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右肩(左肩)がズキズキと痛い!医師が解説
心当たりがないのに、肩が急に痛くなったことはありませんか?痛みの原因には色々な要素が重なります。 四十肩・五十肩も一つの原因です。
最近では20~30代でも発症するケースが増えており、長時間の座り仕事や、携帯の長時間使用など、日常生活での肩への負担増加が原因の一つと考えられています。 そういった問題に対して、医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の痛みを予防し、快適な毎日を送るためのヒントが満載です。
目次
右肩(左肩)がズキズキと痛い
手の使用は、日常生活に欠かせませんので、肩が痛いととても不便ですよね。痛くて腕が思うように動かなくなったり、夜間痛も現れます。寝返りも辛いと言われる方もいます。そうなると寝不足になりますよね。そして、一番注意しなければいけないのは、肩関節が固まることです。これを関節の拘縮といいます。拘縮になると、長期間の治療とリハビリが必要となります。
今までの経験上、痛みが出てきて早期に治療することで、治療期間がかなり短縮できた患者さんが多くおられました。この記事では、痛みの原因としてどのようなものがあるのかを、現場で診療にあたる医師の視点も交えながら詳しく解説します。
痛みの原因
原因は以下のような疾患が特に多くみられます。それらをしっかりと鑑別して、適切に治療できれば、ほとんどの方は痛みが激減します。痛みの種類や、他にどんな症状があるかによって原因が推測できますので、ご自身の症状をよく観察し、医療機関を受診する際の参考にしてみてください。
肩腱板損傷(断裂)
肩の周りにある筋肉が擦り切れたり、断裂して痛みが出る病気です。主に棘上筋というものが擦り切れてしまいます。経験上、転倒などの外傷や、高いところの荷物の上げたり下げたりする動作が原因となることが多かったです。
筋肉の炎症(腱板炎、石灰沈着性腱板炎など)
肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。
この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化など様々です。
例えば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすいです。腱板炎の特徴として、腕を特定の方向に動かした時や、夜中に痛みが出やすいです。
石灰沈着性腱板炎は、40代~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす病気です。なぜ石灰が沈着するのかはまだ分かっていません。血流の問題や、年齢などが関係していると考えられています。この疾患はかなり痛みが強く、特徴として何もしていないのに、痛みが強くでます。そして、指で肩を押すと、痛い箇所がはっきりわかります。その指の奥に、石灰の沈着が存在します。そして、腕を動かさない時にも痛みがあります。
肩関節周囲炎は、いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれます。腕が動かしづらくなり、痛みが出ます。まれに肩から腕にかけて痺れが出るので、頸椎椎間板ヘルニアなどと間違われることもよくあります。肩関節周囲炎は、加齢とともに肩関節や靭帯が緩くなって、関節のバランスが崩れることで発症します。。40代~50代に多く見られますが、最近は20代や30代の若い世代でも発症するケースが増えています。これは、長時間座り仕事や携帯の長時間使用などが原因とされています。
変形性肩関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨同士が擦れて、痛みや炎症が生じる病気です。主に加齢が原因ですが、若い頃に怪我をしたとか、重労働をしていたなどが原因となります。初期は、動かさなくてもジンジンと鈍い痛みが続きますが、関節の変形が進むとさらに痛みが増します。そして動きも悪くなっていきます。末期になると、ゴリゴリ音もなることが多いです。肩関節周囲炎との比較として、変形性肩関節症は、肩関節のレントゲン写真で骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起や、関節裂隙の狭小化などの変化が確認できる点が挙げられます。
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神経の圧迫(胸郭出口症候群など)
胸郭出口症候群は、首から腕にかけて走る神経や血管が、鎖骨そのもので圧迫されたり、肋骨周りで押されることで、肩や腕、手に痛みやしびれ、だるさなどの症状が現れます。神経や血管が押されてしまう理由として、首の筋肉の緊張、鎖骨や肋骨の変形、姿勢の問題などがあります。
なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶことが多い人などに多く発症する傾向があります。携帯を触る時も、姿勢が悪くなりがちで、神経や血管が圧迫されやすいため注意が必要です。姿勢や生活習慣が大きく関わっているため、改善することで症状が和らぐ可能性があります。
頸椎椎間板ヘルニア
脊髄の神経が、圧迫されることで首や肩、そして腕にかけて痛みが出ます。肩が痛いという患者さんで、肩の検査をしても何もわからなかったが、首のMRIで原因が頸椎椎間板ヘルニアによるものと診断される方も比較的多くおられました。頸椎椎間板ヘルニアについてはこちらをご覧ください。
内臓疾患(狭心症、胆石症など)
肩の付け根の痛みは、内科領域のサインである場合もあります。狭心症や心筋梗塞、胸部大動脈解離症などでは、肩や背中に放散する痛みが出ることがあります。命に関わる重篤な病気である可能性もあるため、早急に医療機関を受診することが重要です。
また、胆石症などの胆嚢の病気でも、肩への関連痛が認めらます。胆石症では、脂肪分の多い食事を摂取した後に、右肩甲骨の裏側に激しい痛みが生じることがあります。そのほかに胸の痛みや吐き気、発熱などの症状が出てきます。
肩の痛みと同時に他の症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。
その他(外傷、腫瘍など)
