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第五中足骨骨折の後遺症とは?復帰の目安や再発防止の対策を解説

第五中足骨骨折 後遺症
公開日: 2025.07.31

「第五中足骨骨折はどんな後遺症が起きる?」
「スポーツ復帰の目安はどれくらい?」
「再発を防止するにはどんな対策を取れば良い?」

初めて第五中足骨骨折を経験した方は、このような不安を感じてしまうのではないでしょうか。第五中足骨骨折は、適切な治療やリハビリテーションを進めないと、可動域の制限や痛みなどの後遺症が起きる恐れがあります。

本記事では、第五中足骨骨折の後遺症の詳細をはじめとして以下を解説します。

後遺症を発生させず元の運動能力に戻すためにも、本記事で第五中足骨骨折の後遺症について理解を深めてください。

第五中足骨骨折の後遺症で多いのは可動域の制限

第五中足骨骨折の後遺症で多いのは、以下の可動域の制限です。

後遺症 詳細
足関節の背屈制限 つま先を上に持ち上げる可動域が制限されている状態。
股関節の内旋可動域制限 股関節を内側に回す動きの可動域が制限されている状態。

文献1

第五中足骨骨折は、骨融合(こつゆごう:骨がくっ付くこと)が得られにくく、たとえ骨融合しても、再骨折しやすい特徴があります。骨融合が得られないと痛みが発生しやすく、スポーツ復帰も妨げられてしまいます。

後遺症を起こす恐れのある第五中足骨骨折の合併症

第五中足骨骨折では、遷延癒合(せんえんゆごう)と偽関節(ぎかんせつ)が起きることがあります。

遷延癒合とは、受傷後または手術後3カ月以上経過しても、骨癒合の診断ができない状態です。一方、6カ月以上経過しても骨癒合が診断できない状態を偽関節といいます。

第五中足骨骨折は、適切な治療やリハビリテーションを進めないと、骨癒合が進まず、スポーツ復帰が困難になる場合があります。そのため、第五中足骨骨折は、受傷後からスポーツ復帰に至るまでの適切な治療とリハビリテーションが大切です。(文献1

医師やリハビリスタッフの指示のもとで進めていきましょう。

第五中足骨骨折の治療方法と期間の目安

第五中足骨骨折の治療方法と期間の目安は以下の通りです。

治療方法 治療期間の目安
保存療法 6〜8週間
手術療法 術後2〜3カ月程度

それぞれの詳細を解説します。

保存療法|6〜8週間

軽度の場合は、6〜8週間のギプス固定や松葉杖による免荷などの保存療法が検討されることがあります。(文献6

しかし、第五中足骨骨折は、前述した遷延癒合や偽関節などが起きやすいです。また、骨癒合を得られたとしても再発のリスクが高い傾向にあります。

そのため、早期のスポーツ復帰を望む方は保存療法が第一選択になるとは限りません。とくにアスリートには手術療法を推奨することがあります。(文献2

手術療法|術後2〜3カ月程度

手術療法では、スクリューによる髄内固定術(骨の中心部から骨折部位を固定する手術)が一般的です。

スポーツに復帰できるまでの期間は、術後2〜3カ月程度がひとつの目安です。ただし、骨折の程度や個人の治癒能力、競技レベルなどにより大きな個人差があります。(文献2

手術に使用するスクリューの大きさや設置位置が適切でなければ、遷延癒合や偽関節、再骨折などが起きるリスクが高くなります。術後しばらくの間は、骨折した足を地面に着けて歩けないため、松葉杖で歩行しなければなりません。

早期のスポーツ復帰を望む方やアスリートには、手術療法を推奨することがあります。

スポーツ外傷に活用され始めている再生医療

近年では、骨や筋肉、靱帯、関節などのスポーツ外傷に対して再生医療が活用されています。

再生医療とは、他の細胞に変化する能力がある幹細胞を使用する幹細胞治療や、血液から血小板を濃縮した液体を作製するPRP療法があります。これらは患者様自身の幹細胞や血液を使用するため、副作用のリスクが低い治療法です。

