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- ひざ関節
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半月板損傷と診断された場合、生活ではどのような点に注意すべきか知りたい方はいませんか。 半月板には、膝関節を滑らかに動かすための重要な役割があります。日常生活で半月板に負担がかかるような動作を行っていると、さらに症状が悪化する恐れもあるでしょう。 この記事では、半月板損傷後の生活でやってはいけないことや、具体的な治療法について解説します。 生活上の注意点について意識しておくことで、半月板の負担が軽減され、よりスムーズに治療を進められるでしょう。 >> 半月板損傷でやってはいけないことをすぐに知りたい方はこちら そもそも半月板損傷とは 半月板とは、太もも側の大腿骨と、すね側の脛骨の間に存在する軟骨でできた板のような組織です。アルファベットのC型のような特徴的な形状をしており、膝関節の内側と外側に1つずつ存在します。 膝には、以下のような関節を構成する組織があり、半月板は、それらを安定させる役割があります。 軟骨 靭帯 筋肉 腱 それ以外にも半月板は膝関節のクッションとして作用し、膝の荷重や衝撃などを軽減したり、膝の動きを滑らかにしたりする働きもあるのです。 このように、半月板は膝を構成する大切なパーツですが、急激な衝撃や過度な負荷がかかることで損傷する場合があります。 ここでは、半月板損傷の症状や原因について解説します。 半月板損傷の症状 半月板損傷のおもな症状は、以下のとおりです。 膝の痛み 腫れ 引っかかり感 関節がズレる感覚 動作時の関節の音 膝の曲げ伸ばしの困難さ(ロッキング) 人は歩くだけでも体重の5倍もの負担が膝関節にかかるといわれています。そのような負荷や強い衝撃を受け続けると、半月板の損傷につながります。 半月板は一度損傷すると自然治癒することはほとんどないため、治療が必要です。上記の症状が悪化すると、日常生活に支障をきたす恐れもあるでしょう。 また、半月板損傷は症状によって5つのタイプに分けられます。 縦断裂 横断裂 円盤状断裂 フラップ状断裂 水平断裂 詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 半月板損傷の原因 半月板損傷で痛みが起こる原因は、大きく「筋収縮」と「炎症」の2種類に分類されます。 それぞれの原因によって起こる痛みのメカニズムは、以下のとおりです。 このように、痛みの原因は半月板だけというわけではなく、別の影響も関係しています。 半月板損傷でやってはいけないこと4つ 半月板損傷でやってはいけないこととして、以下の4つがあげられます。 急に方向転換をする 階段の昇り降りをする 立ちっぱなしや歩行を長時間行う 正座や和式トイレの利用などの膝に負担がかかる姿勢をする ここでは、それぞれについて詳しく解説します。 1.急に方向転換をする 急な方向転換は膝を捻るような力が加わるため、半月板への負担がかかりやすく、痛みの悪化につながります。 方向転換する際は、ゆっくりと行うようにしましょう。 また方向転換に関わらず、どのような動作でも性急に行わないように注意することが大切です。 2.階段の昇り降りをする 階段の昇り降りの動作は膝関節にかかる負担が高く、頻繁に行うと症状が悪化する恐れがあります。 半月板損傷の方は階段の使用はなるべく控え、エレベーターやエスカレーターなどを活用しましょう。 階段を昇り降りしなければいけない場合は、手すりや杖の使用がおすすめです。 3.立ちっぱなしや歩行を長時間行う 長時間の立ちっぱなしや歩行も膝の負担がかかりやすいため、できるだけ避けましょう。 長時間立ったり歩いたりする必要がある場合は、以下のような対策をして膝への負担軽減を図ることが大切です。 杖を使用する 途中で休憩する 膝サポーターを装着する 4.正座や和式トイレの利用などの膝に負担がかかる姿勢をする 正座や和式トイレなどは膝を大きく曲げる必要があり、半月板や関節に負担がかかります。 とくに和室や古い建物で生活している方は、このような膝を大きく曲げるような動作が多い傾向にあります。 膝の負担を軽減するには、イスを中心とした生活に切り替える、洋式トイレに改修するなどの工夫が必要です。 【注意】半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷によって半月板としての機能が損なわれている状態を放置すると、その間に軟骨に大きな負担がかかります。結果的に軟骨がすり減り、「変形性膝関節症」を発症する可能性があります。 変形性膝関節症が進行した場合、人工膝関節置換術(膝関節を人工物に入れ替える手術)を行わなければいけないケースもあるでしょう。 半月板損傷が発症した場合は放置せずに治療を行い、回復に専念することが大切です。 半月板損傷を発症したら早期に医療機関に受診し、適切な治療を受けましょう。