LINEポップアップ
  • HOME
  • トピックス
  • その貧血は病気のサインかも?見逃してはいけない症状と受診の目安
  • 内科疾患、その他
  • 内科疾患

その貧血は病気のサインかも?見逃してはいけない症状と受診の目安

貧血 病気
公開日: 2025.06.30

「最近なんだか疲れやすい」「立ちくらみが増えた」

そんな症状から、「貧血かも」と思ったことはありませんか?貧血はよくある体調不良のひとつですが、実は背後に病気が隠れている可能性もあります。

とくに、原因がわからないまま症状が続いている場合は注意が必要です。

本記事では、貧血がどんな状態なのか、どのような病気と関係があるのか、受診の目安や検査内容まで詳しく解説します。

このままで大丈夫なのかと不安を感じたら、まずは正しい知識を得ることから始めましょう。

貧血を引き起こす主な病気

貧血は「血が足りない状態」と思われがちですが、実際には酸素を運ぶ赤血球やヘモグロビンが減少するため、全身に酸素が十分行き渡らなくなる状態です。

貧血の背景には、単なる栄養不足だけでなく、体内の出血や骨髄の異常、自己免疫疾患、がんなどさまざまな病気が隠れている場合があります。

ここでは、貧血の原因となる代表的な病気をご紹介します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足するため赤血球の生成がうまくいかず、酸素を全身に届ける能力が低下する病気です。

女性に多く、月経過多、妊娠・出産、授乳などにより慢性的に鉄を失いやすいことが背景にあります。消化管出血も原因としてよく見られます。

鉄欠乏性貧血の症状は、以下のとおりです。

  • 疲労感や息切れ
  • 動悸
  • 集中力の低下
  • 顔色の青白さ
  • 爪が反り返る(スプーンネイル) など

血液検査では、ヘモグロビン値の低下だけでなく、血清鉄やフェリチンの低下が認められる場合もあります。

治療には鉄剤の内服や点滴投与が行われ、重度のケースでは輸血が必要になるケースもあります。貧血が改善されるまでには一定の時間がかかるため、継続的な治療と食生活の見直しが重要です。

巨赤芽球性貧血

巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸といった栄養素の欠乏により、正常な赤血球を作れなくなる病気です。

ビタミンB12や葉酸はDNA合成に不可欠な栄養素で、不足すると骨髄内で未熟な赤血球(巨赤芽球)が形成され、貧血になります。

原因には、胃の萎縮性胃炎や胃の手術によってビタミンB12の吸収が妨げられるケースや葉酸不足による栄養不良、アルコールの過剰摂取などが含まれます。

巨赤芽球性貧血の症状は以下のとおりです。

  • 貧血症状
  • 手足のしびれ
  • 歩行のふらつき
  • 記憶力低下 など

放置すると回復が難しくなるため注意が必要です。

血液検査では赤血球の大型化や数の減少、白血球数の減少などがみられます。治療はビタミンB12や葉酸の補充によって行われ、原因となる基礎疾患の治療も並行して行います。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、骨髄が赤血球、白血球、血小板といった血液成分を十分に作り出せなくなる病気です。

原因の多くは、免疫系が誤って自分の骨髄幹細胞を攻撃する「自己免疫性反応」とされていますが、薬剤やウイルス感染、放射線被ばくなどが引き金となる場合もあります。

再生不良性貧血の症状は以下のとおりです。

  • 貧血症状
  • 感染症にかかりやすくなる
  • 出血しやすくなる など

症状は数週間から数カ月かけて徐々に現れ、気づきにくいことがあります。診断には血液検査と骨髄検査が必要です。

治療には免疫抑制剤や造血刺激因子を用いた薬物療法のほか、重症例では骨髄移植が検討されることもあります。

自己免疫性溶血性貧血

自己免疫性溶血性貧血は、体の免疫系が誤って自分自身の赤血球を異物とみなし破壊してしまうことで起こる病気です。赤血球が通常よりも早く壊されてしまうため、身体が必要とする酸素を十分に運べなくなります。

