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肩こり|医師がわかりやすく解説

肩こり 医師がわかりやすく解説
公開日: 2025.02.09 更新日: 2025.02.14

肩こり、経験したことがないという方は少ないのではないでしょうか? 実はその原因は、デスクワークや姿勢、運動不足、冷え性、そしてストレスなど、実に多様で、原因によって適切な対処法も異なります。肩こりは放置すると、頭痛や吐き気などの思わぬ症状を引き起こす可能性も。

本記事では、肩こりの原因とメカニズムを5つに分類し、具体的な症状や、日常生活で簡単に取り入れられる効果的な治療法・予防法まで、医師が詳しく解説します。肩こりに悩まされている方はもちろん、これから肩こりを予防したいという方も、ぜひご一読ください。

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肩こりの原因とメカニズム5選

肩こりは、誰でも身近に経験する可能性が高い症状です。しかし、「肩こり」と一言で言っても、その原因は人それぞれであり、原因によって適切な対処法も異なってきます。今回は、肩こりの原因とメカニズムを5つご紹介し、具体的な解説を加えながら、読者の皆様がご自身の肩こりの原因を理解し、適切な対策を講じるためのお手伝いをさせていただきます。

デスクワークなど長時間同じ姿勢での作業

肩こり 医師がわかりやすく解説現代社会において、デスクワークは多くの人にとって避けられない仕事スタイルとなっています。しかし、長時間同じ姿勢での作業は、肩こりの大きな原因となります。特にパソコン作業やスマートフォンの操作は、首を前に傾けた姿勢になりがちで、肩や首の筋肉に大きな負担がかかります。

長時間同じ姿勢を続けると、特定の筋肉が緊張し続け、血行不良に陥ります。肩甲骨は、腕の動きに合わせて上下左右に自由に動く骨です。デスクワークでは、肩甲骨周辺の筋肉や首の後ろの筋肉がどうしても凝ってきます。

例えば、パソコン作業中に画面に集中しすぎると、知らず知らずのうちに肩をすくめた状態になり、僧帽筋と呼ばれる肩の筋肉が過剰に緊張します。また、キーボード操作に集中すると、腕や手首の筋肉も緊張し、その緊張が肩まで伝わって肩こりを悪化させることもあります。

慢性的な頸部痛の患者を対象とした研究では、肩甲骨を中心とした抵抗運動が、マッサージよりも痛みの軽減、頸部の可動域の改善、僧帽筋の緊張緩和に効果的だったという結果が報告されています。この研究結果は、同じ姿勢での作業で凝り固まった筋肉を積極的に動かすことの重要性を示唆しています。つまり、肩甲骨を意識的に動かす体操やストレッチを日常生活に取り入れることで、肩こりの予防や改善に繋がることが期待できます。

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猫背などの姿勢不良

猫背などの姿勢不良も、原因です。正しい姿勢では、頭の重さは背骨全体で支えられています。しかし、猫背になると頭が体の前方に出てしまい、首や肩の筋肉で頭を支えなければならなくなります。5kg程度の重さのある頭を、首や肩の筋肉だけで支え続けると想像してみてください。筋肉への負担は相当なものになります。

ストレートネックも姿勢不良の一種です。本来、頸椎(首の骨)は緩やかなカーブを描いていますが、ストレートネックではこのカーブが失われ、まっすぐな状態になっています。ストレートネックになると、頭が前方に傾きやすく、首や肩の筋肉への負担がさらに増大します。

運動不足

運動不足は、筋肉量の減少や筋力の低下を引き起こします。すると、正しい姿勢を維持することが難しくなり、猫背やストレートネックになりやすくなります。

また、運動不足は血行不良になり、筋肉への酸素供給が不足し、老廃物が蓄積しやすくなります。やはり、肩こりの悪影響となります。

冷え性

冷え性は、末梢血管の収縮を引き起こし、血行不良を招きます。血行不良は、筋肉への酸素供給を阻害し、老廃物の排出を妨げ、肩こりが発生しやすくなります。特に、女性は男性に比べて筋肉量が少なく、冷えやすい傾向があるため、肩こりに悩まされることが多いです

ストレス

ストレスは、自律神経のバランスを崩し、交感神経を優位にさせます。交感神経が優位になると、筋肉が緊張しやすくなり、肩こりを引き起こします。また、ストレスは呼吸を浅くし、体内の酸素供給を低下させるため、これも原因となります.

