恥骨結合炎を徹底解剖!原因から治療法までの全ガイド
目次
恥骨結合炎を徹底解剖!原因から治療法まで
「健康のためにランニングをはじめたら恥骨のあたりが痛い」「走ったあとや、ずっと座っていると痛みが増す」と困っていませんか?
恥骨とは、おへそから下に向かって手を滑らせていくと陰毛のあたりで触れる骨で、このまわりで炎症が起こることを恥骨結合炎(恥骨炎)といいます。
今の痛みが恥骨結合炎なのか、運動はやめたほうがいいのか、対処法はないのか気になりますよね。この記事では以下について解説します。
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正しい知識を身につけ、はやめに対処したり医師に相談して悪化をふせぎましょう!
恥骨結合炎(恥骨炎)の3つの原因
恥骨結合炎の原因は大きくわけて以下の3つです。
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恥骨は陰毛のあたりで左右から向かい合い、中央で軟骨をはさんで合流しています。この合流した部分を恥骨結合といい、スポーツや妊娠出産・感染症で炎症をおこすと恥骨結合炎になります。
原因を1つずつみていきましょう。
原因1:サッカーやランニングなどのスポーツ
恥骨結合炎を起こしやすいスポーツは以下のとおりです。
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ランニングやサッカー、ジャンプは恥骨のあたりに体重がかかりやすく、反復する運動なので恥骨結合に負荷がかかります。
例えば、1回や2回同じ場所を軽くぶつけても平気ですが、一定のリズムで何度もぶつけたら赤くなりますし痛みを感じます。この状態が恥骨のあたりで起こり続けると、恥骨結合や恥骨結合にくっついている周りの筋肉に炎症を起こします。
原因2:妊娠・出産
女性は妊娠・出産時に恥骨結合炎を起こしやすいです。
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妊娠後期では、産む準備のために出るホルモンで骨盤がゆるみ、赤ちゃんの頭が骨盤内におさまるため恥骨が圧迫されます。
赤ちゃんの頭が産道を通る出産時も、恥骨が強く圧迫されるので痛みがでやすいでしょう。
出産後、ゆるんだ骨盤は自然にもどりますが、すでに妊娠や出産で疲労がたまっている恥骨部は、赤ちゃんの抱っこなどの育児で炎症が起きやすい状態です。
妊娠後期から出産後まで恥骨のあたりが痛む場合は、はやめに助産師や医師に相談してください。
原因3:感染症
まれですが、感染症により化膿性の恥骨結合炎を起こします。
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泌尿器科や婦人科(帝王切開など)の術後感染や、尿道カテーテルなどで尿路感染を起こすと、骨盤内で炎症が起き恥骨結合炎になるケースがあります。
また、手術をしていなくても、健康な人が保菌している黄色ブドウ球菌や水まわりに常在する緑膿菌に感染することで化膿性恥骨結合炎を起こすため、まれではありますが頭に入れておきましょう。
恥骨結合炎の3つの症状
恥骨結合炎には以下の症状があります。
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ひとつずつ見ていきましょう。
恥骨部・鼠径部(そけいぶ)・下腹部の痛みや違和感がある
代表的な症状は恥骨部や鼠径部(足の付け根)・下腹部の痛みです。
ランニングなどの**運動後や股関節周りの筋肉が強く働いたあとに痛みます。**最初は違和感や鈍い痛みですが、悪化していくと刺すような鋭い痛みで激痛となることも珍しくありません。
症状が重くなると、かがんだり立ち上がるといった日常的な動作でも痛むようになり、安静にしていても痛みが続きます。
いつものように歩けない・走れない
うまく力が入らずいつものように歩けなかったり走れないといった症状があります。恥骨結合からお腹や内ももと繋がる筋肉もいっしょに炎症を起こすため、いつもと違った歩き方になったり、うまく走れません。
