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脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したら良いのだろう。 脳梗塞の看護のポイントについて知りたい。 この記事を読んでいるあなたは、家族や親戚が脳梗塞になり、どのように看護すれば良いか不安を抱いているのではないでしょうか。 「どのような経過になるのかを知りたい」と思っているかもしれません。 脳梗塞は早期に治療を受けても後遺症が出る場合があり、入院中から退院後まで継続的な看護が必要です。 本記事では、脳梗塞患者を看護する際のポイントについて、詳しく説明します。記事を最後まで読めば、脳梗塞の経過と必要な看護がわかり、今後の生活に向けた準備を始められるでしょう。 脳梗塞患者の家族が看護で注意すべきポイント【看護計画】 脳梗塞の看護は、急性期、回復期、慢性期の各段階で注意すべきポイントが異なります。 多くの脳梗塞患者は入院が必要で、とくに発症直後は集中治療室(ICU)での治療やケアが必要になるケースは珍しくありません。 脳梗塞の症状は急速に変化する可能性があり、迅速な処置が必要なためです。 さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多く、看護師は身体的、心理社会的の両面について患者ケアを行います。 脳梗塞の種類や合併症については、以下の記事も参考にしてください。 発症直後 脳梗塞の発症直後は全身状態が悪く、脳梗塞の拡大や再出血などの急変リスクも高い時期です。 まずは医師・看護師などがチームとなって脳に詰まった血栓を溶かす治療(t-PA療法)や血栓を取り除くカテーテル治療(血栓回収療法)などを行います。 t-PA療法は、脳浮腫や血管の圧力増加による意識障害などの合併症が起こりやすいため、意識レベル、呼吸、循環動態のチェックが欠かせません。 さらに誤嚥予防の処置や体位の調整、けいれんが起きていないかの観察など、看護計画に基づいた慎重な看護を行います。 脳梗塞の治療については、以下の記事も参考にしてください。 急性期 発症直後を含めた「急性期」の看護でチェックする主なポイントは、以下のとおりです。 意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など) 呼吸と循環の管理 血圧管理 体温管理 排尿管理 皮膚の状態 出血管理 意識レベルの確認には、「目を開けるか」「意識ははっきりしているか」「痛みに反応するか」「身体を動かせるか」などをチェックする以下の指標がよく使われます。 JCS(ジャパン・コーマ・スケール):日本で使用されている意識障害の評価方法 GCS(グラスゴー・コーマ・スケール):世界で広く使用されている意識障害の評価方法 寝たきりの時期が長くなると、筋肉の退化や誤嚥性肺炎、床ずれなどのリスクが上昇します。 そのため、十分なリスク管理のもとに、寝返り、座位、セルフケア訓練など、自分で身体を動かすためのリハビリをできるだけ早くから開始します。(文献1) また、脳梗塞は麻痺や失語などの後遺症が出やすいため、症状や今後の生活に関するメンタルケアも重要です。 脳卒中の治療やリハビリについての見通しは、以下の記事も参考にしてください。 回復期 「回復期」とは、全身状態や血圧などが安定する時期です。 引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すためのリハビリや看護を行います。 回復期の看護のポイントは、以下のとおりです。 感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため) 栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態 皮膚の状態、褥瘡対策 排尿機能 運動機能(上肢および下肢の動き) 精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など) 脳梗塞で失われた脳細胞は、基本的には元に戻らないといわれています。しかし、治療やリハビリをすると脳のほかの部分が失った機能の代わりを果たすようになるため、身体が動くようになるのです。(文献2) 本章の内容をもとに、回復期の看護を理解しておきましょう。 脳梗塞後のリハビリについては、以下の記事で説明しています。 1.栄養機能管理 栄養機能管理の看護では、以下のポイントをよく観察します。 咳の状態 口の片側に食物が溜まっていないか 液体を飲み込むときの逆流がないか また、言語聴覚士による飲み込み機能の評価を受けた上で、少量の小さな食物や水分を摂取するよう促します。 口からの摂取が不十分な場合は、チューブを介した経腸栄養の準備をします。 2.排尿管理 筋肉の制御が失われている間は自分の意思で排尿を管理できないため、医師・看護師が尿道にカテーテルを挿入し、人工的に排尿させます。 また、十分な水分(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするよう促します。 3.皮膚の状態と褥瘡管理 皮膚の状態が悪くなっていないかは、頻繁に評価します。 清潔で乾燥した状態に保った皮膚をやさしくマッサージし、皮膚の健康を維持します。 また、自分で身体を動かせないと、褥瘡(じょくそう:体重で圧迫されている部分の血流が悪くなり、皮膚がただれたり傷ができたりすること)のリスクが高い状態です。 ひどくなると傷から細菌が入って化膿して腫れる可能性があるため、1日数回(2時間ごと)身体の位置を変更して褥瘡を予防します。 4.運動機能の改善 意識が回復したら、積極的なリハビリテーションプログラム(以下リハビリ)を開始します。脳梗塞後のリハビリは、長時間のものを1回行うのではなく、短時間のものを複数回行います。 リハビリの目的は、以下のとおりです。 関節の可動性を維持する 運動機能を回復する 麻痺した四肢の拘縮を予防する 神経筋系のさらなる悪化を予防する リハビリ中の患者サポートも、重要な看護です。 看護では、肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など)が起きていないかも観察します。 慢性期 「慢性期」は、退院に向けての準備が本格化します。そのため、患者の全身管理や健康維持に加えて以下の点を重視した看護を行います。 退院後の日常生活の支援(家族への説明) 心理的なケア 退院後、ご家族の協力のもとに患者が自宅で達成可能な目標を計画します。 医師や看護師は、不安を和らげるためにていねいな説明や感情的なサポートを行います。不安や気になる点があれば、遠慮なく聞いてみてください。 脳梗塞の看護でご家族が果たすこと 退院後は、ご家族による食事や運動などの生活支援・リハビリのサポート・服薬管理などの看護が必要です。 脳梗塞は、脳のダメージを受けた部位によって起こる症状や後遺症が異なり、約半数の人に後遺症が出るといわれています。再発もしやすく、10年再発率は49.7%というデータもあります。(文献3) ダメージを受けた部分と、起こる後遺症の例は以下のとおりです。 前頭葉:人格や性格が変化する 頭頂葉:体が動かなくなる(麻痺) 後頭葉:視野の半分が欠ける(半盲ともいう) 側頭葉:学習、記憶障害が起こる また、脳梗塞をはじめとする脳卒中のあとは、認知症になる人も珍しくありません。医療機関や介護サービスの手を借りながら、再発や後遺症を予防・軽減していきましょう。 脳梗塞の再発をコントロールする方法は、以下の記事で説明しています。 まとめ|脳梗塞の後は適切な看護が大切 本記事では、脳梗塞後に必要な看護について詳しく解説しました。 脳梗塞では、経過ごとに必要な看護が異なります。ご家族が中心となって看護するのは退院後で、日常生活の支援やリハビリなどが主な役割です。 心理的な問題は時間の経過によって解決するケースが多いのですが、不安な点は医師や看護師に質問し、解決しておきましょう。 脳梗塞の看護のよくある質問 脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか。 脳梗塞では、血流の低下によって脳がむくみます。 生じたむくみによって脳の血管が圧迫されると、結果的に血圧が高くなるのです。 脳梗塞のときはベッド上での安静が必要ですか。 脳梗塞の発症直後は、ベッド上での安静が基本です。 頭を上げたり、立ち上がったりすると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。 しかし近年は、状態が落ち着き次第、早めからリハビリを開始するのが一般的です。 脳梗塞はどのくらいで退院できますか。 症状や年齢によって異なりますが、平均的には2~3カ月ほどで退院するケースが多くみられます。 どのような症状が出たら脳梗塞の再発を疑えば良いですか。 以下の症状が出た際は脳梗塞の再発を疑い、救急車を呼びましょう。 手足の麻痺やしびれ ろれつが回らない 言葉が出てこない 視野が欠ける めまいがひどい 意識を失う 脳梗塞は再発しやすいため、患者の様子をよく観察し、気になる症状が出たらすぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆については、以下の記事を参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 脳卒中治療ガイドライン2021における リハビリテーション領域の動向 理学療法科学 37(1):129–141, 2022 文献2 脳の可塑性(基礎の立場から) ―サルを使った大脳運動野の破壊後の回復に関する研究,認知神経科学Vol.7No.3 2005 文献3 Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005 Mar;76(3):368-72. doi: 10.1136/jnnp.2004.038166.
