- 股関節、その他疾患
- 股関節
【なぜ痛い?】大転子滑液包炎の症状・原因・治療方法を徹底解説
股関節の外側や太ももの外側が痛むと、「大転子滑液包炎なのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
大転子滑液包炎は、股関節外側にある大転子周囲の滑液包に炎症が起こり、歩行・階段・立ち上がり・横向き寝などで痛みが出やすくなる疾患です。
本記事では、大転子滑液包炎の症状や原因、診断方法、治療法を解説します。ストレッチや生活習慣の見直しも紹介するので、股関節外側の痛みにお悩みの方は参考にしてください。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、股関節の痛みにも用いられている再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。歩くのがつらい方、手術前にほかの選択肢を知りたい方は、ぜひご登録ください。
目次
大転子滑液包炎とは|なぜ痛い?
大転子滑液包炎(だいてんしかつえきほうえん)とは、股関節の外側にある「大転子」という骨の周囲で、滑液包に炎症が起きている状態を指します。滑液包は、関節や筋肉がこすれすぎないように働く、潤滑液を含んだ小さな袋のことです。
炎症が起こると、大転子の周囲で摩擦や圧迫に敏感になり、歩行や立ち上がり、横向き寝などで痛みが出やすくなります。
発症には、大転子の上を通る「大腿筋膜張筋」や「腸脛靭帯」が関係しており、ランニングやサイクリングのように同じ動作を繰り返すと、滑液包との摩擦が増え、炎症につながる場合があります。
大転子滑液包炎の主なリスク要因は、以下のとおりです。
- 転倒やスポーツによる外傷
- 中殿筋・小殿筋など、大転子周囲の組織の損傷
- 滑液包への摩擦や小さな損傷の積み重なり
- 関節リウマチや痛風などの疾患
股関節の外側が痛む場合、大転子滑液包炎だけでなく、腱や腰まわりの病気が関係しているケースもあります。
痛みが続くときは自己判断で運動を続けず、整形外科で原因を確認しましょう。
大転子滑液包炎の症状
大転子滑液包炎では、股関節の外側から太ももの外側にかけて痛みが出やすくなるのが特徴です。
大転子の周囲を押すとピンポイントで痛むほか、痛みが長引くとお尻や膝の外側まで広がる場合もあります。寝返りを打ったときや、痛い側を下にして横向きで寝たときは、大転子が圧迫されて痛みが強くなりがちです。
椅子や車の座席から立ち上がる場面、階段を上る動作、長く歩く途中でも股関節外側の痛みが強くなることがあります。足を外側へ開く動作だけでなく、反対に足を体の中心へ近づける動きで痛みが増すケースもあります。
受診の目安となる症状は、以下のとおりです。
- 股関節の外側を押すと強く痛む
- 横向きで寝ると、股関節の外側が痛む
- 椅子や車の座席から立ち上がると痛い
- 階段の上り下りで股関節外側が痛む
- 長く歩くと太ももの外側まで痛みが広がる
- 痛みで足を引きずる、歩き方が変わる
- 湿布や痛み止めを使っても痛みが続く
歩行・階段・寝返り・立ち上がりに支障が出ている場合は、日常生活への影響が大きくなります。痛みを我慢して動き続けず、整形外科で原因を確認しましょう。
さまざまな股関節の病気に関して解説している以下の記事も、あわせてご覧ください。
大転子滑液包炎が発症する原因3つ
大転子滑液包炎は、股関節外側への摩擦や圧迫が積み重なって起こることがあります。
ここでは、発症につながりやすい運動・立ち仕事・体重増加との関係について見ていきましょう。
大転子を動かす激しい運動
ランニングやサイクリングなど、股関節を繰り返し動かす運動は大転子滑液包炎を発症する原因の一つです。
大転子の上には、腸脛靭帯や大腿筋膜張筋が通っています。走る、こぐ、階段を駆け上がる、登山で足を大きく上げるといった動作が続くと、大転子周囲の滑液包に摩擦が加わりやすくなるのです。
