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坐骨神経痛は温めるべき?5つの温め方とセルフケア方法を現役医師が解説

坐骨神経痛になると、腰や臀部(でんぶ)から太ももの裏にかけて強い痛みを感じるようになり、日常生活にも支障をきたします。
坐骨神経痛で悩んでいる患者様のなかには、「温めるべきか・冷やすべきか」といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。一般的に、坐骨神経痛の痛みを緩和するには温熱療法が効果的とされています。
今回は、坐骨神経痛の患部を温める方法について解説します。どこを温めたら良いのか、具体的な場所やそのほかのセルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
坐骨神経痛は温めるほうが痛みの緩和が期待できる
結論、坐骨神経痛には患部を温める温熱療法が効果的です。
坐骨神経痛とは、坐骨神経が何らかの原因で圧迫や刺激を受けて、腰や臀部から足にかけて痛みやしびれが生じる症状です。
坐骨神経痛の患部を温めると、以下のような効果が期待できます。
- 血行を良くする
- 筋肉の凝りをほぐす
- 神経の圧迫を緩和させる
患部を温めるか冷やすかは、慢性症状か急性症状かによって判断します。慢性症状に対しては血行促進のために温め、急性炎症期には炎症を抑えるために冷やすことが一般的です。
坐骨神経痛は症状の進行によって慢性化しやすい疾患で、痛みが長引くケースも珍しくありません。そのため、坐骨神経痛のケアでは、患部を温めることが大切です。
坐骨神経痛の原因や治療法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
坐骨神経痛の温める場所は腰・臀部・太ももの裏側が基本
坐骨神経痛の痛みをやわらげるためには、腰・臀部・太ももの裏側を温めることが基本です。
腰部 |
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臀部(お尻) |
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太ももの裏側 |
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坐骨神経痛の患部を温めることで、痛みの緩和が期待できます。
坐骨神経痛の患部を温める5つの方法
坐骨神経痛の患部を温めるためには、以下の方法がおすすめです。
- 湯船に浸かる
- 使い捨てカイロを貼る
- 食事を工夫して血行改善する
- レッグウォーマーや足首ウォーマーを使用する
- 睡眠環境を整える
以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.湯船に浸かる
坐骨神経痛の患部を温めるためには、湯船に浸かることがおすすめです。温かいお風呂は、全身の血行を促進し、筋肉の緊張をほぐすのに効果的です。坐骨神経痛の痛みを軽減するためには、以下のポイントを押さえて湯船に浸かりましょう。
- 湯船の温度を38〜40度に設定する
- 10〜20分ほど入浴する
- リラクゼーション効果を高めるために入浴剤を使用する
坐骨神経痛に限らず、身体に痛みがある場合は、全身がこわばりがちです。湯船に浸かって、腰や臀部、太ももの裏側を温め、しっかりとほぐすようにしましょう。
なお、入浴後は身体が温まっているうちにストレッチすると、筋肉や関節の柔軟性を高めることにもつながります。
2.使い捨てカイロを貼る
坐骨神経痛の患部を温めるためには、使い捨てカイロも役立ちます。使い捨てカイロの使用は、外出時や寝る前など、手軽に患部を温める方法としておすすめです。
貼るタイプの使い捨てカイロなら、腰や臀部を持続的に温められるメリットもあります。
ただし、使い捨てカイロを使用する際は、やけどのリスクがある点に注意が必要です。患部に直接使い捨てカイロを当てるのではなく、下着の上から使用したり薄い布を挟んだりして使用しましょう。
3.食事を工夫して血行改善する
食事を工夫して血行の改善を図ると、身体を内側から温める効果が期待できます。食材は、生のままよりも加熱して食べるほうが、血行の改善に効果的です。
血行改善におすすめの主な食材は、以下の通りです。
たまねぎ・にんにく・しょうが・とうがらし |
辛味成分アリシンを多く含む食材は、発汗や血行を促進し、体温を上げる働きがある |
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卵・ナッツ・植物油 |
ビタミンEを含む食材は、手足の細い血管を広げ、血流を良くして身体を温める働きがある |
小松菜・ひじき・赤味の魚 |
鉄分を多く含む食材は、赤血球を増加させ、血行を良くして体温を維持する働きがある |
味噌(大豆製品)・肉(豚肉)・青魚 |
ビタミンB1を多く含む食材は、糖質をエネルギー源にし、燃焼させて身体を温める働きがある |
身体が冷えると筋肉が硬直して、血行が悪くなります。坐骨神経痛の症状を悪化させないよう、食事を工夫して身体を温めましょう。
4.レッグウォーマーや足首ウォーマーを使用する
坐骨神経痛の患部を温めるためには、レッグウォーマーや足首ウォーマーの使用もおすすめです。
レッグウォーマーや足首ウォーマーの使用は、足を温めるのに役立つグッズです。坐骨神経痛の症状は、冷えが原因で悪化するケースも珍しくありません。