ストレスと肩こりの関係は複雑ですが、精神的な緊張が身体をこわばらせるのは明らかです。ストレスを軽減するためのリラクセーション法やストレスマネジメント法を身につけることは、肩こりの改善にも繋がります。

例えば、ヨガや瞑想は、心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。また、ウォーキングなどの軽い運動も、ストレス軽減に効果的です。日常生活の中で、ご自身に合ったストレス解消法を見つけて実践していくことが大切です。

肩こりの症状と治療法・予防法

肩こりは、あまりにもありふれた症状であるがゆえに、放置されがちです。しかし、肩こりは放置すると日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、頭痛や吐き気などの他の症状を引き起こす原因にもなり得ます。

初期症状では、肩上部の僧帽筋という筋肉が緊張することで、肩まわりが凝ってきます。まるで肩に重いリュックサックを背負っているかのような感覚、あるいは首の後ろに鉄板が張り付いているかのような感覚を覚える方もいるかもしれません。

肩こり 医師がわかりやすく解説症状が進行すると、首や肩だけでなく、背中全体に硬さや痛み、不快感が広がり、日常生活にも支障をきたすようになります。例えば、朝起きた時に首が回らない、洗濯物を干すのが辛い、長時間座っているのが苦痛といった具体的な問題が生じます。

さらに、肩こりは肩や首の局所的な症状だけでなく、頭痛、吐き気、めまい、眼精疲労、歯痛などの他の症状を併発したり、誘発したりすることもあります腕や指先に痛みやしびれが出る場合もあります。これらの症状は、肩や首の筋肉の緊張が神経や血管を圧迫することで引き起こされると考えられています。

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肩こりの症状(肩の痛み、こり感、重さ、だるさ、頭痛、吐き気など)

肩こりの症状は実に多様で、肩や首の痛み、こり感、重さ、だるさなど、人によって感じ方が異なります。

症状 説明
痛み 肩や首、背中、腕、指先に感じる痛み。鋭い痛み、鈍い痛み、ズキズキする痛みなど、痛みの種類も様々です。
こり感 筋肉が硬く張っている感じ。肩や首を動かそうとすると、まるでゴムが引っ張られるような感覚があるかもしれません。
重さ 肩や首が重く感じる。まるで何キロもの重りが乗っているかのような感覚に襲われる方もいます。
だるさ 肩や首、腕のだるさ。まるで鉛のように重く、動かす気力さえ失せてしまうような感覚です。
頭痛 肩こりに伴う頭痛。緊張型頭痛が多いです。後頭部から首筋にかけて締め付けられるような痛み、あるいは頭全体が重く感じるような痛みなど、様々なタイプの頭痛があります。
吐き気 肩こりのひどい場合に起こる吐き気。ひどい肩こりは自律神経のバランスを崩し、吐き気を引き起こすことがあります。
めまい 肩こりによって引き起こされるめまい。回転性のめまいや、ふわふわとした浮遊感など、様々なタイプのめまいがあります。
眼精疲労 肩こりによって悪化する眼精疲労。目の奥が痛む、目がかすむ、目が乾くなどの症状が現れます。
しびれ 腕や指先に感じるしびれ。まるで針で刺されたようなチクチクとした感覚や、ジンジンとした痺れるような感覚があります。

緊張型頭痛において、頸部の筋骨格系の機能障害が重要な役割を果たしていることが近年の研究で明らかになっています。つまり、肩こりは単なる肩の症状ではなく、頭痛などの他の症状とも密接に関連しているということです。

