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- 変形性股関節症
股関節の病気一覧|症状・原因・治療法をわかりやすく解説
股関節の痛みや違和感を感じている方は多いのではないでしょうか。
股関節の病気は、年齢による変化や炎症、生まれつきの要因など原因は人によって異なります。また、スポーツや転倒などによる股関節の怪我にも注意が必要です。
この記事では、代表的な「股関節の病気」を一覧で紹介し、症状や治療法をわかりやすく解説します。
なお、股関節の病気に対しては再生医療という手術を伴わない治療法も選択肢の一つです。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。
股関節の病気一覧
股関節の痛みや違和感の原因には、さまざまな病気や怪我があります。
主な病気を症状や原因ごとに紹介します。
| 病気の名前 | 症状 |
|---|---|
| 変形性股関節症 |
|
| 大腿骨頭壊死症 | 突然、痛みが現れる |
| 関節リウマチ |
|
| 臼蓋形成不全 |
|
| 大腿骨頸部骨折 | 転倒後に立てない、歩けない |
| 股関節唇損傷 |
|
| 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI) | 股関節を深く曲げたり捻ったりすると痛みが強くなる |
| 化膿性股関節炎 |
|
股関節の病気は加齢や使いすぎだけでなく、子どもや若年層にも起こります。また、痛みの原因は一つではなく体の使い方や筋力バランス、体重による負荷などの生活習慣も影響します。
原因を見極めるためには整形外科での画像検査(X線やMRIなど)や医師の診断が欠かせません。
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り痛みや動かしにくさが生じる病気です。
変形性股関節症の主な原因は、以下の通りです。
- 加齢による軟骨の摩耗
- 筋力の低下
- 体重増加による負担
- 過去のけが
- 先天的な股関節の異常(臼蓋形成不全)
次のような症状がある場合は、変形性股関節症を疑いましょう。
- 立ち上がるときや歩き始めに股関節が痛む
- あぐらをかく、靴下を履くなどの動作がしにくい
- 長時間歩くと足の付け根がだるくなる
- 朝起きたときに股関節がこわばる
症状を放置すると、関節の変形が進行して歩行が難しくなったり、安静にしていても痛んだりして日常生活に支障をきたす恐れがあります。股関節の痛みが続く場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
当院で行った変形性股関節症に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。
【関連記事】
変形性股関節症とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説
大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)は、股関節の骨の先端(大腿骨頭)に血液が十分に届かなくなり、骨が壊死してしまう病気です。血流が途絶えることで骨がもろくなりつぶれるように変形してしまうと、強い痛みや歩行障害を引き起こします。
ステロイド薬の長期使用や多量の飲酒が影響する場合がありますが、はっきりした理由がわからないケースもあります。発症年齢は30〜50歳代に多く、比較的若い世代にも起こりうる病気です。
骨が壊死しても初期には痛みがなく、骨がつぶれ始めた時点で初めて症状が現れるのが特徴です。
以下のような症状がみられる場合は大腿骨頭壊死症の可能性があるため、早めに整形外科で検査を受けましょう。
- 腰や膝、股関節の痛み
- 突然、痛みが現れる
- 安静にしていると痛みが和らぐ
なお、似た病気に「ペルテス病(大腿骨頭壊死症の一種)」があり、子どもに発症するケースも報告されています。進行すると関節の変形を引き起こし、歩行に支障をきたすこともあります。
当院の大腿骨頭壊死症に対する再生医療について、以下の症例記事をご覧ください。
【関連記事】
大腿骨頭壊死症の原因とは?生活習慣との関連性や予防法について紹介
関節リウマチ
関節リウマチは、自分の免疫が関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節の内側を覆う滑膜(かつまく)という薄い膜が炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こします。進行すると軟骨や骨が破壊され、関節の変形や可動域の制限につながる場合があります。
