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多発性硬化症になりやすい人の特徴とは?年齢・性別・生活習慣との関係を解説
多発性硬化症は、免疫の異常によって脳や脊髄などの中枢神経に炎症が起こり、中枢神経障害をきたす病気です。炎症の起こる場所によって視力低下やしびれ、歩行困難などさまざまな症状が現れます。
この記事では、多発性硬化症になりやすい人の特徴や多発性硬化症の症状について、医学的な知見をもとに解説します。
多発性硬化症は年齢や性別、体質などによって発症しやすい傾向があることが知られていますが、「なりやすい人の特徴」に当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。
自己判断を目的とするものではなく、リスクを正しく理解して不安や気になる症状がある場合に医師へ相談するきっかけとして役立ててください。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状がある方は、ぜひご活用ください。
目次
多発性硬化症になりやすい人の特徴
多発性硬化症は、遺伝的ななりやすさや環境の影響が重なって起こると考えられています。
そのため、以下の点については誤解されることが多いですが、実際には次のとおりです。
- 遺伝だけで決まる病気ではない
- 家族内で発症するケースはあるが、必ず遺伝するわけではない
- 見た目や性格で発症が決まるわけではない
- 生活環境や習慣も関与すると考えられている
年齢や性別、体質、生活習慣など医学的に関連が指摘されている特徴について、ひとつずつ解説していきます。
なお、これらは「当てはまる=発症する」という意味ではありません。ご自身の状況を整理する参考としてお読みください。
20〜40代の人
多発性硬化症は20〜40代で診断されるケースが比較的多く、10歳未満や50歳以上で新たに発症する場合は少ないとされています。(文献1)
なお、若い頃に多発性硬化症を発症した方が年齢を重ねてから再発するケースがあるため、20〜40代を過ぎれば安心とは限りません。あくまで発症しやすい年代の傾向として捉えましょう。
女性の人
多発性硬化症は男性よりも女性に多くみられる病気で、男女比はおよそ1:2〜3とされています。(文献1)
一方で、病気の経過については、女性のほうが必ずしも男性より悪いわけではないことが報告されています。(文献2)
また、妊娠後期には再発が減少し、出産後には一時的に再発しやすくなる傾向がありますが、妊娠や出産そのものが将来的な障害の程度を悪化させるわけではありません。
女性であること自体は病状や経過を大きく左右するわけではないため、自身の体調やライフステージに合わせて主治医と相談しながら経過をみていきましょう。
家族に多発性硬化症や自己免疫疾患がある人
多発性硬化症は、発症しやすい体質が遺伝する可能性があると考えられています。
多発性硬化症の発症と遺伝の関係について、以下のような研究報告があります。(文献3)
- およそ半分程度が遺伝的な要因による可能性がある
- 多発性硬化症のうち約1割は家族内で発症がみられる
- 同じ家族内で発症した際、発症年齢や症状の出方に共通点がみられることがある
多発性硬化症は遺伝だけで発症が決まる病気ではありません。家族に多発性硬化症や自己免疫疾患がある場合でも、発症しない人のほうが多いことがわかっています。(文献4)
体質的な背景のひとつとして理解し、過度に不安を抱えすぎないことが大切です。
ビタミンDが不足している人
ビタミンDが不足している人は、十分なビタミンDを摂取している人と比べて多発性硬化症を発症するリスクが約54%高い可能性が示されています。(文献5)
ただし、年齢や地域、サプリメント摂取の有無などによって差があることもわかっています。
ビタミンDが不足していても、必ず発症するわけではありません。ビタミンDは日光を浴びることや食事からも補われる栄養素であり、発症には遺伝的な体質や他の環境要因も複雑に関与していると考えられています。
ビタミンD不足はあくまで関連が指摘されている要因のひとつとして捉えましょう。
喫煙習慣がある人
喫煙者は非喫煙者に比べて、多発性硬化症の発症リスクが約1.5倍高いことが報告されています。(文献6)さらに、現在喫煙している人は過去に喫煙していた人よりもリスクが高いことや、受動喫煙でもリスクが上昇する可能性があることが示されています。
喫煙習慣がある方は、発症リスクを下げる観点から禁煙や受動喫煙を避けることも選択肢のひとつです。
喫煙は発症を決定づける要因ではありませんが、体質や他の環境要因と重なって影響する可能性があるため、環境要因のひとつとして意識しておきたいポイントです。
ウイルス感染歴がある人
エプスタイン・バーウイルス(EBV)に感染した後では、多発性硬化症の発症リスクが30倍以上に上昇することが報告されています。(文献7)
EBVはヘルペスウイルスの一種で、世界人口の90%以上が一生のうちに感染するとされる非常に一般的なウイルスです。
EBV感染に関連して多発性硬化症を発症するケースは非常にまれであり、感染歴があること自体が直ちに発症を意味するわけではありません。ウイルスの感染が多発性硬化症の直接的な原因と確定できない点に注意が必要です。
思春期〜若年期に肥満傾向だった人
子どもから思春期、若年期にかけて太り気味または肥満だった女性は、将来的に多発性硬化症を発症するリスクが高い傾向にあることが報告されています。(文献8)
| 体重 | BMI 体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)} | 正常体重の人に比べて多発性硬化症の発症リスク |
