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ジョーンズ骨折にテーピングは有効?症状から予防策までを現役医師が解説
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「ジョーンズ骨折」と呼ばれる怪我に聞き馴染みがない方も多いのではないでしょうか。しかし、ジョーンズ骨折は意外にもアスリートがよく発症するケガです。
とくに高い負荷がかかる競技において、ジョーンズ骨折は珍しいものではありません。サッカーやバスケットボール、ラグビーなど、急な方向転換や激しい接触を伴うスポーツをしている場合は注意が必要です。
本記事では、ジョーンズ骨折の原因と治療法から、予防法やテーピングのやり方まで詳しく解説します。アスリートだけではなく、日常的に運動をする方や足に負担をかける仕事をしている方は、ぜひご参考にしてください。
目次
ジョーンズ骨折とは
ジョーンズ(Jones)骨折とは、第5中足骨の踵寄り(第5中足骨基部)に起こる骨折のことで、骨癒合しにくく、治るのに時間がかかる骨折の一つです。第5中足骨基部に起こる骨折は、以下の3つがあります。
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いずれも見分けるのが難しいため、まとめてジョーンズ骨折と呼ぶこともあります。
原因|主にスポーツ外傷による骨折
ジョーンズ骨折は、特定のスポーツ動作で頻発する骨折です。
その動作とは、ストップやターンなどの速い動作の切り返しです。ストップやターン(切り返し)によって、急激に第5中足骨に負荷がかかると骨折してしまいます。
しかし、これらの動作だけが骨折の原因ではありません。ほかにも以下のようなあらゆる要素が重なって引き起こされると考えられます。
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つまり、ストップやターンは、最後の引き金に過ぎません。
症状|歩行や運動時の痛み
ジョーンズ骨折の症状は骨折の程度によって大きく変わります。発症初期の不全骨折(ヒビ)であれば、運動中に少し痛みを感じる程度で、骨折部分を強く押すとズキっと痛む場合があります。
しかし、そのまま運動を継続すると、徐々に痛みが増していき、歩くのもままならない状態になりかねません。この場合、骨折部の状態は悪化していることが多く、完全骨折となっている可能性も考えられます。
また、捻ったり、ストップやターンの切り返しによって完全骨折となるケースも少なくありません。
▼ ジョーンズ骨折の症状やついて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
診断|レントゲンやエコー検査
ジョーンズ骨折は、レントゲン画像による診断が可能です。レントゲン撮影は、一方向だけではなく、角度を変えて複数方向からの撮影が有効となります。
しかし、初期の不全骨折の場合はレントゲン画像での判断が難しい場合があるため、必要に応じてMRIや超音波検査も実施します。
ジョーンズ骨折に有効な治療方法
ジョーンズ骨折は、ほかの骨折に比べて骨癒合が得にくい(遷延治癒:せんえんちゆ、偽関節など)とされているケガです。また、骨癒合が得られたとしても再骨折のリスクが高い骨折だといわれています。
そのため、一人ひとりの状況を考慮し、慎重に治療方法を選択する必要があります。
手術療法
激しいスポーツ動作を繰り返すアスリートには、手術療法がおすすめです。早期復帰や再骨折のリスクを減らす効果が期待できるためです。
手術方法は比較的シンプルで、一般的には第5中足骨に対しスクリューを埋め込む「髄内固定術」で行われます。
手術療法は、治療成績も良好で保存療法に比べて再発のリスクが低いことが特徴です。しかし、スクリューの位置を誤ったり、復帰が早過ぎたりした場合には、癒合不良や偽関節を引き起こす可能性もゼロではありません。
手術費用や復帰までの期間などの目安は以下の通りです。
※手術・入院費用、入院期間はあくまで目安です。医療機関ごとに違いがあります。 |
手術後は、医師や看護師、リハビリスタッフの指導に従って過ごすことが大切です。
保存療法
手術療法に抵抗がある方や、なんらかの理由で手術療法が難しい方は保存療法を選択します。
保存療法の場合は、骨が癒合していない状態で無理をしないことが重要です。とくに初期の段階では、骨癒合を第一に考え、骨折部分に体重をかけないようにします。その間に、骨癒合を促進させるような超音波治療器を用いる場合もあります。
骨癒合にかかる期間は個人差がありますが、少なくとも3〜4週間はかかるでしょう。レントゲン画像にて骨癒合が認められたら、少しずつ体重をかけていくことがポイントです。
なお、歩くときに行う踏み返し動作は骨折部に負荷がかかりやすいため注意が必要です。歩行を慎重に進めていき問題なくできるようになったら、少しずつ強度を上げてスポーツの動きを取り入れていきます。
ジョーンズ骨折にテーピングは有効?巻き方のポイント
ジョーンズ骨折がまだ完全に治っていない状態でのテーピングは、あまり効果を期待できません。しかし、骨折がしっかり治り、スポーツに復帰する段階でのテーピングは、一定の効果を発揮します。
