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骨粗鬆症の予防に効果的な運動方法|高齢者が行う際の注意点を解説
骨粗鬆症の予防・改善には、年齢を重ねても無理なく続けられる運動習慣を身につけることが重要です。
運動によって骨に適度な刺激が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、骨密度の低下を抑制しやすくなります。
ただし、骨粗鬆症を抱える高齢者は、転倒や骨折のリスクに注意が必要です。
本記事では、骨粗鬆症に対する運動の効果的な仕組みと具体的な実践メニューに加え、高齢者が注意すべきポイントや、食生活との組み合わせ方も解説します。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、運動の妨げになる関節リウマチなどの治療にも用いられている、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。
目次
なぜ運動が骨粗鬆症の予防・改善に効果があるのか
骨粗鬆症の予防や進行の抑制には、日常的な運動が重要です。
人間の骨は常に「骨代謝」という仕組みによって古い骨が壊され、新しい骨がつくられる過程を繰り返しています。
骨代謝を促進する方法のひとつが、運動による刺激です。
運動によって骨に適度な負荷が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、新しい骨の形成が促されます。
たとえば、片足立ちのようなバランス運動や足腰の筋力を鍛えるトレーニングを取り入れると、転倒のリスクを減らし、歩行の安定性を高めることが可能です。
加えて、骨粗鬆症の主な原因を正しく理解し、なぜ運動が必要なのかに納得できれば、予防行動を長く続けるための意識づけにもつながります。
骨粗鬆症の原因や予防策については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。
骨粗鬆症におすすめの運動法|今すぐできる具体例を紹介
骨粗鬆症対策として推奨される運動には、次の4種類があります。
- かかと落とし
- ウォーキング
- 下半身の筋力トレーニング
- バランス運動
いずれも骨に適度な刺激を与えることで、骨密度の低下を抑える効果が期待できます。
また、筋力やバランス感覚の維持にもつながり、結果的に転倒や骨折のリスクを軽減できるので、自分の体力や生活スタイルに合わせて少しずつ取り入れてみてください。
かかと落とし
かかと落としは、床にかかとを落とす際の軽い衝撃が骨に適度な刺激を与え、太ももの骨を強くする効果が期待できる運動です。(文献1)
以下のように特別な器具は必要なく、自宅でテレビを見ながらでも行えるため手軽に始められます。
やり方は次の通りです。
1.壁や椅子に手を添えて、足を肩幅に開く
2.ゆっくりとつま先立ちになる
3.ストンと音を立てるように、かかとを床に落とす
転倒が心配な場合は、手すりや壁に手を添えて行いましょう。
1日10〜20回を3セット行うのが理想ですが、最初は無理せず少ない回数から始めてください。
慣れてきたら、徐々に回数を増やすと継続しやすくなります。
ウォーキング
ウォーキングは、骨に適度な負荷を与えながら全身の健康維持にもつながります。
日常生活の中で通勤や買い物のついでに取り入れられるため、習慣化しやすい手軽さが魅力です。
歩行中にかかる骨への刺激が骨密度の維持や向上を促し、下半身の筋力アップにも貢献します。
その結果、転倒による骨折のリスクを抑える効果も期待できるので、以下のポイントを意識しながら実践しましょう。
- 背筋をしっかり伸ばす
- 歩幅を大きくとる
- 腕をしっかり振る
- いつもより少し速いペースで歩く
1日30分を週に3〜5回行うのが目安です。
最初は短時間から始め、少しずつ歩く時間を増やすと無理なく継続できます。
下半身の筋トレ
下半身を鍛える筋力トレーニングは、骨に適度な刺激を与えられるため、骨粗鬆症の予防に役立ちます。
筋力を高めることで転倒リスクが下がり、骨折の防止につながるのもメリットです。
高齢者の場合、筋肉量の低下が骨折の要因となるため、以下のような下半身の筋トレを行いましょう。
スクワット
膝の屈伸運動で、太もも全体を鍛える筋トレです。
