- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
椎間板ヘルニアの座り方|床や椅子における楽な姿勢を紹介

椎間板ヘルニアと診断され、座ると腰がズキズキする
椎間板ヘルニアで座れなくて辛い
椎間板が外に突出し、神経を圧迫すると腰や脚に不快感を引き起こすのが椎間板ヘルニアの特徴です。
不快感や違和感をずっと腰に抱え、座ることもままならない状態は不安でいっぱいかもしれません。しかし椎間板ヘルニアは座り方を工夫すれば、長時間は難しくとも、ある程度座ったときの違和感や不快感を軽減できます。
椎間板ヘルニアと診断され、お悩みの方に向けて本記事では、椎間板ヘルニアの座り方を解説します。
目次
椎間板ヘルニアにおける座位が辛いと感じる理由
椎間板ヘルニアとは、椎間板の一部が変形して外に飛び出してしまい、飛び出した部分が坐骨神経に当たり、腰や手足の痺れ、違和感などの症状を引き起こします。
椎間板ヘルニアのときに座ると辛いと感じる理由としては、姿勢は腰椎にかかる圧力を増加させるためです。
座ることで椎間板が圧縮され、突出した部分が坐骨神経を刺激し、症状を悪化させます。腰痛の中でも椎間板ヘルニアは最も重症度が高いといわれており、放置や無理な負荷をかけてしまうと神経麻痺などの重篤な障害を引き起こす可能性があります。
椎間板ヘルニアの負担を和らげる床の座り方
座り方のポイント | 内容 |
---|---|
背筋をまっすぐに保つ | 背中をまっすぐに保つことで、腰椎にかかる圧力を減らし、症状の悪化を防げます。 |
クッションを使う | 腰部にクッションを使うことで、背骨の自然なカーブを支え、圧力を分散させて負担を軽減します。 |
長時間同じ姿勢で座らない | 長時間座り続けると圧力が増加するため、定期的に姿勢を変えることで、腰の負担を軽減できます。 |
重心が偏らないようにあぐらをかく | あぐらをかくことで、骨盤が安定し、腰椎への負担が分散されます。姿勢を均等に保ちやすくなります。 |
椎間板ヘルニアの負担を和らげるには床の座り方が重要です。ポイントを意識し、座ることで腰にかかる負荷を軽減できます。
自宅でも簡単にできる方法なので、ぜひ実践いただけますと幸いです。
1.背筋をまっすぐに保つ
椎間板ヘルニアの負担を和らげるには背筋をまっすぐに保つことが大切です。
猫背や前かがみの姿勢は腰椎に負担をかけます。負担をかけないためにもまっすぐな姿勢を保つことで、坐骨神経への刺激を軽減し、症状の悪化を防げます。
背筋をまっすぐに保つためには、まず骨盤を正しい位置に保つことが大切です。床に座ったときに、骨盤が後ろに倒れていないか、前に傾きすぎていないかを確認しましょう。
背筋をまっすぐに保つと、腰の筋肉が無理なく使われるため、筋肉の疲労も軽減されます。(文献1)正しい姿勢を保つことで、腰椎への負担が軽減され、ヘルニアの症状を和らげられます。
2.クッションを使う
クッションを使うことで、座面の圧力を分散させ、腰椎にかかる負担を軽減できます。腰の部分にクッションを当てることで、背骨のS字カーブを自然に保てます。
応急処置程度であれば、家庭用のクッションで問題ありません。
後述で解説しますが、クッションを使用したからといって長時間座るのは禁物です。クッションを使用する場合でも、30分に1回程度は立ち上がり、負担のかからない程度に動くようにしましょう。
3.長時間同じ姿勢で座らない
長時間同じ姿勢で座り続けることで、腰にかかる圧力が高くなります。腰にかかる圧力が強くなると坐骨神経を刺激してしまい、症状が悪化する可能性があります。
症状を悪化させないためにも、同じ姿勢はできるだけ避け、30分に1回程度は立ち上がり、無理のない範囲でストレッチなどを行いましょう。
ストレッチや軽く動くことで、腰部の血行が促進され、筋肉の緊張を緩和できます。
4.重心が偏らないようにあぐらをかく