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いや症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の治療法としては、おもに以下があげられます。 保存療法 手術療法 再生医療 ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法ではリハビリを中心に行い、必要に応じて膝にたまった水を抜く、潤滑性と抗炎症作用が期待できるヒアルロン注射をするなどの対応をします。 痛みや炎症がある場合は鎮痛剤や炎症剤などの薬物を用います。 このような保存療法でも痛みが強く、改善の見込みが薄い場合は、手術療法を検討する必要があるでしょう。 手術療法 手術療法では、膝の状態にあわせて以下の術式が行われます。 ・縫合術:断裂した半月板を縫い合わせる手術 ・切除術:断裂した半月板を取り除く手術法 ただし、これらの手術を行った場合でも、将来的に変形性膝関節症を発症するリスクがあります。そのため、手術後もリハビリや薬物療法などの保存療法は欠かせません。 手術をする場合は入院も必要となり、とくにスポーツをされている方は、復帰までに時間がかかる可能性があります。 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。手術についてさらに情報を知りたい方は、ぜひこちらも記事もご覧ください。 再生医療 これまで半月板損傷の根本的治療には手術が必要でしたが、「再生医療」という新しい選択肢も生まれています。 再生医療の1つに、自身の脂肪から採取・抽出し培養で増やした「幹細胞」を膝に直接注射する方法があります。幹細胞とは、傷ついた半月板を修復させ、痛みや炎症を抑える効果が期待できる細胞です。 自分自身の脂肪から培養する細胞なので、アレルギーや副作用のリスクが低く、患者さんの身体への負担が少ないのが特徴です。 また、外科的な手術に比べて治癒までの期間が短い傾向にもあります。 入院する必要がなく、手術を受けずに治療できるため、とくにスポーツ選手にとっては大きなメリットといえるでしょう。 身体にメスを入れずに済み、パフォーマンスを極力落とさずに治療を受けられます。 まとめ|半月板損傷のやってはいけないことを避けて症状改善を目指そう 半月板損傷は膝の半月板と呼ばれる軟骨が傷ついている状態のことで、痛みや炎症などの症状が現れます。 半月板損傷は自然治癒が期待できず、放置すると症状が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 そのため、発症後は早期からの治療が重要です。 おもな治療法には保存療法や手術療法があり、新しい選択肢として再生医療もあります。 半月板損傷を発症したら、まずは医療機関へ受診し、その方の症状にあった治療を受けましょう。 半月板損傷に関するよくある質問 ここでは、半月板損傷に関してよくある質問に対してお答えしています。半月板損傷に関して疑問がある方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。 半月板損傷を早く治す方法はありますか? 半月板損傷を早く治す方法としては、再生医療があげられます。前述したように、再生医療は自身の細胞や組織を活用し、傷ついた部位の再生を図る治療法です。 入院や手術をする必要がないので、身体に負荷をかけず、効率的に治療を進められるのがメリットです。 半月板損傷に対して効果的な治療をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
2022.02.15 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
「半月板断裂と半月板損傷は何が違うの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 結論からいえば、2つに明確な違いはないものの、痛み方の特徴や程度によって「損傷」「断裂」と呼び分けている場合があります。 この記事では、半月板断裂と損傷の違いについて、具体的な症状や治療法、リハビリ方法などを医師監修のもと解説します。 適切な対処で膝の健康状態を維持したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷に対する再生医療・幹細胞治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 半月板断裂と損傷の違い 膝の半月板に起きる様々な障害を総称して半月板損傷と呼ぶこともありますが、症状の特徴や痛みの程度によって「半月板損傷」「半月板断裂」と呼び分けるケースもあります。 いずれも主な原因は、加齢による半月板の変性や柔軟性の低下、スポーツなどによる過度な負荷です。 本章を参考に、半月板断裂・損傷に違いがあるのかを知っておきましょう。 