1.足を肩幅に広げて立ち、安定した姿勢をとります。
2.お尻を後ろに引くことを意識しながら、2~3秒かけてゆっくりと膝を曲げます。
3.同じく2~3秒かけて、膝を伸ばしてゆっくり元の姿勢に戻ります。
カーフレイズ
つま先立ちを繰り返して、ふくらはぎを鍛える筋トレです。
1.安定した椅子に座り、膝を曲げた姿勢をとります。
2.足裏を床につけたままつま先で床を押しながら、かかとを持ち上げます。
3.かかとを持ち上げたあと、ゆっくりかかとを下ろしていき、スタート時の姿勢に戻します。
4.同じ動作を10~20回繰り返します。
バランス運動
体のバランスを保つ力を鍛えることで、体幹が安定し、歩行中のふらつきを抑えられます。
体のバランス力を高めると日常生活で転びにくくなるため、とくに骨粗鬆症の方にとっては重要な対策のひとつです。
骨粗鬆症は骨がもろくなるため、わずかな転倒でも骨折のリスクが高まります。
バランス感覚を養い、転倒を未然に防ぎましょう。
自宅で手軽に取り組めるバランス運動として、以下のような方法があります。
|
バランス運動の例 |
具体的な方法 |
|---|---|
|
片足立ち |
壁や椅子に軽く手を添え、片足を上げて数秒間キープする |
|
体重移動 |
足を肩幅に開き、ゆっくりと左右に体重を移動させる |
|
上体ひねり運動 |
椅子に浅く腰掛け、両手を広げてゆっくりと上体を左右にひねる |
こうした運動を続けて平衡感覚が養われると、転倒への不安を減らせます。無理のない範囲で、こまめに取り組んでみてください。
ダンベルなど器具を使った筋トレ
ダンベルを使った筋力トレーニングは、骨に適度な負荷をかけることで骨形成を促し、骨粗鬆症の予防に効果がある運動のひとつです。
重いダンベルを使う必要はなく、1〜2kg程度の軽い重量でも回数を重ねることで、骨密度の維持・向上が期待できます。
また、ダンベルの代わりに、水を入れたペットボトルでも代用可能です。
自宅でも手軽に始められるので、有酸素運動と組み合わせて行うと骨への刺激も増大し、予防効果がさらに高まります。
骨粗鬆症の高齢者が運動する際の注意点
骨粗鬆症の方が運動をする際の注意点は、以下の4つです。
- 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける
- 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける
- 痛みや違和感が出たらすぐに中止する
- 症状に不安がある場合は事前に医師へ相談する
骨粗鬆症の方は、転倒や骨折のリスクを避けるためにも、安全な運動を心がけることが大切です。
以下で詳しく解説します。
急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける
骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であり、わずかな衝撃でも骨折につながる恐れがあります。
さらに、バランス能力が低下していると、転倒による大腿骨や背骨の骨折リスクがより高まるため注意が必要です。
次のような運動や動作は避けてください。
- 急な方向転換やひねりを伴うスポーツ
- 前かがみや強いひねりを加える体勢
- 重すぎるダンベルを使った無理な筋トレ
少しでも不安がある場合は医師や理学療法士に相談し、自分に合った安全な運動プランを立てましょう。
運動のしすぎと誤ったフォームは避ける
骨粗鬆症予防に運動は効果的ですが、やり方を誤ると逆に体を痛めてしまいます。
とくに高齢者は、筋力や柔軟性の低下により、正しい姿勢を保つのが難しくなる傾向があります。
以下のようなケースに注意してください。
- 長時間の歩行で膝を痛めるケース
- 背中を丸めた姿勢でウォーキングして腰を痛めるケース
- 無理な回数のスクワットで膝に過剰な負担がかかるケース
大切なのは、量より質です。
運動回数や時間にこだわらず、自分の体力や体調に合わせて無理なく続けていきましょう。
痛みや違和感が出たときは中止する
運動中に膝や腰などに痛みや違和感を覚えた場合は、直ちに中止してください。
骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であるため、軽い痛みであっても骨や関節の損傷、または骨折・捻挫の兆候かもしれません。
