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筋ジストロフィーは大人になってから発症する?発症の前兆・原因・治療法を医師が解説

「最近、疲れやすくなった気がする」
「筋肉のこわばりを感じる」
筋ジストロフィーは難病指定されており、一般的には子どもに多い疾患ですが、大人になってから発症するケースもあります。放置すれば徐々に日常生活に支障をきたす恐れもある重大な疾患です。
本記事では、大人になってから発症する筋ジストロフィーについて医師が詳しく解説します。
- 大人になってから発症する筋ジストロフィーの前兆
- 大人になってから発症する筋ジストロフィーの原因
- 大人になってから発症する筋ジストロフィーの治療法(進行の抑え方)
筋ジストロフィーは難病指定されており、完治が難しい疾患ですが、早期発見と適切な治療の継続で、進行を抑制できる疾患です。本記事の最後には、大人になってから発症する筋ジストロフィーに関する質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
筋ジストロフィーにおける「大人になってからの発症」について
筋ジストロフィーは子どもに多い病気と思われがちですが、大人になってから症状が現れる遅発性タイプも存在します。中でも筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)は、成人期に最も多く見られるタイプで、軽い筋力低下や筋肉のこわばり(ミオトニア)が年齢とともに進行して発症に気づくケースが多くあります。
発症後の平均寿命は約55歳とされ、ここ20年で大きな改善はみられていません。(文献1)
呼吸不全や心臓の伝導障害などが主な合併症となるため、早期からの適切な管理が重要となります。高齢で発症する場合は、筋力低下などの症状が目立たず、白内障や糖尿病といった合併症が先に現れることもあり、診断が遅れることがあります。
進行のスピードには個人差があり、緩やかに進行する例が多い一方で、合併症によって急激に悪化するケースもあります。定期的な経過観察と医師による適切な対応が不可欠です。
大人になってから発症する筋ジストロフィーの前兆
前兆 | 詳細 | 見分けるポイント |
---|---|---|
筋力低下や筋肉のこわばり(ミオトニア) | 手足や首の筋肉が弱くなり、動かしづらくなる。強く握った手がすぐに開かないこともある | 階段の上り下りや立ち上がりがつらい、手足に力が入りにくい |
多臓器への影響 | 心臓・呼吸・内分泌など筋肉以外の臓器にも症状が現れる | 息切れ、不整脈、白内障、糖尿病、認知機能の低下などがみられる |
外見上の変化 | 前頭部の脱毛→まぶたが下がる→筋肉の萎縮 | 顔や体つきの変化を家族や周囲から指摘される、鏡で気づくことが多い |
疲労感が抜けにくくなる | 少し動いただけでも強い疲れやだるさが残り、休んでも回復しない | 日常生活で疲れやすくなり、休んでも疲労感が抜けない |
大人になってから発症する筋ジストロフィーでは、いくつか特徴的な前兆が見られます。主な症状は、手足や首の筋力低下や筋肉のこわばり(ミオトニア)で、階段の上り下りや立ち上がりが難しくなるなどの異変が起こります。
また、心臓や呼吸器、内分泌など多臓器に影響が及び、息切れ、不整脈、白内障、糖尿病、認知機能の低下などの合併症が現れることもあります。
さらに、顔や手足の筋肉が萎縮する、まぶたが下がる、前頭部の脱毛といった外見の変化や、少しの動作でも強い疲労感が残り、休んでも回復しないといった症状も特徴です。これらの症状が続く場合は、早急に医療機関を受診してください。
以下の記事では、筋ジストロフィーの初期症状について詳しく解説しています。
筋力低下や筋肉のこわばり(ミオトニア)
前兆 | 詳細 | 日常生活での気づき方 |
---|---|---|
筋力低下 | 手足や首などの筋力が低下し、動作が困難になる傾向 | ペットボトルのふたが開けにくい、細かい作業がしづらい、階段の昇り降りが大変、つまずきやすい、転びやすい、じっと立っているのがつらい、首が疲れやすい |