発熱がある
感染も起こしている場合は、からだが病原菌と戦うため発熱します。感染を起こしていない場合は発熱はありませんが、恥骨部が痛くて熱も出てきた場合はかならず病院を受診しましょう。
恥骨結合炎の診断方法
恥骨結合炎の診断は以下の3つでおこないます。
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それぞれ解説します。
診断方法①:触診
医師が実際に痛いところとその周辺を触り、痛みの正確な位置や痛みの程度を確認します。
痛いところを触られるのはつらいと思いますが、正しい診察のために触診は必要な検査なので、少しの間がんばりましょう。
診断方法②:MRI検査
MRI検査は、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)のことで、磁石と電磁波をつかって体内の組織を画像化します。
健康な組織と炎症(病変化)している部分とではコントラストが大きく違って写されるので、痛みの原因や場所をつきとめるために必要な検査です。
大きな筒状の機械に20分~1時間ほど入るため、閉所恐怖症の方は医師につたえましょう。また、MRIは強い磁力があり、体内に金属が入っている場合は検査ができないため、事前に医師に相談してください。
診断方法③:レントゲンやCT検査
MRIは時間のかかる検査のため、素早く撮影できるレントゲンやCT検査をおこないます。レントゲンやCTはX線をつかった検査で、骨の異常や炎症している部分をうつします。金属が入っていても検査が可能です。
恥骨結合炎は何科で診断してもらう?
恥骨結合炎は、骨や筋肉の異常のため整形外科で診断・治療します。
運動後だったり恥骨の痛みや場所がはっきりしている場合は整形外科を受診しますが、妊娠出産前後の恥骨結合炎は助産師や産婦人科にまずは相談しましょう。
恥骨結合炎の治療法
恥骨結合炎の治療法をまとめました。
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それぞれ解説します。
保存的加療
恥骨結合炎の治療では、手術をしない保存的な治療がメインです。
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恥骨結合の炎症がおさまるまでは薬を飲んだり、冷やして安静にしましょう。
傷ついた筋肉や痛みをかばうためにほかの筋肉も疲労しているので、痛みがひいてきたら医師の指示のもとマッサージやストレッチをおこないます。3週間ほどは運動を制限しながらのリハビリで筋肉を強化し、すこしずつ運動量を増やして数か月でスポーツができるまでに回復します。
ただし、恥骨結合炎は再発しやすい病気なので絶対に無理しないようにし、医師の判断のもと治療しましょう。
最新の治療法
恥骨結合炎の最新の治療法はこちらです。
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恥骨結合炎の重症例ではお腹をひらく開腹手術が一般的ですが、最近では内視鏡をつかってお腹をきらずに手術をおこなう内視鏡的恥骨結合掻爬がおこなわれます。
そのほか、手術適応ではないけれど再発を繰り返す場合に、運動器カテーテル治療が注目されています。
運動器カテーテル治療とは、足の付け根や手首などの結果から0.6mmほどのカテーテルを入れ、病変部位の細かい血管を減らす治療のこと。炎症が起こると、その周囲に細かい異常な血管がたくさんできますが、カテーテルで異常な血管をなくすことで痛みや炎症をおさえます。
まだ新しい治療方法のため保険適用ではありませんが、いま注目されている治療法です。
自宅で予防できるストレッチ5選
恥骨結合炎は再発しやすく、一度症状が出ると治るのに時間がかかるため、日頃から予防したいですよね。
恥骨にくっついている筋肉は、大内転筋・小内転筋・長内転筋・薄筋・恥骨筋・腹直筋などで、内ももや股関節まわり・下腹部にあります。これらの筋肉をほぐすストレッチで予防しましょう!
