかと周囲と足の裏の痛みです。

痛みの症状は安静後に歩き出した時に強くなる傾向があり、朝起きた時の歩き出しやしばらく座ったままでいた後の歩き始めにひどくなることがよくあります。

足底筋膜炎の診断

足底筋膜炎の診断は、症状が出現するに至った経緯や症状の発生部位などから下されることが多く、足底筋膜炎を診断するためのレントゲンなどの画像検査や血液検査などは必要でないことが一般的です。

しかし、症状が典型的でない場合やほかの疾患が疑われる際に、その症状が他の原因によって引き起こされていないかどうかを確認する目的でレントゲンなどの画像検査や血液検査などを行うことがあります。

足底筋膜炎になりやすい人

足底筋膜炎は、かかとに繰り返し衝撃を受けるスポーツや、生活習慣や職業の人に起こりやすいと言われています。例えばランニングやダンスなどの運動を日常的に行うとそれがきっかけとなり、症状を発生し悪化させることがあります。

このような日常的な運動の他に足底筋膜炎のリスクを高める要因として、肥満、長時間の立ち仕事、足首の柔軟性の低さなどが考えられています。

日常的に運動を行う場合、過度なトレーニング(特に走る距離を急に増やすこと) 、不適切なランニングシューズ、路面が固い場所でのランニング、硬い路面での長時間の立ち仕事または歩行、偏平足などは特に症状を発生し悪化させる要因と考えられています。

足底筋膜炎の治療法と、その治療法別やってはいけないこと

足底筋膜炎によるかかとの痛みは、特別な治療を受けなくても1年以内に改善される方がほとんどと言われており、多くの人は症状が自然に良くなるために治療を必要としません。

しかし、次に述べる方法は症状の改善や、悪化の予防に効果があると考えられています。

  • 安静にすること
  • 運動を制限し、十分な休息をとることで症状が緩和されたり、症状の悪化を防げたりする場合があります。
  • → やってはいけないこと
  • 安静が必要な間、ジャンプ、ダンス、長距離走など、過度かつ反復的なかかとへの衝撃は極力避けるようにしましょう。
  • しかし、完全に運動しないことは、関節が硬くなったり、痛みが再発したりする可能性があるため、適度な運動は必要と考えられています。簡単なウオーキングなどでも様子を見ながら行うべきでしょう。
  • 冷却する
  • 足底筋膜炎はかかと周囲の炎症ですので、症状のある部位に氷を当てるなどして冷やすことで、痛みを和らげることができます。運動前にアイシングやマッサージを行うこともあります。
  • → やってはいけないこと
  • 症状が強くない場合などは温めたほうが症状の改善が得られるという専門家もおり、一定の見解は得られていません。
  • 症状がひどい場合は、自己判断せずに医療機関等にて相談されることをお勧めします。
  • ストレッチ
  • ストレッチによりかかと周囲の柔軟性を保つことで症状の改善に役立つ場合があります。効果的なストレッチには、ふくらはぎやかかとのストレッチ、足・足首を回すストレッチ、足の指でタオルを手繰り寄せる「タオルギャザー」などがあります。
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  • 参)タオルギャザーのやり方
  • 1)床(フローリングが最適:〇、カーペットは避け✕、畳は注意:△)に大きめのタオルを敷く
  • 2)タオルの端に足裏を載せますが、注意点は”かかと”は外側においたたままにしてください
  • 3)そのまま、足の「指全体」を使ってタオルを引き寄せるようにして指を曲げる(タオルを指で掴むように)
  • 4)引き寄せたタオルを離し、最初に戻って、改めてタオルを引き寄せる動作を繰り返します
  • 5)タオル全体を引き寄せ終わることを目標にしましょう
    ※タオルは分厚い過ぎても、薄すぎてもやりにくいので色々試して下さい
  • → やってはいけないこと
  • 新しいエクササイズを始めるときは、無理をしないようにしましょう。
  • 早く治したいと焦るあまり、過度なストレッチや、やり過ぎて痛みを感じるようだと症状を悪化させる可能性もあります
  • 行う場合は、一度に多くではなく継続することが大切、慎重に痛みがでないよう、ゆっくりと行いましょう
  • 本来であれば医療機関等の専門家の指導を受けて行うことをお勧めします
  • 鎮痛薬
  • 痛みがひどい場合は、鎮痛薬の使用を考慮します。市販の経口鎮痛薬を使用しても良いですが、これらの薬には多くの副作用の可能性があります
  • → やってはいけないこと
  • 薬剤による治療を行う場合には潜在的なリスクと利点を比較検討することが重要です
  • 他の病気を持っていたり、すでに他の薬を飲んでいたりする場合などは、自己判断してはいけません
  • 可能な限り専門診療科に相談するようにしましょう。
  • 丈夫な靴を履く
  • クッション性が高く、アーチとかかとをしっかりサポートするスニーカーは、足への負荷を軽減する可能性があります
  • パッドやジェル状のインソールを靴に入れることも効果的です
  • → やってはいけないこと
  • スリッパ、ビーチサンダル、スリッポン、足に合わない靴や古い靴、裸足での歩行は足底筋膜に負荷をかける可能性があるため、避けることをお勧めします
  • テーピング
  • 特に朝一番に痛みが出やすい人は、患部の足にテーピングをすると効果的です
  • 通常のスポーツテープにアレルギーや過敏症をお持ちの方は、低刺激性のテープを使用するとよいでしょう
  • → やってはいけないこと
  • 実際にどのようなテープをどう使用すれば良いかは専門家に相談して指導してもらうのをお勧めします
  • 自己流で行うと悪い影響を与える可能性もあり、指導を受けて行いましょう
  • その他の治療
  • 痛みが改善されない場合、ステロイド注射や手術といった、より身体に負担の多い治療法が考慮される場合もあります。
  • 痛みがひどい場合は、抗炎症作用のある薬(ステロイド)で、これを足に注射すると、一時的に痛みをすばやく和らげることができます
  • → やってはいけないこと
  • 通常、足底筋膜炎の患者さんに手術が必要になることはほとんどなく、その効果もまだ証明されていません
  • 手術は他の治療法がすべて有効ではなく、少なくとも6~12ヶ月間、症状が持続して生活に支障がある場合にのみ考慮されます

まとめ・足底筋膜炎を発症後、その治療法とやってはいけないこと

今回の記事では、かかと周囲の痛みの原因となる「足底筋膜炎の治療とやってはいけないこと」について解説しました。

足底筋膜炎は多くの場合、特別な治療を要せず症状の改善が得られますが、改善が乏しい場合や症状が強い場合などはできる限り最寄りの専門診療科に相談するようにしましょう。

参考になれば幸いです。

 

No.084

監修:医師 坂本貞範

 

 

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