長時間の歩行や立ち仕事でも、股関節外側への負担は少しずつ積み重なります。痛みがある時期に同じ運動を続けると、寝返りや立ち上がりなどの日常動作でも痛みが出やすくなるため注意が必要です。
股関節の外側に違和感がある場合は、運動量をいったん減らすことを検討してください。
長時間の立ち仕事
立ち仕事や長時間歩行が続くと、股関節の外側に負担がかかり、大転子周囲の痛みにつながるおそれがあります。
とくに、片足重心で立つ癖がある方や、猫背・反り腰・骨盤の傾きがある方は、左右どちらかの股関節に負荷が偏りやすい状態です。販売職や介護職、調理場、工場勤務など、同じ姿勢で立つ時間が長い仕事では注意しましょう。
また、靴底の外側だけが大きくすり減っている、片側の股関節だけが痛むといった変化も見逃せません。
痛みがあるときは、こまめに休憩を入れる、立ち方を見直す、クッション性のある靴に替えるなど、股関節への負担を減らす工夫が必要です。
肥満体型
体重が増えると、歩行・階段・立ち上がりのたびに股関節外側へかかる負担も大きくなります。大転子滑液包炎では、こうした負荷が積み重なって痛みにつながるケースが少なくありません。
とくに、長時間の立ち仕事や運動量の急な増加、歩き方のクセが重なると、大転子周囲に摩擦や圧迫が起こりやすくなります。
体重管理は、股関節への負担を減らす有効な対策の一つです。痛みがある時期に無理な運動を始めると、かえって症状が強くなることがあります。
まずは食事の見直し、痛みの出にくい範囲の歩行などから始めましょう。
大転子滑液包炎の診断方法
大転子滑液包炎の診断では、問診・身体所見・画像検査を組み合わせて、股関節外側の痛みの原因を調べます。
問診で確認するのは、痛む場所や痛みが出る動作、発症前の運動量、仕事での負担などです。痛い側を下にして寝るとつらい、長く座ったあとに立ち上がると股関節の外側が痛む、といった経過も判断材料になります。
身体所見では、大転子周囲を押したときの圧痛や、股関節を動かしたときの痛みを見ます。必要に応じてレントゲンで骨や股関節の状態を調べ、変形性股関節症など別の病気がないかも確認の対象です。
さらに詳しい評価が必要な場合は、MRIや超音波検査で滑液包の炎症や水がたまっていないか、腱の状態を調べることがあります。
なお、腰椎疾患や坐骨神経痛(お尻から足にかけて痛む症状) でも似た痛みが出るため、自己判断せず整形外科で原因を確認しましょう。
大転子滑液包炎の治療方法
大転子滑液包炎の治療では、まず痛みを誘発する動作や圧迫を減らし、股関節外側への負担を整える方法が検討されます。
ここでは、保存療法・血管内治療・PRP療法に分けてポイントをまとめました。
保存療法
大転子滑液包炎では、痛みを抑えながら股関節外側への負担を減らす保存的治療が基本です。
痛みが強い時期は、ランニング・長距離歩行・階段の上り下りなど、症状を誘発しやすい動作を控えましょう。痛い側を下にして寝る姿勢や、長時間同じ姿勢で立ち続ける習慣も、大転子への圧迫につながりかねません。
必要に応じて、消炎鎮痛薬の内服や湿布、ステロイド注射などが選択されるケースもあります。理学療法では、股関節まわりのストレッチや筋力トレーニングを行い、歩行時の負担の偏りを整えていきます。
保存療法で痛みが続く場合、手術が選択肢になることもありますが、一般的な第一選択ではありません。診断の見直しや治療方針については、医師に相談して進めましょう。
血管内治療(カテーテル治療)
大転子滑液包炎の痛みが慢性化している場合、異常な新生血管を標的にする血管内治療(カテーテル治療)が選択肢になることがあります。
慢性化した痛みで、痛みがある部位の周辺に異常な血管や神経が関係していると考えられる場合に、カテーテルで血流を調整し、痛みの軽減を目指す治療法です。
日帰りで対応できる場合もあり、入院を避けたい方にとって検討しやすい治療法です。
