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閉塞性動脈硬化症のセルフチェック|足に現れるサインをわかりやすく解説

閉塞性動脈硬化症 セルフチェック
公開日: 2025.05.30

「最近、足が妙に重だるい」

「ふくらはぎに違和感がある」

その症状は閉塞性動脈硬化症のサインかもしれません。このサインを放置すると症状が悪化し、最悪の場合は壊死や足の切断につながるかもしれません。

本記事では、閉塞性動脈硬化症のセルフチェック方法や足に現れる具体的なサインについて、わかりやすく解説します。あわせて、重症度の目安や症状に応じた治療法についてもわかりやすく解説します。

閉塞性動脈硬化症のセルフチェック|1つでも当てはまる場合は要注意

チェック項目 詳細説明
タバコを吸う 喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進める
血糖値が高いと診断された 糖尿病は血管をもろくし、動脈硬化の大きな要因
コレステロール・中性脂肪が高いと診断された 脂質が血管内にたまり、血流を妨げる
高血圧と診断された 血圧が高いと血管に負担がかかり、動脈硬化が進行する
過去に心筋梗塞を起こした 血管障害の既往があり、他の動脈にも影響する恐れがある
過去に脳卒中を起こした 一度脳卒中を起こすと動脈硬化を発症しやすい傾向がある
家族に心筋梗塞や脳卒中の人がいる 遺伝的に動脈硬化を発症しやすい傾向がある
閉経している 女性ホルモンの低下により、血管の柔軟性が失われやすくなる
透析を受けている 透析によって血管に負担がかかり、動脈硬化が進行しやすくなる
65歳以上である 加齢に伴い血管は硬くなりやすくなる
肥満体型である 生活習慣病のリスクが高く、動脈硬化を招く

閉塞性動脈硬化症は、動脈が徐々に細くなり血流が悪化する病気です。とくに足の血管に障害が出ると、歩行時のだるさやしびれといった症状が現れます。

初期の段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。そのため、早い段階で閉塞性動脈硬化症に気づくには自分でできるセルフチェックを行うことが不可欠です。

1つでもセルフチェック項目に当てはまる場合は要注意です。

以下の記事では、閉塞性動脈硬化症の初期症状について詳しく解説しています。

タバコを吸う

タバコが及ぼす影響 リスクとメカニズム
血管の収縮を引き起こす ニコチンなどにより血管が狭くなり、血流が悪化
血管内皮細胞を傷つける 血管内面が損傷し、動脈硬化の原因となるプラークがたまりやすくなる
LDLコレステロールの酸化 酸化されたLDLコレステロールが血管壁に沈着しやすくなる
血小板の凝集促進 血液が固まりやすくなり、血栓形成のリスクが高まる
HDLコレステロールの減少 善玉コレステロールが減り、血管の修復力が低下
血管壁の慢性的炎症 炎症により動脈硬化が進行

文献1)(文献2

タバコは血管に多面的な悪影響を与え、閉塞性動脈硬化症の大きなリスク因子となります。喫煙により血管が収縮し、内皮細胞が損傷を受けることで、動脈硬化が進行しやすくなります。

また、血液が固まりやすくなり血栓のリスクも高まるため、喫煙歴のある方は足の違和感や冷えといった小さなサインも見逃さず、早めの受診が大切です。

血糖値が高いと診断されたことがある

高血糖は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させます。血流が悪化すると足先まで血液が届きにくくなり、冷えやしびれを感じることがあります。

糖尿病の方は神経障害を伴いやすく、足の異常に気づきにくいため要注意です。血糖値がやや高めと診断された方も、足の症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。

コレステロールや中性脂肪が高いと診断されたことがある

項目 概要
プラークの形成 悪玉コレステロールや中性脂肪が血管にたまり、プラークと呼ばれる塊を作り、血管を狭くする
血管の壁が弱る コレステロールが血管の内側にダメージを与え、血管がもろくなる
酸化LDLの影響 悪玉コレステロールが酸化すると、血管に炎症を起こして、さらに詰まりやすくなる
善玉コレステロールの働き低下 善玉コレステロールが少ないと、血管の掃除がうまくできず、脂質がたまりやすくなる
血栓ができやすくなる 傷ついた血管には血のかたまり(血栓)ができやすくなり、詰まりの原因になる
血管が硬くなる 血管に脂質がたまると、血管の弾力が失われ、血流が悪化する