半月板損傷(断裂)の症状 半月板損傷(断裂)の症状は、いずれも膝への強い痛みや違和感が特徴です。 原因に大きな差はないものの、損傷の程度によって現れる症状が異なる場合があります。 具体的には以下のような症状があげられます。 診断名 症状の特徴・痛み 半月板断裂 激しい痛み、関節のロック感 半月板損傷 鈍い痛み、違和感 半月板断裂は、強い痛みとともに関節が動かなくなる「ロッキング」が特徴的です。とくに、膝をひねる動作をした際に「バキッ」とした音が鳴ることがあり、その後急激な痛みと腫れを伴います。 一方、断裂まで及ばない半月板損傷では「鈍い痛み」や「違和感」が続く場合が多いです。 初期は動作時に軽い違和感がある程度でも、放置すると損傷が進行するため注意が必要です。軽度のうちは保存療法で回復が見込まれるものの、長期間改善しない場合は手術を検討します。 半月板損傷の痛みや原因については、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。 半月板損傷(断裂)の原因は「膝への大きな負荷・衝撃」や「加齢」 半月板損傷・断裂はいずれも以下のような原因で起こります。 スポーツや急な動作による膝への負荷 交通事故・転倒などによる膝への急な衝撃 加齢による膝の組織の劣化 半月板損傷や断裂は、サッカーやバスケットボールなど、膝をひねる動作が多い競技でとくに多いけがです。ジャンプの着地や急停止、方向転換を繰り返すと、膝に強いストレスがかかり、半月板がダメージを受けるリスクが高まります。 さらに、交通事故や転倒時など、膝に突然大きな衝撃を受けると、半月板断裂・損傷を起こすこともあるでしょう。 また、年齢とともに半月板の弾力は失われていきます。膝の曲げ伸ばしを繰り返すなど、日常の動作による負荷だけで損傷が起こるケースも少なくありません。 スポーツ前は念入りな準備運動やストレッチを行う、普段から適度な運動で膝周りの筋肉を鍛えるなどを心がけましょう。 半月板損傷の5つの症状(タイプ)とは 半月板損傷は、損傷の形状や部位によって複数のタイプに分類されます。代表的な損傷タイプは以下の5つです。 損傷タイプ 特徴 症状 縦断裂 縦方向に裂け目が入る 引っかかり感や痛み。膝をひねると悪化する 横断裂 横方向に裂ける 鈍い痛みや腫れ。膝の不安定感が出る 円盤状断裂 円盤状の半月板に裂け目ができる コツコツ音や引っかかり感が特徴 フラップ状断裂 裂けた部分が剥がれ、フラップ状になる 膝のロック感や激しい痛み 水平断裂 上下に分断されるように裂ける 鈍い痛みが膝全体に広がり炎症が悪化する 症状を放置すると、進行して治療が困難になる場合がありますので、早期に医師の診断を受けましょう。 半月板断裂と損傷の治療方法の違い 半月板断裂の治療法は、損傷の程度や部位、患者の年齢・活動量などに応じて変わります。 大きく分けて、手術療法と保存療法があります。 半月板断裂の治療方法 半月板断裂の治療方法は、断裂の範囲や症状の重さによって異なります。 軽度の場合は保存療法で回復が見込めますが、重度の場合は手術が必要となるケースもあります。 完全断裂は手術が推奨される場合が多い 半月板が完全に裂けてしまうと、自然治癒は期待できません。関節内に断裂した部分が挟まり、膝が動かしにくくなることもあります。 このような場合、推奨されるのは「縫合術」や「部分切除術」などの手術療法です。 縫合術は、半月板を修復する手術で、若年層やスポーツを続けたい方に適しています。一方、部分切除術は損傷部分を切除し、膝の動きをスムーズにする方法です。 いずれも、術後には筋力を回復させるためのリハビリが必要です。 部分断裂はリハビリや装具での保存療法も選択肢 部分的な断裂において、症状が軽度でロッキングが無く、手術を望まれない場合は保存療法が選択肢となります。 膝に負担をかけないように安静にし、サポーターや装具を使用して膝の安定性を保つのが目的です。 また、炎症を抑えるために、アイシングや消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 リハビリでは、大腿四頭筋など膝を支える筋肉を鍛えるトレーニングを行い、膝の負担を軽減します。 以下の記事では、半月板損傷を早く治す方法や効果的なリハビリについて現役医師が解説していますので、ぜひ参考にしてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の場合、基本的には保存療法で改善が期待できます。 しかし、損傷の程度や部位、患者の年齢や活動量などによって異なり、症状によっては手術が必要なケースもあります。 軽度損傷はリハビリと安静が基本 半月板損傷が軽度の場合、リハビリテーションと安静が基本的な治療法です。 リハビリテーションでは、膝周りの筋肉を強化したり、関節の可動域を広げたりします。 また、炎症や痛みを抑えるために、薬物療法や注射療法が行われる場合もあります。 重症化すると断裂と同様の手術が必要になる場合も 半月板損傷が進行し、膝の機能に支障をきたす場合は手術を検討します。 