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【医師監修】大腸がんの余命はどのくらい?ステージごとの生存率や家族ができることを解説

大腸がんの余命
公開日: 2026.01.26

大腸がんは日本で死亡数・罹患率ともに上位にある深刻な疾患です。「余命はどれくらいなのか」と不安を抱える方は少なくありません。とくに家族は何を知り、本人をどう支えるべきか悩む場面も多いでしょう。

大腸がんの余命は進行度で大きく異なりますが、現代では治療法の選択肢が広がり、末期でも延命や苦痛緩和が期待できます。

この記事では余命の目安や末期症状、治療法から家族ができる支援をまとめて解説します。正しい情報を得て、納得のいく治療の選択にお役立てください。

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大腸がんの余命は進行度(ステージ)で変わる

大腸がんの余命(生存率)は、がんが大腸の壁のどこまで進み、リンパ節や遠隔臓器に転移しているかで大きく変わります。

具体的には、進行具合によって次のような5つのステージで分類されます。(文献1)(文献2

ステージ 定義 余命
(5年生存率)
ステージ0 がんが大腸の粘膜内にとどまっている状態 93~97.6%
ステージ1 がんが固有筋層の深さまで広がっている状態 93.1%
ステージ2 がんが固有筋層を越えて、大腸の外側近くまで浸潤している状態 76.4~88.3%
ステージ3 がんの深さにかかわらず、周囲のリンパ節に転移が認められる状態 65.8~91.5%
ステージ4 がんの深さにかかわらず、他の臓器に転移が認められる状態 26.7%

5年生存率はステージが早いほど高く、他の臓器への転移を伴うステージ4では大きく低下します。ただし、生存率は多数の患者をまとめた統計上の目安であり、年齢や全身状態、合併症などによって個人差が生じます。

余命の数字にとらわれすぎず、主治医と現在の状態や治療の目的を共有し、最適な方針を検討することが大切です。

【ステージ別】大腸がんの余命(5年生存率)と主な症状

大腸がんは、ステージによって余命の目安や症状が異なります。本章では、ステージ別の余命と進行度ごとに目立つ症状・注意点を解説します。
ご自身やご家族の状況を理解し、適切な治療選択やサポートの参考にしてください。

ステージ1|93.1%

ステージ1は、がんが大腸壁の比較的浅い層にとどまっている段階で、リンパ節や他臓器への転移は認められません。早期がんに分類される病期です。(文献1

この段階では自覚症状が認められないことが多く、健康診断や大腸内視鏡検査をきっかけに偶然発見されるケースが少なくありません。血便や便秘・下痢などの便通異常がみられることもありますが、症状が軽いため見過ごされやすい点が特徴です。

治療は外科的切除や内視鏡治療など、手術が中心となります。(文献3)適切にがんを切除できれば、術後は定期的な経過観察により再発リスクは低く抑えられます。

定期的な経過観察を行うことで、良好な予後を期待できるステージと言えるでしょう。

ステージ2|88.3~76.4%

固有筋層を越えてがんが広がっているものの、リンパ節への転移は認められない段階が、ステージ2です。ステージ2では便通異常に加え、腹痛や全身の倦怠感、息切れなどの症状が生じることがあります。

ステージ2の大腸がんの治療は手術がメインです。がん本体と、がんが広がっている可能性のある大腸部分、その周辺のリンパ節の切除(リンパ節郭清)を行います。(文献3

5年生存率はがんがどの程度の深さまで進行しているかによって異なり、76.4〜88.3%とされています。ステージ1より5年生存率は低いものの、早期の治療により良好な予後が期待できるステージです。

ステージ3|91.5~65.8%

周囲のリンパ節に転移が認められる段階が、ステージ3です。

ステージ3では、ステージ2でみられる症状に加えて、体重減少や食欲不振といった症状が出現します。また、腫瘍の進行により腸閉塞を起こすと、強い腹痛や嘔吐、腹部の膨満感などの症状がみられることもあります。

ステージ3では、がん部分の大腸や転移が認められたリンパ節を手術で切除した上で、再発予防を目的とした抗がん剤治療を行うのが一般的です。(文献3)リンパ節転移の数や範囲によって予後は大きく異なり、再発リスクも高くなります。5年生存率はがんの浸潤している深さによって65.8~91.5%と幅がありますが、定期検査と適切な治療を継続することで、予後の改善が期待できるでしょう。