以下のような症状がある方は、関節リウマチの可能性を疑ってみましょう。
- 朝起きたときに関節がこわばる
- 関節の腫れや痛みがある
- 複数の関節に症状が出る
リウマチは早期に治療を始めることで、関節破壊を防ぎやすくなります。関節の痛みやこわばりが続く場合は、整形外科やリウマチ専門医の受診を検討しましょう。
当院で行った関節リウマチに対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。
【関連記事】
関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 | リペアセルクリニック東京院
臼蓋形成不全
臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は、生まれつきまたは発育の過程で股関節の受け皿(臼蓋)が浅い状態を指します。股関節が不安定だと成長とともに関節に負担がかかり、将来的に変形性股関節症を発症するリスクが高まるといわれています。
以下のような様子が見られる場合は、臼蓋形成不全の可能性を疑ってみましょう。
| 時期 | 主な症状 |
|---|---|
| 乳児期 |
|
| 壮年期以降 |
|
乳幼児健診などで股関節の開きが悪いと指摘された場合や歩き方に違和感がある場合は、早めに整形外科で検査を受けましょう。
当院で行った臼蓋形成不全に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。
大腿骨頸部骨折
大腿骨頸部骨折は、股関節のすぐ下にある大腿骨の首の部分(頸部)が折れるケガです。とくに骨粗しょう症で骨がもろくなった高齢者に多く、転倒や転落をきっかけに発生します。中には、軽く捻った程度で骨折するケースもあります。
以下の症状がある場合は、大腿骨頸部骨折を疑いましょう。
- 転倒後に立てない、歩けない
- 足を動かすと強い痛みがある
- 足の向きが外側にねじれている
- 数日前から足の付け根を痛がっていたが、急に立てなくなった
大腿骨頸部骨折は、寝たきりや日常生活に影響する恐れがあります。
また、骨折部位の血流が悪くなることで大腿骨頭壊死症につながる可能性もあります。転倒後に足の付け根に違和感がある場合は早めに整形外科を受診しましょう。
股関節唇損傷
股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)は、股関節にある関節唇と呼ばれる軟骨組織が傷つく病気です。
主な原因は、以下の通りです。
- サッカー・バレエ・ゴルフなど股関節を大きく動かすスポーツ
- 転倒や衝突
- 大腿骨寛骨臼インピンジメントや臼蓋形成不全により関節唇に過度な負担がかかった
以下の症状がみられる場合、股関節唇損傷かもしれません。
- 足を曲げたり捻ったりした際に股関節が痛んだり引っかかるような感じがする
- 立ち上がりや自転車の乗り降り、寝返りの際に痛みや違和感を感じる
- 股関節がぐらつき、抜けるような感覚がある
損傷の程度や原因によっては保存療法で改善する場合もありますが、痛みが続くときは手術を検討します。競技への復帰を目指す場合は医師や理学療法士の指導のもと、焦らず段階的にリハビリを進めましょう。
以下の記事では、股関節唇損傷の治療期間について解説しているので参考にしてください。
【関連記事】
股関節唇損傷はどのくらいで治る?治療期間や予防法も紹介 | リペアセルクリニック東京院
大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)
大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)は、股関節を構成する骨の形にわずかな異常があることで、骨同士がぶつかり合ってしまう状態を指します。バスケットボール・アイスホッケー・サッカーなど、股関節を大きく動かすスポーツによって股関節の関節唇が繰り返し擦れ、炎症や痛みが生じます。
大腿骨寛骨臼インピンジメントの症状は以下の通りです。
- 運動時に股関節の痛みや動きにくさを感じる
- 股関節を深く曲げたり捻ったりすると痛みが強くなる
- 股関節が抜けるような感じがする
初期は軽い違和感や痛みが一般的ですが、徐々に進行する恐れがあります。早めに整形外科を受診すれば、関節の損傷の進行を抑えられる可能性が高まります。
