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熱中症で脳梗塞のリスクが高まる?症状の見分け方と予防のポイント5選

脳梗塞 熱中症
公開日: 2025.06.30

「熱中症により脳梗塞のリスクは高まる?」
「脳梗塞と熱中症を見分ける方法は?」

暑い夏に脱水症を引き起こすと熱中症だけでなく脳梗塞のリスクも高めます。水分が失われて血液の流れが悪くなり、血管が詰まりやすくなるためです。

本記事では、熱中症で脳梗塞のリスクが高まるかどうかをはじめとして以下を解説します。

  • 脳梗塞と熱中症の2つの見分け方
  • 脱水症による脳梗塞を予防する5つのポイント

脳梗塞と熱中症の症状の違いや判断に迷ったときのチェック方法を解説しています。適切な判断ができるようになるために、本記事を参考にしてください。

熱中症で脳梗塞のリスクが高まる?脱水に注意が必要

熱中症で脳梗塞のリスクが高まるというよりも、熱中症を発症する過程で生じる脱水症により、脳梗塞のリスクが高まります。

脱水症により脳梗塞を発症しやすくなる流れの一例は以下の通りです。

  • 暑い環境に長期間いることで大量に発汗する
  • 大量に発汗すると体の水分が足りなくなり脱水症になる
  • 脱水症になると血液の流れが悪くなる
  • 血液の流れが悪くなることで血管が詰まりやすくなる
  • その結果、脳梗塞を起こしやすくなる
    文献1

注意すべきは、熱中症と脳梗塞の初期症状は似ている点です。熱中症と脳梗塞では対応方法が異なるため、適切に見分けることが大切です。見分けられるようになるために、熱中症と脳梗塞の症状の違いを理解しましょう。

脳梗塞と熱中症の2つの見分け方

脳梗塞と熱中症の2つの見分け方は以下の通りです。

  • 脳梗塞と熱中症の症状の違いを理解する
  • 迷ったときはFASTで確認する

それぞれの詳細を解説します。

1.脳梗塞と熱中症の症状の違いを理解する

脳梗塞と熱中症の症状の違いは以下の通りです。

病名 初期症状
脳梗塞
  • 激しい頭痛がする
  • 片方の手足や顔半分にしびれや麻痺がある
  • 呂律が回らない
  • 言葉が出ない
  • 体のバランスが取れない
  • 物が2つに見える
  • 片方の目が見えない
熱中症
  • 頭痛
  • めまい
  • 手足の運動障害
  • 意識障害
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 失神
  • けいれん
  • 全身の脱力
  • 大量の発汗

見分けるポイントは症状が片側に出ているかどうかです。熱中症では、症状が片側だけに出ることはほとんどありません。一方、脳梗塞は麻痺やしびれ、動きにくさが体の片側のみにでることが多いです。文献1

2.迷ったときはFAST(ファスト)で確認する

脳梗塞か熱中症かで迷ったときは、FAST(Face Arm Speech Time)で確認してください。FASTとは、以下の3つの症状で脳梗塞であるかを判断する方法です。

FAST 症状
Face(顔の麻痺)
  • 顔の片側が下がる
  • 顔の片側に歪みがある
  • 笑顔を作れない
Arm(腕の麻痺)
  • 片腕に力が入らない
  • 両腕を上げたまま維持できない
Speech(言語の麻痺)
  • 言葉が出てこない
  • 呂律が回らない
  • いつも通り話せない

文献2
これら3つの症状にTime(発症時刻の確認)を加えたものがFASTです。3つの症状のうち、1つでも該当する場合は脳梗塞の疑いがあります。発症時刻を確認して、すぐに救急車を呼んでください。

脱水症による脳梗塞を予防する5つのポイント

脱水症による脳梗塞を予防する5つのポイントは以下の通りです。

  • 生活習慣病を治療する
  • こまめに水分補給をする
  • 夜間はエアコンを上手に活用する
  • 熱中症が多発する時期を把握する
  • 夜の飲み過ぎは控える

それぞれの詳細を解説します。

1.生活習慣病を治療する

脳梗塞を予防するには、生活習慣病の治療が重要です。以下のように生活習慣病が進行すると脳梗塞のリスクが高まるためです。

生活習慣病 脳梗塞のリスクが高くなる理由
高血圧 血圧が高いほど脳梗塞のリスクが高くなる。血圧が高いと脳の血管に負担がかかり、動脈硬化が進行して血管が詰まりやすくなるためである。
糖尿病 糖尿病は動脈硬化を進行させる。加えて血液の流れも悪くなるため脳梗塞のリスクが高くなる。
脂質異常症 脂質異常症を発症していると、血管壁に余分な脂が付着して動脈硬化が進行する。その結果、脳梗塞のリスクが高くなる。

