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【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療とは?目標・流れ・治療薬について解説
潰瘍性大腸炎は指定難病の1つで、根治治療法が確立されていない疾患です。生活の質の回復には、継続的な治療が欠かせません。潰瘍性大腸炎と長く付き合っていくためには、治療法を理解しておくことが重要です。
本記事では、潰瘍性大腸炎の治療法について解説します。治療の目標や流れ、主な治療薬についてもまとめているので、潰瘍性大腸炎と診断された方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
潰瘍性大腸炎の治療目標
潰瘍性大腸炎は完治が難しい難病のため、寛解(かんかい)の達成と維持が目標になります。寛解は、症状が一時的に落ち着いた状態です。
寛解期は行動に制限がなく、学校や仕事へ行くといった日常生活を送れます。つまり、生活の質の回復が潰瘍性大腸炎の治療目標です。生活の質の回復には、再び症状が現れないよう治療を続ける必要があります。
なお、現在は医療技術の進歩により、「粘膜治癒」も潰瘍性大腸炎の治療目標に加わりました。粘膜治癒の達成では、再び炎症が悪化する再燃率だけでなく、入院率や手術率、発がん率の低下が期待できます。
潰瘍性大腸炎の治療をしないリスク
潰瘍性大腸炎は、根治治療法が確立されていません。しかし、放置すると再燃しやすくなるのに加えて炎症の悪化や持続により、さまざまな合併症を併発する可能性があるため、継続的な治療が必要です。
また、発症からの期間が経過するほど、大腸がんのリスクは高くなります。アメリカの研究によると、潰瘍性大腸炎患者における大腸がんの有病率は、以下の通りです。(文献1)
|
潰瘍性大腸炎発症からの経過年数 |
大腸がんの有病率 |
|---|---|
|
10年 |
2% |
|
20年 |
8% |
|
30年 |
18% |
寛解期であっても放置はせず、定期的に専門機関を受診しましょう。
潰瘍性大腸炎の治療の流れ
潰瘍性大腸炎は、重症度によって治療法が異なりますが、いずれも寛解を目指した治療を行います。治療法の一般的な流れは、以下の通りです。
- 発症
- 寛解導入療法
- 寛解維持療法
寛解導入療法とは、腸の炎症を抑え、寛解を目指す治療法です。炎症が治まってきたタイミングで、寛解維持療法に切り替わります。
寛解維持療法とは、再燃を防ぎ、日常生活を送る期間を延ばす治療法です。再燃した場合は、寛解導入療法を再開し、再び寛解を目指します。
日常生活を送る期間を延ばせるよう、症状をもとに継続的に治療を受け、潰瘍性大腸炎と付き合っていくことが大切です。
潰瘍性大腸炎の悪化のサイン|重症度の分類
潰瘍性大腸炎の重症度は、軽症・中等症・重症・劇症の4つに分類されます。分類方法は、以下の通りです。(文献2)
|
重症 |
中等症 |
軽症 |
|
|---|---|---|---|
|
条件 |
1および2のほか、全身症状となる3または4のいずれかの項目を満たすもの |
軽症・重症の中間にあたるもの |
6項目をすべて満たすもの |
|
1.排便回数 |
6回以上 |
重症と軽症の中間の症状 |
4回以下 |
|
2.顕血便 |
(+++) |
(+)~(-) |
|
|
3.発熱 |
37.5度以上 |
37.5度以上の発熱がない |
|
|
4.頻脈 |
90/分以上 |
90/分以上の頻脈なし |
|
|
5.貧血 |
ヘモグロビン10g/dl 以下 |
ヘモグロビン10g/dl 以下の貧血なし |
|
|
6.赤沈(赤血球の沈む速度) |
30mm/h以上 |
正常 |
劇症は重症のなかでとくに症状が激しい状態を指し、急性電撃型と再燃劇症型に分類されます。劇症の診断基準は、以下の通りです。
- 重症基準を満たしている
- 1日15回以上の血性下痢が続いている
- 38.5度以上の高熱が続いている
- 白血球数が10,000/㎣以上ある
- 強い腹痛がある
悪化のサインを見逃さないよう、潰瘍性大腸炎の評価基準を理解しておきましょう。
潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療には薬物療法が一般的ですが、症状や回復状況に応じて別の治療法を行います。代表的な治療法は、以下の4つです。
- 薬物療法
- 血球成分除去療法
- 手術療法
- 再生医療
ここからは、各治療法の特徴を解説するので、ぜひ参考にしてください。
薬物療法
潰瘍性大腸炎では、薬物療法を行うのが一般的です。薬物療法では大腸粘膜の炎症を抑え、症状をコントロールするのが目的です。軽症や重症など、症状によって使用する薬は異なります。
また、寛解導入と寛解維持で使用する薬が異なる場合もあります。経口剤や注射剤、座薬など、薬物治療の進め方はさまざまです。軽症の寛解導入療法として、肛門から直接薬剤を投与する局所療法を行う場合もあります。
薬によっては発熱や体のだるさ、腹痛などの副作用が起こる可能性もあります。薬物療法で体調に異変を感じた際は、担当医に相談しましょう。
血球成分除去療法
血球成分除去治療とは、血液中の白血球などを取り除く治療法で、顆粒球除去療法(GCAP)とフィルターによる治療法(LCAP)の2種類があります。潰瘍性大腸炎は一般的に薬物療法を中心に治療を進めますが、症状の回復が見られない場合や副作用により薬を減量する場合に血球成分除去療法が行われます。