化膿性股関節炎
化膿性股関節炎は、股関節の中に細菌が入り込み関節内で炎症や膿が生じる感染症です。
乳幼児や高齢者、糖尿病や関節リウマチなど、免疫力が低下している方にみられるのが一般的です。また、人工関節の手術をきっかけに発症する場合もあります。
以下の症状があれば、化膿性股関節炎を疑ってみましょう。
- 股関節に急に強い痛みが出て、足を動かせない
- 股関節が腫れている
- 38度以上の高熱
- だるさや頭痛
- 乳幼児の場合はぐったりして足を動かそうとしない
炎症が進むと関節内の組織が破壊され、短期間で強い痛みや高熱を伴うのが特徴です。放置すると関節が変形して歩行が困難になる恐れがあるため、早期に整形外科を受診しましょう。
股関節の病気の受診目安
股関節の痛みが2週間以上続く、または一度良くなっても再び痛みが出る場合は、早めの受診を検討しましょう。
関節や筋肉に一時的な炎症が起きているだけなら自然に回復する場合もありますが、変形や血流障害などの病気が隠れている恐れがあります。
とくに、以下の症状がある場合は注意が必要です。
- 急に痛みが現れる
- 安静にしていても痛む
- 腫れて熱をもっている
- しびれや脱力感を伴う
- 脚の長さが左右で違って感じる
- 歩行が難しい・足を引きずる
- 発熱を伴う強い痛み
自身の症状を振り返り、整形外科の受診を検討しましょう。
股関節の病気の検査と診断
股関節の痛みで整形外科を受診すると、症状や動き方の確認に加えて画像検査や血液検査を行うのが一般的です。
主な検査の内容は、以下の通りです。
| 検査名 | 検査の内容 | 主に疑われる病気 |
|---|---|---|
| X線(レントゲン)検査 | 股関節の骨の形や関節の隙間を撮影する |
|
| MRI検査 | 骨・軟骨・靭帯・関節唇などの軟部組織を詳しく撮影する |
|
| CT検査 | 骨の形状を立体的に確認する |
|
| 血液検査 | 採血により炎症反応や免疫異常を調べる |
|
| 超音波(エコー)検査 | 音波で関節内部の状態をリアルタイムに観察する |
|
| 骨密度検査 | 骨の密度や強度を測定する | 大腿骨頸部骨折のリスク評価 |
検査によって痛みの原因を明確にできれば、治療方針を立てやすくなります。早めに診断を受けて回復への一歩を踏み出しましょう。
股関節の病気の治療法
股関節の治療には痛みの程度や進行度、年齢などに応じていくつかの方法があります。
- 保存療法
- 手術療法
- 再生医療
自分の細胞を活用して関節機能の回復をめざす再生医療という治療法についても紹介します。
保存療法|リハビリ・運動・薬物療法など
股関節の痛みが軽度な場合や進行をできるだけ抑えたい場合には、手術を行わずに症状を和らげる保存療法が選択されます。関節への負担を減らし可動域や筋力を保つことで、痛みの緩和と再発予防を目指します。
具体的な内容は、以下の通りです。
| 治療法 | 目的 | 内容 |
|---|---|---|
| リハビリ(理学療法) | 筋力・柔軟性を保ち、関節への負担軽減を目指す | 理学療法士の指導のもと、股関節まわりのストレッチや筋トレ、歩行訓練などを行う |
| 運動療法 | 体重コントロールと血流改善を促す | 水中ウォーキングや軽いストレッチなど、関節に負担をかけない運動を継続する |
| 薬物療法 | 痛みや炎症を抑える | 消炎鎮痛薬(NSAIDs)や湿布薬の使用。必要に応じてヒアルロン酸注射などを併用する |
| 生活指導 | 症状の悪化を防ぐ | 正しい姿勢の習慣化、和式動作の回避、体重管理など |
| 物理療法 | 熱や補助具で、痛みや動きの改善を図る | 入浴やホットパックで温めたり杖やサポーターを活用したりする |
上記の方法を組み合わせて経過をみながら、痛みや可動域の改善を目指します。十分な効果が得られない場合は、手術療法を検討する場合があります。
以下の記事では、変形性股関節症の保存療法について解説しているので参考にしてください。
手術療法|股関節鏡手術・人工関節置換術など
進行した股関節の病気では、薬やリハビリだけで十分な改善が見込めない場合、手術が選択肢となります。股関節の病気の代表的な手術には、股関節鏡手術・骨切り術・人工股関節置換術が挙げられます。
| 手術法 | 手術内容 | 主な対象例 |
|---|---|---|
| 股関節鏡手術 | 小さな切開から内視鏡を挿入し、関節内の損傷部を修復 | 軽度〜中等度の臼蓋形成不全や関節唇損傷など |