普段無意識に重心が片方に傾く人は要注意です。重心が一方に傾くことで、腰や脚などにかかる圧力が強くなり、坐骨神経への負担が高くなります。その対策として、あぐらをかく座り方は有効です。
あぐらをかく姿勢は重心が左右均等に分散され、腰椎への負担が軽減されます。あぐらをかく際は片足だけを上げるような座り方は禁物です。
片足だけをあげることで重心が傾くため、骨盤の歪みを引き起こす可能性があります。あぐらをかくことで、腰への圧力を減らし、長時間座っても疲れにくくなるメリットがあります。
椎間板ヘルニアの負担を和らげる椅子の座り方
座り方のポイント | 内容 |
---|---|
背骨のS字カーブが維持できる椅子を選ぶ | 背もたれが腰部をしっかり支え、骨盤が自然に前傾する椅子を選ぶと、腰の圧力が軽減され、ヘルニアの症状が和らぎます。 |
足の裏全体を床につける | 足の裏を床につけ、膝が直角になるように調整し、骨盤が安定。腰椎にかかる負担が分散されます。 |
背筋をピンと伸ばす | 背筋を伸ばし、自然な姿勢を保つことで腰椎に過度な圧力がかかるのを防ぎ、ヘルニアの症状が悪化しにくくなります。 |
長時間椅子に座り続けない | 1〜2時間ごとに立ち上がり、軽いストレッチや歩行で、腰の筋肉が緊張しすぎず、ヘルニアの症状が悪化しにくくなります。 |
椎間板ヘルニアの負担を和らげるには椅子の座り方も重要です。
椅子に座る際は足がふらつくものを選ぶのではなく、足の裏全体が床につくものや、背骨のS字カーブが維持できる椅子を選ぶのが大切です。
以下でポイントを詳しく解説します。
1.背骨のS字カーブが維持できる椅子を選ぶ
椎間板ヘルニアを和らげるためには、背骨の自然なS字カーブを保つ椅子を選びましょう。背骨が正しい位置でサポートされることは、腰にかかる負担を減らすために役立ちます。
背もたれが腰部をしっかり支え、骨盤が自然に前傾するような椅子を選ぶことで、腰部の圧力が軽減され、ヘルニアの症状を抑えられます。
椅子の背もたれの高さや角度を調整できるものを選ぶと、さらに効果的に腰をサポートでき、おすすめです。
2.足の裏全体を床につける
足が宙でふらつくと骨盤が不安定になり、腰椎に不均等な圧力がかかりやすくなります。
椅子に座る際は足の裏全体が床につくものを選びましょう。高さを調整できるものがおすすめです。理想の高さとしては、太ももとふくらはぎの角度が90度くらいになるようにするのがポイント。
足が床からういてしまう場合は足台を使い、足が底につくようにすると良いでしょう。
3.背筋をピンと伸ばす
背もたれにもたれかかりすぎず、背筋をまっすぐに伸ばすことで、腰の圧力が軽減され、ヘルニアの症状が和らげます。
床の座り方同様に姿勢が猫背であったり、前のめりだったりすると腰椎に過度な圧力がかかり、坐骨神経を圧迫する可能性があります。
椅子に座った際はまっすぐな姿勢を意識し、腰に負荷をかけないよう意識しましょう。
4.長時間椅子に座り続けない
床に座るとき同様に長時間椅子に座り続けることはせず、30分に1回は立ち上がり、軽くストレッチをしたり、負荷のかからない程度に動くようにしましょう。
長時間椅子に座り続けることで、坐骨神経を圧迫する可能性があります。デスクワークだと、時間を忘れ長時間椅子に座ってしまうこともあるでしょう。
時間を忘れそうなときはタイマーをつけたり、立ち上がる時間を決めたりすれば、長時間座りっぱなしの状態を防げます。
椎間板ヘルニアのNGな座り方
NGな座り方 | 起こりうる影響 |
---|---|
猫背や前かがみの姿勢 | 背骨のS字カーブが崩れ、腰椎に負担が集中し、椎間板が後方へ突出しやすくなる。 |
足を組んで座る | 骨盤が左右どちらかに傾き、腰椎のバランスが崩れて片側に負担が集中。筋肉の緊張が偏り、ヘルニアの悪化リスクが高くなる。 |
長時間同じ姿勢で座る | 腰椎の圧力が持続的に増加し、血流が悪化。筋肉の緊張が強まり、腰への負担が増す。 |
