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ピアノ腱鞘炎の症状チェック|原因から治療法・予防まで詳しく解説

ピアノ腱鞘炎
公開日: 2025.06.30

日常的にピアノを弾いている方が指先や手首に痛みを感じるようになったら、その症状はピアノ演奏が原因で発症する、ピアノ腱鞘炎の可能性かもしれません。

ピアノ腱鞘炎は普段の練習のしすぎだけでなく、演奏中のフォームの悪さなどさまざまな原因で起こる病気です。

本記事では、ピアノ腱鞘炎の症状や原因、治療法を解説します。

今後ピアノを長く続けるためにも、ピアノ腱鞘炎のことを理解しておきましょう。

ピアノ腱鞘炎の症状をチェック!

腱鞘炎の中には、ピアノの演奏が原因になる「ピアノ腱鞘炎」もあります。ピアノ腱鞘炎の症状は、主に次のとおりです。

親指の付け根・手首の痛み|ドケルバン病

ピアノ腱鞘炎の症状として、「ドケルバン病」があります。

ドケルバン病は腱鞘炎のうち、手首の親指側にある「短母指伸筋腱」と「長母指外転筋腱」という2本の腱と、それを包む腱鞘が炎症を起こす病気です。

ドケルバン病で炎症が起きる腱や腱鞘は、親指や手首の動きに関係しています。そのため、親指を曲げ伸ばしたり手首を動かしたりする際に、親指の付け根や手首に痛みやしびれを感じるのが特徴です。

指の付け根の痛み・ひっかかり|ばね指

ピアノ腱鞘炎の症状としては、「ばね指」も知られています。ばね指は腱鞘炎でも、各指の付け根部分の手のひら側にある屈筋腱と、それを覆う腱鞘で炎症が起きる病気です。

それぞれの指にある屈筋腱は、指が滑らかに曲げ伸ばしできる役割があります。しかし、ばね指になると屈筋腱で炎症が生じるため、指を曲げ伸ばす際に痛みを感じたり、ひっかかりでうまく動かせなくなったりするのが特徴です。

ピアノ腱鞘炎の原因

腱鞘炎のうち、日常生活でのピアノ演奏をきっかけに発症するものに「ピアノ腱鞘炎」があります。

ピアノ腱鞘炎の原因は、練習などでのピアノ演奏時の正しくない習慣が主です。

過度な練習による指や手首の使いすぎ

ピアノ腱鞘炎の原因として、「過度な練習による指や手首の使いすぎ」が挙げられます。

ピアノの演奏では、さまざまな鍵盤を複数の指で押すため、自然と指や手首への疲労が溜まっていきがちです。

オクターブ演奏で少し離れた鍵盤を押そうとして指を大きく広げると、より指に負担がかかります。

ピアノの演奏では多種多様な指の動きが求められる分、練習時間が長いほど指や手首には重い疲労が溜まりやすくなります。

日々の無茶な練習で指や手首を酷使した結果、腱鞘炎を発症してしまうケースも少なくありません。

鍵盤を押すときに力みすぎている

「鍵盤を押すときに力みすぎている」ことも、ピアノ腱鞘炎の原因のひとつです。とくに、演奏中に音の強弱をつけようとして、つい力を入れすぎてしまうシーンが見られます。

しかし、ピアノの音量は鍵盤を押す「速さ(打鍵速度)」で決まるため、力任せにたたいても思うような音にはなりません。

それどころか、指や手首に余計な負担をかけるだけになってしまいます。力んだまま鍵盤を押すクセは無意識に出やすいため、気づいたときには腱鞘炎を発症しているケースもあります。

不適切な姿勢やピアノとの距離

ピアノ腱鞘炎は、「演奏時の姿勢」や「ピアノとの距離」も関係する要素です。

ピアノ演奏では、猫背や肩が上がっている状態などの悪い姿勢は、首や肩に大きな負担がかかります。

腕を支える肩甲骨のスムーズな動きも妨げる分、腕や指先にも気付かないうちに疲労が溜まっていく仕組みです。

加えて、体とピアノの距離が近くても離れていても腱鞘炎の原因になります。

ピアノに近すぎると、自然と背中が丸くなる分、下がってくる頭を支えるために肩や腕に余計な力が入り、手首や指にも負担がかかります。

一方でピアノと離れすぎている場合、腕を余計に伸ばさないといけなくなるため、手首や指先に負担がかかりがちです。適度な距離を保ちましょう。

ピアノ腱鞘炎の治し方

ピアノ腱鞘炎になってしまったとき、どのような治し方があるのかを知っておくと、今後ピアノと長く付き合ううえで役立ちます。

ピアノ腱鞘炎の治し方には、主に以下の方法があります。

痛みを感じたら練習は休む

ピアノの練習中に指や手首などに痛みを感じたら、無理せずに練習を休むことが大切です。

長時間連続で練習を続けた場合、指や手首にさらなる負担がかかり、症状が悪化します。こまめに休憩を設けることがポイントです。

患部のテーピングや温熱療法

患部のテーピングや温熱療法も、ピアノ腱鞘炎の治し方のひとつに挙げられます。

テーピングは指や手首の動きを制限しながら、極力負担をかけずに痛みを抑える用具です。

ただし、テーピングによって肌が荒れることもあるため、心配な方にはサポーターの使用をおすすめします。

温熱療法は、すでに腱鞘炎が慢性化している方向けの方法です。練習後にぬるま湯に患部をつけて温めることで、血行の改善や腱鞘炎による症状の緩和などの効果が期待されます。