ステージ4|26.7%

ステージ4はがんの深さに関わらず、肝臓や肺など他臓器への転移が認められる状態です。ステージ3までにみられた腹部の症状に加え、転移した部位に応じて黄疸や咳・呼吸困難などの症状が出現することがあります。

ステージ4では根治を目指す治療が難しいケースが多く、5年生存率は26.7%と、他のステージと比較して低い数値です。

延命や症状の緩和を目的として、手術や抗がん剤治療、免疫療法、放射線療法を組み合わせた治療が行われます。

ステージ4の大腸がんは余命(生存率)が大きく下がる

前述のとおり、ステージ4の大腸がんでは、5年生存率が大きく下がります。ただし、治療の選択や本人との関わり方によって、生活の質(QOL)や過ごし方は大きく変わる可能性があります。

本章では、ステージ4について症状や治療法をより詳しく解説します。

大腸がんのステージ4でみられる症状

大腸がんがステージ4まで進行すると、全身に影響を及ぼすようになり、日常生活の質が低下しやすくなります。進行した大腸がんでは、これまでの局所的な症状に加え、全身症状が目立つようになるのが特徴です。

ステージ4でみられる主な末期症状には、以下のようなものがあります。

  • 血便や便秘・下痢などの消化器症状
  • 体重減少や強い倦怠感
  • 食欲の低下や疲れやすさ

これらの症状により、これまで通りの生活を送ることが難しくなるケースも少なくありません。

さらに、転移した部位に応じた特有の症状が生じることがあります。肝臓に転移した場合は黄疸や腹部の張り、肺に転移した場合は咳や息切れ、呼吸困難、胸の痛みなどが代表的です。

大腸がんステージ4の主な治療法

大腸がんステージ4では、治療の目的が根治よりも「延命」と「症状の緩和」に置かれるケースが多いのが特徴です。

病状や本人の希望に応じて、以下のような複数の治療法を組み合わせながら進めていきます。(文献3

治療法 詳細
手術 ・症状の改善や合併症の予防を目的として、がんのある部分を切除する
・がんが広がっている場合には、周辺の腸管やリンパ節、他臓器の一部を切除するケースもある
抗がん剤治療 ・手術後の再発予防や、手術でがんを取り切れない場合に行われる
・一般的には、複数の薬を組み合わせて治療する
・副作用が強く出た場合には、減量や一時的な中止など、体調に応じた調整が行われることもある
免疫療法 ・がん細胞に作用する抗がん剤とは異なり、体内の免疫細胞に働きかけてがんを抑える
・すべての患者が対象となるわけではなく、がんの性質や遺伝子の特徴によって適応が判断される(文献4
緩和ケア ・痛みや不安感などの身体的・精神的苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を高めることを目的とした治療である
・症状の緩和だけでなく、気持ちの落ち込みや経済的な不安への支援も含まれる
・患者本人だけでなく、家族の負担やつらさを和らげる役割もある

これらの治療は、病状や体調、本人の希望によって選択や組み合わせが異なるため、主治医と十分に相談しながら方針を決めることが大切です。

大腸がんから転移しやすい部位と余命

大腸がんは、血流やリンパの流れに乗って転移しやすく、進行すると他の臓器へ広がることがあります。(文献2

とくにステージ4では、転移の有無や部位が余命や治療方針に大きく影響します。大腸がんで比較的多くみられる転移先は、以下の臓器です。(文献5

  • 肝臓
  • 腹膜播種

これらの部位に転移が認められた場合でも、すべてが予後不良とは限りません。転移の数や広がりが限られており、外科的に切除できる場合には、長期生存が期待できるケースも報告されています。

実際に、転移部位を切除した症例では、以下のような5年生存率が報告されています。

転移部位 切除できた場合の5年生存率
肝臓
文献3
35〜58%

文献6
約60%

このように、大腸がんは転移があっても、病状に応じた適切な治療を行うことで予後が変わる可能性があります。

転移の部位や数、全身状態を踏まえ、主治医と十分に相談しながら治療方針を検討することが重要です。

大腸がんで余命宣告された患者の家族ができること

大腸がん患者の家族ができることとして、以下の3つがあります。

  • 治療方針の選択は本人の意思を尊重する
  • 病院と密にコミュニケーションをとる
  • 日常生活をサポートする

患者と家族が納得のいく時間を過ごすためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

治療方針の選択は本人の意思を尊重する

本人が告知を受けている場合は、できるだけ患者本人の意思を尊重することが望ましいとされています。

治療において何を優先したいかは人それぞれです。延命を重視したいのか、症状の緩和を大切にしたいのかなど、考え方は異なります。

家族は「代わりに決めてあげる」のではなく、本人の気持ちを丁寧にくみ取り、寄り添いながら意思決定を支える姿勢が大切です。

一方で、看病や療養生活が長引くと、家族自身が心身ともに疲れてしまうことも少なくありません。患者だけでなく家族自身も無理をせず、自分を大切にできる選択を心がけましょう。