筋肉痛のようなごく軽い違和感であれば問題ありませんが、鋭い痛みや数日続く痛みがある場合は要注意です。
無理せず休養を取り、必要に応じて整形外科で診察を受けましょう。
症状に不安がある場合は医師に相談する
運動は骨粗鬆症の予防や改善に有効ですが、骨の状態や体力には個人差があります。
すべての人に同じ運動が適しているわけではありません。
無理に運動を行うと、かえって骨や関節を痛める原因になります。
少しでも不安がある場合は、運動を始める前に医師に相談しておくと安心です。
とくに、次のような方は医師や理学療法士への相談を強くおすすめします。
- 過去に骨折を経験したことがある
- 歩くときにふらつきやすい
- 心臓病や糖尿病などの持病がある
上記に該当する方は、思わぬけがや病状の悪化を防ぐためにも、必ず専門家の指導を受けながら運動を行ってください。
骨粗鬆症対策では安全を最優先し、自分に合った運動を無理なく継続することが大切です。
骨粗鬆症の予防・改善は運動と食習慣の組み合わせが大切
骨粗鬆症の予防や改善には、運動だけでなく食習慣の見直しも欠かせません。
丈夫な骨をつくるには、カルシウムとビタミンDが必要です。
栄養バランスの良い食事を摂ることで、体内でのカルシウムの吸収や利用効率が高まります。
骨粗鬆症の予防・改善には、とくに以下の食品を日々の食事に取り入れましょう。
<カルシウムが豊富な食品>
- 牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品
- 小魚・豆腐・納豆・青菜・海藻類など
<ビタミンDが豊富な食品>
- サケ・サンマ・イワシなどの魚
- しいたけ・まいたけなどのキノコ類
さまざまな食材を組み合わせながら、1日3食を規則正しく、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
加えて、日光に当たる機会を増やすと、体内でのビタミンD合成も促進されます。
また、喫煙は骨密度の低下を早める要因ですので、骨の健康を守るためにも禁煙しましょう。
以下の記事では、薬を飲まずに骨粗鬆症を予防する方法を解説しています。あわせてご覧ください。
骨粗鬆症を合併しやすいリウマチなどは治療を優先|再生医療も選択肢
関節リウマチなどの疾患を抱えている方は、炎症や治療薬の影響、運動不足などにより骨粗鬆症を合併しやすいことが知られています。
しかし、関節の炎症や痛みが強い場合は、無理に運動を続けるよりも原因となる疾患の治療を優先することが大切です。
関節リウマチは免疫の異常により関節が炎症を起こし、進行すると関節の破壊や変形につながる疾患です。
痛みが強い時期は安静を保ちつつ、医師の管理下で治療を進めていきます。
炎症や痛みを抑えて寛解(日常生活に支障のない状態)を目指す薬物療法を基本に、症状や関節の状態に応じてリハビリテーションや手術療法が選択されます。
また、幹細胞治療やPRP療法などの再生医療も選択肢のひとつです。
再生医療には、自身の脂肪から採取した幹細胞を培養して点滴や注射で投与する「幹細胞治療」と、血液中の血小板を濃縮して患部に注入する「PRP療法」があります。
いずれも自身の細胞や血液を利用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。また、入院や手術を必要とせず、日帰りで受けられます。
以下の記事では、関節リウマチの治療に再生医療を活用した症例を紹介していますので、参考にしてみてください。
まとめ|骨粗鬆症予防のためにも今日から運動を始めてみよう!
骨粗鬆症の進行を抑えるためには、日常生活に適度な運動を取り入れることが重要です。
骨に適切な刺激を与えると骨密度の維持が促され、筋力やバランス感覚の向上によって転倒リスクも軽減できます。ウォーキングや軽い筋トレなど、できることから少しずつ始めてみてください。
ただし、骨粗鬆症の方は関節や筋肉の機能が低下しており、運動によって膝や股関節に痛みが出る場合があります。
状態によっては手術が必要となるケースもありますが、外科的な治療に抵抗がある方には手術の必要がない「再生医療」も選択肢のひとつです。
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骨粗鬆症の運動に関してよくある質問
骨粗鬆症の運動での禁忌事項は?
