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尿酸値を下げて腎臓の健康を守る!今すぐ始めたい痛風・腎臓病予防の生活習慣

Uric acid level Kidney 12 11zon
公開日: 2025.04.30

健康診断で尿酸値が高めと書かれていてドキッとした経験はありませんか?そんなときに真っ先にイメージされる痛風ですが、実はその痛みの原因は腎臓にも関係しています。

尿酸は体内の老廃物の一種で、痛風の原因としてよく知られていますが、尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、実は腎臓にも大きな負担がかかり、放置すると腎臓の機能低下を招いて将来的に透析が必要になることもあります。

尿酸値の高い状態が続くと痛風発作を起こすだけでなく、腎臓病や高血圧、心臓病、尿路結石などさまざまな病気を発症しやすくなることがわかっています。

本記事では、尿酸と腎臓の関係や腎臓に影響をあたえるメカニズムについて解説します。尿酸と腎臓のトラブルを予防・改善するポイントを一緒に見ていきましょう。

尿酸値と腎臓との関係|さまざまな疾患への影響

尿酸値が高くなると、体内の尿酸は結晶化してさまざまな場所にたまりやすくなります。足の親指の関節に結晶がたまれば激痛を伴う痛風発作を起こし、尿路にたまると尿路結石、腎臓にたまると腎結石(じんけっせき)になります。

腎臓に尿酸の結晶が沈着すると腎臓の組織に炎症を引き起こし、腎臓の働きが低下してしまいます。尿酸によるこうした腎臓障害を痛風腎(つうふうじん)と呼びます。

さらに尿酸値が高い方は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満といった生活習慣病を合併しやすいことも知られており、動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患のリスクも上昇する傾向があります。

このように尿酸値は痛風だけでなく全身の健康、腎臓の健康と深く関わっています。

尿酸と腎臓が連動する仕組み

尿酸とはプリン体という物質が分解されてできる老廃物です。プリン体は食品や体内の細胞に含まれており、それらが分解されると尿酸が産生されます。

通常、この尿酸は血液を通して腎臓に運ばれ、腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。健康な腎臓であれば体内の尿酸バランスは保たれますが、腎臓の働きが悪くなると尿酸を十分に排泄できずに血液中に溜まり、尿酸値が高くなってしまいます。

尿酸値が高い人ほど腎機能が低下している傾向は研究でも判明してますが、尿酸値が高いこと自体が腎臓を悪くする原因なのか、腎機能が低下した結果として尿酸が高くなっているのかは明確にはわかっておらず、両者が悪循環を起こす可能性も指摘されています。このように、尿酸と腎臓は密接な関係があるといえます。

検査値の見方を押さえて、尿酸値とクレアチニンの関係を知ろう

高尿酸血症と腎臓の関係を理解するには、血液検査の「尿酸値」と「クレアチニン値」に注目しましょう。

尿酸値がは高すぎると痛風や腎障害につながります。一方、クレアチニン値は腎臓のろ過機能を示す重要な指標です。

ここでは尿酸値が高くなる原因と、クレアチニン値からわかる腎機能の状態について具体的に解説します。

尿酸値が高くなる原因

尿酸値が上がる要因は生活習慣と体質(遺伝)です。まず生活面では過食・飲酒・運動不足が代表格です。ビールや内臓類・干物など高プリン体食品の多量摂取、肥満、さらには高血圧・糖尿病・脂質異常症などの併発が尿酸産生増と排泄低下を招きます。

一方、遺伝的素因も大きく、痛風患者の一親等内に家族歴があると高尿酸血症リスクは約2倍に跳ね上がると報告されています。

加えて、腎機能障害や白血病など細胞代謝が過剰に活発になる病態でも尿酸が蓄積するケースがあり、まずは食事・運動など日常習慣を整えた上で、異常が続く場合は医師の検査を受けることが大切です。

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クレアチニン値が示す腎臓機能の指標

腎機能を知るカギは血液中のクレアチニン(Cre)です。クレアチニンは筋肉が動く際に生じる老廃物で、腎臓が正常なら尿へ排泄され血中濃度は低く保たれます。

男性0.6~1.0mg/dL、女性0.5~0.8mg/dL前後が目安ですが、筋肉量や年齢により変動するため数値だけで一喜一憂せず体格を加味した評価が必須です(文献1)。

