糖尿病の合併症(サイレントキラー)を生活習慣の改善で防ぐためにできること
公開日: 2022.05.19更新日: 2024.10.07
目次
糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぐためにできることとは
糖尿病が「サイレントキラー」と恐れられる理由をご存知でしょうか?
それは、糖尿病の進行がしばしば無症状であるためです。糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続くことで、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。
これらの合併症は、特に早期に発見や治療が行われない場合に重篤な結果をもたらすことがあります。
その合併症としては失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出る人がいるため注意が必要です。
糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐ目的があるためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であることがほとんどといわれています。
糖尿病の合併症が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであることを知ることで、「生活習慣改善を変えるきっかけ」にしていただければと思います。
糖尿病は合併症により「サイレントキラー」と呼ばれる
糖尿病は、それ自体には痛みなどの症状はほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病であることが指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病は全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことを指しています。
糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病を「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ぶ医師も多くいるようです。
糖尿病の三大合併症は(し・め・じ)と呼ばれる
糖尿病の合併症には三大合併症と呼ばれる代表的なものがあります。次の病気が、糖尿病三大合併症と呼ばれるものです。
この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って覚えやすく「し(神経症)・め(網膜症→め)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。
どの合併症も、多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。
|
しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー)
神経障害は、糖尿病になってから適切な治療を受けずに放置すると、約5年で現れることが多く、糖尿病三大合併症の中で最も早く症状が現れるといわれています。
これは、高血糖が神経にダメージを与えることで、これにより感覚を伝える神経や身体を動かす神経が障害され、痛みやしびれ、こむら返りなど自覚しやすいものや、足の感覚が鈍くなる感覚鈍麻など自覚しづらいものが症状として現れます。手足の知覚や運動機能が低下することがあります
病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が出ます。そのため、しびれや麻痺が全身に広がり、身体が動かしにくくなり生活に大きな支障をきたしてしまう恐れがあります。
特に足の神経障害は重要であり、潰瘍が進行して感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。
視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症)
神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、目の網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりすることで、視力低下や失明を引き起こす病気です。
網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力を回復することは難しいといわれています。
そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えるなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。
糖尿病網膜症は進行性の病態であり、早期の発見と治療が重要です。
糖尿病腎症は人工透析の原因第一位
糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。
腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります。(タンパク尿)症状が悪化すると腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。現在、日本の人工透析の原因第一位は、こうした糖尿病による腎症なのです。
これらの合併症は、糖尿病患者が血糖値の管理に注意を払い、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。
糖尿病と診断されたら、定期的な尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。
|
合併症を防ぐために必要なこと
糖尿病の合併症を防ぐためには、症状が現れていないうちから血糖値のコントロールを行うことが必要です。
糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。食事療法においては、血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれることで高血糖の改善や体重低下が期待できます。
なお、極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。運動療法によって血糖コントロールに関わるインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。
軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。薬物療法を行う場合は主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続けて経過を見てもらいましょう。
また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があり、これも薬物療法にあてはまります。
どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。
|
まとめ・糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぎたい
本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を全身に引き起こすことを解説しました。糖尿病三大合併症である神経障害、網膜症、腎症が進行すると、治療して元の状態に戻すことは難しいとされています。
どの合併症も、症状が重くなるまで自覚症状がほとんどなく、自分で気付くのは困難です。糖尿病と診断されたら、内科や眼科での定期的な検査を受けて異常をいち早く発見しましょう。
健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから定期的な検査や血糖コントロールを行うことが大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
▼以下もご参考にしていただければ幸いです
糖尿病を予防するための運動とは、その効果と注意点
再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています