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【医師監修】間欠跛行とは?原因や治る可能性を医師が解説

間欠跛行とは
公開日: 2025.05.30

「足の違和感で長く歩けない」

「ふくらはぎが張って立ち止まりたくなる」

その症状を年齢のせいにして、放置していませんか?違和感はあるけれど、休むと和らぐその症状は間欠跛行(かんけつはこう)かもしれません。動き出すと辛くなり、休むと楽になる繰り返しに、不安を覚える方も少なくありません。本記事では、間欠跛行の症状とともに、以下の内容について解説します。

  • 間欠跛行の原因
  • 間欠跛行の治療法
  • 間欠跛行のリハビリ方法

記事の最後には、間欠跛行の症状に関してよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

間欠跛行とは

影響の種類 具体的な内容
外出の制限 違和感が出る距離が短くなり、買い物や散歩などの外出が億劫になる
活動量の低下 違和感を恐れて活動量が減り、筋力や体力が低下する可能性がある
精神的な負担 症状の再発への不安が常にあり、ストレスを感じやすくなる
生活の質の低下 趣味や社会活動が難しくなり、生活の満足度が低下する

間欠跛行(かんけつはこう)とは、一定の距離を歩くと足やふくらはぎにだるさやしびれを感じて歩けなくなり、しばらく休むと再び歩けるようになる症状です。発症の主な原因は神経の圧迫や血流障害で、加齢や生活習慣病と深く関係しています。歩行時の違和感は日によって変動し、一時的な不調と見過ごされやすい点も特徴です。

最初は軽い違和感でも、放置すれば歩行困難や日常生活への支障に発展するため、自己判断はせず、早期の段階で医療機関を受診するのが大切です。

間欠跛行の原因

特徴 神経性間欠跛行(脊柱管狭窄症など) 血管性間欠跛行(閉塞性動脈硬化症など)
原因 加齢による背骨の変形、椎間板の変性などによる腰部神経の圧迫 動脈硬化による足の血管の狭窄や閉塞による血流不足
発症のきっかけ 長時間の歩行、腰を反らす姿勢 歩行
症状の特徴 しびれ、脱力感、違和感 違和感、つっぱり感、冷感、皮膚の色が変化する
違和感が出る箇所 腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、足 臀部から足(下肢全体)
悪化させる要因 加齢、不良姿勢、重労働など 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、加齢など
日常生活の注意点 同じ姿勢を続けない、腰に負担のかかる動作を避ける、適切な運動 禁煙、食事療法、適度な運動、足を冷やさない

間欠跛行の原因は主に脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性)と閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性)の二つです。症状別に原因を解説します。

脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性)

項目 内容
原因 背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される
起こりやすい病気 脊柱管狭窄症(とくに腰の部分で起こる)
主な症状 歩くと足がしびれる・力が入らない・つっぱるような感覚がある
症状の悪化 歩いたり立ったりすると悪化しやすい
楽になる姿勢 前かがみになる・座るなどで神経の圧迫がゆるみ、症状が軽くなる
特徴的な行動 自転車には乗れるが、歩くのがつらい
症状の現れ方 両足にしびれや脱力感が出ることが多い
注意点 血管の病気との見分けが難しいため、自己判断せず医療機関を受診する

文献1

神経性の間欠跛行は、主に脊柱管狭窄症が原因で起こります。加齢などにより背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されることで足にしびれや脱力感が生じ、歩くことが難しくなります。身体を前屈みにすると症状が軽くなり、歩いたり直立すると症状が悪化しやすいのが特徴です。

神経性の間欠跛行は、しびれや脱力感が強く出るのが特徴です。血管性とは異なりますが、症状が似ているため、しばしば混同されます。症状が似ているため、自己判断は避け、整形外科や脳神経外科での画像検査(MRIなど)を受けるようにしましょう。

以下の記事では、脊柱管狭窄症について詳しく解説しています。

閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性)

項目 内容
原因 動脈硬化で足の血管が細くなり、血液が十分に流れなくなる
起こりやすい病気 閉塞性動脈硬化症(ASO)
主な症状 歩行時のふくらはぎの重だるさ、締めつけられるような違和感
症状の悪化 歩行を続けると悪化する
楽になる姿勢 姿勢に関係なく、立ち止まると速やかに回復
特徴的な行動 自転車でも歩行時と同様に症状が出ることがある
症状の現れ方 片足に出ることが多い
注意点 放置すると潰瘍・壊死の恐れあり。進行する前に受診が必要

文献2

血管性間欠跛行は、閉塞性動脈硬化症(ASO)と呼ばれる血管の病気が原因で起こります。足の動脈が動脈硬化により狭くなったり詰まったりすると、歩行中に筋肉へ十分な血液が届かなくなります。血液が流れにくくなることで、ふくらはぎなどに違和感が現れるのが特徴です。

閉塞性動脈硬化症による血管性間欠跛行では、一定の距離を歩くと症状が現れますが、立ち止まって休息を取ることで、血流が回復し、再び歩けるようになります。しかし、症状が進行すると歩ける距離がどんどん短くなり、重症化すると、安静にしていても足が辛くなり、冷感や皮膚の色の変化、潰瘍などの深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。

閉塞性動脈硬化症による間欠跛行は、早期治療に加えて、生活習慣の改善や禁煙が重要です。必要に応じて、薬物療法や血管手術での改善も行われます。

以下の記事では、閉塞性動脈硬化症について詳しく解説しています。

間欠跛行が治る可能性について

間欠跛行は、原因に合った治療を受けることで大きく改善し、普段の生活にほとんど支障がない状態まで回復も視野に入ります。運動療法や生活習慣の改善により歩ける距離が伸びれば、生活の質は大きく向上するでしょう。ただし、動脈硬化そのものを完全に元の状態に戻すのは難しく、完治よりも症状管理が治療の中心となります。

治療の目標は症状の完治ではなく、あくまで「改善」であることが大前提です。また、改善に加えて、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を防ぐことも目的です。間欠跛行が改善する可能性を少しでも上げるには、早期の受診と継続的なケアが求められます。

間欠跛行の治療法

治療法 内容 対象となるケース ポイント
保存療法 運動療法(ウォーキングなど)や薬の服用、生活習慣の改善 初期〜中等度の症状 症状を和らげ、症状の進行を防ぐ
手術療法 血管を広げるカテーテル治療や詰まった部分のバイパス手術など 保存療法で効果が不十分な場合や重症例 血流を改善し、歩ける距離を大きく伸ばせる
再生医療 自分の細胞や成分を使って血管の修復や再生をうながす先進的な治療法 他の治療が難しい場合や効果が乏しいケース 一部の施設で実施、効果や適応は限定的

間欠跛行の治療法は以下の3つです。

  • 保存療法
  • 手術療法
  • 再生医療

治療法ごとに適したケースや効果の範囲が異なるため、医師の指示に従う必要があります。間欠跛行の治療法について解説します。

保存療法

治療法 内容 期待される効果・ポイント
運動療法 計画的な歩行訓練、下肢筋力トレーニング、ストレッチなど 側副血行路の発達、酸素利用効率向上、歩行距離の延長
薬物療法 抗血小板薬、血管拡張薬、鎮痛薬など(医師の判断で処方) 血流改善、血栓予防、症状の緩和
生活習慣の改善 禁煙、食事改善、体重・血糖・血圧管理、ストレス・冷え対策 動脈硬化の進行抑制、生活習慣病の改善、薬の効果を引き出す

間欠跛行に対する保存療法は、手術をせずに症状の改善と病気の進行を抑える方法です。運動療法では歩行訓練によって血流を改善し、歩行可能な距離を少しずつ延ばしていきます。薬物療法では、血液をサラサラにしたり血管を広げる薬で症状の軽減を目指します。また、生活習慣を根本から改善するのも動脈硬化を防ぐ上で大切です。

保存療法はすぐに効果が出るものではありませんが、長期的な歩行能力の回復と維持に重要な治療法です。

手術療法

項目 バイパス手術(血管バイパス術) 血栓除去術(血行再建術)
目的 狭くなった血管を迂回して、新たな血液の通り道を作る 詰まった血管から血栓(血のかたまり)を取り除いて血流を再開させる
対象となる状態 慢性的な血流障害(閉塞性動脈硬化症など) 急に血流が止まった場合(急性動脈閉塞など)
使用される血管 自分の静脈(自家血管)または人工血管 既存の血管を利用し、血栓を除去
麻酔・方法 全身または局所麻酔で行い、血管を縫い合わせる 同様に麻酔下で血管を開き、器具で血栓を取り出す
効果 血流の大幅な改善、歩行症状の軽減や重症化の予防 早期の血流回復で壊死や切断リスクを低下、症状の改善が見込める
注意点 感染、出血、再閉塞などの合併症リスクあり 同様に合併症や再閉塞のリスクがあり、術後管理が大切

間欠跛行の症状が進行しており、保存療法で改善が難しい場合は、手術療法が検討されます。代表的なのがバイパス手術で、狭くなった血管を迂回するように新しい通り道を作り、足への血流の改善を目指します。

血栓除去術では、急に詰まった血管を開き、血栓を取り除き、血液の流れを回復させる治療法です。

どちらの治療法も血流を改善し、歩行時の違和感や足の壊死リスクを軽減する効果が期待できます。ただし、保存療法に比べて体への負担が大きく、感染や出血、バイパス血管の詰まりといった合併症のリスクがあり、入院期間も長くなる傾向があります。

手術を検討する際は、医師とよく相談した上で決めることが大切です。

再生医療

原因のタイプ 再生医療のアプローチ 期待される効果
神経性(脊柱管狭窄症) 幹細胞などを用いて、傷ついた神経の修復や炎症の抑制 神経の伝達が改善し、しびれや違和感が軽くなる
血管性(動脈硬化) 新しい毛細血管をつくる(血管新生)よう促す治療を行う 足への血流が改善し、歩くときの違和感が緩和される可能性がある

間欠跛行は、神経の圧迫や血管の詰まりが原因で起こる症状です。再生医療では、身体が本来持つ修復力を利用して神経や血管の機能回復を目指す治療法であり、しびれや違和感の軽減、血流の改善が期待されます。

手術療法と比べ、長期の入院や感染症のリスクが少ないのがメリットです。ただし、再生医療は限られた医療機関でしか行われていないため、対応している施設での受診が必要です。

間欠跛行のリハビリ方法

種類 内容・目的 期待される効果 注意点
ふくらはぎストレッチ かかとを床につけたまま壁に向かって体を倒す 血流改善、筋肉の柔軟性向上 違和感が出る場合は中止
太もも裏のストレッチ 座って片脚を伸ばし、足先に向かって上半身を倒す ハムストリングの柔軟性向上 背中を丸めすぎないよう注意
お尻のストレッチ 仰向けで片膝を胸に引き寄せる 股関節周囲の柔軟性を保ち、神経の圧迫を軽減 無理に力を入れず、深呼吸をしながら行う
股関節前のストレッチ 片膝立ちの姿勢で体を前方に押し出す 血流と可動域の改善 バランスを崩さないよう、壁や椅子で支える

間欠跛行のリハビリでは、ストレッチを中心とした運動療法が症状の改善に非常に効果的です。ふくらはぎや太ももの裏、股関節まわりの柔軟性を高めることで、血流が促進され、症状の改善が期待できます。