|---|---|---|
| 過体重 | 25以上30未満 | 約1.4倍 |
| 肥満 | 30以上 | 約2倍 |
上記は、とくに女性で明確に認められた一方、男性は明確なリスク上昇は確認されていません。
なお、研究の結果は思春期から若年期の体重傾向に着目したものであり、成人後の体重や現在の生活習慣と単純に結びつくものではない点に注意が必要です。
多発性硬化症になりやすい特徴に該当しても発症しない人は多い
多発性硬化症には発症リスクが高いとされる特徴がいくつか知られていますが、当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。
多発性硬化症の発症メカニズムは完全には解明されておらず、遺伝的体質、生活環境など複数の要因が複雑に関与していると考えられています。
そのため、特定の要因だけで発症の予測はできません。リスク要因を持っていても一生発症しない人も多い一方で、明確なリスク要因が見当たらないときも発症するときがあります。
気になる症状がある場合は、特徴に当てはまるかどうかで自己判断せず早めに専門医へ相談しましょう。
多発性硬化症の症状
多発性硬化症の症状は、脳・視神経・脊髄など、炎症が起こる場所によって異なります。
| 炎症が起こる場所 | 具体例 |
|---|---|
| 視神経 |
|
| 脳幹 |
|
| 小脳 |
|
| 大脳 |
|
| 脊髄 |
|
症状は一時的に現れて自然に治まることもあれば繰り返し起こることもあり、出方や重さには大きな個人差があります。一例として、熱いお風呂に入ったときや、発熱、暑い環境などで体温が上がると、一時的に症状が強くなる場合があります。
気になる症状がある際は、神経内科に相談しましょう。
多発性硬化症の経過
多発性硬化症の経過は人によって大きく異なり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行する場合があります。
主な病型は以下のとおりです。
- 再発寛解型:症状が出現する「再発」と、症状が軽快・消失する「寛解」を繰り返す
- 一次性進行型:発症当初から徐々に症状が進行する
- 二次性進行型:再発と寛解を繰り返した後に徐々に症状が進行する
同じ病気でも再発を繰り返しても障害がほとんど残らない方がいる一方で、再発を重ねるうちに日常生活に支障が出るほど症状が進行する方もおり、経過や予後には非常に大きな個人差があります。
多発性硬化症は長期にわたって向き合っていく病気だからこそ、経過の特徴を正しく理解し、主治医と相談しながら治療を続けていくことが重要です。
以下の記事は、多発性硬化症の寿命について解説しているので参考にしてください。
まとめ|多発性硬化症になりやすい特徴を理解して不安があれば専門医に相談
多発性硬化症は、これまでの研究から発症しやすいとされる一定の傾向が知られています。喫煙やウイルス感染、家族歴などはあくまでリスク要因として関連が示されているものであり、これらに当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。
また、発症には遺伝的要因だけでなく、複数の要素が関与すると考えられており、単一の原因で説明できる病気ではないことも重要なポイントです。
体のしびれや視力低下など気になる症状が続いているときや、リスク要因について不安を感じている際は神経内科に相談しましょう。
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多発性硬化症のなりやすい人についてよくある質問
多発性硬化症は何人に1人がなる病気ですか?
2017年に行われた調査によると、多発性硬化症は10万人あたり14〜18人程度と推定され、日本全国で約17,600人と考えられています。(文献1)
ただし、上記の数字はあくまで統計上の観点からの推計値であり、実際の発症率は地域や年代によって異なる可能性があります。症状や不安がある場合には、神経内科に相談しましょう。
ストレスが原因で多発性硬化症になることはありますか?
心理的ストレスと多発性硬化症の発症や再発・炎症活動との間に、比較的軽度から中程度に関連がある可能性が示されています。(文献9)
しかし、精神的なストレスは多発性硬化症の発症や再発に多少なりとも影響を与える可能性があるものの、ストレスだけで起こるとは言えません。生活上の強いストレスが続く場合でも、多発性硬化症に至るには遺伝的ななりやすさや他の環境要因との組み合わせが関与すると考えられています。
参考文献
(文献1)
多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)|難病情報センター
(文献2)
多発性硬化症の感受性と進行における性別関連要因 |PubMed
(文献3)
多発性硬化症の遺伝学と家族分布:レビュー|PubMed
(文献4)
多発性硬化症の遺伝学:概要と新たな方向性|PubMed
(文献5)
ビタミンD欠乏と多発性硬化症の関連:最新のシステマティックレビューおよびメタアナリシス|PubMed
(文献6)
多発性硬化症における喫煙リスク:症例対照およびコホート研究に基づく20,626例に基づくメタアナリシス|PubMed
(文献7)
多発性硬化症の主な原因としてのエプスタイン・バーウイルス:メカニズムと示唆|PubMed
(文献8)
子ども期および思春期の過剰体重は多発性硬化症のリスクと関連している:メタアナリシス|PubMed
(文献9)
ストレスおよび多発性硬化症 – 疾患発症リスクおよび障害進行との関連に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシス|PubMed



















