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熱中症でろれつが回らないのは危険信号?脳梗塞との違いや対処法を解説

「熱中症により脳梗塞のリスクは高まる?」
「脳梗塞と熱中症を見分ける方法は?」
暑い夏は、脱水症によって熱中症だけでなく脳梗塞のリスクまで高まります。
水分が不足すると血液の流れが悪くなり、血管が詰まりやすくなるためです。
本記事では、熱中症と脳梗塞の関係や見分け方、さらに脱水症による脳梗塞を防ぐための5つの習慣を解説します。脳梗塞と熱中症の症状の違いや判断に迷ったときのチェック方法も紹介するので、緊急時の対応に役立ててください。
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目次
熱中症でろれつが回らなくなるのはなぜ?
熱中症でろれつが回らなくなるのは、脳の働きが一時的に低下している可能性があるためです。
とくに脱水症が進行すると、脳に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、言葉をうまく発する機能に影響を与えます。
脱水からろれつが回らなくなる流れは以下の通りです。
- 暑い環境で長期間過ごす→大量に発汗する
- 水分・塩分が失われ、脱水症になる
- 血液がドロドロになり、流れが悪くなる
- 血管が詰まりやすくなる
- 脳梗塞や脳血流不足を起こし、ろれつが回らなくなる
注意すべき点は、熱中症と脳梗塞の初期症状が似ていることです。
熱中症と脳梗塞は対応方法が異なるため、早期に見分けることが非常に重要です。
そのためにも、熱中症と脳梗塞の症状の違いを正しく理解しておきましょう。
脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。
熱中症の進行で脳機能が低下する理由
熱中症が進行すると、体温が異常に上昇し、脳の働きに深刻な影響を与えることがあります。
人間の脳は約40℃を超える高体温に弱く、細胞や神経組織がダメージを受けやすくなります。
とくに、言語や運動を司る脳の部位が障害されると、ろれつが回らない、会話がスムーズにできないといった症状が現れます。
さらに、高体温は脳への血流を減少させ、酸素や栄養の供給が不足する原因にもなります。
これにより脳の機能が一時的、あるいは長期的に低下し、意識障害や認知機能の低下が起こる可能性があります。
重症化を防ぐためには、初期段階での適切な冷却と水分補給が重要です。
ろれつが回らない症状は重症化のサイン
熱中症でろれつが回らない状態は、すでに脳の機能に障害が生じている可能性が高く、重症化のサインといえます。
軽度の熱中症では、めまいやだるさなどの症状が中心ですが、ろれつ障害が出る段階では脳や神経にまで影響が及んでいる恐れがあります。
この症状は、脳梗塞や脳出血などの重大な疾患でも見られるため、自己判断は危険です。
とくに、ろれつが回らない症状が急に現れた場合や、手足のしびれ、顔のゆがみ、意識もうろうなどを伴う場合は、すぐに救急要請を行う必要があります。
早期対応が、命や後遺症のリスクを大きく減らすポイントです。
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ろれつが回らない症状は脳梗塞かも?見分け方と注意点
熱中症によるろれつ障害は、脳梗塞でも起こる可能性があるため、症状だけで判断するのは危険です。
とくに、高齢者や生活習慣病を持つ方は、暑さ以外の要因で脳梗塞を発症するリスクが高まります。
脳梗塞と熱中症を見分けるポイントは主に2つあります。
- 脳梗塞と熱中症の症状の違いを理解する
- 迷ったときはFAST(顔・腕・言葉)で確認する
この2つを押さえておくことで、緊急時に適切な判断と行動がとりやすくなります。
次の項目では、それぞれの具体的な方法を解説します。
熱中症と脳梗塞の症状の違い
脳梗塞と熱中症の症状の違いは以下の通りです。
病名 | 初期症状 |
---|---|
脳梗塞 |
|
熱中症 |
|
見分けるポイントは症状が片側に出ているかどうかです。
熱中症では、症状が片側だけに出ることはほとんどありません。
一方、脳梗塞は麻痺やしびれ、動きにくさが体の片側のみにでることが多いです。(文献1)
FASTチェック(顔のゆがみ・言葉・腕の動き)で確認
脳梗塞か熱中症かで迷ったときは、FAST(Face Arm Speech Time)で確認してください。
FASTとは、以下の3つの症状で脳梗塞であるかを判断する方法です。
FAST | 症状 |
---|---|
Face(顔の麻痺) |
