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多発性硬化症の寿命はどれくらい?平均寿命と個人差、治療で変わる見通しを解説

多発性硬化症寿命
公開日: 2026.02.27

「多発性硬化症と診断され、将来が不安になった」

「多発性硬化症は寿命が短くなる病気なのだろうか」

このような不安を抱える方は少なくありません。多発性硬化症と診断されると、インターネットで「寿命」や「余命」といった言葉を目にし、不安を感じる方もいます。しかし、多発性硬化症の寿命は一律に決まるものではありません。

平均寿命に一定の差がみられることが報告されている一方で、発症した年代や病型、症状の重さ、治療や生活管理の状況によって、経過や将来の見通しには大きな個人差があることがわかっています。

また、近年は治療の進歩により、以前と比べて死亡リスクが改善しているという報告もあり「多発性硬化症=短命」と単純に結びつけることはできません。

本記事では、多発性硬化症の平均寿命や経過に影響する要因を、研究データをもとに解説します。病気とどう向き合えば良いのかを考えるための参考としてご覧ください。

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多発性硬化症の平均寿命

多発性硬化症の平均寿命は、多発性硬化症ではない人より短いとされてきました。しかし、時代とともに死亡リスクは改善しています。

多発性硬化症の方とそうでない方の寿命については、以下のデータが報告されています。(文献1

  • 多発性硬化症:74.7歳
  • 一般人口(同じ年齢・性別の多発性硬化症ではない人):81.8歳

過去の集団データでは、多発性硬化症の平均寿命は一般人口より約7年短いことが示されています。

一方で、発症した年代ごとに「同じ年齢・性別の一般人口と比べた死亡リスク」を比較すると、近年になるほど一般人口と同等、あるいはそれ以下の死亡リスクまで改善しています。(文献1

発症した年代 同じ年齢・性別の一般人口と比べた死亡リスク
1953~1974年 3.1倍
1975~1996年 2.6倍
1997~2012年 0.7倍(一般人口より低い)

診断技術の向上や薬の普及、再発予防や合併症管理の進歩といった医療の発展が大きく影響していると考えられます。そのため、現在多発性硬化症と診断された方が同じ経過や寿命をたどるとは限りません。

多発性硬化症の寿命は個人差が大きい

多発性硬化症の経過や将来の見通しは人によって大きく異なります。診断時の年齢、障害の程度、再発の頻度など、予後に影響する要因は30種類にのぼることが報告されています。(文献2

また、これらの要因は単独で作用するのではなく、複数が組み合わさって経過を左右すると考えられています。そのため、同じ多発性硬化症と診断されても、症状の進行速度や日常生活への影響、長期的な予後には大きな個人差が生じます。

多発性硬化症の寿命に個人差が出る要因

多発性硬化症の寿命に個人差が出る主な要因は、以下のとおりです。

多発性硬化症の寿命や経過は、治療内容や生活習慣などに左右されますが、同じ要因があっても状況は人によって大きく異なります。「当てはまる=必ず悪い結果になる」のではなく、治療や生活管理によって影響を小さくできる可能性もあります。

それぞれのポイントについて研究結果をもとに見ていきましょう。

病型の種類

多発性硬化症にはいくつかの病型があります。ノルウェーで行われた60年間の追跡研究では、病型によって平均寿命に以下のような差がみられました。文献1

タイプ 平均寿命
多発性硬化症ではない人 81.8歳
再発寛解型(症状が急に悪化する「再発」と、症状が落ち着く「寛解」を繰り返す人) 77.8歳
原発性進行型(発症初期から症状がゆっくり進行する人) 71.4歳

症状が急に悪化する「再発」と、その後に症状が落ち着く「寛解」を繰り返す再発寛解型の平均寿命は77.8歳とされ、病気のない人の平均寿命(81.8歳)に比較的近い水準です。

一方、発症初期から症状がゆっくり進行していく原発性進行型では、平均寿命は71.4歳と報告されていて、統計上は寿命が短くなりやすい傾向がみられます。

あくまで集団全体の傾向であり、同じ病型であっても治療の内容や開始時期、症状の現れ方によって経過は大きく異なります。病型は影響する要素の一つと捉えましょう。

性別の傾向

多発性硬化症では、性別によって寿命に一定の傾向がみられることが報告されています。(文献1

  • 女性:77.2歳
  • 男性:72.2歳

上記の傾向は、多発性硬化症ではない人と同様に、女性のほうが平均寿命が長いという結果と一致しています。(文献3

ただし、あくまで集団データからみた平均的な傾向であり、性別だけで症状の進行や将来の経過、寿命を正確に予測できません。

喫煙の有無

喫煙や受動喫煙は病気の経過に悪影響を及ぼす可能性があり、以下の点が報告されています。(文献2)(文献4

  • 喫煙している人は、吸わない人に比べて病気の進行が早くなるリスクが約1.6〜2.1倍高い
  • 本人の喫煙だけでなく、周囲のたばこの煙にさらされることも経過に影響する可能性がある

一方で、診断後に禁煙した人は、喫煙を続けた人より経過が良好だったことも報告されています。禁煙に取り組むことや、家族の理解を得てたばこの煙を避けることは、今後の見通しを左右する重要な行動の一つと考えられます。