痛みが長期間続き、日常生活に影響を及ぼす場合は、縫合術や部分切除術が選択されるケースもあります。 とくに、高齢者の半月板損傷は変形性膝関節症へ進行する可能性があるため、症状の悪化を防ぐための早期治療が重要です。 半月板損傷の治療法や術後のリスクについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|半月板断裂と損傷の違いを理解して適切に治療を行おう 半月板断裂と損傷に明確な違いはないものの、症状の特徴や痛みの程度が異なる場合があります。どちらもスポーツや外傷、加齢による柔軟性の低下などが原因です。 膝に痛みや違和感がある場合は、自己判断せず専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 半月板断裂と損傷の違いに関するよくある質問 靭帯断裂と半月板損傷の違いは何ですか? 靭帯断裂は、膝を安定させる靭帯が完全または部分的に切れる状態を指します。 一方、半月板損傷は、膝のクッションとしての役割を果たす軟骨の損傷を意味します。 靭帯断裂は、膝のグラつきや激しい痛みを伴うことが多く、スポーツによる外傷が主な原因です。 一方、半月板損傷は、違和感や鈍い痛みが特徴で、加齢や慢性的な膝への負担によるものが多くあります。 どちらも早期の診断と治療が重要になります。 半月板損傷は手術しないほうがいいですか? 半月板損傷の治療法は、損傷の程度や症状によって異なります。 軽度であれば、保存療法にて改善が見込めることが多いです。 しかし、症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、手術が必要となる場合もあります。 手術が必要かどうかは、専門医が患者の状態を総合的に判断して決定します。 半月板損傷の手術に関するメリット・デメリットは以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2021.12.16 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
「変形性膝関節症と半月板損傷って何が違うの?」 膝の痛みが続くと日常生活にも影響が出て不安になりますが、原因としてよく挙げられるのが「変形性膝関節症」と「半月板損傷」です。 これらは似たような症状でも、原因や治療法が異なりますので、自己判断は危険です。そこで、この記事ではそれぞれの違いや適切な対策を医師がわかりやすく解説します。 自分の症状に合った適切な対応が判断できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷に対する再生医療・幹細胞治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いとは? 膝の痛みを引き起こす代表的な疾患に「変形性膝関節症」や「半月板損傷」がありますが、原因や症状・治療法は大きく異なります。 以下の2つの違いを正しく理解することで、適切な対処法を選べるようになります。 変形性膝関節症は膝関節が変形する病気 半月板損傷は膝の軟骨が傷つく怪我 本章ではそれぞれの特徴を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症は膝関節が変形する病気 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかることで炎症や痛みを引き起こす病気です。(文献1) 加齢とともに軟骨がすり減るため発症し、徐々に進行していくのが特徴です。 初期段階では、立ち上がりや歩き始めに軽い痛みを感じるケースが多く見られます。 しかし、進行すると安静時にも痛みが続くようになり、膝の曲げ伸ばしが困難になるケースもあります。 また、変形が進むとO脚やX脚になる場合もあるため注意が必要です。 半月板損傷は膝の軟骨が傷つく怪我 半月板損傷は、膝の内部にある半月板が裂けたり損傷したりする状態を指します。 スポーツ中の膝のひねりや転倒が主な原因ですが、加齢による半月板の脆弱化も影響します。 損傷が軽度の場合は痛みや腫れだけで済む場合もありますが、放置すると症状が悪化して変形性膝関節症へつながるリスクもあります。 そのため、スポーツや日常生活で膝を酷使する方は、違和感を覚えたら早めに受診しましょう。 半月板損傷の症状については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 変形性膝関節症の主な原因 変形性膝関節症は、中高年に多く見られる膝の病気ですが、主な原因には以下の3つが挙げられます。 加齢による軟骨のすり減り 体重増加や姿勢の悪さ 運動不足や遺伝 要因を理解していれば、進行を予防できる可能性が高まるので、チェックしてみてください。 