文献3

コレステロールや中性脂肪が高い状態が続くと、血管の内側に脂質がたまり、血管が狭くなって血流が悪くなります。とくにLDLコレステロール(悪玉)が多いと動脈硬化が進み、血栓ができやすくなります。

逆に、HDLコレステロール(善玉)が少ないと、余分な脂質を回収できずリスクがさらに高まります。足の冷えやしびれ、歩きにくさを感じる方は、閉塞性動脈硬化症の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

高血圧と診断されたことがある

高血圧は血管に強い圧力がかかる状態が続き、血管の内側を傷つけます。そこに脂質などがたまり、プラークができて血管が狭くなり、動脈硬化を引き起こします。とくに足の血管は細くて傷つきやすいため、冷えやしびれを引き起こしやすくなります。

高血圧と診断されたことがあり、冷えやしびれの症状が続く場合、閉塞性動脈硬化症の疑いがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。

過去に心筋梗塞を起こしたことがある

観点 解説
全身の動脈硬化の可能性 心筋梗塞は全身の動脈硬化が進んでいる恐れがある
共通する生活習慣や病気 両者には高血圧や糖尿病など共通のリスク因子がある
血管の機能が低下している可能性 血管内の機能が弱まっており、足の血管も詰まりやすくなっている
血栓ができやすい状態 血栓ができやすい体質になっており、足の血管にも詰まりのリスクがある
慢性的な炎症の影響 慢性的な炎症が全身に及び、足の動脈硬化を進める可能性がある

文献4

心筋梗塞を経験した方は、すでに全身の血管に動脈硬化が広がっている可能性があります。心臓だけでなく、足の血管にも同じような詰まりや変化が起きていることが考えられます。動脈硬化は一部の血管だけでなく、全身に影響する病気です。

そのため、足のしびれや冷えなどの違和感がある場合、単なる疲れではなく血管の詰まりによる症状の可能性も考えられます。再発を防ぐためにも、足の血流チェックを早めに受けることが大切です。

過去に脳卒中を起こしたことがある

観点 解説
全身の動脈硬化の可能性 脳の血管に問題が起きた方は、足など他の血管でも動脈硬化が進んでいる可能性がある
共通の危険因子がある 脳卒中と閉塞性動脈硬化症は、生活習慣病や喫煙など共通のリスク要因で起こる
血管の働きが弱っている 脳卒中を経験した方は、血管の内側の機能が低下している可能性がある
血栓ができやすい状態 脳の血管にできた血栓と同じように、足の血管にも詰まりが起こるリスクがある
慢性的な炎症の影響 脳卒中後は、体の中で炎症が続いており、それが足の血管にも悪影響を及ぼすことがある

文献5

脳卒中(とくに脳梗塞)は、脳の血管が動脈硬化によって詰まることで起こる病気です。脳卒中を経験された方は、すでに全身の血管に動脈硬化が進行している可能性があり、足の血管も例外ではありません。

そのため、閉塞性動脈硬化症のリスクも高くなる恐れがあります。また、脳卒中と閉塞性動脈硬化症には、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などの共通する危険因子があります。足の冷えやしびれは、動脈の詰まりのサインかもしれません。気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。

家族に心筋梗塞や脳卒中を起こした人がいる

観点 解説
遺伝の影響 コレステロールや血圧が高くなりやすい体質が、家族で受け継がれていることがある
生活習慣の共通性 家族内で似た食事や運動習慣は、動脈硬化を起こす傾向が強くなる
若いうちからの発症リスク 家族に若くして発症した人がいると、自分も早く発症するリスクが高まる可能性がある
血管が弱い体質の可能性 血管の構造や性質に遺伝的な傾向があり、動脈硬化を起こしやすいことがある
リスクの見落としに注意 家族に心筋梗塞や脳卒中の方がいる場合は、自分もリスクがあると考え、早めの対策が重要です