予後に影響する症状や所見

多発性硬化症では、診断時や経過中に現れる症状・検査所見によって、将来の見通しが左右されることがあります。

研究では、以下のような症状がみられる場合、多発性硬化症の方の中で不利な経過をたどりやすいことが報告されています。(文献2

症状 具体例 不利な経過をたどりやすいリスク
発症早期から身体の障害が強い 歩きにくさや手先の使いづらさなど 約1.2〜1.7倍高い
認知機能の低下 記憶力や判断力の低下など 約3倍以上高い
脊髄に病変が確認されている MRIで脊髄に病変が確認されている 約2〜4倍高い
小脳に症状が現れる ふらつきや手足の動きのぎこちなさなど 約1.7~3倍高い
括約筋症状 尿の出にくさや便秘など 約1.3〜3.3倍高い

症状や所見は将来の経過を考える際に参考になるポイントで、治療の工夫や生活管理によって影響を小さくできる可能性もあります。症状の有無だけで将来を決めず、現在の状態に合わせた対応が重要です。

治療の開始時期

多発性硬化症では、治療をいつ始めるかによって症状の経過や身体機能に違いがみられることがあり、寿命や経過に個人差が生じる背景のひとつです。

治療の開始が1年遅れるごとに、歩行のしづらさや疲労感などの身体症状が悪化しやすくなると報告されています。(文献5)早く治療を始めた人ほど、身体症状は比較的軽く保たれやすい傾向にあります。

一方で、日常生活の満足度や快適さは、治療の開始時期だけで決まるものではありません。家庭環境や心理的な状態、社会的な支援、仕事や趣味との両立などさまざまな要素が影響します。

そのため、多発性硬化症と向き合うときは寿命だけに注目するのではなく、治療とあわせて日々の生活の充実や周囲の支えも含めて、総合的に考えましょう。

多発性硬化症が進行した場合にみられる症状

病気が進行した場合、神経の障害が徐々に広がり、一部の患者様では以下のような症状が現れることがあります。(文献6

みられる症状 具体的な例
下肢のこわばりや動かしにくさ 脚が突っ張る、歩行が不安定になるなど
排尿・排便のコントロール障害 尿が出にくい、頻尿、失禁、便秘など
認知機能への影響 判断力や情報処理の速度、記憶力などの低下
片側に出る麻痺 症状が体の片側の手足が動かしにくくなる
脳幹に関連する症状 飲み込みにくさ、眼球の動きの異常など

病型の違いや治療の内容、症状が出現した時期、日常生活の管理状況などによって、経過や重症度には大きな個人差があります。そのため、「多発性硬化症=必ず上記のように進行する」と考える必要はありません。

多発性硬化症の治療

多発性硬化症の主な治療は以下のとおりです。

治療 内容
症状が急に現れている場合
  • ステロイドパルス療法:ステロイドを点滴で投与し、神経の炎症を抑える
  • 血漿浄化療法(血漿交換療法):ステロイド治療の効果が不十分な場合に、炎症に関与する物質を血液中から除去する
症状を和らげる
  • リハビリテーション:筋力や動作能力の維持、転倒予防などを目的にトレーニングやストレッチを行う
  • 薬物の使用:手足の突っ張りには抗痙縮薬、排尿障害には抗コリン薬など
病気の進行を抑える 疾患修飾薬と呼ばれる薬は、再発の頻度を減らしたり障害の進行を抑えたりする効果が期待できる

近年の多発性硬化症に対する治療では、再発がなく、障害の進行やMRI上の新たな病変も認めない状態を目標に治療内容を調整する考え方が広がっています。(文献7

再発の状況や病変の特徴、患者様自身の希望などを踏まえ、必要に応じて複数の治療を組み合わせて選択します。

まとめ|多発性硬化症は寿命だけで判断しないことが大切

多発性硬化症の寿命は一律に決まるものではなく、経過によって将来の見通しは大きく異なります。研究データで示される平均寿命や死亡リスクは集団全体の傾向であり、診断された方が同じ経過をたどるとは限りません。

治療によって病気の進行を抑えることは重要ですが、将来は治療だけで決まるものではなく、生活環境や心の状態など、さまざまな要素が重なって形づくられます。

不安を一人で抱え込まず、専門医と相談しながら、「今の状態で何ができるのか」「どの選択肢が自分に合っているのか」を整理しましょう。

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多発性硬化症の寿命についてよくある質問

多発性硬化症は治りますか?

現時点では、多発性硬化症を完全に治す(完治させる)治療法は確立されていません。

しかし近年は治療の進歩により、再発を抑えて症状の進行を遅らせながら生活の質を維持できる病気へ変わりつつあります。

多発性硬化症になりやすい人の特徴は?

多発性硬化症は誰にでも起こりうる病気で、発症しやすいとされるいくつかの傾向が知られています。

  • 20〜40代の方
  • 女性の方
  • 家族に多発性硬化症や自己免疫疾患がある方
  • 喫煙習慣がある方

上記の特徴に当てはまらない人でも発症する可能性はあります。気になる症状がある場合は、背景に関わらず早めに専門医へ相談しましょう。

以下の記事では、多発性硬化症になりやすい人の特徴について詳しく解説しているので参考にしてください。

参考文献

(文献1)
多発性硬化症の生存率と死因:60年間の縦断集団研究|PubMed

(文献2)
多発性硬化症における長期転帰の予測:系統的レビュー|PubMed

(文献3)
平均寿命と健康寿命|厚生労働省

(文献4)
口腔たばこと喫煙が多発性硬化症の活動度および進行に与える影響|PubMed

(文献5)
多発性硬化症の早期治療と患者報告アウトカムの関連:全国的な観察コホート研究|PubMed

(文献6)
進行性多発性硬化症|PubMed

(文献7)
ケースで学ぶ多発性硬化症治療|日本神経治療学会