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【医師監修】痛風と腎臓の関係は?発症しうる病気や尿酸値・クレアチニン値の相関を解説

痛風 腎臓
公開日: 2025.09.30

「痛風って腎臓にも悪いって本当?」
「尿酸値が高いって言われたけど、腎臓にどんな影響があるのか不安…」

このような疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

痛風は関節に関わる疾患のイメージが強いかもしれませんが、実は腎臓とも深い関係があります。具体的には、腎機能の低下や痛風腎・尿酸結石などの腎臓系の病気を引き起こす可能性があるのです。

腎臓の状態を良好に保つためには、定期的な検診を受け、腎臓に負担のかからない生活を送ることが大切です。

本記事では、痛風と腎臓の関係や発症しうる腎臓病を詳しく解説します。尿酸値・クレアチニン値が示す健康状態や腎機能を低下させない方法、治療法も紹介するので、参考にしてみてください。

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痛風と腎臓の関係

痛風は単に関節の問題だと思われがちですが、実は腎臓とも密接な関わりがあります。

ある調査では、26,753名の痛風患者のうち、7,245名(27.1%)が腎機能低下と判定されました。(文献1

痛風患者では、以下のようなプロセスを経て、腎機能が低下していきます。

  1. 血中尿酸値の上昇
  2. 尿酸塩結晶の形成
  3. 腎臓への尿酸塩結晶の蓄積
  4. 腎臓の炎症・組織の硬化
  5. 腎機能低下

痛風患者の体内では、尿酸が過剰に産生されるか、十分に排出されないことで血液中の尿酸値が上昇します。尿酸値が高くなると、尿酸は血液中で溶けきれなくなり、尿酸塩と呼ばれる結晶の形で沈殿するのです。

この尿酸塩の結晶が腎臓の細い管(尿細管)に詰まると、尿の流れを妨げたり、腎臓の組織に炎症を引き起こしたりします。炎症が起こると、腎臓の組織が傷ついて硬くなりやすいです。これらの変化が長期間続くと、徐々に腎臓の機能が低下していきます。

さらに、血中尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、それ自体が腎臓の血管を傷つける可能性も指摘されています。

このように、痛風は腎臓に深刻なダメージを与える恐れがあるため、早期発見と適切な管理が重要です。痛風によって引き起こされる高尿酸血症と尿酸塩結晶の蓄積は、さまざまなメカニズムを通じて腎機能の低下を招きます。

痛風で発症しうる腎臓の病気

痛風の影響で発症しうる腎臓の病気は以下の3つです。

  • 痛風腎
  • 尿酸結石
  • 腎炎

病気の特徴を順番に見ていきましょう。

痛風腎

痛風腎は、痛風または痛風と同等ほどの高い尿酸値が長時間持続することで発症する疾患です。

高い尿酸値により腎臓がダメージを受けはじめた段階では、無症状であるケースが多いです。

しかし、腎臓に負担のかかる状態が続き、腎機能が低下していくと、関節の痛みやむくみ、倦怠感といった症状が現れるようになります。

尿酸結石

尿酸結石とは、尿が通る尿路に結石ができる疾患です。

痛風で尿酸値が高くなると、尿が酸性となります。酸性は水に溶けにくい性質があるため、尿酸結石ができやすくなります。

とあるデータでは、痛風患者312例のうち、23.7%に相当する60例に腎結石が認められたと報告されています。(文献2

尿酸結石の主な症状は、わき腹や下腹部の強い痛みや血尿です。

小さな結石であれば、薬物療法を中心に自然と体外に排出されるのを待ちます。大きな結石の場合は、内視鏡治療で、結石を砕く治療が選択されます。

腎炎

腎炎とは、腎臓が炎症を起こしている状態です。

尿酸値が高いと体内で、尿酸塩結晶が形成されます。この尿酸の結晶が関節や腎臓に溜まることで、炎症や組織の損傷を引き起こすのです。

主な症状は、発熱や腰痛です。慢性化すると、食欲不振や多尿などの症状が現れます。

痛風の腎臓機能低下と関連のある2つの数値

痛風で腎臓機能が低下した場合「尿酸値」「クレアチニン値」の変化が重要な指標となります。

それぞれの値がどんな意味を持つのか、見ていきましょう。

尿酸値

尿酸は、プリン体と呼ばれる物質から生成されます。体内でプリン体が分解される段階でできた老廃物が尿酸で、通常は尿から排出される仕組みです。

尿酸値とは、体内の尿酸濃度を示す数値です。尿酸値は、7.0mg/dLまでは正常値内とされています。(参考3)それ以上の値になると、高尿酸血症となり、痛風や腎臓病の発症リスクを高めます。