筋肉のこわばり(ミオトニア) | 筋肉を動かした後に力が抜けにくく、こわばりや硬さが残る現象 | 強く手を握った後すぐに手を開けない、寒い朝に手足がこわばる、固いものが噛みにくい、運動後に筋肉が硬く感じる、手足を動かした後に力が抜けない |
手足や首の筋肉が徐々に弱くなり、力が入りにくくなるのが特徴です。とくにミオトニアと呼ばれる現象では、手を強く握った後にすぐに開けなくなるなど、筋肉がこわばり動作の遅れが生じます。
こうした症状は日常の細かな動作で気づくことが多く、進行すると転倒や物が持ちにくくなるなどの問題が現れます。軽い症状でも進行性の可能性があるため、気になる違和感がある場合は早期受診が必要です。
多臓器への影響
臓器・系統 | 前兆・症状例 | 注意点・見分けるポイント |
---|---|---|
心臓 | 不整脈、心不全、動悸、息切れ、めまい | 定期的な心電図・心エコー検査、突然死リスク |
呼吸器 | 呼吸筋の弱化、睡眠時無呼吸、日中の過眠 | 呼吸機能低下、呼吸不全、肺炎リスク、早期の呼吸機能評価 |
消化器 | 便秘、下痢、胃食道逆流、嚥下障害 | 誤嚥性肺炎リスク、食後すぐ横にならない、食事姿勢の工夫 |
内分泌・代謝 | 耐糖能異常、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、肥満 | 血糖・脂質検査、食事管理 |
中枢神経 | 認知機能低下、性格変化、日中の過眠 | 周囲の観察と支援、本人の自覚が乏しいことに注意 |
眼・耳 | 白内障、眼瞼下垂、難聴 | 視力・聴力低下時は早めに眼科・耳鼻科受診 |
生殖機能 | 不妊症、月経異常 | 生殖に関する相談は医療機関へ |
筋ジストロフィーは筋肉だけでなく、心臓や呼吸器、消化器、内分泌、中枢神経、眼や耳、生殖機能など全身のさまざまな臓器に影響を及ぼす病気です。初期の症状は動悸や息切れ、便秘や下痢、認知機能の低下、視力や聴力の変化など、加齢や他の病気と間違われやすいものが多く見られます。
これらの症状が複数重なる場合や、徐々に進行する場合は、早急に医師へ相談しましょう。定期的な検査や医師のサポートを受けることで、症状の進行を抑え、生活の質を維持できる可能性があります。気になる症状がある方は、遠慮せず医療機関を受診しましょう。
外見上の変化
外見上の変化 | 具体的な症状例 | 日常生活での気づき方 |
---|---|---|
顔つきの変化 | 額の生え際の後退(前頭部禿頭)、まぶたの下がり(眼瞼下垂)、顔下半分の筋肉のやせ、表情の乏しさ | 顔がやせてきた、まぶたが重い、表情が乏しいと指摘される |
目や口の動きの変化 | 目を強く閉じてもまつげが隠れない、白目が見える(閉眼困難)、口笛が吹けない、口から物がこぼれる | 鏡での違和感、口周りの動作がしづらい |
体型や姿勢の変化 | 肩や腕、太ももの筋肉のやせ、背骨の曲がり(脊柱変形)、姿勢が悪くなる | 身体のバランスが崩れやすい、姿勢の変化を家族に指摘される |
その他のサイン | 顔や体の筋肉のやせ、まぶたの下がり、表情の乏しさが加齢以外で進行 | 鏡での変化や周囲からの指摘はサインとなる |
筋ジストロフィーでは筋肉の萎縮や仮性肥大が起こり、外見にも変化が現れることがあります。ふくらはぎが太く見える、肩や背中の筋肉が痩せて姿勢が変わるといった特徴は、進行のサインの可能性もあります。
こうした体型の変化は加齢によるものと混同されがちですが、筋疾患の可能性も視野に入れることが大切です。日常生活で違和感を感じたり、人から指摘されたりした場合は、手遅れになる前に医療機関を受診しましょう。
疲労感が抜けにくくなる
主な原因 | 内容 |
---|---|
睡眠障害と日中の過眠 | 睡眠時無呼吸症候群、呼吸調節障害による熟眠感の低下と日中の強い眠気 |
呼吸機能の低下と低酸素血症 | 呼吸筋の弱化による酸素不足と日常動作での著しい疲労感 |
中枢神経の障害 | 認知機能の低下、抑うつ傾向、意欲低下による精神的な倦怠感 |
内分泌・代謝異常 | 耐糖能異常や甲状腺機能低下によるエネルギー代謝の低下と慢性疲労 |
