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【医師監修】パーキンソン病にバナナは良くない?気をつけたい食事と食べ方のポイントを解説

パーキンソン病バナナ
公開日: 2025.06.30 更新日: 2026.04.30

パーキンソン病の治療中に「バナナは食べないほうが良い」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

バナナに含まれる栄養素が、パーキンソン病の一部の治療薬に影響を与える可能性があるためです。

ただし、薬との関係や食べ方を正しく理解すれば、過剰に心配する必要はありません。

この記事では、バナナとパーキンソン病治療薬の関係を中心に、注意したい食事・積極的にとりたい食事・食事管理の考え方まで解説します。

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パーキンソン病ではバナナに注意といわれる理由

パーキンソン病の人がバナナに注意が必要と言われる理由は、バナナに含まれるビタミンB6が大きく関係しています。

パーキンソン病の治療で中心になる薬の一つがレボドパ(L-ドパ)です。

レボドパは体内でドパミンに変わり、不足したドパミンを補う目的で使われます。

ビタミンB6には、L-ドパが脳に届く前に末梢(脳以外の組織)でドパミンに変えてしまう作用があり、脳に届くL-ドパの量が減ることで薬の効果が弱まるおそれがあります。文献1

しかし、現在、処方されるL-ドパ製剤の多くには、末梢でのL-ドパの分解を防ぐ成分(カルビドパ・ベンセラジドなど)が配合されています。そのため、ビタミンB6によるL-ドパの分解が抑えられ、バナナを通常の範囲で食べる分には治療に大きな影響を及ぼすものではありません。

パーキンソン病について詳しく知りたい方は以下をご参照ください。

バナナを食べるときに意識したいポイント

バナナは必ずしも避けなくてはならない食品ではありません。

ただし、食べる量や服薬とのタイミングなど、食べる際に気を付けたいポイントもあります。

1日の摂取量

バナナ1本(100g程度)に含まれるビタミンB6は約0.4mgです。(文献2

通常の食事の範囲であれば、L-ドパへの影響は少ないと報告されています。

ただし、バナナを大量に食べたり、ビタミンB6を多く含む食品をあわせて摂取したりする場合は注意が必要です。

摂取量の具体的な目安は、服用している薬の種類や体の状態によって異なります。

毎日何本も食べる習慣がある場合や、ビタミンB6を含むサプリメントを併用している場合は、主治医・薬剤師に相談してください。

タイミング

L-ドパは空腹時に服用すると吸収が良くなるとされています。

服薬と食事のタイミングが近いと、薬の吸収に影響を及ぼすため、服薬直後にバナナを食べる習慣がある場合は、食事とのタイミングを見直すことをおすすめします。

また、具体的なタイミングは服用している薬や治療の状況によって異なります。主治医・薬剤師に確認しながら調整してください。

パーキンソン病患者がバナナ以外に注意したい食べ物

パーキンソン病の治療中には、バナナ以外にも注意が必要な食品があります。

しかし、いずれも過剰な摂取を控え、食事のタイミングに気を付けることで対応できます。

ビタミンB6を多く含む食品

ビタミンB6は、大量摂取するとL-ドパの吸収を妨げる可能性があります。

ビタミンB6はバナナ以外にも、アボカド、にんにく、かつお、鶏レバーなど多くの食品に含まれています。

近年の研究では、ビタミンB6がL-ドパの薬効に影響するのは、1日50mg以上を摂取した場合と報告されています。(文献1

通常の食事の範囲であれば大きな問題にはなりにくい一方で、複数の食品を重ねて大量に摂取する場合や、サプリメントを使用する場合は注意が必要です。

また、サプリメントはビタミンB6を高用量で摂取しやすいため、使用前に必ず主治医・薬剤師に相談してください。

投薬直後の高たんぱく食

たんぱく質はパーキンソン病の方にとって積極的に摂るべき重要な栄養素です。

ただし、服薬直後の高たんぱく食には注意が必要です。

L-ドパは腸から吸収される際に、たんぱく質の分解産物であるアミノ酸と同じ経路を使います。そのため、服薬直後に高たんぱくな食事をとると、アミノ酸との競合によりL-ドパの吸収が妨げられる可能性があるためです。

