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尿酸値を下げる食べ物・飲み物【一覧表】プリン体の多い食品も解説

「尿酸値を下げるためには何を食べたり飲んだりすれば良いの?」
「摂取を控えたいプリン体の多い食品は?」
尿酸値が高いと指摘された方は、このようなことを知りたいのではないでしょうか。尿酸値のコントロールにおいて食事内容は重要です。
プリン体が多い食品を避けるのはもちろん大切ですが、尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂れば、高尿酸血症の改善に役立つでしょう。
本記事では、尿酸値が高めと指摘された方に対して以下を解説します。
- 尿酸値を下げる食べ物・飲み物
- 摂取を控えたいプリン体の多い食品
- 尿酸値を下げる3つのポイント
- コーヒーと尿酸値の関係について
尿酸値を下げる食べ物・飲み物の主な効果を一覧表で紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
尿酸値を下げる食べ物・飲み物【一覧表】
尿酸値を下げる食べ物・飲み物は以下の通りです。
食品名 | 主な効果 |
---|---|
バナナ | カリウムにより尿酸が尿に溶けやすくなる |
低脂肪ヨーグルト | 乳酸菌により腸管からのプリン体の吸収を抑える |
チェリー | ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える |
マグロ・カツオ | アンセリンにより尿酸の生成を抑える |
レモン | ビタミンCにより腎臓での尿酸の吸収を抑える |
低脂肪牛乳 | 腎臓からの尿酸の排出を促す(アミノ酸が関係すると考えられている) |
豆乳 | フィチン酸により腸管からのプリン体の吸収を抑える |
ワイン | ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える |
緑茶 | ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える |
食生活の改善は尿酸値のコントロールにおいて重要です。ただし、関節の痛みや腫れなどの症状が出ている人は、食事内容を意識するだけではなく薬物療法を検討しなければなりません。とくに尿酸値が8.0mg/dL以上の方は、症状が出ていなくても医師に相談してください。(文献2)
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バナナ
バナナなどに豊富に含まれているカリウムは、尿酸値を下げる効果を期待できます。これはカリウムにより尿がアルカリ性に傾き、尿酸が尿に溶けやすくなるためです。(文献5)とはいえ、バナナには尿酸値を高める果糖も含まれているため、食べ過ぎには注意してください。
尿酸値が高い方は尿が酸性に傾きやすい傾向です。尿が酸性に傾いていると、尿酸が結晶化して痛風を引き起こしやすくなります。尿をアルカリ性に傾けるには、以下のような食品をバランス良く食べると良いでしょう。
尿をアルカリ性に傾ける働きがある食品 |
---|
ヒジキ、ワカメ、こんぶ、干し椎茸、大豆、ほうれん草、ごぼう、にんじん、さつまいも、里芋 |
以上の食品を意識的に摂取して、尿から尿酸を排出しやすくすることが大切です。
低脂肪ヨーグルト
ヨーグルト(低脂肪)は、腸管からのプリン体の吸収を抑える効果を期待できます。これはヨーグルトに含まれている乳酸菌に、以下のような働きがあるためです。
- プリン体を体に吸収されにくいプリン塩基といった物質に分解してくれる
- 乳酸菌がプリン体を取り込んでくれることで体に吸収されるプリン体の量が減る
実際に男性約47,000人を対象にした12年間の観察研究で、ヨーグルトを1週間に2カップ以上摂取しているグループと、摂取量が最も少ないグループを比較すると、0.76倍痛風の発症が少ないと報告があります。(文献1)
チェリー
チェリーは、尿酸の生成を抑えて尿酸値を下げる効果が期待できます。この効果は、チェリーに含まれているポリフェノールによるものです。
実際に女性10例を対象にした研究では、280gのチェリーの摂取により尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)チェリーの他にポリフェノールが多い食品は、以下のようなものがあります。
- ブルーベリー
- スモモ
- ブドウ
- イチゴ
- チョコレート
- ココア
- ワイン
- コーヒー
とはいえ、果糖や砂糖は摂り過ぎると尿酸値を高めてしまいます。摂取は適量にしてください。
マグロ・カツオ
マグロ・カツオなどに豊富に含まれているアンセリンは、尿酸の生成を抑える働きがあるため、尿酸値を下げる効果を期待できます。
実際に健康な方および尿酸値の高い方48名を対象に、アンセリンを含む食品(アンセリン25mg/日または50mg/日)とプラセボ食品(有効成分を含まない食品)のどちらかを4週間摂取してもらったところ、アンセリンを摂取したグループの尿酸値が低下しました。(文献1)
とくに50mgを摂取したグループにおいては、明らかな低下が見られています。アンセリンが豊富な食材は、マグロやカツオの他に鶏のささみなどがあります。
レモン
レモンなどに豊富に含まれているビタミンCは、摂取量が多いほど尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)ビタミンCが尿酸値を下げられるのは、以下のような働きがあるためです。
- 腎臓での尿酸の吸収を抑える
- 尿へ排出できる尿酸の量が増える
これらのメカニズムは詳細に解明できていません。レモンの他にビタミンCが豊富に含まれている果物や野菜は、オレンジやカキ、ブロッコリー、黄色パプリカなどがあります。
低脂肪牛乳
牛乳(低脂肪)には、腎臓からの尿酸の排出を促す効果があると考えられています。詳細なメカニズムは解明されていませんが、アミノ酸が関係すると考えられています。
実際に男性約47,000人を対象にした12年間の研究では、牛乳の摂取が多いグループと少ないグループを比較したところ、痛風の発症率が0.54倍になったと報告がありました。(文献1)
豆乳
豆乳に含まれているフィチン酸は、尿酸値の上昇を抑える効果が期待できます。フィチン酸には、腸管からのプリン体の吸収を抑える働きがあるためです。
実際に尿酸値が高い31名を対象に、フィチン酸が含まれる飲料とプラセボ飲料を昼食と夕食に1本ずつ付けて14日間摂取したところ、フィチン酸を摂取したグループの尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)
ワイン
アルコール飲料は、一般的に尿酸値を上昇させて痛風リスクを高めます。ただし、ワインは他のアルコール飲料と異なり、尿酸値を高める影響が低いと考えられています。実際に米国の調査では、ワイン約150mlまでの摂取はむしろ尿酸値を低下させると報告がありました。(文献1)
また、約50,000人の男性が飲用しているアルコール飲料を12年間追跡した調査では、ワインを1日2杯まで飲む人は痛風のリスクが抑えられると報告があります。(文献1)尿酸値が低下した理由は、ワインに多く含まれているポリフェノールによるものと考えられます。
緑茶
30名の健康な方を対象に、緑茶の抽出物を2週間摂取したところ尿酸値が低下の傾向を示したと報告があります。(文献1)これは、ポリフェノールによる尿酸の生成を抑える働きによるものと考えられます。
小規模な研究のため、尿酸値低下効果の確実性はまだ限定的です。しかし、緑茶には抗酸化作用など他の健康効果も期待できるので、日常的に適量を楽しむことをおすすめします。
なお、1日に5〜6杯以上の過剰摂取はカフェインの影響で不眠や動悸を引き起こす可能性があります。飲みすぎには注意しましょう。
摂取を控えたいプリン体の多い食品【 一覧表】
尿酸値を下げるには、プリン体の多い食品の摂取を控えることが大切です。ここからは、プリン体が多い食べ物とアルコール飲料を解説します。
プリン体が多い食べ物
プリン体が多い食品の一例は以下の通りです。
プリン体含有量(100gあたり) | 食品名 |
---|---|
非常に多い(300mg〜) | 干物(マイワシ)、白子(フグ、タラ)、鶏レバー、あんこう、太刀魚など |
多い(200〜300mg) | 干物(サンマ、マアジ)、豚レバー、牛レバー、マイワシ、カツオ、大正エビなど |
中等量(100〜200mg) | 鶏ささみ、砂肝、鶏の手羽先、鶏もも(皮付き)、鶏皮、豚ヒレ、牛ヒレ、アジ、マグロ、サワラ、サバ、ほうれん草の芽、ブロッコリースプラウトなど |
飲食店やコンビニで食事を済ませる際は、上記の表を参考にしてプリン体が多い食品を避けてください。ほとんどの肉類や魚類には中等量以上のプリン体が含まれていると捉えましょう。
プリン体が多いアルコール飲料
プリン体が多く含まれているアルコール飲料の一例は以下の通りです。
プリン体含有量(100mlあたり) | アルコール飲料名 |
---|---|
約5〜7mg | ビール |
約3〜4mg | 発泡酒 |
約7〜17mg | 地ビール |
約1mg | 日本酒 |
(文献3)
ワインや焼酎、ブランデー、ウィスキーなどに含まれているプリン体含有量は0.5mg以下(100mlあたり)と少ないです。しかし、アルコール自体に尿酸の排出を抑える働きがあるため、飲み過ぎてはいけません。(文献3)(文献5)
また、同じアルコール飲料でも、メーカーによってプリン体が含まれる量は異なるため参考程度にとどめてください。
日常生活における尿酸値を下げる3つのポイント
日常生活における尿酸値を下げるポイントは、以下の3つです。
- プリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶ
- 水分を十分に摂取する
- 有酸素運動の習慣を身につける
それぞれの詳細を解説します。
1.プリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶ
尿酸値を下げるには、日頃からプリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶことが重要です。プリン体が非常に少ない食品の種類は以下の通りです。
プリン体含有量(100mgあたり) | 食品の種類 |
---|---|
非常に少ない(〜50mg) | 野菜類、穀類、豆類、キノコ類、鶏卵、乳製品など |
(文献2)
果糖や砂糖が含まれている飲み物は、尿酸値を高めるため水やお茶にしましょう。
2.水分を十分に摂取する
十分に水分を摂取すると尿からの尿酸排出が増えます。十分な尿量を確保するために必要な一日の水分摂取量は2〜2.5Lです。(文献2)
水分は入浴中や就寝中に失われます。入浴前後や就寝前、起床後に水分を取ることも大切です。水分の種類は前述した通り水やお茶にしてください。アルコール飲料は水分に含まれません。
3.有酸素運動の習慣を身につける
有酸素運動は肥満を改善して、尿酸値の低下も期待できます。推奨されているのは以下のような有酸素運動です。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
有酸素運動は、脈が少し速くなる程度の強度で1日合計30〜60分ほど行うことが効果的です。(文献2)短時間の激しい無酸素運動は、尿酸値を高める恐れがあるため控えてください。
コーヒーと尿酸値の関係について
コーヒーが尿酸値に影響を及ぼすかどうかは明確な根拠がありません。しかし、大規模な研究においては、1日4杯以上コーヒーを飲む人は、まったく飲まない人と比較して、痛風リスクが40%低いと報告があります。(文献4)
とはいえ、この研究は因果関係を証明したわけではありません。コーヒーは「適度に楽しむことで痛風予防に役立つかもしれない」と捉えましょう。
まとめ|尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂取しよう
尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂取すれば、尿酸値の改善を期待できます。本記事で紹介した食品は効果が期待できますが、いずれも摂り過ぎには注意が必要です。バランス良く取り入れつつ、プリン体の多い食品は控えめにしましょう。
また、1日2~2.5Lの十分な水分摂取と30分以上の有酸素運動を習慣化することで、尿酸値のコントロールをサポートできます。これらの生活習慣の改善は、痛風予防にもつながります。
ただし、尿酸値が8.0mg/dL以上の方は、症状が出ていなくても薬物療法が必要となる場合があります。食事改善に取り組みながらも、主治医と相談して適切な治療方針を決めましょう。
参考文献
(文献1)
藏城 雅文,山本 徹也.「血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序」『痛風と尿酸・核酸』45(1), pp.13-21, 2021年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gnamtsunyo/45/1/45_13/_pdf(最終アクセス:2025年5月17日)
(文献2)
日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」
https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf(最終アクセス:2025年5月17日)
(文献3)
厚生労働省「魚介類50gあたりの脂質とプリン体の関係」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0619-5d03-05.pdf(最終アクセス:2025年5月17日)
(文献4)
藤森 新.「痛風・高尿酸血症の病態と治療」『日本内科学会雑誌』107(3), pp.458-463, 2017年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/3/107_458/_pdf(最終アクセス:2025年5月17日)
(文献5)
日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」
https://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf(最終アクセス:2025年5月17日)