自己免疫性溶血性貧血症状は、以下のとおりです。

  • 倦怠感
  • 息切れ
  • 脾臓の腫れ など

診断には赤血球の破壊を示す血液検査や、自己抗体の存在を確認するクームス試験が行われます。

治療は免疫抑制を目的としたステロイドの投与が中心で、免疫抑制剤や脾臓摘出術が検討される場合もあります。再発の可能性もあるため、継続的な医療管理が必要です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸や消化液によって消化管の粘膜が傷つき、えぐれたような潰瘍ができる病気です。

原因としては、ピロリ菌の感染や、痛み止め(NSAIDs)などの薬剤による粘膜への刺激、過度なストレスや喫煙、アルコールなどが挙げられます。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状は以下のとおりです。

  • みぞおちの痛み
  • 吐血
  • 黒色便 など

潰瘍は自覚症状が乏しいまま進行する場合もあり、痛みを感じないまま出血している場合も少なくありません。慢性的な出血が続くと、体内の鉄分が少しずつ失われ、気づかないうちに鉄欠乏性貧血を引き起こします。

診断には内視鏡検査で、潰瘍の大きさや出血の有無を確認できます。治療は、ピロリ菌の除菌療法や、胃酸の分泌を抑える薬を使った内服治療が中心です。再発を防ぐためには、原因となる生活習慣や薬の見直しも必要です。

胃がん

胃がんは、胃の粘膜にできる悪性腫瘍です。ピロリ菌の感染が最も大きな危険因子とされ、慢性的な胃炎や胃潰瘍を経て発症するケースもあります。

初期の胃がんは自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行していることも少なくありません。進行すると、以下のような症状が現れます。

  • 漠然とした胃の不快感
  • 体重減少
  • 筋力の低下
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 胃の痛み など

胃がんによる出血が慢性的に起こると、体内の鉄が失われて鉄欠乏性貧血になる場合があります。胃の機能低下によってビタミンB12の吸収が妨げられ、巨赤芽球性貧血の併発の可能性もあります。

胃がんは早期発見・早期治療が最も重要です。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍です。30歳以上の女性の20~30%、顕微鏡で見た場合の発見も含めると約75%とされています。(文献1

子宮筋腫の症状は以下のとおりです。

  • 月経困難症
  • 不妊
  • 多量の出血
  • 排尿障害
  • 排便障害
  • 腰痛 など

貧血が進むと、動悸や息切れ、めまい、疲労感などの症状が現れ、日常生活に支障をきたす場合もあるでしょう。

診断には婦人科での内診や超音波検査、MRI検査などが用いられます。

治療法は、症状の重さや年齢、妊娠の希望などを考慮して選択され、ホルモン療法、子宮動脈塞栓術、手術による摘出などがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来なら子宮の内側だけにあるはずの子宮内膜組織が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所に発生する病気です。生理のたびにこの異所性組織も出血を繰り返します。

子宮内膜症の症状は以下のとおりです。

  • 強い生理痛(下腹部痛)
  • 性交痛
  • 排便痛
  • 不妊 など

子宮内膜症によって月経量が増加し、慢性的に出血する状態が続くと、体内の鉄が不足し鉄欠乏性貧血を引き起こす場合があります。

生理のたびに大量出血がある方は、日常的に疲れやすかったり、立ちくらみがあったりするなど、貧血の症状に悩まされるケースが少なくありません。

治療は、ホルモン療法や鎮痛薬、重度の場合は手術が検討される場合もあります。

慢性腎不全

慢性腎不全(慢性腎臓病)は、腎臓の機能が長い時間をかけて徐々に低下していく病気です。腎機能が低下すると、エリスロポエチンの分泌が不足し、骨髄での赤血球の産生が減少します。

慢性腎不全の症状は以下のとおりです。

  • 疲労感
  • 息切れ
  • めまい
  • 集中力の低下 など

治療には、鉄剤の補給に加えて、エリスロポエチン製剤の投与が行われます。慢性的な疲労感がある方や、腎疾患を抱える方は、定期的な血液検査での貧血チェックをしましょう。

白血病・多発性骨髄腫

白血病や多発性骨髄腫は、いずれも血液を作る組織である骨髄に異常が生じる血液のがんです。

白血病は、未成熟な白血球が異常に増殖し、正常な造血を妨げてしまう病気です。急性型では短期間で症状が急激に悪化し、慢性型ではゆっくり進行するものの、気づいたときには貧血が進んでいることもあります。