ただし、股関節外側の痛みがすべて大転子滑液包炎によるものとは限りません。腰椎疾患や腱の障害など、別の原因が隠れていると、治療後も痛みが残る可能性があります。痛みが続くときは、医師による再評価を受けましょう。
PRP療法(再生医療)
大転子滑液包炎で保存療法を続けても痛みが長引く場合、PRP療法が治療の選択肢になります。
PRP療法は、患者様自身の血液を遠心分離にかけ血小板を濃縮した液体を精製し、痛みのある部位へ注入する再生医療の一つです。血小板に含まれる成長因子などが炎症を抑える働きを活用します。
入院や手術は不要で、体への負担が少ないのが特徴です。
ただし、股関節外側の痛みの原因が滑液包だけとは限りません。腱の障害や腰椎疾患が関係している場合もあるため、PRP療法を検討する際は、まずは専門の医師の診断を受けましょう。
再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
大転子滑液包炎の予防法
股関節の外側に痛みが出ると、歩く・立つ・寝返りを打つといった動作まで負担に感じやすくなります。再発を防ぐには、大転子まわりへの摩擦や圧迫を減らしながら、筋肉の柔軟性と支える力を保つ工夫が必要です。
ここでは、ストレッチ・マッサージ・適度な運動・生活習慣の見直しについて解説します。
ストレッチ
股関節外側の筋肉が硬くなると、大転子周囲への摩擦や圧迫が強まります。痛みが落ち着いている範囲で、股関節まわりをゆっくり動かしましょう。
寝た状態で行うストレッチの手順は、以下のとおりです。
- 仰向けに寝る
- 両方の股関節と膝を曲げ、膝を立てる
- 両膝をそろえたまま、ゆっくり左側へ倒す
- 同じように、両膝をそろえたまま右側へ倒す
- 左右交互に10回ずつ行う
膝を倒すときは、反動をつけずに動かします。
股関節の外側に痛みが出る場合は無理に続けず、倒す角度を浅くするか中止してください。痛みを我慢して伸ばすより、毎日続けやすい範囲で行うことが大切です。
マッサージ
太ももの外側からお尻の外側にかけて筋肉が硬くなると、大転子周囲に負担がかかりやすくなります。
股関節の動かしにくさを感じる場合は、痛みの出ない範囲でマッサージを取り入れましょう。
マッサージは、膝の外側からお尻の外側にかけて行います。手のひらを当て、少し圧をかけながら皮膚を動かすようにほぐしてください。硬さを感じる部分は、1カ所につき30秒程度を目安に、無理のない強さで行いましょう。
大転子の痛みが強い部分を直接強く押すと、かえって刺激になるおそれがあります。強い痛みや熱感があるときは自己判断で続けず、整形外科や理学療法士に相談しましょう。
適度な運動
股関節外側を支える筋肉が弱くなると、歩行や階段の動作で大転子まわりに負担が偏りやすくなります。
痛みが落ち着いている時期は運動に取り組み、無理のない範囲で股関節周囲の筋力を保ちましょう。
たとえば、以下のような運動がおすすめです。
- スクワット:大腿四頭筋や大殿筋を鍛える
- 足を横に開く運動:中殿筋や小殿筋を鍛える
- 立位で行う運動:椅子や手すりにつかまり、転倒を防ぐ
運動中は、つま先と膝の向き、体の傾きに注意してください。
また、股関節の外側に痛みが強く出る時期は控え、無理のない範囲で行いましょう。
規則正しい生活習慣
大転子滑液包炎の予防では、股関節外側に負担が集中しにくい生活習慣を整えることも欠かせません。
運動量だけでなく、体重・姿勢・靴・寝方なども痛みに関係する場合があるのです。
日常生活では、以下のポイントを見直しましょう。
- 定期的な運動で、股関節周囲の筋力低下を防ぐ
- 食事を見直し・体重管理により股関節への負担を減らす
- 片足重心、脚を組む、猫背、反り腰などの姿勢のクセを見直す
- クッション性のある靴を選び、靴底のすり減り方も確認する
- 長時間立つ場合は、こまめに休憩し体重のかけ方を変える
- 横向き寝で痛む場合は痛い側を下にせず、膝の間にクッションを挟む