文献6

家族に心筋梗塞や脳卒中を起こした方がいる場合、自分も動脈硬化を起こしやすい体質を持っている可能性があります。

高血圧や脂質異常、糖尿病などのリスク因子は遺伝しやすく、生活習慣も似ていることが多いため、同じような病気を発症するリスクがあります。とくに家族に若くして発症した人がいる場合は、注意が必要です。

閉経している

観点 解説
女性ホルモンの減少 閉経でエストロゲンが減り、血管を守る働きが弱くなる
脂質のバランスが変わる 悪玉コレステロールや中性脂肪が増え、動脈硬化が進みやすくなる
血圧が上がりやすくなる 血管が収縮し、血圧が上がりやすくなる
血管の働きが低下する 血管の内側の機能が落ち、詰まりやすくなる

文献7

エストロゲンには血管をしなやかに保つ働きがありますが、閉経後はその分泌が減り、血管が硬くなりやすくなります。

コレステロールもたまりやすくなり、動脈硬化が進行しやすくなります。閉経後に体調の変化を感じたら、足の冷えやしびれなどにも注意し、異変があれば早めに医療機関を受診しましょう。

透析を受けている

観点 解説
血管に負担がかかっている 高血圧や糖尿病などの合併症により、血管が常にダメージを受けやすい状態
血管が硬くなりやすい カルシウムなどの影響で血管に石のような物質がたまり、硬くなりやすくなる
体にサビがたまりやすい 老廃物がうまく排出されず、酸化ストレスが血管に悪影響を与える
炎症が起こりやすい 体の中で炎症が続きやすく、それが血管を傷つける原因になる
血管の働きが弱くなる 血管の内側の細胞がうまく働かなくなり、詰まりやすくなる
透析の影響そのもの 透析中の体内環境の変化も、血管に負担をかけやすい要因

文献8)(文献9

透析を受けている方は、老廃物が体にたまりやすく、カルシウムやリンの代謝異常により血管が硬く狭くなりやすくなります。さらに、糖尿病や高血圧の併発も多く、動脈硬化を進行させる原因です。

透析中に足の冷えやしびれを感じたら、血流障害の可能性があります。放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

65歳以上である

観点 解説
血管の老化 年齢とともに血管が硬くなり、動脈硬化が起こりやすくなる
生活習慣病が増加する 高血圧や糖尿病など、動脈硬化の原因になる病気にかかりやすくなる
血管の調整機能が低下 血管を広げたり縮めたりする働きが弱まり、詰まりやすくなる
酸化ストレスがたまりやすい 長年の代謝活動で体内に有害物質がたまり、血管に悪影響を与える
血管の修復力が低下 傷ついた血管を元に戻す力が弱くなり、動脈硬化が進みやすくなる

文献10

加齢とともに動脈の壁は硬くなり、血管の内腔も狭くなります。とくに65歳を超えると、血管の老化が進みやすく、血流が滞ることで足に冷えやしびれなどの異常が現れやすくなります。

65歳以上の方は、足の冷えやしびれを感じるようであれば、手遅れになる前に早めに医療機関を受診しましょう。

肥満体型である

肥満体型の方は、動脈硬化を進めるさまざまなリスクを抱えています。肥満は、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしやすく、血管に大きな負担をかけます。

さらに、インスリンの働きが低下して血糖や脂質のバランスが乱れやすくなり、動脈硬化のリスクが高まります。加えて、脂肪細胞から分泌される炎症物質が血管を傷つけ、悪玉コレステロールの増加や善玉コレステロールの減少も進行を助長します。血圧も上がりやすくなるため、注意が必要です。

