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足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いとは?予防法・治療法も紹介

「起床後の1歩目でかかとが痛む」「長時間同じ体勢でいると足裏が痛い」
上記のような症状は、足底腱膜炎や足底筋膜炎の可能性が考えられます。似たような名前の病気ですが、炎症を起こす部位や原因に違いがあるのです。
本記事では、足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いを詳しく解説しています。足底腱膜炎や足底筋膜炎の予防・治療方法も紹介しています。
足裏の痛みに悩んでいる方や、足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いは炎症や痛みが起こる部位
足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いは、炎症や痛みが起こる部位にあります。
足の裏に痛みが生じるため、似たような印象を持っている方も多いですが、原因に違いがある点に注意が必要です。
ここからは、足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いを詳しく解説していきます。
炎症が起こる部位
足底腱膜炎は、足裏の指のつけ根からかかとまで伸びる「足底腱膜」が炎症を起こす疾患です。足底腱膜は、歩いたり走ったりする際の衝撃を受け止める役割を持っています。
一方で足底筋膜炎は、足の裏にある筋肉の「膜」が炎症を起こしている状態です。腱膜ではなく筋肉の膜が炎症を起こしている点が足底腱膜炎との違いです。
しかし、両疾患とも足底腱膜に関連した部位に炎症が起こるケースが多いため、同じ疾患として扱う医療機関が多い傾向にあります。
痛む部位
足底腱膜炎と足底筋膜炎は、痛む部位も異なります。両疾患の痛みが生じる部位は以下のとおりです。
足底腱膜炎 |
足底筋膜炎 |
|
---|---|---|
痛みが生じる部位 |
かかと・土踏まず |
かかと・土踏まず |
痛みが生じるタイミング |
長時間同じ体勢でいたり、歩いていたりなど慢性的に生じる |
起床時や歩き始めなど突発的に生じる |
両方とも、かかとや土踏まずなど痛みが生じる部位は共通しています。
しかし、足底腱膜炎は、長時間同じ体勢でいたり、歩いていたりすると、慢性的に痛みが強くなるのが特徴です。
足底筋膜炎は、起床時や歩き始めなど突発的に痛みが生じる点が、足底腱膜炎との違いです。
発生原因
足底腱膜炎は、足底筋膜の微細な断裂や損傷が繰り返されるのが主な発症原因です。
足底腱膜炎は厳密にいうと、腱が炎症を起こしているのではなく「変性」を起こしている状態です。変性とは、組織の構造や機能が変化を起こしている状態を指します。
足底腱膜が炎症を起こす原因は、肥満、過度の回内足、過度なランニングなどがあげられます。
一方で足底筋膜炎は、走ったり歩いたりなどで足底筋膜に負荷がかかると「炎症」を起こし、発症するのが特徴です。
とくにマラソン選手や陸上をしている方は、足底筋膜に負担がかかりやすく、足底筋膜炎を発症しやすい傾向にあります。
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足底腱膜炎(足底筋膜炎)の診断
足底腱膜炎を診断するには、まず問診と触診で痛みが生じる部位を確認します。
触診後、以下のような検査を行います。
- レントゲン検査
- 超音波検査
- MRI検査
レントゲン検査では、足底筋膜炎で生じる可能性がある、踵の骨棘(こっきょく)の有無を確認します。
骨棘とは、軟骨が肥大化し、次第に硬くなって骨化して棘のようになる状態を指します。
また、必要に応じて血液検査が行われるケースもあり、触診や医療機関の方針などによって診断方法はさまざまです。
足底腱膜炎(足底筋膜炎)の予防方法
足底腱膜炎を予防するには、ストレッチで足裏の柔軟性を高めたり、足に合った靴を履いたりすると予防効果が期待できます。
足底腱膜炎を疑っている方は、日頃からケアを行い、症状を予防しましょう。
ここからは、足底腱膜炎の予防方法を3つ紹介します。
運動は控える
足底腱膜炎の発症を予防するには、痛みが生じた時点で運動は控えるのがおすすめです。
足底腱膜炎は、ランニングや運動などで足裏に負荷がかかることで発症します。
痛みや違和感がある状態で、ランニングや運動を続けていると、炎症が悪化する恐れがあるため、安静に過ごしましょう。
また、痛みが収まり運動を開始する際は、ウォーキングや軽い運動から始めるのがおすすめです。
いきなり激しい運動をしてしまうと、足裏に負荷がかかり、再発する可能性があるためです。徐々に強度をあげていくよう意識しましょう。
ストレッチで柔軟性を高める
ストレッチで足裏や足首の柔軟性を高めるのも、足底腱膜炎の予防効果を期待できます。
足裏に痛みがある際は、ランニングやジャンプなどの激しい運動は控えるべきですが、ストレッチや柔軟は続けるのがおすすめです。
体を動かさなくなると、足底筋膜をはじめ、足回りの筋肉や関節が凝り固まってしまいます。
足回りが固くなると、血流が悪くなり、痛みや炎症が悪化したり、治りにくくなったりする恐れがあります。
柔軟性が失われるのを避けるため、ふくらはぎを伸ばすストレッチをしたり、足の指を引っ張ったりして、足裏の柔軟性を維持しましょう。