加齢による軟骨のすり減りが主な要因 軟骨はクッションの役割を果たしますが、年齢とともに修復が追いつかず軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかるようになります。 その結果、関節の変形や骨棘(こっきょく)※1の形成、滑膜(かつまく)※2の炎症を引き起こし痛みや腫れが生じます。 ※1 すり減った骨を再生しようとするも正しい位置で再生できず、横にはみ出して増殖した骨 ※2 膝関節の関節包の内側にある薄い組織、滑液を分泌し、関節の動きを滑らかにする 膝の痛みは放置すると、症状は徐々に悪化していく可能性もあるため、「年齢のせい」と諦めず、早めに医師に相談しましょう。 体重増加や姿勢の悪さが進行を助長 体重が増えると、膝にかかる負担は増大します。 とくに肥満は関節に大きな圧力をかけ、軟骨の摩耗を早める原因になりかねません。 また、悪い姿勢や歩き方も膝への負荷を増やし、変形性膝関節症の進行を助長します。 そのため「立ち仕事が多い」「肥満気味」と感じる方は要注意です。 姿勢を改善したり、適度な運動で体重を管理したりすると膝の健康を保てるため意識してみましょう。 変形性膝関節症の原因と初期症状については、以下の記事でも詳しく紹介しています。 運動不足や遺伝も原因となる場合がある 運動不足は、筋力低下や関節の柔軟性低下を招き、変形性膝関節症のリスクを高めます。 適度な運動は、膝周りの筋肉を強化し関節を安定させる効果があるため、積極的に体を動かすようにしましょう。 また、変形性膝関節症は遺伝的な要因も関与していると考えられているため、家族に変形性膝関節症の方がいる場合は注意が必要です。(文献2) 日頃から膝を労り、定期的な検診を受けるように心がけてください。 こちらの記事では、変形性膝関節症の原因やスポーツから発症するリスクについて解説しています。 気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。 半月板損傷の主な原因 半月板損傷は、膝にかかる負担や動きの影響で発生しますが、主な原因は以下の3つが挙げられます。 スポーツや転倒による膝の急な動きが原因 老化で半月板が弱くなる場合もある 急性損傷と慢性損傷で原因が異なる 本章では、それぞれの要因について詳しく解説します。 スポーツや転倒による膝の急な動きが原因 半月板損傷の多くは、スポーツや転倒など膝に急激な負荷や衝撃が加わることで発生します。 とくにサッカーやバスケットボールなど、急な方向転換を必要とする競技ではリスクが高まるので注意が必要です。 また、過剰な負担をかけ続けると、軟骨が耐えきれず損傷する場合もあります。 外傷は突然発生するため、予測が難しいものです。 しかし、スポーツ前のウォーミングアップや膝を保護する装具の使用が損傷を予防する手段となります。 老化で半月板が弱くなる場合もある 加齢に伴い、半月板は弾力性を失い薄く脆くなっていきます。 そのため、若い頃であれば問題なかったような動作でも、高齢になると半月板損傷を引き起こす場合があります。 加齢による半月板損傷は、日常生活での些細な動作がきっかけで起こるケースも少なくありません。 たとえば、立ち上がる、しゃがむ、階段を上るといった動作でも、膝に負担がかかり、半月板が損傷する可能性があります。 高齢の方は、とくに膝を労り無理な動作は避けるように心がけましょう。 急性損傷と慢性損傷で原因が異なる 半月板損傷は発生の仕方に違いがあり、急性損傷と慢性損傷に分けられます。 急性損傷は、スポーツや転倒など突発的な外力によって起こる損傷です。 一方、慢性損傷は加齢による変性や、小さな損傷の積み重ねによって徐々に進行していく損傷です。 急性損傷の場合は、損傷した瞬間に強い痛みや腫れを感じる場合が多いのに対し、慢性損傷の場合は、初期症状が軽いため、気づかないうちに進行している場合もあります。 変形性膝関節症と半月板損傷の治療法は? 変形性膝関節症と半月板損傷の治療法は、症状や進行度により異なります。 本章ではそれぞれの治療法を詳しく解説しますので、参考にしてください。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症の治療法は以下のとおりです。 治療法 概要 適応症例 保存療法 安静や膝サポーター、痛み止めで自然治癒を促す 軽度の損傷や一時的な症状 手術 半月板を縫合したり、部分切除で修復する手術 大きな損傷や長期間症状が改善しない場合 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を投与し、損傷した半月板を切り取らず進行を防ぐ 保存療法や手術の適応外または補助治療 薬物療法で痛みを和らげる 痛みや炎症を軽減するために薬物療法が用いられます。 飲み薬や関節内注射が一般的で、とくにヒアルロン酸注射は関節の潤滑を助け、痛みを抑えます。 症状が軽い段階で効果を発揮します。 リハビリで筋力をつける 膝を支える筋肉を強化して関節への負担を軽減します。 専門の理学療法士とともに適切な運動を行うことで、痛みの軽減や日常生活の改善につながります。 