たんぱく質の摂取自体を控えるのではなく、服薬と食事のタイミングを調整します。

具体的な間隔は主治医・薬剤師に確認してください。

飲み込みにくい固形物

パーキンソン病が進行すると、のどの周囲の筋肉の動きが低下し、飲み込みにくさ(嚥下障害)が生じます。

嚥下障害が起こると、固い食品や飲み込みにくい食品は誤嚥のリスクにつながります。

以下のような食品は、症状の状態に応じて注意が必要です。

  • 固くてかみ砕くのに時間がかかるもの
  • 口の中でまとまりにくいもの(パサパサした食感のもの)
  • 水分が少なく飲み込みにくいもの

食事の際はゆっくりよく噛むことを心がけ、嚥下に不安がある場合は主治医に相談してください。

パーキンソン病患者がとったほうが良い食べ物・栄養成分

パーキンソン病の食事では、避けるものばかりに意識が向きやすい一方、必要な栄養をきちんと摂ることも欠かせません。

便秘、体重減少、骨の健康、筋力低下などに配慮しながら、無理なく続けやすい食事に整えることが大切です。

食物繊維

パーキンソン病の方は便秘になりやすい傾向にあります。

腸の動きをコントロールする自律神経に影響が出やすいためです。

便秘が続くと薬の吸収にも影響することがあるため、食物繊維を意識して摂ることが大切です。

なお、食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、どちらか一方に偏らずバランス良く摂取しましょう。

  • 不溶性食物繊維:きのこ類、野菜類など
  • 水溶性食物繊維:果物、海藻類など

水分

パーキンソン病では発汗異常や嚥下障害により、水分不足に陥りやすいとされています。

便秘の改善にも水分補給は欠かせません。

飲み込みに不安がある場合は、とろみをつけるなど飲みやすい形状に工夫することも有効です。

摂取量や水分補給の方法については主治医に相談してください。

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉をつくる上で欠かせない栄養素です。

パーキンソン病では筋肉や関節が動かしにくくなるため、筋肉量を維持することが日常生活の質に直結します。

たんぱく質を多く含む食品の例は以下の通りです。

  • 鶏肉、豚肉をはじめとする肉類
  • 魚介類
  • 大豆・豆腐などの大豆製品
  • 牛乳・チーズなどの乳製品

なお、服薬直後の高たんぱく食はL-ドパの吸収を妨げる可能性があります。

服薬とのタイミングを調整しながら、積極的に摂取しましょう。

ビタミンD・カルシウム

パーキンソン病では、体の動かしにくさから活動量が低下しやすく、骨粗しょう症のリスクが高まることが指摘されています。

ビタミンDとカルシウムは骨の維持に関わるため、意識して摂りたい栄養素です。

栄養素

多く含む食品

カルシウム

牛乳・チーズ・小松菜・豆腐・しらす干しなど

ビタミンD

鮭・さんま・しらす干し・卵・干ししいたけなど

しらす干しはカルシウムとビタミンDをあわせて摂れる、日常の食事に取り入れやすい食材のひとつです。

抗酸化物質を含む食品

パーキンソン病では、酸化ストレスとの関連が指摘されています。

抗酸化物質を含む食品は、栄養バランスを整えるうえでも取り入れやすい食材です。

ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを含む食品を、無理のない範囲で食事に取り入れると良いでしょう。