血球成分除去療法は、血液をカラムと呼ばれる特殊な筒に通し、活性化した白血球を取り除いて炎症を抑える治療法で、中等症〜重症が対象です。潰瘍性大腸炎の治療における血球成分除去療法は、1度の活動期につき10〜11回ほど実施します。
個人差はありますが、治療2〜3回目から効果が期待できる報告も見られます。(文献3)
手術療法
潰瘍性大腸炎は、以下のケースが見られた際に手術を行います。
- 内科治療で症状の回復が見られない場合
- 副作用で内科治療が行えない場合
- 大量の出血が見られた場合
- 大腸に穴があいた場合
- がん、もしくは疑いがある場合
潰瘍性大腸炎の主な術式は、以下の通りです。(文献4)
|
術式 |
内容 |
|---|---|
|
大腸全摘、腸囊肛門吻合術(IAA) |
大腸を取り除き、人工肛門を増設する |
|
大腸全摘、腸囊肛門管吻合術(IACA) |
大腸を取り除き、小腸の一部を使って人工的な直腸を作成し、肛門管につなぎ合わせ、自然排便を可能にする |
潰瘍性大腸炎では、炎症やがんの再発、再手術になった際に人工肛門になる可能性を考慮し、原則大腸をすべて取り除く大腸全摘術を行います。
再生医療
再生医療は、潰瘍性大腸炎の治療法の1つです。再生医療の1つとなる幹細胞治療とは、自身の身体から採取した幹細胞を外部で増殖させ、所定の量に達したら再び身体に戻す治療法です。潰瘍性大腸炎では、炎症で傷ついた腸粘膜の修復促進を目的に幹細胞治療が行われます。
幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を採取するため、身体への負担を最小限に抑えられます。
また、幹細胞治療は入院・手術を必要とせず日帰りの施術が可能です。手術せず治療を受けたい場合に、再生医療はおすすめです。ただし、潰瘍性大腸炎に対する再生医療を実施できる医療機関は限られている点についても、あわせて理解しておきましょう。
潰瘍性大腸炎の治療薬
潰瘍性大腸炎の治療薬にはさまざまな種類があり、炎症の程度や症状に応じて使い分けられます。代表的な治療薬は、以下の通りです。
- 5-ASA製剤
- ステロイド
- 免疫調節薬・免疫抑制剤
- JAK阻害剤
- 生物学的製剤
潰瘍性大腸炎の治療薬は、医師の診断に基づいて処方されます。しかし、服用の仕方や自己判断による薬の中断・変更は症状悪化を招く可能性があるため、注意が必要です。処方される薬の効果や副作用について、理解を深めた上での服用が重要です。
潰瘍性大腸炎の治療費
潰瘍性大腸炎は完治が難しく、治療は長期にわたるため、治療費の負担も大きくなります。しかし、厚生労働省が定める指定難病となることから、医療費助成の対象です。
医療費助成制度では自己負担上限額と医療費2割を比較して、自己負担上限額が上回る場合、医療費の2割が窓口での負担になります。つまり、潰瘍性大腸炎における医療費の自己負担が軽減されます。
また、1カ月に支払う医療費が自己負担上限を超えた場合、高額療養費制度が適用可能です。高額療養費制度と指定難病による医療費助成は併用できるため、治療による自己負担の軽減が期待できます。
潰瘍性大腸炎の治療は継続的に行うことが重要
潰瘍性大腸炎の治療は完治が難しく、症状が一時的に落ち着いた状態となる寛解の維持が目標になります。寛解期では学校や仕事へ行くといった日常生活を送れるため、適切な治療を続けることが重要です。
治療法は主に薬物療法を行いますが、症状に応じて血球成分除去療法や手術を行います。放置すると合併症を併発するリスクがあるため、治療を継続し生活の質の回復を目指しましょう。
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潰瘍性大腸炎の治療に関するよくある質問
ストレスを抱えているなど潰瘍性大腸炎になりやすい性格はありますか?
潰瘍性大腸炎の原因は解明されておらず、誰でも発症の可能性がある疾患です。しかし、発症しやすい人の性格には、以下の共通点があるといわれています。
- ストレス感じやすい性格
- 些細なことでも気にしてしまいがちな性格
- 神経質
遺伝的な要因も、潰瘍性大腸炎の原因と考えられています。
潰瘍性大腸炎になったら食事制限がありますか?
炎症が治まっている寛解期の場合、食事制限はありません。アルコールの摂取も問題ありませんが、飲みすぎないよう適量を心がけましょう。
しかし、炎症がある活動期は大腸を刺激する香辛料や飲料、不溶性食物繊維の多い食べ物は控える必要があります。高タンパク質な食事を基本にするなど、症状に合わせた食事内容の調整がポイントです。
潰瘍性大腸炎じゃなかった場合に疑われる病気は?
潰瘍性大腸炎じゃなかった場合、クローン病や過敏性腸症候群の可能性があります。クローン病も指定難病の1つで、大腸および小腸の粘膜に炎症・潰瘍を引き起こす疾患です。
炎症部位が大腸のみの潰瘍性大腸炎と異なり、クローン病は口から肛門までの消化管全域になります。また、炎症の広がりや深さ、主な症状などが異なります。
過敏性腸症候群は、下痢や便秘など潰瘍性大腸炎と同様の症状がありますが、腸に炎症や潰瘍といった異常が見られない疾患です。
参考文献
PubMed|The risk of colorectal cancer in ulcerative colitis: a meta-analysis




