疲労感が前兆となる理由 | 明確な筋症状よりも先行して現れる、なんとなく疲れやすい、休んでも回復しない自覚症状 |
(文献2)
筋ジストロフィーでは、運動後の疲れが取れにくい、日中に強い倦怠感が続くといった慢性的な疲労感が初期症状として現れることがあります。これは、筋肉の再生能力が低下し、日常の動作でも体に負担が蓄積しやすくなるためです。
さらに、睡眠障害や過度な日中の眠気(過眠)、呼吸機能の低下による低酸素血症、中枢神経系の障害、内分泌・代謝異常など、複数の要因が重なることで疲労感はより強くなります。
これらの疲労感は、筋力低下や筋肉のこわばりといった明らかな症状よりも先に現れることもあります。疲労感が長く続く場合は、早期受診で評価を受けましょう。症状の進行を抑制し、生活の質の担保に繋がります。
大人になってから発症する筋ジストロフィーの原因
原因 | 詳細 |
---|---|
遺伝子の異常(遺伝子変異) | 親から受け継いだ遺伝子や体内で生じた異常により、筋肉の正常な働きが損なわれる |
DNA配列の異常な繰り返し(リピート伸長) | 遺伝子の特定部分(例:CTG配列)が異常に繰り返されることで発症。筋強直性ジストロフィーに多い |
突然変異による発症 | 家族歴がなくても、遺伝子に新たな変異が起きて発症する場合がある |
筋ジストロフィーの発症には、遺伝子の異常が深く関与しています。大人になってから発症する場合でも、多くは遺伝的な要因や突然変異が原因です。家族歴がなくても発症することがあり、診断には遺伝子検査が重要な役割を果たします。
遺伝子の異常(遺伝子変異)
筋ジストロフィーは遺伝性の疾患であり、遺伝の形式には常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖性遺伝などがあり、病型によって異なるのが特徴です。筋強直性ジストロフィーは常染色体優性遺伝形式で、親のどちらかが変異遺伝子を持っている場合、子どもに50%の確率で遺伝します。
また、親に遺伝子異常がなくても、精子や卵子の形成時、あるいは受精後の細胞分裂中に突然変異が起こり、新たに発症するケースも少なくありません。
筋ジストロフィーでは、筋肉の構造や機能を支えるタンパク質を作る遺伝子に変異が生じることで、筋細胞が壊れやすくなり、筋力低下や多臓器障害が進行します。筋強直性ジストロフィーでは特定の遺伝子配列が異常に繰り返されるリピート拡大が原因となり、筋肉だけでなく心臓や内分泌系など全身に影響が及びます。
遺伝子異常による症状は、早期の診断と適切な管理が極めて重要であり、医師の診察を受けることが推奨されます。
DNA配列の異常な繰り返し(リピート伸長)
項目 | 内容 |
---|---|
原因 | DNA配列の異常な繰り返し(リピート伸長) |
具体例 | 筋強直性ジストロフィーではDMPK遺伝子内のCTGリピートが数百~数千回に伸長 |
病気発症の仕組み | CTGリピートの伸長でDMPK遺伝子の働きが乱れ、異常なRNAが細胞内に蓄積。他のタンパク質と結合し核内に閉じ込める |
症状の多様性 | 筋肉だけでなく心臓、脳、内分泌など多臓器に症状が現れる |
世代間の特徴 | 世代を重ねるごとにリピートがさらに伸長し、子や孫でより重症化する傾向(表現促進現象) |
年齢とともに進行する可能性 | リピート伸長は年齢とともに進行し、中年以降で症状が現れることもある |
大人で発症する筋ジストロフィーの中でも、筋強直性ジストロフィーは、DNAの一部にあるCTG配列が異常に繰り返されること(リピート伸長)が原因です。
本来は数回程度の繰り返しであるはずの配列が、数百〜数千回にも増えることで遺伝子の働きが乱れます。その結果、異常なRNAが細胞にたまり、他の重要なタンパク質の働きも妨げられ、筋肉や心臓、脳など複数の臓器に障害が起こります。
この異常は世代を重ねるごとに増加し、子や孫の世代でより重症化することがあり、年齢とともに進行する可能性もあるため、早期に遺伝子検査を受けて適切な管理を行うことが重要です。
突然変異による発症
筋ジストロフィーは遺伝性の病気ですが、家族に同じ病気の人がいなくても発症するケースがあります。これは、突然変異によるもので、体内で偶然、遺伝子に異常が生じることが原因です。
