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脳梗塞の患者様の家族が、看護で注意したいポイントとは?

脳梗塞患者の家族が看護で注意すべきポイントをご説明します

  • 「脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したらいいのか?」
  • 「脳梗塞の看護のポイントについて知りたい」

家族や親戚が脳梗塞になってしまった場合は、どのように看護すればいいのか不安な方は多くいるのではないでしょうか。脳梗塞は早期に治療を受けても、後遺症が残る場合があり、治療だけでなく入院中からの看護計画や介入が大切です。

そこで、今回は脳梗塞の症状や看護のポイントについて「急性期」「回復期」「慢性期」に分けて説明しますので、ぜひ参考にされてください。

脳梗塞 看護

脳梗塞とは?症状や治療について

脳梗塞は、脳に栄養を供給する1 つ、または複数の血管における脳循環が障害されることで、脳の機能にさまざまな異常をもたらします。

脳には機能別にいくつかの部位が分けられていますが、傷害される部位によって、以下のような症状が現れます。

脳梗塞 看護

  • ・前頭葉障害

  • 人格や性格変化
  •  
  • 頭頂葉障害

  • ・体が動かなくなる
  •  
  • 後頭葉障害

  • 視野の半分が目が見えなくなる(同名半盲)
  •  
  • 側頭葉障害

  • 学習、記憶障害

そのほかにも以下のような症状が現れます。

  • その他の症状
  • ・めまいまたは突然の激しい頭痛
  • ・視覚障害(バランスの喪失、片麻痺)
  • ・構音障害(話すのが難しい)
  • ・感覚の障害
  • ・うつ病、その他の心理的問題

脳梗塞後、血液の循環が正常に戻るのが早ければ早いほど、完全に回復する可能性が高くなります。しかし、脳梗塞を生き延びた人の約半数は、永久に障害が残り、数週間、数か月、または数年以内に再発します。

したがって脳梗塞は治療する上で看護やリハビリもまた重要なのです。

脳卒中の治療

脳梗塞の看護のポイントについて

それでは、脳梗塞患者の看護のポイントについて説明したいと思います。

脳梗塞患者は、多くの場合入院による治療が必要であり、ICUなどの集中治療室で看護師によるケアが必要になります。これは、脳梗塞の症状が急速に変化する可能性があり、悪化を防ぐために迅速な介入が必要になるためです。

さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多いため、看護師は、身体的および心理社会的にも患者のケアを行います。

それでは具体的に看護のポイントを3つの段階に分けて説明していきます。

脳梗塞 看護

①急性期の看護のポイント

脳梗塞を発症した急性期は全身状態が特に悪く、急変するリスクが高いため、それに応じた看護計画が大切です。

急性期には、脳梗塞が拡大したり、再出血が起こったりと悪化する可能性が高いです。

発症後数時間以内は、脳の機能が4.5時間以内に血栓溶解療法と呼ばれる治療が可能ですが、これらの急性期の治療による脳浮腫などの合併症を予防することも大切になります。

主に急性期にチェックするポイントは以下です。

  • 急性期のチェックポイント
  • ・意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など)
  • ・呼吸と循環の管理
  • ・血圧管理
  • ・体温管理
  • ・排尿管理
  • ・皮膚の状態
  • ・出血管理

特にt-PAによる血栓療法による脳浮腫や脳の血管の圧力の増加によって、意識障害をきたしやすいため、意識レベルおよび呼吸、循環動態のチェックが大切です。

意識レベルはJCS、GCSを用い、開眼の有無、言語機能、運動機能などを確認し、そのほかにも血圧の管理や脱水状態の有無を確認します。

②回復期のポイント

急性期の後の回復期には、主に引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すための看護を行っていきます。

患者の日常活動における機能障害に関する看護評価を行います。

  • ・感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため)
  • ・栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態
  • ・皮膚の状態、褥瘡対策
  • ・排尿機能
  • ・運動機能(上肢および下肢の動き)
  • ・精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など)

1.栄養機能管理

栄養補助に関しては、咳や、口の片側に食物が溜まってないか、または液体を飲み込むときの逆流がないか観察します。

また、言語聴覚士に相談して、飲み込む機能の評価をしてもらった上で、患者に少量の小さな食物や水分を摂取するように促しましょう。必要に応じて、チューブを介した腸栄養の準備をします。

2.排尿管理

腸の筋肉の制御が失われている間は、排尿管理自分で行えないため、無菌のカテーテル挿入を行います。

また、十分な水分摂取量(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするようにしましょう。

3.皮膚の状態と褥瘡管理

皮膚悪い兆候を頻繁に評価します。

皮膚を清潔で乾燥した状態に保ち、健康で乾燥した皮膚をやさしくマッサージし、十分な栄養を維持します。

また、褥瘡を防ぐために、1日に数回2時間ごとに位置を変更します。

4.運動機能の改善

意識が回復したら積極的なリハビリテーションプログラムを開始することになります。

リハビリでは、関節の可動性を維持し、運動機能を回復し、麻痺した四肢の拘縮を予防し、神経筋系のさらなる悪化を防ぎます。

看護の面では、リハビリ中の患者のサポートを行いましょう。長時間のリハビリではなく、複数回の短時間のリハビリを計画します。

また、運動中の肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など) を観察します。

③慢性期の看護のポイント

慢性期はいよいよ退院に向けての準備を行います。全身管理に加え、主に以下の点を重視して取り組みましょう。

  • ・退院後の日常生活の支援
  • ・心理的なケア

慢性期では、患者の健康の維持だけでなく、患者家族が対処するための問題や課題を主に支えます。患者、および家族を巻き込んで、自宅で患者が達成可能な目標を計画します。

心理的な問題は通常、時間の経過とともに改善することを家族に説明し、不安を和らげるために感情的なサポートと理解を提供しましょう。

脳梗塞の看護のよくある質問

脳梗塞の看護に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。

脳梗塞の看護を行う上での疑問をまとめましたので参考にされてください。

Q.脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか?

A,脳梗塞では、脳の血流が低下し、脳が浮腫んでしまいます。このむくんだ状態によって、脳の血管が圧迫されると結果的に血圧が高くなってしまいます。

Q.脳梗塞の時はベッド上での安静が必要?

A,脳梗塞直後は、ベッド上での安静が基本です。これは頭を上げたり、立ち上がると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。

Q. どのくらいで退院できますか?

A,患者によって異なりますが、平均的にみて、2-3ヶ月以内に退院するケースが多くなっています。

まとめ・脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは

脳梗塞は適切な治療とリハビリを行えば、治る病気ですが、後遺症が残ることがあり、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になることがあります。

そこで、重要なのが入院中からの適切な看護ケアです。脳梗塞の看護のポイントは、急性期〜慢性期にかけて異なるため、段階に応じた患者対応が必要になります。

脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中の早い段階からのリハビリと共に看護ケアを適切に行うことが不可欠です。

以上、ご参考になれば幸いです。

 

No.S098

監修:医師 加藤 秀一

 

▼脳梗塞の治療に関しては、こちらをご参照ください。
脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安が知りたい

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