【セルフチェックとあわせて確認】閉塞性動脈硬化症の重症度と治療法

重症度 症状・状態 詳細 治療法の概要
Ⅰ度|冷感やしびれがある重症度 足先に冷えや軽いしびれがあるが、歩行には支障がない状態 血流の低下による軽度の末梢循環障害 生活習慣の改善(食事・運動・禁煙)と薬物療法(抗血小板薬、血圧・脂質のコントロール)
Ⅱ度|長距離が歩けない 歩行中に足がだるくなり、休むと症状が軽くなる(間欠性跛行) 歩行による酸素不足に伴う下肢筋肉の循環障害 運動療法と薬物療法の併用、必要に応じてカテーテル治療や生活習慣の見直し
Ⅲ度|安静時に違和感が現れる 夜間や横になっているときにも足先に違和感が生じる・ヒリヒリする 安静時にも続く深刻な血流不足による末梢虚血 血管再建(バルーン・ステント・バイパス)、創傷ケア、感染管理
Ⅳ度|潰瘍や壊疽がある 皮膚が黒ずむ、潰瘍ができる、足先が腐りはじめるなどの末期状態 血流途絶による組織壊死および感染リスクの高い状態 外科的血行再建や壊死部の切除、重症時は切断、全身管理を含む包括的治療

閉塞性動脈硬化症は、足の血管が徐々に狭くなり血流が悪くなる病気です。初期(Ⅰ度)は冷えやしびれなど軽い症状ですが、進行すると歩行が困難になり(Ⅱ度)、さらに進むと安静時にも違和感が現れます(Ⅲ度)。

末期(Ⅳ度)では潰瘍や壊死が起き、非常に重篤な状態です。生活習慣の改善や適切な治療を継続すれば、重症化や足の切断リスクを減らせます。

以下の記事では、閉塞性動脈硬化症におけるマッサージについて詳しく解説しております。

Ⅰ度|冷感やしびれがある

項目 内容
症状の特徴 自覚症状はほとんどなく、健康診断や検査で偶然見つかることが多い状態
よくある症状 足先の冷えや軽いしびれ、皮膚の蒼白、足の脈が弱くなることがある
日常生活への影響 日常生活に支障はなく、多くの場合は無症状で気づかれにくい段階
治療法 禁煙や減塩、運動などの生活習慣改善と、必要に応じた薬物治療が行われる
注意点 初期でも放置せず、早めの対策が進行を防ぐ重要なポイント

文献11

Ⅰ度は閉塞性動脈硬化症の初期段階で、足先に冷たさや軽いしびれを感じる状態です。しびれや冷えは血管の内腔が少し狭くなり、血液の流れが悪化しているサインです。

歩行障害はないものの、足の皮膚が乾燥したり、爪の伸びが遅くなったりするケースもあり、血流の低下が進んでいる状態です。この段階で異変に気づければ、進行を防げます。

少しでも違和感を覚えたら、まずは循環器内科などでチェックを受けることをおすすめします。

Ⅰ度の治療法

項目 内容
治療の目的 動脈硬化の進行抑制と将来的な重症化の予防
治療の基本方針 生活習慣の改善と予防的薬物療法の併用
生活習慣の見直し 禁煙の徹底、適度な有酸素運動、減塩・低脂質の食事
薬物療法(予防目的) 抗血小板薬による血栓予防、スタチンによる脂質管理、ARB/ACE阻害薬による血管保護
生活習慣病の管理 糖尿病、高血圧、脂質異常症の安定化と定期的な内科受診
Ⅰ度の特徴 歩行時の違和感や強い症状がなく、検査で血流低下を指摘されることが多い段階
発見のきっかけ 健康診断や動脈硬化検査中の偶発的な発見

Ⅰ度の段階では、生活習慣の見直しと薬物療法が中心です。禁煙や塩分・脂質の摂取制限、適度な運動を通じて血管への負担を減らします。

血液の流れを良くする抗血小板薬や、血圧・コレステロールを下げる薬も併用されることがあります。自覚症状が軽いからといって油断せず、医師の指導のもとで早めに予防策を始めることが大切です。

Ⅱ度|長距離が歩けない

項目 内容
症状の特徴 歩行中にふくらはぎや太ももに違和感・だるさが出る間欠性跛行
具体的な状態 一定の距離を歩いた後に違和感やしびれが出て、立ち止まって休むと軽減する状態
歩行距離の変化 歩ける距離が徐々に短くなり、途中で休憩が必要になる状態
その他の症状 足の冷感やしびれの頻度や強さが増し、足の脈が弱くなるか触れなくなる状態
診断の手がかり 違和感が出る歩行距離の短縮と間欠性跛行の出現
重症度の目安 歩行可能距離によって進行度を評価する段階
治療法 生活習慣の見直し、有酸素運動を取り入れた運動療法、血流改善を目的とした薬物療法、必要に応じたカテーテル治療

