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頚椎椎間板ヘルニアの術後で「仕事を休む期間」は?休業期間の平均日数を医師が解説
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- 頸椎椎間板ヘルニアを発症したら、何日入院する必要があるの?
- 手術を受けた場合の休養期間は?
頸椎椎間板ヘルニアを発症した、もしくは疑われている方は、このような疑問を持っているでしょう。
この記事では各状況での平均的な休職期間を解説します。
どの程度休む必要があるのか把握したい方は参考にしてください。
目次
【予備知識】頸椎椎間板ヘルニアとは
頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の背骨)と頚椎の間にあるクッションのような役割をしている椎間板が破れたりして、脊髄や神経根が圧迫されることで神経症状が起こる病気です。
症状は首の痛みが急激に生じ、続いて、腕や手指に痺れや痛みを感じます。腕や手指に脱力が生じることもあります。
ヘルニア病変が大きく、脊髄の圧迫が強まると、巧緻(こうち)運動障害を生じ、お箸がうまく使えない、字が下手になる、ボタンを留めることが難しいなど、細かな作業ができなくなったり、さらには歩行障害が生じることもあります。
頚椎椎間板ヘルニアでは、まれにヘルニアが自然に吸収され、自然治癒にいたる例も多数報告されています。
そのため、症状が軽い場合には保存的治療をおこない、経過をみていくことが多いです。
たとえば、薬の内服や安静、理学療法や頚椎カラー固定などの保存的治療が選ばれます。
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※保存療法でも、症状の悪化は十分にありうるため、常に注意をしておく必要があります。
頸椎椎間板ヘルニアで仕事や運動にドクターストップがかかるケース
頸椎椎間板ヘルニアの症状が重篤だと、仕事や運動に支障が出ます。
以下のケースではドクターストップがかかるでしょう。
- 神経症状の悪化が予測される
- 脊髄への影響が疑われる
- 業務内容がデスクワークなど、頸椎に負担がかかるものである
- 休業期間や手術が必要である
頸椎椎間板ヘルニアを発症しても、「無理をすれば働けなくもない」程度の症状にとどまるケースがあります。
しかし頸椎椎間板ヘルニアは、薬の内服や休業期間などがないと、症状が悪化します。
ドクターストップがかかれば指示どおりに休業するべきでしょう。
頚椎椎間板ヘルニアによる入院・休業期間の平均日数
頸椎椎間板ヘルニアによる入院・休業期間の平均日数は、状況によって異なります。
次の章でいくつかの状況と、それぞれの入院・休業期間を示します。
手指の繊細な仕事が必要な場合
手指の巧緻運動障害や、痺れや脱力症状も、頚椎椎間板ヘルニアの症状です。
そのため、こうした症状がある場合は、絵を描く、工芸品を作る、など繊細な手作業を要する仕事の場合には、症状が改善するまで休むことが必要となる場合があります。
軽度の症状なら、数日の休業期間にとどまるでしょう。症状が重ければ1週間以上かかることもあります。
頚椎椎間板ヘルニアによる症状が重い場合
頚椎椎間板ヘルニアでは、通常は上半身、とくに首から肩、腕、手指などに痺れや痛み、ときに脱力などの症状が現れます。
一方で、重症になると歩行障害など下半身にも影響がみられます。
そのため、仕事内容によって歩くことが必要となる職種、デスクワーク以外、たとえば営業職や販売、倉庫、工場などでの勤務は、治療がある程度完了するまでの間、仕事を休まざるを得ない場合もあるかもしれません。
休んでも筋力低下や脱力、巧緻障害が戻らないときは手術が必要です。
また、第1指と第2指の骨間筋の萎縮が見られることもあり、注意して診察しなければいけません。
症状が重い場合は、1〜2週間ほどの休業期間が必要でしょう。
手術を受けた場合
頚椎椎間板ヘルニアの症状が「保存的な治療で改善しない場合」、患者様から「強い希望がある場合」、また先ほど述べた「巧緻運動障害や歩行障害がある場合」などでは、全身麻酔のもとで前方除圧術や前方除圧固定術などの外科的治療(手術)が選択されます。
頚椎椎間板ヘルニアでは、頚椎前方除圧固定術がよく選ばれます。
この手術は、頚椎の前側、つまり首の前面から皮膚や筋肉を切り開き、椎間板や頚椎の骨の出っ張っている部分を切除して、神経の圧迫を取り除くものです。
手術自体は1〜1.5時間くらいで、翌日から歩行可能とされています。
しかしながら、入院期間はリハビリなども含めて通常10〜14日程度です。
そのため、その間はもちろん通勤などはできませんし、仕事を行うのは難しいでしょう。
また退院後すぐに出勤できるかどうかは人によりさまざまですが、手術を行なった場合には休む期間は平均で3〜6週間ほどと考えられます。
外科的治療(手術) |
手術時間の目安 |
入院期間の目安 |
休職期間の目安 |
頸椎前方除圧固定術 |
1〜1.5時間 |
10~14日 |
3~6週間 |
一方で、ヘルニアによって神経根や脊髄の圧迫が強いために、後遺症として神経症状が残ってしまった場合は、休職、あるいは仕事を辞めることを検討する必要があるでしょう。
このように術後の後遺症で悩まれている方はたくさんおられますが、今の保険診療内では根治は難しいとされています。
そこで、幹細胞による再生医療が注目されています。
頚椎椎間板ヘルニアでも仕事を休めない場合には
基本的には痛みが強い間には安静にしておくことが大切ですが、頚椎椎間板ヘルニアによる腕の痺れや首の痛みがあっても、休業期間を取れないケースもあります。
そのような場合には、頚椎カラーで首を固定したり、首を曲げるような動きは極力避けることで、頚椎椎間板ヘルニアの症状悪化を防ぐことが期待できます。
頚椎椎間板ヘルニアでの症状を軽減させるポイント
それでは、休業期間中に注意したいポイントを解説します。
頚椎椎間板ヘルニアの症状を軽減させるためには、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。
とくに後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。
たとえば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避ける、腹ばいでの読書や、そうした姿勢でのテレビ視聴は避けるなどの注意が必要です。
これらを予防するために、頚椎カラーも有効です。
また、寝る際には首までしっかりと固定できる面積の広い枕を使うことも良いでしょう。
このようなポイントを守ることで、頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状の悪化を、ある程度食い止めることが可能と考えられます。
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まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの治療、入院期間と休業期間について
今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの症状の程度によっては仕事を休まざるを得ないケースを解説しました。
頚椎椎間板ヘルニアによる休業期間の必要性は、症状の種類と程度によって異なります。
手指の繊細な作業が必要な場合や症状が重い場合は休職が必要となることがあります。
症状の程度に応じて適切な休業期間を確保し、適切な治療と姿勢の管理を行うことが必要です。
頚椎椎間板ヘルニアは、多くは保存的治療もしくは手術によって症状が改善します。
一方で、神経の圧迫の程度が強く、後遺症が残ってしまう場合も残念ながらあり得ます。
手術や保存的治療を受けた後でも、症状が改善せず仕事を続けることが難しい場合があります。
最後に頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状を軽減させるためには、適切な姿勢を保つことが重要です。
休む期間に限らず、普段から意識して姿勢を整えるようにしたいものです。
▼当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄内幹細胞の投与による、傷ついた神経の修復・再生に取り組んでいます。
頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、術後の後遺症に悩んでいる、仕事に早く復帰したい方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
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