|
Arm(腕の麻痺) |
|
Speech(言語の麻痺) |
|
(文献2)
これら3つの症状にTime(発症時刻の確認)を加えたものがFASTです。
3つの症状のうち、1つでも該当する場合は脳梗塞の疑いがあります。
発症時刻を確認して、すぐに救急車を呼んでください。
高齢者はとくに注意が必要な理由
高齢者は、体内の水分量が若年層より少なく、喉の渇きを感じにくい傾向があります。
そのため、脱水症や熱中症に気づくのが遅れやすく、症状が急速に進行する危険があります。
さらに、血管の老化や動脈硬化などにより、脳梗塞の発症リスクも高まっています。
ろれつが回らない、顔のゆがみ、手足の動きに異常がある場合は、軽い症状でも見過ごさず、すぐに医療機関を受診することが重要です。
熱中症でろれつが回らないときの対処法
ろれつが回らない症状は、熱中症の重症化や脳梗塞の可能性を示す危険なサインです。
少しでも異常を感じたら、自己判断せずに速やかに対応する必要があります。
救急要請の目安(ろれつ・意識障害・歩行困難)
以下の症状が一つでも見られた場合は、迷わず救急車を呼んでください。
- ろれつが回らず、会話が不明瞭になる
- 意識がもうろうとしている
- まっすぐ歩けない、ふらつく
迷った場合でも「少し様子を見る」のは危険です。
発症からの時間が短いほど回復の可能性が高まるため、早期対応が命を守ります。
応急処置の手順(涼しい場所・水分・体温冷却)
救急車を呼ぶまでの間に、できるだけ早く体温を下げることが大切です。
以下のような応急処置を行いましょう。
- 直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所に移動させる
- 衣服をゆるめて熱を逃がす
- 首・脇の下・太ももの付け根など太い血管が通る部分を保冷剤や冷たいタオルで冷やす
- 意識がはっきりしていれば、経口補水液や水で水分・塩分を補給する
意識がない場合や飲み込みが難しい場合は、誤嚥の危険があるため無理に飲ませず、救急隊到着を待ちましょう。
熱中症後にろれつが回らないのは後遺症?脳への影響と回復の見通し
熱中症の回復後もろれつが回らない症状が続く場合、脳や神経に何らかのダメージが残っている可能性があります。
早期に医療機関を受診し、原因を明らかにすることが大切です。
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脳障害や神経へのダメージの可能性
熱中症の重症化により脳細胞や神経が損傷すると、症状が回復した後も影響が残る場合があります。
とくに「ろれつが回らない」「言葉が出にくい」といった言語障害や、手足のしびれ・麻痺などは、脳や神経の回復が不十分なサインです。
脳は一度損傷を受けると完全に元の状態に戻るまで時間がかかるため、早期からのリハビリや定期的な神経学的検査が重要です。
また、年齢や基礎疾患によっては、後遺症が長期化することもあります。
後遺症が治らないケースと回復の目安
熱中症後のろれつ障害や言語の不自由さは、多くの場合は数日から数週間で改善しますが、脳や神経への損傷が大きい場合は長期間続くことがあります。
とくに脳梗塞や重度の脳障害を併発したケースでは、半年以上症状が残ることも珍しくありません。
回復のスピードは、損傷の範囲や年齢、リハビリの開始時期によって大きく変わります。
発症から早期に治療やリハビリを始めた場合は改善が見込めますが、改善が見られない場合でも、医師と相談しながら長期的なサポートを受けることが大切です。
熱中症や脱水による脳梗塞・ろれつ障害を防ぐための5つの習慣
熱中症によってろれつが回らない症状や、脱水症が引き金となる脳梗塞を防ぐためには、日常生活の中での予防が重要です。
熱中症予防のために以下の5つの習慣を意識しましょう。
- 生活習慣病の管理で血管リスクを減らす
- 脱水を防ぐためにこまめな水分補給をする
- 夜間の熱中症対策にエアコンを賢く使う
- 熱中症が多発する時期を把握する
- アルコールの摂りすぎに注意する
それぞれの詳細を解説します。
1.生活習慣病の管理で血管リスクを減らす
熱中症でろれつが回らない症状や、脱水による脳梗塞を予防するには、生活習慣病の管理が欠かせません。
生活習慣病が進行すると血管がもろくなり、詰まりやすくなるため、脳への血流が妨げられるリスクが高まります。
生活習慣病 | 脳梗塞のリスクが高くなる理由 |
---|---|
高血圧 | 血圧が高いほど脳の血管に負担がかかり、動脈硬化が進行して血管が詰まりやすくなります。 |
糖尿病 | 血管の老化(動脈硬化)を早め、さらに血液の流れを悪化させます。 |
