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貧血は病気のサイン?症状・原因・受診の目安まで医師監修で解説

「最近、疲れやすい」「立ちくらみやめまいが増えた」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。これらの症状は単なる疲労やストレスと思われがちですが、実は貧血が原因の可能性があります。
さらに、貧血の背景には胃がんや腎不全、子宮筋腫などの重大な病気が隠れている場合もあるため、軽視してはいけません。
この記事では、貧血の原因となりうる病気や症状のチェックリスト、受診の目安などを解説します。貧血の症状が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
貧血の原因は病気?なぜ自分が貧血になるのかを理解しよう
貧血の主な原因と、それに関連する主な病気は以下の通りです。
貧血の主な原因 | 主な病気・病態 |
---|---|
栄養不足 | 鉄欠乏性貧血・巨赤芽球性貧血 |
出血 | 胃潰瘍・胃がん・子宮筋腫 |
血液を作る力の低下 | 再生不良性貧血・慢性腎不全・白血病 |
自身の貧血が病気のサインではないかと不安に感じる方は、貧血の原因を知り、日常生活での対策や医療機関での検査につなげましょう。
栄養不足が原因の貧血
栄養不足は貧血の大きな原因の一つで、不足する栄養素によって主に以下の2種類に分けられます。
種類 | 鉄欠乏性貧血 | 巨赤芽球性貧血 |
---|---|---|
概要 | 鉄分不足により身体に酸素が行き渡りにくくなる貧血 | ビタミンB12や葉酸不足で、正常な赤血球を作れなくなる貧血 |
主な要因 |
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主な症状 |
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対策 |
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鉄欠乏性貧血は栄養不足が原因と考えがちですが、背景に病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。
出血によって起こる貧血
出血は貧血の重要な原因の一つです。体内で継続的に出血が起こると、血液中の鉄分が失われ、やがて鉄欠乏性貧血を引き起こします。
とくに慢性的な出血は自覚症状が少ないことが多く、気づかないうちに貧血が進行してしまう場合があります。以下のような病気・病態では慢性的な出血が起こりやすいため注意が必要です。
項目 | 月経過多子宮筋腫・子宮内膜症 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | 胃がん・大腸がん |
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主な症状 |
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受診すべき科 | 婦人科 | 消化器内科 | 消化器内科 |
注意ポイント | 月経量が増加すると体内の鉄が不足し鉄欠乏性貧血を引き起こす場合がある | 自覚症状が少なくても慢性的に出血している場合がある | 初期は症状が乏しい |
貧血と共に上記に該当する症状がある方は、早めに専門医に相談して血液検査や必要な検査を受けましょう。
血液をつくる働きが低下して起こる貧血
骨髄や臓器の機能低下によって赤血球が十分につくられないタイプの貧血もあります。
血液をつくる働きが低下して起こる貧血は、以下の通りです。
病気 | 特徴 | ポイント |
---|---|---|
再生不良性貧血 |
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白血病 |
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多発性骨髄腫 |
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腎性貧血 | 腎臓の機能が落ち、赤血球を十分に作れなくなる | 慢性腎臓病の人はとくに注意 |
症状がゆるやかに進行する病気もあり、疲れやすさや息切れを見過ごすことも少なくありません。
慢性的な疲労や息切れが続く方、腎臓の病気を抱えている方、健康診断の数値が気になる方は早めに医療機関で相談することも大切です。
そもそも貧血は病気なの?