2022.11.16 -
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この記事を読んでいる方の中には、「自分は脳梗塞のリスクが高いのではないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 実は、脳梗塞は誰にでも起こる可能性がある病気です。特に、高血圧や糖尿病がある方、喫煙習慣のある方、不整脈のある方は要注意です。 しかし、適切な予防策を取ることで、脳梗塞のリスクは下げられる可能性があります。本記事では、脳梗塞になりやすい人の特徴や、脳梗塞のリスクを下げる方法などを詳しく説明します。この記事を読むことで、適切な予防策が取れるようになり、健康に関するリスクを軽減できるでしょう。 脳梗塞になりやすい人の特徴6選 脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が低下して、脳に障害が起こる病気です。 高齢者が寝たきりになる原因の多くを占め、初期段階での早期治療や発症予防が非常に重要といわれています。 脳梗塞になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。 高血圧の人 糖尿病の人 不整脈(心房細動)がある人 脂質異常症の人 生活習慣の乱れやストレスがある人 妊婦や経口避妊薬の服用をしている人【女性】 本章の内容をもとに、自分が脳梗塞になりやすいのかを考えてみましょう。 高血圧の人 脳梗塞の原因疾患でもっとも多いものは、「高血圧」です。(文献1) 一般的には病院や健診施設などで測定した血圧が、最高血圧(収縮期血圧)140mmHg以上、あるいは最低血圧(拡張期血圧)90mmHg以上であれば、「高血圧症」と診断されます。(家庭内血圧 135/85mmHg以上) 脳梗塞を防ぐためにどの程度血圧を下げるかは、年齢や持病の状況によって異なります。 具体的な目標値は、以下のとおりです。 降圧目標 該当者 130/80mmHg未満 75歳未満 冠動脈疾患 CKD(たんぱく尿陽性) 糖尿病 抗血栓薬服用中 140/90mmHg未満 75歳以上 両側頸動脈狭窄や主幹動脈閉塞 CKD(たんぱく尿陰性) 糖尿病や重度の腎機能障害の人は脳梗塞になりやすいため、血圧の目標値がより厳しく定められています。 糖尿病の人 近年、糖尿病の増加に伴って「アテローム血栓性脳梗塞」の発症数が増えています。 血糖値が高い状態が続くと、血液中に多量に存在する糖分が血管の壁を傷つけ、動脈硬化が悪化します。 その結果、脳梗塞や心筋梗塞などの病気の発症リスクが高くなるのです。(文献2) 不整脈(心房細動)がある人 「心房細動」と呼ばれる不整脈がある場合、心房内に血栓ができるリスクが高まります。できた血栓が血流に乗って全身へ飛ぶ恐れがあり、飛んだ血栓が脳で詰まると「脳梗塞」になるためです。 この心臓由来の血栓による脳梗塞を、「心原性脳塞栓症」と呼びます。心原性脳塞栓症は、ほかの脳梗塞よりも大きな血管が詰まるため、命に関わるケースもあります。 脂質異常症の人 脂質異常症の人は、血液中のコレステロールが高い状態です。そのため、血管を詰まらせる「血栓」ができやすく、脳梗塞になるリスクも高いため注意が必要です。 脂質異常症から脳梗塞にいたる流れを、以下に紹介します。 血管中に脂質(コレステロール)が高い状態が続く 血管の壁に「プラーク」と呼ばれる塊ができ、詰まりやすくなる できたプラークが何かをきっかけに壊れる 破れた部分を修復するために「血小板」という血液を固める物質が集まり、血栓ができる 血栓が脳の血管に詰まり、脳梗塞が起こる 脂質異常症そのものには自覚症状が無いケースが多いため、治療の必要性を感じない人もいます。しかし、放置すると結果的に脳梗塞をはじめとする大きな病気につながるのです。 生活習慣の乱れやストレスがある人 以下のような生活習慣の乱れは、脳梗塞のリスクを上昇させます。(文献3) 喫煙 肥満 運動不足 食生活の乱れ お酒の飲みすぎ 塩分の取りすぎ ストレスの多い生活 複数の要因が重なると、より脳梗塞の発症リスクは高まります。 妊婦や経口避妊薬の服用をしている人【女性】 妊娠中の人や女性ホルモン剤を服用している一部の人は、血栓ができやすくなることがあります。 とくに、45歳未満で前兆のある片頭痛がある人は経口避妊薬の服用によって脳梗塞のリスクが上昇するという報告があります。(文献1) そのため、前兆のある片頭痛を持病に持つ女性は、経口避妊薬を飲むことはできません。 また、女性は、血管や骨の健康を保つ女性ホルモン「エストロゲン」が閉経により減少すると、脳梗塞になりやすくなるともいわれています。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞後の後遺症軽減や再発予防に、再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けています。どうぞ気軽にお問い合わせください。 また、脳梗塞の前兆については、以下の記事で詳しく説明しています。あわせてご覧いただければ幸いです。 脳梗塞の発症を予防する3つの対策 脳梗塞の発症を予防する対策は、以下の3つです。 生活習慣病を治療して動脈硬化を防ぐ 生活習慣をととのえる 不整脈を治療する 本章の内容を参考に、脳梗塞のリスクを軽減させましょう。 1.生活習慣病を治療して動脈硬化を防ぐ 生活習慣病である「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」の治療は、脳梗塞の発症リスクを低下させます。取り入れやすい対策法を順番に説明します。 高血圧 高血圧を治療すれば血圧が下がり、血管への負担が軽減します。その結果、脳梗塞リスクの減少が期待できます。生活上の注意を守りながら、処方された薬を正しく服用しましょう。 高血圧の治療に使われる薬の例は、以下のとおりです。(文献1) カルシウム拮抗薬 利尿薬 アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬 アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) また、血圧を下げるためには「規則正しい食生活」「適度な運動」などの生活習慣の改善が重要です。できることから少しずつ心がけましょう。 糖尿病 糖尿病のコントロールが悪いと脳梗塞の原因となる「動脈硬化」になりやすくなります。そのため、糖尿病の治療も、脳梗塞の予防に効果があります。。 糖尿病治療の基本は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つです。具体的な指導内容は、糖尿病の状態や残された腎臓の機能などによって異なるため、医師の指示に従いましょう。(文献4) 脂質異常症 脳梗塞のリスクを下げるには、血中のLDLコレステロール値を適正に保つことも大切です。 LDLコレステロールは、脳梗塞のなかでも「アテローム血栓性脳梗塞」のリスクに関わるといわれています。 脂質異常症の治療は、生活習慣の改善に加えて以下の薬がよく使われます。 スタチン系 エゼチミブ スタチン系の薬で十分な効果が得られない場合、エゼチミブと併用するケースもあります。(文献1) 2.生活習慣をととのえる 生活習慣の乱れは高血圧、糖尿病、脂質異常症など多くの生活習慣病の発症・悪化に関わります。 取り入れたい生活習慣は、以下のとおりです。(文献5)(文献6) 肥満を解消する 適度な運動をする 十分な睡眠をとる 脂質や塩分を控える たばこをやめる(禁煙) お酒の飲みすぎは避ける 魚を積極的に取り入れる また、脱水も脳梗塞のリスクを上げるため、運動や入浴、サウナなど、汗を多くかいた後は水分をこまめにとることも心がけたいポイントです。 できることから少しずつ始めてみましょう。 脳梗塞の予防につながる生活習慣は、以下の記事でも詳しく説明しています。 3.不整脈を治療する 不整脈のうち「心房細動」があると、毎年約5%の方に脳梗塞が発症すると指摘されています。 日常生活で動悸・息切れなどの自覚症状が出現した際は、心臓専門の医療機関で詳しく調べてもらいましょう。 脳梗塞の再発を予防する方法 最近、脳ドックを受診する方が増えて「無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)」が見つかるケースが増えています。