また、自宅での軽い運動も効果的です。 手術で関節の機能を改善する 症状が進行し、保存療法では改善が難しい場合には手術が選択肢となります。 代表的な手術は人工関節置換術や関節鏡手術です。 手術により膝の機能が回復し、痛みの軽減が期待されます。 変形性膝関節症の手術に関するメリットとデメリットは、こちらの記事で紹介しています。 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を活用した再生医療は、損傷した軟骨の再生を促し、症状の改善を目指せるのが大きな特徴です。 変形性膝関節症の再生医療に関する詳細は以下の記事で解説しています。新しい治療法に興味がある方はぜひご覧ください。 半月板損傷の治療法 半月板損傷の治療法は以下のとおりです。 治療法 概要 適応症例 保存療法 安静や膝サポーター、痛み止めで自然治癒を促す 軽度の損傷や一時的な症状 手術 半月板を縫合したり、部分切除で修復する手術 大きな損傷や長期間症状が改善しない場合 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を投与し、損傷した半月板を切り取らず進行を防ぐ 保存療法や手術の適応外または補助治療 保存療法で自然治癒を促す 軽度の損傷であれば、安静や膝サポーターの使用により自然治癒を目指します。 また、炎症を抑えるために湿布や痛み止めも併用します。 さらにスポーツなど膝への負担を一時的に控えるのも重要です。 以下の記事では、半月板損傷を早く治すための治療法や効果的なリハビリ方法について解説しています。 手術で半月板を修復する 半月板が大きく損傷している場合や、保存療法で改善が見られない場合は手術療法が選択されます。 関節鏡を用いた手術で、損傷した半月板を縫合したり、切除したりします。 以下の記事では、半月板損傷の手術に関するメリット・デメリットについて詳しく解説しています。 手術で不安がある方はチェックしてみてください。 再生医療・幹細胞治療 半月板損傷に対しても、再生医療や幹細胞治療が研究されています。 幹細胞を投与して損傷した半月板損傷の進行を遅らせ、膝関節の機能回復を目指します。 こちらでは、半月板損傷や半月板断裂に対する再生医療・幹細胞治療について詳しく紹介しています。 まとめ|変形性膝関節症と半月板損傷の違いを知って適切な対策を取ろう 変形性膝関節症と半月板損傷は、膝の痛みを引き起こす代表的な疾患ですが、原因や治療法には違いがあります。 変形性膝関節症は主に加齢や体重増加が原因で進行し、骨が変形する病気です。 一方、半月板損傷はスポーツや転倒による衝撃で発生しやすい膝の軟骨の損傷です。 どちらも早期発見と適切な治療が、膝の健康を保つために重要です。 膝に違和感を感じたら、早めに専門医を受診し自分に合った治療法を選びましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症や半月板損傷の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症と半月板損傷に関するよくある質問 半月板損傷を放っておくとどうなりますか? 半月板損傷を放置すると、損傷した部分が引っかかり関節軟骨を傷つけてしまう可能性があります。 その結果、変形性膝関節症へと進行し、歩行が困難になるなど日常生活に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。 また、損傷した半月板が関節内で引っかかることで、ロッキングという膝が動かなくなる症状を引き起こすケースもあります。 半月板損傷は自然治癒が難しいため、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。 以下では、半月板損傷を放置するリスクについてさらに詳しく解説しています。 膝の半月板が損傷する原因は何ですか? 膝の半月板が損傷する原因は、大きく分けて2つあります。 1つは、スポーツや転倒など、膝に急激な衝撃や捻りが加わることによるものです。 ジャンプや方向転換を伴うスポーツで多く見られます。 もう1つは、加齢による半月板の変性です。 加齢によって半月板の弾力性が低下し、脆くなることで、ちょっとした動作でも損傷しやすくなります。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 文献1 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ 7 変形性膝関節症」 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook07_whole_compressed.pdf 文献2 理化学研究所 生命医科学研究センター「膝の変形性関節症の原因遺伝子『DVWA』を同定」 https://www.ims.riken.jp/pdf/20080712_2-3.pdf
2021.12.13