貧血は病気ではありません。貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、体に必要な酸素や栄養が十分に届かない状態を指します。病名ではなく症状の状態名であり、疲れやすさ、めまい、立ちくらみなどが主な症状です。
血液検査でヘモグロビン値や赤血球数を調べることで診断できます。自身が貧血かどうか知りたい方や気になる症状がある方は、血液検査を受けて適切な治療や生活の改善につなげましょう。
貧血の症状チェックリスト
貧血は初期段階では気づきにくいこともありますが、体はさまざまなサインを出しています。
以下のチェックリストで、ご自身の症状を確認してみましょう。
- 疲れやすい・倦怠感がある
- 顔色が悪いと言われる
- 動悸や息切れがする
- めまい・立ちくらみがある
- 爪がスプーンのように反っている
症状を確認し、早めの受診や日常生活での改善行動に役立てましょう。
以下の記事では、貧血の症状や貧血で倒れる原因などを解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】
貧血で倒れるのはなぜ?原因・対処法や病院に行くべきタイミングを医師が解説
貧血の受診目安
貧血の受診目安は、以下の通りです。
- 慢性的な立ちくらみや息切れ
- 経血量が多い日には、ナプキンやタンポンを1~3時間ごとに取り替える
- 血液検査でヘモグロビン値が男性は13g/dL未満、女性は12g/dL未満(文献1)
貧血は消化管の異常が隠れている場合もあるため、必要に応じて消化管の検査を受けるのが重要です。
また、慢性的な月経過多は本人が異常に気づきにくい傾向にあります。自身の月経量を振り返って確認してみましょう。
血液検査でヘモグロビンや赤血球数などの数値が低い場合は、早めに内科や婦人科、消化器科を受診しましょう。
貧血の予防法
疲れやすさや立ちくらみ、めまいに対して食事や生活習慣で改善できるのか疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。
日常生活で無理なく取り入れられる貧血予防の方法を、症状やライフスタイルに寄り添いながらわかりやすく解説します。
鉄分を効率よく摂る食品と組み合わせ
鉄分を効率よく摂れる食品は、下記の通りです。
- 豚レバー
- あさりの水煮缶
- 牛もも肉(赤身)
- 小松菜
- ほうれん草
- 納豆
また、鉄分を摂るときは、ビタミンCを含む食材や動物性たんぱく質と一緒に食べると、より吸収が良くなります。(文献2)(文献3)ビタミンCはパプリカやピーマン、ゴーヤ、ブロッコリーなどに多く含まれ、たんぱく質は鶏ささみや豚ロース、豚ももなどから効率よく摂取できます。
一方で、コーヒーや緑茶に含まれるタンニンという成分が鉄の吸収を妨げる可能性があるため、鉄分を多く含む食事の前後30分程度は控えましょう。
食事で鉄分を補っても疲れやめまいが続く場合は、別の病気が隠れている恐れがあるため、早めに血液検査を受けましょう。医師と相談して原因を特定できれば、適切な対策につながります。
生活リズムの見直し
貧血改善には、鉄分やビタミンの摂取だけでなく、生活習慣の見直しも重要です。
以下のポイントを意識しましょう。
- 禁煙する:喫煙は鉄の吸収を阻害し、貧血になりやすい
- 十分な睡眠を確保:睡眠が足りていないと鉄の吸収がうまくいかず、貧血を招く一因となる
- 軽い運動やストレッチを取り入れる:内臓の働きが整い、鉄の吸収効率が上がるほか、赤血球の生成も促されやすくなる
- 趣味や休息の時間を作る:ストレスがたまると鉄分の吸収が下がる恐れがある
食事から鉄分やビタミンを補うだけでなく、睡眠・運動・ストレス管理といった日々の生活習慣を整えることが、貧血改善には欠かせません。生活習慣の中で、できることから1つずつ見直してみましょう。
貧血と病気の関係を正しく理解して早めの対処をしよう
「疲れやすい」「めまいがする」といった症状は、単なる体調不良ではなく体からの重要なサインかもしれません。症状チェックで当てはまる項目があれば、まずは血液検査を受けて原因を確かめましょう。
貧血は、胃がんや大腸がんなど重大な病気の前触れの可能性があります。食事や生活習慣の見直しに加え、定期健診で早めに発見・対処することが健康維持につながります。
気になる症状がある方は、早めに内科や産婦人科へご相談ください。
また、当院「リペアセルクリニック」では、がんの再発予防や免疫力のサポートを目的とした免疫細胞療法を行っています。免疫細胞療法について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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貧血の病気に関してよくある質問
男性が貧血になる原因は?
男性が貧血になる主な原因は、以下のとおりです。
- 胃潰瘍や胃がんなどによる消化管からの出血
- 栄養不足
- 慢性疾患(腎臓病やがん)による赤血球の減少など
中高年の男性では、自覚のない慢性的な出血が背景にあるケースが多く、貧血が重大な病気のサインの場合もあります。倦怠感や息切れが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
貧血が続くとどんな病気になる?
貧血が続くと、全身の酸素供給が不足した状態が長引き、慢性的な疲労感や集中力の低下、息切れ、動悸などが悪化していきます。
重度になると日常生活に支障をきたすだけでなく、心臓や脳に負担がかかり、心不全やめまい・失神を引き起こすリスクもあります。原因となる病気の発見が遅れることにもつながるため、早期の検査と治療が大切です。
貧血に良い食べ物は?
貧血に良い食べ物には、鉄分・ビタミンB12・葉酸など、赤血球の生成を助ける栄養素を含むものがあります。たとえば、以下のような食品が効果的です。
- 赤身の肉やレバー(鉄分が豊富で吸収率も高い)
- あさりやかきなどの貝類(ヘム鉄を多く含む)
- ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品(植物性鉄分・葉酸が豊富)
- 卵や乳製品(ビタミンB12を含む)
- 柑橘類やブロッコリー(鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富)
バランスの良い食事とあわせて、必要に応じて鉄剤の補給も検討しましょう。
参考文献
(文献1)
貧血について|国立研究開発法人国立がん研究センター
(文献2)
ビタミンC|厚生労働省eJIM
(文献3)
鉄の吸収に関する研究|J-Stage