椎間板ヘルニアの症状を悪化させないためには、正しい座り方が大切です。
癖になっている人は意識して座るようにするだけで、腰にかかる負担を軽減できます。
以下でNGな座り方を詳しく解説します。
1.猫背や前かがみの姿勢
猫背や前かがみの姿勢は、腰椎に余計な負担をかけます。長時間猫背や前かがみの姿勢を維持すれば、椎間板への圧力が増し、ヘルニアの症状が悪化につながります。
とくに前かがみの姿勢を続けると、椎間板の後方(背中側)へ圧力がかかり、内部の髄核(ゼリー状の部分)が外へ押し出されやすくなります。
また、猫背姿勢は肩こりや首こり、頭痛などを招く恐れがあるため、注意が必要です。普段猫背や前かがみで座るのが癖になっている人は、背筋をまっすぐに保つように意識しましょう。
2.足を組んで座る
足を組んで座ることで、骨盤が歪み、背骨のS字カーブが崩れ、腰に負担がかかります。
足を組むと骨盤が左右どちらかに傾き、腰椎のバランスが崩れて片側に負担が集中します。片側に負担がかかることで、筋肉の緊張が片方に集中し、椎間板ヘルニア悪化のリスクが高くなるでしょう。
椎間板ヘルニアを悪化させないためにも足を組まず、背もたれを活用しつつ、背骨のS字カーブを保つことや、こまめに姿勢を正すことが大切です。
また、足を普段組むことが癖になっている人は両足を地面につけることを意識し、習慣化するのがおすすめです。
3.長時間同じ姿勢で座る
同じ姿勢で長時間座り続けると、腰にかかる負担が増え、椎間板ヘルニアの症状が悪化する可能性があります。症状の悪化を防ぐためには、定期的に立ち上がったり、姿勢を変えたりするのが大切です。
軽く立ち上がることで腰周りの筋肉がほぐれ、血流がスムーズになります。その結果、腰への圧力が分散され、長時間座ることで生じるこわばりや疲労を防ぎやすくなります。
長時間座るのが常態化している人はタイマーをセットするなど、椅子から離れる時間を決めておくと良いでしょう。
椎間板ヘルニアの症状を改善する方法
方法 | 内容 |
---|---|
保存療法 | 初期治療として一般的。薬物療法や理学療法で症状を和らげる。 |
手術療法 | 保存療法で改善しない場合や重症時に実施。摘出手術や内視鏡手術で神経の圧迫を解消する。術後のリハビリが重要。 |
姿勢の改善・適度な運動 | 正しい姿勢を維持し、腰椎を支える筋肉を鍛えることで症状の悪化を防ぐ。 |
座り方以外にも、椎間板ヘルニアの症状を改善する方法があります。
初期症状としては保存療法が一般的であり、改善しない場合に手術療法が用いられます。
以下で椎間板ヘルニアの症状を改善する方法を詳しく解説します。
1.保存療法
治療法 | 内容 |
---|---|
薬物療法 | 症状に応じて鎮痛剤、抗炎症薬、神経の働きを助ける薬を処方。症状の軽減や神経修復を促進する。 |
理学療法 | 理学療法士の指導でストレッチ・運動・マッサージを実施。血行を促進し、症状を和らげる。 |
安静 | 症状が重い場合は安静が必要。炎症が治まるが、長期間の安静は筋力低下につながるため注意。 |
椎間板ヘルニアの初期治療として、保存療法から始めるのが一般的です。保存療法は手術を行わずに症状を和らげることが目的です。
保存療法には主に薬物療法・理学療法・安静の3つがあります。保存療法を6週間〜3カ月ほど続け、症状が改善すれば、手術は行いません。
しかし、期間内に改善が見込めない場合や、悪化した場合は手術療法を検討する必要があります。
椎間板ヘルニアの保存療法・手術療法については以下の記事でわかりやすく解説しております。
2.手術療法
手術法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
従来の手術法 | 背中側から切開し、椎弓や椎間板を除去。 | 根本的な治療が見込める。 | 皮膚・筋肉・骨に負担が大きく、入院期間が長い(2〜3週間) |
