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ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いとは?併発の可能性と症状を解説

ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いとは?
公開日: 2025.02.28

腰に違和感を感じる

腰の違和感のせいで生活に支障をきたしている

腰の違和感はぎっくり腰の前兆であると同時に、椎間板ヘルニアの可能性もあります。ぎっくり腰と椎間板ヘルニアは放置しておくと症状が悪化する恐れがあり、対処方法が異なるのです。

また、ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの症状は酷似している点も多く、見分け方が難しい側面もあわせもっています。

そこで本記事では、以下について解説します。

  • ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違い
  • ぎっくり腰と椎間板ヘルニアが併発する可能性
  • ぎっくり腰になったときの対処法
  • ヘルニアになったときの対処法

ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いを知ることで適切に対処できます。ぜひ最後までご覧いただき、ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いを理解しましょう。

ぎっくり腰とヘルニアの違いとは?

項目 ぎっくり腰(急性腰痛症) 椎間板ヘルニア
発症の仕方 急な動作、重い物を持つ、前かがみの姿勢、朝起きたときなど 椎間板の変性、加齢、長期間の負担、急激な負荷や外傷
主な症状 急に訪れる腰痛(ある瞬間に発生) 徐々に悪化する場合と急激に悪化する場合がある
神経症状 基本的に神経症状はない あり(脚のしびれ・感覚異常・筋力低下など)
診断方法 問診・身体診察が基本 神経学的所見+MRI・CT・X線など画像検査(文献1)(文献2
治療方法 安静・鎮痛薬・物理療法・ストレッチなど 保存療法(薬・理学療法)、改善しない場合は手術を検討する必要あり

ぎっくり腰とヘルニアの症状には上記のような違いがあります。どちらも発症の仕方や症状が似ている部分はありますが、一般的にヘルニアの方が重い症状です。

ぎっくり腰とヘルニアの症状について詳しく解説していきます。

ぎっくり腰の症状

前提としてぎっくり腰の原因は特定できませんが、以下3つの要因で症状が引き起こされます。

  • 筋肉疲労の蓄積
  • 急な動作や重い荷物を持つなど
  • 骨格の歪み

ぎっくり腰の症状としては、腰にズキッとした違和感を感じ、動くのが難しい状態のことを指します。(文献3

病院での診断方法は主に問診・身体診察が基本です。治療方法としては安静・鎮痛薬・物理療法・ストレッチなどが挙げられます。

以下記事ではぎっくり腰の症状を詳しく解説しております。ぎっくり腰は自己判断や放置にリスクが伴いますので、早めの受診がおすすめです。

ヘルニアの症状

ヘルニアの症状には種類があります。その中でも代表的なのは椎間板ヘルニアです。

主な症状は手足のしびれや筋力の低下などの違和感や腰痛のようなズキッとした感覚に襲われます。

ぎっくり腰は問診・身体診察が基本なのに対し、代表的な椎間板ヘルニアは神経学的所見+MRI・CT・X線など画像検査が必要です。文献1)(文献2)保存療法(薬・理学療法)で改善しない場合は手術も視野に入れる必要があります。

以下記事ではヘルニアの症状について詳しく解説しております。ヘルニアに対しての自己判断はリスクが高いため、早期発見が大切です。

ぎっくり腰とヘルニアは併発する可能性がある

起因 併発の仕組み 症状の特徴
ヘルニア 椎間板ヘルニアによる神経圧迫や腰部の負担増加が原因でぎっくり腰を発症する可能性あり。 長時間座っていると違和感が増すことが多い。
ぎっくり腰 ぎっくり腰で急激な腰の負担がかかり、椎間板が損傷してヘルニアを引き起こすことがある。 ぎっくり腰の違和感が長引き、脚にしびれや違和感が出ることがある。

ぎっくり腰とヘルニアは互いに影響し、併発する可能性があります。併発するケースを解説するので、参考にしていただけますと幸いです。

ヘルニアが原因でぎっくり腰を発症する場合

ヘルニアが原因でぎっくり腰を発症するケースは主に椎間板ヘルニアによる神経圧迫や腰部の負担増加です。椎間板ヘルニアの症状があると、腰の筋肉が緊張しやすくなったり、腰のストレスがかかりやすくなります。

