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【突き指と指の骨折】その違いと見分け方?

知っていれば安心!突き指と指の骨折、その違いと見分け方を解説

突き指と言えば、バレーボールやバスケットボール、野球などの球技をしている人なら誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

比較的、軽くみられがちな怪我であるため、突き指をしてもそのまま放置というのは、よくある話。しかし、その「たかが突き指」が実は大事につながることもあるので注意が必要です。

今回は、そんな突き指に関して、知っていれば安心、知っておきたい突き指と骨折のことをお伝えします。

突き指と骨折の違いについて

結論から言いますと・・・「突き指」と「骨折」は同じでもあり、違う場合もあります!?

突き指は「現象」を表し、骨折は「状態」を表します。つまり、怪我した状況は「突き指」なのですが、その結果「骨折」が起きた!ということになるのです。

突き指とは、ボールなどの物が指先に突くように当たり、その結果怪我をした場合に用いられる、指の怪我の総称です。その場合の怪我は、骨折の場合もありますし、さらに靭帯損傷や腱の断裂など、実は細かく分かれます。

ただし、一般的に使われている「突き指」は、骨折を伴っていないケースが多いのも事実です。

そのため、突き指をしてしまったら、自己判断せずに一度は専門の医療機関でどのような状態になっているのか詳しく検査することを推奨しています。

  • 突き指した結果、骨折となる
  • ・突き指:現象
  • ・骨折:状態
  •  
  • ただし、突き指が全て骨折になるわけではない

マレット変形のレントゲン

出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html)

 

スポーツ医療の治療

突き指と骨折の症状の違い

ここでは、骨折を伴わない突き指と、骨折の症状の違いをお伝えします。

骨折を伴わない突き指の症状

骨折のあるなしに関わらず、まず「痛み」が出ます。そして、腫れ、赤み、動かしづらさなど、「炎症」の症状がみられることが多いです。

軽症なら 1 週間程度で炎症は落ち着きます。しかし、靭帯や腱の断裂など重症な場合、指の変形や動かしづらさが長引いてしまうので、適切な診断と治療が必要です。

  • 腱の断裂で起こる腱性マレット指

  • ・腱の損傷や断裂を伴う突き指は、『腱性マレット指』と呼ばれます
  • ・指先を伸ばすための腱が切れてしまい、指の第一関節を自力で伸ばせなくなります
  • ・痛みが引いてもなお伸ばせない症状が続いたら、腱性マレット指の可能性があります。
  • ※早急に医師の判断を仰いだ方がいいでしょう。

マレット指

出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html)

 

マレット指2

出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html)

靭帯の損傷・断裂

突き指により、指の靭帯が損傷または断裂を起こすことがあります。その場合、横に変形したり、指が曲がったように見えます。

膝や足首同様、指にも靭帯があります。靭帯の役割は、関節を安定させることです。靭帯が無ければ、関節は動き過ぎてしまい、力が発揮できません。

肉眼では骨折との見分けも付けにくいため、専門医で詳細な検査が必要となります。

骨折を伴う突き指の症状

骨折を伴う突き指に場合で上記の「腱性マレット指」と同じ、似通った症状を起こす突き指がああります。指を自力で最後まで伸ばせない症状ですが、骨折を伴うため、痛みや腫れが、より強く現れます。

レントゲンで容易に見つかります。場合によっては、手術が必要なケースもあるため、できるだけ早く医療機関を受診することを推奨します。

この他にも、指の中間部分(骨幹部)の骨折や、指の関節が脱臼した際に起こる脱臼骨折などもあります。痛みが強い、腫れが酷いなどの場合、自分で判断せずに専門医に相談しましょう。

  • 骨折の症状で起こる骨性マレット指

  • ・突き指による骨折で多いのが、『骨性マレット指』です
  • ・指先だけでなく、中間部分(骨幹部)や、関節の脱臼骨折などもあります
  • ・指を伸ばすための腱が付いている部分が、剥がれるように骨折(剥離骨折)する
  • ・痛みや腫れが大きい場合、骨折の可能性がああります。医療機関を受診してください

骨性マレット指

出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html)

突き指・骨折の原因は同じ

骨折を伴う突き指と、骨折を伴わない突き指とでは、原因は大きく変わりません。ボールが強く当たったからといって、骨折するわけではありません。ボールが軽く当たっただけで骨折する場合もあります。