この隠れ脳梗塞が発見されたのち、数年以内に3割の人が再び脳梗塞の発作を起こすともいわれています。 「脳梗塞は再発する危険性がある」と考えておきましょう。 脳梗塞を発症した方は、血栓ができないように再発を予防する薬を飲む必要があります。起きた脳梗塞の種類と、代表的な再発予防薬は以下のとおりです。 起きた脳梗塞の種類 代表的な再発予防薬 「ラクナ梗塞」や「アテローム血栓症」 抗血小板薬(少量のアスピリン、シロスタゾールなど) 心臓が原因で起こる「脳塞栓」 抗凝固薬(ワーファリン、リバーロキサバンなど) 再発防止で大切なのは、症状が悪化していない・調子が良いなどの場合も、自己判断で薬をやめないことです。基本的には脳梗塞の再発予防薬は、継続する必要があります。 また、再発防止薬を飲んでいる人は、出血しやすい状態です。あざが治らない、鼻血が止まらない、便に血が混じるなどの場合はすぐに受診してください。 また、薬の効果に影響するため、ワーファリンを服用している人は納豆や青汁などを食べてはいけません。 薬の継続についてや副作用に関する不安がある場合は、当院「リペアセルクリニック」でも相談を受け付けております。「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で気軽にご連絡ください。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。 まとめ|脳梗塞になりやすい基礎疾患は早めに治療しよう 脳梗塞になりやすい人は、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、動脈硬化になりやすい要素があります。脳梗塞の発症や再発を予防するために、高血圧や糖尿病を罹患している場合には疾病の治療を行い、日頃の生活習慣を見直してみましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞後の治療として再生医療(幹細胞)をおこなっています。再生医療は、脳梗塞によってダメージを受けた脳細胞の修復や麻痺の改善、リハビリ効果の向上などに効果が期待できます。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 脳梗塞になりやすい人に関するよくあるQ&A 脳梗塞になりやすい性格は? ストレスをためやすい人は、脳梗塞のリスクを高める以下の病気が悪化しやすく、脳梗塞になりやすい可能性があります。(文献7)(文献8) 高血圧 糖尿病 また、「脳梗塞の発症には、労働時間や労働によるストレスが関与している可能性がある」という研究報告もあります。適度な運動や休息をとり、ストレスをやわらげるようにしてみてください。(文献3) ストレスは若年性脳梗塞の原因になりますか? 若年性脳梗塞とは、50歳以下の若い人に起こる脳梗塞です。通常の脳梗塞と同様に、動脈硬化がひとつのリスクといわれています。 そのため、動脈硬化を悪化させるストレスは、若年性脳梗塞のリスクを上昇させる可能性が考えられるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、若年性脳梗塞後の治療にも再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。気になる症状がある方は「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」まで気軽にご連絡ください。 若年性脳梗塞については、以下の記事で詳しく説明しています。 脳梗塞になりやすい食べ物はありますか? 以下の食品を摂りすぎると、脳梗塞になりやすくなる可能性があります。 食品 理由 動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品 コレステロールを増やしたり血行を悪くしたりするから 加工食品 添加物や保存料、トランス脂肪酸を多く含むから 塩蔵品 塩分が多く、動脈硬化や高血圧の原因となるから アルコール 摂りすぎると動脈硬化のリスクが上がるから おつまみとして塩分や脂肪が多い食品が過剰になりやすいから 高GI炭水化物 血糖値を急激に上げたり血管内に炎症をもたらしたりするから 毎日の積み重ねが身体をつくるため、摂りすぎには注意しましょう。 脳梗塞の予防・再発防止に関係する食事については以下の記事で詳しく紹介しています。 脳梗塞の後遺症はどんな症状ですか? 脳梗塞は、約半数の人に後遺症が出るといわれています。どのような後遺症が出るかは、ダメージを受けた部位によって異なります。 ダメージを受けた脳の部位 後遺症の例 前頭葉 人格や性格が変化する 頭頂葉 体が動かなくなる(麻痺) 後頭葉 視野の半分が欠ける 側頭葉 学習、記憶障害が起こる どの後遺症の場合も、継続的なリハビリが大切となります。 脳梗塞の治療や後遺症については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参考文献 (文献1) 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会「脳卒中治療ガイドライン 2021〔改訂2023〕」 https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf (文献2) 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「糖尿病の慢性合併症について知っておきましょう」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/020/02.html (文献3) 三重大学「ストレス関連疾患の発症に寄与する勤務状況の因子とその影響に関する研究」 https://www.mhlw.go.jp/content/000614929.pdf (文献4) 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/010/01.html (文献5) 文部科学省「健康啓発教材2021高校生用07」 https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/20210423-mxt_kouhou02-08111805_4.pdf (文献6) 国立がん研究センター「肥満度と病型別脳梗塞の発症リスクとの関連について」 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8229.html (文献7) 服部朝美,宗像正徳「高血圧とストレス|Jpn J Psychosom Med(60)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/60/5/60_398/_pdf (文献8) 湧田泰徳「2 型糖尿病の運動療法―ストレスとの関係性について―|専門リハビリ(19)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/senmonreha/19/1/19_13/_pdf/-char/en
2022.11.07 -