そのため、急な動作や前かがみになった際にぎっくり腰を発症しやすくなります。椎間板ヘルニアの方は急な動作や重い荷物を持つなど、腰にストレスのかかる動作には注意が必要です。

ぎっくり腰が原因で椎間板ヘルニアを発症する場合

ぎっくり腰で腰にかかる負荷が大きくなると、椎間板(背骨のクッション部分)にも強い圧力がかかり、椎間板の内部を傷つけることになります。

椎間板の内部に負荷がかかることで、髄核(ゼリー状の組織)が飛び出してしまい、椎間板ヘルニアの発症につながります。

ぎっくり腰が長引く・違和感を感じる際は椎間板ヘルニアを併発する前に早めの受診が大切です。

ぎっくり腰になったときの対処法

ぎっくり腰になったときの対処法は以下の5つです。

  • 楽な姿勢で安静にする
  • 市販の鎮痛剤や鎮静成分を含む湿布を使用する
  • 負担のかからない程度に適度に動く
  • 15分程度の患部の冷却
  • 医療機関の受診

ぎっくり腰になったときは重いものを持ち上げたり、姿勢を急に変えたりする行動は控えましょう。

以下で対処法を詳しく紹介します。

また、ぎっくり腰の原因や治療については以下の記事で詳しく解説しています。ぎっくり腰にお悩みの方はぜひ参考にしていただけますと幸いです。

1.楽な姿勢で安静にする

ぎっくり腰になったときは無理な姿勢は取らず、腰に負担のかからない楽な姿勢をとることが大切です。

ぎっくり腰になった人の大半は仰向けで脚を伸ばして寝るのが難しい状態といえます。

発症直後、腰に違和感を感じるときは腰に負担がかからない楽な姿勢をとるようにする、膝の下にクッションを入れ、腰と膝を軽く曲げて寝る、膝を軽く曲げて横向きに寝るなどが有効です。

大半の場合、症状は1週間ほどで和らぎますが、改善が見られない場合は当院の受診をおすすめします。

2.市販の鎮痛剤や鎮静成分を含む湿布を使用する

応急処置として、湿布やロキソニンなどの市販薬の使用が効果的です。

湿布を選ぶ際は鎮静成分が含まれている、ロキソプロフェン・ジクロフェナク・インドメタシンなどの成分が含まれているものを選びましょう。文献4

湿布の中には鎮静成分が含まれていないもの(例:保湿成分メインの湿布や局所刺激成分のみの湿布など)もあるので、不安な方は薬局に相談するのがおすすめです。

また、湿布で肌荒れやかゆみを感じる場合はすぐに使用を中断する様にしましょう。

3.負担のかからない程度に適度に動く

ぎっくり腰になったときは負担のかからない程度に適度に動くことも大切です。腰痛を気にするあまり動かないでいると、筋力低下や慢性化のリスクがあります。

どうしても動けないときに無理する必要はないものの、簡単な家事や近くのものを取りに行く程度であれば、回復を促進してくれます。症状が軽減した段階で適度に動くことは、筋肉の硬直を防ぐために重要です。

無理のない範囲で少しずつ、身体を動かすようにしましょう。

4.15分程度の患部の冷却

方法 内容 目安時間
冷却(初期対応) 氷嚢や冷却パックをタオル越しに使用する 15〜20分おき、1時間おきに繰り返す
症状が引いたら 入浴や蒸しタオル、カイロで血行促進 症状の軽減後に行う

ぎっくり腰で炎症を起こした患部の冷却は応急処置としても有効な手段です。楽な姿勢で身体への負担を減らし、症状始めの48時間ほどは患部を冷やすと炎症を抑えられます。

氷嚢や冷却パックをタオル越しに15〜20分冷やします。この流れを1時間おきに繰り返しましょう。症状が引いてきた段階で入浴や蒸しタオル、カイロを使って血行を促進し、筋肉の強張りを和らげられます。