どちらも共通するのは、指に対して長軸方向にボールが当たった場合に発症することです。

突き指・骨折を起こしやすいスポーツ

冒頭でも軽く述べましたが、突き指は球技を行っている際に起こりやすいです。中でも、バレーボール、バスケットボール、野球は特に多くみられます。

それぞれのスポーツが、どのような場面で突き指を起こすのか説明します。

バレーボールの突き指

バレーボールでは、ブロックの時とオーバーハンドでのレシーブの時に、突き指を起こすことが多いです。特にブロックでは、ジャンプのタイミングが遅れたり、指先に力が入っていなかったりすると、突き指につながります。

ボール自体は軽いのですが、アタックの時はボールのスピードが速いため、突き指を起こすことがあるのです。

バスケットボールの突き指

バスケットボールでは、パスを受ける時、ボールをカットする時などに受傷することが多いです。特に、相手と激しくぶつかり合いながら、ダッシュ・ストップ・ターン・ジャンプなど様々な動きが伴うバスケットボール。その中で、手が遅れて出てしまったり、不意にボールが向かってくることもあります。

また、バスケットボールで用いられるボールは重く、軽く当たるだけでも怪我につながるケースも多いのです。

野球の突き指

野球で突き指を発症するシーンは、圧倒的に守備の時が多いです。特に打者が打ったゴロを捕球する際、両手で捕ろうとして、投げる側の手にぶつけてしまうケースです。

ボール自体は小さいのですが、硬さがあり、ボールが不規則なバウンドをした時は特にケガにつながりやすいでしょう。

突き指の落とし穴

「なんだ!突き指くらいなら大丈夫だよ」といって、軽くみられがちなケガの代表格とも言える突き指。

しかし、そんな軽い気持ちとは裏腹に、後々に大きな影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。

放っておいても治らない?

腱の断裂や剥離骨折(マレット指)は、痛みが引いたからといって普段通りに動かしていると、骨や腱がつながらず、指を完全に伸ばせなくなる恐れもあります。

装具やテーピングによる固定や、場合によっては手術するケースもあります。ケガの状態によって、治療方針も様々なので、まずはケガの見極めが重要です。

折れていなくても切れている可能性?!

レントゲンでは骨の形態しか確認できないため、症状がなかなか落ち着かない、指が完全に伸ばせないなどの症状が残存している場合は、専門医を受診しましょう。検査をすると、腱が切れていた、というパターンも少なくありません。

ケガをしてからすぐ状態を見極めて固定をしておけば保存療法で済む場合も、動かしてしまっていたから、手術が必要になることもあります。結果的に完治まで時間がかかってしまい、スポーツ復帰の遅れにつながりかねません。

「たかが突き指」と決めつけず、できるだけ早く然るべき医療機関へ受診することを推奨します。

まとめ・突き指で痛みの症状が長引くときは専門医を受診しましょう/まとめ

今回は、突き指の種類と見極め方についてお伝えしました。突き指は、スポーツ、特に球技をする人々にとっては身近な怪我です。

突き指は、指先にボールが当たるなど、指の縦方向に衝撃が起こった際の怪我の総称で、その中には骨折が含まれることがあります。突き指がただの軽い怪我だと思って放置すると、実は大きな問題に発展することがあります。骨折が伴う場合、痛みや腫れが強く、腱の断裂や靭帯損傷といった重篤な症状が隠れていることも多いので注意が必要です。

特に注意が必要なのは、腱性マレット指や骨性マレット指などの状態です。これらは指を伸ばすための腱や骨が損傷した結果、指が正しく動かせなくなる疾患です。整形外科等、医療機関にて早期に適切な診断と治療を受けることで回復できる可能性があります。

しかし、痛みが引いたからといって自己判断で動かしてしまうと、症状が悪化し、長期的な影響を及ぼす可能性があります。突き指で痛みが強い、腫れがひどいなど、骨折が疑われる場合は、速やかに専門医の診断を受け、レントゲン検査などを通し、適切な治療を受けることで、スポーツをされている場合は早期復帰が可能になり、そうでなくとも後遺症を防ぐことができます。

突き指を軽く考えることなく、痛みや腫れが続く場合は専門医を訪ね、しっかりとした診断と治療を受けることが大切です。

この記事がご参考になれば幸いです。

 

No.116

監修:医師 坂本貞範

スポーツ医療の治療

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