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脳梗塞は多くの方が発症を恐れる疾病のひとつです。脳梗塞の前兆をいかに見逃さずに医療機関に早期受診するかが、重症化しないためのカギといえます。 そこで本記事では、脳梗塞の前兆を見逃さないためのチェックリストを提供します。ひとつでもチェックが当てはまるようであれば注意が必要なので、ぜひ最後までご覧ください。 脳梗塞の前兆を今すぐチェック【チェックリスト付き】 脳梗塞の前兆は突然現れます。 以下は、万が一に備えていただくために「脳梗塞の前兆を症状で判別いただくためのチェックリスト」です。ひとつであっても当てはまるものがあれば要注意です。 脳梗塞の前兆を確認したら早期受診を! 上記のような症状が急に現れると驚かれ多くの方は医療機関を受診されますが、中にはすぐに良くなってしまうこともあります。 その場合「気のせいか」「まあ良いか」と意図的に良い方に考えて医療機関を受診されない方が一定数いらっしゃいます。実際に2週間も症状が続いたにも関わらず、その後ようやく医療機関を受診した方もおられました。 症状が一時的であっても再度同様の症状を起こし、今度は生涯を棒にふる危険性もあります。上記のチェックリストに一つでも該当する場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 また、当クリニックにご相談いただくことも可能です。「チェックリストの項目に当てはまって心配なんだけど…」とお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 そもそも脳梗塞とは? 脳梗塞は脳血管障害の一種で、脳の血管が細くなると同時に固まった血液が脳の血管に詰まり、血液の流れが止まってしまう怖い病気です。 重度の脳梗塞だと呂律が回らなくなる言語障害や、言葉が出づらくなってしまう失語障害、体の片側に力が入らなくなる運動障害を前兆として引き起こします。 対して症状が軽い場合は、自然に治ったりと前兆に気が付けないケースあります。 【脳梗塞の前兆】一過性脳虚血発作とは 一過性脳虚血発作は、名前の通り一時的に脳梗塞のような症状が出現し、時間経過とともに(多くは30分程度)自然に改善する病態です。 地震にたとたとえると余震であり、本震の前兆・前触れとして認識するとわかりやすいかと存じます。 つまり、数日以内に「本格的な脳梗塞を起こす可能性」があるため、見逃すことのできない重要な疾病です。実際に、一過性脳虚血発作患者の約15%が90日以内に脳梗塞をきたすとされています。 脳梗塞が起きる原因 前述のとおり、脳梗塞は細くなった血管に血液が固まり、詰まりを引き起こす病気です。脳梗塞の要因はさまざまで、加齢や常習的な喫煙・飲酒等が主に挙げられます。 また、脳梗塞は大きく分けて次の3つに分類されます。 動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞 アテローム血栓性脳梗塞は高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病に伴い、血管壁にコレステロールが溜まる「動脈硬化」が主な原因です。 食事や運動に気を付けることや薬物治療を通して「動脈硬化の進行」を抑えることが予防につながります。 血栓による心原性脳塞栓症 心原性脳塞栓症は、不整脈の心疾患が原因で心臓内に血栓が生成され、血流に乗って脳血管に運ばれることで引き起こされます。 心疾患の早期発見・治療が最善の予防策です。 比較的細い血管が詰まるラクナ梗塞 ラクナ梗塞は「高血圧」が主因とされ、日々の血圧管理が予防につながります。 まとめ|脳梗塞の前兆を確認したら脳専門病院を受診しよう 本記事で紹介した前兆が現れたり、症状に心当たりがあった場合、脳神経内科・脳血管内科・脳外科など脳を専門としている病院を受診しましょう。診療科名は病院によって異なるため、ホームページの確認や、電話で問い合わせをすると良いでしょう。 脳梗塞の前兆発生時は一刻を争うため、ためらわず救急車を呼ぶ必要があります。
2022.10.31 -
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「退院できても、重い後遺症で生活に影響が出てしまうのではないか」「麻痺や言語障害が残ったらどうしよう…」。 脳梗塞は本当に治る見込みがあるのか、早期治療やリハビリなど、既存の選択肢に留まってはいませんでしょうか。 今回は脳梗塞に対するアプローチとして、新たな治療の選択肢である「再生医療」をリペアセルクリニックが詳しく解説します。 \リペアセルクリニック坂本理事長のコメント/ 再生医療は脳梗塞に対して効果が期待できます。 よく聞かれるのが、発症してすぐに治療しないと効かないでしょう?というものです。 その答えとして、もちろん早期の方が効果は高いですが、10年以上経過した方でも驚くべき改善を認める例はたくさんあります。 また、脳梗塞を患い不安に感じている方に希望を感じていただけるよう、現在当院では「脳卒中・脳梗塞の改善が見込めた事例」をLINEで公開しています。 脳梗塞への対策は早期治療とリハビリだけには留まりません。 本記事と当院のLINEで、新しいアプローチ方法をぜひご参考ください。 ▼LINEで当院の治療に対する事例を配信中! 脳梗塞は早期治療によって治る見込みがあります 脳梗塞は早期治療ができれば治る見込みがあります。 ただし発症してから早い段階で適切な検査・治療をおこなわないと、後遺症のリスクが高くなるのも事実です。 近年では従来の治療法に加えて、当クリニックも専門分野として提供している「再生医療」という新たな選択肢も登場し、より多くの患者様に回復の希望をもたらしています。 本章では脳梗塞における早期治療の必要性や後遺症について解説します。 治療が遅れると後遺症が出る危険性がある 脳梗塞で重い後遺症を出さないためには、発症してから早い段階での治療が必要です。 脳梗塞とは、脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死し、脳機能が低下してしまう病気です。 脳梗塞によって損傷した脳組織を元に戻すことは、一般的な治療では不可能といわれています。そのため、継続的なリハビリによって損傷した部分を補う必要があります。 治療が遅れると後遺症が出るリスクが高まるため、専門機関で早期に治療・リハビリを受けましょう。 脳梗塞による後遺症は、その後の生活の質を大きく低下させる可能性があります。 しかし、適切な治療とリハビリ、そして「再生医療」を組み合わせることで、後遺症の軽減や機能回復を目指すことができます。 脳梗塞に対して期待できる再生医療の特徴 身体の機能(後遺症)回復 脳卒中のリハビリ効果を高める 脳卒中の再発予防 再生医療は脳梗塞発症のタイミングから早期であればあるほど効果を発揮しますが、一定時間が経っていても改善が期待できます。 リペアセルクリニックでは、再生医療による後遺症治療にも力を入れています。 脳梗塞の後遺症について不安を感じている方、もっと詳しく知りたい方は、当院の公式LINEにご登録ください。 従来の治療法よりも脳梗塞の症状に対して改善が期待できる再生医療についてLINE限定で配信していますので、ぜひご確認ください。 ▼公式LINEで再生医療について配信中 >>脳梗塞や再生医療に関する情報はこちら 脳梗塞の種類と原因 脳梗塞の種類は以下の3つです。 アテローム血栓性脳梗塞 : 首や脳などのより太い血管が詰まることで起こる ラクナ梗塞 : 比較的小さな血管が詰まり、緩やかに症状が現れる 心原性脳梗塞 : 心臓の血栓の一部が血流により脳に運ばれ、血栓を作る いずれも高血圧や脂質異常症、高血糖などの生活習慣病による動脈硬化が原因で発症するケースが多くあります。 発症後は、脳内の正常な血流を回復する急性期治療を実施し、リハビリによって後遺症など二次的影響への治療をおこなうのが一般的です。 脳梗塞の原因や種類については、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 脳梗塞の早期治療に必要な検査とは 脳梗塞に対して早期に治療介入する上で重要になるのが検査です。 脳梗塞の主な検査は以下のとおりです。 身体検査:心臓の音や血圧を測ったり、神経学的診察を行います。 血液検査:血液が凝固する速さ、血糖値、感染症の有無を調べます。 CT検査:脳内出血、虚血性脳梗塞、腫瘍などを調べます。 MRI検査:虚血性脳梗塞や脳出血によって損傷した脳組織を検出します。 頸動脈超音波検査:頸動脈の脂肪沈着物 (プラーク) の蓄積と血流が示されます。 脳血管造影検査:脳と首の動脈を詳細に調べます。 心エコー検査:心臓から脳に移動して脳梗塞を引き起こした可能性のある心臓内の血栓の原因を見つけます。 脳梗塞を診断するためだけでなく、他の考えられる原因を除外する必要があるため非常に大切です。 これらの検査をおこなうことで正しく脳梗塞を診断でき、適切な治療へと導くための大切な治療プロセスになります。 脳梗塞の後遺症と生活への影響 脳梗塞の発症後は、身体の麻痺や言語障害などの後遺症が出るケースもあります。 本章で脳梗塞によって生活にどのような影響が出るのかを理解し、受けるべき治療や退院後の生活について検討しておきましょう。 後遺症の種類 脳梗塞の後遺症に多い症状は以下のとおりです。 後遺症の種類 症状 運動麻痺 歩行が困難になる 日常生活動作が難しい 飲み込みがしにくい(嚥下障害) など 感覚麻痺 温度や触感がわかりにくい 痺れを感じる など 高次脳機能障害 物忘れがひどい(記憶障害) 注意力散漫になり混乱しやすい(注意障害) 言葉が話しにくい、言葉を理解できない(失語症) など 脳梗塞が生じた部位や重症度によって、後遺症の種類・程度も変わる場合があります。 