突然変異は、精子や卵子がつくられる過程や、受精後の細胞分裂の際に、遺伝子のコピーにミスが起こることで発生します。また、化学物質や紫外線、ウイルスなど、外部からの影響で遺伝子が傷つくこともあります。
筋ジストロフィーの原因となるジストロフィン遺伝子は非常に大きく、とくに変異が起こりやすい遺伝子のひとつです。実際、デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは約4割が突然変異による発症とされており、他のタイプでも家族歴のない発症が多く見られます。(文献8)
このように、遺伝的な背景がなくても発症する可能性は十分にあるため、気になる症状があれば専門医への相談が重要です。
大人になってから発症する筋ジストロフィーの治療法(進行の抑え方)
治療法 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|
保存療法(対症療法) | リハビリや理学療法、呼吸管理、栄養管理、生活指導などで症状の進行を遅らせ、生活の質を保つ | 根本的な治療ではなく、症状の緩和や進行抑制が目的。定期的な評価と多職種連携が重要 |
薬物療法 | ステロイドや心不全・不整脈治療薬、抗菌薬(例:エリスロマイシン)、エクソンスキップ薬などの投与 | 副作用や適応の確認が必要。新薬や治験薬は医師の指導のもと使用する。個々の症状に応じた選択が必要 |
手術療法 | 呼吸補助のための気管切開、関節拘縮や側弯症に対する整形外科的手術など | 手術の適応や時期は慎重な判断が必要。全身状態やリスクを十分に評価 |
再生医療 | 幹細胞治療や遺伝子治療 | 適応条件を医師と相談する |
現在の医学では、筋ジストロフィーを根本から完治する治療法はありません。筋ジストロフィーの治療は、完治ではなく、進行を遅らせて生活の質を保つことが目的です。
リハビリや呼吸・栄養管理などの保存療法を中心に、必要に応じて薬物療法(ステロイドや心不全治療薬など)や手術が行われます。治療は、症状に応じた多角的なケアが大切です。副作用や適応には注意し、治療は医師や専門スタッフと連携しながら進めていきます。
保存療法(対症療法)
治療法 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|
身体機能の維持と拘縮予防 | リハビリテーション、ストレッチ、関節可動域訓練、装具の使用、姿勢保持訓練 | 無理のない範囲で継続、専門家の指導が必要 |
合併症の管理と予防 | 呼吸リハビリ、人工呼吸器の使用、心臓検査・薬物、嚥下訓練、栄養管理、骨折予防 | 定期的な検査と早期対応、合併症のサインに注意 |
生活の質の維持と精神的支援 | 福祉サービスの利用、住宅改修、自助具の活用、就労・教育支援、カウンセリング、患者会参加 | 社会的サポートの活用、心のケアも大切 |
筋ジストロフィーは、根本的な治療法はまだありませんが、保存療法(対症療法)によって進行を緩やかにし、生活の質を維持することが大切です。
リハビリや装具の活用で身体機能を保ち、呼吸や心臓、栄養などの合併症を予防・管理します。また、福祉サービスやカウンセリングなど社会的・精神的なサポートも重要です。患者の状態に合わせて、医療スタッフやご家族と協力しながらケアを続けることが、日常生活をしっかり送るためのポイントです。
薬物療法
薬剤・治療法 | 効果 | ポイント |
---|---|---|
ステロイド薬 | 筋肉の炎症や壊れやすさの軽減、筋力低下の進行抑制、歩行期間や呼吸機能の維持 | 筋肉のダメージを抑え、自立した生活期間を延長 |
新規治療薬(エクソンスキッピング薬、ビルトラルセン) | ジストロフィン産生促進、運動機能低下の抑制、一部の遺伝子型に有効 | 遺伝子異常に応じた治療 |
エリスロマイシン(筋強直性ジストロフィー) | 遺伝子のスプライシング異常の改善、筋障害指標(CK値)の低下、病気進行の抑制 | 病気の本態に直接作用し、進行抑制や症状改善が期待 |
デュシェンヌ型などでは、ステロイド薬が病気の進行を抑える目的で使用されます。心機能や呼吸機能の低下に対しては、心不全治療薬や気管支拡張薬などを症状に応じて併用します。