ただし、炎症が起きている急性期に温めると、症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

なお、腱鞘炎になって間もない場合は、温熱療法ではなく冷却療法が推奨されます。患部を冷やす際には、アイスパックなどをタオルに包んだ状態で患部に当てます。

力を抜いた演奏を心掛ける

ピアノ腱鞘炎になったときは、力を抜いた演奏を心掛けることも治し方のひとつです。

腱鞘炎を抱えている状態で力を込めて演奏すると、肩や指先などに過度な負担がかかって、余計に症状が悪化します。

とくに不慣れな曲やフレーズを演奏する際には、つい鍵盤に力が入りがちです。1音ずつ焦らずゆっくりと弾き方に慣れることをおすすめします。

ピアノ腱鞘炎の予防法

ピアノ腱鞘炎には以下のような予防法があります。練習中の方法やフォームを見直したり、ストレッチを取り入れたりして予防を心掛けてください。

練習中に休憩をはさむ

ピアノ腱鞘炎を予防するには、練習中に休憩をはさむことが大切です。ピアノ腱鞘炎は長時間にわたって休憩なしで練習するほど、指や手首に疲労が蓄積されます。

このため、途中で休憩をはさめば、指や手首に溜まった疲労を少しでも解消できる分、本格的な腱鞘炎の発症リスクを下げられます。とくに、ピアノ初心者や久しぶりに弾く方は、短時間の練習とこまめな休憩を組み合わせることがおすすめです。

練習中のフォームの見直し

ピアノ腱鞘炎を予防するには、練習中のフォームを見直す必要があります。演奏中の姿勢が悪いと、肩や腕、指先などに余計な力がかかる分、腱鞘炎を発症する可能性も高まります。

ピアノ演奏の際の正しい姿勢のポイントは、次のとおりです。

  • 鍵盤の真ん中に椅子を置く
  • 椅子に浅めに腰掛ける(前側3分の1程度)
  • 背筋をぴんと伸ばしつつ、肩やひじは脱力する
  • 手首の角度は鍵盤にまっすぐ伸びている
  • 足はつま先からかかとまで床につける
  • 椅子の高さは肘と鍵盤が同じくらいの高さになるように
  • 手の形は卵をもって折るイメージで

ストレッチの習慣を取り入れる

ピアノ腱鞘炎を予防するには、指や手首の柔軟性を保つことが大切です。そのために、練習前後にストレッチを取り入れる習慣をつけましょう。

ストレッチによって血行が促進され、筋肉や腱の柔軟性を維持しやすくなります。

腱鞘炎は、指や手首の動きが硬くなることで起こりやすくなるため、日常的なケアが予防につながります。

たとえば、手を開いたり握ったりする「グーパー運動」や、指を1本ずつ甲側に反らすストレッチなどが効果的です。

自分に合う鍵盤のピアノを選ぶ

自分に合う鍵盤のピアノを選ぶことも、腱鞘炎を予防するうえで効果的です。

重いと感じる鍵盤を日常的に押すことも、ピアノ腱鞘炎の発症につながります。鍵盤が重いほど、音を出す際に力をこめる必要があります。

ピアノ腱鞘炎を防止するには、あまり力まずに演奏できる程度の鍵盤を選ぶことが理想的です。もし、今使っているピアノの鍵盤を重く感じるときは、調律師に調律を依頼するか、軽い力で鍵盤を押せるピアノに買い替えを検討しましょう。

電子ピアノにはタッチ調整機能もある

電子ピアノの場合はタッチ(鍵盤)の調整機能もあるため、こちらを選ぶのもひとつの手です。タッチ感度を調整するためのボタンを操作することで、弾くときの力の強弱や音の出方を調整できます。

今使っているピアノの鍵盤の重さに違和感があり、買い替えを考えている方には、タッチ調整機能つきの電子ピアノを選ぶのもおすすめです。

まとめ|ピアノ腱鞘炎になったら無理せず安静にしよう

ピアノ腱鞘炎はピアノ演奏のしすぎや、演奏時の姿勢の悪さが主な原因です。

ピアノ腱鞘炎になったときは、練習をすぐにやめて安静にする必要があります。早く演奏を再開したい場合には、姿勢やフォーム、力の入れ方を見直し、患部への負担を減らす工夫も欠かせません。

また、腱鞘炎を予防するためには、日頃からこまめに休憩をとったり、ストレッチを習慣づけたりすることが効果的です。無理のない演奏環境を整えることが、ピアノと長く付き合っていくための第一歩といえるでしょう。

ピアノ腱鞘炎は、適切に対処しないと演奏を長期間休まなければならない場合があります。指先や手首に痛みを感じたら、無理をせず練習を中断し、早めに治療を始めることが大切です。

なお、腱鞘炎の治療法には再生医療という選択肢もあります。腱鞘炎でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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ピアノ腱鞘炎のよくある質問

ピアノ腱鞘炎が治るまでの期間は?

ピアノ腱鞘炎が治るまでの期間は個人差はあるものの、早くて3週間から2ヵ月程度、重症化した場合や治療が遅れた場合は、数ヵ月から1年以上かかることもあります。

そのため、なるべく早く治してピアノ演奏を再開するには、痛みを感じてから早い段階で治療を始めることが大切です。

ピアノ腱鞘炎はオクターブも関係ある?

ピアノ腱鞘炎はオクターブ演奏で発症する場合もあります。オクターブ練習では無理に手を広げようとするため、指先に負担がかかって腱鞘炎に繋がることがある点に注意が必要です。

ピアノ腱鞘炎は演奏の下手さでなる?

ピアノ腱鞘炎は演奏の上手・下手に関係なく発症する人は一定数います。ただし、ピアノの初心者や演奏慣れしていない方の場合、うまく脱力できていなかったり無理な指の広げ方をしたりすることで、腱鞘炎になることがあります。

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