病院と密にコミュニケーションをとる

診察時には余命や治療について向き合う上で、担当医や医療スタッフとの連携が大切です。治療を進める際は、以下の点を意識しながら、病院とこまめに情報共有を行いましょう。

  • 不安点があれば医師や看護師に伝え、疑問点を解消する
  • 自宅での過ごし方や体調の変化、症状の有無を具体的に共有する

治療の目的や選択肢、今後の見通しについて、家族も情報を理解し、医療スタッフと一緒に治療やケアの方針を考えていくことが大切です。家族が気づいた変化を共有することで、より本人に合った治療につなげられるでしょう。

日常生活をサポートする

日常生活において、患者本人ができることは見守りながら、必要な場面でサポートする姿勢が大切です。衣食住のサポートや通院の付き添いなど、無理のない範囲で本人の体調や様子を観察しながら支えていきましょう。

また、身体的な支えだけでなく、共感をもって話を聞き、気持ちに寄り添うことも大切です。病気の話題に限らず、これまで通りの会話を心がけることは、患者が「普段の自分」でいられることにつながります。

一方で、家族も無理をしすぎないことを意識し、必要に応じて外部の支援を頼ることが大切です。

たとえば、全国の医療機関に設置されている「がん相談支援センター」では、治療や療養生活の不安、介護や経済面の相談などを無料で受け付けています。(文献7)こうした支援機関を活用し、家族だけで抱え込まないような工夫も大切です。

なお、大腸がん治療中に適した食事については以下の記事にて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

大腸がんの余命を把握して納得のいく治療を選択しよう

大腸がんの余命は、ステージや転移の有無、治療内容によって大きく異なります。進行するほど5年生存率は低下するため、数字だけをみると不安になる方も多いかもしれません。

余命は「どのように病気と向き合い、どんな治療を選ぶか」を考えるための大切な判断材料です。

治療の選択肢は一つではありません。患者本人の価値観や希望を大切にしながら家族との気持ちをすり合わせ、納得できる方針を主治医と相談するようにしましょう。

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大腸がんの余命についてよくある質問

大腸がんステージ4が完治することはある?

大腸がんステージ4は、一般的に根治が難しい段階です。ただし、早い段階から主治医と相談し、病状や希望に応じた治療を検討することで予後が良好となるケースもみられます。

また、早期に治療を行うことで症状の進行を抑え、生活の質(QOL)を維持しながら過ごせる期間を延ばせる可能性もあります。

大腸がんにならないための予防策は?

大腸がんの予防と早期発見には、定期的な「検診」と「生活習慣の改善」の両方が重要です。

年齢や家族歴に応じて、自治体が実施する大腸がん検診を定期的に受けましょう。もし異常が見つかった場合は、必ず大腸カメラによる精密検査を受けてください。

あわせて、栄養バランスの良い食事、節酒・禁煙、適度な運動習慣の実践なども、大腸がんのリスク低下に効果的です。これらを並行して行いましょう。

なお、大腸がんの検査については以下の記事にて詳しく解説しています。気になる方はこちらもあわせてご覧ください。

大腸がんになりやすい年代は?

大腸がんは加齢とともに発症リスクが高まる病気で、統計的には50代から80代前半まで罹患率が上昇し始めます。死亡率についても60代から増加し、それ以降の年代でも高くなる傾向があります。

50歳を過ぎたら自覚症状がなくても定期的に大腸がん検診を受けることが大切です。もし気になる症状があれば、早めに消化器内科を受診してください。

大腸がんの進行速度と年齢の関係についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

参考文献

文献1
大腸がんのステージ(病期)について | 国立がん研究センター 中央病院

文献2
大腸がんファクトシート 2024 | Colorectal Cancer Factsheet 2024 | 国立がん研究センター

文献3
患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2022年版|大腸癌研究会

文献4
免疫療法 もっと詳しく:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

文献5
Stage IV大腸癌の診療実態と予後|日本消化器外科学会雑誌

文献6
結腸・直腸癌肺転移における肺切除後予後予測因子に関する 臨床病理学的検討|日呼外会誌

文献7
「がん相談支援センター」とは:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]