抗酸化作用が期待される主な栄養素と食品は以下の通りです。

栄養素

多く含む食品

ビタミンC

パプリカ・ブロッコリー・いちごなど

ビタミンE

アーモンド・ほうれん草・かぼちゃなど

ポリフェノール

ブルーベリー・りんご・緑茶など

ビタミンA

にんじん・トマト・ほうれん草など

パーキンソン病の食事管理の考え方

パーキンソン病の食事管理では、何を避けるかだけでなく、どのように食べるかという視点が大切です。

レボドパを使っている方では、たんぱく質の摂り方を調整する方法として蛋白再配分療法が知られています。

これは、朝食や昼食のたんぱく質を控えめにして、夕食で多めに摂る考え方で、L-ドパの日中の薬効改善に有効との報告があります。(文献3

しかし、すべての方に適応される方法ではなく、服用している薬の種類や病状によって向き不向きがあるため注意が必要です。

薬に影響するかもしれないという理由で、たんぱく質やビタミンB6を含む食品を過剰に制限してしまうケースも少なくありません。

しかし、極端な食事制限は栄養不足につながり、筋力低下や体重減少などにつながるおそれがあります。

食事内容だけでなく、服薬のタイミングや薬の種類を見直した方が良い場合もあります。

症状や治療方針そのものに不安がある場合は、自己判断せず主治医に相談してください。

パーキンソン病では量に注意しながらバナナを食べよう

パーキンソン病の治療中だからといって、バナナは必ず避けなくてはならないわけではありません。

パーキンソン病の人にとってバナナが良くないと言われている理由は、バナナに含まれるビタミンB6が、薬を体内で分解してしまい効果を弱めてしまうためです。

注意したいのは、レボドパ製剤などとの関係、高用量のビタミンB6を含むサプリメントの併用、食べ方やタイミングです。

毎日大量にバナナを食べる習慣がある場合や、服薬との兼ね合いが気になる場合は確認した方が安心です。

食事管理はパーキンソン病の治療を支える重要な要素ですが、食事だけで症状をコントロールしようとするのではなく、薬物療法・リハビリテーション・専門医への相談と組み合わせて取り組むことが大切です。

なお、近年では研究が進んでいる分野として再生医療もあります。

当院では、脳出血とパーキンソン病のある60代女性で、ふらつきや手の動きづらさの改善がみられた症例があります。以下の記事もご参照ください。

当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。

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パーキンソン病とバナナに関するよくある質問

パーキンソン病で気をつけたい飲み物・食べ物はありますか?

バナナ・アボカド・鶏レバーなどビタミンB6を多く含む食品や、服薬直後の高たんぱく食はL-ドパの吸収に影響する可能性があるため注意が必要です。

コーヒーについては、カフェイン摂取とパーキンソン病リスク低減の関連を示す研究報告がありますが、治療中の方への影響は服用している薬や体の状態によって異なるため、摂取量については主治医に確認してください。(文献4

チョコレートとパーキンソン病の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

パーキンソン病の人が食事で意識したいポイントは何ですか?

必要な栄養を不足させない意識が重要です。

以下の3点が基本的な考え方です。

  • 服薬タイミングと食事の間隔をあける
  • 特定の食品を過剰に制限せず、栄養バランスを維持する
  • 食物繊維・水分・たんぱく質・ビタミンD・カルシウムを意識して摂る

食事内容に迷う場合は、自己判断で制限するのではなく、主治医・薬剤師に相談しながら調整してください。

パーキンソン病の人を家族が食事面でどう支えれば良いですか?

食べやすく、続けやすい食事環境を整えることが重要です。

以下の点を意識すると、日常の食事管理をサポートしやすくなります。

  • 服薬のタイミングに合わせて食事の時間を調整する
  • 嚥下に不安がある場合は、食品の硬さや形状を工夫する
  • 便秘対策として食物繊維・水分を意識した献立にする
  • 栄養バランスを考慮し、過剰な食事制限をしない

食事管理の具体的な方針は症状や治療内容によって異なります。

便秘が続いていないか、体重が落ちていないか、むせが増えていないかを確認し、気になる変化があれば早めに相談してください。

パーキンソン病の進行を遅らせるには食事で何ができますか?

食事だけでパーキンソン病の進行を止めることはできませんが、栄養状態を整えることは症状の安定や生活の質の維持に寄与すると考えられています。

とくに以下の点が重要です。

  • 抗酸化物質を含む食品(緑黄色野菜・ベリー類など)を取り入れる
  • 筋力維持のためにたんぱく質を適切に摂る
  • 骨粗しょう症予防のためにビタミンD・カルシウムを意識する
  • 便秘を防ぐために食物繊維と水分を十分に摂る

薬物療法・リハビリテーションと組み合わせながら、総合的に取り組むことが大切です。

体調や症状に変化がある場合は、食事だけで解決しようとせず、医療機関に相談してください。

参考文献

(文献1)

レボドパの薬効に影響を与えるビタミンB6摂取量に関する系統的レビュー|食品衛生学雑誌

(文献2)

バナナ|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

(文献3)

日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」p215

(文献4)

カフェインとその代謝産物がパーキンソン病診断のバイオマーカーになる―血液による診断とカフェイン補充治療への期待―|日本医療研究開発機構