尿酸値は血液検査で調べられるので、健康診断や内科の受診を通して検査を受けましょう。

【関連記事】
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クレアチニン値

クレアチニンは、筋肉を動かすエネルギーを生み出したあとに産生される老廃物です。主に腎臓から排出されますが、腎機能が低下していると体内に残りやすくなります。

クレアチニン値は血中のクレアチニン濃度を示した数値です。

クレアチニン値の正常基準値は以下のとおりです。

  • 男性:0.61〜1.04(mg/dL)
  • 女性:0.47〜0.79(mg/dL)

数値が上昇すると、疲労感や食欲不振、むくみといった症状が現れます。

クレアチニンは血液検査や尿検査を組み合わせて総合的に評価されます。健康診断や自主的な検査の機会で、クレアチニン値の変化をチェックしてみてください。

痛風で腎機能を低下させない方法

ここでは、痛風で腎機能を低下させない方法を解説します。

主な方法は以下の4つです。

  • 食生活を改善する
  • 適度な運動をする
  • 禁煙する
  • 高血圧・糖尿病の治療をする

普段の生活を見直し、腎機能の維持・改善につなげましょう。

食生活を改善する

腎臓を保護するための食事では、以下の点に気を付けましょう。

食事の工夫

説明

プリン体の多い食品を控える

肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品は、尿酸値を上昇させるため、摂取を控えめにする。

プリン体の少ない食品を選ぶようにしましょう。

塩分や蛋白質の摂取を控えめにする

塩分や蛋白質の過剰摂取は、腎臓に負担をかけるため、適量を心がける。

塩分は1日6g未満、蛋白質は体重1kgあたり0.8gを目安に摂取しましょう。

十分な水分を摂取する

水分補給は尿酸の排泄を促進し、腎臓の負担を軽減するために重要。

1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう。

野菜や果物を積極的に取り入れる

野菜や果物に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維は、腎機能の維持に役立つ。

1日に350g以上の野菜や果物を摂取するようにしましょう。

アルコールは控えめにする

アルコールは尿酸値を上昇させ、腎臓に負担をかけるため、摂取は控えめにする。

1日の飲酒量は、ビールなら500ml、日本酒なら1合未満を目安にしましょう。

管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事の計画を立てることが大切です。バランスの取れた食事を心がけ、腎臓にやさしい食生活を送りましょう。