ただし症状が引いてきた段階で血行がよくなるという理由で入浴や蒸しタオルで温めすぎるのは逆効果です。温めすぎると引いた炎症が再発する可能性があるので、注意が必要です。

5.医療機関の受診

治療法 内容
薬物療法 消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤を使用し、炎症を抑える
理学療法 ストレッチやリハビリを行い、筋力を強化して負担を軽減する(文献5
神経ブロック療法 症状を感じる神経に局所麻酔薬やステロイドを注射し、一時的に症状を抑える
椎間板内酵素注入療法 椎間板に酵素(コンドリアーゼ)を注入し、飛び出た髄核を縮小させる
手術療法 突出した椎間板を取り除く手術を実施する(内視鏡手術や除圧術など)

ぎっくり腰が改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。自己判断での対処はリスクを伴います。

なかなか改善しない、治るのか不安と感じているなら、医師に相談すれば不安が解消できるかもしれません。

少しでも気になることがあれば、医師に相談し、ぎっくり腰の改善に前向きな気持ちになれます。前向きな気持ちは治療にとっても大切です。

早くから治療を始めた方が効果を得やすいため、気になる場合は気軽にご相談ください。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。

ヘルニアになったときの対処法

治療法 内容
薬物療法 消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤を使用し、炎症を抑える
理学療法 ストレッチやリハビリを行い、筋力を強化して負担を軽減する(文献5)
神経ブロック療法 症状を感じる神経に局所麻酔薬やステロイドを注射し、一時的に症状を抑える
椎間板内酵素注入療法 椎間板に酵素(コンドリアーゼ)を注入し、飛び出た髄核を縮小させる
手術療法 突出した椎間板を取り除く手術を実施する(内視鏡手術や除圧術など)

ヘルニアになったときの対処法は以下の5つ。

  • 薬物療法
  • 理学療法
  • 神経ブロック療法
  • 椎間板内酵素注入療法
  • 手術療法

これから紹介する対処法は、必ず医師の診断を受けた上で行いましょう。

1.薬物療法

薬物療法とは消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤を使用し、炎症を抑える療法です。

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第 3 版によると腰椎椎間板ヘルニアにより生じる腰下肢痛に対する薬物療法として、世界各国で鎮痛薬、筋弛緩薬、抗うつ薬などによる治療が一般的に行われています。文献5

しかし、薬物の効果が現在の医学研究において信頼性の高い証拠(エビデンス)がまだ見つかっていません。

薬物療法は根本的な治療ではなく、あくまで対症療法として有効です。薬物療法は根本的な解決ではなく、症状を一時的に和らげるものであることは覚えておきましょう。

2.理学療法

理学療法とはストレッチやリハビリを行い、筋力を強化して負担を軽減する療法です。腰椎椎間板ヘルニアの治療では、運動療法(筋力トレーニング・ストレッチ・持久力強化)が効果的とされています。

ただし、この療法は発症を防ぐ1次予防としての効果は十分に証明されていません。

一方で、再発を防ぐ2次・3次予防として期待を寄せられており、運動を続けることでVAS値の軽減、休業期間の短縮、再発率の低下が期待されています。

コルセットについては、ヘルニア発症自体を防ぐ効果(1次予防)は証明されていません。しかし回復の手助けや、再発防止に役立つとされています。(文献5

また、認知行動療法(不安やストレスを軽減する心理療法)はヘルニアの再発防止に効果があると期待されています。

3.神経ブロック療法

神経ブロック療法の種類 特徴
硬膜外ブロック療法 脊髄を包む膜(硬膜)の外側にある空間に局所麻酔薬を注入する。炎症を抑える効果もある
神経根ブロック療法 X線画像を見ながら、圧迫されている神経に局所麻酔薬と抗炎症薬を直接注入する
ブロック療法(椎間板造影) X線画像を用いて障害された椎間板を特定し、そこに局所麻酔薬と抗炎症薬を注入する

