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四十肩・五十肩とは?違いは?医師が徹底解説

四十肩・五十肩について原因から治療まで医師が解説
公開日: 2025.02.09 更新日: 2025.02.13

あなたは今、肩の痛みや動かしにくさに悩んでいませんか? 40代、50代で多く発症する四十肩・五十肩は、実は30代や60代でも発症する可能性があり、夜間の痛みが特徴的な、決して他人事ではない身近な症状です。

「まさか自分が…」と驚く人も多いこの肩の痛みは、シャツを着替えたり、髪を洗ったりする動作が辛くなります。 2023年の国民生活基礎調査によると、肩こりや肩の痛みを訴える人は増加傾向にあり、その背景には長時間のデスクワークや運動不足などが考えられます。

この記事では、四十肩・五十肩の特徴的な症状や、その原因となるメカニズムを、医師の解説を通して詳しく解説します。 夜間の激痛に悩まされ、熟睡できない日々を送っているあなたも、この記事で紹介する治療法によって、快適な睡眠を取り戻し、再び日常生活を楽しめるようになるかもしれません。 今すぐ、あなたの肩の悩みを解消する第一歩を踏み出しましょう。

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四十肩・五十肩の特徴と症状

四十肩・五十肩

四十肩・五十肩は、肩の痛みと動かしにくさを特徴とします。この症例は、私たち整形外科医には非常によくある相談です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、中年以降に多く発症することから、40代で発症すると四十肩、50代で発症すると五十肩という風に、おおよその年齢で呼び分けられています。

ただ、この年齢はあくまで目安です。30代前半でも、60代後半でも発症する可能性は十分にあります。私自身も、30代で四十肩のような症状を経験したことがあります。

主な症状と痛みの部位

四十肩・五十肩の主な症状は、肩の痛みと可動域制限、そして炎症です。

痛み: 痛み方にはいくつかのパターンがあります。

  • 初期には、肩を動かしたときにズキンとするような鋭い痛みを感じることが多く、安静時でも鈍い痛みが続く場合もあります。
  • 痛みの部位は肩関節の周囲だけにとどまらず、腕や首、時には背中まで広がることがあります。特に特徴的なのは、夜間に痛みが増強する「夜間痛」です。
  • 安静にしているはずの睡眠中に痛みが激しくなり、起きてしまうこともあります。

可動域制限: 肩関節の動きが悪くなることを「可動域制限」と言います。

  • 具体的には、腕を真上に上げること(挙上)、後ろに回すこと(外旋・内旋)、体の前で腕を交差させること(水平内転)などが難しくなります。
  • 腕の動きが制限されることで、日常生活での動作が苦痛になります。

炎症: 肩関節周囲の組織で炎症が起きているため、炎症に伴う腫れや熱感を伴う場合もあります。

 

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可動域制限のメカニズム

四十肩・五十肩で可動域制限が起こるメカニズムは、肩関節周囲の組織の炎症と癒着が主な原因です。

私たちの肩関節は、肩甲骨の関節窩という受け皿のような部分に、上腕骨頭というボールのような部分がはまり込む構造をしています。この関節は関節包という袋状の組織で包まれており、滑液という潤滑油の役割を果たす液体で満たされています。

四十肩・五十肩では、この関節包に炎症が起き、厚く縮んでしまいます。風船がしぼんで硬くなるイメージです。関節包が硬く縮むことで、肩関節の動きが制限されてしまうのです。

炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着してしまいます。例えるなら、くっつきにくいはずの食品ラップ同士がくっついてしまうような状態です。こうなると、さらに可動域制限が強くなります。

肩関節の動きが悪くなると、日常生活での様々な動作に支障をきたすだけでなく、動かすこと自体が怖くなり、さらに動かさなくなってしまう、という悪循環に陥る可能性があります。結果として、肩関節の拘縮がさらに進行してしまうのです。

糖尿病との関連性

糖尿病は、四十肩・五十肩のリスクを高めると言われています。高血糖の状態が続くと、血管が傷つきやすく、血流が悪くなります。肩関節周囲の組織も血流が悪くなることで、炎症が起こりやすくなり、四十肩・五十肩を発症しやすくなると考えられています。

また、糖尿病の方は痛みを感じにくい場合があり、四十肩・五十肩の症状に気づきにくく、重症化しやすいという側面も持っています。

糖尿病の方は、日頃から肩のストレッチなど、肩のケアを心がけ、異変を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。四十肩・五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行うことで、痛みの軽減や可動域の改善、そして日常生活の質の向上に繋がります。