脂質異常症 | 血管壁に脂質が蓄積して動脈硬化が進み、血管が細くなることで詰まりやすくなります。 |
これらの病気は、熱中症や脱水時に脳梗塞を起こす確率をさらに高めます。
治療を受けてない方は、医療機関を受診して適切な治療と数値管理を行いましょう。
2.脱水を防ぐためにこまめな水分補給をする
熱中症によるろれつが回らない症状を防ぐには、脱水症を起こさないことが重要です。
脱水になると血液が濃くなり、脳への血流が悪化して脳梗塞のリスクが高まります。
水分を摂り過ぎると「体がバテる」「汗をかき過ぎる」といった考え方は間違いです。
体温を調整するためには、発汗で失った水分と塩分をしっかりと補給しなければなりません。(文献3)
水分補給のポイントは以下の通りです。
- 喉が渇く前に水分を補給する
- アルコール飲料で水分を補給しない
- 1日1.2L以上を目安に水分を摂る
- 起床時、入浴前後などのタイミングで水分を補給する
- 大量に汗をかいた際は塩分もあわせて補給する
水分補給は水やお茶が最適です。
大量に汗をかいた際は、塩分が含まれたスポーツドリンクや経口補水液などが良いでしょう。
3.夜間の熱中症対策にエアコンを賢く使う
暑い夏の夜は就寝中に大量の汗をかきます。
その結果、就寝中に脱水症を引き起こし脳梗塞のリスクを高めることがあります。
就寝中の脱水症のリスクを下げるために、寝る前にコップ1杯の水を飲むことと、室温などの就寝環境の調整が大切です。
就寝環境を整えるポイントは以下の通りです。
- 室温が28℃を超えないようにする
- エアコンの風が直接体に当たらないようにする
- 窓からの直射日光が寝室に入らないようにする
- 気温が体温より高い場合、扇風機は逆効果になることがある
とくに高齢者は体の水分保有量が少なくなっています。
加えて、高血圧などにかかっていればさらに脳梗塞のリスクが高まるため注意が必要です。
節電のために夏の暑さをがまんしすぎず、エアコンを上手に活用しましょう
4.熱中症が多発する時期を把握する
脱水症を予防するためにも、熱中症が多発する時期を把握しておきましょう。
熱中症は、梅雨入り前の5月から発生し始め、梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多発する傾向です。(文献3)
また、人の体は暑さに適応して適切に発汗できるようになるまで時間がかかります。
- 暑い環境で運動や作業を始めてから3〜4日で、自律神経の反応が改善し体温上昇を防ぎやすくなる
- さらに3〜4週間経過すると、汗から余分な塩分が失われにくくなり、けいれんや塩分欠乏の予防につながる
急に暑くなると、この適応期間がないまま暑さにさらされるため、熱中症が起きやすくなってしまいます。
とくに高温多湿の時期は、いきなり長時間外で活動するのを避け、徐々に体を慣らすことを心がけましょう。
5.アルコールの摂りすぎに注意する
アルコールはどのようなお酒であっても利尿作用があり、体内の水分を尿として排出してしまいます。
そのため、お酒は水分補給の代わりにはなりません。
とくに夜間の飲み過ぎは注意が必要です。
アルコールによって体内の水分が失われた状態で、暑い夜に就寝すると、就寝中に脱水症や熱中症を起こす危険が高まります。
さらに、脱水が進むことで脳梗塞のリスクも上昇します。
夜にお酒を楽しむ場合は、量を控えめにし、同時に水やお茶などでしっかりと水分補給を行いましょう。
まとめ|ろれつが回らないのは命のサインかも?早めの対処と予防が大切
脱水症は血液の流れを悪化させ、脳梗塞のリスクを高めます。
とくに高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を抱えている場合、脱水症が引き金となって脳梗塞を発症する危険がより高くなるため要注意です。
生活習慣病の治療を受けてない方は、早めに医療機関を受診して治療を始めてください。
また、脳梗塞と熱中症では適切な対応方法が異なるため、症状が似ていて迷う場合はFASTで確認しましょう。
さらに、過去に脳梗塞を経験した方は再発に注意が必要です。脳梗塞の再発予防の治療の選択肢として再生医療があります。
脳梗塞の再生医療は当院「リペアセルクリニック」でも行っているので、再発予防にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
(文献1)
福祉医療機構「脳梗塞、夏も要注意 脱水原因 熱中症と区別つきにくく 福井赤十字病院 西村医師解説 見分け方は『半身のみ症状』」
(文献2)
国立循環器病研究センター「脳卒中」
(文献3)
環境省「熱中症を防ぐためには」