足に合った靴を履く
足底腱膜炎を予防するには、自分の足に合った靴を履くのも大切です。
自分の足の形に合っていなかったり、底が薄かったりする靴は、足に負担がかかりやすいためおすすめできません。
運動時以外に、かかとが高いヒールや厚底のブーツを履くのも負担が増大するため、できるだけ控えましょう。
足底腱膜炎を予防するには、かかとをサポートしてくれる、クッション性の高い靴を選ぶのがおすすめです。試し履きをしたり、プロに相談したりして、自分に合った靴を選びましょう。
また、靴以外にも、サポーターやテーピングも足底筋膜炎予防が期待できます。
サポーターを日常生活で使用すると、足底腱膜炎予防はもちろん、痛み軽減を期待できるため、積極的に使用してみましょう。
足底腱膜炎(足底筋膜炎)の治療法
足底腱膜炎の治療方法は、保存療法や薬物療法などが代表的です。手術療法を行うケースもありますが、大半が保存療法や薬物療法などで対処できます。
かかとや土踏まずに痛みが生じているにもかかわらず、放置したり、市販の湿布や塗り薬などで自己治療したりするのは控えましょう。
かえって悪化する恐れがあるため、必ず医療機関を受診してください。
ここからは、足底腱膜炎の治療方法を4つ紹介します。
保存療法
足底腱膜炎の治療は、リハビリテーションや装具療法などの保存療法が行われます。
リハビリテーションは、ストレッチや筋力トレーニングを行うのが一般的です。
ふくらはぎや太ももの裏側(ハムストリング)などの柔軟性を高めたり、足の指の使い方を改善したりすると、痛み緩和を期待できます。
一方で装具療法とは、インソールやサポーターなどの装具を用いて、足底腱膜炎を改善する治療方法です。とくに、足の裏のアーチにアプローチできるのが特徴です。
リハビリテーションや装具療法などを、1人ひとりの症状に合わせて行うことで、足底腱膜炎の改善を期待できます。
薬物療法
足底腱膜炎の薬物療法では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。
非ステロイド性抗炎症薬とは、痛みや熱などの炎症を抑える薬であり、ロキソニンやバファリンなど市販薬にも含まれています。
注意点として、薬物療法は一時的な痛みは軽減できるものの、根本的な改善にはつながりません。足底腱膜炎を悪化させないためにも、薬物療法だけでなく保存療法を併用し、完治を目指しましょう。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、患部に音波の一種である衝撃波を照射し、痛み緩和や組織修復を促す治療方法です。
衝撃波で痛みが生じている腱の細胞を刺激し、痛みを緩和させます。一般的に3〜5回を1クールとし、数回繰り返し、治療を行います。
また、体外衝撃波は、6カ月以上保存療法を行っても効果が見られない「難治性足底腱膜炎」の治療のみ、健康保険が適用されているのが特徴です。
足底腱膜炎を発症後、体外衝撃波を受けられるわけではない点に留意しておきましょう。
手術療法
足底腱膜炎の治療は、手術療法が行われる可能性があります。手術療法では、足底腱膜や骨棘(こっきょく)を切除します。
しかし、足底腱膜炎で手術療法を行うケースは非常に稀であり、保存療法や薬物療法で改善を期待できる症例が大半です。
再生医療
足底腱膜炎や足底筋膜炎の治療の選択肢として、幹細胞治療やPRP治療などの再生医療もあげられます。
再生医療における「幹細胞治療」は、自身の幹細胞を使い、損傷した組織や細胞の修復を手助けする方法です。
「PRP療法」も再生医療の1つで、血液に含まれる血小板を用いて治療を行います。
どちらも患者様自身の幹細胞や血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。また、再生医療では手術や入院を必要としません。
「足底腱膜炎が治らない」とお悩みの方は、再生医療も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
リペアセルクリニックでは、足底腱膜炎や足底筋膜炎に関する再生医療を行っています。再生医療に興味がある方は、ぜひ一度当院へ症状をご相談ください。
まとめ|足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いは炎症や原因にある
足底腱膜炎と足底筋膜炎は、炎症や痛みが発生する部位や、原因に違いがあります。
足底腱膜炎は、慢性的な痛みが生じますが、足底筋膜炎は動き始めなど突発的に痛みが生じるのも大きな違いといえます。
しかし、両疾患とも足底腱膜の周辺に痛みが生じるため、同じ疾患として扱う医療機関も少なくありません。
かかとや土踏まずに痛みを感じる方は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
放置したり、自己流で治療をしたりすると、症状が悪化したり、慢性化したりする恐れがあるため、医療機関を受診するのが大切です。
また、リペアセルクリニックでは、幹細胞治療やPRP治療などの再生医療を行っています。「足底腱膜炎がなかなか治らない」と悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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