薬の効果と副作用を確認するために、定期的な診察と検査が欠かせません。体調の変化や副作用が疑われる場合は、早めに医師へ相談することが大切です。
手術療法
手術療法の種類 | 詳細・目的 | 注意点・ポイント |
---|---|---|
脊柱側弯症の矯正手術 | 背骨の曲がりをまっすぐに矯正し、座位の安定や呼吸機能の悪化を防ぐ | 麻酔や手術リスクが高いため、全身状態や適切な時期の判断が重要 |
関節拘縮・変形に対する手術 | 固まった関節の可動域を回復し、装具や車椅子の利用をしやすくする | 身体への負担が大きいため、慎重な適応判断が必要 |
嚥下障害に対する手術 | 胃ろう造設術などで十分な栄養摂取を可能にする | 栄養状態や感染予防への配慮が必要 |
眼瞼下垂に対する手術 | まぶたを上げて視界を確保し、日常生活の不便を軽減 | 術後の経過観察が必要 |
(文献11)
手術療法は、筋ジストロフィーによる重度の変形や機能障害を改善し、呼吸機能や日常生活の質を守るために有効です。たとえば、背骨の曲がり(脊柱側弯症)を矯正する手術は座りやすさや呼吸機能の維持に役立ち、関節の拘縮解除術は装具や車椅子の利用をしやすくします。
また、飲み込みが難しい場合の胃ろう造設術や、まぶたが下がる場合の眼瞼下垂手術も生活の質向上に貢献します。ただし、筋ジストロフィー患者は麻酔や手術後の合併症リスクが高いため、十分な全身管理と医師による慎重な判断が必要です。
再生医療
特徴 | 詳細・具体例 | 注意点・課題 |
---|---|---|
筋肉の再生促進 | 幹細胞や筋前駆細胞の移植による筋肉の修復・再生 | 移植細胞の生着率向上が課題 |
遺伝子の修復 | iPS細胞を使い、遺伝子異常を修復後に筋肉細胞へ分化・移植 | 腫瘍化リスクへの対策が必要 |
免疫系の調整 | 幹細胞による炎症抑制や免疫反応の調整 | 長期的な効果や副作用の検証が必要 |
具体的な治療アプローチ | 筋前駆細胞移植、iPS細胞治療、メソアンジオブラスト(MABs)療法など | 現在は臨床試験・研究段階 |
(文献12)
再生医療は、大人の筋ジストロフィーに対する新たな治療法として注目されています。幹細胞やiPS細胞を使って、筋肉の修復や遺伝子異常の改善を目指し、筋力低下や炎症による損傷の進行を抑える効果が期待されています。
ただし、現時点では実施している医療機関が限られているため、対応可能な医療機関で適応を含め医師への相談が必要です。
以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。
大人になってからの筋ジストロフィーは進行の抑制がカギ
現在の医学では、筋ジストロフィーに対する根本的な治療法はありません。しかし、早期の対応によって進行を遅らせることが可能です。
運動や栄養、生活動作を見直し、医師の指導のもとでケアを継続することで、生活の質を維持しやすくなります。症状が軽いうちから診断とサポートを受けることが、今後の選択肢を広げる第一歩となります。
筋ジストロフィーの症状に関するお悩みは、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、筋ジストロフィーに関するご相談に丁寧に対応し、必要に応じて再生医療も選択肢のひとつとしてご案内しています。
ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
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大人になってからの筋ジストロフィーに関するよくある質問
筋ジストロフィーは仕事や生活に影響しますか?
筋ジストロフィーは進行性の病気であり、症状に応じた生活の工夫や支援が必要になります。
定期的な診察やリハビリ、福祉用具の活用などにより、変化に応じた改善を目指していく必要があります。不安や疑問があるときは、一人で悩まず、専門の医療機関や支援団体に相談しましょう。
筋ジストロフィーの影響によるうつ病や不安障害のリスクはありますか?