神経ブロック療法とは症状の原因になっている神経の部位やその周りに細い特殊な神経ブロック針で局所麻酔などを注入する療法です。

神経ブロック療法は一時的な療法や診断には有効ではあるものの、根本的な治療として有効であるエビデンスが存在しないため、リハビリや生活習慣の改善と併用が推奨されています。(文献5

4.椎間板内酵素注入療法

コンドリアーゼと呼ばれる酵素を椎間板内に注入し、髄核を化学的に溶解して神経の圧迫を軽減する療法です。

慶應義塾大学病院の医療・健康情報サイトによると椎間板内酵素注入療法の成績は、治療後13週で有効率は約70%のデータがあります。(文献6

椎間板内酵素注入療法の所要時間はおおむね30〜60分で、3時間の安静後にゆっくり歩行を開始します。手術の時間は30〜60分程度で、入院は1日程度で短期間なのもメリットです。

注意点としては、アナフィラキシー(かゆみ、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛、吐き気などの消化器症状、視野が狭くなるなどの視覚症状)を引き起こさないために、コンドリアーゼの投与は生涯に1度のみ投与が許可されています。

神経や血管、消化管に近い部位を針で刺すため、損傷のリスクがあります。国内第Ⅱ/Ⅲ相試験及び第Ⅲ相試験(薬剤発売前の臨床試験)では、一時的な腰痛や下肢痛の悪化が約30%報告されています。

しかし、2019年の時点では椎間板内酵素注入療法で死亡した事例は報告されていません。椎間板内酵素注入療法を受ける際は、必ず医師と相談し、過去にコンドリアーゼの投与歴がないことを確認した上で進めましょう。

5.手術療法

椎間板ヘルニアの治癒は原則、薬物療法、理学療法、神経ブロック療法などの保存療法が中心で行われます。しかし3か月間の保存療法で改善されない場合や3カ月も待機できない場合には手術が推奨されています。

手術ではLOVE法と呼ばれる一部骨を削った後に脊髄をよけてヘルニアを切除する手術を行い、手術後1〜2日で歩行練習やリハビリを開始します。

薬物療法、理学療法、神経ブロック療法でも症状が改善しない場合は、医師に相談し、手術を検討するのも1つの方法です。

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腰に違和感を感じる方は早めの受診がおすすめ

腰に違和感を感じる方はぎっくり腰・間板ヘルニアに限らず早めの受診をおすすめします。ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの症状には似た部分も多いものの、対処法が異なります。

ぎっくり腰が原因で間板ヘルニアを併発することもあれば、ヘルニアが原因で併発することもあるので、少しでも不安に感じた方は早めに当院に相談ください。

当院「リペアセルクリニック」では、ぎっくり腰・椎間板ヘルニアをはじめとする症状に対して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。

再生医療(幹細胞治療)は損傷した椎間板や神経組織の再生を目指し、症状の軽減や機能の回復を期待できます。

腰に関するちょっとした悩みでも当院「リペアセルクリニック」にご相談いただけますと幸いです。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

\まずは当院にお問い合わせください/

参考文献

(文献1)

松本守雄ほか「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第 3 版)」pp.1-132 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf(最終アクセス:2025年2月21日)

(文献2)

日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第 3 版)」2018年

https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/guideline.pdf(最終アクセス:2025年2月21日)

(文献3)

公益社団法人日本整形外科学会「症状・病気をしらべる

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/acute_low_back.html(最終アクセス:2025年2月21日)

(文献4)

厚生労働省 「鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬(パップ剤を含む)製品群No. 57」

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0117-9d36.html¥(最終アクセス:2025年2月21日)

(文献5)

伊藤俊一 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く―」 連載第9 回 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン」『理学療法学 第 42 巻第 6 号』pp.1-6,2015年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/42/6/42_42-6kikaku_ito_toshikazu/_pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月21日)

(文献6)

「腰椎椎間板ヘルニアの新たな治療 ~コンドリアーゼによる椎間板髄核融解術~ ―整形外科―」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2019年3月1日

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/presentation/201903_02.html?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月21日)

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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