骨粗鬆症の方が運動する際は、骨折を防ぐための転倒予防が重要です。
運動の効果を最大限に引き出すためにも、以下の点に注意しましょう。
- 段差のある場所では運動しない
- 暗くて足元が見えにくい場所は避ける
- 床に物が散らばっていないか確認する
- 電源コードやマットの端などに、引っかかるものがないか点検する
上記のポイントを意識するだけで、自宅での運動による転倒リスクを大幅に減らせます。
骨粗鬆症の運動に役立つ厚生労働省のサイトを教えて
厚生労働省が運営する「健康日本21アクション支援システム」は、骨粗鬆症の運動や予防に関する情報を探す際に役立ちます。(文献3)
生活習慣病全般に関する情報とあわせて、健康づくりに関連するツールなどを体系的に網羅しているのが特徴です。
基礎知識から実践方法まで、信頼できる内容を効率よく確認できます。
骨粗鬆症の予防・改善にはどのくらいのペースで運動すればいい?
骨粗鬆症の予防・改善には、週に2〜3回の運動が効果的です。(文献4)
定期的な運動によって骨に適度な刺激が加わり、骨密度や骨質の向上が期待できます。
ただし、運動の頻度が少なすぎると、十分な効果が得られません。
一方で、過剰な運動は疲労やけがの原因となるため、無理のないペースで継続することが重要です。
骨粗鬆症と運動のエビデンスとなる論文はある?
骨粗鬆症と運動の関係については、日本内科学会雑誌に掲載された論文「骨粗鬆症に対する運動療法」で詳しく解説されています。
たとえば、55〜74歳の男女を対象に、週2〜3回の筋力トレーニングを40週間継続した研究では、大腿骨近位部および腰椎の骨密度が上昇したことが報告されています。(文献2)
骨におすすめの食べ物や飲み物は?
骨を強く保つには、以下のようなカルシウム・ビタミンD・ビタミンKが含まれた食材の摂取がおすすめです。
|
栄養素 |
働き |
主な食材例(文献7) |
|---|---|---|
|
カルシウム |
骨量を維持する |
魚介類(えびやかに)、牛乳など |
|
ビタミンD |
カルシウムの吸収を補助する |
キノコ類(きくらげ)、魚介類(かつおやいわし)など |
|
ビタミンK |
骨代謝のバランスを整える |
緑茶類、藻類(わかめやのり)など |
毎日の食事で不足しがちな栄養素を意識的に摂取すると、運動との組み合わせで骨の健康維持効果が期待できます。
ただし、カルシウムやビタミンDに関しては過剰症も報告されているため、摂りすぎには注意しましょう。(文献5)
かかと落としの効果が出るまでどのくらいかかりますか?
かかと落としによる骨粗鬆症予防の効果を実感するためには、ある程度の継続期間が必要です。
骨は常に作り替えられていますが、同じ部位が再び新しくなるまでには1〜4年かかるとされています。
そのため、運動の効果が骨密度に反映されるまでには時間が必要です。(文献6)
短期間で効果を求めるのではなく、日常の中に取り入れて長く続けることが大切です。
骨粗鬆症の予防を目的として運動するなら焦らず、コツコツと習慣にする意識を持ちましょう。
骨密度が高い人の特徴はなんですか?
骨密度を高く保っている人には、以下のような共通する生活習慣があります。
- 日常的に体を動かす習慣がある
- カルシウムやビタミンDを意識的に摂取している
- 栄養バランスのとれた食事を心がけている
- 階段を利用するなど、日常で自然に身体を動かしている
骨密度は、一般的に20〜30代で最も高くなり、その後は加齢に伴って少しずつ減少していきます。(文献4)
老後を健やかに過ごすためにも、できるだけ早い段階から骨の健康を意識した生活を始めましょう。
参考文献
(文献1)
かかと落とし運動で骨密度をあげよう!|やら整形外科
(文献2)
骨粗鬆症に対する運動療法|『日本内科学会雑誌
(文献3)
健康日本21アクション支援システム|厚生労働省
(文献4)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版|日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団
(文献5)
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」|厚生労働省