肩の付け根の痛みは、転倒や衝突などによる外傷が原因で起こることもあります。例えば、腱板断裂は、転倒した際に肩に強い衝撃が加わることで起こることがあります。高齢者の場合は骨が脆くなっているため、軽微な外傷でも骨折してしまう可能性があります。また、スポーツ中に肩に強い力が加わった場合などは、脱臼や靭帯損傷などを起こすことがあります。
まれに、腫瘍が原因で肩の痛みが出ることがあります。腫瘍の場合は、痛み以外にも、しびれや腫れ、発熱などを伴うことがあります。
▼肩の痛みで疑うべき病気の種類について、併せてお読みください。
肩の付け根の痛みに効果的な対処法
肩の痛みは、原因や痛みの種類によって適切な対処法が異なってきます。適切な対処をすることで、痛みの悪化を防ぎ、より早く回復できる可能性が高まります。
痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤や湿布薬を使用することで痛みを一時的に和らげることができます。
鎮痛剤は、痛みを感じる神経の働きを抑えることで痛みを軽減する効果があります。飲み薬タイプ、貼り薬タイプ、塗り薬タイプなど様々な種類があるので、ご自身の使いやすいタイプを選びましょう。胃腸の弱い方は、胃への負担が少ないタイプのものを選ぶと良いでしょう。
冷湿布と温湿布がありますが、痛みが強い急性期には冷湿布を使用し、痛みが慢性化している場合は温湿布を使用するのが一般的です。血流が良くなり、筋肉の緊張が和らぐ効果が期待できます。ただし、湿布薬を貼ったまま長時間放置すると、皮膚がかぶれたりする可能性があるので注意が必要です。
市販薬を使用する際には、用法・用量を守り、決められた量以上使用しないようにしましょう。また、他の飲んでいる薬がある場合は、薬剤師や登録販売者に相談することをお勧めします。妊娠中や授乳中の方、持病のある方は、医師や薬剤師に相談してから使用してください。
これらの市販薬は、あくまで一時的な対処法です。
家庭でできるケア(ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法など)
家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法などがあります。
ストレッチは、肩や首の周りの筋肉をやわらかくして、痛みを和らげ、腕の動く範囲を広げる効果が期待できます。入浴後など、体が温まっている時に行うとより効果的です。ただし、痛みがある時に無理にストレッチを行うと、逆効果となるので注意しましょう。
マッサージすることで肩や首の筋肉をほぐし、血液の流れを良くして炎症を早く治めようとしてくれます。炎症とは、痛いという物質が痛いところに溜まることなので、血流が良くなれば、悪い物質が流れてなくなるという原理です。肩甲骨を意識して、肩甲骨を上下左右に動かすようにマッサージすると効果的です。ただし、痛みが強い場合はマッサージを避け、炎症が落ち着いてから行うようにしましょう。
温罨法は、温めたタオルなどを肩に当てることで、血流を促し、痛みや炎症を鎮める効果があります。。温罨法は、慢性的な痛みや、筋肉の張りが強い時に有効です。
冷罨法は、冷やしたタオルなどを肩に当てることで、痛みを和らげる方法です。痛みが強い急性期には冷罨法が適しています。
これらのケアを行っても痛みが改善しない場合は、医師と相談しましょう。特に、熱がある時や痺れが伴うときは要注意です。早いうちに受診することが重要です。
注射、リハビリテーション、手術など
問診、視診、触診、レントゲン検査などの画像検査によって診断をつけます。
痛みが強い場合は、注射によって炎症や痛みを抑える治療が行われます。ステロイド注射は強力な抗炎症作用があり、短期間で効果を発揮しますが、効果の持続期間は限られています。また、頻回に注射を行うと、副作用のリスクも高まるため、医師の指示に従って適切な頻度で注射を受ける必要があります。
肩関節が固くなって拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリを行い、関節の動きを改善していきます。運動療法は、多くの場合、手術と同等またはそれ以上の効果を示すことが報告されています。
肩の腱板断裂(損傷)では、痛みが強く日常生活が困難であるか、腕が上がらない時は手術が必要となります。近年では、関節鏡を用いた低侵襲手術が主流となっており、負担が少ない手術が可能です。しかし、整形外科医の間では、正直、肩の鍵盤の手術はできるだけしたくないものです。理由は、手術をしてもあまり痛みが取れなかったり、さらにわるくなる場合がよくあるのです。手術の後、肩の関節が固まってしまったり、縫合した腱板が再断裂する確率も高いのです。
そういった悩みを解決してくれたのは、実は再生医療なのです。入院、手術の必要がなく、手術よりも治療成績がいい。みなさんいいと思いませんか?こんないい話があるのか?と疑ってしまいますよね。私が、約10年再生医療に携わった結果、肩の再生医療には希望があると確信しています。ぜひこちらの動画をご覧ください。
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日常生活での注意点(姿勢、運動、睡眠など)
日常生活では、できるだけ意識して、正しい姿勢を保つように心がけましょう。姿勢が悪いと、どうしても猫背になり、さらに症状が悪化してしまいます。デスクワークの方、パソコン作業が多い方は、1時間に1回程度は休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を5分でもいいので行うといいでしょう。
適度な運動は、肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めます。ウォーキングや水泳など、肩に負担の少ない運動を継続して行うことが大切です。ただし、痛みがある場合は、早い目に医師に相談してから行うようにしましょう。
睡眠不足は、痛みや炎症を助長させる可能性があります。質の良い睡眠を十分に取るように心がけましょう。また、痛みが強い側の肩を下にして寝ないように注意することも大切です。抱き枕などを使用して、楽な姿勢で寝るように工夫してみましょう。
痛みの予防
痛みがあると、肩や腕はよく使うので、日常生活がとても苦痛になりますよね。私も診療で多くの患者さんを診ていますが、肩の痛みは放っておくと悪化し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。肩が上がらなくなったり、夜も眠れなくなったり…想像するだけでも恐ろしいですよね。