また、再生医療は基本的に簡単な注射だけで済むため、手術や入院の必要がありません。そのため、手術による身体への悪影響や後遺症の心配は不要です。

スポーツ外傷に対する再生医療について知りたい方は、こちらを参照してください。

手術しなくても治療できる時代です。

スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。

第五中足骨骨折のスポーツ復帰の目安

治療方法別と骨折型別のスポーツ復帰の目安は以下の通りです。

治療内容 スポーツ復帰までの期間
保存療法から手術療法 4〜7週間
手術療法(受傷後4週以内) 5〜14週間
骨折型 スポーツ復帰までの期間
新鮮骨折(骨折して期間が短いもの) 7週間
疲労骨折 4〜14週間
遷延癒合・偽関節 5〜7週間

文献3

以上の復帰までの期間はあくまで目安です。骨折の状態などにより、個人差があるため参考程度に留めてください。

第五中足骨骨折の再発防止の対策

第五中足骨骨折の再発防止の対策は以下の通りです。

それぞれの詳細を解説します。

骨折の原因を理解する

第五中足骨骨折が起きる原因を理解すれば再発予防につながります。第五中足骨骨折が起きる原因は、以下のようなことが関連していると言われています。

  • O脚や回外足などの下肢のアライメント(向きや並び)の問題
  • 関節の柔軟性の低下
  • シューズの摩耗状態
  • ヒールカウンター(シューズの踵部分)の硬度やフィット感
  • スパイクのポイントの位置や形状、高さ、摩耗状態

身体動作の原因としては、スポーツにおけるターンやステップの際に、第五中足骨に負担がかかってしまうことが挙げられます。

リハビリテーションを行う

再発を予防するには、継続的に下肢全体の可動域向上を中心としたリハビリテーションを行うことが重要です。その他にも、第五中足骨に不要な負荷を与えないための身体動作の取得や、下肢の筋力トレーニングも有効です。予防エクササイズの一例として、タオルギャザーという方法を紹介します。

  • 椅子に座った状態または立った状態になる
  • タオルを床に広げてその上に足底を乗せる
  • しっかりと足の指の開閉を行いタオルを手繰り寄せる

タオルギャザーは、立位バランスの向上に有効とされています。(文献4医師やリハビリスタッフと相談しながら、治療の経過に沿ったリハビリテーションを進めましょう。

第五中足骨骨折の後遺症における障害認定

交通事故で第五中足骨骨折を受傷した場合は、障害認定を受けられる可能性があります。自動車損害賠償保障法を参考にすると、以下のように記載されています。

等級 後遺症
第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
第14級9号 局部に神経症状を残すもの
第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの

文献5

神経症状は痛みなどのことで、「足指の用を廃したもの」は足の指の機能が著しく損なわれている状態を指します。該当する可能性のある方は、保険会社に問い合わせてみましょう。

まとめ|適切な治療とリハビリにより後遺症を防ごう

第五中足骨骨折の後遺症で多いのは、足関節や股関節の可動域の制限です。順調に骨癒合が得られないと、後遺症として痛みが発生することもあります。これらの後遺症を防ぐには、状態に応じた適切な治療とリハビリテーションを受けることが大切です。医師やリハビリスタッフの指示に従いながら、進めていきましょう。

近年では、骨や関節の損傷に対して再生医療が活用されています。再生医療は当院「リペアセルクリニック」でも行っています。スポーツ外傷でお悩みの方は、気軽にご相談ください。

参考文献

(文献1)
Jones骨折のリハビリテーション|環太平洋大学

(文献2)
Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折)|兵庫医科大学病院

(文献3)
Jones骨折の13例|西日本整形・災害外科学会

(文献4)
タオルギャザー実施時の足底への荷重が立位バランスに及ぼす影響|日本理学療法士協会

(文献5)
後遺障害等級|国土交通省

(文献6)
Jones骨折後の体組成成分および下肢周径の経時的変化|理学療法科学学会

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