生活への影響 脳梗塞の後遺症により、日常生活にさまざまな影響が出ることがあります。 たとえば、運動麻痺の後遺症がある場合、歩行などの日常動作が難しくなり、食事や入浴、排泄などに介助が必要になるでしょう。 また、高次脳機能障害により、失語症や認知機能の低下がみられる場合は、周囲とのコミュニケーションが難しくなることもあります。 後遺症の種類や程度に応じて、日常動作訓練や言語訓練などのリハビリをおこない、社会・職場への復帰を目指します。 脳梗塞における3つの治療(急性期) 脳梗塞は脳梗塞の急性期における治療法は、主に以下の3つです。 血栓溶解療法(t-PA治療) 血管内治療(血栓回収療法) 抗血栓療法(内服治療) 本章を参考に、脳梗塞の治療に関する理解を深めておきましょう。 血栓溶解療法(t-PA治療) 虚血性の脳梗塞の場合は、血栓を溶かして脳への血流を回復させるアルテプラーゼと呼ばれる薬を注射することで治療できます。 このアルテプラーゼは、脳卒中の発生後できるだけ早く、確実に4.5時間以内に開始すると最も効果的です。4.5 時間以上経過した場合は、薬が出血性脳梗塞による出血を悪化させる可能性があるため、利用できません。 血管内治療(血栓回収療法) 重度の虚血性脳梗塞の場合は、血栓回収療法と呼ばれる血管内のカテーテル治療によって治療できます。 局所麻酔下または全身麻酔下でカテーテルを動脈に挿入し、小さなデバイスを、カテーテルを通して脳の動脈に挿入します。このデバイスを使用して血栓を除去することで、脳への血流が回復します。 血栓溶解療法同様に、脳梗塞後できるだけ早く開始すると最も効果的です。 抗血栓療法(内服治療) 血管の閉塞を治す急性期治療に加え、再発予防として、内服による治療も同時に行います。 1.抗血小板薬(アスピリン/クロピドグレル) アスピリンは抗血小板薬であり、新しく血栓が形成される可能性を減らすことができます。また、クロピドグレルなど、他の抗血小板薬も同時に併用する場合があります。 2.抗凝固剤(ワーファリンなど) 将来、新たな血栓ができるリスクを軽減するために、抗凝固薬を投与されることがあります。ワルファリン、ダビガトランなど、長期間使用できる抗凝固薬があります。 脳梗塞のリハビリについて 急性期治療の後は、できる限り多くの機能を回復するようリハビリに努めることが大切です。それが自立した生活を取り戻すことに繋がるからです。 リハビリには主に急性期、回復期、生活期の3つの段階があり、年齢、全体的な健康状態、および脳梗塞による障害の程度に基づいて、リハビリ内容を医師が決定します。 退院後は、同じ病院はもちろんですが、利便性を考慮して自宅の近くなど、別のリハビリ施設で、リハビリを続けることもできます。 リハビリは患者の状態に応じて以下のようなチームで行われます。 医師(脳外科、脳神経内科、精神科など) 看護師 栄養士 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 ソーシャルワーカー 発症後48時間以内の早期にリハビリを開始することで、脳梗塞による後遺症を軽減することがわかっています。 リハビリは脳梗塞後の機能回復に非常に重要な役割を果たしますが、慢性期を過ぎてしまうとリハビリも効果が薄くなってしまいます。 一方で最先端の医療技術である再生医療では、既に一定期間を過ぎてしまった脳卒中の後遺症に対して改善が期待できます。 もちろん治療が早ければ早いほど改善が見込みやすくなりますので、少しでも可能性を上げたい方は、再生医療という選択肢もぜひご検討ください。 現在当院の公式LINEでは、再生医療で改善傾向が見られた脳卒中の症例についても情報を提供していますので、以下からご確認ください。 ▼LINEで脳梗塞と再生医療に関する情報を限定配信中! >>【無料】公式LINEを確認する 脳梗塞の治療期間・費用 脳梗塞の発症後は、一般的に2〜3カ月間の入院が必要です。入院・治療の期間によってかかる費用も変動します。 本章を参考に、脳梗塞の治療にかかる期間や費用を具体的に把握し、事前に準備を進めておきましょう。 入院・治療期間 厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査」によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院期間は77.4日です。障害のある脳の部位や範囲など、脳梗塞の重症度によって、入院期間は変動します。 軽度の場合は2週間程度で退院できることもありますが、一般的には2〜3カ月の入院が必要になるでしょう。 悪性新生物(がん)による平均入院日数は19.6日であることから、脳梗塞の入院期間は一般的な病気に比べ長いといえます。 また、脳梗塞による入院期間は、年齢によっても差があります。年齢別の平均入院期間は以下のとおりです。 年齢 平均入院期間(平均在院日数) 0~14歳 31.3日 15~34歳 61.7日 35~64歳 51.8日 65歳以上 83.6日 70歳以上 86.9日 75歳以上 93.2日 ※厚生労働省|令和2年(2020)患者調査(確定数)の概況(P13)をもとに作成 高齢で脳梗塞を発症した場合、リハビリが長期化しやすい傾向があります。 脳梗塞になった本人やご家族が高齢の場合、入院が長期化する可能性があることを理解しておきましょう。 費用 厚生労働省の「令和2年度 医療給付実態調査報告」によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院費用は約90万円となっています(健康保険3割負担の場合)。 脳梗塞の入院・治療費は、高額療養費制度を活用することである程度負担を抑えられる可能性があります。 高額療養費制度とは、医療機関などでかかった医療費が1カ月で上限額を超えた場合、超えた分の金額があとから払い戻される制度のことです。 参照:厚生労働省|高額療養費制度を利用される皆さまへ ただし、脳梗塞の医療費は入院期間や重症度などによって変動するため、具体的な金額は医療機関へ確認しておきましょう。 まとめ|脳梗塞を治すなら早めに適切な治療を受けましょう 本記事では、脳梗塞の治る見込みや後遺症、治療期間・費用などを詳しく解説しました。 脳梗塞は早期の治療開始が大切で、適切なリハビリをおこなうことで克服できる病気です。ただし、治療が遅れれば後遺症が重くなる可能性が高まり、日常生活にも大きな影響を及ぼしかねません。 早期の治療開始と適切なリハビリにより、発症前と同じような生活や仕事復帰も可能になるでしょう。 しかし、発症後の時間経過や後遺症の程度によっては、従来の治療法だけでは改善が難しい場合もあります。 そこで、ぜひ知っていただきたいのが「再生医療(幹細胞治療)」という選択肢です。 当院「リペアセルクリニック」では、国内でも数少ない、自己の幹細胞を用いた再生医療(幹細胞治療)を提供しており、より多くの患者様に回復と再発防止の抑止につなげています。 なかでも、厚生労働省に届出済の当院の幹細胞治療は、2億個もの「フレッシュ」な幹細胞を、患者様ご自身の血液を用いて培養する点が特長。 再生医療で一度壊れた脳細胞を復活させることで、リハビリ効果を高めたり脳梗塞の再発を予防したりする効果が期待できます。 脳梗塞の後遺症でお悩みの方で、「脳梗塞の症状を少しでも改善したい」「今すぐにでも改善見込みがあるのか知りたい」という方は、リペアセルクリニックの無料相談をご利用ください。 脳梗塞の治療や入院に関するよくある質問 Q.脳梗塞の治療後、仕事復帰はどのくらいでできる? A.仕事復帰までの期間は、患者それぞれによって異なりますが、基本的には3ヶ月後に退院できるケースが多いようですが、退院してすぐに復帰できるわけではありません。 多くの場合、発症から半年または1年後を目途に復帰できるケースが多いようです。 Q.脳梗塞を早く治すにはどうしたらいいですか? A.脳梗塞を早く治すには、何といっても早期治療が大切です。ただし、早期治療後にすぐに治るというわけではなく、リハビリなど日常生活に戻るには個人差があるのが実情です。 発症後 3ヶ月過ぎると、治りづらくなるため、できるだけ早くリハビリに取り組むことが、早く治すことにつながります。 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています
2022.10.28 -
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「脳梗塞は20代や30代でも発症するの?」「若いうちから脳梗塞の予防を考えるべき?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。 結論からいえば、脳梗塞は20代や30代など若い人であっても起こりうる病気で、若年性脳梗塞と呼ばれることもあります。 20代・30代の若いうちから生活習慣を整え、脳梗塞の予防に努めることが大切です。 本記事では、20代の脳梗塞のリスクや予防方法について詳しく解説します。 本記事を参考に、20代から脳梗塞の予防に努めましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 20代・30代で脳梗塞になる確率は1% 脳梗塞は高齢者に多い病気ではあるものの、20代や30代でも1%の確率で発症する可能性があります。 現に、30代の脳血管患者(脳梗塞含む)は約1,000人もいるとの報告もあります。(文献1) 若年層の脳梗塞の発症は珍しいことではありません。 早期に発見できず治療が遅れると、その後の後遺症や生活へ大きな悪影響を及ぼすことも考えられます。 そのため、日常から健康に気を配ることが大切です。 「まだ20代だから大丈夫」と侮らずに、今からできる脳梗塞の予防策を実践してみてください。 脳梗塞とは「脳血管の詰まり」による脳障害 脳梗塞とは、脳にある血管が詰まることで脳への血流が途絶え、脳機能に障害が起こる病気です。 2025年1月現在、日本人の多くの死因である疾患として注目されています。 脳梗塞のタイプは大きく分けて以下の3つです。 種類 特徴 ラクナ梗塞 脳血管の中でも細い血管が詰まる脳梗塞。 無症状の場合があるものの、重要なカ所の血管が詰まると重篤になることがある。 アテローム性脳梗塞 コレステロールの塊が脳血管の中に蓄積することで生じる脳梗塞。 心原性脳梗塞 足や心臓など、脳以外のカ所が原因で引き起こされる脳梗塞。 これらの脳梗塞はいずれも血管が詰まることで発症するものの、原因が異なります。 原因や脳梗塞の範囲によって、対策方法や治療方法が異なるため、医師の指示のもとで適切な治療を受けることが大切です。 【すぐに受診しよう】脳梗塞における3つの前兆 脳梗塞の初期症状は、主に以下の3つです。 顔が動かない 片腕が動かない 会話ができない 脳梗塞の後遺症は、いかに早期に発見し、迅速な治療ができるかでその後の後遺症が変わります。 本章を参考に、初期症状を事前に理解して早期に脳梗塞を疑いましょう。 1. 顔が動かない 脳梗塞の前兆として、以下のように顔面の一方に麻痺があらわれる場合があります。 顔の半分が下がる 笑顔が上手につくれない 片目が開きにくいまたは閉じにくい 顔面神経に近い血管が詰まることで、神経の働きが阻止されて顔面麻痺があらわれる可能性があります。 鏡をみると顔の動きに違和感があり、周囲の人に指摘されたりした場合は迷わず脳神経外科へ受診しましょう。 2. 片腕が動かない 片腕が動かなくなる症状も、脳梗塞の前兆の一つとして知られています。 具体的な症状は以下のとおりです。 両手を同時にあげても、片方だけ下がる 物を持つ動作がぎこちない 片腕の感覚がないまたは薄い 片腕に違和感がある場合、両腕を上げてみて片腕が垂れてこないかどうかを確認してみましょう。 3. 会話できない 以下のような言語障害も、脳梗塞の前兆です。 いつも通り言葉が出てこない ろれつが回らない 他の人の言葉が理解できない 言語障害は自分自身で気づくこともあるものの、身近な人が会話していて異常に気がつく場合もあります。 自覚症状はもちろんのこと、他の人に言語障害の症状が見られる場合は迅速に受診を促すようにしましょう 今回解説したような前兆に早めに気がつき、すぐに処置を行うことで後遺症の悪化を防げる可能性があります。 脳梗塞の前兆についてより詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 20代で脳梗塞になる7つの原因 20代で脳梗塞が起こる原因は、主に7つあります。 脂肪分や塩分の高い食品の摂取 ストレス 運動不足やデスクワーク タバコ 遺伝 妊娠 女性ホルモン剤の副作用 原因に対して今からでも予防が可能です。 本章の内容が該当する方は、脳梗塞を予防するために対策をしましょう。 1.脂肪分や塩分の高い食品の摂取 20代で脳梗塞のリスクを高める大きな一因が「脂肪分・塩分の多い食品の過剰摂取」です。 2025年1月現在では、食生活の欧米化が進み、ファストフードやスナック菓子など不健康な食生活が常態化している方も多いかもしれません。 脂肪分や塩分が高い食品の一例として、以下があります。 脂肪分が多い食品 フライドポテト ケーキ から揚げ など 塩分が高い食品 インスタントラーメン ポテトチップス 梅干し など 豊富な栄養素を含んだ食事にすると、脳梗塞のリスク低減が期待できます。 今回紹介したような食品を日常的に食べている方は、頻度や量を控えましょう。 2.ストレス ストレスも脳梗塞のリスクを増加させる一因です。 過度なストレスは交感神経を刺激し、ストレスホルモンの分泌を促します。 その結果血圧が上昇し、脳梗塞のリスクを高めてしまいます。 とくに20代や30代は仕事や学業、人間関係などでストレスを感じやすい年代です。 日頃からストレスを感じている方は、以下のようなストレス発散方法を生活に取り入れてみてください。 新しい趣味をはじめる 好きな音楽を聞く 自然に触れる ストレスを管理することが、結果的に脳梗塞の予防につながります。 3.運動不足やデスクワーク 運動不足や長時間座り続ける生活は、血流を悪化させ血管内で血の塊が作りやすくなる一因です。 デスクワークなどで座りっぱなしの状態を続けると、脳梗塞リスクを高めてしまいます。 適度な運動の習慣を取り入れるのはもちろんのこと、座りっぱなしを防ぐために「こまめに立つ」方法も脳梗塞防止に効果的です。 日常的に座りっぱなしの状態が続いている方は、1時間に1回程度は立つようにしましょう。 4.喫煙 喫煙は血管に悪影響を与える代表的な習慣です。 タバコに含まれる有害物質には血管を収縮させ、血圧を上げる作用があります。 その結果、血管が硬くなる「動脈硬化」を悪化させ脳梗塞のリスクも大幅に高まることも否定できません。 若い世代であっても、喫煙習慣を続けると脳梗塞になるリスクを高めます。 必要に応じて禁煙外来の受診も検討し、早めに禁煙できるよう心がけましょう。 5.遺伝 遺伝は20代での脳梗塞発生リスクを高める原因の一つです。 とくに「親や兄弟など近親者で脳梗塞にかかった人がいる」場合、遺伝的な体質によりリスクが上昇するとの報告もあります。 遺伝による原因を取り除くのは困難であるため、生活習慣の改善や定期的な検査で早期発見を心がけることが大切です。 また、脳血管障害の一つ「もやもや病」も、遺伝が一因であるとされています。 もやもや病について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 6.妊娠 妊娠により脳梗塞のリスクが上がる場合があります。 とくに妊娠高血圧症候群は脳血管への負担を増すため、脳梗塞のリスクが上がると言われているのです。 また、妊娠中は出産に備えて血液が固まりやすくなるよう体質が変わります。 そのため、妊娠高血圧症にかかっていなくても注意が必要です。 妊娠中は血圧管理や定期的な検診で、脳梗塞の予防になるため、出産を控えている方は心がけてみてください。 妊娠高血圧症について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 7.女性ホルモン剤の副作用 女性ホルモン剤の使用も脳梗塞のリスクを増加させる要因です。 女性ホルモン剤の服用で稀に血栓症が副作用としてあらわれる可能性があるため、脳梗塞につながる可能性があります。 血栓症が報告されている女性ホルモン剤は、以下のような目的で使用されるケースが多いです。 PMS(月経前症候群) 月経困難症 避妊 不安な方は、薬の使用前に医師から副作用について相談してみましょう。 20代の脳梗塞を予防する4つの方法 20代からできる脳梗塞の予防として、以下の4つがあります。 バランスの取れた食事をする 定期的に運動する 禁煙する 定期的に検査を受ける 若年層から脳梗塞を予防するためには、生活習慣を見直し、脳血管に負担をかけないことが重要です。 