治療を受けてない方は、医療機関を受診して適切な治療を始めましょう。

2.こまめに水分補給をする

脱水症にならないためには、こまめに十分な水分を摂ることが大切です。水分を摂り過ぎると「体がバテる」「汗をかき過ぎる」といった考え方は間違いです。体温を調整するためには、発汗で失った水分と塩分をしっかりと補給しなければなりません。

水分補給のポイントは以下の通りです。

  • 喉が渇く前に水分を補給する
  • アルコール飲料で水分を補給しない
  • 1日1.2L以上の水分を補給する
  • 起床時、入浴前後に水分を補給する
  • 大量に汗をかいた際は塩分も補給する
    文献3

水分補給は水やお茶が最適です。大量に汗をかいた際は、塩分が含まれたスポーツドリンクや経口補水液などが良いでしょう。

3.夜間はエアコンを上手に活用する

暑い夏の夜は就寝中に大量の汗をかきます。その結果、就寝中に脱水症を引き起こし脳梗塞のリスクを高めることがあります。就寝中の脱水症のリスクを下げるために、寝る前にコップ1杯の水を飲むことと、室温などの就寝環境の調整が大切です。

就寝環境を整えるポイントは以下の通りです。

  • 室温が28℃を超えないようにする
  • エアコンの気流が直接人に当たらないようにする
  • 窓から太陽光が直接当たるようにして寝ない
  • 気温が体温よりも高いと扇風機が逆効果になることがある

とくに高齢者は体の水分保有量が少なくなっています。加えて、高血圧などにかかっていればさらに脳梗塞のリスクが高まるため注意が必要です。節電のために夏の暑さをがまんしすぎないようにしてください。

4.熱中症が多発する時期を把握する

脱水症を予防するためにも、熱中症が多発する時期を把握しておきましょう。熱中症は、梅雨入り前の5月から発生し始め、梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多発し始める傾向です。

また、人は以下のように適切に発汗するために、暑さに慣れるまでの期間が必要です。

  • 暑い環境で運動や作業を始めてから3〜4日経過すると、発汗のために自律神経の反応が良くなってくる
  • 自律神経の反応が良くなることで体温上昇を適切に防げるようになる
  • さらに3〜4週間経過すると汗から無駄に塩分が出なくなる
  • 無駄に塩分が出なくなることでけいれんや塩分欠乏などの症状が起きづらくなる
    文献3

急に暑くなると以上のように体が慣れる間もなく、熱中症が起きやすくなってしまいます。暑くなる時期は「いきなり長時間暑い環境に居ないようにする」など無理をしないで徐々に慣れる工夫をしましょう。

5.夜の飲み過ぎは控える

アルコールはどのようなお酒であっても尿量を増やして、体内の水分を尿から排出してしまいます。そのため、お酒は水分補給にはなりません。

とくに夜間の飲み過ぎは注意が必要です。飲み過ぎによって水分が失われた状態で、暑い夜に就寝してしまうと、就寝中に熱中症と脳梗塞のリスクが通常よりも高くなってしまいます。夜間の大量飲酒は控えてください。

まとめ|熱中症対策を徹底して脳梗塞を防ごう

脱水症は血液の流れを悪くして脳梗塞のリスクを高めます。高血圧や脂質異常症などの生活習慣病にかかっている方は、脱水症になった際の脳梗塞のリスクが高くなるため要注意です。

生活習慣病の治療を受けてない方は医療機関を受診して治療を始めてください。また、脳梗塞と熱中症では対応方法が異なるため、適切に見分けることが大切です。迷ったときはFASTで確認しましょう。

すでに脳梗塞の既往がある方も注意が必要です。脳梗塞の再発予防の治療の選択肢として再生医療があります。脳梗塞の再生医療は当院「リペアセルクリニック」でも行っているので、再発予防にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

(文献1)
福祉医療機構「脳梗塞、夏も要注意 脱水原因 熱中症と区別つきにくく 福井赤十字病院 西村医師解説 見分け方は『半身のみ症状』」
https://www.wam.go.jp/newsPublic/sp_public-detail?newsno=2079(最終アクセス:2025年6月22日)

(文献2)
国立循環器病研究センター「脳卒中」
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2/(最終アクセス:2025年6月22日)

(文献3)
環境省「熱中症を防ぐためには」
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/3-1.pdf(最終アクセス:2025年6月22日)

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