とくに冬の寒い時期や夏にクーラーを使用する時期は、気づかないうちに足が冷えてしまいがちです。
足を冷やさないようにするためにも、レッグウォーマーや足首ウォーマーなどのグッズを使用して、血行の悪化を防ぎましょう。
5.睡眠環境を整える
睡眠環境を整えると、坐骨神経痛の症状改善につながります。
とくに冬の寒い時期は、寝る前に暖房をかけて室内を温めておきましょう。また、電気毛布や湯たんぽを利用して寝具を温めておくことも方法の一つです。
ただし、身体の温度が高くなりすぎると、汗をかいてかえって冷えてしまう可能性もある点に注意してください。
睡眠中に身体が冷えて筋肉を硬直させないよう、リラックスした睡眠環境を整えましょう。
なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。坐骨神経痛の痛みでお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
坐骨神経痛の悪化を防ぐためにやってはいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。
\まずは当院にお問い合わせください/
坐骨神経痛の患部を温めて痛みが強くなる場合は早めの受診がおすすめ
一般的に、坐骨神経痛には温熱療法が効果的です。しかし、場合によっては、患部を温めたことで痛みが悪化するケースもあります。
とくに炎症が強い場合は、温めすぎに注意が必要です。坐骨神経痛の患部を温める際は、心地良さを感じる程度の温度を維持するようにしてください。
患部を温めて痛みが強くなる場合は、早めに整形外科や神経内科などの専門医を受診しましょう。適切な診断と治療により、坐骨神経痛による日常生活への支障を早期に改善できる可能性があります。
坐骨神経痛のセルフケア方法
坐骨神経痛は患部を温めるほかにも、次のようなセルフケア方法があります。
- 正しい姿勢を保つ
- ストレッチやマッサージをする
以下で、それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
正しい姿勢を保つ
坐骨神経痛の症状を改善するためには、日頃から正しい姿勢を心がけましょう。姿勢が悪いまま長時間座りっぱなしや立ちっぱなしでいると、腰や臀部の筋肉に負担がかかり、坐骨神経痛の症状が悪化しやすくなります。
腰や臀部にかかる負担を軽減するためには、背筋を伸ばして骨盤を立てることがポイントです。椅子に座るときは深く腰をかける、こまめに立ち上がるなど、正しい姿勢を保てるようにしましょう。
ストレッチやマッサージをする
坐骨神経痛のセルフケアとして、腰や臀部、太ももの裏側の軽いマッサージやストレッチが効果的です。これにより筋肉の緊張がほぐれ、坐骨神経への圧迫が緩和されます。
なお、ストレッチは身体を温めて血行が良い状態でおこなうと、筋肉の緊張がほぐれやすく、可動域が広がってより効果が期待できます。
無理のない範囲でストレッチやマッサージを継続すると、症状や痛みの再発防止にもつながります。
坐骨神経痛に効くツボについて知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
坐骨神経痛に対する再生医療による治療の可能性
坐骨神経痛の治療は、温熱療法のほかにも以下のような選択肢があります。(文献1)
- 薬物療法
- 理学療法・リハビリテーション
- 装具療法
- 神経ブロック療法
- 手術療法
- 再生医療
一般的に、まずは保存的治療を選択するものの、重度の場合には手術療法を検討するケースもあります。また、保存的治療で症状の改善がみられない場合は、再生医療による治療も選択肢の一つです。
再生医療では、幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液を利用するPRP療法などがあります。再生医療は入院や手術を必要としない治療法です。
リペアセルクリニックでは、坐骨神経痛の原因となる椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に対する再生医療をおこなっています。具体的な症例については、以下のページで詳しく解説しています。
なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。坐骨神経痛の治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
まとめ・坐骨神経痛は患部を温めて痛みの緩和を図ろう
坐骨神経痛の痛みを緩和するためには温熱療法が効果的です。
坐骨神経痛は悪化すると痛みが強くなり、生活の質を低下させる要因になりますが、適切な治療やセルフケアによって症状改善が期待できます。
腰や臀部、太ももの裏側など、患部を温めることで、痛みの原因となる筋肉の緊張や神経の圧迫を緩和できます。
ただし、坐骨神経痛のすべての症状において、温めれば良いとは限りません。患部を温めて痛みが強くなる場合は、早めに医療機関を受診して専門医に相談するようにしてください。
参考文献
日本ペインクリニック学会「治療指針6版第4章」一般社団法人日本ペインクリニック学会HP
https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-19.pdf
(最終アクセス:2025年2月27日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。