四十肩・五十肩の原因と診断

四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周囲に炎症が起こり、痛みや動きの制限が生じる状態です。

肩関節周囲炎は、肩関節を包む関節包という組織が炎症を起こし、厚く縮んでしまうことが原因で起こります。まるで風船がしぼんで硬くなるように、関節包が硬く縮むことで肩関節の動きが制限されてしまうのです。

炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着を起こし、食品ラップ同士がくっついてしまうような状態になります。

原因となるリスクファクター

四十肩・五十肩の原因ははっきりと解明されていませんが、加齢、肩関節の使いすぎ、糖尿病などの病気が関係していると考えられています。

加齢に伴い、肩関節周囲の組織は老化し、炎症や癒着が起こりやすくなります。また、野球やバレーボールなどのスポーツ、重い荷物を持つ作業など、肩関節に負担をかけることも要因となります。糖尿病の方は、そうでない方に比べて四十肩・五十肩を発症するリスクが高いことが知られており、高血糖の状態が続くと血管が傷つきやすく、血流が悪くなることが原因の一つと考えられています。肩関節周囲の組織も血流が悪くなることで、炎症が起こりやすくなると考えられています。

さらに、甲状腺機能障害も四十肩・五十肩のリスクを高める要因として知られています。甲状腺ホルモンは、体の代謝を調節する重要なホルモンですが、このホルモンのバランスが崩れると、様々な体の機能に影響を及ぼします。肩関節周囲の組織も例外ではなく、甲状腺機能障害によって炎症が起こりやすくなり、四十肩・五十肩を発症しやすくなると考えられています。

診断に用いる検査方法

四十肩・五十肩の診断は、主に問診と診察によって行われます。医師は、肩の痛みの程度や、腕をどのくらい動かせるかなどを確認します。具体的には、腕を前や横に上げたり、後ろに回したりする動作で、どの程度まで動かせるかを調べます。

レントゲン検査を行う場合もありますが、これは他の病気を除外するために行うもので、四十肩・五十肩自体をレントゲンで診断することはできません。四十肩・五十肩は、肩関節の炎症や癒着が原因で起こりますが、これらの変化はレントゲンには写らないからです。

MRI検査では、肩関節周囲の組織の状態を詳しく調べることができ、炎症や癒着の程度を評価することができます。同様の変化は超音波検査でも観察でき、超音波検査は画像ガイド下注射療法に特に有用です。しかし、MRI検査や超音波検査は必ずしも必要ではなく、多くの場合は問診と診察だけで診断が可能です。

他の肩の疾患との違い(腱板断裂、頚椎症など)

四十肩・五十肩は、腱板断裂頚椎症などの他の肩の疾患と症状が似ていることがあり、鑑別が重要です。腱板断裂は、肩の上腕骨を支えている筋肉が、切れてしまう病気です。腱板断裂では、腕を特定の方向に動かしたときに強い痛みを感じることがあります。

また、夜間に痛みが強くなることもあります。四十肩・五十肩のように肩の動きが制限されることもありますが、腱板断裂の場合は、力を入れても腕を上げられない、腕がだらんと下がってしまうといった筋力低下の症状が見られることもあります。

頚椎症は、首の骨や椎間板が変形することで、肩や腕に痛みやしびれが出る病気です。頚椎症の場合、首を動かすと神経が圧迫されることで、手のしびれや動かしにくさなどの症状が現れたり、強くなることもあります。これらの症状の違いを把握することで、どの病気が疑われるかを判断することができます。

▼肩がズキズキと痛いときに考えられる原因について、併せてお読みください。

四十肩・五十肩の治療選択肢

四十肩・五十肩の治療は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれの治療法の特徴を理解できるよう、わかりやすく説明しましょう。

保存療法の種類と効果

保存療法とは、手術をせずに痛みや炎症を抑え、腕を動かせるようにする治療法です。具体的には、薬物療法、注射療法、理学療法、装具療法などがあります。これらの治療を複合的に行うことが多いです。

  1. 薬物療法: 痛みや炎症を抑えるための薬を内服したり、外用薬として患部に塗ったりします。消炎鎮痛剤は、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、痛みや炎症を和らげます。