適度な運動をする

腎臓の健康を守るには、適度な運動と体重管理が大切です。

適度な運動は体重管理に役立ち、血圧を安定させる効果があります。これにより腎臓への負担が軽減され、腎機能の保護につながります。

肥満は高尿酸血症や腎臓病のリスクを高めます。標準体重を目指し、必要に応じて医師や栄養士に相談しましょう。

禁煙する

喫煙は、腎臓の血管を収縮させ、腎機能を低下させる可能性があります。そのため、喫煙している方は禁煙を検討しましょう。

以下は禁煙の方法です。

  • 禁煙外来で専門家に相談する
  • ニコチンパッチやガムを使う
  • たばこを吸いたくなったときの気分転換方法を見つける

急に断ち切る必要はありません。少しずつたばこの本数を減らし、無理のないペースで禁煙を進めてみてください。

高血圧・糖尿病の治療をする

痛風と高血圧を併発している人は、腎臓に負担がかかりやすくなります。

高血圧によって腎臓の血管が傷つき、尿酸の結晶がたまりやすくなるためです。血圧のコントロールが悪いと、腎臓の障害がさらに進行してしまう可能性があります。

また、糖尿病も腎臓病のリスクを高める重要な因子です。血糖値が高い状態が続くと、腎臓の細い血管が損傷を受け、機能が低下していきます。

高血圧・糖尿病を患っている方は、それらの疾患を適切に治療することで痛風や腎機能低下の根本治療につながるケースも少なくありません。

糖尿病治療の選択肢として、再生医療があります。

再生医療を提供する当院では、メール相談オンラインカウンセリングを承っておりますので、詳しい治療方法を知りたい方はお気軽にお問い合わせください。

痛風における腎臓病の治療法

痛風で腎臓病を発症した場合、適切な治療を進めていく必要があります。

腎臓病における代表的な治療法は以下の3つです。

  • 薬物療法
  • 透析治療
  • 再生医療

順番に見ていきましょう。

薬物療法

痛風による腎臓病の際に用いられる薬物療法では、尿酸値を下げたり、腎機能を保護したりする治療が行われます。

主な薬物療法の種類と効果を以下にまとめました。

治療法

説明

尿酸値を下げる薬物療法

アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールする。

尿酸の産生を抑えたり、排泄を促進したりすることで、尿酸値を下げる。

腎機能を保護する薬剤

腎臓の血管を保護し、タンパク尿を減らす働きのある薬を使用し、腎臓の機能低下を防ぐ。

代表的な薬には、血圧を下げる作用もあるACE阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)などがある。

医師の診断と指導のもとで患者様の状態にあった治療法が選択されます。

透析治療

腎機能が著しく低下し、老廃物が体内に蓄積した場合は、透析治療が検討されます。

透析治療では、腎臓の代わりに尿として排出されるはずの余分な水分や老廃物を取り除きます。

2008年のあるデータでは、痛風腎による新規透析導入数は100人で、透析治療患者全体の0.3%とそこまで高い数値ではありませんでした。(文献4)

透析療法では水分制限や食事制限なども開始されるため、担当医と相談しながら患者様のペースで治療を進める流れが多いです。

再生医療

痛風による腎機能低下の治療法には再生医療の選択肢もあります。

再生医療とは、人間の組織や血液を活用する治療法です。自身の細胞を使用するため副作用も少なく、注射や点滴による治療が多いため、身体への負担が少ないのが特徴です。

再生医療を専門とするリペアセルクリニックでは、無料のメール相談またはオンラインカウンセリングを受け付けております。再生医療の詳しい治療内容や症例を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

痛風と腎臓の関係性を知って腎機能を高める生活を送ろう

痛風と腎臓は深く関係しているため、日々の生活で腎機能を守る工夫が必要です。

高尿酸血症のコントロール、腎臓にやさしい食事療法、生活習慣の改善など、さまざまな角度からのアプローチが求められます。

また、定期的な医療チェックと継続的なケアを通じて、合併症の早期発見と適切な対処を心がける必要があります。

痛風と腎臓病を抱える患者さんには、医療従事者とのパートナーシップを大切にしながら、積極的に健康管理に取り組んでいきましょう。

腎臓病の治療の選択肢に再生医療があります。

再生医療を提供している当院では、メール相談オンラインカウンセリングを承っております。再生医療について詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。

参考文献

(文献1)
痛風患者における腎障害の関連因子の検討|GoutandNucleicAcidMetabolismV

(文献2)
原著2痛風患者における腎結石の有病率|J-STAGE

(文献3)
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版|日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン訂正委員会

(文献4)
腎予後に及ぼす高尿酸血症の影響|琉球大学医学部附属病院血液浄化療法部

(文献5)
痛風|MSD マニュアルプロフェッショナル版

(文献6)
健康を考える皆さまへ|千葉県栄養士会

(文献7)
高尿酸血症・痛風の食事療法|順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部

(文献8)
高尿酸血症/痛風|日本生活習慣病予防協会

(文献9)
「高尿酸血症/痛風」|日本生活習慣病予防協会

(文献10)
高尿酸血症・痛風ハンドブック|沢井製薬株式会社

(文献11)
腎臓の病気について調べる 6.全身性疾患に伴う腎障害 7.痛風腎|日本腎臓学会

(文献12)
痛風(高尿酸血症)|愛知県薬剤師会

(文献13)
腎臓の病気について調べる 7.治療|日本腎臓学会

(文献14)
腎臓の病気について調べる 11.腎代替療法|日本腎臓学会