本章を参考に、脳梗塞のリスクを減らしましょう。 1.バランスの取れた食事をする 若年性脳梗塞を予防するためには、食生活の改善にて動脈硬化を防ぐことが大切です。 食生活が乱れていると感じる方は、以下のような工夫で食事を見直してみましょう。 野菜や果物、魚を積極的に取り入れる スープやみそ汁の塩分を減らし、具材を多く入れる インスタント食品のような加工食品を食べる頻度を減らす 20代や30代は仕事や育児で忙しく、食生活が乱れがちです。 塩分や脂質の摂りすぎに注意した食生活で、脳梗塞の予防に努めてみてください。 2.定期的に運動する 運動不足は血流を悪化させ、血の塊を作りやすくして脳梗塞のリスクが上がります。 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと、脳梗塞の予防につながるでしょう。 毎日無理なく続けられる運動を取り入れることが大切です。 また、デスクワークが中心の生活を送っている場合は、1時間に1回程度こまめに立ち上がり、ストレッチを行うことで血流の改善が期待できます。 デスクワークの方は、座りっぱなしの状態を防ぐように意識してみてください。 3.禁煙 喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を進行させる原因になります。 そのため、喫煙している人は早めの段階で禁煙することが重要です。 自力での禁煙が難しい場合、専門機関で治療が行える「禁煙外来」の活用も選択肢のひとつです。 以下の条件すべてに当てはまる場合、禁煙外来を利用できます。(文献2) ニコチン依存症と診断されている すぐの禁煙を希望している 禁煙治療について説明を受けて文書により同意している 無理をせずに、専門医の力を借りて禁煙を心がけましょう。 4.定期的に検査を受ける 高血圧や糖尿病、高コレステロール血症は自覚症状がほとんどないことが多いため、脳梗塞の発見が遅れる可能性があります。 定期的な健康診断で脳梗塞を早期に発見・治療すると、脳梗塞の悪化の防止が期待できます。 「無症状だから大丈夫」と侮らず、早期に脳梗塞の原因となる芽を見つけて対策をしましょう。 まとめ|20代でも脳梗塞リスクはある!生活習慣の改善で予防しましょう 本記事では、若年層、20代でも起こりうる脳梗塞について解説しました。 20代は高齢者に比べて脳梗塞にかかる可能性は低いものの、ストレスや食生活の乱れにより突然発症する可能性も否定できません。 そして、後遺症を残してしまうことも考えられます。 普段の生活習慣を改めた上で、医療機関での検診を活用し、若い頃から脳梗塞にならないように気をつけていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 20代の脳梗塞についてよくある質問 20代で脳梗塞になったあとの再発率はどのくらいですか? 20代で脳梗塞を発症した場合の再発率は極めて少ないといわれています。 ただし、全体の脳梗塞患者における10年間の再発率は約50%であるため、若い世代でも注意が必要です。(文献3) とくに高血圧や高コレステロール血症などの持病がある場合は、定期的な検査と治療を怠らないようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」で行っている脳梗塞の後遺症改善や再発予防について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 20代でも脳の検査をした方が良いですか? 家族に脳梗塞の往来歴がある方や、喫煙習慣がある方は定期的な検査をおすすめします。 また、高血圧や糖尿病など生活習慣病がある場合も同様に、定期的な検査で脳梗塞の早期発見が期待できます。 若年層でも、脳梗塞のリスクは否定できません。 定期的な検査を怠らないようにしましょう。 20代で脳梗塞で死に至る可能性はどのくらいですか? 20代の脳梗塞による死亡率は約5%未満と報告されています。(文献4) 若年層での脳梗塞による死亡率は極めて低いものの、発症後の治療までの時間が予後を大きく左右します。 脳梗塞の初期症状があらわれた際には、迷わず医療機関を受診しましょう。 参考文献一覧 (文献1) 厚生労働省.脳血管疾患患者数の状況.図表1-2-4 (文献2) 谷口 千枝 中村 正和.禁煙治療ってどんなもの?. e-ヘルスネット(厚生労働省). 2024.3.6. (文献3) 鳥谷 めぐみ, 長谷川 真澄, 粟生田 友子高齢軽症脳梗塞患者の再発に関するリスク認知.日本看護科学会誌. 2020 年 40 巻 p. 14-22 (文献4) 厚生労働省."死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)".平成21年(2009)人口動態統計(確定数)の概況.
2022.10.26 -
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脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法について 厚生労働省によると、脳卒中は、2018年の1年間における死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万8,186人で全体の7.9%を占め、死因の上位から4番目という結果となっています。 その翌年、2019年においても、10万6,552人で全体の7.7%となり、こちらも2018年同様に死因の上位から4番目という結果になっています。 脳血管疾患で亡くなった方のうち、60%にあたるおよそ7万人の方が脳梗塞で亡くなっており、一命を取り留めたとしても、後遺症である麻痺が残り、寝たきりになってしまう場合も少なくない怖い病気です。 しかし以前、1950年頃より約30年間、脳卒中は日本人の死因の第1位でした。 少しではあるものの順位が下がったのは、1960年頃より脳卒中発症において最大のリスク原因である高血圧に対する治療が広く行われるようになり、脳卒中の発症を一定以上抑制することが可能になったからです。 また、脳梗塞の発症直後に閉塞した血管を再開通させ、神経細胞死を防止する血栓溶解薬(t-PA)が日本でも認可(2005年)され、さらにカテーテルで脳血管を閉塞している血栓を除去する血管内治療も認可(2010年)されるなど、脳卒中直後の超急性期において神経細胞死を防ぐ治療法も進歩してきました。 脳卒中の兆候を見つけたら即病院を受診 脳卒中は、その兆候を発見したら直ちに病院へ向かいましょう。 早期に治療を開始することで「後遺症が軽くなる可能性」があるからです。 治療を行うには検査が必要となり、その検査に1時間程度必要ですので症状を発見したら早急!遅くとも2時間以内を目処に速やかに病院で受診すべきです。この時間が症状を左右する可能性があります。 病院ではまず、問診、診察、採血、胸部レントゲン、心電図、頭部CT、頭部MRI、頸動脈エコー、心エコーなどの検査を行います。検査の結果、脳卒中と診断されると次は治療に移ります。 脳卒中の中でも「脳出血」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」など各症状別に治療法は少し異なり、点滴や飲み薬による脳血流改善、血栓をできにくくする抗凝固療法や抗血小板療法、脳梗塞後に脳内で発生する活性酸素などの有害な物質を除去して、脳の障害を予防する脳保護薬の使用などがメインで行われます。 また、血圧、体温、脈拍などの全身状態の管理も行い、併せて日常生活動作の改善を目的としてリハビリも行います。 脳卒中の3つの症状とその治療法 1)脳出血 高血圧が脳出血の原因になることが多いので、降圧薬(血圧を下げる)を投与します。また、出血を止めるために止血剤を使用されることもあります。 さらに、出血によって脳が圧迫されるので、浮腫をとるための薬剤(抗浮腫剤)も投与します。また出血量が多い場合には、命にかかわる事もあるので、開頭手術によって血のかたまりを取り除く手術を行うこともあります。 2)くも膜下出血 脳の血管にできた「こぶ」が破裂して出血するので、破裂した部位をふさぐ手術をします。手術の方法は2通りあります。 開頭クリッピング術 頭の骨をはずして、「こぶ」の根元を洗濯ばさみのような道具(クリップ)ではさんでふさぎます。 