朝だけばね指になるのはなぜ?原因や自分でできる対処法を紹介
朝起きると、指がカクカクして動かしにくい……。
朝だけばね指の症状が出るのはなぜ?
このような症状をインターネットで検索すると、「ばね指」という疾患がヒットするでしょう。
ばね指とは指の腱や腱鞘に炎症が起きることで、手指の痛みや動かしにくさが生じる疾患です。特に朝に症状が強くなる傾向があり、多くの人が悩まされているのではないでしょうか。
結論、ばね指の症状が朝に強く出る理由は、炎症が起きている指の腱が浮腫んでいるためです。そのため、むくみを解消することで、朝の症状が緩和される可能性があります。
この記事では、朝だけ強くなるばね指の症状の原因や自分でできる対処方法を専門家が詳しく解説します。
ばね指で朝にお困りの方はぜひ最後まで読んで、ばね指の対処方法を実践してみてください。
目次
朝だけばね指になる原因は、「屈筋腱がむくむため」
そもそもばね指とは、指を曲げる筋肉の腱(屈筋腱)とトンネルのように屈筋腱が通る靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)との間に炎症が起き、痛みや引っかかりが生じる疾患です。
更年期や閉経後の女性に発症しやすく、朝に痛み・引っかかりの症状が強くなり、日中には軽減する特徴があります。
朝にばね指の症状が強くなる原因は、屈筋腱のむくみです。
寝ている間は指を動かさないため、屈筋腱の血流が悪くなります。屈筋腱がむくむことで靭帯性腱鞘との摩擦が強くなり、痛みや引っかかりが大きくなることがあります。
腱鞘炎やばね指の詳細については、以下の記事もご覧ください。
【今すぐできる】朝だけばね指になるときの対処方法3選
自宅でできる朝のばね指症状の対処方法は以下の3つです。
- 手指を使わず安静にする
- 温める
- 軽くストレッチする
どれも簡単にできる方法なので、まずは実践してみてください。
手指を使わず安静にする
ばね指は指の使いすぎによって生じる疾患であるため、安静にすることでばね指の症状緩和が期待できます。また、症状が強い場合にはシーネという添え木やテーピングで指の動きを制限することも有効です。
日常生活のなかで指を使う動作としては以下に挙げるような状況が考えられます。
- 皿洗いや料理などの家事
- パソコン作業
- ゴルフやテニスなどのスポーツ
こういったシチュエーションは指に大きな負担を与え、ばね指の症状を悪化させかねません。一度安静にして指を使わないことが重要です。
温める
朝にばね指の症状が強い場合、指を温めるのも良いでしょう。
寝ている間に指の血流が悪くなると、屈筋腱にむくみが生じてばね指の症状が強く出ることがあります。その場合は、温めて血流を良くすることで痛みや引っ掛かりを緩和できるでしょう。
洗面器やバケツに38〜40℃程度のお湯を入れ、5〜10分間ほど手をつけるだけで良いので試してみてください。
軽くストレッチする
指に痛みが出ない程度の軽いストレッチを行うことで、ばね指の症状を緩和できる可能性があります。ストレッチによって血流が良くなり、屈筋腱の柔軟性が向上して引っかかりが軽減するためです。
具体的には指をグーパーしたり、反対の手で痛い指を手の甲側に反らすストレッチをすると良いでしょう。
安静にしすぎて屈筋腱が固まると症状がよりひどくなるため、適度に指を動かすことも大切です。毎日少しずつストレッチを取り入れて、指の血流と柔軟性を保ってください。
ばね指のストレッチ・セルフケアについては以下の記事も参考にしていただけますと幸いです。
ばね指で受診した場合の検査・治療法
整形外科を受診した場合、問診・診察により「ばね指」と診断されるのが一般的です。場合によってはレントゲン検査を行うこともあります。
専門医の指導のもと、症状の度合いに応じて装具による固定や薬の処方、理学療法などを実施し、効果がなければ外科的治療を検討することもあるでしょう。
本章では、ばね指で受診した場合の検査や治療について解説します。前もって知っておくことで心の準備ができるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