ですが、肩の痛みは予防できるんです!適切な運動習慣、デスクワーク時の姿勢改善、ストレッチやマッサージ。これらのケアを意識的に行うことで、健康な肩を維持し、痛みを予防できる可能性が高まります。
適切な運動習慣
肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。特に、肩甲骨を意識しましょう。肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕の様々な動きをサポートする重要な役割を担っています。
実はこの肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。
肩甲骨の動きを良くするおすすめの運動をいくつかご紹介します。
- 肩回し体操: 腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。前方向と後ろ方向を10回ずつ行いましょう。痛い時は、無理せず回せる範囲で行ってください。
- 肩甲骨はがし: 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。10回繰り返しましょう。これは肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。
- 腕立て伏せ: 肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えることができる非常に効果的な運動です。10回を目標に行いましょう。
これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。
また、適切な運動習慣を継続することで、肩甲骨の運動機能が改善され、肩関節疾患の発生リスクを低減できるという研究結果もあります(Ludewig PM and Reynolds JF. 2009)。 |
デスクワーク時の姿勢改善
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする大きな原因となります。猫背の姿勢では、肩甲骨が外側に広がり、肩関節への負担が増加し、痛みが発生しやすくなります。
次のようなことを心がけるといいでしょう
- 背筋を伸ばし、顎を引く: 顎を引くことで、自然と背筋が伸びやすくなります。
- 肩の力を抜いてリラックスする: 肩に力が入っていると、筋肉が張ってしまい、どうしても痛みが出やすくなります。
- 目線は正面に向ける: 目線が下に向いていると、猫背になりやすくなります。
- 足の裏全体を床につける: 足の裏全体が床についていると、姿勢が安定しやすくなります。
- 肘は90度を維持する: 肘の角度が適切だと、肩への負担を軽減できます。
- こまめに休憩をとる: 長時間同じ姿勢を続けると、逆に疲れが出て、痛みも増してしまいます。1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをする。
ストレッチやマッサージによるケア
ストレッチやマッサージは、かなりの効果が見込めます。お風呂上がりなど、身体か温かい時に行うとより効果的です。
いつも私が外来で教えているストレッチを紹介しますね。以下のものがあります。
- 肩回し: 前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。
- 首のストレッチ: 首をゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒します、それぞれ10秒間キープします。
- 腕のストレッチ: 片腕を胸の前に伸ばし、反対の手で肘を押さえて10秒間キープします。反対側も同様に行います。このストレッチは、肩周りの筋肉を柔らかくする効果があります。
マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。特に、肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛み予防に繋がります。
これらのケアを日常生活に取り入れ、肩の痛みを予防し、健康な肩を維持していきましょう。
まとめ
肩の付け根のズキズキとした痛み、不安になりますよね。その痛み、放っておくと悪化してしまうかもしれません。
この記事では、肩の痛みについてできるだけ、わかりやすく説明しました。自宅でもできる予防やストレッチ、治療法、そして予防策まで幅広く説明しましたので、参考にしてください。
市販薬や家庭でのケアで様子を見るのも一つの方法ですが、なかなか痛みが取れない時は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
また、日常生活での予防も重要です。正しい姿勢を保つ、適度な運動をする、ストレッチやマッサージを行うなどするように心がけましょう。肩の痛みを予防し、健康な毎日を送るためにも、この記事を参考に、ご自身の肩の状態に合ったケアを始めてみてくださいね。
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リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。
参考文献
- Kibler WB, McMullen J. “Scapular dyskinesis and its relation to shoulder pain.” The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 11, no. 2 (2003): 142-51.
- Ludewig PM, Reynolds JF. “The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies.” The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 39, no. 2 (2009): 90-104.
- “回旋腱板関連肩痛:評価、管理、そして不確定要素.” Manual therapy 23, no. (2016): 57-68.
監修者
坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。