文献11

Ⅱ度では、一定の距離を歩くとふくらはぎにだるさやしびれが出て、立ち止まると症状が和らぐ間欠跛行が現れます。この状態は、運動に伴う酸素不足が足の筋肉に起きているためで、足の動脈が狭くなっている証拠です。

Ⅱ度の症状では、日常生活に支障が出始め、買い物や散歩など、歩くことが負担に感じる場面が多くなります。血流障害はまだ一定の回復が見込める段階であり、適切な対処により改善が期待できる状態です。

以下の記事では、間欠跛行について詳しく解説しています。

Ⅱ度の治療法

項目 内容
治療の目的 違和感の軽減、歩行距離の延長、重症化の防止、生活の質の維持、心血管疾患のリスク低減
治療の基本方針 生活習慣の改善を土台とした多角的な治療アプローチ
生活習慣の改善 禁煙の徹底、減塩・低脂質・糖質管理の食事、継続可能な有酸素運動の実施
歩行療法の導入 違和感が出たら休み、治ったら再開する反復歩行による血流改善
薬物療法 抗血小板薬による血栓予防、血管拡張薬・血流改善薬による間欠性跛行の軽減
血管内治療(必要時) バルーンによる血管拡張、ステント留置による血流確保と再狭窄防止
重要なポイント 医師との連携による個別治療計画の作成と定期的な経過観察の実施

Ⅱ度では、運動療法と薬物療法を組み合わせて治療を行います。ウォーキングにより血流の新たな経路が作られ、足の血行が改善されます。

さらに、抗血小板薬や血管拡張薬を使用し、血液の流れをスムーズに保ちます。あわせて、食事内容の見直しや禁煙、血圧の管理を継続し、症状の悪化を防ぐことが期待されます。

Ⅲ度|安静時に違和感が現れる

項目 内容
症状の特徴 安静時でも足に違和感が出る(とくに夜間や就寝時に強くなる)
違和感が出る部位 足先・かかと・すねなどに、焼けるような・締めつけるような違和感がある
姿勢による変化 足を下げる(椅子に座る、ベッドから足を下ろす)と違和感が軽くなる
冷感・しびれ 足の冷たさやしびれが強くなり、常に感じるようになる
皮膚の変化 皮膚が白っぽく乾燥し光沢が出る、毛が抜ける、爪が厚くなる・変形する
傷の治りにくさ 小さな傷が治りにくく、悪化すると潰瘍や壊死の原因になる可能性がある
足の脈拍 足の動脈の脈が弱くなる、またはまったく触れなくなる
病気の段階 重症な状態(重症下肢虚血:CLI)であり、早急な治療が必要
治療の目的 違和感の軽減・血流の改善・足の切断を避けるための救肢治療

文献11

Ⅲ度になると、歩いていなくても足先にしびれや冷感、ヒリヒリした違和感が続くようになります。Ⅲ度では血流が極度に悪化している状態であり、安静にしていても筋肉や皮膚に必要な酸素が届かなくなっているサインです。

Ⅲ度の状態は非常に重篤であり、安静にしていても足に強い違和感が現れる段階です。下肢の血流が著しく低下し、組織が酸素不足に陥っている状態といえます。

放置すれば皮膚潰瘍や壊死に進行し、足の切断に至る可能性もあります。そのため、医療機関の早急な受診が必要です。

Ⅲ度の治療法

項目 内容
治療の目標 足の違和感を和げて血流を改善し、足の切断を防ぎながら、生活の質を保ち、心筋梗塞や脳卒中も予防する
生活習慣の改善 血圧・血糖・コレステロールの管理。禁煙、バランスの取れた食事、体重管理の徹底
薬物療法 血液をさらさらにする薬や血管拡張薬の使用を行いつつ、必要に応じた鎮痛薬の併用
血行再建治療 カテーテル治療による血管の拡張や、バイパス手術による血流の確保
疼痛管理・QOL維持 足の位置調整、皮膚・爪のケア、鎮痛薬の活用による不快感の軽減と生活の質の向上