▼めまいの対処法について、併せてお読みください。

▼頭痛と吐き気が起きたとき、どうしたらいい?併せてお読みください。

肩こりの治療法(薬物療法、物理療法、運動療法、鍼灸治療、マッサージなど)

肩こりの治療法は、大きく分けて薬物療法、物理療法、運動療法、鍼灸治療、マッサージなどがあります。

  • 薬物療法: 筋肉の緊張を和らげる薬や、痛みを軽減する薬、血行を良くするビタミン剤などが処方されます。薬物療法は、即効性があり、つらい症状を 軽減できるというメリットがあります。
  • 物理療法: 温熱療法、電気療法、牽引療法などがあります。物理療法は、薬を使わずに身体に直接働きかける治療法で、副作用が少ないというメリットがあります。
  • 運動療法: ストレッチや筋力トレーニングなど、肩甲骨や肩関節の動きを改善する運動を行います。運動療法は、肩こりの根本的な原因である筋肉の柔軟性や筋力の低下を改善する効果があります。
  • 鍼灸治療: 鍼やお灸でツボを刺激することで筋肉が柔らかくなり、血流も良くなります。鍼灸治療は、東洋医学に基づいた治療法で、身体の自然治癒力を高める効果があるとされています。
  • マッサージ: 筋肉を直接もみほぐし、血行を良くします。マッサージは、筋肉の緊張を和らげ、リラックス効果も期待できます。

肩こりの予防法(ストレッチ、姿勢改善、適度な運動、保温、ストレス管理など)

肩こりの予防には、日常生活における習慣の見直しが重要です。

  • ストレッチ: 肩や首の筋肉を 、ストレッチすることで、筋肉の柔軟性を保ち、肩をほぐします。朝起きた時、仕事中、寝る前など、こまめに行うのが効果的です。
  • 姿勢改善: デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、姿勢を変えるようにしましょう。正しい姿勢を保つことも重要です。猫背にならないように意識し、顎を引いて背筋を伸ばすようにしましょう。
  • 適度な運動: 適度な運動は、血行を促進し、肩こりを和らげる効果があります。ウォーキングや水泳など、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。
  • 保温: 体を冷やすと、肩こりが強くなります。特に冬場は、肩や首を冷やさないように注意しましょう。温かいお風呂に浸かるのも効果的です。
  • ストレス管理: ストレスは肩こりの大きな原因の一つです。ストレスを溜め込まないように、リラックスする時間を作る、趣味を楽しむなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
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参考文献

  1. Corum M, Aydin T, Medin Ceylan C, Kesiktas FN. “The comparative effects of spinal manipulation, myofascial release and exercise in tension-type headache patients with neck pain: A randomized controlled trial.” Complementary therapies in clinical practice 43, no. (2021): 101319.
  2. Fernández-de-Las-Peñas C, Cook C, Cleland JA, Florencio LL. “The cervical spine in tension type headache.” Musculoskeletal science & practice 66, no. (2023): 102780.
  3. Park SH, Lee MM. “Effects of Lower Trapezius Strengthening Exercises on Pain, Dysfunction, Posture Alignment, Muscle Thickness and Contraction Rate in Patients with Neck Pain; Randomized Controlled Trial.” Medical science monitor : international medical journal of experimental and clinical research 26, no. (2020): e920208.
  4. Al-Khazali HM, Krøll LS, Ashina H, Melo-Carrillo A, Burstein R, Amin FM, Ashina S. “Neck pain and headache: Pathophysiology, treatments and future directions.” Musculoskeletal science & practice 66, no. (2023): 102804.
  5. Kang T, Kim B. “Cervical and scapula-focused resistance exercise program versus trapezius massage in patients with chronic neck pain: A randomized controlled trial.” Medicine 101, no. 39 (2022): e30887.

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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