  2. 注射療法: 肩関節に直接、薬剤を注射する方法です。ステロイド注射は、強力な抗炎症作用で炎症を抑え、痛みを素早く軽減します。ただし、ステロイド注射は、何度も繰り返すと腱を弱める可能性があるため、使用回数には注意が必要です。ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにする潤滑油のような役割を果たし、関節の動きを改善します。

  3. 理学療法: 理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋トレ、温熱療法などを行い、肩の可動域を広げ、日常生活動作の改善を目指します。理学療法は、四十肩・五十肩の治療において最も重要な要素の一つです。特に、肩甲骨の動きを改善する運動は効果的です。
    私の経験では、肩関節は複雑なので、やはりリハビリ治療を行うことで、治療期間はずいぶん短縮できる例が多かったです。

  4. 装具療法: 安静時や夜間就寝時に、肩関節を固定する装具を装着することで、痛みを和らげ、関節を保護します。

保存療法の効果は、症状の程度や個人差があります。保存療法を3~6ヶ月行った後も症状の改善が見られず、日常生活に支障が出る場合は、手術療法が検討されます。医学文献では、保存的治療で多くの患者が改善すると報告されています。

手術療法の適応とリスク

保存療法で十分な効果が得られない場合や、関節が著しく硬くなってしまった場合、手術も考えないといけません。

手術療法には、麻酔下での関節モビライゼーションや関節鏡下関節包遊離術などがあります。

  • 麻酔下での関節モビライゼーション: 全身麻酔下で肩関節を動かし、硬くなった関節包を強制的に剥がす方法です。別名、マニプレーションとも言います。
  • 関節鏡下関節包遊離術: 小さな切開部からカメラと特殊な器具を挿入し、癒着した関節包を切開する方法です。傷が小さく、術後の回復も早いというメリットがあります。

手術療法は、保存療法よりも短期間で効果が高いとされていますが、合併症のリスクも存在します。合併症には、骨折、神経麻痺、感染症などがあります。

手術をしない新しい治療(再生医療)

ご自身の身体にある幹細胞を使って、日帰り、簡単な注射だけで、手術以上の効果の見込める再生医療という治療があります。肩の手術後は肩関節が固まる現象がよくみられます。そういうこともあって、私たち整形外科医は、よほど辛かったり、動きが悪いという以外は、肩の手術はあまり積極的に患者様には勧めていません。

しかし、リペアセルクリニックでは、肩に特化した再生医療を行うことで、多くの患者様を笑顔にしてきました。再生医療についてこちらで詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

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痛みの軽減とリハビリテーションの重要性

四十肩・五十肩の治療において、痛みの軽減とリハビリテーションは非常に重要です。痛みは、日常生活の動作や睡眠を妨げ、生活の質を低下させます。痛みが強い場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な薬物療法や注射療法を受けるようにしましょう。

リハビリテーションは、肩関節の可動域を回復し、筋力を強化するために不可欠です。理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋トレなどの運動療法を行い、肩の機能回復を目指します。無理のない範囲で、日常生活でも積極的に肩を動かすように心がけましょう。

早期に適切な治療を開始することで、痛みの軽減や機能回復を促進し、日常生活への復帰を早めることができます。焦らず、医師や理学療法士と相談しながら、治療を進めていきましょう。

参考文献

  1. Fields BKK, Skalski MR, Patel DB, White EA, Tomasian A, Gross JS and Matcuk GR Jr. “Adhesive capsulitis: review of imaging findings, pathophysiology, clinical presentation, and treatment options.” Skeletal radiology 48, no. 8 (2019): 1171-1184.
  2. Dang A and Davies M. “Rotator Cuff Disease: Treatment Options and Considerations.” Sports medicine and arthroscopy review 26, no. 3 (2018): 129-133.
  3. Redler LH and Dennis ER. “Treatment of Adhesive Capsulitis of the Shoulder.” The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 27, no. 12 (2019): e544-e554.
  4. Fernández Martínez AM, Alonso DR, Baldi S, Arregui OB and Marcos MTC. “Frozen Shoulder.” Techniques in vascular and interventional radiology 26, no. 1 (2023): 100882.
  5. Cho CH, Bae KC and Kim DH. “Treatment Strategy for Frozen Shoulder.” Clinics in orthopedic surgery 11, no. 3 (2019): 249-257.
  6. “凍結肩(癒着性関節包炎):臨床医のためのレビュー”

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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