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坐骨神経痛でやってはいけないことを紹介!症状の悪化を防ぐ方法やストレッチも解説

「坐骨神経痛でやってはいけないことは?」
「坐骨神経痛を和らげる方法は?」
坐骨神経痛の痛みは、慢性的な背骨への刺激によってできた骨の棘を始め、椎間板ヘルニアが腰の脊髄神経根を圧迫して背中や足、臀部に耐え難い不快感をもたらします。
坐骨神経痛に悩んでおられる方は内服薬に始まり、理学療法、硬膜外注射など、痛みを止めるためにあらゆる方法を試されているかもしれません。
しかし、日常的によくとりがちな行動が、症状を悪化させてしまう場合があるのです。
この記事では、坐骨神経痛に悩まれている方が「やってはいけないこと」をご紹介します。最後まで読んでいただければ、日常生活での注意点を理解できるはずです。
目次
坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)でやってはいけないこと
日常生活で気をつけたいポイントを知るためにも、坐骨神経痛でやってはいけないことを解説します。
坐骨神経痛になったときは、無理に負担をかける動作をしないのが大切です。
また、人によって坐骨神経痛の症状などの度合いは変わります。必ずかかりつけの医師に相談しながら、日常生活の注意点に配慮してみてください。
重いものを持ち上げる
坐骨神経痛の急性期は、たとえ数kgであっても、荷物などを持ち上げるのは控えましょう。
体に負担がかかるので、坐骨神経痛を悪化させる場合があります。
なるべく荷物を持ち上げないのが大切ですが、どうしても持ち上げが必要なときは、無理のない範囲で、以下の流れを参考にしてみてください。
【腰への負担を減らす荷物などの持ち上げ方】
- 足を肩幅に開き、持ち上げる物の近くに立つ
- 頭、背中、お尻を直線にする意識で膝を曲げてしゃがむ
- 臀部と腹部の筋肉を引き締める
- しゃがんだ状態から、物をできるだけ体の近くで持つ
- 頭、背中、お尻を直線にする意識で、足の筋力で持ち上げる
持ち上げるときに左右の手を使いながら、体から遠い位置にある物を持ち上げないようにするのがポイントです。
上記のような持ち上げ方をすると、腰にかかる負荷を抑えやすくなります。
激しい運動をする
坐骨神経痛の症状が出ている時に自己判断で激しい運動を行うことは、症状を悪化させる可能性が高いため避けるべきです。
痛みやしびれは、神経が何らかの原因で圧迫されたり炎症を起こしたりしているサインです。
そのような状態で負荷の強い運動を行うと、炎症がさらに強まったり神経への刺激が増したりする恐れがあります。
例えば、以下のようなものは坐骨神経をさらに圧迫したり、腰部や臀部(でんぶ)に大きな負担をかけ、状態を悪化さるリスクを伴います。
- 急なダッシュやジャンプ
- 重い物を持つ筋力トレーニング
- 長時間にわたるランニング
運動は体の回復に役立つこともありますが、坐骨神経痛の急性期や痛みが強い時期には、まず安静を保つようにしましょう。
長時間座りっぱなしを続ける
長時間座っていると、腰に負担がかかるのでなるべく避けましょう。
たとえば、オフィスであれば20~30分ほど経ったら、立ち上がって少し歩いてから座り直します。
長時間乗り物に乗るときは、坐骨神経痛の痛みを避けるためにも、適度に体を動かすのを目的にして、こまめに休憩を取りましょう。
また、座るときは前屈みにならないようにするのがコツです。柔らかいソファーに座ると、腰に負担がかかるのでなるべく避けるようにします。
以下で、腰への負担を減らすときのポイントをまとめているので、参考にしてみてください。
【腰に負担をかけない座り方】
- 深く腰かける
- 背筋を伸ばす
- 頭や肩を後ろに引くイメージで猫背にならない
- 足を組まない
- 同じ姿勢を続けない
- 急な動きを行わない
他に気をつけたい点として、一日のなかで座る時間が長いと、腰や背中の筋肉が硬直してしまい、運動能力が低下します。