多発性骨髄腫では、形質細胞といった免疫に関わる細胞ががん化し、骨髄の正常な働きを圧迫してしまうため、赤血球が十分に作られず貧血を引き起こします。

白血病や多発性骨髄腫の症状としては、以下のとおりです。

  • 倦怠感
  • 息切れ
  • 顔色不良
  • 感染症への抵抗力低下
  • 出血傾向(あざができやすい) など

がんが進行すると、骨の痛みや高カルシウム血症、腎機能障害を伴うこともあります。

治療は化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植など多岐にわたり、医療機関での対応が必要です。

貧血の症状

貧血は初期段階では気づきにくいこともありますが、体はさまざまなサインを出しています。たとえば、「なんとなく顔色が悪い」「最近疲れやすい」「立ちくらみが増えた」といった症状が思い当たる場合、それは貧血の兆候かもしれません。

以下に、よく見られる症状とその特徴をまとめました。心当たりがある方は、早めに医師へご相談ください。

症状 解説
顔色が悪い ・貧血になると赤血球が不足するため、顔色が青白くなったり、唇やつめの色が悪くなったりする
・目の下の粘膜や手のひらが白っぽくなっていないかチェックす
疲れやすい ・貧血になると、全身が酸素不足の状態になる
・エネルギーが作られないため、常に倦怠感や疲労感が続く
動悸や息切れがする ・体内の酸素不足を補うために心臓が血液を多く送り出そうとし、動悸や息切れが現れやすくなる
目まいがする ・貧血により脳への酸素供給が不足すると、立ちくらみやめまいが起きることがある
・急な動作で目の前が暗くなるなら貧血の可能性がある
黄疸が出る ・溶血性貧血の場合、赤血球の破壊により黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出ることがある

【関連記事】

貧血の症状一覧|原因や治療法についても医師が詳しく解説

貧血で倒れるのはなぜ?原因・対処法や病院に行くべきタイミングを医師が解説

貧血と病気の関係を正しく理解して早めの対処をしよう

貧血は、ただの体調不良ではなく、さまざまな病気のサインの場合があります。

放置していると、日常生活に支障をきたすだけでなく、重い病気の発見が遅れることにもつながりかねません

「なんとなく体がだるい」「顔色が悪いと言われる」「動悸や息切れが気になる」そういった症状が続くときは、早めに医療機関を受診しましょう。

貧血でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

貧血の病気に関してよくある質問

男性が貧血になる原因は?

男性が貧血になる主な原因は、以下のとおりです。

  • 胃潰瘍や胃がんなどによる消化管からの出血
  • 栄養不足
  • 慢性疾患(腎臓病やがん)による赤血球の減少 など

中高年の男性では、自覚のない慢性的な出血が背景にあるケースが多く、貧血が重大な病気のサインの場合もあります。倦怠感や息切れが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

貧血が続くとどうなる?

貧血が続くと、全身の酸素供給が不足した状態が長引き、慢性的な疲労感や集中力の低下、息切れ、動悸などが悪化していきます。

重度になると日常生活に支障をきたすだけでなく、心臓や脳に負担がかかり、心不全やめまい・失神を引き起こすリスクもあります。原因となる病気の発見が遅れることにもつながるため、早期の検査と治療が大切です。

貧血に良い食べ物は?

貧血に良い食べ物には、鉄分・ビタミンB12・葉酸など、赤血球の生成を助ける栄養素を含むものがあります。たとえば、以下のような食品が効果的です。

  • 赤身の肉やレバー(鉄分が豊富で吸収率も高い)
  • あさりやかきなどの貝類(ヘム鉄を多く含む)
  • ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品(植物性鉄分・葉酸が豊富)
  • 卵や乳製品(ビタミンB12を含む)
  • 柑橘類やブロッコリー(鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富)

バランスの良い食事とあわせて、必要に応じて鉄剤の補給も検討しましょう。

参考文献

(文献1)
公益社団法人 日本産科婦人科学会「子宮筋腫」
https://www.jsog.or.jp/citizen/5711/(最終アクセス:2025年6月18日)

イメージ画像トップ