Ⅲ度では、薬や運動だけでの対応が難しくなることも多く、血管の再建が必要となる場合があります。カテーテルを用いた血管拡張術(バルーン療法やステント留置)や、バイパス手術が検討される状態です。同時に、皮膚の状態によっては創傷ケアや感染管理も併せて行います。

放置すれば症状が急激に悪化するため、速やかに必要な治療方針を決めることが重要な段階です。

Ⅳ度|皮膚に潰瘍ができたり足先が腐ったりする

分類 解説
皮膚潰瘍 足先やかかと、指先などに潰瘍ができる状態であり、血流障害により小さな傷も治りにくく、感染を起こしやすい
壊疽(腐敗) 足先や指先が黒色や紫色に変色し、組織が死滅していく状態であり、酸素と血液の供給が完全に途絶える
激しい安静時痛 安静にしていても激しい違和感が続き、鎮痛薬でも効果が乏しいことがある
感染症の合併 潰瘍や壊疽部位から細菌感染が広がり、蜂窩織炎や敗血症など全身性の重篤な感染症を引き起こす危険がある
冷感と感覚麻痺 足が極端に冷たくなり、感覚が鈍くなるか麻痺する状態。神経への血流も止まっている可能性が高い
脈拍の消失 足の動脈の脈拍が触れず、血流がほぼ完全に停止している状態
重要なポイント 足の切断を回避が困難な段階であり、命に関わる可能性もあるため、速やかな診断と緊急治療が必要

文献11

閉塞性動脈硬化症のⅣ度は末期の状態で、足に潰瘍や壊死が起こり、感染や足の切断の危険が非常に高まります。足の変色や治りにくい傷などが見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。

Ⅳ度の治療法

治療項目 内容
治療の目的 感染の制御、違和感の緩和、血流改善による救肢、QOLと生命予後の改善
血流の回復(カテーテル治療) 動脈を内側から広げて血流を回復する治療法
血流の回復(バイパス手術) 血流の新しい通り道を外科的に作る手術
感染の管理と創傷 抗生物質の投与、壊死組織の除去(デブリードマン)、創傷管理(陰圧療法など)、フットケア
切断(最終手段) 血流改善や感染制御が困難な場合に実施され、足趾や膝下など、可能な限り小範囲に留める
再生医療(一部施設) 幹細胞移植などで血管新生を促す治療
重要なポイント 救肢には早期対応と多職種による集学的治療が不可欠

Ⅳ度の治療では、壊死した組織を除去し、足をできる限り温存するために血行再建術(カテーテル治療やバイパス手術)が行われます。

血流の改善が困難な場合や感染が重度な場合には、足指や膝下の一部を切断する処置が必要になるケースもあります。切断は壊死や感染の拡大を防ぎ、命を守るための最終手段です。

近年では、再生医療を活用した新たな治療法も注目されています。自家幹細胞の移植によって血流の回復を図る方法で、重度のCLI(重症下肢虚血)患者に対し、標準治療が困難な場合に選択肢として検討されます。再生医療の実施には専門的な判断が必要なため、対応している医療機関で医師とよく相談した上で進めることが大切です。

以下の記事では、リペアセルクリニックの再生医療について詳しく解説しております。

閉塞性動脈硬化症のセルフチェックで早めの受診を心がけよう

閉塞性動脈硬化症は、足の冷感や違和感など軽い症状から始まり、放置すると歩行障害や壊死に進行する可能性があります。初期の段階で気づき、適切に対処すれば進行を防止できます。

セルフチェックで1つでも当てはまる項目がある方、または足の異変を感じている方は、早めに医療機関で血管の状態を確認しましょう。

当院リペアセルクリニックでは、再生医療を用いた閉塞性動脈硬化症の治療を行っております。症状にお悩みの方は、「メール相談」や「オンラインカウンセリング」を通じて、お気軽にご相談ください。

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参考資料

(文献1)

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https://www.j-athero.org/jp/general/kinen/#:~:text=%E5%96%AB%E7%85%99%E3%81%A8%E5%8B%95%E8%84%88%E7%A1%AC%E5%8C%96%E6%80%A7,%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(最終アクセス:2025年5月11日)

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