ジョーンズ骨折のテーピングの巻き方のコツは、足のアーチをサポートすることと、足の外側の補強をすることです。
足首の捻挫のテーピングと似ているところもありますが、そこにプラスして足底部にアーチをサポートするテーピングを巻くとより効果的です。
ジョーンズ骨折のテーピングは、その人の足の使い方によって巻き方が変わります。まずは、専門家に足の使い方をみてもらい、自分に合った巻き方を教えてもらうようにしましょう。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。テーピングを始めるタイミングや巻き方についてお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
ジョーンズ骨折後にスポーツ復帰する流れ
ジョーンズ骨折は再発しやすいため、状態を見極めて段階的にスポーツ復帰する必要があります。
骨癒合まで運動を我慢していたのに、復帰を焦ってしまって再骨折してしまう例も少なくありません。際骨折を防ぐためにも、スポーツの復帰には万全を期す必要があります。ジョーンズ骨折後にスポーツ復帰する流れの例は、下記の通りです。
1.その場でできるスクワットやカーフレイズ(爪先立ち)の運動
2.ランジや片脚スクワット、片脚カーフレイズで片側に体重をかけて行う運動
3.軽いジョギング
4.徐々にスピードを上げたランニングやダッシュ
5.ストップやターン動作の練習
6.ジャンプ動作の練習
7.各スポーツの練習を徐々に復帰
8.競技に完全復帰
上記のような流れを参考に、痛みや違和感が出たら前のメニューに戻るようにしながら、スポーツ復帰を目指します。
ジョーンズ骨折の予防にはサポーターの使用がおすすめ
ジョーンズ骨折の再発予防には、足首の捻りを防止するサポーターやアーチを形成するためのインソールなどの使用が十分な効果を発揮します。
とくに、インソールは骨折部の負担を減らす効果が期待できるため、よりおすすめの予防方法です。
再発予防のためのサポーター選び
ジョーンズ骨折に有効なのが、左右方向に強いサポーターです。足の力が横の動きに弱いと骨にかかる負担が増えてしまうため、横のぐらつきを押さえるようなサポーターが推奨されます。
注意点として、第5中足骨基部のあたりが厚くなっているサポーターの場合は、体重をかけた際に圧迫し過ぎて痛みを誘発する可能性があります。そのため、装着したときの圧迫具合や患部への当たりを確認した上で、適切なサポーターを選ぶ必要があります。
再発予防のためのインソール選び
インソールの調整は、ジョーンズ骨折の再発防止のために非常に有効で、必須ともいえる手段です。
足の内側と外側にある縦アーチと横アーチをサポートしてくれるようなインソールを入れることで、足の機能が上がり負担がかかりにくくなります。
インソールは市販のものもありますが、専門の義肢装具士が作成しているオーダーメイドのインソールの使用がおすすめです。自分の足の型に合わせてインソールを作成するため、より高い効果が期待できます。
▼ ジョーンズ骨折の予防法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ・ジョーンズ骨折の回復期には適切にテーピングしよう
ジョーンズ骨折は再発しやすく、初期の対応や治療開始から復帰までのプランニングが非常に難しいケガです。そのため、焦らず骨の癒合状態を確認しながら、段階的に治療に取り組むことが重要です。
また、回復期には適切なテーピングが重要な役割を果たします。テーピングを用いることで、再発のリスクを減らし、足の安定性を高められます。ただし、間違った方法でテーピングを施すと逆効果になる場合もあるため注意が必要です。
ジョーンズ骨折をしてしまった際は、専門の医師やリハビリスタッフのアドバイスを聞きながら、安全に復帰までの道のりを歩んでいきましょう。
ジョーンズ骨折の治療に関するよくある質問
ここでは、ジョーンズ骨折の治療に関するよくある質問をまとめました。
ジョーンズ骨折は自然に治りますか?
ジョーンズ骨折は、自然に治ることもありますが、癒合不全や変形癒合などの合併症につながる危険性があります。そのため、自己判断はおすすめできません。また、再骨折を防ぐためにも、痛みの程度だけではなく、骨が問題なく癒合しているか確認してから運動を再開する必要があります。
ジョーンズ骨折が疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、医師の指示に従って経過を見守りましょう。
テーピングはどのようなものを使用すると良い?
ジョーンズ骨折の再発を予防するためには、伸縮性のあるテーピングの使用が効果的です。伸縮性が高いスポーツ用のテーピングは、骨折しやすいブヒを保護しつつ、足の柔軟性を保つために適しています。
また、はがれにくくするため、テーピングの角を丸く切って使用するのもポイントです。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。テーピングの選び方や使用方法で迷うことがあれば、ぜひ気軽にご相談ください。