| 骨切り術 | 骨の向きや位置を整え、関節の負担を軽減 | 若年者の臼蓋形成不全 |
| 人工股関節置換術 | 痛んだ関節を人工関節に置き換える | 重度の変形性股関節症や進行例 |
股関節の手術は痛みの改善や機能回復に大きな効果が期待できる一方で、術後のリハビリや生活の工夫が欠かせません。また、手術後も股関節に過度な負担をかけないよう、体重管理や筋力トレーニングの継続が重要です。
医師とよく相談し、自分の生活や希望に合った治療法を選びましょう。
以下の記事は、股関節の手術を受けるリスクについて解説しているので参考にしてください。
再生医療|自分の細胞を活用する治療法
人工関節手術を受ける前の段階であれば、再生医療も選択肢の一つです。再生医療では、自身の身体から採取した細胞や血液の成分を活用し、損傷した組織にアプローチを試みます。
主な治療法は、以下の通りです。
- 幹細胞治療:軟骨や骨、靭帯などさまざまな細胞に変化できる幹細胞を用いた治療法
- PRP治療:血液に含まれる成分の炎症を抑える働きを利用する治療法
入院や大きな手術を行わず、日帰りで受けられる点が特徴です。入院や手術を避けたい方、保存療法を続けても痛みが残る方にとって、再生医療は一つの選択肢となります。
当院「リペアセルクリニック」では、脂肪由来の幹細胞を用いた自己脂肪由来幹細胞治療と、血液から採取した血小板を活用するPRP療法を行っています。
実際に再生医療を受けられた方の経過については、症例一覧ページでご紹介しているので、治療を検討される際の参考としてご覧ください。
まとめ|股関節の病気は早期発見と適切な治療が重要
股関節の痛みや違和感は、加齢・外傷・血流障害・炎症などさまざまな原因で起こります。どの病気も、早期発見・早期治療が進行の予防につながります。気になる症状が続くときは、整形外科を受診しましょう。
主な股関節の病気は、以下の通りです。
股関節の病気は、保存療法・手術・再生医療など状態に合わせた多様な治療法が検討できます。手術を避けたい方は、自分の細胞を用いる再生医療が選択肢となる場合もあります。
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股関節の痛みに関するよくある質問
股関節の痛みは何科を受診すれば良い?
股関節の痛みや違和感がある場合は整形外科を受診しましょう。
整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を通して、骨・軟骨・筋肉・神経などの異常を詳しく確認できます。痛みの原因がはっきりしないまま自己判断で様子を見ていると、変形や炎症が進行して治療が長引くおそれもあります。
股関節の病気を予防するには?
股関節の病気を予防するために日常から意識したいポイントは、以下の通りです。
- 体重管理:食事の見直しや有酸素運動を取り入れ、股関節にかかる負担軽減を目指す
- 筋力トレーニング:股関節周囲のストレッチ・軽い筋トレ・水中ウォーキングなどを習慣化して関節まわりの筋肉を強化する
- セルフチェック:足の開き方・歩き始めの違和感・靴のすり減り方などを確認して自分の股関節の状態を把握する
股関節に違和感や痛みを感じたら早めに生活習慣を見直して、将来的な変形や手術のリスク軽減につなげましょう。
股関節の病気は遺伝する?
股関節の病気の中には、遺伝的な要因が関係している可能性があることがわかっています。
近い親族に発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の患者が多いほど、変形性股関節症の発症リスクが高く、進行も早い傾向があるというデータがあります。(文献1)
ただし、必ず遺伝するわけではありません。同じ家系でも発症しない人も多く、肥満・重労働・生活習慣などの環境要因が大きく影響するケースもあります。また、原因がはっきりしない大腿骨頭壊死のような病気もあり、遺伝だけで説明できるものではありません。
家族に先天性股関節脱臼の既往がある場合は、乳児期の股関節健診を欠かさず受けるのが大切です。赤ちゃんの足が自然に“M字”のように開いた姿勢を保てるよう、抱っこやおむつ替えの仕方を工夫するなど、予防できる部分にも目を向けましょう。
遺伝要因の有無にかかわらず、股関節に違和感や痛みを感じたら、早めに整形外科で相談しましょう。
参考文献
(文献1)
発育性股関節形成不全の遺伝的リスクが変形性股関節症発症へ与える影響を解明| | 静岡県公立大学法人静岡県立大学