血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術) 「こぶ」の中にコイルと呼ばれる細い金属をいれて「こぶ」全体をふさいでしまいます。カテーテルという細いストローのような道具を使って血管を通し、「こぶ」までコイルを運ぶので、開頭手術をすることはありません。 3)脳梗塞 脳梗塞は、脳の血管の動脈硬化が起きた部位に形成された血栓、あるいは心臓で出来た血栓によって脳の血管が詰まり脳が壊死してしまうものです。 脳梗塞がおこってから4.5時間くらいまでを超急性期といい、この時間内に詰まった血管を再開通させることができると、劇的に症状が改善する可能性があります。 脳梗塞がおこってから48時間以内であれば、血が固まるのを抑制する抗凝固薬を投与します。 脳梗塞の急性期のみに施行される治療には「t-PA」という点滴や、血管内治療などがあります。これらの治療を受けるには、発症してからの経過時間をはじめ、さまざまな条件があります。 それらをクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の2~5% (100人中で2~5人)程度しか、この治療は行われていません。 さらに、ルールを守って使っても 6%(100人に6人)程度の確率で症状が悪化するような脳出血を生じます。 うまくいけば劇的に症状が改善する一方で、効果が期待できなかったり、症状が悪化したりする可能性がある治療法であることを知っておいていただければと思います。 t-PA:組織型プラスミノゲン・アクティベーター(tissue-type plasminogen activator:t-PA) こちらの薬を点滴して血栓を溶かし、脳の血流を再開させます。t-PAを使用することで、3ヶ月後に自立した生活を送れる患者さんが、使用しなかった時と比べて約50%増加するとされています。 脳梗塞により脳神経細胞が死に至る経過は早く、適切なタイミングを逃すと、出血などの合併症で逆に症状が悪化する危険があります。基本的には発症してから4.5時間以内に治療が開始できる患者さんに限り、治療の対象となります。 (t-PAは2005年10月から日本で認可され、発症後3時間以内の患者さんを対象に使用されていましたが、2012年9月より対象となる治療間が4.5時間に延長されています。) 血管内治療 脳梗塞の血管内治療は、発症してから8時間以内の患者さんが対象となる治療です。 細いビニールの管(カテーテル)を足の血管から挿入して、脳の血管へ進めて、血管の詰まりの原因となっている血栓を溶解したり、回収したりして、閉塞した脳血管を再度開通させます。 具体的な方法として、カテーテルを閉塞した血管に導入し、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)を投与する方法、バルーンを閉塞した血管に留置し血栓を破壊する方法。 また、メルシーリトリーバーという、先端がらせん状になっている柔らかいワイヤーで、脳の血管をつめている血栓をからめとって回収する方法。 ペナンブラという血栓を吸引する器具で、まるで掃除機のように血栓を吸引し回収する方法(柔らかい血栓も回収することが可能)などがあります。 t-PA療法の注意点 問題点としては、t-PA療法の適応対象となる時間「4.5時間」が強調されるあまり、「4.5時間を過ぎた場合は治療してもあまり意味がない」と誤解されることが多く、専門病院への受診を躊躇されるケースもみられます。 また発症時刻がはっきりとわからない場合では、発見から早急に病院へ搬送してもt-PA療法の適応とならないことがありました。しかし2019年3月より、頭部MRI検査で「発症からあまり経過していない可能性が高い」という所見がみられる場合には、t-PA療法を検討できるようになりました。 そして、脳卒中専門の病棟であるSCU(脳卒中ケアユニット)で従来使用される薬を用いた治療や急性期のリハビリテーションを積極的に行うことで、発症後4.5時間を過ぎて来院された患者さんでも良い治療効果が現れることも少なくないので時間にかかわらず専門施設でしっかりとした初期治療を始めることが重要です。 脳梗塞の再発予防 一度脳梗塞を起こすと再発しやすい傾向があり注意が必要です。統計的には脳梗塞発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%もの人が再発しています。 そこで、脳卒中の再発を予防するには、まず生活習慣の改善を行うことです。脳卒中の危険因子とされている高血圧や喫煙、多量の飲酒、糖尿病、肥満、運動不足などは脳卒中の発症の危険性が高まります。 医師、薬剤師、栄養士など専門職の指導に従い、規則正しい生活や禁煙、減塩や減量に取り組みましょう。 また再発予防として、抗血栓薬を処方されることがあります。脳卒中の原因によって処方される薬剤は違い、心臓が原因で発症した心原性脳塞栓症には抗凝固薬が、心臓以外の原因(血管由来)の非心原性脳梗塞には抗血小板薬が使用されます。 ①具体的な再発予防~危険因子のコントロール~ 脳卒中の危険因子は、再発の危険因子でもあります。過去に一度脳卒中を発症しているということは、すでに危険因子があるということなので、十分注意をしましょう。 脳卒中の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、多量飲酒、肥満、喫煙、運動不足などです。これらを予防し、さらにコントロールしていくことが再発予防につながりますので、以下のようなことを心がけましょう。 禁煙 文字通りタバコを止めましょう 塩分の取り過ぎを控える 成人男性8g未満、女性7g未満で高血圧患者では6g未満 減量 標準体重を知ってダイエットを行う 食事に気を付ける 毎日5種類以上の野菜(350g/日以上)、魚、果物の摂取 減塩、低カロリー、低コレステロール入浴 節酒 アルコール換算20g程度(日本酒1合程度)に抑える 既往症に注意する 高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓病などがある場合には適切に治療する 運動 適度な運動を行う、ストレスや疲労をやめない 定期健診 定期的に健診を受け、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖などをチェックする 水分を取る 脱水症状にも注意 ②具体的な再発予防~定期的な検査~ 脳梗塞が治まった後も年に1回程度専門病院へ行き、検査を受けることが重要です。CT、MRIの他に頸部の血管を検査する頚動脈エコーも脳梗塞再発予防には有用です。 ③具体的な再発予防~服薬継続~ 再発予防のためには、処方された薬をきちんと服用することも大切です。主治医の指示に従って、正しく継続して服用しましょう。なお、服用中に副作用が現れるなど気になることがある場合は、すぐに相談しましょう。 まとめ・脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法 脳卒中の治療には、手術・点滴・内服薬などがあります。 これらの中で内服薬な自分で管理をする必要があります。ところが、処方された量を決められた日数できちんと飲みきる人は意外と多くありません。実際のところ、薬を飲み残してしまう理由の大半は単なる飲み忘れです。 服薬カレンダーの使用や一包化するといった工夫で、その時間帯に服用すべきお薬を選ぶのは容易ですが、定刻に服薬することを思い出すことは、高齢者にとっては難しい面もあります。 定刻に服薬することを思い出すためには、お知らせ機能付きのピルケースやスマートフォン・携帯を利用してアラームや通知を設定し、飲み忘れを防ぎましょう。 以上、脳卒中の3つの症状とそれぞれの治療法、再発を予防する具体的なコントロール方法について解説にしました。参考にしていただければ幸いです。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の先端治療法として脚光を浴びています ▼以下のご覧いただけます 脳卒中の治療!リハビリについての予後予測 1.くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説! 2.脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 3.脳出血の初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
2021.12.21