実際に、腰部脊柱管狭窄症による間欠跛行の70代男性が、週1回の理学療法とセルフストレッチを続けた結果、歩行距離が500m未満から3km以上にまで改善した例があります。文献3

改善例からもわかる通り、ストレッチは毎日少しずつ無理のない範囲で続けることが大切です。リハビリ中に違和感が出る場合は、すぐに中止し、医師に相談しましょう。

間欠跛行における日常生活で気をつけること

項目 内容
無理に歩きすぎない 違和感を我慢すると悪化のリスクがあるため、無理せず休憩を挟む
姿勢に注意する 神経性の場合は前かがみが楽になることが多い
禁煙・食生活の改善 喫煙や高脂肪食は動脈硬化を進めるため、生活習慣の見直しが重要
血圧・血糖・コレステロール管理 生活習慣病のコントロールで症状の進行を抑える
適度な運動を継続する ウォーキングなど違和感が出ない範囲での運動が予防と改善につながる
足の状態を毎日チェックする 傷や潰瘍ができていないか確認し、早めに対処する
症状の変化があれば受診 一時的に良くなっても、病気が進行している可能性がある

間欠跛行の症状を悪化させないためには、無理に歩いたり、過度な運動は禁物です。違和感を抱えたまま歩くと神経や血管に負担がかかり、症状の悪化につながります。神経や血管に負担をかけないためにも適度な休憩を取りましょう。

また、間欠跛行を悪化させないためには、適度な運動に加え、食生活の改善や禁煙が大切です。とくに喫煙や高コレステロールは動脈硬化の原因になるため注意が必要です。また、足に傷や潰瘍がないか毎日確認し、異常があれば早めに受診しましょう。

間欠跛行が疑われる場合は迷わず医療機関へ

間欠跛行は歩くと辛くなり、休むと楽になるのが症状の特徴です。間欠跛行は休むと楽になるため軽視されがちですが、重症化すると足の壊死や切断を余儀なくされることもあります。

日常生活でわずかでも足に違和感があれば、症状が悪化する前に医療機関を受診しましょう。当院リペアセルクリニックでは、間欠跛行の初期症状にも丁寧に対応し、幹細胞を用いた再生医療で治療をサポートしています。

症状が改善せずお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。

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間欠跛行の症状に関してよくある質問

間欠跛行は何科を受診するべきでしょうか?

初期の段階では原因の特定が難しいため、整形外科の受診をおすすめします。動脈硬化が判明している場合は、循環器内科もしくは、血管外科を受診しましょう。また、間欠跛行を治療できる医療機関の探し方としては、口コミやGoogleマップで評判をチェックするのがおすすめです。

当院リペアセルクリニックでは、間欠跛行の治療も行なっておりますので「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、お気軽にご相談ください。

間欠跛行の症状は自然治癒しますか?

間欠跛行の自然治癒はほとんどありません。原因に応じた治療が必要で、放置すると症状が進行する恐れがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。

運動はまったくしてはいけないのでしょうか?

運動は無理のない範囲であれば、問題ありません。ただし、違和感が出た場合はすぐに中止し、医師に相談しましょう。

間欠跛行の症状とがんは関係あるのでしょうか?

間欠跛行の原因は主に脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症による血流障害であり、がんとの直接的な関係性はありません。ただし、がんが神経や血管を圧迫することで似たような症状が出ることもあるので、原因が特定できない場合は精密検査を受ける必要があります。

 

参考資料

(文献1)

「腰部脊柱管狭窄症」『整形外科シリーズ8』, pp.1-2,2023

https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0013CKA.pdf(最終アクセス:2025年5月9日)

(文献2)

「閉塞性動脈硬化症(ASO:Arterio-Sclerosis Obliterans)」, pp.1-15

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/doumyakukoukashou.pdf(最終アクセス:2025年5月9日)

(文献3)

国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) 「腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行が改善した一例」J-STAGE,2018年7月16日

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_H2-166_1/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月9日)

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