数時間おきに休憩を入れて、しっかりと歩き回りながら、背筋を伸ばしましょう。
座りっぱなしをやめて体を適度に動かせると、負担を減らしながら症状を乗り越える力を蓄えられるはずです。
ハムストリングスのストレッチ
ハムストリングスとは、太ももの内側の半腱様筋、半膜様筋、外側にある大腿二頭筋からなる3つの筋肉の総称です。
ふくらはぎの筋肉であるハムストリングのストレッチをすると、坐骨神経痛が悪化する可能性があるので注意が必要です。
たとえば、準備運動などの一環でよく行われる動作になります。ただ、ハムストリングを伸ばすと、坐骨神経に刺激を加えてしまい、痛みを増強させる場合があります。
そのため、坐骨神経痛の痛みがあるときは、全身の筋肉を温めるウォーキングや、水の浮力を使って背中に体重をかけない水泳を試してみてください。
前かがみになる
前かがみの姿勢で物を取ろうとすると、背骨にかかる力が増えてしまいます。
さらに、持ち上げようとしている物の重さが組み合わさると靭帯、骨、椎間板に負荷がかかり、坐骨神経痛が悪化する可能性があります。
前かがみの動作をするときの対処法として、まずは背骨をまっすぐにして、そのままの姿勢で膝を曲げて腰を落とすのがポイントです。
たとえば、以下のようなシチュエーションがあげられます。
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また、日常生活の家事では、洗濯機から洗濯物を取り出すときなどは、一気にまとめて行わずに少しずつ行うのが大切です。
腰に負担がかかるのを避けるために、家事などにおいても、重い物の持ち運びを避けてみてください。
自分に合わないサイズの椅子に座る
座り心地の悪い椅子は、腰椎(ようつい)を支えきれず、坐骨神経痛の症状を悪化させる可能性があります。逆に沈み込み過ぎるような椅子も避けたいものです。
坐骨神経痛のときにおすすめの椅子は、背骨を伸ばしたままでニュートラルな姿勢を保てるような、人間工学に基づいた椅子があげられます。
股関節と膝の角度が90度の状態で、足の裏を床にフラットにつけて座っていられる椅子が良いでしょう。
背骨をねじってしまう
背骨をひねる動作を始め、前屈(上半身を前に曲げる動作)や側屈(上半身を左右に曲げる動作)など、他の動作を組み合わせると、腰の痛みを悪化させる場合があります。
たとえば、冬の期間なら雪かきの動作や、間違った方法で物を持ち上げるといった内容があげられます。
重いものを持ち上げないの項目でも説明したように、まずは腰に負担をかけない物の持ち上げ方を学ぶのが大切です。
あわせて体幹のコアマッスルを強化するエクササイズを行い、柔軟性や可動域を向上させましょう。
また、怪我を防ぐために運動や活動をする前は、無理のない範囲でストレッチを行ってみてください。
柔らかすぎるマットレスで寝る
柔らかいマットレスも腰に負担がかかるため、ある程度硬いマットレスのほうが良いでしょう。
マットレス以外の注意点として、ベッドで仰向けになると腰に負担がかかります。ベッドで休むときは横向きになるのがおすすめです。
また、ベッドから立ち上がるときは、ゆっくりと起き上がるだけでなく、腰に負担がかからない動作を意識します。
とくにベッドから腰を上げるときは、両手を膝につきながら、膝の力を使って動作を行うのも有効でしょう。
体を冷やしてしまう
腰や足を冷やしすぎると自律神経が興奮し、つねに体が緊張状態になってしまいます。
そのため、筋肉が固まってしまい、さらに神経を圧迫してしまうと考えられています。
とくに夏場は、冷房の効いた部屋に長くいると症状が悪化しやすいので、ブランケットや薄手の上着を持ち歩くなど、冷え対策を行いましょう。
体重を増やしてしまう
体の脂肪をつけすぎず、太らないように配慮するのも、坐骨神経痛の症状を悪化させないために重要です。
食べすぎや運動不足により、上半身に脂肪が付きすぎると、腰に大きな負担がかかります。
坐骨神経痛の症状がある方は、医師などに相談しながら食事量や運動量を調節して、脂肪がつきすぎないように注意しましょう。
そもそも坐骨神経痛とは?
坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)とは病名ではなく、お尻から太ももの後ろ・ふくらはぎ・足先にかけて現れる痛みやしびれなどの症状の総称です。
人体で最も太くて長い末梢神経である坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり刺激されたりすることで起こります。
坐骨神経痛の症状は個人差がありますが、主に以下のようなものが挙げられます。
- お尻から足先にかけての鋭い痛みやしびれ
- ズキズキ、ジンジンとした持続的な痛み
- 座っている時や歩行時に悪化する下半身の違和感や麻痺感
- ふくらはぎの張り、冷感や灼熱感、締めつけ感
- 長時間立っているのが辛い
- 腰を反らすと下肢に痛みやしびれを感じることがある
- 体をかがめると痛みが強くなる
症状は足の一部分だけに強く感じることもあれば、足全体に強く感じる場合もあり、時には「死ぬほど痛い」と表現されるほどの激痛が生じ、日常生活に支障をきたすことも。
坐骨神経痛を引き起こす主な原因は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症で、日常的な予防やセルフケアが大切になりますが、慢性化した場合は治療が必要になります。
詳しくは以下の記事をご参考ください。
坐骨神経痛でやったほうが良いこと【無理のない軽めの運動】
坐骨神経痛のときにやったほうが良いことには、腰に負担がかからないような軽めの運動があげられます。
無理のない範囲で軽いストレッチや体操を行うと、体の筋力を低下させない働きかけにつながります。
以下では坐骨神経痛を和らげるのに効果的なストレッチを2つご紹介します。
ただし、間違った運動で腰に負担をかける状況を避けるためにも、理学療法士など、医療の専門家に相談しながら行ってみてください。
坐骨神経痛が耐え切れないほど痛い場合は、以下の記事をご参照ください。
お尻のストレッチ(仰向けで行う方法)
お尻の筋肉は複数の筋肉で構成されており、硬くなると骨盤の歪みや姿勢が悪くなり、結果的に坐骨神経痛を引き起こす可能性があります。
今回紹介するのは、硬くなったお尻の筋肉を柔らかくするストレッチです。
- 仰向けになり、両膝を立てます
- 片方の足(痛みのある側)を反対側の太ももの上にのせます
- 反対側の手で太ももを持ち、胸に向かって引き寄せます
- お尻の下側に心地よい伸びを感じる位置で20~30秒キープします
- 反対側も同様に行います
このストレッチは梨状筋という坐骨神経痛の原因となりやすい筋肉をほぐすのに効果的です。
ゆっくりと行い、痛みが強くなるようであれば無理をせず中止してください。
また、より詳しくストレッチ方法が知りたい人は以下の記事を参考にしてください。
まとめ|坐骨神経痛でやってはいけないことを知って悪化を防ごう
坐骨神経痛は、腰の神経が圧迫されて引き起こされる症状で、背中や足、臀部に激しい痛みやしびれをともないます。
症状を改善するには、日常生活において、以下のやってはいけない9つのことに注意しましょう。
【坐骨神経痛でやってはいけないこと9つ】
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以上のポイントに気をつけると、坐骨神経痛の症状を軽減できるでしょう。しかし、注意点を意識するだけでは、根本的な解決にはなりません。
坐骨神経痛の原因は人それぞれで異なりますので、医師や理学療法士などの専門家に相談し、適切な治療を受けるのが重要です。
とくに腰への負担を減らす立ち方や、物の持ち上げ方は、専門家からアドバイスや訓練を受けるとより効果的に行えるようになります。
ぜひかかりつけの整形外科医やリハビリの担当者に相談してみてください。
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坐骨神経痛でやってはいけないことに関するQ&A
坐骨神経痛でやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをまとめました。
Q.坐骨神経痛の原因は?
A.坐骨神経痛は一般的に「腰椎椎間板ヘルニア」もしくは「腰部脊柱管狭窄症」などが原因です。
どちらも腰椎の部分に引き起こされる異常により、脊髄の神経根が圧迫されてしまい、下半身などに痺れるような痛みを引き起こすと考えられています。
坐骨神経痛は、重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどがきっかけになる場合もあります。
Q.坐骨神経痛の治療法は?
A.坐骨神経痛の治療法はさまざまですが、まずは保存療法などを中心に行う傾向にあります。
たとえば、薬物療法や神経ブロック療法、理学療法や物理療法など、状態に応じて治療を進めます。
坐骨神経痛の治療法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。