痛みが続いているときに自己判断で運動量を増やすと、股関節外側への負担を強めてしまうおそれがあります。
歩行や階段、寝返りで痛みが続く場合は、整形外科へ相談しましょう。
まとめ|大転子が痛いと感じたら大転子滑液包炎の可能性あり
大転子滑液包炎は、ランニングやサイクリング、階段の上り下り、長時間の歩行などをきっかけに起こることがあります。
股関節の外側へ負担がかかり続けると、歩く・立ち上がる・横向きで寝るといった日常動作でも痛みを感じやすくなるため要注意です。
押すと股関節の外側が痛む、痛い側を下にして寝られない、階段や歩行で太ももの外側まで痛みが広がる場合は、大転子滑液包炎が関係しているかもしれません。
痛みを我慢して運動を続けるのではなく、早めに整形外科で原因を確認しましょう。
治療は保存療法が基本ですが、痛みが長引く場合はPRP療法などの再生医療も選択肢の一つです。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。運動で痛みを感じてお困りの方は、情報収集の一つとしてご活用ください。
\無料オンライン診断実施中!/
大転子滑液包炎に関するよくある質問
大転子が痛いと感じたら何科を受診すればいいですか?
整形外科を受診しましょう。大転子滑液包炎の痛みを放置すると、症状が慢性化するリスクがあります。
股関節周りに痛みや違和感を感じたら、なるべく早く病院を受診してください。
大転子滑液包炎をほっとくと治りませんか?
大転子滑液包炎は、負担を減らすことで落ち着く場合があります。
ただし、痛みを我慢して歩行や運動を続けると、症状が長引くこともあるため注意が必要です。股関節外側の痛みが続くと、歩く量が減り、筋力低下につながる場合があります。
寝返り・階段・立ち上がりに支障が出ている場合は、早めに整形外科で相談しましょう。
大転子滑液包炎にリハビリは有効ですか?
リハビリは、股関節まわりの柔軟性や支える力を整える方法として用いられます。
専門家の指導のもとで、可動域を広げる訓練や筋力を保つ運動を行います。自己流で強く伸ばしたり、痛みを我慢して鍛えたりすると、逆効果になるおそれがあるため注意してください。
股関節が痛いときはロキソニンを服用してもいいですか?
股関節の痛みがつらいときは、市販のロキソニンSなどの鎮痛薬を一時的に使える場合があります。
ただし、胃腸が弱い方や持病がある方、ほかの薬を服用している方は、購入前に必ず医師や薬剤師へ相談してください。
3〜5日間服用しても痛みが続く場合は服用を中止し、医療機関を受診しましょう。
大転子滑液包炎にテーピングは有効ですか?
テーピングは、股関節まわりの動きを補助し、痛みのある部位への負担を和らげる目的で使われることがあります。
ただし、テーピングはあくまで補助的なものであり、炎症そのものを治す効果はありません。痛みが続く場合は、テーピングで様子を見るだけでなく、整形外科で根本的な原因を調べることが大切です。
また、長時間貼り続けるとかぶれの原因になり、強く巻きすぎると血行不良につながるおそれがあるため、使い方にも注意しましょう。
大転子滑液包炎は運動不足の原因になりますか?
大転子滑液包炎そのものが、直接運動不足の原因になるわけではありません。
ただし、股関節外側の痛みで歩行や階段を避ける期間が長くなると、活動量が減る可能性はあります。
痛みが落ち着いている範囲では、股関節まわりの筋力を保つ運動も大切です。無理に歩数を増やすのではなく、痛みが強くならない範囲で少しずつ動かしましょう。
大転子滑液包炎は寝るときに痛みますか?
大転子滑液包炎では、寝るときに痛みが出ることがあります。痛い側を下にして横向きになると、大転子周囲が圧迫され、股関節の外側に痛みが出やすくなるのです。
寝返りで痛む場合は、痛い側を下にしない、膝の間にクッションを挟むなど、股関節外側への圧迫を減らすように工夫しましょう。

