筋ジストロフィーは進行性の病気であるため、将来への不安や喪失感から、うつ病や不安障害を発症するリスクがあります。
精神的な負担が長期化しやすいため、身体面だけでなく心のケアも重要です。必要に応じて心理的評価やカウンセリングを行い、早期の対応が望まれます。
また、日本筋ジストロフィー協会などの支援団体を活用することで、同じ立場の方との交流や相談が精神的な支えになります。気になる症状がある方は早めの相談が大切です。(文献13)
症状の進行が怖くて毎日不安で仕方ありません
不安を感じるのは自然なことです。大切なのは、一人で抱え込まず、信頼できる医療機関や支援機関に相談することです。筋ジストロフィーの進行には個人差があり、正しい情報と適切な支援を受けることで、不安は少しずつ和らいでいきます。不安を感じたときこそ、相談を始める大切なタイミングです。
日本筋ジストロフィー協会では、同じ病気を経験した方との交流や、専門家による心理サポートを受けられます。ピアカウンセリングや相談窓口を活用することで、気持ちを整理し、前向きに過ごすための支えとなります。(文献13)
リペアセルクリニックでも、症状に対する不安や心配事について丁寧にご相談をお受けしています。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
筋ジストロフィーの患者が受けられる支援制度にはどんなものがありますか?
筋ジストロフィーは指定難病に該当し、医療費助成を受けられる場合があります。また、障害者手帳の取得によって、通院支援、就労支援、介護サービス、住宅改修助成など幅広い制度が利用可能です。地域の保健所や福祉窓口に相談することで、必要な支援につながる情報が得られます。
参考資料
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「筋疾患分野|筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)(平成22年度)」難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/718(最終アクセス:2025年06月14日)
筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究班「筋強直性ジストロフィー」MD Clinical Station
https://mdcst.jp/md/dm/(最終アクセス:2025年06月14日)
筋強直性ジストロフィー患者会「この病気とは」筋強直性ジストロフィー患者会
https://dm-family.net/whatsdm/(最終アクセス:2025年06月14日)
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神・神経疾患研究開発費筋ジストロフィー臨床研究班「DM 筋強直性ジストロフィー」神経筋疾患ポータルサイト
https://nmdportal.ncnp.go.jp/information/dm.html(最終アクセス:2025年06月14日)
筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究班「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー」MD Clinical Station
https://mdcst.jp/md/fshd/(最終アクセス:2025年06月14日)
石垣景子.「筋強直性ジストロフィーの先天型と遺伝」『筋強直性ジストロフィー』, pp.1-7 2022年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/59/2/59_59.144/_pdf(最終アクセス:2025年06月14日)
笹川 昇.「筋強直性ジストロフィーの分子機構解明」『東京大学 大学院総合文化研究科 生命環境科学系』, pp.1-4, 2000年
https://lifesciencedb.jp/houkoku/pdf/001/b096.pdf(最終アクセス:2025年06月14日)
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「筋ジストロフィー(指定難病113)」難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4522(最終アクセス:2025年06月14日)
著者名,著者名.「筋ジストロフィー患者さまのためのストレッチ運動と体幹変形の予防について~関節拘縮と変形予防のための手引き~」『国立病院機構刀根山病院 理学療法 2008_9』, pp.1-17, 2008年
https://toneyama.hosp.go.jp/patient/forpatient/pdf/reha-05.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月14日)
QLife「筋ジストロフィーとその最新治療、専門医がわかりやすく解説!」遺伝疾患プラス, 2023年10月2日
https://genetics.qlife.jp/interviews/dr-takeda-20231002(最終アクセス:2025年06月14日)
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA「デュシェンヌ型筋ジストロフィーとベッカー型筋ジストロフィー」MSD マニュアルプロフェッショナル版, 2022年1月
文部科学省「筋ジストロフィーに対する幹細胞移植治療の開発」
https://www.jst.go.jp/saisei-nw/stemcellproject/kobetsu/kadai03-02-01.html?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月14日)
一般社団法人日本筋トロフィー協会, 一般社団法人日本筋トロフィー協会
https://www.jmda.or.jp/what-jmda/(最終アクセス:2025年06月23日)