Cre値と年齢・性別を組み合わせて算出するeGFR(推定糸球体ろ過量)は腎臓が老廃物をどれだけ濾過できるかを%換算した指標で、60mL/分/1.73㎡未満が3か月以上続くと慢性腎臓病(CKD)とみなされます(文献1)。

尿酸値が高い人はCre値も上がりやすいため、両指標をセットでチェックし早期に腎機能低下を掴むことが、痛風腎やCKDの進行を防ぐ第一歩になります。

痛風が腎臓に影響をあたえるメカニズム

痛風は関節だけの病気ではありません。合併症である高尿酸血症は腎臓にも深刻な打撃を与えます。血中で余った尿酸が針のように結晶化し、腎臓の細い管に詰まると、目詰まりを起こして炎症になります。

すると腎臓のろ過フィルター役割をする糸球体が痛み、老廃物を捨てにくくなるため腎機能が低下します。

さらに腎機能が低下することで痛風患者に多い肥満・高血圧・糖尿病が加わると悪循環になってしまいます。

長年放置すれば慢性腎臓病(CKD)や透析に至る恐れもありますので、尿酸値管理と生活習慣改善を早期に徹底しましょう。

痛風腎とは?放置する危険性

痛風腎(つうふうじん)とは、その名のとおり痛風(高尿酸血症)が原因で起こる腎臓障害のことです。痛風や高尿酸血症がしっかり治療・コントロールされずに長期間経過すると、尿酸塩の結晶が腎臓の深部(髄質)に析出して沈着し、腎臓の組織に慢性的な炎症を引き起こします。(文献2)

簡単に言えば、尿酸の結晶が腎臓に石のようにたまって腎臓を傷つけてしまった状態ですが、その結果腎臓の濾過機能が低下し、放置すると慢性腎不全へ進行して透析療法が必要になる可能性もあります。

痛風腎の怖いところは、これといった特有の自覚症状がない点です。尿が泡立つ(蛋白尿)・むくみが出る・血圧が上がるなど、症状が出るとすれば他の腎臓病と共通するサインばかりで、痛風腎に特有な症状はありません。

検査所見でも、尿検査でタンパク尿や尿潜血反応が出る、血清クレアチニン値が上がる等、一般的な慢性腎臓病(CKD)と同様の所見を示します(文献2)。

また、痛風のある方は前述のように高血圧、脂質異常症、耐糖能異常(糖尿病予備軍)など複数の生活習慣病を併せ持つことが非常に多いです。

そのため、痛風そのものによる腎障害(尿酸結晶による腎炎)に加えて、そうした生活習慣病が原因となる腎障害(たとえば高血圧性腎硬化症や糖尿病性腎症)が合わさり、より腎機能を悪化させているケースもしばしばあります。

痛風腎を予防・進行抑制するためには高尿酸血症を適切な治療をすると同時に、合併している生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の管理に努めることが重要です。

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CKD(慢性腎臓病)とは

CKD(慢性腎臓病)は腎機能の低下や腎障害が3か月以上続く状態で、日本では成人の7~8人に1人が該当するとされています(文献3)(文献4)。

代表的な原因は糖尿病や高血圧などで、自覚症状が乏しいため定期的な検査が重要です。CKD患者では腎機能低下により尿酸の排泄がうまくいかず、尿酸値が上昇する傾向があります。

一方で、高尿酸血症の人はCKDを合併しやすいこともわかっており、尿酸値を適正にコントロールすることが腎機能を守る上で重要です。

日本腎臓学会のガイドラインでは、高尿酸血症を伴うCKD患者に対して、血液中の尿酸値を下げるために行う尿酸降下療法の施術を考慮しても良いとされてます。尿酸と腎臓は密接に関係しているため、双方を総合的に管理することが求められます。(文献5)

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痛風・腎臓病を予防する生活習慣の改善

高尿酸血症や腎臓病を予防・改善するためには、日常生活での取り組みが非常に大切です。

ここでは、尿酸値と腎臓の健康を守るために有効な生活改善のポイントをまとめます。どれも今日から実践できる内容ですので、無理のない範囲で取り入れてみましょう。

食事・水分摂取で予防する

プリン体の摂取量を減らし、尿酸の産生を抑えることが基本です。

ビールなどのアルコール類やレバー・干物・魚卵といった高プリン体食品は頻度と量を控えめにし、主菜は鶏むね肉や白身魚を少量、野菜・海藻・大豆製品をたっぷり組み合わせ、タンパク質と食物繊維が豊富な食事を意識しましょう。

