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【医師監修】手根管症候群の原因とは?悪化を招く習慣を含めて解説

「手や指先が、ずっと痛んだりしびれたりしている」
「整形外科を受診したところ、手根管症候群と診断された」
「何が原因で私は手根管症候群になったのだろう」
手根管症候群と診断された方の中には、このような疑問や悩みを持たれている方も少なくありません。手は日常生活で頻繁に使う部位であるため、不調が続くと生活に大きく支障をきたします。
手根管症候群の多くは原因不明です。しかし中には、女性ホルモンの乱れや手の使い過ぎにより発症する方もいます。
本記事では、手根管症候群を発症する原因および、悪化させる原因について解説します。
治療方法についてもよくある質問内で紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
手根管症候群発症の主な原因
手根管症候群は、手首から手の中にある正中神経と呼ばれる神経が圧迫されて、さまざまな症状が生じる疾患です。多くの場合、発症の原因は不明です。
手根管症候群の概要や症状については、以下の記事をご覧ください。
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女性ホルモンの乱れ
手根管症候群の原因の1つとして、女性ホルモンの乱れがあげられます。この疾患は女性に多く、とくに妊娠・出産期や更年期など、女性ホルモンのバランスが乱れやすい時期での発症が多いためです。
女性ホルモンが乱れると、関節や腱の周りにある滑膜(かつまく)が増加します。滑膜が増えると、手首内の限られた空間である手根管内の圧力が高まり、圧迫に弱い正中神経(せいちゅうしんけい)が平たく押しつぶされます。その結果生じるのが、指のしびれや痛みといった症状です。
手の使い過ぎ
仕事やスポーツ、パソコンおよびスマホの長時間使用、家事などによる手の使い過ぎも、手根管症候群の原因です。
手を使いすぎると、腱を覆う腱鞘(けんしょう)がむくんだり、炎症を起こしたりします。腱鞘のむくみや炎症も正中神経の圧迫につながり、手根管症候群を引き起こすきっかけとなります。
基礎疾患の影響
腎臓疾患や糖尿病、甲状腺機能低下症といった基礎疾患も、手根管症候群発症に影響する要因の1つです。
腎臓疾患患者の中でも、人工透析を受けている方は、手根管症候群を引き起こしやすい状況です。人工透析により、アミロイドと呼ばれる変性タンパク質が沈着し、手根管が狭くなることで手根管症候群を引き起こしやすくなります。(文献1)
血液透析の合併症に関する論文では、透析歴10年以上の患者の場合、手根管症候群合併例が多いと記されていました。(文献2)
糖尿病の合併症である神経障害を有する方の場合、少しの圧迫でも正中神経にダメージが生じてしまい、手根管症候群を発症しやすいとされています。また甲状腺機能低下症患者では、約7%で手根管症候群の発症が報告されています。(文献1)
手根管症候群予防のためには、定期的な診察や血糖値・甲状腺ホルモン値の管理が重要です。
手根管症候群を悪化させる原因
手根管症候群を悪化させる原因としてあげられるのは、主に以下の3点です。
- 手を酷使する
- 症状を放置する
- 症状があっても対症療法で済ませてしまう
手根管症候群を発症した場合に、やってはいけないことも存在します。
以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
手を酷使する
スマホ操作時の「フリック入力」や、手首を酷使する長時間のパソコン操作は手首に負担をかけるため、手根管が圧迫されやすくなります。
1週間に20時間以上パソコンのマウス操作は、手根管症候群を悪化させるとされています。(文献1)
手根管症候群悪化の要因としてあげられるその他の動作は、主に以下のとおりです。
- 頻回に手首を曲げたり伸ばしたりする
- タオルや雑巾をしぼる
- 瓶のふたを開ける
症状を放置する
指のしびれや痛みといった症状を放置すると、徐々に悪化する可能性があります。
症状が悪化すると、親指の付け根の筋肉がやせてきて、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。具体的には、箸を使う、字を書く、衣服のボタンをかけるといった動作が難しくなるといった状況です。
さらに進行すると、手の感覚が低下して、痛みや熱さに気づかなくなる可能性もあります。
症状があっても対症療法で済ませてしまう
痛みやしびれといった手根管症候群の症状があった場合、市販の痛み止めを飲んだり湿布を貼ったりする対症療法で済ませる方も少なくありません。
しかし、対症療法だけでは根本的な治療にはなりません。手根管症候群と思われる症状が現れた場合、必ず医療機関を受診し、自分の症状に合った治療を受けましょう。
手根管症候群の原因を知り発症や悪化を防ごう
手根管症候群は原因不明のことが多い疾患ですが、女性ホルモンの乱れや手の使い過ぎ、人工透析や糖尿病などの影響も原因として考えられます。
手の使いすぎは、症状悪化の原因でもあるため、手首に負担をかけない、基礎疾患の治療を続けるなどの予防行動が必要です。
症状を放置したり、自己判断による対症療法で済ませたりする行為は適切ではありません。手の痛みやしびれ、感覚低下といった症状が現れた場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。
リペアセルクリニックでも手根管症候群に関する相談を受け付けています。原因や治療法について知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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手根管症候群の原因に関するよくある質問
男性に多い手根管症候群の主な原因はなんですか?
男性の場合、主な原因として基礎疾患の影響があげられます。
日本整形外科学会の公式英文誌では、男性患者では、糖尿病や高血圧、人工透析の並存率が女性より有意に高いとのデータが示されました。(文献3)
男性では、手を多く使う力仕事や、手首骨折後、変形した状態での治癒も手根管症候群に関連するとされています。
手根管症候群が気になるときは何科を受診すると良いですか?
手根管症候群の主な受診先は整形外科です。
整形外科の中でも、手の外科専門医の診察を受けることが望ましいでしょう。手の外科専門医とは、手根管症候群をはじめとする、手や指、肘関節を専門に診断・治療する医師です。
一般社団法人日本手外科学会ホームページでは、手外科の専門医名簿がありますので、検索してみることをおすすめします。
手の外科専門医が近くにいない場合は、整形外科を受診して、症状や経過について相談しましょう。
手根管症候群の治療方法はどのようなものですか?
保存的治療として、消炎鎮痛剤やビタミンB12などの内服薬および湿布薬が処方されます。
また、手の負担軽減のため、仕事や家事を控えて安静にする、サポーターや装具で手首を固定するといった日常生活面の指導も治療の一環です。
保存療法での回復が難しい場合は、手術適応となります。主な手術方法は、内視鏡を用いた手根管開放術や、小切開による直視下手根管開放術などです。
治療法の選択は症状の程度や生活への影響を踏まえて、医師と相談しながら決めていきましょう。
参考文献