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脳脊髄液減少症における発症までの期間を医師が解説

脳脊髄液減少症 発症までの期間
公開日: 2025.04.30

「数日前に交通事故でけがをしてから、頭痛やめまいが続いている」

「寝ていると楽だけれど、座ったり起きたりすると頭痛が強くなる」

「頭痛やめまいは事故の後遺症なのだろうか」

外傷後にこのような症状が出た場合、多くの方が不安に感じるでしょう。これらの症状は、脳脊髄液減少症によるものかもしれません。

結論から申し上げますと、多くの場合、脳脊髄液減少症を発症するまでの期間は外傷後30分~数週間程度です。

本記事では脳脊髄液減少症を発症するまでの期間に加えて、発症のきっかけや、医療機関受診の必要性について解説します。

不安を感じている方の助けになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

脳脊髄液減少症を発症するまでの期間

脳脊髄液減少症の症状は、外傷後30分から数週間程度で現れることが多いとされています。(文献1)

外傷直後ではなく少し遅れて発症する主な原因としては、以下の2つが考えられます。(文献2)

  • 血栓の消失
  • 脳浮腫の軽減

1つ目は、外傷後、一時的に発生した血栓が関係するケースです。血栓が脳脊髄液の漏れを塞いでいた場合、血栓が消失すると再び漏れ始めます。

2つ目は、外傷およびそれに伴う脳の浮腫と関連しているケースです。外傷により脳を包む硬膜やくも膜に傷ができたとしても、脳浮腫により一時的に傷が塞がれることがあります。しかし、脳浮腫が軽減されると傷が開き、そこから脳脊髄液が漏れ始めるメカニズムです。

脳脊髄液減少症を発症するきっかけとは?

脳脊髄液減少症を発症するきっかけは、主に以下の4つです。

  • 外傷性(けがによるもの)
  • 医原性(医療処置が原因のもの)
  • 突発性(原因不明のもの)
  • その他(出産、運動後の水分補給不足など)

アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、脳脊髄液減少症の約90%は外傷性であり、残りの10%は原因不明で起こるとされています。(文献3)

脳脊髄液減少症を発症するきっかけについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

脳脊髄液減少症発症後の死亡率

この章では、脳脊髄液減少症後の死亡率および、寝たきりになる確率について解説します。

死亡率

2025年4月現在、脳脊髄液減少症による死亡率のデータは示されていません。

台湾の学術論文において、頭部外傷者患者10,638人を調査した結果が記されています。この研究では、外傷後に髄液漏れがあった患者は、髄液漏れがなかった患者と比べて1年以内に死亡する確率が有意に高い結果が示されました。(文献4)

また、髄液が漏れ続けることで髄膜炎や脳炎などの発症につながり、ときには死亡するケースもあります。(文献4)

イギリスの慈善団体「The CSF Leak Association(脳脊髄液漏出協会)」のサイトでは、「髄液漏出による死亡は極めてまれであるが、重症の場合、脳ヘルニアなどの合併症により死亡するケースがある」と記載されています。(文献5)

寝たきりになる確率

2025年4月現在、脳脊髄液減少症により寝たきりになる確率を明確に示したデータは存在していません。

アメリカのメイヨー・クリニックのサイトでは、脳脊髄液減少症が未治療の場合、髄膜炎や緊張性気脳症、硬膜下血腫などの合併症を引き起こす可能性があると示されています。(文献6)緊張性気脳症とは、脳を取り囲む空間に空気が入り、頭の中の圧力が上昇する疾患です。

治療を受けても重度の症状が続く場合は、合併症がなくても寝たきりになるケースが考えられます。

以下の記事では、髄膜炎について紹介していますので、あわせてご覧ください。

脳脊髄液減少症発症までの期間を理解して対処の遅れを防ごう

脳脊髄液減少症は、原因不明のものもありますが、多くは交通事故を含む外傷が原因です。

外傷性の場合、受傷後30分から数週間後の発症が多いとされています。明確なデータは存在しませんが、重症の場合、寝たきりになったり亡くなったりする可能性もあります。

外傷後に頭痛やめまい、倦怠感といった体調の異変が現れた場合は、脳脊髄液減少症を疑い脳神経外科や整形外科などを受診しましょう。

多くの都道府県公式ホームページでは、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されているため、検索をおすすめします。

リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

脳脊髄液減少症発症までの期間に関するよくある質問

脳脊髄液減少症を発症するとどのような症状が現れますか?

脳脊髄液減少で特徴的な症状が、起立性頭痛です。起立性頭痛とは、起き上がったり座ったりすると発生、もしくは悪化する頭痛のことです。

その他の症状としては、首や目の奥の痛み、めまい、倦怠感などがあります。

脳脊髄液減少症は特徴的な症状が少なく病気の認知度も低いため、起立性調節障害や片頭痛、うつ病などと診断されるケースも少なくありません。

原因不明の脳脊髄液減少症は何歳ころに多く発症しますか?

アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、原因不明の脳脊髄液減少症は30歳以上の方に多く、発症する平均年齢は42歳と示されています。(文献3)

男女で比較すると、女性の方が発症しやすい傾向にあります。

脳脊髄液減少症を発症してから診断されるまでの期間はどのくらいですか?

脳脊髄液減少症は診断が難しいため、診断されるまでに数年間かかる方も少なくありません。(文献5)

日本の新聞記事でも、発症から診断まで3年かかり、複数の医療機関を転々として苦しんだ方の記事が掲載されています。(文献7)

 

参考文献

(文献1)一般社団法人千葉市医師会「事故後に不調が続いたらすぐ病院へ「脳脊髄液減少症」」一般社団法人千葉市医師会ホームページ, 2023年4月10日

https://www.chiba-city-med.or.jp/column/152.html

(最終アクセス:2025年4月20日)

(文献2)Ji-Woong Oh, et al.(2017).Traumatic Cerebrospinal Fluid Leak: Diagnosis and Management.Korean J Neurotrauma, 13(2),pp.63-67. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5702760/pdf/kjn-13-63.pdf

(最終アクセス:2025年4月20日)

(文献3)Cleveland Clinic「Cerebrospinal Fluid (CSF) Leak」Cleveland Clinic,2022年4月26日

https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/16854-cerebrospinal-fluid-csf-leak

(最終アクセス:2025年4月20日)

(文献4)Kuo-Hsing Liao, et al.(2016).Risk of death in patients with post-traumatic cerebrospinal fluid leakagedAnalysis of 1773 cases.Journal of the Chinese Medical Association,79(2)pp.58-54 https://journals.lww.com/jcma/fulltext/2016/02000/risk_of_death_in_patients_with_post_traumatic.4.aspx

(最終アクセス:2025年4月20日)

(文献5)The CSF Leak Association「CSF Leak FAQs: Essential Information About Cerebrospinal Fluid Leaks」The CSF Leak Association

https://csfleak.uk/resource/frequently-asked-questions-faqs

(最終アクセス:2025年4月20日)

(文献6)Mayo Clinic「CSF leak (Cerebrospinal fluid leak)」Mayo Clinic,2023年11月21日

https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/csf-leak/symptoms-causes/syc-20522246

(最終アクセス:2025年4月20日)

(文献7)讀賣新聞「脳脊髄液減少症のいま<1>診断つかず医療機関転々」讀賣新聞オンライン,2022年11月19日

https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20221118-OYT8T50024/

(最終アクセス:2025年4月20日)

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