PELD | 7mmの細い筒を使い、内視鏡でヘルニアを摘出。 | 低侵襲、局所麻酔や日帰り手術、回復が早い。 | 適応できる症例が限られる(大きなヘルニア・脊柱管狭窄症には不向き) |
MED | 内視鏡を使用し、やや大きめの器具で摘出。 | 複数の椎間に対応しやすく、実施病院が多い。 | 筋肉や骨への負担がPELDより大きい。 |
保存療法で改善が見られない場合や症状が重篤な場合、手術療法が検討されます。手術療法の内容は、摘出手術や内視鏡手術で神経の圧迫を解消するものです。
手術療法には従来の背中側から切開し、椎弓や椎間板を除去する手法の他にPELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板切除術)とMED(内視鏡下ヘルニア摘出術)と呼ばれるものがあります。
それぞれメリットデメリットが存在するため、手術療法を実施する際は医師に相談するのがおすすめです。手術後は日常生活を不自由なく送るために、リハビリを行います。
以下の記事では椎間板ヘルニアの手術療法について詳しく解説しています。
3.姿勢の改善や適度な運動
椎間板ヘルニアの症状を予防するためには、姿勢の改善と適度な運動が不可欠です。とくに適度な運動は身体の柔軟性や筋力の強化、持久力の増強、有酸素運動能力の向上などが期待できます。(文献2)
実践しやすい運動例としては、以下の3つが挙げられます。
- 体幹トレーニング(プランクやドローインなど)
- ストレッチ(太ももや腰回りの筋肉をほぐす)
- ウォーキング(無理のない範囲で継続する)
どれも無理のない範囲で行える運動で、ヘルニアの予防・症状の軽減につながります。(文献3)(文献4)
座ると辛い椎間板ヘルニアは当院にご相談ください
座ると辛い椎間板ヘルニアですが、座り方を意識するだけで腰にかかる負担を軽減できます。
椎間板ヘルニアは座り方を意識するのも大切ですが、症状改善に向けて保存療法や適度な運動を取り入れることも忘れてはいけません。
もし、椎間板ヘルニアで悩みを抱えているのであれば、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。当院「リペアセルクリニック」では、手術を必要としない再生医療を提案できます。
椎間板ヘルニアで毎日が不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。
\まずは当院にお問い合わせください/
参考文献
公益財団法人中国労働衛生協会「NHKテキスト きょうの健康10月号.2021、WHO身体活動・座位行動ガイドライン」2023年
https://churou-wp.sub.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2023/11/62df06838dfbcc1fceb62b758b9eb0e0.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月24日)
日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第 3 版)」2018年
https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月24日)
日本整形外科学会診療ガイドライン委員会「腰痛診療ガイドライン改訂版」2019年
https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/guideline.pdf(最終アクセス:2025年2月24日)
厚生労働省「腰痛予防のための運動指導」
https://www.mhlw.go.jp/content/000656471.pdf(最終アクセス:2025年2月24日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。