また、尿酸を体外へ流すには尿量の確保が不可欠です。水やお茶を1日1.5〜2リットルを目安にこまめに補給し、朝起きた直後・入浴前後・就寝前は必ずコップ1杯の水を飲むなど、ルールを決めてやってみましょう。

適度な運動・体重管理で予防する

ウォーキングや早歩き、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を週3〜5回・1回30分程度続けると、エネルギー代謝が上がり肥満を防げる上、血糖値・血圧も整い尿酸値のコントロールに直結します。

筋トレはスクワットや腹筋など自重中心に無理なく行い筋肉量を維持しましょう。ただし、息を止めるような激しい無酸素運動は一時的に尿酸値を跳ね上げるため控えめに。

肥満は尿酸の産生過多と排泄低下の両方を招くので、BMI25以上の人は食事改善と運動を組み合わせ月1kgペースで減量を目標にします。

加えて高血圧・糖尿病・脂質異常症を放置すると腎臓への負担が倍増し痛風腎やCKD進行を招く恐れがあるため(文献2)、塩分を控えた食事・適正カロリー・血糖コントロールを徹底し、必要なら医師の治療を受けることが重要です。

ストレスの軽減・睡眠で予防する

ストレスが強いと交感神経が優位になり、コルチゾール分泌が増えてプリン体代謝が活発化し尿酸値が上昇しやすくなります。

さらに睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、血圧上昇や食欲増進による体重増加が重なって腎臓への負担も増加します。

毎日30分の軽いストレッチや深呼吸、ぬるめの入浴でリラックスし、趣味や散歩など「自分が楽しい」と感じる時間を意識的に確保しましょう。就寝1時間前にはスマホを手放し、室内を暗めにしてメラトニン分泌を促進すると自然に眠りにつけます。

以上のポイントを実践することで、尿酸値のコントロールと腎臓の保護につながります。最初は難しく感じるかもしれませんが、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。

まとめ|尿酸値を下げて腎臓を守るために生活習慣を改善しよう

尿酸は高すぎると痛風になるだけでなく、腎臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。

腎臓は尿酸を排泄する臓器であり、腎機能が低下すると尿酸が溜まってしまうため、お互いに影響し合う「持ちつ持たれつ」の関係にあります。尿酸値が高めと言われた方は、ぜひ一度腎臓の検査も受けてみてください。

逆に腎臓が悪いと言われた方も尿酸値の管理に注意が必要です。幸い、高尿酸血症や慢性腎臓病は生活習慣の改善や適切な治療によって予防・進行抑制が可能ですので、食事の工夫や運動習慣、定期検査など、できることから始めてみましょう。

日々の積み重ねが将来の健康につながります。もし不安なことやわからないことがあれば、遠慮せず主治医に相談してください。あなたの大切な腎臓を守り、痛風や腎不全にならないよう、今日からぜひ予防に取り組んでいきましょう。

参考文献

(文献1)腎援隊「クレアチニンやeGFRとは、どのような検査値ですか?」家族と考える慢性腎臓病サイト 腎援隊.https://jinentai.com/doctor_qas/post_14.html(最終アクセス:2025年04月22日)

(文献2)日本腎臓学会「痛風腎とは?」日本腎臓学会 ホームページ.https://jsn.or.jp/global/general/_3204.php.(最終アクセス:2025年04月22日)

(文献3)阿部雅紀ほか.「CKD診療ガイドライン2023」『日大医誌』82(6), pp.319‑324, 2023年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/82/6/82_319/_pdf.(最終アクセス:2025年04月22日)

(文献4)東京都保健医療局「CKDってどんな病気?」東京都保健医療局.https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shippei/ckd/p2.html.(最終アクセス:2025年04月22日)

(文献5)日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」日本腎臓学会 ホームページ.https://jsn.or.jp/data/gl2024_ckd_ch05.pdf.(最終アクセス:2025年04月29日)

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