(注)炎症が強い場合や痛みがあるときは自己判断でやらず、かならず医師の診察をうけてください。
内もも・股関節のストレッチ①
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背中が曲がらないように気をつけましょう。
内もも・股関節のストレッチ②
- 大内転筋ストレッチの姿勢から、両足をすこし前に出します。(ダイヤの形)
- 手は両足のつま先をつつみ、上半身を前へたおします。
- ゆっくり3回ほど呼吸します。(約20~30秒)
両足の位置は少し調整し、気持ちのいいところでおこなってくださいね。
内もも・股関節のストレッチ③
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上半身を前にたおすときに、つま先が上になるように気をつけましょう。
お腹のストレッチ①
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目線はななめ上または正面に向け、無理せずおこないましょう。
お腹のストレッチ②
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天井を見るときに顎が上がると首を痛めやすいので顎をひいておこないましょう。
日常生活での注意点
恥骨結合炎は数週間~数か月と完治まで時間がかかり、再発もしやすい病気のため、日常生活に気をつけなくてはいけません。
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恥骨結合炎の治療・予防に重要な2つの注意点をまとめました。
日常生活の注意①:姿勢や動作
恥骨に負担がかかりやすいのは、体重が前にかかる・体重が左右にかたよるときです。
前傾姿勢にならないように注意するのと、片方の足に体重をかけて立たないようにしましょう。落ちたものを拾いたいときなどは、なるべく膝を曲げ体重が前にかからないようにします。
ベッドから起き上がる動作は下腹部・恥骨に力がかかるので、**まず横向きになり手で床を押しながら起き上がりましょう。**床に敷く布団だと、起き上がりはベッドと同様にできても立ち上がる動作がどうしても負担になります。可能であればベッドを使用するといいです。
ビーズクッションなどのやわらかいソファは立ち上がる動作が負担になるので使用はひかえましょう。
日常生活の注意②:体重のコントロール
恥骨に負担がかかるのは体重がかかるときなので、肥満の場合は体重を落とすことも考えます。とはいっても、治療中だと運動は制限されるので、食事内容や量を見直しましょう。
肥満ではなくてもスポーツをしていて恥骨結合炎になった方は、運動を制限する治療期間中の消費カロリーが大幅に減ります。
同じように食べていると体重が増えてしまうため、注意しましょう。
恥骨結合炎と似ている病気
恥骨結合炎に似ている病気もあるため、症状や痛みの具合から「恥骨結合炎かも?」と思っても、自己判断しないようにしましょう。自分でそうだと思い込み対応するとかえって悪化することがあります。
恥骨結合炎とよく間違えられる病気をご紹介するので、参考にしてください。
グロインペイン症候群
グロインペイン症候群は鼠径部痛症候群ともいわれ、恥骨結合炎と症状が似ており間違えられやすい病気です。鼠径部は「そけいぶ」と読み、足の付け根あたりを指しますが、グロインペイン症候群では足の付け根、下腹部、睾丸のうしろ、内ももが痛みます。
痛みの場所もですが、サッカー選手に多く見られることも恥骨結合炎と似ています。
恥骨結合炎と違うのは恥骨部分の炎症がないことで、グロインペイン症候群の治療では股関節だけを動かさないような運動の仕方や筋力強化のためのリハビリが主です。
炎症が起きている場合は運動制限が必要なので、似た症状でも治療内容が異なることを頭にいれておきましょう。
恥骨結合離開(ちこつけつごうりかい)
恥骨結合炎と間違えられやすい病気に恥骨結合離開があります。
事故などの外圧や出産などで左右からのびた恥骨を結合させている軟骨が離れています。離れてしまう状態のことで、症状は恥骨結合炎と同じく恥骨部の痛みですが、時折、痛みが非常に強くなるために、正常に歩行することが困難になる状況も存在します。
通常は運動しただけで離開することはありませんが、腰を強く強打したあとに痛み出した・出産後に強い痛みがある場合は医師に相談しましょう。
恥骨結合炎(恥骨炎)の治療法・予防法まとめ
いかがでしたか?
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ここまで4つのポイントを解説してきました。
恥骨結合炎は、完治まで長い時間がかかり再発しやすい病気のため、日頃からストレッチをしたり、恥骨に負担をかけないよう動作に気をつけて過ごしましょう。
また、恥骨の痛みがなかなか治らない場合は似ているほかの病気も考えられるため、自己判断せず受診してくださいね。
参考文献一覧 Osteitis Pubis in Athletes: A Literature Review of Current Surgical Treatment |