ばね指の検査
症状のヒアリングと診察により「ばね指」と診断をするのが一般的です。
ただし、関節リウマチや変形性関節症など、骨・関節に生じる病気を見つけるためにレントゲン検査が行われる場合もあります。
病院でおこなうばね指の治療
病院でおこなうばね指の治療は、主に以下の4つです。
- 安静(手指の使用制限、シーネ・装具など)
- 薬物療法(外用薬・消炎鎮痛剤投与など)
- 理学療法(物理療法・運動療法など)
- 外科的治療(腱鞘内ステロイド注射・手術治療など)
それぞれ確認してみましょう。
安静(手指の使用制限、シーネ・装具など)
指の使いすぎで発症するばね指の治療では、安静にすることが大切です。病院では、医師から手指の使用制限を指導を受け、手指を休ませるケースが多くあります。
また、シーネと呼ばれる副え木や装具で指の動きを制限し、関節を動かしやすい位置にするのも有効です。
薬物療法(外用薬・消炎鎮痛剤投与など)
ばね指にはNSAIDsと呼ばれる非ステロイド性消炎鎮痛薬が有効で、痛みの緩和が期待できます。
また、最近の研究ではエクオール(イソフラボン代謝物)が女性ホルモンと同じような働きをし、ばね指の症状軽減に有効だといわれています。
理学療法(物理療法や運動療法など)
理学療法のうち、物理療法では温熱療法や電気療法・超音波などで手指の血流を促すことで、手指屈筋腱の炎症緩和が期待できます。
また、運動療法での手指の運動は、屈筋の緊張を和らげ、ばね指の症状軽減や関節拘縮予防に効果的です。
外科的治療(腱鞘内ステロイド注射・手術治療など)
上述した治療法で効果がみられない場合、腱鞘内ステロイド注射・手術治療も検討されます。
腱鞘内ステロイド注射は、局所麻酔薬との併用でばね指の症状が軽減される効果的な治療です。
また、手術療法では靭帯性腱鞘の切開を行います。日帰り手術のため早期の社会復帰が可能です。
まとめ|朝だけばね指になるのは腱の血行不良・むくみが原因!気になる場合は早めの受診がおすすめ
ばね指の症状が朝だけ悪化する理由は、炎症が起きている指の腱がむくみ、靭帯性腱鞘との摩擦が強くなるためです。むくみを解消することで、朝の症状が緩和される可能性があります。
ばね指で受診する場合は、装具による固定や薬物療法、理学療法が一般的です。ただし、それらの治療で効果がみられない場合は手術を検討することもあります。
当院「リペアセルクリニック」では、国内でも数少ない、自己の幹細胞を用いた再生医療(幹細胞治療)を提供しています。
再生医療によって、腱鞘炎で劣化した屈筋腱の復活が期待でき、リハビリなどの治療と併せてばね指症状の緩和できる可能性もあるため、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を読んだあなたが、ばね指の症状が朝に強くなる原因を知り、適切な治療法を検討できたなら嬉しく思います。
ばね指についてよくある質問
ばね指は朝だけなぜ痛くなるのですか?
正確な原因は明らかになっていませんが、夜間寝ている間は指を動かさないので、腱が炎症でむくむためだと推測されています。
指を動かしていると腱のむくみが減少するので、日中には症状が少なくなると考えられています。
ばね指の手術費用はどの程度ですか?
ばね指の手術は基本的に健康保険が適用されます。保険点数は2,050点のため、3割負担では6,000円前後で費用を提示している病院が多くなっています。
実際の手術では薬剤費なども含め、もう少し金額が高くなるため、事前に病院に確認するようにしましょう。
ばね指の注射の副作用はありませんか?
ステロイド注射の合併症として、腱断裂、感染症があります。
実際に、腱自体へのステロイド注入では腱の軟化を生じる場合がありますが、断裂自体の報告は少数です。医師もその危険性は知っており、連続で使用する場合は3ヶ月以上あけるか、手術治療を推奨することが多いです。
同様に、感染症についても報告は少数であり、コントロール不良な糖尿病では注意を要しますが、過度な心配は不要と考えられています。